特許第6435238号(P6435238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435238
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】コントロールケーブル装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/18 20060101AFI20181126BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   F16C1/18
   B60H1/00 103E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-130855(P2015-130855)
(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公開番号】特開2017-15143(P2017-15143A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507418692
【氏名又は名称】トヨフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近野 一郎
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−193691(JP,A)
【文献】 実公昭27−6862(JP,Y1)
【文献】 実公昭42−21411(JP,Y1)
【文献】 特開2014−160462(JP,A)
【文献】 特開2010−158953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 1/18
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に第1の溝を有する第1のプーリと、
前記第1のプーリから離間して設けられ、外周に第2の溝を有する第2のプーリと、
前記第1のプーリの第1の溝及び前記第2のプーリの第2の溝に掛け回されて、前記第1のプーリの回転を前記第2のプーリに伝達するケーブルと、
前記第1のプーリの第1の溝と係合して第1のプーリの軸受けとなる第1の軸受部を有する第1の筐体と、
前記第2のプーリの第2の溝と係合して第2のプーリの軸受けとなる第2の軸受部を有する第2の筐体と、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体を固定するシャフトと、
を備えていて、
前記第1の軸受部が、前記第1の溝の両外側において前記第1のプーリの外周面と面接触する受け面と、この受け面から突出して前記第1のプーリの前記第1の溝内に嵌入する凸部とを有し、
前記第2の軸受部が、前記第2の溝の両外側において前記第2のプーリの外周面と面接触する受け面と、この受け面から突出して前記第2のプーリの前記第2の溝内に嵌入する凸部とを有する、
ことを特徴とするコントロールケーブル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコントロールケーブル装置において、
前記第1の軸受部は、対応する前記第1のプーリの第1の溝に一部だけ係合している
コントロールケーブル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコントロールケーブル装置において、
前記第2の軸受部は、対応する前記第2のプーリの第2の溝に一部だけ係合している
コントロールケーブル装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコントロールケーブル装置において、
前記第1の軸受部は、対応する前記第1のプーリのプーリ回転面と直交する方向の断面視において、前記プーリ回転面の一方の面を含む仮想平面と、前記プーリ回転面の他方の面を含む仮想平面と、から突出していない
コントロールケーブル装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコントロールケーブル装置において、
前記第2の軸受部は、対応する前記第2のプーリのプーリ回転面と直交する方向の断面視において、前記プーリ回転面の一方の面を含む仮想平面と、前記プーリ回転面の他方の面を含む仮想平面と、から突出していない
コントロールケーブル装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコントロールケーブル装置において、
前記第1の筐体と、前記第2の筐体と、前記シャフトとは一体に形成されている
コントロールケーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方のプーリの回転を他方のプーリへ伝達するコントロールケーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに離間した一対のプーリと、前記一対のプーリに架け渡されたケーブルとを有し、一方のプーリの回転を他方のプーリへ伝達するコントロールケーブル装置が知られている。また、前記コントロールケーブル装置は、プーリを回転自在に保持する筐体等の部材を有していることも既に知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、操作用プーリーと、操作用プーリーを支持する支持部材とを備えた装置が開示されている。前記操作用プーリーのプーリー本体の中心には、回転軸が設けられ、前記回転軸が、前記支持部材に形成された軸穴に通されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、ガイドレールの一端部を嵌着せしめるためのノッチ部と、インナーケーブルの駆動とともに回動するプーリと外接するように形成された溝部と、プーリを軸方向に保持させるための壁部と、アウタケーシングを固着させるためのハウジング部とからなるウインドレギュレータ用ジョイント部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−158953号公報
【特許文献2】特開平8−4412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1の構成にあっては、操作用プーリーの中心に軸部材が設けられ、さらに、支持部材には前記軸部材が通される軸穴が設けられなければならないため、構造が大型化しやすいという問題がある。また、かかる構造であると、操作用プーリーの厚みよりも支持部材の厚みの方が大きい寸法となるため、仮に操作用プーリー自体の厚みを小さくすることができたとしても、全体として装置を薄型化するには限界があった。
【0007】
また、上記した特許文献2の構成にあっても、プーリを保持するために、プーリに対向する壁部を設ける必要があり、ジョイント部材を配置するためには前記プーリの厚みと前記壁部の厚みとを合わせた寸法を要することになり、全体として装置を薄型化するには限界があった。
【0008】
そこで本発明は、全体として装置を薄型化することができるコントロールケーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外周に第1の溝を有する第1のプーリと、前記第1のプーリから離間して設けられ、外周に第2の溝を有する第2のプーリと、前記第1のプーリの第1の溝及び前記第2のプーリの第2の溝に掛け回されて、前記第1のプーリの回転を前記第2のプーリに伝達するケーブルと、前記第1のプーリの第1の溝と係合して第1のプーリの軸受けとなる第1の軸受部を有する第1の筐体と、前記第2のプーリの第2の溝と係合して第2のプーリの軸受けとなる第2の軸受部を有する第2の筐体と、前記第1の筐体及び前記第2の筐体を固定するシャフトと、を備えていて、前記第1の軸受部が、前記第1の溝の両外側において前記第1のプーリの外周面と面接触する受け面と、この受け面から突出して前記第1のプーリの前記第1の溝内に嵌入する凸部とを有し、前記第2の軸受部が、前記第2の溝の両外側において前記第2のプーリの外周面と面接触する受け面と、この受け面から突出して前記第2のプーリの前記第2の溝内に嵌入する凸部とを有する、ことを特徴とするコントロールケーブル装置である。

【0010】
かかる構成にあっては、前記第1のプーリは、第1の溝と係合する第1の軸受部によって軸受けされ、かつ、前記第2のプーリは、第2の溝と係合する第2の軸受部によって軸受けされる。そして、前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、シャフトによって互いに固定され、これにより第1のプーリと第2のプーリとの軸間距離が一定に保たれる。したがって、本発明にかかるプーリは、いわゆるプーリシャフトを廃止することが出来る構造となり、これに伴いプーリシャフトを回転自在に支持する部材等も不要となるため、全体として薄型化されたコントロールケーブル装置を提供することができる。
【0011】
また、前記第1の軸受部は、対応する前記第1のプーリの第1の溝に一部だけ係合していることが望ましい。
【0012】
かかる構成にあっては、前記第1の軸受部が前記第1のプーリにおける外周方向において前記第1の溝に一部だけ係合する構造となるため、第1の筐体をさらに小型化することが可能となる。
