(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1Aは、実施例のコア−シェル触媒20を概略的に示し、
図1Bは、コア−シェル触媒20の一部のTEM像を示す。理解できるように、コア−シェル触媒20は、電気化学装置や、コア−シェル触媒20から恩恵を受けるであろう他の装置で使用できる。さらに詳細に説明するように、コア−シェル触媒20は、増加した電気化学的活性を提供する構造および材料を備える。
【0007】
コア−シェル触媒20は、多孔質のパラジウム基コア粒子22(「粒子22」)と、粒子22上の触媒層24とを備える。粒子22の孔隙は、粒子22内へ浸透して粒子22の内面を被覆し得る、触媒層24のためのより多くの量の自由表面領域を提供する。粒子22は、中実の連続格子構造26(白い部分で表される)と、開気孔28とを備える。開気孔28は、粒子22の大部分に延在する。一実施例では、粒子22は、20%以上の多孔度を有する。別の実施例では、粒子22は、50%以上の多孔度を有する。
【0008】
粒子22は、パラジウム基であり、従って、主要金属成分としてパラジウムを含む。一実施例では、粒子は、痕跡不純物量を超える他の金属を除き、パラジウムだけを有する。別の実施例では、粒子22は、主要金属成分としてパラジウムと、少なくとも1つの遷移金属とを含む。1つまたは複数の遷移金属は、周期表の3族〜12族、アクチノイド元素、およびランタノイド元素内の任意の元素を含むことができる。任意選択的に、粒子22はまた、カーボンブラックなどの炭素基材料を含むことができる。
【0009】
使用される遷移金属の量と種類は、パラジウムの原子格子構造を修正するのに役立ち、次いで、コア−シェル触媒20の電気化学的活性に影響を及ぼす。一実施例では、遷移金属は、ニッケルを含む。さらなる実施例では、粒子22は、痕跡不純物量を超える他の元素を除き、パラジウムおよびニッケルだけを有する。
【0010】
触媒層24の組成は、コア−シェル触媒20の意図する最終使用のために選択できる。一実施例では、触媒層24は、白金を含むが、代替としてまたは付加的に、他の金属も含むことができる。さらなる実施例では、触媒層24は、白金単層である。単層は、ほぼ一原子の厚みである。しかしながら、単層は一般に均一な厚みであるが、いくつかの部分がより薄かったり(亜単層(submonolayer))、より厚かったり(数原子の厚み)することがあることは理解されたい。
【0011】
さらなる実施例では、粒子22のパラジウムの原子格子構造は、触媒層24の電気化学的活性を増加させるように1つまたは複数の遷移金属の添加によって修正される。一実施例では、粒子22は、重量で10:1以上の、パラジウムの量の1つまたは複数の遷移金属の量に対する比を有する。触媒層24として白金と、粒子22内で遷移金属としてニッケルとを用いることに基づくさらなる実施例では、パラジウムのニッケルに対する重量比は、20:1以上、または30:1以上である。
【0012】
図2は、本明細書に記載する、実施例の、多孔質のパラジウム基コア粒子22を作成する方法40を示す。方法40は、ステップ42において、犠牲材料が散在したパラジウムを有する前駆物質粒子を提供することを含む。ステップ44において、犠牲材料の少なくとも一部は、残留する前駆物質粒子が多孔質(すなわち、多孔質のパラジウム基コア粒子22)となるように除去される。例えば、犠牲材料は、パラジウムとよりは犠牲材料とより大きな反応性を有する酸を用いる酸洗浄によって除去される。
【0013】
さらなる実施例では、犠牲材料は、粒子22の1つまたは複数の遷移金属である。例えば、前駆物質粒子は、パラジウムと、1つまたは複数の遷移金属とを含む。1つまたは複数の遷移金属は、粒子22内での所望の量より多い量で前駆物質粒子内に提供される。次いで、1つまたは複数の遷移金属の一部は、粒子22内に孔隙を生成するように除去(すなわち「非合金化」)される。従って、体積で、前記物質粒子内の1つまたは複数の遷移金属の最初の量はまた、生成された孔隙より大きいが、それというのも、1つまたは複数の遷移金属の一部が、除去ステップ44が終了した後に、粒子22内に格子修正剤として残るからである。
【0014】
さらなる実施例では、方法40は、含浸法および共還元法を含む、前駆物質粒子を提供する2つの方法のうちのいずれか一方を利用する。含浸法では、固体パラジウム粒子が、1つまたは複数の遷移金属の塩と混合される。次いで、塩は、1つまたは複数の遷移金属が散在したパラジウムを形成するよう1つまたは複数の遷移金属が固体パラジウム粒子内に含浸するように、還元される。次いで、固体パラジウム粒子内に含浸された遷移金属の少なくとも一部は、粒子22を形成するように除去される。
【0015】
