特許第6435249号(P6435249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435249
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】接点入力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 19/06 20060101AFI20181126BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   B61L19/06
   G01R31/00
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-193302(P2015-193302)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-65482(P2017-65482A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】関 貫造
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−51539(JP,A)
【文献】 特開2013−95288(JP,A)
【文献】 特開2011−42272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 19/06
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点入力部と検査電圧印加部と制御部とから構成され、
前記接点入力部は、外部の直流電源のプラス側と入力接点を介して接続した接点電圧入力端子と、前記直流電源のマイナス側と接続したマイナス入力端子と、前記検査電圧印加部と接続した検査電圧入力端子と、前記制御部に対して接点入力信号を出力する第1の出力端子と、前記制御部から入力制御信号を入力する第1の入力端子とを有し、
前記検査電圧印加部は、前記接点入力部の前記検査電圧入力端子と接続し、前記接点入力部に対して検査電圧を印加する検査電圧出力端子と、前記直流電源のプラス側と前記入力接点との間から分岐接続した直流電源入力端子と、前記制御部に対して検査制御アンサ信号を出力する第2の出力端子と、前記制御部から検査制御信号を入力する第2の入力端子とを有し、
前記制御部は、前記入力制御信号及び前記検査制御信号に応じた前記接点入力信号及び前記検査制御アンサ信号の出力データと、予め記憶した前記入力接点の開放状態/閉成状態の正常動作時の入出力論理データとに基づいて、前記接点入力の開放状態/閉成状態及び本体内の故障を判定することを特徴とする接点入力制御装置。
【請求項2】
前記接点入力部は、前記第1の出力端子と接続する第1のフォトカプラと、前記第1の入力端子と接続する第2のフォトカプラを備え、前記第1、第2のフォトカプラは直列接続していることを特徴とする請求項1に記載の接点入力制御装置。
【請求項3】
前記接点電圧入力端子及び前記検査電圧入力端子からの前記直流電源のプラス側は、前記第1、第2のフォトカプラを介して、前記マイナス入力端子からの直流電源のマイナス側と接続していることを特徴とする請求項2に記載の接点入力制御装置。
【請求項4】
前記検査電圧印加部は、前記第2の出力端子と接続する第3のフォトカプラ及び前記第2の入力端子と接続する第4のフォトカプラを備え、前記第3、第4のフォトカプラは、直列に接続していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の接点入力制御装置。
【請求項5】
前記直流電源入力端子は前記第3、第4のフォトカプラを介して、前記検査電圧出力端子と接続していることを特徴とする請求項4に記載の接点入力制御装置。
【請求項6】
前記本体内の故障の判定は、前記接点入力部又は前記検査電圧印加部の何れかの故障であることを判定することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の接点入力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道信号保安制御用の電子連動システムなどで使用する接点入力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道の分野では、列車を安全かつ効率的に運行するため、信号機や転てつ機などの相互間で、その取り扱いについて一定の順序と制限を設ける電子連動装置が使用されている。この電子連動装置に対して、信号機や転てつ機などの現場機器の動作状態をリレーを介して取り込むために、特許文献1に開示する入力制御装置が使用されている。
