(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空調部と、本体部と、当該本体部から水平方向に突出した突出部を有し、前記本体部の内部には一定の容積を有する主試験室があり、前記空調部は前記主試験室に空気の出入り口があって前記主試験室に所望の環境を形成することが可能であり、
前記突出部内に前記主試験室と連通する副試験室があり、
前記本体部は、前記主試験室を開閉可能であり、被試験物を前記主試験室に出し入れ可能な扉を有し、
前記突出部は前記副試験室を開閉可能な扉を有し、
前記副試験室は前記主試験室の扉に取付けられた断熱箱により構成されており、
被試験物を前記副試験室に配置して試験を行うこと、及び、被試験物を前記主試験室に配置して試験を行うことが可能であることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を前記断熱領域内に配置することができ、
主試験室と、当該主試験室と連通する副試験室を有し、
前記貫通孔は前記副試験室に設けられ、前記被試験物の少なくとも一部を前記副試験室に配置して試験を行うことが可能であって、
前記主試験室に空気の出入り口がある空調部と、前記主試験室と前記副試験室の間を一時的に遮蔽する遮蔽部材と、前記環境試験装置の壁に設けられたスリットを有し、
前記遮蔽部材は前記スリットから差し入れされるものであることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を前記断熱領域内に配置することができ、
主試験室と、当該主試験室と連通する副試験室を有し、当該副試験室を開閉可能な扉を有し、
前記副試験室には前記貫通孔があり、
前記主試験室に空気の出入り口がある空調部と、前記主試験室と前記副試験室の間を一時的に遮蔽する遮蔽部材を有し、
前記遮蔽部材は前記扉と連動して開閉されるものであることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を前記断熱領域内に配置することができ、
主試験室と、当該主試験室を開閉可能な扉と、当該扉に取付けられた副試験室を有し、
前記副試験室は、前記主試験室と連通し、
前記貫通孔は前記副試験室に設けられ、前記被試験物の少なくとも一部を前記副試験室に配置して試験を行うことが可能であることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を前記断熱領域内に配置することができ、
主試験室と、当該主試験室と連通する副試験室があり、
前記貫通孔が当該副試験室に設けられ、前記被試験物の少なくとも一部を前記副試験室に配置して外力を付与する試験を行い、
被試験物を前記主試験室に配置して環境試験を行うことも可能であることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を前記断熱領域内に配置することができ、
前記環境試験装置は、主試験室と、当該主試験室を開閉可能な扉と、当該扉に取付けられた副試験室を有し、
前記副試験室は、前記主試験室と連通するものであって、
前記貫通孔は前記副試験室に設けられ、前記被試験物の少なくとも一部を前記副試験室に配置して試験を行うことが可能であって、
前記副試験室はクッション材を介して前記扉に取付けられており、当該クッション材の圧縮量に変化を付けることにより、前記副試験室を前記扉に対して相対的に移動または姿勢変更することが可能であることを特徴とする環境試験装置。
被試験物に外力を与える外力付与装置と組み合わされて使用される環境試験装置であって、断熱壁で囲まれた断熱領域を有していて所定の環境を形成することができるものであり、
前記断熱領域内と前記環境試験装置外とを連通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記外力付与装置と組み合わせ、前記外力付与装置と連携させて他の部材の少なくとも一部を断熱領域内に配置することができ、
主試験室と、当該主試験室を開閉可能な扉と、当該扉にネジで取付けられた副試験室を有し、
前記副試験室は、前記主試験室と連通するものであって、
前記貫通孔は前記副試験室に設けられ、前記被試験物の少なくとも一部を前記副試験室に配置して試験を行うことが可能であり、
前記副試験室は前記ネジと当該ネジを挿通する挿通孔との間にできる隙間の位置を変えることにより、前記副試験室を前記扉に対して相対的に移動または姿勢変更することが可能であることを特徴とする環境試験装置。
前記副試験室は、前記主試験室に比べて容積が小さいものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、14、15、16、17、18、19のいずれかに記載の環境試験装置。
内部に主試験室を有し、前記主試験室に所望の環境を形成することが可能であって被試験物を配置して環境試験を行うことができる環境試験装置の扉に取り付けられ、その内部に前記主試験室と連通する副試験室を形成する副試験室ユニットであり、
一面が開口し、前記一面と対向する他の一面に他の扉が設けられ、他の面が断熱壁でおおわれた箱体であることを特徴とする副試験室ユニット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の試験装置10は、複合試験装置であり、より詳細には複合型の引っ張り試験装置である。
試験装置10は、環境試験装置1と、外力付与装置200によって構成されている。また試験装置10は、補助器材として外力付与装置載置台300と、恒温槽用架台301及び光学式伸び検知装置220を有している。
【0050】
環境試験装置1は、小型の環境試験装置の前扉に断熱箱(副試験室ユニット)13を取り付けたものであると言える。
即ち環境試験装置1は、本体部11と、本体部11の前扉(以下 大扉12)に取り付けられた断熱箱13によって構成され、断熱箱13の内部が
図9、
図10の様に副試験室15として機能する。なお断熱箱13はユニット化されており、既設、あるいは市販の環境試験装置1に取り付けることができる。
即ち環境試験装置1の本体部11内には断熱壁28で覆われた主試験室16があり、断熱箱13内には断熱壁32で覆われた副試験室15がある。両者は連通しており、一体として断熱領域7を形成している。
断熱箱13は本体部11に比べて大きさが小さく、断熱箱13は本体部11から水平方向に突出した突出部となっている。
【0051】
環境試験装置1の本体部11は、小型の環境試験装置であり、内部に主試験室16を有し、当該主試験室16内に所望の環境を作ることができる。
環境試験装置1の本体部11の基本構成は、公知の環境試験装置と大差ない。
環境試験装置1の本体部11は、
図9、