代替として、共還元法では、パラジウム塩および1つまたは複数の遷移金属の塩が、1つまたは複数の遷移金属が散在したパラジウムを形成するように、共還元され、その後、粒子22を形成するように遷移金属の少なくとも一部を除去する。含浸または共還元、いずれの技術も、前駆物質粒子は、パラジウムおよび犠牲材料の散在を促進するように熱処理に掛けることができる。以下の実施例はさらに、それぞれの技術の詳細を例示する。
【0016】
実施例1: 含浸法; PdNi
6/Cに対する60℃、1MのHNO
3酸洗浄過程
1)1gの35%Pd/Cを、50mLの超純水の入っている100mLのビーカーに加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)1:6のモル比のPd:Niを得るための必要量の硝酸ニッケル六水和物を25mLの水に溶解して、前駆物質溶液をPd/Cの分散液に加える
3)懸濁液を攪拌プレート上で攪拌し、大部分の水が蒸発して濃厚スラリーまたは湿った固形物が生成されるまで、懸濁液を95℃に加熱する
4)真空乾燥器内で80℃で2〜3日乾燥する
5)ビーカーから粉末をかきとり、乳鉢と乳棒を用いてすりつぶし、それをデシケーター内で一晩放置する
6)2gの粉末をセラミックまたは石英製の舟形容器に入れ、それを管状炉内に入れる
7)4%のH
2/アルゴン中で400℃に2時間加熱し、アルゴン中で1時間保持する
8)アルゴン中で700℃に1時間加熱し、アルゴン中で4時間保持し、室温まで冷却する
9)触媒(PdNi
6/C)を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
酸洗浄ステップ1:
1)800mgのPdNi
6/Cを、230mLの超純水の入っている250mLのビーカーに加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する; PdNi
6/Cの懸濁液を500mLの丸底フラスコに移す
2)フラスコを60℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
3)予熱した60℃、172mLの2.3MのHNO
3をすばやくフラスコ内に加え、1.58時間、攪拌を継続する
4)固形物を濾過して取り出す
酸洗浄ステップ2:
1)固形物を170mLの超純水中で再分散させ、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)固形物を250mLの丸底フラスコに移す
3)フラスコを60℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
4)予熱した60℃、47mLの0.5MのH
2SO
4をすばやくフラスコ内に加え、4〜9時間、攪拌を継続する
5)固形物を濾過して取り出し、固形物を400mLずつの超純水を用いて5回洗浄する
6)固形物を真空乾燥器内で60℃で一晩乾燥する; 触媒を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
7)通常、実施例1は結果として、約20〜30のPd対Ni重量比を有する多孔質のコアが得られる; ICPの結果による組成に基づいてNi含有量が高すぎる場合は必要に応じて、60℃、0.5MのH
2SO
4を用いてさらなる非合金化を行う。
【0017】
多孔質構造を生成するために、酸洗浄の第1のステップは、希HNO
3溶液を用いてさまざまな温度で細孔を生成する。温度が高ければ高いほど、必要とされる時間は短くなる。第2のステップは、希H
2SO
4を用いてさまざまな温度でコアからNiをさらに除去する。両方のステップでH
2SO
4だけを用いる場合、多孔質構造は形成されず、結果として低表面積となる。
【0018】
実施例2: 含浸方法からのPdNi
6/Cに対する50℃、1MのHNO
3酸洗浄過程
1)800mgのPdNi
6/Cを、230mLの超純水の入っている250mLのビーカーに加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する; PdNi
6/Cの懸濁液を500mLの丸底フラスコに移す
2)フラスコを50℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
3)予熱した50℃、172mLの2.3MのHNO
3をすばやくフラスコ内に加え、5時間、攪拌を継続する
4)固形物を濾過して取り出す
酸洗浄ステップ2:
1)固形物を170mLの超純水中で再分散させ、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)固形物を500mLの丸底フラスコに移す
3)フラスコを50℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
4)Pd(NO
3)
