特許第6435237号(P6435237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435237
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】リフト装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/10 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
   A61G7/10
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-124322(P2015-124322)
(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-6343(P2017-6343A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591074622
【氏名又は名称】株式会社タチエスH&P
(74)【代理人】
【識別番号】100179855
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 えりか
(74)【代理人】
【識別番号】100086195
【弁理士】
【氏名又は名称】藁科 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】薬袋 昌三
(72)【発明者】
【氏名】村石 正三
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1994/024979(WO,A1)
【文献】 特開2000−152963(JP,A)
【文献】 特開2002−253623(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3106918(JP,U)
【文献】 特開平07−213562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G7/10−7/16
A61G5/14
A61G1/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に支柱を立て、支柱から延びたブームの先端の吊り部材で被補助者を吊り上げるリフト装置において、
ベース部材は、その間に開口を前面に残して上下に重複して配置された少なくとも2枚のプレートを有し、
左右一対の脚部材が、ベース部材の前面の開口に脱着可能に装着されてベース部材の前方に延出し、
左右一対のハンドルが脚部材と連動可能に左右それぞれ取り付けられ、
ペダルがハンドルの下部の間に位置し、
左右一対のワイヤがペダルと左右一対のハンドルの下部との間にそれぞれ掛け渡され、
ペダルの中央部には、左右一対の挿通孔が前後に形成され、前方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔は、後方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔よりも短く設定され、
ワイヤは、その後端が下方に折曲されて形成され、ワイヤの前端はハンドルの下部に固定されるとともに、下方に折曲されたワイヤの後端の長さはペダルの下方への踏み込みの深さよりも短く形成され、
ベース部材の後部、脚部材の後部には、ハンドルの下部を軸支する軸支孔がそれぞれ設けられ、
左右一対の脚部材が前方に略平行に延びた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は後方の左右一対の挿通孔に、左右一対の脚部材が略平行から左右方向に開かれた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は前方の左右一対の挿通孔に、それぞれ挿通され、
ペダルを踏み込んで下降させると、前方または後方いずれか一方の挿通孔からワイヤの後端が離脱し、ペダルの上面を摺動して他方の挿通孔にそれぞれ挿通し、軸支孔に軸支されたハンドルの下部を中心に脚部材を左右方向に揺動して開閉させているリフト装置。
【請求項2】
ペダル、ベース部材の間に付勢部材が設けられ、付勢部材はペダルに上方の付勢力を付加している請求項1記載のリフト装置。
【請求項3】
ペダルは平板の前端を上方に折曲して形成され、ペダルの前端が支柱の後面に当接して付勢部材の付勢力に抗している請求項2記載のリフト装置。
【請求項4】
ハンドルは支柱に沿って上方に延びて設けられ、
左右一対のワイヤの後端が、前方または後方いずれか一方の挿通孔から離脱すると、ハンドルが回動可能となり、左右一対のハンドルを回動するとワイヤの後端を他方の挿通孔に挿通させて脚部材を左右方向に揺動している請求項1ないし3のいずれか記載のリフト装置。
【請求項5】
ベース部材の上下のプレートと接触する脚部材の上下面に、ラジアル軸受またはころがり軸受が取り付けられている請求項1ないし4のいずれか記載のリフト装置。
【請求項6】
ベース部材はさらに後面に開口を持ち、
脚部材の後部がベース部材の後面の開口から突出し、突出した脚部材の後部、ハンドルの下部の間にブラケットが取り付けられ、
ブラケットは、その前部にハンドルの下部を軸支する軸支孔が、その後部下面から下方に延びるピンが形成され、
ブラケットの後部のピンが脚部材の後部の孔に挿通されることにより脚部材がブラケットを介してハンドルに連動可能に取り付けられる請求項1ないし5のいずれか記載のリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者や高齢者等を仰臥(仰向け)や着座の姿勢のまま吊り上げて移動したり、その体重を計測したりするためのリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者、高齢者等、補助や介護を必要とする人(以下、被補助者とする)の動作を補助者が補助する場合には、被補助者の上半身を起こしたり、体全体を持ち上げたり、被補助者を持ち上げた上でさらに別の場所に移動させたりしなければならず、補助者に大きな負担となる。補助者の負担を軽減するため、被補助者を持ち上げたり、持ち上げて移動させる昇降装置(リフト装置)が多く知られている。
【0003】
たとえば、仰臥(仰向け)や着座など被補助者の楽な姿勢で安静を保ったまま吊り上げ、車椅子等所定の位置に移動させるためのリフト装置が挙げられる。
また、リフト装置に体重測定機能を取り付ければ、被補助者を吊り上げて体重を測定し、健康状態を管理することができる。体重測定機能付のリフト装置は寝たきりの高齢者に対しても使用することができるが、病院などでは主に透析患者に対して使用され、この場合は透析終了時の目標体重を達成したか否かの判断に使用される。
【0004】
リフト装置は、概略、ベース部材、支柱、ブーム、吊り部材を有して構成されている(たとえば、特開2003−153966号公報、特開2000−152963号公報)。
ベース部材は、リフト装置を床面に固定するためのキャスター付きの台座である。被補助者の吊り上げ時に被補助者の体重によりリフト装置が傾き、倒れることを防止するため、ベース部材は一般的にある程度の重量が要求される。補助者はベース部材のキャスターのロックを解除して、リフト装置を自在に移動することができる。
支柱は、ベース部材の中央から上方へ延びる柱状の部材であり、支柱の中央部にはブームを昇降させるための駆動装置(モータ)、駆動装置のバッテリー、補助者がブームを操作するための操作スイッチ、患者の体重を表示するモニタ等が取り付けられている。
ブームは、支柱の上端から前方に延びたアーム部材であり、支柱の上端に固定された固定端を中心に、その自由端を上下に揺動して昇降させる。
吊り部材は、被補助者を保持する部材であり、フック部材を介してブームの自由端に取付可能な袋状のネットやハンガー付の担架とされる。フック部材として体重測定機能付のものを用いることもできる。