図10に示すように断熱壁28によって覆われた断熱槽17を有している。そして当該断熱槽17の一部に試験室(主試験室)16が形成されている。環境試験装置1の本体部11は単独で環境試験装置として使用することもでき、その際には主試験室16は、被試験物(図示せず)を設置する空間となる。
【0052】
本体部11は、公知の環境試験装置と同様に、さらに空調部48を有している。本実施形態では、空調部48は空調機器18と送風機20を備えている。空調機器18は、加湿装置21、冷却装置22及び加熱ヒータ(加熱装置)23によって構成されている。
本体部11には、主試験室16と環状に連通する空調通風路25があり、当該空調通風路25に前記した空調機器18と送風機20が内蔵されている。
【0053】
空調通風路25は、断熱槽17の一部に形成され、空気吹き出し部26と空気導入部27で主試験室16と連通している。なお本実施形態では、空気吹き出し部26は一か所であるが、空気導入部27は2箇所に設けられている。空気吹き出し部26は断熱槽17の高さ方向中央部にあり、空気導入部27は空気吹き出し部26を挟んで上下にある。
即ち本実施形態では、空調部48は空気吹き出し部26と空気導入部27で主試験室16側と連通しており、空調部48は主試験室16側に空気の出入り口がある。
【0054】
そのため送風機20を起動すると、主試験室16内の空気が上下の空気導入部27から空調通風路25内に導入される。そして空調通風路25が通風状態となり、空調機器18に空気が接触して熱交換や湿度調整がなされ、中央の空気吹き出し部26から主試験室16内に調整後の空気が吹き出される。
また空調通風路25の空気吹き出し部26の近傍に、図示しない温度センサーと湿度センサーが設けられている。
環境試験装置1を使用する際には、送風機20を運転して空調通風路25内を通風状態とし、温度センサー及び湿度センサーの検出値が、設定環境の温度及び湿度に近づく様に空調機器18を制御する。
【0055】
本体部11の主試験室16には大扉12が設けられている。ただし本実施形態では、大扉12には大きな開口30が設けられている。
大扉12は図示しないヒンジを介して主試験室16側に取り付けられており、揺動可能である。
本実施形態で採用する本体部11では、空調通風路25の空気吹き出し部26と大扉12の開口30の間にダクト55が設けられている。ダクト55は、容易に取り外すことができることが望ましい。
【0056】
本実施形態では大扉12の外側に断熱箱13が固定されている。
断熱箱13は、本体部11と一体となるものであり、両者の間は気密性が確保されている。
その一方、本実施形態で採用する断熱箱13は、本体部11に対してわずかに相対移動可能であり、姿勢変更が可能である。
本実施形態では、
図5の様に、本体部11の断熱箱取り付け部分に、補強材71と、クッション材72が設けられている。
補強材71とクッション材72はいずれも枠状である。
クッション材72は、数ミリから数センチメートルの厚さがあり、相当の圧縮しろがある。
補強材71には図示しないネジ孔があり、クッション材72には当該ネジ孔に連通する孔58が複数個(図では4個)設けられている。
【0057】
一方、断熱箱13の後端部には、
図5の様にブラケット66が設けられている。そしてブラケット66に設けられた貫通孔67にネジ68を挿通し、当該ネジ68をクッション材72に設けられたネジ孔58と嵌合させて断熱箱13が本体部11に取り付けられている。
【0058】
そのためネジ68の締めつけ量を調整する等の作業により、断熱箱13の姿勢を
図6,7,8の様に、本体部11に対してわずかに変化させることができる。即ちネジ68の締めつけ量を調整してクッション材72の圧縮量に部分的に変化を付けることにより、
図7(b)の様に断熱箱13を前傾姿勢としたり、
図7(c)の様に断熱箱13をやや上向き姿勢とすることができる。
また
図8(b)(c)の様に断熱箱13を左右に首振りさせることができる。さらにブラケット66に設けられた貫通孔67と、ネジ68との間にわずかに隙間があるから、
図6(b)(c)の様に、断熱箱13を旋回方向にわずかに姿勢変更することもできる。
【0059】
次に断熱箱13の構造について説明する。断熱箱13は断熱壁32で覆われた筐体であり、本体側筐体部33と、小扉31を有している。
本体側筐体部33は、天面壁35a、底面壁36a、左右側面壁37a,38aを有しており、前面側及び背面側が開口している。
本体側筐体部33の一方の側面壁37aにはスリット50がある。スリット50は断熱箱13の内外を連通している。スリット50は、上下方向にのびるものであり、
図2の様に板(遮蔽部材)51を挿入することができる。スリット50には図示しないシールが設けられており、スリット50は気密性を保っている。
【0060】
小扉31は、
図9の様に断面形状が凹形であり、天面壁35b、底面壁36b、左右側面壁37b,38b及び正面壁40を有している。ただし正面壁40には大きな開口があり、当該開口には透明なガラス42がはめ込まれている。
小扉31の、一方の側面壁37bにも
図1の様に小窓41がある。小窓41にも透明なガラスがはめ込まれている。
【0061】
小扉31は、本体側筐体部33の前面側開口部分に図示しないヒンジを介して揺動可能に取り付けられている。
小扉31を閉じることによって本体側筐体部33の前面が閉塞される。小扉31が閉じられた状態においては、小扉31の天面壁35bの端面は、本体側筐体部33の天面壁35aの端面と当接し、両者で副試験室15の天面壁35が形成される。同様に、小扉31の底面壁36bと本体側筐体部33の底面壁36aが合致して副試験室15の底面壁36が構成され、小扉31の左右側面壁37b,38bが本体側筐体部33の左右側面壁37a,38aに合致して副試験室15の左右側面壁37,38が構成される。
断熱箱13の本体側筐体部33は、前記した様に背面側が開口しており、断熱箱13内に形成される副試験室15は、本体部11の主試験室16と連通している。
【0062】
断熱箱13には、外部と連通する貫通孔105が上下2か所に設けられている。貫通孔105は断熱壁28,32で囲まれた断熱領域7内と環境試験装置1外とを連通するものである。
即ち本実施形態の環境試験装置1では、断熱箱13の天面壁35部分と底面壁36部分に貫通孔105が設けられている。
本実施形態では、天面壁35と底面壁36に、直方体の空洞部45,46が設けられ、当該空洞部45,46にブロック体100(
図3参照)が内蔵されており、ブロック体100に貫通孔105が設けられている。後記する様に空洞部45,46の内壁はブロック体100と接し、気密性が確保されている。そのためブロック体100に設けられた貫通孔105が、実質的に断熱箱13を貫通する開口であり、断熱領域7内と環境試験装置1外とを連通するものである。