2で飽和した、予熱した50℃、180mLの1MのHNO
3をすばやくフラスコ内に加え、8.5時間、攪拌を継続する
5)固形物を濾過して取り出し、固形物を400mLずつの超純水を用いて5回洗浄する
6)固形物を真空乾燥器内で60℃で一晩乾燥する; 触媒を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
7)通常、実施例2は結果として、約20〜30のPd対Ni重量比を有する多孔質のコアが得られる; ICPの結果による組成に基づいてNi含有量が高すぎる場合は必要に応じて、ステップ2のさらなる非合金化を行う。
【0019】
実施例3: 共還元法; 共還元方法からのPdNi
6/Cに対する80℃、0.5MのH
2SO
4酸洗浄過程
1)600mgのふるい分けしたケッチェンブラック(Ketjen Black)カーボン支持体を1Lのビーカーへ、600mLの超純水内に加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)400RPMで攪拌しながら、1gの硝酸パラジウム水和物と、6.56gの硝酸ニッケル六水和物とを加える
3)0.1:1のPVP対金属モル比を実現するように14.47gのPVPをゆっくり加え(PVPを溶解させるのに必要なように攪拌速度を調節し)、約30分間攪拌する
4)混合物中にNaBH
4溶液(100mLの水中に5.97g)を滴下する
5)NaBH
4溶液を加えた後、800RPMで1時間攪拌する
6)溶液を濾過し、3Lの超純水で洗浄する
7)固形物を真空下、60℃で一晩または乾燥するまで乾燥する
8)(炭素を燃焼させるのを避けるように)触媒が冷却した後に触媒の燃焼を防止するように約1〜2%のO
2/N
2流を用いて固形物を不動態化する
9)乾燥後、固形物をすりつぶし、全重量を記録する
10)触媒を700℃に1時間加熱し、アルゴン中で4時間保持する
11)室温まで冷却し、触媒を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
酸洗浄ステップ1:
1)1.25gのPdNi
6/Cを、490mLの超純水の入っている600mLのビーカーに加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する; PdNi
6/Cの懸濁液を500mLの丸底フラスコに移す
2)フラスコを80℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
3)予熱した80℃、135mLの2.3MのH
2SO
4をすばやくフラスコ内に加え、5時間、攪拌を継続する
4)固形物を濾過して取り出す
酸洗浄ステップ2:
1)固形物を196mLの超純水中で再分散させ、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)固形物を500mLの丸底フラスコに移す
3)フラスコを80℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
4)予熱した80℃、47mLの0.5MのH
2SO
4をすばやくフラスコ内に加え、1.5〜2時間、攪拌を継続する
5)固形物を濾過して取り出し、固形物を400mLずつの超純水を用いて5回洗浄する
6)固形物を真空乾燥器内で60℃で一晩乾燥する; 触媒を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
7)通常、実施例3は結果として、約20〜30のPd対Ni重量比を有する多孔質のコアが得られる; ICPの結果による組成に基づいてNi含有量が高すぎる場合は必要に応じて、80℃、0.5MのH
2SO
4を用いてさらなる非合金化を行う。
【0020】
実施例4: 共還元方法からのPdNi
6/Cに対する25℃、1MのHNO
3酸洗浄過程
酸洗浄ステップ1:
1)1.25gのPdNi
6/Cを、490mLの超純水の入っている600mLのビーカーに加え、超音波処理を行い、30分間攪拌する; PdNi
6/Cの懸濁液を500mLの丸底フラスコに移す
2)135mLの2.3MのHNO
3をすばやくフラスコ内に加え、6.5時間、攪拌を継続する
3)固形物を濾過して取り出す
酸洗浄ステップ2:
1)固形物を196mLの超純水中で再分散させ、超音波処理を行い、30分間攪拌する
2)固形物を500mLの丸底フラスコに移す
3)フラスコを80℃の水浴に入れ、500rpmで攪拌を継続する
4)予熱した80℃、47mLの0.5MのH
2SO
4をすばやくフラスコ内に加え、2〜2.5時間、攪拌を継続する
5)固形物を濾過して取り出し、固形物を400mLずつの超純水を用いて5回洗浄する
6)固形物を真空乾燥器内で60℃で一晩乾燥する; 触媒を乳鉢と乳棒を用いてすりつぶす