【0005】
補助者がリフト装置を用いる時(使用時)には、まず被補助者のベッドサイドにリフト装置を移動、設置して、ベース部材のキャスターをロックする。そして、袋状のネットのフック部材をブームの自由端に取り付けてから袋状のネット内に被補助者を着座させたり、ハンガー付の担架の上に被補助者を仰向けに載せてからハンガーのフックをブームの自由端に取り付けるなどして、吊り部材に被補助者を固定する。
補助者が操作スイッチを操作すると、モータの駆動によりブームが揺動し、吊り部材が上昇して被補助者を吊り上げる(持ち上げる)。補助者は、ベース部材のキャスターのロックを解除して、被補助者を吊り上げた状態のまま、リフト装置を車椅子等の脇へ移動させたり、被補助者の体重を計測する。そして、補助者が操作スイッチを操作して吊り部材を下降させ、車椅子、ベッドの上等所定の位置に被補助者を降ろす。
補助者がリフト装置を使用しない時(不使用時)には、リフト装置は居室、病室内の被補助者から離れた位置に移動、収納される。
【0006】
特開2003−153966号公報では、ベース部材は略台形形状とされるとともに、支柱を支持する補強用の脚部材を支柱の下部に有している。補強用の脚部材は、支柱と一体的に回動可能に取り付けられ、常にブームの真下に位置するように支柱から床面へ向かって斜め下方に延ばされている。
【0007】
特開2000−152963号公報では、ベース部材は、その中央部に支柱を有するメインフレームと、メインフレームの左右両端に連結された左右一対のサブフレームとによりH字型形状に形成されている。左右一対のサブフレームはその前端が開口し、前方に延びる左右に一対の脚部材がサブフレーム前端の開口にそれぞれ着脱可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−153966号公報
【特許文献2】特開2000−152963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特開2003−153966号公報によれば、被補助者を吊り上げる際に被補助者の体重により支柱を直立状態から傾けさせる荷重が支柱に加わる。しかし、脚部材は被補助者を釣り上げるブームの真下に位置して、支柱、床面の間で支柱の傾きを防ぐ筋交いとして支柱を直立に支持し、リフト装置の倒れが防止される。
【0010】
しかし、脚部材を支柱から取り外すことができず、脚部材が支柱から斜め下方に常に延ばされているため、リフト装置の不使用時に省スペース化を図ることができず、居室、病室内の狭いスペース等にリフト装置を収納できない。
また、脚部材は支柱、床面との間に設けられた筋交いに過ぎない。ベース部材が軽量であると、脚部材は筋交いとして機能しても、リフト装置の重量や被補助者の体重を十分に支持できるとはいえない。そのため、ベース部材はある程度重量のあるものでなければならず、ベース部材を含めたリフト装置全体の軽量化を図ることが難しい。
【0011】
特開2000−152963号公報によれば、リフト装置の使用時には、左右一対のサブフレーム前端の開口に脚部材をそれぞれ挿入し、締め付け手段(たとえばピン)により脚部材をサブフレームに固定する。左右一対の脚部材が前方に延ばされてリフト装置を支持し、リフト装置の重量や被補助者の体重によるリフト装置(支柱)の前後方向の傾き、倒れを防止することができる。
また、リフト装置の不使用時には、ピンを取り外してサブフレームの開口から脚部材を引き抜き、支柱に立て掛けて収納する。これにより、リフト装置の省スペース化を図り、狭いスペースにリフト装置を収納することができる。
【0012】
しかし、メインフレーム、サブフレームの連結部がリフト装置全体の重量を受けるため、被補助者の体重が重い場合はリフト装置全体の重量を連結部が支えきれず、メインフレームがねじれたり、サブフレームから脱落してリフト装置が破損するおそれがある。
また、メインフレーム、サブフレームの連結部は、通常、溶接により固定されているため、リフト装置の使用時の設置スペースに応じて、脚部材の左右方向の開き(角度)を調整することができない。そのため、支柱つまりはリフト装置の左右方向の傾きを防止できず、リフト装置の倒れを確実に防止することが難しい。
【0013】
本発明は、ベース部材を含めたリフト装置全体を軽量化しつつ、使用時にはその倒れを確実に防止し、不使用時には省スペース化を図ることのできるリフト装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明では、ベース部材は少なくとも上下2枚のプレートを有し、そのプレート間に脱着可能な左右一対の脚部材が装着されている。また、リフト装置には、脚部材と連動可能な左右一対のハンドルが設けられ、ハンドルの下部の間に位置するペダルを踏み込むと、ペダル、ハンドルの下部の間に掛け渡されたワイヤの後端が、ペダルの挿通孔から離脱する。
すなわち、請求項1に係る本発明によれば、ベース部材に支柱を立て、支柱から延びたブームの先端の吊り部材で被補助者を吊り上げるリフト装置において、ベース部材は、その間に開口を前面に残して上下に重複して配置された少なくとも2枚のプレートを有し、左右一対の脚部材が、ベース部材の前面の開口に脱着可能に装着されてベース部材の前方に延出し、左右一対のハンドルが脚部材と連動可能に左右それぞれ取り付けられ、ペダルがハンドルの下部の間に位置し、左右一対のワイヤがペダルと左右一対のハンドルの下部との間にそれぞれ掛け渡され、ペダルの中央部には、左右一対の挿通孔が前後に形成され、前方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔は、後方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔よりも短く設定され、ワイヤは、その後端が下方に折曲されて形成され、ワイヤの前端はハンドルの下部に固定されるとともに、下方に折曲されたワイヤの後端の長さはペダルの下方への踏み込みの深さよりも短く形成され、ベース部材の後部、脚部材の後部には、ハンドルの下部を軸支する軸支孔がそれぞれ設けられ、左右一対の脚部材が前方に略平行に延びた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は後方の左右一対の挿通孔に、左右一対の脚部材が略平行から左右方向に開かれた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は前方の左右一対の挿通孔に、それぞれ挿通され、ペダルを踏み込んで下降させると、前方または後方いずれか一方の挿通孔からワイヤの後端が離脱し、ペダルの上面を摺動して他方の挿通孔にそれぞれ挿通し、軸支孔に軸支されたハンドルの下部を中心に脚部材を左右方向に揺動して開閉させている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、ペダルに形成された後方、前方の左右一対の挿通孔が、脚部材の略平行に延びた位置(初期位置)、略平行から左右方向に開かれた位置(開脚位置)にそれぞれ相当する。
下方に折曲されたワイヤの後端の長さはペダルの下方への踏み込みの深さ(距離)よりも短く形成されているため、たとえば脚部材が初期位置にあるときにペダルを踏み込んで下降させると、左右一対のワイヤの後端は後方の左右一対の挿通孔から離脱する。そして、左右一対のワイヤの後端はペダルの上面を摺動して前方の挿通孔にそれぞれ挿通され、脚部材を開脚位置にする。脚部材の前端を開いて開脚位置にすることで、脚部材がリフト装置全体の重量を支持し、その使用時にリフト装置の倒れを確実に防止する。
リフト装置の不使用時には、同様にペダルを踏み込むことでワイヤの後端が前方の挿通孔から離脱、移動して後方の挿通孔に挿通され、脚部材が開脚位置から初期位置に戻される。初期位置で脚部材をベース部材から離脱させれば、リフト装置の不使用時にその省スペース化を図ることができる。