【0003】
特許文献1の入力制御装置では、入力接点が開放状態(オフ)の場合と閉成状態(オン)の場合の何れであっても、接点信号入力部又は故障検査部に故障が生じているか否かを検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−51539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の入力制御装置においては、電磁部品としてパルストランスを使用するため、回路の小形化、コストの低減化等が困難であるという問題がある。また、制御論理部においては2種の出力信号に対して、応答信号が接点入力信号のみであるため、接点信号入力部又は故障検査部の何れに故障が発生したのかを判断することが難しい場合がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、入力接点の閉成状態/開放状態を判定すると共に、入力接点が閉成状態の場合と開放状態の場合の何れでも、本体に故障が生じているか否かを正しく判定して、信頼性の向上を図ると共に、小形化とコストの低減化を可能とする接点入力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る接点入力制御装置は、接点入力部と検査電圧印加部と制御部とから構成され、前記接点入力部は、外部の直流電源のプラス側と入力接点を介して接続した接点電圧入力端子と、前記直流電源のマイナス側と接続したマイナス入力端子と、前記検査電圧印加部と接続した検査電圧入力端子と、前記制御部に対して接点入力信号を出力する第1の出力端子と、前記制御部から入力制御信号を入力する第1の入力端子とを有し、前記検査電圧印加部は、前記接点入力部の前記検査電圧入力端子と接続し、前記接点入力部に対して検査電圧を印加する検査電圧出力端子と、前記直流電源のプラス側と前記入力接点との間から分岐接続した直流電源入力端子と、前記制御部に対して検査制御アンサ信号を出力する第2の出力端子と、前記制御部から検査制御信号を入力する第2の入力端子とを有し、前記制御部は、前記入力制御信号及び前記検査制御信号に応じた前記接点入力信号及び前記検査制御アンサ信号の出力データと、予め記憶した前記入力接点の開放状態/閉成状態の正常動作時の入出力論理データとに基づいて、前記接点入力の開放状態/閉成状態及び本体内の故障を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る接点入力制御装置によれば、入力制御信号と検査制御信号のHレベル側とLレベル側とを経時的に変化させた後に、接点入力信号と検査制御アンサ信号を受信することにより、入力接点の閉成状態/開放状態を判定すると共に、入力接点が開放状態、閉成状態の場合の何れの場合であっても、本体に故障が生じているか否かを判定することが可能である。
【0009】
従って、信頼性を高めることができると共に、電磁部品であるパルストランスを使用しないため、小形化とコストの低減化が図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】接点入力制御装置のブロック回路構成図である。
図2】接点入力部、検査電圧印加部の回路構成図である。
図3】入力接点が開放状態で、正常動作時の動作タイムチャート図である。
図4】入力接点が閉成状態で、正常動作時の動作タイムチャート図である。
図5】入力接点が開放状態の入出力論理表である。
図6】入力接点が閉成状態の入出力論理表である。
図7】入力接点の開放状態/閉成状態及び接点入力制御装置の故障状態の判定を行うフローチャート図である。
図8】入力接点が開放状態で、検査電圧印加部のフォトカプラP4のフォトトランジスタT4が導通側に故障した場合の動作タイムチャート図である。
図9図8の場合における制御部4の入出力論理表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は接点入力制御装置1のブロック回路構成図である。接点入力制御装置1は、接点入力部2と検査電圧印加部3と制御部4とから構成され、接点入力制御装置1の一方側に直流電源Eが接続されている。この直流電源Eのプラス側に信号機や転てつ機等の地上装置の動作状態を示す入力接点Nを配置し、接点入力制御装置1の他方側に上位装置である例えば電子連動装置5が接続されている。
【0012】