【0063】
天面壁35の空洞部45及びブロック体100の構造と、底面壁36の空洞部46及びブロック体100の構造は同一であるから、代表して天面壁35側の構造を説明する。
本体側筐体部33の天面壁35aの端部には
図3、
図17の様に切り欠き部52がある。同様に小扉31の天面壁35bの端部にも切り欠き部53が設けられている。
切り欠き部52,53は、いずれも断熱壁32を欠落させたものであり、その形状は長方形である。切り欠き部52,53の断熱箱13の内外面(上下面)には、覆い板56が設けられている。
【0064】
より詳細に説明すると、本体側筐体部33の天面壁35aの端部の切り欠き部52には、
図17の様に上面側を覆う覆い板56aと、下面側を覆う覆い板56bが設けられる。また小扉31の天面壁35bの端部の切り欠き部53にも、
図17の様に上面側を覆う覆い板56cと、下面側を覆う覆い板56dが設けられる。
つまり、切り欠き部52,53には、上下に覆い板56が設けられる。
【0065】
本体側筐体部33の切り欠き部52に注目すると、切り欠き部52は、天面壁35aの端部側から奥側に向かう洞穴状となっている。洞穴状部分の形状は前記した様に長方形である。
小扉31側の切り欠き部53についても同様であり、切り欠き部53は、天面壁35bの端部側(本体側筺体部33側)から奥側(前面側)に向かう洞穴状である。
図
9に示すように本体側筐体部33の断熱壁32内には配管47が埋設されており、本体側筐体部33の切り欠き部52と外部が当該配管47で繋がっている。また配管47は外部に設置された負圧発生装置112及び窒素ボンベ113に接続されている。負圧発生装置112は、送風機であり、送風機の吸い込み側が配管47に接続されている。
負圧発生装置112及び窒素ボンベ113と、切り欠き部52との間には切り替え弁(電磁三方弁)115が設けられており、負圧発生装置112と窒素ボンベ113とを切り換えることができる。
【0066】
窒素ボンベ113は、乾燥気体供給源の一例である。乾燥気体としては、窒素ガス以外に圧縮空気を乾燥処理した低露点のドライエアーを採用することも可能である。即ち窒素ボンベ113に代わって、コンプレッサと乾燥装置を使用することもできる。
本実施形態では、乾燥気体供給源(窒素ボンベ113)と負圧発生装置112を配管47に接続し、両者を切り換えることができる構成を採用しているが、いずれか一方だけであってもよい。また乾燥気体供給源(窒素ボンベ113等)及び負圧発生装置112は必須ではない。
【0067】
本体側筐体部33側の上下の覆い板56a,56bの端辺には、半円状の切り欠き57が設けられている。小扉31側の上下の覆い板56c,56dの端辺にも、同様に半円状の切り欠き57が設けられている。
本体側筐体部33の天面壁35aの切り欠き部52と、小扉31の天面壁35bの切り欠き部53は、小扉31を閉じた際に合致し、両者を合わせて直方体の空洞部45を形成する。また覆い板56aの端辺の半円状の切り欠き57と、覆い板56cの端辺の半円状の切り欠き57同士も合致して円形を呈する。
【0068】
以上、天面壁35の空洞部45について説明したが、底面壁36の空洞部46についても同様である。
【0069】
次にブロック体100について説明する。ブロック体100は、シリコン樹脂等の比較的軟質の樹脂を素材とする発泡体である。ブロック体100には断熱効果がある。
ブロック体100は、分割形状であり、二つのブロック片111によって構成されている。
二つのブロック片111を合わせたブロック体100の形状は、
図16の様に概ね直方体形状である。
詳細に説明すると、ブロック体100は直方体を基本とし、対向する一対の面(本実施形態では上下面101a,101b)の各辺部にリブ102が設けられた形状である。
【0070】
ブロック体100の対向する一対の面(本実施形態では上下面101a,101b)は、前記したリブ102を含めて一つの平面である。リブ102の断面形状は、
図16の様に直角三角形であり、頂角aが鋭角である。
ブロック体100の上下面101a,101bは略正方形であり、前記したリブ102は、正方形の上下面101a,101bの4辺に設けられている。
従って、ブロック体100の側面には、上下面101a,101bのリブ102によって囲まれた凹部103がある。
【0071】
ブロック体100には、上下面101a,101bを貫通する貫通孔105が設けられている。本実施形態では、貫通孔105は、ブロック体100の中心を上下に貫通するものである。
なおブロック体100は前記した様に二つのブロック片111によって構成されているから、各ブロック片111には合わせ面に凹部があり、凹部が合致して四方が囲まれ、貫通孔105となる。
【0072】
貫通孔105の平面断面形状は、後記する繋ぎ部材211の断面形状に対して相似形である。本実施形態では、繋ぎ部材211は板状であり、断面形状は長方形であるから、貫通孔105の平面断面形状はこれに合わせて長方形である(
図16c)。貫通孔105の形状は挿通されるものに合致させて成形されるべきものであり、挿通されるものの断面形状が円形であれば、貫通孔105の断面形状も円形にするべきである。
上下に貫通する貫通孔105は、
図16(b)の様に開口部分が他の部位に比べてやや狭くなっている。
【0073】
また本実施形態では、ブロック体100の側面にも貫通孔106が設けられている。本実施形態では、側面を貫通する貫通孔106は、上下に並べて2個設けられている。貫通孔106の断面形状は円形である。
側面を貫通する貫通孔106は、前記した上下に貫通する貫通孔105と直交するものである。即ち側面を貫通する貫通孔106は、ブロック体100の内部で上下に貫通する貫通孔105と連通している。
そのため上下に貫通する貫通孔105は、側面を貫通する貫通孔106を介してブロック体100の側面の凹部103と連通する。なお側面を貫通する貫通孔106は、貫通孔105と直交していなくてもよい。
【0074】
またブロック体100は前記したように二分割の構造であり、二つのブロック片111によって構成されている。
そして
図3に示すように小扉31と本体側筐体部33にそれぞれブロック片111が一つずつ収納されている。
【0075】
ブロック体100は、前記した様に天面壁35の空洞部45と、底面壁36の空洞部46にそれぞれ一対ずつ設けられている。より詳細には、本体側筐体部33の上下の切り欠き部52にそれぞれ一つずつブロック片111が収納され、小扉31側の上下の切り欠き部53にもそれぞれブロック片111が一つずつ収納されている。
【0076】
天面壁35の空洞部45に注目すると