また、ベース部材は少なくとも上下2枚のプレートを有して形成されればよいため、リフト装置全体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】使用時における本発明の一実施例に係るリフト装置の側面図を示す。
図2図1に対応した、その不使用時における本発明の一実施例に係るリフト装置の側面図を示す。なお、吊り部材は取り外されている。
図3】リフト装置の概略部分斜視図を示す。
図4】ベース部材の分解斜視図を示す。
図5】(A)は右のベースブラケットの概略斜視図、(B)はペダルの平面図、(C)は脚部材の概略斜視図をそれぞれ示す。
図6】脚部材が略平行に延びた位置(初期位置)にあるときの、図1の線X−Xに沿ったリフト装置の一部破断の断面図を示す。
図7】脚部材が略平行から左右方向に開かれた位置(開脚位置)にあるときの、図1の線X−Xに沿ったリフト装置の一部破断の断面図を示す。
図8】(A)(B)はペダルの踏み込み前後におけるペダル、ワイヤ、付勢部材及び上半部の中央のプレートの概略側面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ベース部材に支柱を立て、支柱から延びたブームの先端の吊り部材で被補助者を吊り上げるリフト装置において、ベース部材は、その間に開口を前面に残して上下に重複して配置された少なくとも2枚のプレートを有し、左右一対の脚部材が、ベース部材の前面の開口に脱着可能に装着されてベース部材の前方に延出し、左右一対のハンドルが脚部材と連動可能に左右それぞれ取り付けられ、ペダルがハンドルの下部の間に位置し、左右一対のワイヤがペダルと左右一対のハンドルの下部との間にそれぞれ掛け渡され、ペダルの中央部には、左右一対の挿通孔が前後に形成され、前方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔は、後方の左右一対の挿通孔の左右方向の間隔よりも短く設定され、ワイヤは、その後端が下方に折曲されて形成され、ワイヤの前端はハンドルの下部に固定されるとともに、下方に折曲されたワイヤの後端の長さはペダルの下方への踏み込みの深さよりも短く形成され、ベース部材の後部、脚部材の後部には、ハンドルの下部を軸支する軸支孔がそれぞれ設けられ、左右一対の脚部材が前方に略平行に延びた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は後方の左右一対の挿通孔に、左右一対の脚部材が略平行から左右方向に開かれた位置にあるとき、左右一対のワイヤの後端は前方の左右一対の挿通孔に、それぞれ挿通され、ペダルを踏み込んで下降させると、前方または後方いずれか一方の挿通孔からワイヤの後端が離脱し、ペダルの上面を摺動して他方の挿通孔にそれぞれ挿通し、軸支孔に軸支されたハンドルの下部を中心に脚部材を左右方向に揺動して開閉させている。
【実施例】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。図1は使用時における本発明の一実施例に係るリフト装置の側面図、図2図1に対応した、その不使用時における本発明の一実施例に係るリフト装置の側面図をそれぞれ示す。なお、図2では吊り部材は取り外されている。
リフト装置の前後上下左右はFr、Rr、Up、Lw、L、Rで示されている。
【0019】
リフト装置10は、概略、リフト装置を床面に設置する台座となるベース部材20、ベース部材の中央部から延びる支柱30、支柱の上端に設けられるブーム40、ブームの先端40aに着脱可能に設けられる吊り部材50を具備して構成されている。図1に示すように、ベース部材20に支柱30を立て、支柱から延びたブーム40の先端(上端)の吊り部材50に被補助者を保持し、支柱の先端を中心にブームの先端を上下方向に揺動し、昇降させることで、吊り部材を吊り上げる。
リフト装置10の不使用時には、図2に示すように、ブーム40の先端を下降させ、ブームの先端から吊り部材50を、ベース部材20から後述する脚部材24をそれぞれ取り外して支柱30に立て掛けることができる。
【0020】
図3はリフト装置の概略部分斜視図、図4はベース部材の分解斜視図をそれぞれ示す。
ベース部材20は、上半部22Up、下半部22Lwを上下に重複させ、その上下の間に隙間を残して、たとえば溶着して形成されている。上半部22Upは左右一対のプレート22Up−L、22Up−R、その間に位置する中央のプレート22Up−Mを、下半部22Lwは左右一対のプレート22Lw−L、22Lw−Rをそれぞれ備えて構成されている。これらのプレートは鋼板から成形される。
なお、ベース部材20は、上下に重複して配置された少なくとも2枚のプレートを備え、ベース部材の前面に上下のプレートの間に開口(後述する前面の開口23L−Fr、23R−Fr)を残すものであれば足り、この構成に限定されない。
【0021】
下半部の左右一対のプレート22Lw−L、22Lw−Rについて説明すると、図4を見るとわかるように、下半部のプレートは左右2枚の矩形形状のプレートから前方の外側端(左右端)の角部をそれぞれ面取りして形成されている。下半部の左右一対のプレート22Lw−L、22Lw−Rの後部には、後述するハンドルの下部32bL、32bRを軸支する軸支孔22Lw−La、22Lw−Raが形成されている。
【0022】
上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−Rは、中央のプレート22Up−Mを左右から挟持するように配置され、その後部には、下半部の軸支孔22Lw−La、22Lw−Raと同様に、ハンドルの下部32bL、32bRを軸支する軸支孔22Up−La、22Up−Raが形成されている。また、左右一対のプレート22Up−L、22Up−Rは、互いに対向する内側の辺(左のプレート22Up−Lの右辺、右のプレート22Up−Rの左辺)と、後辺とをそれぞれ下方に折曲することにより内壁22Up−L’、22Up−R’、後壁22Up−L’’、22Up−R’’を形成している。
【0023】
図3図4を見るとわかるように、左右一対のプレートの後壁22Up−L’’、22Up−R’’、すなわちベース部材20の後面には、その一部を切り欠いて形成された開口(後面の開口)23L−Rr、23R−Rrが左右それぞれ設けられ、残された後壁(後面)にはロック装置付きのキャスター20a−L、20a−Rが取り付けられている(図1参考)。キャスター20a−L、20a−Rをロックするとリフト装置10が車床上に固定され、ロック解除すると車床上を移動可能(走行可能)とされる。
また、ベース部材20の前面には、上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−R、下半部の左右一対のプレート22Lw−L、22Lw−Rの間に残された開口(前面の開口)23L−Fr、23R−Frが左右それぞれ設けられている(図6図7参照)。
【0024】
上半部の中央のプレート22Up−Mは、略矩形形状のプレートの左右両辺を下方に折曲することにより左壁22Up−ML、右壁22Up−MRを形成している。中央のプレートの左壁22Up−ML、右壁22Up−MRが、隣り合う左のプレートの内壁(右壁)22Up−L’、右のプレートの内壁(左壁)22Up−R’とそれぞれ重複、接合されて、上半部の3枚のプレートが一体化されている。接合は、たとえば溶着による。
図4を見るとわかるように、中央のプレート22Up−Mの前部の長さは、上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−Rの前部の長さよりも短く形成され、中央のプレートの前方は凹部22Up−M’となっている。また、図4の中央のプレート22Up−Mはその中央部から後部にかけて下方へ傾斜した形状とされているが、この形状に限定されない。
【0025】
上半部の中央のプレート22Up−Mは、その後部中央が後方に突出して突出部が形成され、後述する付勢部材29を支持する支持孔22Up−Maが突出部に設けられている。