電子連動装置5からのポーリング等による状態情報要求に応じて、接点入力制御装置1は入力接点Nの開放状態/閉成状態の情報、つまり信号機や転てつ機等の地上装置の動作状態情報や発生した故障情報を応答する。或いは、所定時間間隔毎に、電子連動装置5に対して入力接点Nの開放状態/閉成状態の情報、故障情報を応答する。
【0013】
なお本実施例では、1個の入力接点Nを接続した状態であるが、複数個の入力接点Nを使用することも可能である。この場合には、入力接点Nの個数に応じて、同数の接点入力部2及び検査電圧印加部3が必要となり、これらの複数個の接点入力部2及び検査電圧印加部3を1個の制御部4に接続する。また、電源に関しては、直流電源Eから並列に分岐して、複数個の入力接点Nに接続することになる。
【0014】
接点入力部2は、直流電源Eのプラス側を、入力接点Nを介して接続する接点電圧入力端子2aと、直流電源Eのマイナス側を接続するマイナス入力端子2bと、検査電圧印加部3から検出電圧信号を入力する検査電圧入力端子2cと、制御部4に対して接点入力信号S1を出力する出力端子2dと、制御部4からの入力制御信号S2を入力する入力端子2eとを有している。
【0015】
検査電圧印加部3は、接点入力部2の検査電圧入力端子2cと接続し、接点入力部2に対して検査電圧を印加する検査電圧出力端子3aと、直流電源Eのプラス側と入力接点Nとの間から分岐接続した直流電源入力端子3bと、制御部4に対して検査制御アンサ信号S3を出力する出力端子3cと、制御部4から検査制御信号S4を入力する入力端子3dとを有している。
【0016】
制御部4は接点入力部2の出力端子2dからの接点入力信号S1を入力する入力端子4aと、接点入力部2の入力端子2eに入力制御信号S2を出力する出力端子4bと、検査電圧印加部3の出力端子3cから検査制御アンサ信号S3を入力する入力端子4cと、検査電圧印加部3の入力端子3dに検査制御信号S4を出力する出力端子4dとを有している。
【0017】
図2は接点入力制御装置1のブロック回路内の接点入力部2及び検査電圧印加部3の詳細を示す回路構成図である。接点入力部2は、発光ダイオードD1及びフォトトランジスタT1を備えるフォトカプラP1と、発光ダイオードD2及びフォトトランジスタT2を備えるフォトカプラP2とを直列に接続している。入力接点Nと接続した接点電圧入力端子2a及び検査電圧入力端子2cからの直流電源Eのプラス側は、フォトカプラP1及びP2を介して、マイナス入力端子2bからの直流電源Eのマイナス側と接続している。
【0018】
接点電圧入力端子2aは抵抗R1及び抵抗R2を介して、接点入力部2のフォトカプラP1の発光ダイオードD1のアノードに接続し、カソードをフォトカプラP2のフォトトランジスタT2のコレクタに接続している。このフォトトランジスタT2のエミッタは、マイナス入力端子2bに接続されており、抵抗R1と抵抗R2間の接続点とマイナス入力端子2bとの間には、抵抗R3が接続されている。
【0019】
また、フォトカプラP1の発光ダイオードD1及びフォトカプラP2のフォトトランジスタT2に対して、並列に逆方向電流をバイパスさせるためのダイオードD5が接続されている。更に、ダイオードD5のカソード側と抵抗R2との間の接続点は検査電圧入力端子2cに接続されている。
【0020】
フォトカプラP1のフォトトランジスタT1のコレクタは、反転素子IC1を介して出力端子2dに接続されており、フォトトランジスタT1のコレクタと反転素子IC1間に抵抗R4を介して、例えば5Vの電源電圧eが印加されている。また、フォトトランジスタT1のエミッタは、0Vに接続されている。
【0021】
フォトカプラP2の発光ダイオードD2のアノードには抵抗R5を介して、例えば5Vの電源電圧eが印加されており、発光ダイオードD2のカソードは反転素子IC2を介して入力端子2eに接続されている。
【0022】
検査電圧印加部3は、発光ダイオードD3及びフォトトランジスタT3を備えるフォトカプラP3と、発光ダイオードD4及びフォトトランジスタT4を備えるフォトカプラP4とを直列に接続している。外部の直流電源Eから分岐接続した直流電源入力端子3bは、フォトカプラP3及びP4を介して、検査電圧出力端子3aと接続している。
【0023】
フォトカプラP3の発光ダイオードD3のカソードに検査電圧出力端子3aが抵抗R6を介して接続し、アノードにフォトカプラP4のフォトトランジスタT4のエミッタが接続されている。
【0024】
このフォトトランジスタT4のコレクタは、直流電源入力端子3bに接続されており、フォトカプラP3の発光ダイオードD3及びフォトカプラP4のフォトトランジスタT4に対して、並列接続した逆方向電流をバイパスさせるためのダイオードD6が接続されている。