図13に示すように、ブロック体100の上下面101a,101bは、空洞部45の上下面と接している。より具体的には、ブロック体100の上面101aは、本体側筐体部33側の上部の覆い板56aと小扉31側の上部の覆い板56cの双方と接している。ブロック体100の下面101bは、本体側筐体部33側の下部の覆い板56bと小扉31側の下部の覆い板56dの双方と接している。
【0077】
また
図13に示すようにブロック体100のリブ102は、空洞部45の内側の側壁110と接している。そのため空洞部45の内側の側壁110と、ブロック体100の側面の凹部103との間には空隙108が形成される。空隙108はブロック体100の側面の周囲を環状にとりまく。
前記した様にリブ102の断面形状は、三角形であるから、リブ102の先端が空洞部45の内側の側壁110に押しつけられ、ブロック体100の側面の凹部103(空隙108)は、空洞部45の側壁110で封鎖されて遮蔽された空間となっている。
【0078】
空洞部45の上端側と下端側は、リブ102によって環状に封鎖されるので、空洞部45の内周面部分においては、断熱箱13の内外の気密性が確保される。即ち、空洞部45内にブロック体100があり、ブロック体100の上端側と下端側を取り巻くリブ102が空洞部45の側壁110と接しているから、ブロック体100の部分については、断熱箱13の内外の気密性が確保される。
従って、理論的には、断熱箱13の内外を連通するのは、ブロック体100を上下に貫通する貫通孔105だけである。
【0079】
底面壁36についても同様であり、空洞部46の上端側と下端側は、リブ102によって環状に封鎖されるので、空洞部46の内周面部分においては断熱箱13の内外の気密性が確保され、断熱箱13の内外を連通するのは、ブロック体100を上下に貫通する貫通孔105だけである。
【0080】
ブロック体100は、前記した様に断熱箱13の空洞部45,46内に内蔵されているが、本体側筐体部33とブロック体100の一方のブロック片111の間、及び小扉31と他方のブロック片111の間には図示しない係合手段又は接着手段があり、小扉31を開いた際には、
図3の様にブロック体100の一方のブロック片111は本体側筐体部33側に残り、他方のブロック片111は小扉31側に残る。
ブロック体100の向きは、
図3の様に小扉31を開いた際にブロック体100の合わせ面が全面的に露出する方向である。
なお後記する様に、ブロック片111同士の間に被試験物210又は繋ぎ部材211を挟んだ状態にした後で、ブロック体100を空洞部45,46に装着してもよい。即ちブロック体100が断熱箱13の空洞部45,46に残らない構造であってもよい。
またブロック体100の中心軸と、断熱箱13の空洞部45,46の中心軸とは略一致しブロック体100の上下に貫通する貫通孔105は、覆い板56a,56b,56c,56dの円形の開口内に開口している。
【0081】
本実施形態では、断熱壁32を挿通して被試験物に外力を付加する部材を挿通させる貫通孔105をブロック体100に設けている。貫通孔105の大きさは、単に繋ぎ部材211が通過し得るだけの大きさであり、従来に比べて非常に小さい。貫通孔105は小さく、後述する掴み具(保持部材)206,208は到底通過することができない。
【0082】
次に外力付与装置200について説明する。
外力付与装置200は、引っ張り試験機である。外力付与装置200は、
図1に示すように基台部201と、門型フレーム202を有している。
門型フレーム202には、図示しないガイドレールがあり、門型フレーム202のガイドレールに昇降桟(駆動部)203が係合している。
そして昇降桟203の下部に上ロッド205が設けられており、当該上ロッド205の先端に上側掴み具(保持部材)206が設けられている。即ち駆動部たる昇降桟203に、上ロッド205を介して保持部材たる上側掴み具206が取り付けられている。
【0083】
また基台部201には、下ロッド207が設けられており、当該下ロッド207の先端に下側掴み具(保持手段)208が設けられている。
外力付与装置200には、公知の引っ張り試験機と同様に、上側掴み具206を上方に移動させる移動装置と、掴み具の移動量を検知する伸び量計と、引っ張り荷重を検知する荷重計を有している(いずれも図示せず)。ただし本実施形態では、外力付与装置200に付属する伸び量計は使用せず、別途用意の光学式伸び検知装置220を使用することが望ましい。もちろん外力付与装置200に付属する伸び量計を使用してもよく、他の方法によって伸びを測定してもよい。
【0084】
次に、被試験物210及び繋ぎ部材211について説明する。被試験物210の材質や形状は任意である。本実施形態では、ゴムの引っ張り試験を行うこととし、被試験物210は、ダンベル形試験片を使用することとする。周知の通り、ゴムのダンベル形試験片は、
図15の様に中央に断面積が小さく成形された被試験領域215があり、両端に面積の大きい保持部216がある。被試験領域215は荷重を受けて破断する部位である。
【0085】
繋ぎ部材211は、被試験物210の保持部216を延長する部材であり、延長部材217と圧接片218によって構成されている。
延長部材217は、被試験物210の保持部216が合致する凹部(図示せず)が端部に形成された鋼帯である。
圧接片218は、延長部材217の端部にネジ止めされる板体である。
被試験物210は、保持部216が延長部材217の凹部(図示せず)に装着され、さらに圧接片218が延長部材217にネジ止めされ、圧接片218と延長部材217との間に被試験物210の端部が挟まれる。その結果、被試験物210と繋ぎ部材211が一体化され、二つの繋ぎ部材211の間に被試験物210の被試験領域215が露出する。
【0086】
本実施形態では、繋ぎ部材211が副試験室15の断熱壁32を連通する。即ち繋ぎ部材211が副試験室15の断熱壁32を連通する貫通孔105(ブロック体100の貫通孔105)に挿入される。ブロック体100の貫通孔105の平面断面形状は、繋ぎ部材211の断面形状に対して相似形となっている。
前記した様に、ブロック体100の貫通孔105は、開口部分が他の部位に比べてやや狭くなっている。
図18(a)は、貫通孔105の最も面積が狭い部分と繋ぎ部材211の関係を表した平面断面図であり、(b)は正面断面図である。
貫通孔105の最も面積が狭い部分の内壁と、繋ぎ部材211の間の隙間は、平均で0.5mmから3mmであり、より望ましくは平均で1mmから2mmである。
また貫通孔105の最も面積が狭い部分の内壁と、繋ぎ部材211の間の隙間の面積は、挿通される物(本実施形態では繋ぎ部材211)の断面積の3倍以下であることが望ましい。より望ましくは、2倍以下である。さらに望ましくは1倍以下である。
【0087】
