(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435258
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】波長変換側面被覆を具備する発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20181126BHJP
【FI】
H01L33/50
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-502519(P2015-502519)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公表番号】特表2015-511773(P2015-511773A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】IB2013052390
(87)【国際公開番号】WO2013144834
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】61/617,903
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンポーラ ケネス
(72)【発明者】
【氏名】チェ ハン ホ
【審査官】
島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−300460(JP,A)
【文献】
特開2006−005367(JP,A)
【文献】
特開2006−352036(JP,A)
【文献】
特開2005−123560(JP,A)
【文献】
特開2013−182918(JP,A)
【文献】
特表2010−519757(JP,A)
【文献】
特開2006−156604(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0163322(US,A1)
【文献】
米国特許第07804103(US,B1)
【文献】
特開2011−105951(JP,A)
【文献】
特開2006−114900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端発光面を有する半導体発光装置であり、前記上端発光面と対向する前記半導体発光装置の表面において少なくとも1つの端子を有する、半導体発光装置と、 前記半導体発光装置の前記上端発光面の上に配置される前もって作成された第1波長変換部材であり、前記上端発光面の対応する断面と同じ幅である断面を有する、第1波長変換部材と、 前記半導体発光装置の側面の上に配置され、かつ、前記半導体発光装置の前記上端発光面を覆わない第2波長変換部材であり、前記上端発光面を越えて延びない、第2波長変換部材と、 を有し、 前記第1波長変換部材及び前記第2波長変換部材は、異なる波長変換材料を有する、 構造体。
【請求項2】
前記第1波長変換部材は、透明材料に埋め込まれた蛍光体を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1波長変換部材は、セラミック蛍光体を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記第2波長変換部材は、透明マトリックス内に配置される粉末蛍光体を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記第1波長変換部材は、緑色光又は黄色光を放射する波長変換材料を有し、前記第2波長変換部材は、赤色光を放射する波長変換材料を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記第2波長変換部材は、散乱粒子を有する、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
上端発光面を有する半導体発光装置を供給するステップであり、前記半導体発光装置は前記上端発光面と対向する表面において少なくとも1つの端子を有する、ステップと、 前記半導体発光装置の前記上端発光面の上に前もって作成された第1波長変換材料を配置するステップであり、前記第1波長変換部材は、前記上端発光面の対応する断面と同じ幅である断面を有する、ステップと、 前記半導体発光装置の前記上端発光面の上に第1波長変換材料を配置した後に、前記半導体発光装置の側面の上に第2波長変換材料を配置するステップであり、前記第2波長変換部材は、前記上端発光面を越えて延びない、ステップと、 前記少なくとも1つの端子に対してマウントを接続するステップ、 を有する、方法。