【0013】
また、前記第2の軸受部は、対応する前記第2のプーリの第2の溝に一部だけ係合していることが望ましい。
【0014】
かかる構成にあっては、前記第2の軸受部が前記第2のプーリにおける外周方向において前記第2の溝に一部だけ係合する構造となるため、第2の筐体をさらに小型化することが可能となる。
【0015】
さらに、前記コントロールケーブル装置において、前記第1の軸受部は、対応する前記第1のプーリのプーリ回転面と直交する方向の断面視において、前記プーリ回転面の一方の面を含む仮想平面と、前記プーリ回転面の他方の面を含む仮想平面と、から突出していないことが望ましい。
【0016】
かかる構成にあっては、第1の筐体の厚みが、第1のプーリの厚みと同じか又は小さい厚みの寸法となるため、全体としてコントロールケーブル装置をより一層薄型化することができる。
【0017】
また、前記コントロールケーブル装置において、前記第2の軸受部は、対応する前記第2のプーリのプーリ回転面と直交する方向の断面視において、前記プーリ回転面の一方の面を含む仮想平面と、前記プーリ回転面の他方の面を含む仮想平面と、から突出していないことが望ましい。
【0018】
かかる構成にあっては、第2の筐体の厚みが、第2のプーリの厚みと同じか又は小さい厚みの寸法となるため、全体としてコントロールケーブル装置をより一層薄型化することができる。
【0019】
また、前記コントロールケーブル装置において、前記第1の筐体と、前記第2の筐体と、前記シャフトとは一体に形成されていることが望ましい。
【0020】
かかる構成にあっては、装置の部品点数を削減することができるため、コントロールケーブル装置の組み付けを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコントロールケーブル装置にあっては、全体として装置を薄型化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1にかかるコントロールケーブル装置を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
図2】実施例1にかかる第1のプーリを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(b)のB−B線断面図、(d)は(a)のA−A線断面図である。
図3】実施例1にかかる第2のプーリを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(b)のD−D線断面図、(d)は(a)のC−C線断面図である。
図4】実施例1にかかる第1の筐体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のE−E線断面図、(d)は底面図である。
図5】実施例1にかかる第2の筐体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のF−F線断面図、(d)は底面図である。
図6】実施例1にかかるシャフトを示し、(a)は正面図、(b)は底面図である。
図7】実施例1にかかるコントロールケーブル装置における第1のプーリの近傍を示し、(a)は平面図、(b)は一部切欠部分拡大正面図である。
図8】実施例1にかかるコントロールケーブル装置における第2のプーリの近傍を示し、(a)は一部切欠部分拡大正面図、(b)は底面図である。
図9】第1の軸受部と第1の溝とが係合した状態を示す部分拡大断面図である。
図10】(a)は車両用風量調節パネルを示す概要説明図であり、(b)は車両用風量調節パネルの裏側を示す概要説明図である。
図11】実施例2にかかるコントロールケーブル装置の正面図である。
図12】(a)は実施例3にかかるコントロールケーブル装置の平面図であり、(b)は実施例4にかかるコントロールケーブル装置の平面図である。
図13】実施例5にかかるコントロールケーブル装置の部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明のコントロールケーブル装置を具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0024】
〔実施例1〕
図1aに示すように、コントロールケーブル装置1は、第1のプーリ10と、前記第1のプーリ10から離間して設けられた第2のプーリ20とを備えている。また、コントロールケーブル装置1は、前記第1のプーリ10の回転を前記第2のプーリ20へ伝達するためのケーブル31を備えている。
【0025】