【0025】
フォトカプラP3のフォトトランジスタT3のコレクタは、反転素子IC3を介して出力端子3cに接続されており、フォトトランジスタT3のコレクタと反転素子IC3間に抵抗R7を介して、例えば5Vの電源電圧eが印加されている。また、フォトトランジスタT3のエミッタは、0Vに接続されている。
【0026】
フォトカプラP4の発光ダイオードD4のアノードには抵抗R8を介して、例えば5Vの電源電圧eが印加されており、発光ダイオードD4のカソードは反転素子IC4を介して入力端子3dに接続されている。
【0027】
図3は入力接点Nが開放状態つまり入力接点Nがオフ状態であって、接点入力部2及び検査電圧印加部3が正常動作時の動作タイムチャート図を示しており、図4は入力接点Nが閉成状態つまり入力接点Nがオン状態であり、接点入力部2及び検査電圧印加部3が正常動作時の動作タイムチャート図を示している。
【0028】
これらの時間軸を横軸とした図3図4の動作タイムチャート図において、t1、t3、t5、t7、t9は制御部4の出力タイミングを示し、t2、t4、t6、t8、t10は制御部4の入力タイミングを示している。s1〜s5は制御部4の接点入力処理の各ステップを表しており、図中のdは回路の動作遅延を示している。
【0029】
図3図4における制御部4からの出力タイミングt1、t3、t5、t7、t9で行う入力制御信号S2及び検査制御信号S4のH(High)レベル/L(Low)レベルの出力処理は予め設定されており、各出力タイミングに応じて設定された入力制御信号S2及び検査制御信号S4から成る出力データを出力する。
【0030】
そして、制御部4は入力タイミングt2、t4、t6、t8、t10で入力される接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のHレベル/Lレベルの入力データと、予め記憶した図5図6に示す正常動作時の入出力論理とを比較することで、入力接点Nの開放状態/閉成状態及び本体の故障を判定することができる。
【0031】
図3は入力接点Nがオフの開放状態で、接点入力部2及び検査電圧印加部3が正常動作時の動作タイミングチャート図を示している。
【0032】
ステップs1の出力タイミングt1において、制御部4は接点入力部2の入力制御信号S2及び検査電圧印加部3の検査制御信号S4を何れもLレベルの出力データとして出力する。そして、入力タイミングt2で接点入力部2からの接点入力信号S1と検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3とを読み込んで入力データとする。
【0033】
制御部4の出力データとしてLレベル信号を、接点入力部2の入力端子2e及び検査電圧印加部3の入力端子3dに入力すると、反転素子IC2及びIC4は出力をHレベル信号に反転する。このとき、接点入力部2及び検査電圧印加部3には、各電源電圧eから電流が流れないので、フォトカプラP2及びP4はオフの状態のままである。
【0034】
フォトカプラP2及びP4がオフの状態の場合は、フォトトランジスタT2及びT4に電流が流れることがないため、発光ダイオードD1及びD3が発光することはなく、フォトカプラP1及びP3はオフのままである。
【0035】
従って、入力タイミングt2においては、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0036】
ステップs2の出力タイミングt3において、制御部4は接点入力部2の入力端子2eに入力制御信号S2のみをLレベル信号からHレベル信号として出力した後に、入力タイミングt4で接点入力信号S1との検査制御アンサ信号S3を読み込んで入力データとする。
【0037】
制御部4は入力制御信号S2のみを出力データとしてHレベル信号を出力し、このHレベル信号を接点入力部2の入力端子2eに入力すると、反転素子IC2はHレベル信号の出力をLレベル信号に反転する。反転素子IC2の出力をLレベル信号にすることで、電源電圧eから電流が流れ発光ダイオードD2が発光する。
【0038】
しかし、入力接点Nがオフ状態であると共に、フォトカプラP3及びP4もオフ状態であるため、フォトカプラP2のフォトトランジスタT2に電流が流れることはない。従って、出力タイミングt3において、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データは反転することがなく、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3として、Lレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0039】