【請求項8】
前記第1波長変換材料は、セラミック蛍光体である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1波長変換材料は、ガラスに埋め込まれた蛍光体である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記前もって作製された波長変換部材は、波長変換材料の第1領域と、透明材料の第2領域とを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記半導体発光装置の前記上端発光面に前もって作製された波長変換部材を取り付けることは、前記第1領域が、前記半導体発光装置と前記第2領域との間に配置されるように、前記前もって作製された波長変換部材を取り付けることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記半導体発光装置の前記上端発光面に前もって作製された波長変換部材を取り付けることは、前記第2領域が、前記半導体発光装置と前記第1領域との間に配置されるように、前記前もって作製された波長変換部材を取り付けることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記半導体発光装置の側面上に第2波長変換材料を配置することは、前記第2波長変換材料を成型することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記第1波長変換材料及び前記第2波長変換材料は、異なる色の光を放射する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体等の波長変換材料を含む側面被覆と組み合わされた、発光ダイオード等の半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)、共振空洞発光ダイオード(RCLED)、垂直空洞レーザダイオード(VCSEL)、及びエッジ放射レーザを含む半導体発光装置は、現在利用可能な最も効率的な光源のうちの一つである。可視スペクトルにわたり動作可能な高輝度発光装置の製造において、現在関心が持たれている材料系は、III−V族半導体を含み、特に、III族窒化物材料とも呼ばれるガリウム、アルミニウム、インジウム、及び窒素の2元、3元、及び4元合金である。一般的に、III族窒化物発光装置は、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシ(MBE)、又は他のエピタキシャル技術により、様々な組成及びドーパント濃度の半導体層のスタックを、サファイア、炭化シリコン、III族窒化物、又は他の適切な基板上でエピタキシャル成長させることによって作製される。スタックは多くの場合、例えばSiでドープされ、基板の上を覆って形成される1以上のn型層と、当該1層又は複数層のn型層の上を覆って形成される活性領域内の1以上の発光層と、例えばMgでドープされ、当該活性領域の上を覆って形成される1以上のp型層とを含む。電気的コンタクトは、n型領域及びp型領域上で形成される。
【0003】
III族窒化物装置は、従来技術で知られているように、白色光又は他の色の光を形成するため、蛍光体等の波長変換材料と組み合わせることができる。波長変換材料は、III族窒化物装置の発光領域からの発光を吸収し、異なる波長の光を放射する。波長変換されるIII族窒化物装置は、一般照明、ディスプレイのバックライト、自動車照明、及びカメラのフラッシュ、すなわちストロボ、又は他のフラッシュ等、多くのアプリケーションのために用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、波長変換側面被覆を具備する半導体発光装置を提供することである。当該側面被覆は、装置の効率を高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、半導体発光装置、前記半導体発光装置の上面上に配置される第1波長変換部材、及び前記半導体発光装置の側面上に配置される第2波長変換部材を含む。前記第1波長変換部材及び前記第2波長変換部材は、異なる波長変換材料を含む。
【0006】
本発明の実施形態による方法は、半導体発光装置を供給することを含む。第1波長変換材料は、前記半導体発光装置の上面を覆って配置される。前記半導体発光装置の前記上面を覆って第1波長変換材料を配置した後に、第2波長変換材料は、前記半導体発光装置の側面上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】LEDの上面上に配置される波長変換層を示す。