7)通常、実施例4は結果として、約20〜30のPd対Ni重量比を有する多孔質のコアが得られる; ICPの結果による組成に基づいてNi含有量が高すぎる場合は必要に応じて、80℃、0.5MのH
2SO
4を用いてさらなる非合金化を行う。
【0021】
以下の表は、材料、合成方法、形成技術、炭素支持体上に堆積させたパラジウムの基準触媒粒子に比較した、結果として得られる粒子22の電気化学的面積の概要を示す。表中、「ICP(%)」は、既知の誘導結合プラズマ技術によって決定された重量百分率による組成を意味し、組成の残部は、炭素基材料である。表から、含浸方法により調製した試料で両方のステップにおいてH
2SO
4だけを用いる場合、多孔質構造が形成されず、結果として、低表面積となる。
【0024】
図3は、さらなる実施例の、コア−シェル触媒20を作成する方法60を示す。先に説明した方法40から理解できるように、前駆物質粒子内で使用する犠牲材料の量は、所望の目標表面積を有する粒子22を提供するように調節することができる。方法60は、ステップ62において、コア−シェル触媒20について目標表面積を特定することを含む。例えば、目標表面積は、コア−シェル触媒20の意図する最終使用に応じて変化し得る。ステップ64において、多孔質のパラジウム基コア粒子22は、コア粒子22が目標表面積を有するように、目標表面積の特定に応答して形成される。ステップ66において、触媒層24が粒子22上に堆積されて、それによって、目標表面積を有するコア−シェル触媒20を形成する。コア粒子上にそのような触媒層を堆積させる技術は、既知であり、従って、詳細は、本開示中には述べられていない。
【0025】
例示の実施例に特徴の組み合わせを示しているとはいえ、それらの全てを本開示のさまざまな実施例の利益を実現するために組み合わせる必要はない。すなわち、本開示の実施例に従って設計されるシステムは、図面のいずれか1つに示される特徴の全てまたは図面に概略示される部分の全てを必ずしも含む必要はない。さらに、例示的な一実施例の選択された特徴を他の例示的な実施例の選択された特徴と組み合わせることができる。
【0026】
上記の説明は、本質的に限定ではなく例示である。本開示の本質から必ずしも逸脱しない開示の実施例に対する変更および修正が、当業者には明らかとなり得る。本開示に与えられる法的保護範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定され得る。
なお、好ましい、コア−シェル触媒用のパラジウム基コア粒子を作成する方法、コア−シェル触媒を作成する方法について、以下に記載する。
好ましい、コア−シェル触媒用のパラジウム基コア粒子を作成する方法は、
(a)犠牲材料が散在したパラジウムを有する前駆物質粒子を提供し、
(b)残留する前駆物質粒子が多孔質となるように犠牲材料の少なくとも一部を除去する、
ことを含む。
方法は好ましくは、犠牲材料が少なくとも1つの遷移金属を含む。
方法は好ましくは、少なくとも1つの遷移金属がニッケルを含む。
方法は好ましくは、少なくとも1つの遷移金属チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛、およびモリブデン。
方法は好ましくは、残留する前駆物質粒子内の目標の所望の量の多孔度に応じて前駆物質粒子内の犠牲材料の量を選択することをさらに含む。
方法は好ましくは、除去ステップが終了した後に、犠牲材料の一部が前駆物質粒子内に残留するように、前駆物質粒子内の犠牲材料の体積による量が、残留する前駆物質粒子内の目標の所望の量の多孔度より大きい。
方法は好ましくは、前記ステップ(a)が、非多孔質のパラジウム粒子を提供し、非多孔質のパラジウム粒子に犠牲材料を注入することを含む。
方法は好ましくは、前記ステップ(a)が、パラジウムの塩と、犠牲材料の塩とを提供し、前駆物質粒子を形成するように、パラジウムの塩と、犠牲材料の塩とを還元することを含む。
方法は好ましくは、前記ステップ(a)が、パラジウムと犠牲材料とを散在させるように前駆物質粒子を熱処理に掛けることを含む。
方法は好ましくは、前記ステップ(b)が、細孔を生成しかつ遷移金属を除去するように酸を用いることを含む。
方法は好ましくは、前記酸が、硝酸、硫酸、過塩素酸および酢酸から成る群より選択される。
方法は好ましくは、前記ステップ(b)が、最高90℃までの温度で行われる。
方法は好ましくは、2つ以上の酸洗浄ステップを含む。
好ましい、コア−シェル触媒を作成する方法は、
(a)コア−シェル触媒について目標表面積を特定し、
(b)多孔質のパラジウム基コア粒子が目標表面積を有するように、ステップ(a)に応じて多孔質のパラジウム基コア粒子を形成し
(c)目標表面積を有するコア−シェル触媒を形成するように多孔質のパラジウム基コア粒子上に触媒層を堆積させる、
ことを含む。