具体的には、図1bに示すように、前記第1のプーリ10の外周面11には、第1の溝12が形成されており、前記第1の溝12に前記ケーブル31が掛け回されている。一方、前記第2のプーリ20の外周面21には、第2の溝22が形成されており、前記第2の溝22に前記ケーブル31が掛け回されている。
【0026】
なお、図2c等に示すように、前記ケーブル31は、一対のロープによって構成されており、前記第1のプーリ10と前記第2のプーリ20との間に緩みなく掛け回されている。
【0027】
さらに前記コントロールケーブル装置1は、図1a,図1bに示すように、前記第1のプーリ10を回転可能に支持する第1の筐体40と、前記第2のプーリ20を回転可能に支持する第2の筐体50とを備えている。さらに、前記第1の筐体40及び前記第2の筐体50には、第1の筐体40と第2の筐体50とを固定するシャフト60が接続されている。
【0028】
前記第1のプーリ10についてさらに詳述すると、図2に示すように、第1のプーリ10における一方のプーリ回転面13の中央には、円柱形状の入力側ノブ15が設けられている。これに対し、他方のプーリ回転面14には、第1のプーリ10内部に向かって開口した内孔部16が形成されている。さらに、前記内孔部16と前記第1の溝12との間には、ケーブル31が挿通される挿通孔17が形成されている。そして、前記ケーブル31の一端が、前記第1のプーリ10の内孔部16に引き込まれて固定部材35によって固定されている。なお、前記第1のプーリ10は、いわゆるプーリシャフトは具備していない。
【0029】
一方、図3に示すように、第2のプーリ20における一方のプーリ回転面23の中央には、円柱形状の出力側ノブ25が設けられている。これに対し、他方のプーリ回転面24には、第2のプーリ20内部に向かって開口した内孔部26が形成されている。さらに、前記内孔部26と前記第2の溝22との間には、ケーブル31が挿通される挿通孔27が形成されている。そして、前記ケーブル31の他端が、前記第2のプーリ20の内孔部26に引き込まれて固定部材36によって固定されている。なお、第2のプーリ20は、前記第1のプーリ10と同一の寸法形状のものが採用されており、いわゆるプーリシャフトは具備していない。
【0030】
以下、図4に従って前記第1の筐体40を詳述する。
前記第1の筐体40は、根元部分を構成する横断面が略C字形状の本体部41を有している。また、前記本体部41には、凹状のシャフト受け部42が形成されており、前記シャフト受け部42内に、図1に示すような前記シャフト60の一端部に形成された嵌着部65が嵌着可能となっている。
【0031】
また、前記本体部41は、前記第1のプーリ10の軸受けとなる第1の軸受部45が形成されている。具体的には、前記第1の軸受部45は、中央に配置される中央軸受部451と、前記中央軸受部451の両側に各々配置された側軸受部452,452とで構成されている。
【0032】
前記中央軸受部451には、前記第1のプーリ10の外周面11と面接触する湾曲面形状の受け面461が形成されており、前記受け面461から、前記第1のプーリ10の第1の溝12内に嵌入する凸部471が突出している。なお、前記受け面461は、前記第1のプーリ10における外周縁の曲率に対応する曲率で湾曲している。
【0033】
前記側軸受部452にも同様に、前記第1のプーリ10の外周面11と接触する曲面形状の受け面462が形成されており、前記受け面462から、前記第1のプーリ10の第1の溝12内に嵌入する凸部472が突出している。なお、前記受け面462は、前記第1のプーリ10における外周縁の曲率に対応する曲率で湾曲している。
【0034】
次に、図5に従って前記第2の筐体50を詳述する。
前記第2の筐体50は、根元部分を構成する横断面が略C字形状の本体部51を有している。また、前記本体部51の先端部には、凹状のシャフト受け部52が形成されており、前記シャフト受け部52内に、図1に示すような前記シャフト60の他端部に形成された嵌着部66が嵌着可能となっている。
【0035】
また、前記本体部51は、前記第2のプーリ20の軸受けとなる第2の軸受部55が形成されている。具体的には、前記第2の軸受部55は、中央に配置される中央軸受部551と、前記中央軸受部551の両側に各々配置された側軸受部552,552とで構成されている。
【0036】
前記中央軸受部551には、前記第2のプーリ20の外周面21と接触する曲面形状の受け面561が形成されており、前記受け面561から、前記第2のプーリ20の第2の溝22内に嵌入する凸部571が突出している。なお、前記受け面561は、前記第2のプーリ20における外周縁の曲率に対応する曲率で湾曲している。