ステップs3の出力タイミングt5において、制御部4は接点入力部2及び検査電圧印加部3に対して、入力制御信号S2及び検査制御信号S4をHレベル信号にした出力データを出力する。その後に、制御部4は入力タイミングt6で接点入力部2からの接点入力信号S1及び検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3を読み込んで入力データとする。
【0040】
制御部4は検査制御信号S4を出力データとしてHレベル信号を出力し、このHレベル信号を検査電圧印加部3の入力端子3dに入力すると、反転素子IC4はHレベル信号の出力をLレベル信号に反転する。反転素子IC4の出力をLレベル信号にすることで、電源電圧eから電流が流れ発光ダイオードD4が発光する。
【0041】
発光ダイオードD4が発光すると、フォトトランジスタT4に直流電源Eから直流電源入力端子3bを介して電流が流れ、直列したフォトカプラP3の発光ダイオードD3が発光する。
【0042】
フォトカプラP3の発光ダイオードD3が発光すると、抵抗R7を介して接続した電源電圧eからフォトトランジスタT3に電流が流れ、反転素子IC3はLレベル信号からHレベル信号に反転し、出力端子3cから検査制御アンサ信号S3のHレベル信号を出力タイミングt5からdだけ遅延して制御部4に出力することになる。
【0043】
このように、検査制御信号S4のHレベル信号を検査電圧印加部3で受信することで、フォトカプラP3及びP4もオン状態になり、検査電圧入力端子2cから接点入力部2に対して電流が流れ込む。
【0044】
また、制御部4から入力制御信号S2のHレベル信号を接点入力部2に出力すると、上述のように発光ダイオードD2が発光する。発光ダイオードD2が発光すると、検査電圧印加部3からフォトトランジスタT2に電流が流れ、直列したフォトカプラP1の発光ダイオードD1が発光する。
【0045】
そして、フォトカプラP1の発光ダイオードD1が発光すると、フォトトランジスタT1に電流が流れ、反転素子IC1はLレベル信号からHレベル信号に反転する。従って、入力タイミングt6において接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1のHレベル信号及び検査制御アンサ信号S3のHレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0046】
ステップs4の出力タイミングt7において、制御部4は入力制御信号S2をHレベル信号とし、検査制御信号S4をHレベル信号からLレベル信号に切換えた出力データを出力する。検査制御信号S4をLレベル信号に切換えて出力すると、フォトカプラP3及びP4はオフ状態になり、検査電圧入力端子2cから接点入力部2に流れ込む電流は停止する。
【0047】
入力接点Nがオフの開放状態であると同時に、フォトカプラP3及びP4もオフ状態となるため、フォトカプラP1及びP2を流れる電流も停止する。そして、出力タイミングt7からdだけ遅延して接点入力信号S1のHレベル信号の出力は、Lレベル信号に切換わる。入力タイミングt8において、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0048】
ステップs5の出力タイミングt9において、制御部4は接点入力部2へ入力制御信号S2をHレベル信号からLレベル信号に戻し、検査制御信号S4をLレベル信号とし出力データを出力する。そして、入力タイミングt10で、接点入力部2からの接点入力信号S1と検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3とを読み込んで入力データとする。
【0049】
図4は入力接点Nがオンの閉成状態で、接点入力部2及び検査電圧印加部3が正常動作時の動作タイミングチャート図を示している。入力接点Nがオンであるため、接点電圧入力端子2aから常時電流が流れ込む。
【0050】
ステップs1の出力タイミングt1において、制御部4は接点入力部2への入力制御信号S2及び検査電圧印加部3への検査制御信号S4を何れもLレベル信号とした出力データとして出力する。そして、入力タイミングt2においては接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0051】
ステップs2の出力タイミングt3において、制御部4は接点入力部2の入力端子2eに入力制御信号S2のみをLレベル信号からHレベル信号に切換えて出力した後に、入力タイミングt4で接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3を読み込んで入力データとする。