さらに、上半部の中央のプレート22Up−Mは、その中央部にボルト取付用の複数の孔22Up−Mbが形成されている。図4では、孔22Up−Mbは5つ形成されている。中央のプレート22Up−Mの上面に支柱30を立て、プレートの下面からボルトを孔22Up−Mbに差し入れ、支柱下面のナットに螺着して支柱を中央のプレートに固定する。
【0026】
上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−Rの上面前部には、左右一対のベースブラケット26a(26a−L、26a−R)、1つのフロントカバー26bが取り付けられている(図1図6図7参照)。
左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rは、上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−R上にそれぞれ配置され、支柱30を左右から支持している。
【0027】
図5(A)は右のベースブラケットの概略斜視図を示す。
左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rは左右対称の形状であるため、まず、図5(A)を参照して右のベースブラケット26a−Rについて説明する。
右のベースブラケット26a−Rはその中央を90°未満、たとえば45°に折曲した鋼板から形成され、折曲部の前部を斜面部26a−R1、後部を平面部26a−R2としている。斜面部26a−R1は略直角三角形状に形成されるとともに、上半部の右のプレート22Up−R上で垂直に立設した状態で、斜面部の(略直角三角形形状の)斜辺が前方に、底辺が前方斜め右方に位置するように上半部の右のプレート上に配置されている。
平面部26a−R2は略矩形形状とされ、その後部には孔26a−R2’が設けられている。実施例では、図5(A)に示すように孔26a−R2’は3つ設けられている。また、平面部26a−R2は、その後端の中央部が後方に突出して突出部26a−R3が形成され、突出部には後述するペダルの揺動軸28c’の左右端を軸支する軸支孔26c−Rが形成されている(図6参照)。
【0028】
同様に左のべースブラケット26a−Lについて説明すると、左のべースブラケットは、折曲部の前部を斜面部26a−L1、後部を平面部26a−L2としている。そして、左のべースブラケット26a−Lは、略直角三角形状に形成された斜面部26a−L1のの(略直角三角形形状の)斜辺が前方に、底辺が前方斜め左方に位置するように上半部の左のプレート上に配置されている。左のベースブラケットの平面部26a−L2は、その後部に孔26a−L2’が設けられるとともに、その後端の中央部が後方に突出して突出部26a−L3が形成され、突出部には軸支孔26c−Lが形成されている。
【0029】
このような左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rにおいては、左右一対のベースブラケットの斜面部26a−L1、26a−R1が、平面視で前方に末広がりとなるように上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−R上に配置されている。
左右のべースブラケットの平面部26a−L2、26a−R2が支柱30を左右から挟持し、孔26a−L2’、26a−R2’、支柱の孔(図示しない)にボルトを左右それぞれ挿通しナットに螺合させることにより、支柱は左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rに固定、支持される。
【0030】
フロントカバー26bは略台形形状に形成され、左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rの前端(前方に位置する斜辺)に取り付けられている(図6図7参照)。そして、フロントカバー26bは、凹部22Up−M’を越えて上半部の左右一対のプレート22Up−L、22Up−Rの間に掛け渡され、プレートの前部を覆うように設けられている。
【0031】
なお、図3に示すように、右のベースブラケットの斜面部26a−R1の後方には、ベース部材20から離脱した脚部材24を支柱30に立て掛けて収納するための保持スペース20Fr−R’が設けられている。保持スペース20Fr−R’の壁面は、たとえば、上半部のプレート22Upと同一の素材からなる鋼板が折曲されて形成され、その下端が上半部の右のプレート22Up−Rに溶接により取り付けられることでプレート上に立設されている。
【0032】
図6は脚部材が略平行に延びた位置(初期位置)にあるときの、図1の線X−Xに沿ったリフト装置の一部破断の断面図、図7は脚部材が略平行から左右方向に開かれた位置(開脚位置)にあるときの、図1の線X−Xに沿ったリフト装置の一部破断の断面図をそれぞれ示す。
図6図7を見るとわかるように、上半部の左右一対のプレート22Up、下半部の左右一対のプレート22Lwの間には、補助壁20L(20L−L、20L−R)、20R(20R−L、20R−R)がそれぞれ設けられている。
具体的に、補助壁20R−L、20R−Rは、上半部の右のプレート22Up−R、下半部の右のプレート22Lw−Rに上下を挟まれ、溶接により固定されている。また、補助壁20L−L、20L−Rは、上半部の左のプレート22Up−L、下半部の左のプレート22Lw−L間に上下を挟まれ、溶接により固定されている。なお、補助壁20L、20Rは、たとえば上半部22Up、下半部22Lwのプレートと同一の素材からなる鋼板を折曲していずれも形成されている。
【0033】
補助壁20L(20L−L、20L−R)、20R(20R−L、20R−R)は左右対称の形状であるため、まず、右のプレート(上半部、下半部の右のプレート22Up−R、22Lw−R)間の補助壁20R−L、20R−Rについて説明する。
ベース部材の左側(内側)に位置する補助壁20R−Lは、上半部の右のプレートの内壁22Up−R’に沿って設けられ、その前端にアブソーバ20R−La(衝撃吸収材)が取り付けられている(図7参照)。ベース部材の右側(外側)に位置する補助壁20R−Rは、右のプレート22Up−Rの右辺(外側の辺)から内方に離反して位置し、アブソーバ20R−Raが取り付けられている(図7参照)。これらのアブソーバ20R−La、20R−Raは、右の脚部材24Rの左右方向の揺動(開閉)範囲を規定している。
【0034】
同様に、左のプレート(上半部、下半部の左のプレート22Up−L、22Lw−L)の間には補助壁20L−L、20L−Rが設けられている。ベース部材の右側(内側)に位置する補助壁20L−Rは、上半部の左のプレートの内壁22Up−L’に沿って設けられ、その前端にアブソーバ20L−Ra(衝撃吸収材)が取り付けられている(図7参照)。ベース部材の左側(外側)に位置する補助壁20L−Lは、左のプレート22Up−Lの左辺(外側の辺)から内方に離反して位置し、アブソーバ20L−Laが取り付けられている(図7参照)。これらのアブソーバ20L−La、20L−Raは、左の脚部材24Lの左右方向の揺動(開閉)範囲を規定しているのはいうまでもない。
【0035】
図5(B)はペダルの平面図、図8(A)(B)はペダルの踏み込み前後におけるペダル、ワイヤ、付勢部材及び上半部の中央のプレートの部分概略断面図をそれぞれ示している。
図5(B)に加えて図3を見るとわかるように、上半部の中央のプレート22Up−Mの後部から上方へ離反した位置にペダル28が設けられている。ペダル28は、鋼板(平板)から成形され、その平面部28aの前端28bを上方斜め前に略90°折曲した側面視略く字形状に形成されている。
ペダルの平面部28aには、前後に左右一対の挿通孔、すなわち前方の左右一対の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)、後方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)が形成されている。また、図5(B)を見るとよくわかるように、前方の左右一対の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)の左右方向の間隔は、後方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)の左右方向の間隔よりも短く設定されている。