【0037】
前記側軸受部552にも同様に、前記第2のプーリ20の外周面21と接触する曲面形状の受け面562が形成されており、前記受け面562から、前記第2のプーリ20の第2の溝22内に嵌入する凸部572が突出している。なお、前記受け面562は、前記第2のプーリ20における外周縁の曲率に対応する曲率で湾曲している。
【0038】
次に、図6に従って前記シャフト60を詳述する。
前記シャフト60は、横断面が略矩形状の長尺部材からなり、前記ケーブル31が挿通されるケーブル挿通孔61,61が長手方向に沿って形成されている。
【0039】
そして、図7,8に示すように、前記シャフト60が、前記第1の筐体40と第2の筐体50とに接続されることにより、前記第1の筐体40及び前記第2の筐体50とが固定される。
【0040】
また、前記第1のプーリ10の第1の溝12に、前記中央軸受部451と前記側軸受部452が各々係合し、前記第1のプーリ10が第1の筐体40に回転自在に保持されている。また、前記第2のプーリ20の第2の溝22に、前記中央軸受部551と前記側軸受部552が各々係合し、前記第2のプーリ20が第2の筐体50に回転自在に保持されている。ここで、第1のプーリ10の外周面11の略半分は、前記第1の筐体40によって覆われており、残り半分は外部に露出している。また、第2のプーリ20の外周面21の略半分は、前記第2の筐体50によって覆われており、残り半分は外部に露出している。
【0041】
なお、前記ケーブル31は、前記シャフト60のケーブル挿通孔61に挿通された状態で、前記第1のプーリ10と前記第2のプーリ20とに架け渡されている。したがって、前記第1のプーリ10の入力側ノブ15を操作することで前記第1のプーリ10が回転すると、これに伴い、前記第2のプーリ20が回転する。
【0042】
前記第1のプーリ10が回転するとき、図9に示すように、前記第1のプーリ10の外周面11が前記第1の筐体40の受け面461,462に面接触しながら前記第1のプーリ10が第1の軸受部45上を滑動する。また、前記第1のプーリ10の第1の溝12の一部には、第1の筐体40の凸部471,472が嵌入する。すなわち、第1のプーリ10の第1の溝12と第1の軸受部45とが係合しているため、第1のプーリ10はがたつくことなく、回転自在に保持される。
【0043】
同様に、第2のプーリ20が回転するときは、前記第2のプーリ20の外周面21が前記第2の筐体50の受け面561,562に面接触しながら前記第2のプーリ20が第2の軸受部55上を滑動する。また、前記第2のプーリ20の第2の溝22の一部には、第2の筐体50の凸部571,572が嵌入する。すなわち、第2のプーリ20の第2の溝22と第2の軸受部55とが係合しているため、第2のプーリ20はがたつくことなく、回転自在に保持される。
【0044】
また、図7aに示すように、前記第1の筐体40は、プーリ回転面13,14と直交する方向の断面視において前記第1のプーリ10の一方のプーリ回転面13を含む仮想平面Xと、他方のプーリ回転面14を含む仮想平面Yから突出していない。したがって、前記コントロールケーブル装置1の第1のプーリ10周辺において装置を薄型化することができる。
【0045】
また、図8bに示すように、前記第2の筐体50は、プーリ回転面23,24と直交する方向の断面視において前記第2のプーリ20の一方のプーリ回転面23を含む仮想平面Vと、他方のプーリ回転面24を含む仮想平面Wから突出していない。したがって、前記コントロールケーブル装置1の第2のプーリ20周辺において装置を薄型化することができる。
【0046】
ここで、車両用空調風量調節機構110にコントロールケーブル装置2を適用した構成を図10に従って説明する。なお、前記コントロールケーブル装置2は、入力側ノブ15と出力側ノブ25とが互いに異なる方向に突き出されている以外は前記コントロールケーブル装置1と同様の構成である。
【0047】
前記車両用空調風量調節機構110は、風量調節パネル111が取り付けられた車両のインストゥルメントパネル100を具備し、風量調節パネル111から室内側へ風量調節ダイヤル112が突き出されている。そして、風量調節ダイヤル112はコントロールケーブル装置2の入力側ノブ15に接続されており、風量調節ダイヤル112の回転操作が入力側ノブ15を介して第1のプーリ10に伝達される。そして、第1のプーリ10の回転によって前記第2のプーリ20が回転し、前記第2のプーリ20の回転が出力側ノブ25を介して風量調節手段120に伝達されると、風量調節手段120によって風量の調節が実行される。
【0048】