次に外力付与装置載置台300について説明する。外力付与装置載置台300は、単なるテーブルであり、外力付与装置200を載せる載置板302と、載置板302を中空に支持する脚部303とを有している。
【0088】
恒温槽用架台301は、台座部305と、テレスコピックガイド306を有している。台座部305は、略立方体であり、ある程度の重量を有している。台座部305には高さ調整手段310が設けられている。高さ調整手段310は、公知のものであり、台座部305の全高や、水平レベルを微調整することができるものである。調整手段310は具体的にはネジであり、ネジを回転させてネジの出入り量を調整し、台座部305の全高や、水平レベルを微調整するものである。
【0089】
テレスコピックガイド306は、台座部305の上面に配されたものであり、2本の伸縮棹311(
図1には一本のみを図示)が平行に設けられたものである。伸縮棹311は、固定側部材と可動側部材(いずれも図示せず)を有しており、固定側部材に対して可動側部が直線方向に移動可能である。従って伸縮棹311は、可動側部を移動させることによってその全長を伸縮させることができる。
テレスコピックガイド306は、各伸縮棹311の固定側部材が台座部305の上面に固定されている。そして伸縮棹311の全長を伸ばすと、可動側部が台座部305から片持ち状に張り出す。
【0090】
なお外力付与装置載置台300と恒温槽用架台301は、外力付与装置200と環境試験装置1の高さ等を合わせたり、両者を作業しやすい高さに保持するための部材に過ぎず、必須ではない。もちろん、テレスコピックガイド306や調整手段310等についても必須ではない。テレスコピックガイド306は、環境試験装置1の下に空間をつくることができるので推奨される部材であるが、断熱箱13の突出量が大きく、且つ断熱箱13が高い位置にある場合には、テレスコピックガイド306は不要である。
【0091】
光学式伸び検知装置220はビデオカメラであり、被試験物210を撮影し、被試験物210の伸びを記録するものである。前記した様に光学式伸び検知装置220についても必須ではなく、他の代替手段を採用することもできる。
【0092】
次に試験装置10を構成する各部材間の関係について説明する。
本実施形態の試験装置10は、前記した様に環境試験装置1と、外力付与装置200によって構成されている。
外力付与装置200は、
図1の様に、外力付与装置載置台300の載置板302上に載置されている。
環境試験装置1は、突出部たる断熱箱13が外力付与装置200の門型フレーム202に囲まれた空間に入る様に設置されている。
より詳細には、
図1の様に、外力付与装置200の背面側に恒温槽用架台301が配置されており、恒温槽用架台301のテレスコピックガイド306の可動側部によって環境試験装置1が恒温槽用架台301の台座部305から張出した状態で支持されている(張出すことは必須ではない)。そして環境試験装置1は、恒温槽用架台301のテレスコピックガイド306で片持ち状に支持され、環境試験装置1の突出部たる断熱箱13が外力付与装置200の門型フレーム202内に差し入れられている。
特に本実施形態では、試験を行う副試験室15(断熱箱13)が本体部11から水平方向に突出していて本体部11から中空に張り出しているから、断熱箱13は外力付与装置200の基台部201とは接せず、断熱箱13と外力付与装置200には広い空間222が確保される。
【0093】
そして外力付与装置200の上ロッド205及び上側掴み具(保持部材)206は、断熱箱13の上にある。
即ち本実施形態では、上側掴み具206は、断熱箱13(断熱領域7)の外にあり、副試験室15には入っていない。
また外力付与装置200の下ロッド207側も同様であり、外力付与装置200の下ロッド207及び下側掴み具(保持部材)208は、断熱箱13の下にある。本実施形態では、下側掴み具208は、断熱箱13の外にあり、副試験室15には入っていない。
前記した様に、本実施形態で採用する環境試験装置1は、引っ張り試験を実施する副試験室15(断熱箱13)が本体部11から水平方向に突出していて本体部11から中空に張り出しているから、断熱箱13と外力付与装置200の基台部201の間には広い空間222があり、当該空間222に外力付与装置200の下側掴み具208が配置されている。
【0094】
環境試験装置1の副試験室15と、外力付与装置200とは設置の際に芯合わせが行われている。即ち外力付与装置200の上ロッド205と下ロッド207を結ぶ線に、断熱箱13の上下の貫通孔105の中心が完全に一致する様に調整されている。
芯合わせ作業では、先に台座部305の高さ調整手段310を調節して環境試験装置1が水平姿勢となる様に調整する。
その後、断熱箱13を取り付けているネジ68を調節して、クッション材72の圧縮量に部分的に変化を付け、断熱箱13の姿勢を調節して、上ロッド205と下ロッド207を結ぶ線に、断熱箱13の上下の貫通孔105の中心を合わせる。
【0095】
本実施形態では、断熱箱13の外に設けられた外力付与装置200の上側掴み具206と下側掴み具208によって、繋ぎ部材211の延長部材217が保持されている。そして
図3,9,11,14の様に、繋ぎ部材211の上下の延長部材217が、環境試験装置1の貫通孔105を貫通し、被試験物210の被試験領域215が副試験室15の中に設置されている。
より正確には、環境試験装置1の断熱箱13の天面壁35と底面壁36に内蔵されたブロック体100の上下に貫通する貫通孔105に、上下の延長部材217の一部が挿通され、中央の被試験領域215が副試験室15の中に設置されている。
【0096】
本実施形態では、外力付与装置200の上側掴み具206と下側掴み具208が、断熱箱13及び副試験室15の外にある。そして繋ぎ部材211が断熱箱13の断熱壁32を通過して副試験室15内に配置された被試験物210と外力付与装置200の上側掴み具206と下側掴み具208を繋いでいる。
【0097】
副試験室15の中における被試験物210の位置は、
図9、
図11の通りであり、主試験室16内に設けられたダクト55の開口の前に被試験物210の被試験領域215があるように設置される。
【0098】
光学式伸び検知装置220たるビデオカメラは、
図1の様に副試験室15の小扉31の前に設置され、小扉31にはめ込まれたガラス42越しに副試験室15内の被試験物210を撮影することができる。
【0099】
次に、本実施形態の試験装置10を使用して引っ張り試験を行う際の手順について説明する。
本実施形態の試験装置10を使用して引っ張り試験を行う場合は、所定の作業場で被試験物210に繋ぎ部材211を接続する。
そして被試験物210を副試験室15内に設置する。
具体的には、まず最初に環境試験装置1の小扉31を開く。