【
図2】本発明の実施例による、LED、波長変換層、及び波長変換側面被覆を含む構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、LEDの上面上に配置される蛍光体層等の波長変換構造体12を具備する、LED10等の半導体装置を示す。波長変換構造体12は、前もって作製された、すなわち、LED10とは別に作製され、次いでLED10に取り付けられた構造体であってよい。前もって作製された波長変換構造体12の一例は、セラミック蛍光体であり、米国特許第7,361,938号により詳細に記載され、これは、本文書に参照として組み込まれる。セラミック蛍光体は、粉末蛍光体をセラミック本体に焼結することにより形成することができる。蛍光体粒子は、溶融し相互に固着し始めるまで加熱される。加熱された蛍光体粒子は、次いでセラミック厚板に形成される。セラミック厚板は、有機バインダ材料、エポキシ、シリコン、無機バインダ材料、及びガラス等の、従来のバインダ材料を含まなくてよい。前もって作製された波長変換構造体12の別の例は、ガラス又はシリコン等の透明マトリックス内に配置される、蛍光体又は他の波長変換材料である。前もって作製された波長変換構造体は、多くの場合、大きなシートとして形成され、次にLED10に相当する大きさの構造体に分離される。結果として、
図1に示されるように、前もって作製された波長変換構造体12は多くの場合、LED10の側面を被覆しない。
【0009】
前もって作製された波長変換構造体12は多くの場合、LED10の厚さと比較して厚い。例えば、セラミック蛍光体厚板又は蛍光体が埋め込まれたガラス部材は厚さ200μmであり、一方LED10は厚さ50μmである。波長変換構造体12の厚みが原因で、光の一部は波長変換構造体12の側面から放射される。側面の光は、視野角に依存して、
図1に示される構造体からの発光の見かけのバラつきを引き起こす可能性があるため、望ましくない。
【0010】
本発明の実施例では、波長変換材料は、波長変換されるLEDの側面上に配置される。波長変換側面被覆は、構造体からの発光の、色度の角度依存性によるバラつきを減らすことができ、LEDからの光の利用を改善することができる。
【0011】
図2は、本発明の実施例による構造体を示す。LED10等の半導体発光装置が供給される。以下の例では、半導体発光装置は、青色又はUV光を放射するIII族窒化物LEDであるが、半導体レーザ等のLED以外の半導体発光装置、及び他の材料系、例えば他のIII−V族材料、III族リン化物、III族ヒ化物、II−VI族材料、ZnO、又はSi系材料等から形成される半導体発光装置を用いてもよい。
【0012】
任意の適切なIII族窒化物LEDを用いることができ、こうしたLEDはよく知られている。LED10は、例えば光の大部分をLEDの上面から放射するフリップチップ装置である。こうしたLEDを形成するため、従来技術で知られているように、まず成長基板上でIII族窒化物半導体構造体が成長される。成長基板は、例えばサファイア、SiC、Si、GaN、又は複合基板等の、任意の適切な基板である。半導体構造体は、n型領域とp型領域との間に挟まれた、発光領域すなわち活性領域を含む。n型領域が最初に成長されてもよく、n型領域は、様々な組成及びドーパント濃度の多数の層を含み得、これらの多数の層は、例えば、n型であっても又は意図的にドープされていなくてもよい、バッファ層や核生成層等の準備層及び/又は成長基板の除去を促進するための層と、発光領域が効率的に光を放射するのに望ましい特定の光学、材料又は電気特性を有するn型又は更にp型のデバイス層と、を含む。発光領域すなわち活性領域は、n型領域の上を覆って成長させられる。適切な発光領域の例は、単一の厚い若しくは薄い発光層、又はバリア層により分離されている多数の薄い若しくは厚い発光層を含む多重量子井戸発光領域を含む。次に、発光領域の上を覆ってp型領域が成長させられ得る。n型領域と同様に、p型領域は、意図的にドープされていなくても又はn型であってもよい複数の層を含む、様々な組成、厚さ及びドーパント濃度の多数の層を含み得る。装置の半導体材料全ての全体の厚さは、いくつかの実施例では10μm未満であり、いくつかの実施例では6μm未満である。
【0013】