【0052】
制御部4は入力制御信号S2のみをHレベル信号として出力し、このHレベル信号が接点入力部2の入力端子2eに入力すると、反転素子IC2はLレベル信号に反転する。反転素子IC2の出力をLレベル信号にすることで、電源電圧eから電流が流れ発光ダイオードD2が発光する。
【0053】
この際に、入力接点Nがオン状態であるので、接点電圧入力端子2aからフォトカプラP2のフォトトランジスタT2及び直列したフォトカプラP1の発光ダイオードD1に電流が流れ、発光ダイオードD1が発光する。
【0054】
フォトカプラP1の発光ダイオードD1が発光すると、フォトトランジスタT1に電流が流れ、反転素子IC1はLレベル信号をHレベル信号に反転する。そして、この反転素子IC1の出力である接点入力信号S1は、出力からdだけ遅延してLレベル信号からHレベル信号に切換わる。
【0055】
制御部4からの検査制御信号S4は、Lレベル信号を継続して検査電圧印加部3の入力端子3dに出力されているため、フォトトランジスタT3及びT4はオフのままであり、検査制御アンサ信号S3はLレベル信号の出力を継続する。従って、入力タイミングt4においては、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1のHレベル信号、及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0056】
ステップs3の出力タイミングt5において、制御部4は接点入力部2への入力制御信号S2及び検査電圧印加部3への検査制御信号S4をHレベル信号にした出力データを出力する。その後に、入力タイミングt6で接点入力部2からの接点入力信号S1と検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3とを読み込んで入力データとする。
【0057】
制御部4からの入力制御信号S2のHレベル信号を継続して接点入力部2の入力端子2eに入力すると、前述のように接点入力信号S1はHレベル信号の出力を継続する。また、検査制御信号S4のHレベル信号を検査電圧印加部3の入力端子3dに入力すると、反転素子IC4はHレベル信号をLレベル信号に反転し、フォトトランジスタT3及びフォトトランジスタT4はオンとなる。
【0058】
フォトトランジスタT3がオンになることで、反転素子IC3はLレベル信号をHレベル信号に反転し、出力端子3cから検査制御アンサ信号S3のHレベル信号を出力タイミングt5からdだけ遅延して制御部4に出力することになる。従って、入力タイミングt6において接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のHレベル信号を制御部4に出力する。
【0059】
ステップs4の出力タイミングt7において、制御部4は入力制御信号S2をHレベル信号とし、検査制御信号S4をHレベル信号からLレベル信号に切換えた出力データを出力する。その後に、入力タイミングt8で接点入力部2からの接点入力信号S1及び検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3を読み込んで入力データとする。
【0060】
ステップs4の出力タイミングt7において、検査制御信号S4をLレベル信号に切換えて出力すると、フォトカプラP3及びP4はオフ状態になる。しかし、入力接点Nがオンの閉成状態であるため、入力制御信号S2のHレベル信号の継続入力に対して、フォトカプラP1及びP2には接点電圧入力端子2a経由で電流が流れて、オン状態を維持することになる。
【0061】
従って、入力タイミングt8においては、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1をHレベル信号、及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0062】
ステップs5の出力タイミングt9において、制御部4は検査電圧印加部3に検査制御信号S4のHレベル信号の出力をLレベル信号に戻した出力データを出力する。その後に、入力タイミングt10で接点入力部2からの接点入力信号S1と検査電圧印加部3からの検査制御アンサ信号S3とを読み込んで入力データとする。
【0063】
制御部4はステップs1の出力タイミングt1の出力と同様に、出力タイミングt9において入力制御信号S2のHレベル信号をLレベル信号に切換え、検査制御信号S4のLレベル信号を出力する。