前記した様に、環境試験装置1の副試験室15の天面壁35と底面壁36には、小扉31と本体側筐体部33の合致部に形成された洞穴状の空洞部45,46があり、空洞部45,46にブロック体100が内蔵されている。小扉31を開くと、
図3の様にブロック体100が分割され、小扉31に一方のブロック片111が残り、本体側筐体部33側にブロック片111の他方が残る。
ブロック片111の合わせ面には、前記した様に貫通孔105の半面たる凹部があり、小扉31を開くと、本体側筐体部33側に残ったブロック片111の凹部が露出する。
【0100】
そして被試験物210又は繋ぎ部材211を本体側筐体部33側のブロック片111の凹部(貫通孔105の半面)に差し込んで、外部に配置された掴み具206,208で挟む。
【0101】
本実施形態では、繋ぎ部材211の延長部材217の先端に
図12の様に補助板120が装着され、延長部材217と補助板120とを合わせた状態で、繋ぎ部材211を掴み具206,208で挟んでいる。補助板120は、被試験物210の中心線とロッド205,207や副試験室15の中心線を合わせるために介在されるものであり、その厚さは圧接片218の厚さと等しい。
【0102】
その結果、被試験物210の被試験領域215を副試験室15の中に残した状態で、上下の繋ぎ部材211の一部が断熱箱13の外(上下)に出た状態となる。
この状態で断熱箱13の小扉31を閉じる。その結果、断熱箱13の本体側筐体部33と小扉31によって副試験室15が閉塞状態となる。
即ち断熱領域7の一部たる副試験室15に被試験物210の被試験領域215が設置され、副試験室15の外に配置された上下の掴み具206,208と被試験物210とが貫通孔105に挿通された上下の繋ぎ部材211を介して繋がった状態となる。
通孔105に挿通された上下の繋ぎ部材211を介して繋がった状態となる。
【0103】
上記した手順では、本体側筐体部33に残ったブロック片111の凹部(貫通孔105の半面)に繋ぎ部材211を差し込み、小扉31を閉じてブロック片111同士を合わせるものであるが、小扉31側に残ったブロック片111の凹部(貫通孔105の半面)に繋ぎ部材211を差し込み、小扉31を閉じてブロック片111同士を合わせてもよい。
【0104】
なお被試験物210又は繋ぎ部材211をブロック体100に装着した後に、ブロック体100を本体側筐体部33又は小扉31に嵌め込んでもよい。
即ち環境試験装置1からブロック体100を取り外し、外部の所定の作業場所でブロック体100を二つのブロック片111に分割し、両者の間に被試験物210又は繋ぎ部材211を挟んで二つのブロック片111を合わせる。この作業によって、ブロック体100の貫通孔105に被試験物210又は繋ぎ部材211が挿通されることとなる。
そして環境試験装置1の小扉31を開き、空洞部45,46の本体側筐体部33側又は小扉31側にブロック体100を装着し小扉31を閉じる。そして被試験物210又は繋ぎ部材211を外部に配置された掴み具206,208で挟む。
【0105】
その後、負圧発生装置112又は乾燥気体供給源(窒素ボンベ113)を起動すると共に、空調部48を起動して、所定の温度に調整された空気を主試験室16内と、副試験室15に循環させ、断熱領域7内を所定の温度環境に維持する。
そして外力付与装置200を起動し、上ロッド205を一定の速度で上昇させて被試験物210に引っ張り荷重を掛け、被試験物210の被試験領域215を破断する。そしてその間の試料の伸びと荷重の関係を記録する。
即ち被試験物210に引っ張り荷重を掛け、その間の外形変形状態を光学式伸び検知装置220で撮影する。そして被試験物210の伸びと、被試験物210に付加された荷重とを関連付けて記録する。
【0106】
光学式伸び検知装置220で被試験物210を撮影する場合には、
図1の様に断熱箱13の側面に設けられた小窓41の外にライト221を置き、小窓41から入光して被試験物210を照らすことが望ましい。
断熱箱13の側面から被試験物210を照らして撮影すると、副試験室15の小扉31のガラス42の反射による影響を受けにくく、鮮明な映像を得ることができる。
【0107】
試験中における環境試験装置1内の空気の流れは、
図9の矢印の通りである。即ち空調部48の送風機20を起動することにより、主試験室16内の空気が空気導入部27から空調通風路25内に導入される。そして空調通風路25が通風状態となり、空調機器18に空気が接触して熱交換や湿度調整がなされ、空気吹き出し部26から主試験室16内に調整後の空気が吹き出される。
ここで本実施形態の試験装置10では、空調通風路25の空気吹き出し部26にダクト55の一端が開口している。そしてダクト55の他端は、副試験室15に開口し、被試験物210の被試験領域215に向いている。
そのため空気吹き出し部26から吹き出された送風は、直接的に副試験室15に吹き込まれ、被試験物210の被試験領域215に直接的に当てられる。
被試験物210の設置領域を通過した送風は、ダクト55の外を回り込んで、主試験室16側に戻り、空気導入部27から空調通風路25内に再導入される。
【0108】
本実施形態では、ダクト55からの送風は、被試験物210が配置された領域に吹き出されるから、副試験室15の空気の流れを考えると、被試験物210の部位が最も上流側となり、環境試験装置1の上下の貫通孔105(ブロック体100の貫通孔105)は、空気の流れ方向としては下流側となる。
被試験物210が配置された領域は高圧雰囲気となるが、下流側にある貫通孔105の周囲は、被試験物210の周囲に比べると低圧傾向となる。
そのため副試験室15内における貫通孔105の周辺は、低圧傾向であり、貫通孔105から外に向かって空気が漏れにくく、且つ空気の流れによって、貫通孔105周辺からの外乱から被試験領域215が守られるので温度精度が良い。
【0109】
また本実施形態では、副試験室15の内外を連通する貫通孔105の開口面積は、繋ぎ部材211が挿通し得るだけの開口面積でしかなく、そもそも開口面積は小さい。さらに貫通孔105の内壁と、繋ぎ部材211との隙間が小さく設定されているから、実際の開口面積は極めて小さく、副試験室15内の空気は貫通孔105から漏れにくい。
【0110】
さらに加えて本実施形態では、ブロック体100が収容された空洞部45,46に配管47が接続され、配管47の他端は負圧発生装置112に接続されていて、空洞部45,46内が吸引可能である。
そのため空洞部45,46の内側の側壁110と、ブロック体100の側面の凹部103との間の空隙108を負圧傾向とでき、空洞部45,46と覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間から副試験室15内の空気が漏れることが阻止される。
【0111】