【0036】
ペダル28は、平面部28a、その前端28bの間の折曲部に軸受28cを持ち、軸受の内部には、ペダルの上下方向の揺動中心となる揺動軸28c’が挿通されている。揺動軸28c’の左右端は、左右一対のベースブラケットの軸支孔26c−L、26c−Rに挿通、軸支されるとともに、軸支孔から外方へ突出した端部にたとえばスナップピン(図示しない)が左右それぞれ取り付けられて、軸支孔からの揺動軸28c’の脱落を防止している。
【0037】
図3図8(A)(B)を見ると、ペダル28、上半部の中央のプレート22Up−Mの間には、ペダルの平面部に上方の付勢力を付加する付勢部材29が取り付けられている。具体的に、付勢部材29は、その上端がペダルの平面部28aの底面に固着されるとともに、その下端に台座29aが取り付けられている。台座29aの下端を上半部の中央のプレートの支持孔22Up−Maに嵌合することで、付勢部材29が上半部の中央のプレート上に固定される。
付勢部材29はたとえば圧縮コイルバネとされるが、圧縮コイルバネに限定されず、ペダルに上方の付勢力を付加するものであればよい。
【0038】
図8(A)(B)に示すように、ペダル28の後端は、補助者が後端を足で踏み込んだり足を離反させることにより、揺動軸28c’を中心に上下方向に揺動する。ペダル28を踏み込まないとき、ペダルの前端28bは支柱30の後面に当接して付勢部材29の付勢力に抗し、ペダルの平面部28aを床面と水平に保持している(図8(A)参照)。
なお、後方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)の直下における、ペダルの下方への踏み込みの最大深さはαとされる(図8(B)参照)。
【0039】
図5(C)は脚部材の概略斜視図を示している。
脚部材24は、たとえば断面矩形形状の鋼材から形成されるが、1枚の鋼板を断面矩形形状となるように折曲して形成してもよいし、2枚の鋼板を断面L字形状となるように折曲してから組み合わせて断面矩形形状に形成してもよい。
【0040】
図1図6図7を見るとわかるように、左右一対の脚部材24(24L、24R)は、ベース部材の前面の開口23L−Fr、23R−Frに脱着可能に装着されてベース部材の前方に延出している。つまり、左右一対の脚部材24(24L、24R)は、ベース部材の前面の開口23L−Fr、23R−Frからベース部材の上半部22Up、下半部22Lwの間に挿入され、後面の開口23L−Rr、23R−Rrまでベース部材の内部を貫通している。
【0041】
脚部材24は、その前端にキャスター24’(図1参照)の取付可能な取付部24aが設けられるとともに、その後部に2つの嵌め込み孔24b、24c、軸支孔24d、孔24eがそれぞれ形成されている。
取付部24aは、たとえば鋼板を折曲して形成された側面視L字形状の部材とされ、キャスター24’を取り付けるための孔24a’がその上面に複数形成されている。図5(C)では、孔24a’は4つ形成されている。
嵌め込み孔24b、24cは非貫通孔、軸支孔24d、孔24eは脚部材の上面から下面にかけて貫通する孔(貫通孔)とされる。嵌め込み孔24b、24cには、ラジアル軸受24b’、24c’が脚部材24の上下からそれぞれ嵌合される。
ラジアル軸受24b’、24c’の構成は公知のものであり、本発明の要旨でないため、詳細な説明は省略するが、概略、ハウジング24b’−1、24c’−1に形成された溝に、円盤形状の軸受本体24b’−2、24c’−2を挿入し、シャフト24b’−3、24c’−3をハウジングと軸受本体との中央部に挿通させて一体化させている。ラジアル軸受24b’、24c’は嵌め込み孔24b、24cにそれぞれ嵌合され、ヘッド付のピン24b’’、24c’’でシャフト24b’−3、24c’−3の抜け落ちが防止される。なお、図5(C)では、ラジアル軸受が図示されているが、ラジアル軸受に限定されず、たとえばころがり軸受でもよい。
軸支孔24dは、後述するハンドル32(ハンドルの下部32b)を軸支する孔、孔24eは、後述するブラケットのピン38L’、38R’の挿通する孔とされる。
【0042】
支柱30は、上半部の中央のプレート22Up−Mから上方へ延びる柱状の部材からなる。実施例の支柱は角柱とされているが、円柱でもよく、また、中実、中空のいずれであるかを問わない。また、実施例の支柱30はベース部材20の中央部からわずかに後方へ傾いて上方へ延ばされているが、後方への傾きは必ずしも必要ではない。
支柱30は、その底面が上半部の中央のプレートから22Up−Mに固定されるとともに、その下部が左右のベースブラケット26a−L、26a−R(詳細には、ベースブラケットの平面部26a−L2、26a−R2)に挟持、固定され、ベース部材20に確実に固定される。
【0043】
図1図2を見るとわかるように、支柱30は、その上端にブーム40の支持ブラケット30a、その中央部にバッテリー31a、予備バッテリー31b、固定部材34を備えている。また、支柱30の左右には左右一対のハンドル32(32L、32R)が配置されている。
支持ブラケット30aは支柱30の上端に設けられ、ブーム40を支柱に連結している。
なお、支持ブラケット30aに連結された脚部材のスタンド31cはたとえば二股形状とされ、この二股の間に、吊り部材50としてのハンガー付の担架を立て掛けて保持することができる。
【0044】
バッテリー31a、その補助バッテリー31bは、ブーム40のモータ(図示しない)を駆動する電源装置であり、支柱30の中央部前面及び後面に取り付けられている。支柱30の中央部には、バッテリー31a、その補助バッテリー31b以外に、補助者がブームを操作するための、ブームの昇降を示す上下のスイッチの付いた操作スイッチ(図示しない)、患者の体重を表示するモニタ(図示しない)等を設けることもできる。
【0045】
固定部材34は、基部34a、左右一対の支持部34b、支持ブラケット34cを有している。基部34aは、支柱30の中央部を囲んで支柱にボルト止めされ、その左右側面に支持部34b、前面に支持ブラケット34cが固定されている。左右一対の支持部34bは、その内部を左右のハンドルの下部32bL、32bRがそれぞれ挿通可能な中空の円柱形状に形成されている。支持ブラケット34cの前端には、後述するブームのモータケージング44cが上下に揺動可能に連結されている。
【0046】
左右一対のハンドル32(32L、32R)は、下方に延びる中空または中実の棒材の上端を後方に折曲して形成され、その上部端末が把持部32a(32aL、32aR)、その下部が下方に延びる支軸(ハンドルの下部)32b(32bL、32bR)となっている。実施例では、ハンドル32は段付き形状に折曲、形成されているが、少なくとも把持部32a、ハンドルの下部32bを有し、左右一対の把持部を把持して左右方向に揺動(開閉)するとハンドルの下部を中心軸としてハンドルの下部が連動(回動)する形状であれば足り、この形状に限定されない。
下方へ延びるハンドルの下部32b(32bL、32bR)は、固定部材の左右一対の支持部34bにそれぞれ挿通され、支持部により支柱に対するハンドルの左右の位置が規定されている。
図1のように、左右一対のハンドル32(32L、32R)には、固定部材の支持部34bの下方の位置に、ヘッド付ピン32’が左右それぞれ取り付けられている。詳細には、左右一対のハンドル32には、固定部材の支持部34bの下方に該当する位置に、ハンドルの後方から前方へ貫通した孔(貫通孔)32’’が左右それぞれ形成されている。ヘッド付ピン32’はハンドルの後方から孔32’’に左右それぞれ挿通され、孔から突出したヘッド付ピンの前端にスナップピン(図示しない)が取り付けられて、ヘッド付ピンの孔からの脱落を防止している。また、ヘッド付ピン32’、スナップピン(図示しない)を取り付けたハンドル32を上方へ引き上げると、ピンのヘッド、スナップピンが固定部材の支持部34bの下面に当接し、ハンドルの上方へ引き上げが規制されている。