【0064】
入力制御信号S2をLレベル信号とした出力データを入力端子2eに入力することで、フォトカプラP1及びP2がオフとなり、出力タイミングt9からdだけ遅延して接点入力信号S1のHレベル信号をLレベル信号に切換えて出力する。従って、入力タイミングt10において、接点入力部2の出力端子2d及び検査電圧印加部3の出力端子3cからの出力データとして、接点入力信号S1及び検査制御アンサ信号S3のLレベル信号を制御部4に出力することになる。
【0065】
このように、入力接点Nがオフの開放状態及びオンの閉成状態の動作タイムチャート図に基づいて、図5及び図6の入力接点Nがオフの開放状態及びオンの閉成状態の正常動作時の入出力論理表を作成することができる。
【0066】
制御部4からステップs1〜s5の出力タイミングt1、t3、t5、t7、t9の入力制御信号S2及び検査制御信号S4のHレベル/Lレベルの出力データに対し、入力タイミングt2、t4、t6、t8、t10の接点入力信号S1と検査制御アンサ信号S3のHレベル/Lレベルの入力データと、図5及び図6に示す開放状態/閉成状態の正常動作時の入出力論理とを比較することで、入力接点Nがオフの開放状態であるのかオンの閉成状態であるのか、或いは接点入力制御装置1が故障であるのかを判定できる。
【0067】
図7は入力接点Nの開放状態/閉成状態及び接点入力制御装置1の故障状態の判定を行うフローチャート図であり、フローf1において、入力タイミングt2、t4、t6、t8、t10の接点入力信号S1と検査制御アンサ信号S3の入力データを収集する。フローf2において、これらの入力データと図5の開放状態の入力データを比較し、一致する場合は入力接点Nが開放状態であると判定する。
【0068】
入力データと開放状態の入力データとが一致しない場合には、フローf3に進み図6の閉成状態の入力データと比較する。そして、一致する場合は入力接点Nが閉成状態であると判定し、一致しない場合は接点入力制御装置1が故障であると判定する。
【0069】
図8は接点入力制御装置1が故障の状態として、例えば入力接点Nがオフの開放状態で検査電圧印加部3のフォトカプラP4のフォトトランジスタT4が導通側に故障したときの動作タイムチャート図であり、図9はこの故障時の入出力論理表を示している。
【0070】
フォトカプラP4のフォトトランジスタT4が導通側に故障して抵抗R6を介して接点入力部2の検査電圧入力端子2cに直流電源Eから電流が流れ続けると、検査制御信号S4からのHレベル/Lレベルの入力信号に関係なく、検査制御アンサ信号S3をHレベル信号として出力する。
【0071】
図9において、○で囲まれた個所は、図5及び図6の出力論理表の何れにも一致しない個所であり、このため図7のフローf3において不一致のエラーと判定し、本体内に故障が生じたと判定することになる。
【0072】
なお、この場合は検査制御アンサ信号S3に不一致が見られることから、検査電圧印加部3が故障していることが分かる。検査電圧印加部3と同様に、1対のフォトカプラP1及びP2を備える接点入力部2にも、図8図9に示すような故障が発生する場合がある。この場合には、接点入力信号S1に対して、図5及び図6の出力論理表と不一致が発生するため、接点入力部2が故障したと判定することができる。
【0073】
また、一時的な回路の接触不良等により、図7のフローf3において、不一致による故障とする誤検出を防止するために、所定時間間隔で図7の処理を実行し、所定回数、不一致が連続した場合に、本体内に故障が発生した判定するようにしてもよい。
【0074】
このように、従来のパルストランスを備える検査電圧印加部3に対して、パルストランスに代えて、接点入力部2と同様に1対のフォトカプラP3及びP4を採用することで、回路の小形化、コストの低減を図ることが可能となる。
【0075】
また制御部4において、検査電圧印加部3から検査制御アンサ信号S3の入力信号を得ることで、接点入力制御装置1内の接点入力部2又は検査電圧印加部3の何れかが異常であることを容易に判定することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 接点入力制御装置
2 接点入力部
2a 接点電圧入力端子
2b マイナス入力端子
2c 検査電圧入力端子
2d、3c 出力端子
2e、3d 入力端子
3 検査電圧印加部
3a 検査電圧出力端子
3b 直流電源入力端子
4 制御部
E 直流電源
N 入力接点
P1〜P4 フォトカプラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9