金属p端子は、p型領域上に形成される。フリップチップ装置におけるように、光の大部分が半導体構造体から出てp端子と反対面を通って進む場合、p端子は反射性であり得る。フリップチップ装置は、標準のフォトリソグラフィ工程によって半導体構造体をパターニングし、金属n端子が形成されるn型領域の表面を露わにするメサを形成するよう、p型領域の厚み全体の一部及び発光領域の厚み全体の一部を除去するために、半導体構造体をエッチングすることにより形成することができる。メサ並びにp端子及びn端子は、任意の適切な態様で形成してよい。メサ並びにp端子及びn端子の形成は、当業者によく知られている。
【0014】
半導体構造体は、p端子及びn端子を通じて、支持体に接続されてもよい。支持体は、半導体構造体を機械的に支持する構造体である。支持体は、LED10が取り付けられる構造体に取り付けるのに適切な、自己支持構造体である。例えば、支持体は、リフロー半田付けが可能である。任意の適切な支持体を利用することができる。適切な支持体の例は、半導体構造体との電気的接続を形成するための伝導性ビアを有するシリコンウェハ等の絶縁若しくは半絶縁のウェハ、例えばメッキにより半導体構造体上に形成された厚い金属ボンディングパッド、又はセラミック、金属、若しくは他の適切なマウントである。
【0015】
LED10は、半導体構造体、金属端子、及び上述の支持体を含み、任意選択でマウント16に取り付けられてもよい。マウント16は、光反射性及び熱伝導性であり得る。LED10への電気的接続は、マウント16を通じて形成されてもよい。適切なマウント16の例は、メタルコアプリント回路基板、FR4材料をベースとしたプリント回路基板、セラミック、金属、銅、プラスチック、及びシリコンを含む。いくつかの実施例では、マウント16の上面は反射性であり、又は、反射性塗料若しくは反射性金属の層等の反射性物質で被覆される。マウント16は、いくつかの実施例では少なくとも0.1W/mK(シリコン)、いくつかの実施例では少なくとも10W/mK、及びいくつかの実施例では少なくとも100W/mKの、並びにいくつかの実施例では0.1W/mKと400W/mKとの間の、熱伝導率を有する。
【0016】
波長変換層12は、LED10の上面上に形成される。波長変換層12は、1以上の従来の蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II−VI族若しくはIII−V族半導体、II−VI族若しくはIII−V族の半導体量子ドット若しくはナノクリスタル、染料、ポリマー、又はGaN等の発光材料でよい。ガーネット系蛍光体、Y
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Al
5O
12:Ce、Y
3Al
5−xGa
xO
12:Ce、(Ba
1−xSr
x)SiO
3:Eu(BOSE)、窒化物系蛍光体、(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu、及び(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、を含むがこれらに限定されない、任意の適切な蛍光体を用いることができる。波長変換材料12は、単一の波長変換材料、又は共に混合される複数の波長変換材料、若しくはLED10の上面上で分離した層に配置される複数の波長変換材料を含み得る。いくつかの実施例では、波長変換層12はLED10の側面を覆って広がり得、下記に記載する第2波長変換層22は、LED10の側面を被覆する波長変換層12の一部を覆って形成されるが、多くの場合には、波長変換層はLED10の側面を被覆しない。
【0017】
いくつかの実施例では、波長変換層12は、LED10に取り付けられる時に、同時に形成される。こうした波長変換層の例は、電気泳動堆積法により形成される粉末蛍光体、及び、LED10を覆って成型、スクリーンプリント、スプレーコート、若しくは注入される、シリコン若しくはエポキシ等の透明バインダ材料と混合された染料又は粉末蛍光体を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、波長変換層12は、セラミック蛍光体、又はガラス若しくは他の透明固体材料内に配置された波長変換材料等の、前もって作製された波長変換層である。適切な前もって作製された波長変換材料は、
図1についての説明において上述されている。前もって作製された波長変換層12は、エポキシ、シリコン、又はガラス等の任意の適切な結合材料でよい透明結合層20により、LED10の上面に取り付けられてよい。あるいは、前もって作製された波長変換層12は、例えば焼結又は熱加圧することにより、結合層なしにLED10に取り付けられてもよい。
【0019】
図3、
図4、及び
図5は、前もって作製された波長変換部材12の様々な例を示す。