またブロック体100の側面に設けられた水平方向にのびる貫通孔106が副試験室15の内外を連通する貫通孔105と繋がっているから、副試験室15の内外を連通する貫通孔105内を負圧傾向とでき、貫通孔105から副試験室15内の空気が漏れることが阻止される。
従って、本実施形態においては、空洞部45,46と覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間や、貫通孔105から副試験室15内の空気が漏れる懸念は低い。
副試験室15内の空気が仮に高温高湿であったとしても内部の高温高湿の空気が漏れて結露する懸念は低い。
【0112】
また繋ぎ部材211と貫通孔105は、直接的に接触しない。そのため引っ張り試験の実施中は、繋ぎ部材211が上又は下に移動するが、接触による抵抗は発生せず、荷重計は、試料に掛けられた引っ張り荷重を正確に検知することができる。
【0113】
一つの被試験物210を破断した後、再度他の被試験物210を対象として試験を行う場合は、断熱箱13の本体側筐体部33に設けられたスリット50に、板51を差し入れる。
板51は、
図10の様に副試験室15と主試験室16の間に入り、副試験室15側と主試験室16側との通気を遮断する。即ち板51は、主試験室16と副試験室15の間を一時的に遮蔽する遮蔽部材として機能する。
空調通風路25から排出された空気は、板51と衝突して空調通風路25に戻る。即ち空気は主試験室16と空調通風路25の間だけで循環し、副試験室15には至らない。
【0114】
こうして主試験室16と空調通風路25の間だけで空気を循環させ、小扉31を開いて副試験室15を開放する。環境試験装置1内においては、主試験室16で構成される密閉空間内に空気を循環させる。そのため仮に低温低湿環境で引っ張り試験を行った後で小扉31を開いた場合でも、外気が空調通風路25に侵入することが防止され、空調機器18の冷却装置22に過度に霜や結露が発生することが防止される。
【0115】
そして被試験物210に接続された繋ぎ部材211を開放側に引っ張り、ブロック体100から繋ぎ部材211を取り出す。
その後に、前述の手順で新たな被試験物210を副試験室15内に入れ、試験を繰り返す。
【0116】
以上説明した実施形態では、空洞部45,46や、貫通孔105を負圧傾向として貫通孔105から副試験室15内の空気が漏れることを防いだが、副試験室15内が氷点下の場合は、回路を切り替えて槽内空気よりも低露点の空気又は窒素ガスを流入させ、貫通孔内や外部への氷結や結露を防止することができる。
図19は、空洞部45,46に窒素ガスを導入した場合の気体の流れを図示している。窒素ガスは、空洞部45,46の内側の側壁110と、ブロック体100の側面の凹部103との間の空隙108に入り、ブロック体100と空洞部45,46の内側の側壁110との間に窒素ガスによる遮断層を作り、覆い板56a,56b,56c,56dとの隙間から副試験室15内の空気が漏れることを阻止する。
また窒素ガスは、ブロック体100の貫通孔106を流れて上下に連通する貫通孔105に入り、繋ぎ部材211の全周を取り巻いて流れる。
【0117】
また窒素ガスは、上下に連通する貫通孔105の副試験室15側の開口から断熱領域7に入る。ここで貫通孔105の断熱領域7側の開口は、前記した様に被試験物210が設置される部位に比べて空気の流れ方向の下流側に位置している。
そのため貫通孔105から副試験室15に入った窒素ガスは、その全てが空気と共に空気導入部27に向かって流れ、被試験物210には当たらないから試験に影響を与えない。
【0118】
また貫通孔105と繋ぎ部材211の間の空隙は、窒素ガスで満たされている。従って副試験室15内の空気が外に漏れにくい。また外の空気は、副試験室15内に入り込み難い。
そのため仮に試験室15内の空気が極低温であったとしても、副試験室15の空気が直接外気と接触することはなく、外気を冷却することは少ない。そのため外気中の水蒸気を凝縮することは少なく、結露や結氷が発生しにくい。また貫通孔105の外部側開口の周囲には、少量ずつ窒素ガスがオーバーフローするので、外部側開口は、低露点ガス雰囲気となり、結露や結氷が発生しにくい。
【0119】
以上説明した実施形態では、ブロック体100の大きさを空洞部45,46と同等とし、ブロック体100の各部を空洞部45,46の内壁に当接させた。
しかし
図20、
図21に示すブロック体130の様に、空洞部45,46に比べて小さなものとし、ブロック体130が空洞部45,46内で移動できる様にしてもよい。
【0120】
図20、
図21に示すブロック体130は円柱状である。ブロック体130は、半円柱状のブロック片131をネジで結合して作られたものであり、中心部に貫通孔が設けられている。本実施形態では、空洞部45,46の形状はブロック片131に合わせて円柱形である。
【0121】
ブロック体130は、前記した様に空洞部45,46に比べて小さく、空洞部45,46内で動き得る。
そのため
図19の様に、外部からブロック体130の貫通孔105に繋ぎ部材211を挿入すると、空洞部45,46内でブロック体130が移動する。
その状態で、繋ぎ部材211を外力付与装置200の掴み具206,208に接続すると、ブロック体130が、空洞部45,46内で移動して自動的に芯合わせが行われる。
【0122】
あるいは仮に、ブロック体130の貫通孔105の側面に繋ぎ部材211の一部等が接触した状態で引っ張り試験を開始し、試験中に外力付与装置200に引っ張られて空洞部45,46内で繋ぎ部材211が僅かに上下動すると、ブロック体130が繋ぎ部材211との摩擦によって移動し、自動的に芯合わせがなされる。
【0123】
また前記したブロック体100,130は、いずれも半割り状であり、二つのブロック片111,131を合わせて一つのブロック体100,130が構成されているが、ブロック体100,130は
図26に示すブロック体140の様に成形時から一体のものであってもよい。
図26に示すブロック体140の形状等は、前記したブロック体100と同一であるから、同一の部位に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
図26に示すブロック体140は、一つの側面に切れ目107が設けられている。切れ目107は、上下に貫通する貫通孔105と平行に設けられており、両端はブロック体140の上下面101a,101bに至っている。
切れ目107の深さは、上下に貫通する貫通孔105にまで至っている。
【0124】
ブロック体140は、断熱箱13の空洞部45,46内に内蔵されているが、本体側筐体部33とブロック体140との間には図示しない係合手段又は接着手段があり、小扉31を開いた際には、