【0047】
図3に加えて図6図7を見ると、左右のハンドルの下部32bL、32bRの下端には、ワイヤ36(36L、36R)、ブラケット38(38L、38R)がそれぞれ設けられている。
左右一対のワイヤ36(36L、36R)は、ペダル28と左右一対のハンドルの下部32bL、32bRとの間にそれぞれ掛け渡されており、たとえば、その後端36L−Rr、36R−Rrが下方に折曲されてL字型形状に形成されている。ワイヤの前端36L−Fr、36R−Frはハンドルの下部32bL、32bRに固定されている。
左右一対のワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、ペダルの前方の左右一対の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)または後方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)のいずれかに左右それぞれ挿通されている。たとえば、図3では、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは後方の左右一対の挿通孔28Rr−L、28Rr−Rに挿通されている。
ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrにおいて、左右一対の挿通孔28Fr、28Rr(図8(A)では後方の挿通孔28Rrを示している)に挿通しているときの下方の長さ(挿通孔よりも下方の長さ)βは、ペダルの下方への踏み込みの最大深さαよりも短く設定されている(図8(A)(B)参照)。
【0048】
左右一対のブラケット38(38L、38R)は、その前部にハンドルの下部32bL、32bRを軸支する軸支孔38L−Fr、38R−Frが、後部下面から下方へ延びるピン38L’、38R’がそれぞれ形成されている(図6図7参照)。ピン38L’、38R’は、たとえばブラケット38(38L、38R)と一体成形されている。
ブラケットの前部の軸支孔38L−Fr、38R−Frには、ハンドルの下部32bL、32bRが左右それぞれ挿通されている。
左右一対のブラケット38(38L、38R)の後部下方には、ベース部材の後面の開口23L−Rr、23R−Rrから突出した脚部材24(24L、24R)の後端が左右それぞれ位置している。そして、ブラケットのピン38L’、38R’は、脚部材24(24L、24R)の後端の孔24eに左右それぞれ挿通される。
【0049】
すなわち、脚部材24L、24R、ハンドル32L、32Rは、左右一対のブラケット38L、38R(のピン38L’、38R’)を介して、左右それぞれ連動、着脱可能に取り付けられている。
そして、ペダル28は左右一対のハンドルの下部32Lb、32Rbの間に位置するとともに、左右一対のワイヤ36L、36Rはペダルと左右一対のハンドルの下部との間にそれぞれ掛け渡されている。
【0050】
ブーム40は、支柱上端の支持ブラケット30aを介して支柱30に連結されて前方へ延びるアーム部材であり、その先端40a(前端;自由端)に、吊り部材50を支持するためのフック部材42が設けられている。ブーム40は、支持ブラケット30aを中心に上下に揺動して、ブームの先端40aの吊り部材50を昇降させている。
なお、体重測定機能付のフック部材42を用いれば、吊り部材50を吊り上げて被補助者の体重を測定することもできる。
【0051】
図1図2を見るとわかるように、支柱30の中央部、ブーム40の中央部の間に、直動駆動手段44が設けられている。直動駆動手段44はモータ(図示しない)を内蔵するアクチュエータであり、たとえば、直動軸44a、軸カバー44b、モータケージング44cを有している。
直動軸44aは、支持ブラケット40bを介してブームに取り付けられた軸であり、軸カバー44bは、その内部に直動軸を摺動自在に内蔵している。モータケージング44cは、軸カバー44bに連結され、直動軸44aを軸カバーの内部へ引き込みまたは引き出しするためのモータ(図示しない)を内蔵し、支持ブラケット34cを介して支柱30に取り付けられている。
【0052】
ブーム40の先端を上昇させるには、ブームの操作スイッチ(図示しない)を操作すると、モータケージング44c内のモータ(図示しない)が駆動して直動軸44aを軸カバー44bから引き出し、支柱上端の支持ブラケット30aを中心にブームが上方へ揺動し、ブームの先端が上昇する(図1参照)。逆に、ブーム40の先端が下降するように操作スイッチ(図示しない)を操作すると、モータケージング44c内のモータ(図示しない)が駆動して直動軸44aが軸カバー44b内に引き込まれ、支柱上端の支持ブラケット30aを中心にブームが下方へ揺動し、ブームの先端が下降する(図2参照)。
【0053】
吊り部材50は、被補助者を保持する部材であって、フック部材42を介してブームの先端40aに着脱可能とされる。吊り部材50は、たとえば図1のようなハンガーとされるが、これに限定されず、被補助者を固定可能なものであればよい。たとえば、吊り部材50を袋状のネットとすれば、ネット内に被補助者を着座させた状態で被補助者を吊り上げることができる。
【0054】
使用時、すなわち補助者が被補助者を吊り上げる時のリフト装置10について説明する。
まず、キャスター20a(20a−L、20a−R)を利用してリフト装置10を被補助者のベッドサイドに移動させる。リフト装置10を移動させる際、補助者がハンドルの把持部32aを把持してリフト装置を前方へ押してもよい。
ベッドサイド等所定の位置で、リフト装置10のキャスター20aをロックし、支柱30に立て掛けられた左右一対の脚部材24(24L、24R)を保持スペース20Fr−R’から取り外す。
【0055】
図6に示すように、左右一対の脚部材24(24L、24R)を左右に略平行に延びた位置(初期位置)に設定するときは、まず、左右一対の脚部材の後端をベース部材の前面の開口23L−Fr、23R−Frへ左右略平行に挿入する。そして、左右一対のハンドル32からスナップピン(図示しない)を取り外しヘッド付ピン32’を引き抜く。左右一対のハンドル32を一旦上方へ持ち上げ、脚部材24の後端をベース部材20の内部に挿入する。そして、ハンドルの下部32b(32bL、32bR)を、ベース部材の上の軸支孔22Up−La、22Up−Ra、脚部材の軸支孔24d(24d−L、24d−R)、ベース部材の下の軸支孔22Lw−La、22Lw−Raの順に左右それぞれ貫通させる。
【0056】
左右一対の脚部材24はベース部材20の内部を貫通し、その後端は後面の開口23L−Rr、23R−Rrから突出される。脚部材24(24L、24R)の後端の孔24eにブラケットのピン38L’、38R’を挿通し、脚部材をブラケット38に左右それぞれ固定する。そして、左右一対のハンドル32にヘッド付ピン32’、スナップピン(図示しない)を取り付けて、ハンドルを固定する。
このとき、左右一対のワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、ペダルの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)に左右それぞれ挿通されている。
なお、左右一対の脚部材24L、24Rが初期位置にあるとき、右の脚部材24Rの内側の側面(左側面)はアブソーバ20R−La、左の脚部材24Lの内側の側面(右側面)はアブソーバ20L−Raにそれぞれ当接され、左右の内方向の揺動が制限されている(図6)。
【0057】