図3の波長変換部材12においては、波長変換材料28は、波長変換部材の、LED10から最も遠い部分に限定される(LED10は、波長変換部材12の底面32に隣接して配置される。)。波長変換部材12の残余部分30は、透明材料又は散乱構造体であり得る。例えば、波長変換材料28はガラス等の透明材料に配置された蛍光体であり得る。透明部分30は波長変換材料を含まないガラスでよく、当該ガラス内に埋め込まれた散乱粒子を含んでも含まなくてもよい。波長変換部材12はセラミック蛍光体であり得る。典型的には、蛍光体は結晶マトリックス及び活性化ドーパントを含む。例えば、従来技術で知られるように、YAGクリスタルが、活性化ドーパントであるセリウム及び/又はユーロピウムでドープされてよい。活性化ドーパントは結晶マトリックスを発光させる。
図3に示される構造により形成されたセラミック蛍光体では、28の部分は、結晶マトリックス及び活性化ドーパントを含み得る。30の部分は、結晶マトリックスだけを含んで活性化ドーパントを含まなくてもよい。28の部分及び30の部分は、上述のとおり、共に焼結されてセラミック厚板とされ得る。
【0020】
図4に示される波長変換部材12においては、波長変換部分28は、波長変換部材12の、LED10に最も近い部分(底面32)に限定される。透明部分30は、波長変換部分28の上側に位置する。
【0021】
図5に示される波長変換部材12においては、波長変換部分28は、波長変換部材12の中央に配置される。透明部分30A及び透明部分30Bが、波長変換部分28の上側及び下側に配置される。
【0022】
図2に戻ると、LED10及び波長変換層12の側面上に側面被覆22が形成される。側面被覆22は、透明マトリックス24内に配置される波長変換材料26を含み得る。波長変換材料26は、1以上の従来の蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II−VI族若しくはIII−V族半導体、II−VI族若しくはIII−V族の半導体量子ドット若しくはナノクリスタル、染料、ポリマー、又はGaN等の発光材料でよい。ガーネット系蛍光体、Y
3Al
5O
12:Ce、Lu
3Al
5O
12:Ce、Y
3Al
5−xGa
xO
12:Ce、(Ba
1−xSr
x)SiO
3:Eu(BOSE)、窒化物系蛍光体、(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu、及び(Ca,Sr,Ba)
2Si
5N
8:Eu、を含むがこれらに限定されない、任意の適切な蛍光体を用いることができる。波長変換材料26は、単一の波長変換材料又は、共に混合される複数の波長変換材料、若しくは当該構造体の側面上で分離した層に配置される複数の波長変換材料を含んでよい。
【0023】
いくつかの実施例では、側面被覆22は、被覆上で入射光を散乱させる。いくつかの実施例では、粉末蛍光体等の散乱波長変換材料が用いられる。いくつかの実施例では、TiO
2又は他の適切な散乱材料等の散乱粒子が、側面被覆22内で、散乱又は非散乱波長変換材料と混合される。あるいは、散乱粒子は分離した側面被覆層として波長変換側面被覆22の上を覆って又は側面被覆22の下に形成させてもよい。
【0024】
透明マトリックス24は、シリコン又はエポキシ等の適切な透明材料でよい。いくつかの実施例では、透明マトリックス24は省かれ、波長変換材料26はLED10及び波長変換部材12の側面に直接付けられる。
【0025】
側面被覆22は、任意の適切な技術により形成され得る。いくつかの実施例では、側面被覆22は、粉末蛍光体等の波長変換材料を、スラリを形成するためにシリコン等の液体マトリックス材料と混合することにより形成される。スラリはシート状に形成され、次いでシートがフレキシブルとなるよう部分的に硬化され得る。次に、フレキシブルなシートは、市販の入手可能なラミネート機械を用いてLED10の側面上に積層される。あるいは、スラリを例えばシリンジを用いてLED10の側面上に分配し、次に例えば150℃の高温で固体に硬化させてもよい。あるいは、スラリを例えばドクターブレードを用いてLED10の側面上に被覆し、次に例えば150℃の高温で固体に硬化させてもよい。いくつかの実施例では、側面被覆22はLED10上に成型される。適切なサイズ及び形状のモールドが、LED10を覆って配置され、次に液体マトリックス材料と混合された波長変換材料で充填される。液体マトリックス材料は固体に硬化され、次にモールドは除去され、側面被覆22が残される。いくつかの実施例では、波長変換材料はLED10の上面及び側面を覆って配置され、次に波長変換材料は例えばスクレーピングによりLED10の上部から除去され、側面被覆22のみが残される。
【0026】