図25の様にブロック体140は本体側筐体部33側に残る。なお小扉31側にブロック体140を残してもよい。
ブロック体140の向きは、
図25の様に小扉31を開いた際に切れ目107が外部に露出する方向である。
またブロック体140に被試験物210又は繋ぎ部材211を設置した後に、本体側筐体部33又は小扉31にブロック体140を設置しても良い。
【0125】
前記した様にブロック体140の一つの側面には、
図25、
図26の様に切れ目107が設けられており、小扉31を開いた際に切れ目107の部分が露出する。また切れ目107は、上下に貫通する貫通孔105と平行に設けられており、両端はブロック体140の上下面101a,101bに至っている。
【0126】
そのため被試験物210に接続された繋ぎ部材211を切れ目107に押し当て、繋ぎ部材211を切れ目107に押し込むと、ブロック体140の弾性によって切れ目107が押し広げられ、繋ぎ部材211は切れ目107の中に割り込んで行き、ブロック体140の中に入る。そして遂には、繋ぎ部材211はブロック体140を上下に貫通する貫通孔105に到達し、繋ぎ部材211は貫通孔105に挿通された状態となる。
【0127】
また以上説明した実施形態では、断熱箱13の本体側筐体部33にスリット50を設け、スリット50に板51を差し入れることによって副試験室15側と主試験室16側との通気を遮断した。
他の構成としては、
図22の様に、副試験室15側と主試験室16の境界部分に開閉扉80を設け、ワイヤーやリンク機構等で小扉31と開閉扉80を連動させ、小扉31が開くと開閉扉80が閉じる様な構成としてもよい。なおこの構成を採用する場合には、ダクト55は省略することが望ましい。
【0128】
以上説明した実施形態では、一対の掴み具206,208の双方を断熱領域7の外に置いたが、いずれか一方を断熱領域7の外に置き、他方を断熱領域7の内に入れてもよいし、双方を断熱領域7の内に入れてもよい。
以上説明した実施形態では、被試験物210に繋ぎ部材211を設け、繋ぎ部材211で被試験物210を実質的に延長して断熱領域7の外に出した。
しかしながら、被試験物の形状によっては被試験物の一部を貫通孔105に挿通し、被試験物の一部を断熱領域7の外に出して掴み具206,208で保持してもよい。
例えばゴムのダンベル形試験片では、中央に断面積が小さく成形された被試験領域215があり、両端に面積の大きい保持部216があるが、保持部216を長く成形し、保持部216を直接貫通孔105に挿通し、保持部216の一部を断熱領域7の外に出して掴み具206,208で保持してもよい。
要するに、被試験物の被試験領域215が断熱領域7に有れば足りる。
【0129】
また以上説明した実施形態は、小型の環境試験装置の前扉に副試験室15を取り付けたものであって、副試験室15が本体部11から突出した位置にある。
この構成によると、副試験室15の上下や左右に空間ができ、他の物を配置しやすい。特に、下側掴み具208を配置するスペースを確保することができ、推奨される構成である。
また上記した実施形態では、主試験室16を使用して通常の環境試験を行うこともでき、汎用性に富む。即ち本体部11には大扉12があり、大扉12を開くことによって主試験室16を開くことができる。そして主試験室16に被試験物をおいて環境試験を実施することができる。なおこの際には、主試験室16のダクト55を外すと共に大扉12の開口30を板等で塞いでおくことが推奨される。
また上記した実施形態は、通常の小型の環境試験装置を改造して作ることができ、部品の汎用性が高い。また量産性に富む。
【0130】
以上説明した実施形態では、環境試験装置1は、温度環境を調整する機能と湿度環境を調整する機能を有しているが、本発明で採用可能な環境試験装置は、上記のものに限定されず、温度と湿度のいずれかを調整することができるものであればよい。
【0131】
上記した実施形態は、いずれも複合型の引っ張り試験機であるが、本発明は、引っ張り試験機に限定されるものではなく、圧縮試験機、剪断試験機、硬さ試験機、衝撃試験機、クリープ試験機等の他の試験機にも応用することができる。
以上説明した実施形態では、上下の掴み具206,208をいずれも副試験室15の外に配置したが、上下の掴み具206,208の一方又は双方を副試験室15の中に配置してもよい。
【0132】
また以上説明した実施形態は、被試験物に外力を加える機器を副試験室15の近傍に配する例を示したが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、被試験物に特定の光や電磁波等を照射する装置や、被試験物を連続的に副試験室15に供給する装置を副試験室15の近傍に設けてもよい。
【0133】
図23に示す環境試験装置320は、副試験室15の左右の側壁にスリット321を設えている。
図21に示す環境試験装置320は、連続した細長いフィルム322を被試験物とし、これを連続的に副試験室15に導入して環境試験を行うものである。
環境試験装置は、副試験室15の左右に供給用ロール325と、巻き取り用ロール326を有し、供給用ロール325から細長いフィルム322がスリット321を介して副試験室15に供給され、試験を終えたフィルム322が他方のスリットから排出されて巻き取り用ロールに巻き取られてゆく。
【0134】
また
図24に示す環境試験装置350は、副試験室15の左右の側壁にスリット351を設えたものであり、副試験室15の近傍に被試験物供給用のコンベア装置352が配されたものである。
コンベア装置352は、ベルトコンベアであり、複数のプーリ356に無端ベルト357が懸架されているる。そして無端ベルト357は、副試験室15の一方のスリット351と他方のスリットを通過し、搬送経路の中途に副試験室15が含まれる。
【0135】
コンベア装置350の近傍には、小型のロボット360,361が2台配置されている。一方のロボット360は、コンベア装置352に被試験物362を載せる装置であり、他方のロボット361は、コンベア装置350から被試験物362を取り去る装置である。
環境試験装置350では、一方のロボット360で被試験物をコンベア装置350に載置し、コンベア装置350を駆動して被試験物362を副試験室15内に導入する。また試験を終えて副試験室15から排出された被試験物を他方のロボット361で取り除く。
【0136】
本発明の環境試験装置1,320,350は、内部で材料や製品の性能等を試験する用途に利用するものとして開発されたが、所定の環境下で、部材を加工する用途に使用することもできる。
【0137】
以上説明した環境試験装置1,320,350は、環境試験装置(本体部11)に副試験室ユニット(断熱箱13)をネジ68で外付けしたものであるが、大扉12と断熱箱13を不可分一体に成形してもよい。