左右一対の脚部材24L、24Rを初期位置(図6)から左右方向に開かれた位置(開脚位置;図7)に設定するには、まず、補助者がペダル28(詳細には、ペダルの後端)を下方に踏み込む。ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrの下方の長さβは、ペダル28の踏み込みの最大深さαよりも短く形成されているため、ペダルをその踏み込みの最大深さαまで踏み込むと、踏み込みにより下降したペダルの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)からワイヤの後端が離脱する(図8(B))。
【0058】
補助者がペダル28を踏み込みながら、ハンドルの左右の把持部32aを把持してその後端が互いに近付く方向(内方;図6の矢視で示す方向)にハンドル32を揺動(回動)させると、ワイヤの前端36L−Fr、36R−Frはハンドルに固定されているため、ハンドルの揺動(回動)とともにワイヤも揺動する。そして、ワイヤ36L、36Rの揺動により、その後端36L−Rr、36R−Rrが、ペダルの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)から離反してペダル28の上面を摺動する。
ハンドルの把持部32aを内方に揺動(回動)させると、ハンドルの下部32bに固着されたブラケット38(38L、38R)、ピン38L’、38R’を介して、軸支孔24dに軸支されたハンドルの下部32bL、32bRを中心に脚部材24L、24Rの後端がそれぞれ内方に揺動する。そして、脚部材のラジアル軸受24b’、24c’が上半部、下半部の左右のプレート(22Up−L、22Up−R、22Lw−L、22Lw−R)の間をそれぞれ滑動し、左右一対の脚部材の前端が初期位置から左右方向に開かれる。
【0059】
補助者がペダル28(ペダルの後端)から足を離すと、下方の踏み込み位置から踏み込み前の位置(床面と水平な位置)に戻る付勢力が付勢部材29からペダルに与えられ、付勢力によりペダルの後端は揺動軸28c’を中心に上方へ揺動する。ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、付勢力により上方に揺動するペダル28の上面(平面部28a)に押されて、互いに近づく方向(内方)にペダルの上面をさらに摺動する。そして、ペダル28が踏み込み前の位置に戻されると、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrはペダルの前方の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)に挿通され、この位置が脚部材の左右方向に開かれた位置(開脚位置)に相当する。
なお、左右一対の脚部材24L、24Rが開脚位置にあるとき、右の脚部材24Rの外側の側面(右側面)はアブソーバ20R−Ra、左の脚部材24Lの外側の側面(左側面)はアブソーバ20L−Laにそれぞれ当接され、左右の外方向の揺動が制限される。
【0060】
補助者がペダル28から足を離すと、ペダルの前端28bは揺動軸28c’を中心に揺動して支柱30の後面に当接し、付勢部材29の付勢力に抗してペダルを踏み込み前の位置に保持する(図8(A))。ペダル28が床面と水平な位置に保持されるため、ペダル28の上面を摺動したワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、ペダルの前方の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)に確実に挿通される。
【0061】
脚部材24(24L、24R)を開脚位置にした状態で、吊り部材50に被補助者を固定し、フック部材42を介して吊り部材50をブームの自由端に連結する。補助者が操作スイッチを操作すると、モータケージング44c内のモータが駆動され、軸カバー44b内から直動軸44aが引き出されてブーム40の自由端が上昇し、吊り部材50を吊り上げる。
ベース部材のキャスター20aのロックを解除し、被補助者を吊り上げた状態のままベース部材のキャスター、脚部材の前端のキャスター24’を利用してリフト装置10を車椅子の脇等へ移動させる。あるいは、リフト装置10で被補助者の楽な姿勢のままベッドサイドで吊り上げて体重を計測することもできる。
そして、車椅子、ベッドの上等所定の位置に被補助者を降ろす際には、補助者が操作スイッチを操作し、モータケージング44c内のモータを駆動して、軸カバー44b内へ直動軸44aを引き込んでブーム40の自由端を下降させ、所定の位置に吊り部材50ごと被補助者を降ろす。
【0062】
補助者がリフト装置10を使用しない時(不使用時)、リフト装置は居室、病室内の被補助者から離れた位置に移動、収納されるが、このときのリフト装置について説明する。
被補助者を所定の位置に降ろしたあと、脚部材24を開脚位置から初期位置に戻すには、リフト装置10の使用時と同様に、まず被補助者がペダル28をその踏み込みの最大深さαまで踏み込む。すると、踏み込みにより下降したペダルの前方の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)からワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrが離脱する。
【0063】
補助者がペダル28を踏み込みながら、ハンドルの左右の把持部32aを把持して把持部の後端が互いに離反する方向(外方)にハンドル32を揺動(回動)させると、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrが、ペダルの前方の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)から離反してペダルの上面を摺動する。ハンドル32をさらに外方に揺動(回動)すると、ハンドルの下部32bL、32bRに固定されたワイヤ36L、36Rも揺動する。そして、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrが、ペダルの前方の挿通孔28Fr(28Fr−L、28Fr−R)を離れて、ペダルの上面を摺動する。
【0064】
補助者がペダル28(ペダルの後端)から足を離すと、リフト装置の使用時と同様に、ペダルに付加された付勢部材29の付勢力により、ペダルの後端は揺動軸28c’を中心に上方へ揺動する。ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、付勢力により上方に揺動するペダル28の上面(平面部28a)に押されて、互いに離反する方向(外方)にペダルの上面をさらに摺動する。ペダル28が踏み込み前の位置に戻されると、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrがペダルの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)に挿通され、この位置が脚部材の左右に略平行に延びた位置(初期位置)に相当する。
なお、リフト装置の使用時と同様に、補助者がペダル28から足を離すと、ペダルの前端28bが支柱30の後面に当接し、付勢部材29の付勢力に抗してペダルを踏み込み前の位置に保持する(図8(A))。これにより、ペダル28の上面を摺動したワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrが、ペダルの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)に確実に挿通されることはいうまでもない。
【0065】
左右一対の脚部材24(24L、24R)を初期位置に戻し、左右一対のハンドル32からスナップピン(図示しない)を取り外し、ヘッド付ピン32’を引き抜く。そして、左右一対のハンドル32を一旦上方へ持ち上げ、ブラケットのピン38L’、38R’を脚部材24(24L、24R)の後端の孔24eから離脱させ、脚部材、ブラケット38L、38Rの係合を解除する。ベース部材の前面の開口23L−Fr、23R−Frから脚部材24(24L、24R)を引き出し、保持スペース20Fr−R’上で支柱30に沿うように立て掛ける。左右一対のハンドル32にヘッド付ピン32’、スナップピン(図示しない)を取り付けて、ハンドルを固定する。