上記構成において、第1のプーリ10及び第2のプーリ20は、いわゆるプーリシャフトを具備しておらず、しかも、前記コントロールケーブル装置2の厚み寸法は、前記第1のプーリ10及び前記第2のプーリ20の厚み寸法であるため、全体としてコントロールケーブル装置2を薄型化することができる。また、前記第1のプーリ10に対して前記第1の軸受部45が部分的に対向しているため、第1の筐体40が小型化されている。同様に、第2の筐体50も、前記第2のプーリ20に対して前記第2の軸受部55が部分的に対向しているため、小型化されている。したがって、前記インストゥルメントパネル100の裏側スペースSの省スペース化を図ることができる。
【0049】
なお、第1のプーリ10の第1の溝12の一部に対して前記第1の軸受部45が係合する構成と、第2のプーリ20の第1の溝22の一部に対して前記第2の軸受部55が係合する構成とは、いずれか一方のみが採用されていてもよい。
【0050】
〔実施例2〕
実施例2のコントロールケーブル装置3を図11に従って説明する。なお、上記実施例1と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を簡略又は省略する。
【0051】
図11に示すように、コントロールケーブル装置3は、第1の筐体70と、第2の筐体71と、シャフト72とが一体的に形成されている。かかる構成とすることによって、部品点数を削減して製造工程の省略化、あるいは製造コストの低減化を図ることができる。
【0052】
〔実施例3〕
実施例3のコントロールケーブル装置4を図12aに従って説明する。なお、上記実施例1,2と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を簡略又は省略する。
【0053】
図12aに示すように、第1の筐体73における前記第1の軸受部74の厚みは、対応する前記第1のプーリ10のプーリ回転面13,14と直交する方向の断面視において、前記プーリ10の厚みより小さい寸法に設定されている。かかる構成とすることにより、全体としてコントロールケーブル装置4をより一層薄型化することができる。
【0054】
〔実施例4〕
実施例4のコントロールケーブル装置5を図12bに従って説明する。なお、上記実施例1〜3と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を簡略又は省略する。
【0055】
図12bに示すコントロールケーブル装置5のように、例えば第1のプーリ10にあって、プーリ回転面13,14と直交する方向の断面視において前記第1のプーリ10の一方のプーリ回転面13を含む仮想平面Xと、他方のプーリ回転面14を含む仮想平面Yとから第1の筐体75の第1の軸受部76が突出していても構わないが、コントロールケーブル装置1,2,3,4を薄型化するという点では、特に実施例1,3に示す構成が望ましい。
【0056】
なお、第1の軸受部45,74,76が仮想平面Xと仮想平面Yとから突出しない構成と、第2の軸受部55が仮想平面Vと仮想平面Wとから突出しない構成とは、いずれか一方のみが採用されていてもよい。
【0057】
〔実施例5〕
実施例5のコントロールケーブル装置6を図13に従って説明する。なお、上記実施例1〜4と同様の構成を有するものは同じ符号を付し、説明を簡略又は省略する。
【0058】
図13に示すコントロールケーブル装置6のように、例えば第1のプーリ10の全周が、第1の筐体77によって被覆されている構成であってもよい。ただし、コントロールケーブル装置1,2,3,4,5を小型化するという点では、実施例1〜4に示す構成が望ましい。
【0059】
これまでに述べた構成にあって、第1のプーリ10及び第2のプーリ20のうち少なくともいずれか一方の滑動を円滑にするために、第1のプーリ10の外周面11、第2のプーリ20の外周面、第1の軸受部45又は第2の軸受部55の表面に、表面処理やエンボス加工等の表面加工が適宜施されていても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1,2,3,4,5,6 コントロールケーブル装置
10 第1のプーリ
11 外周面
12 第1の溝
13,14 プーリ回転面
20 第2のプーリ
21 外周面
22 第2の溝
23,24 プーリ回転面
31 ケーブル
40,70,73,75,77 第1の筐体
45,74,76 第1の軸受部
50,71 第2の筐体
55 第2の軸受部
60,72 シャフト
X,Y,V,W 仮想平面
図1
図2
図3
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図11
図12
図13