いくつかの実施例では、側面被覆22は、側面被覆上の入射光の全て又は大部分が波長変換されるのに十分厚く形成される。いくつかの実施例では、側面被覆22の厚さは、一部の波長変換されないLED10からの光が漏れ出すことが可能なように選択される。
【0027】
いくつかの実施例では、側面被覆22は、視野角に関係なく均一な色分布を生成する。
【0028】
上述のとおり、波長変換領域12及び波長変換領域22のそれぞれは、単一の波長変換材料、又は混合された若しくは分離した複数の波長変換材料を含み得る。いくつかの実施例では、波長変換領域12及び波長変換領域22は、異なる波長変換材料を含む。いくつかの実施例では、LED10の側面上に赤色放射蛍光体が配置され、LED10の上面上に緑色放射蛍光体又は黄色放射蛍光体が配置される。いくつかの実施例では、LED10の上面上及び側面上の両方に、赤色放射蛍光体と緑色/黄色放射蛍光体との混合物が配置される。いくつかの実施例では、LED10の側面上に赤色放射蛍光体と赤色放射量子ドットとの混合物が配置され、LED10の上面上に複数のタイプの緑色放射蛍光体の混合物が配置される。いくつかの実施例では、LED10の側面上に単一の赤色放射蛍光体が配置され、LED10の上面上に同一又は異なる赤色放射蛍光体と緑色/黄色放射蛍光体との混合物が配置される。上記の実施例は、当業者に明白で、本発明の範囲内の、多くの可能な組み合わせのうちのごくわずかである。
【0029】
いくつかの実施例では、装置は、波長変換材料Aを含み、波長変換材料Aは、別の波長変換材料Bの発光により励起されることができる。これら波長変換材料間の相互作用を最小化するために、波長変換材料AをLED10の側面上に配置し、一方波長変換材料BをLED10の上面上に配置することができる。
【0030】
例えば、白色光を形成する装置は多くの場合、青色LEDと、赤色放射蛍光体と、緑色放射蛍光体又は黄色放射蛍光体とを含む。赤色光を放射する蛍光体の多くは、緑色放射蛍光体又は黄色放射蛍光体からの発光を吸収するであろう。いくつかの実施例では、LED10の側面上に赤色放射蛍光体が配置され、LED10の上面上に緑色放射蛍光体又は黄色放射蛍光体が配置される。こうした配置では、赤色放射蛍光体は、赤色蛍光体と緑色/黄色蛍光体とが混合されたシステムより、少ない緑色光又は黄色光を吸収し、これにより混合光のカラーレンダリングインデックスを改善し、装置の効率性を高め、カラーターゲットを簡素化することができる。
【0031】
図6は、
図2に示される構造体の形成方法を示す。ステージ36で、LED10を供給する。LED10は、マウント16に必ずしも取り付ける必要はないが、取り付けてもよい。ステージ38で、波長変換部材12は、前もって作製された波長変換部材である場合にはLED10に取り付けられ、その他の場合にはLED10の上を覆って形成される。ステージ40で、波長変換側面被覆22はLED10上に形成される。波長変換側面被覆22は、多くの場合LED10及び波長変換部材12の両方の側面を被覆するが、いくつかの実施例では、波長変換側面被覆22は、LED10の側面だけ若しくは波長変換部材12の側面だけを被覆してもよく、又はLED10及び波長変換部材12のいずれか又は両方の側面の一部を被覆してもよい。
【0032】
本発明の実施例は、いくつかの利点を提供することができる。LEDの上面上の波長変換層からの散乱が増加すると、波長変換されるLEDの光効率は低下する。いくつかの実施例では、散乱波長変換材料の一部をLEDの上面から除去して側面に配置し、これにより構造体の効率を高めることができる。LEDの側面に波長変換材料を付けることで、構造体からの発光の望ましいカラーポイントを達成するために調整することができる他のパラメータを提供することができ、これによりカラーターゲティングを簡素化し、又は装置の効率性を高めることができる。波長変換側面被覆の利用は、構造体において散乱粒子を利用する必要性を減少又は除去し、これにより構造体の費用及び/又は複雑さを減少することができる。波長変換側面被覆の利用は、構造体からの発光の色度の角度依存性によるバラつきを減らすことができる。波長変換側面被覆の利用は、波長変換材料を分離させることを可能とし、これにより波長変換領域間の相互作用が減少することで、効率性を高めることができる。
【0033】
本発明を詳細に説明したが、本開示により当業者は、ここに記載された発明のコンセプトの趣旨から逸脱することなく、本発明に修正を加えることが可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲が、例示及び説明された特定の実施例に限定されることを意図しない。