補助者はキャスター20a(20a−L、20a−R)のロックを解除してリフト装置10をベッドサイド等から移動させ、居室、病室内の被補助者から離れた位置に移動、収納する。
【0066】
ペダル28に形成された後方、前方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)、28Fr(28Fr−L、28Fr−R)が、脚部材の略平行に延びた位置(初期位置)、略平行から左右方向に開かれた位置(開脚位置)にそれぞれ相当する。
そして、左右一対のワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrの後方の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)よりも下方の長さβは、ペダル28の下方への踏み込みの最大深さαよりも短く設定されている。そのため、ペダル28を踏み込むとペダルが左右一対のワイヤの後端から離反し、左右一対のワイヤの後端は容易に後方または前方の挿通孔から離脱する。そして、ハンドル32L、32Rを内方または外方に揺動(回動)させると、ブラケット38(38L、38R)、ピン38L’、38R’を介して、ハンドルの下部32bL、32bRを中心に脚部材の後端がそれぞれ内方または外方に揺動され、左右一対の脚部材の前端が左右方向に開閉される。
つまり、本発明のリフト装置によれば、ペダル28の踏み込みとハンドル32の回動という簡単な操作で左右一対の脚部材24を容易に左右方向に開脚し、開脚位置が得られる。
【0067】
脚部材24を開脚位置にすれば、脚部材がリフト装置全体の重量を支持し、その使用時にリフト装置の倒れを確実に防止することできる。
また、脚部材24を初期位置にしてからベース部材20から引き出せば、リフト装置10の不使用時にその省スペース化を図ることができ、居室、病室内に収納可能となる。
【0068】
支柱30は、その底面がベース部材の上半部20Up(詳細には、上半部の中央のプレート22Up−M)に固定されるとともに、その左右側面がベース部材上の左右一対のベースブラケット26a−L、26a−Rに固定、支持されている。そのため、支柱30はベース部材の上半部22Up上に確実に固定され、この点からも支柱、つまりリフト装置の倒れが防止される。
【0069】
付勢部材29は、ペダル28に上方への付勢力を付加している。ペダル28を踏み込み、ハンドル32を内方または外方に揺動(回動)させてから足をペダルから離反させると、後方または前方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)、28Fr(28Fr−L、28Fr−R)から離脱したワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrは、付勢部材29の付勢力によりペダルの上面に押される。そして、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrはペダル28の上面に押されながらその上面を摺動し、他方の挿通孔まで移動する。
つまり、付勢部材29を設ければその付勢力により、ハンドル32のごくわずかな揺動(回動)操作でワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrを摺動させ、他方の左右一対の挿通孔まで移動させて脚部材24の前端を左右に開閉することができる。
【0070】
ペダル28を離すと、上方斜め前に折曲されたペダルの前端28bが支柱30の後面に当接し、付勢部材29の付勢力に抗してその水平位置が保持され、揺動軸28c’を中心とするペダル28の揺動が規制される。
つまり、ペダルの前端28bを上方斜め前に折曲し支柱30の後面に当接させるという簡単な構成で、ペダル28の揺動を規制してペダルを水平位置に保持することができる。そして、ワイヤの後端36L−Rr、36R−Rrをペダルの後方または前方の左右一対の挿通孔28Rr(28Rr−L、28Rr−R)、28Fr(28Fr−L、28Fr−R)に確実に挿通させる。
【0071】
リフト装置のベース部材20は、少なくとも上下2枚のプレート(上半部22Up、下半部22Lw)を上下に重複させ、その上下の間に隙間(具体的に、前面の開口23L−Fr、23R−Fr等)を残して形成されている。つまり、ベース部材20は上下の間に隙間のある中空形状とされ、リフト装置10全体の軽量化を図ることができる。
【0072】
また、左右一対の脚部材24L、24Rの上下面にラジアル軸受24b’、24c’が取り付けられている。ハンドル32の操作により左右一対の脚部材24L、24Rの前端が開閉されると、ラジアル軸受の軸受本体24b’−2、24c’−2が上下のプレート、つまり上半部、下半部の左右のプレート(22Up−L、22Up−R、22Lw−L、22Lw−R)とそれぞれ接触し、上下のプレートの間をそれぞれ滑動する。これにより、ラジアル軸受を取り付けない場合と比較して、脚部材24L、24Rが円滑に開閉されるとともに、脚部材、プレート間の摩耗を防止できる。
【0073】
上述した実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何等限定するものでなく、本発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全て本発明に包含されることはいうまでもない。
【0074】
実施例のベース部材は、その上半部が左右一対のプレート、中央のプレート、下半部が左右一対のプレートを備えて構成されているが、これに限定されず、ベース部材は上下に重複して配置された少なくとも2枚のプレートを有し、ベース部材の前面に開口(前面の開口)を残すものであれば足りる。たとえば、上半部、下半部のプレートを左右、中央で分離せず、各1枚のプレートから成形してもよい。
【0075】
実施例において、ペダルの左右一対の挿通孔の組み合わせは前後2組(つまり、挿通孔はペダルに前後左右に計4つ)形成されているが、これに限定されず、組み合わせが3組以上あってもよい。左右一対の挿通孔の組み合わせが3組以上あれば、脚部材の開閉位置を段階的に設定することができる。
また、実施例における孔はいずれも貫通孔となっているが、部材が挿通しなければ非貫通孔としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
実施例では、在宅介護用の居室や、病院や介護施設の病室で使用するリフト装置としたが、これに限定されず、たとえば障害者用トイレや障害者用駐車場などに設置、応用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 リフト装置
20 ベース部材
22Up、22Lw ベース部材の上半部、下半部
22Up−L、22Up−R 上半部の左右一対のプレート
22Up−La、22Up−Ra 上半部のプレートの軸支孔
22Lw−L、22Lw−R 下半部の左右一対のプレート
22Lw−La、22Lw−Ra 下半部のプレートの軸支孔
23L−Fr、23R−Fr 前面の開口
23L−Rr、23R−Rr 後面の開口
24 脚部材
24b’、24c’ ラジアル軸受
24d 脚部材の軸支孔
28 ペダル
28Fr、28Rr ペダルの左右一対の挿通孔
29 付勢部材
30 支柱
32 ハンドル
32b ハンドルの下部
36(36L、36R) ワイヤ
36L−Fr、36R−Fr ワイヤの前端
36L−Rr、36R−Rr ワイヤの後端
38(38L、38R) ブラケット
38L−Fr、38R−Fr ブラケットの軸支孔
40 ブーム
50 吊り部材
α ペダルの下方への踏み込みの最大深さ
β 挿通孔よりも下方の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8