【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願によれば、ヒト化抗体中に存在するアミノ酸の変異により、特にはヒト化抗体のペプチド配列を改変するがヒドロパシー指標(すなわち、疎水性及び電荷)を維持することにより、例えば以下のアミノ酸置換:アルギニン-リジン又はグルタミン酸-アスパラギン酸又はセリン-スレオニン又はグルタミン-アスパラギン又はバリン-ロイシン-イソロイシン置換により、前記親和性を増大させることができる。
【0009】
本発明の目的の1つは、対応する非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性及びAMHR-IIレセプターに関する特異性を有し、免疫応答を誘引しない変異ヒト化12G4抗体又はそのフラグメントを提供することである。
本発明の別の1つの目的はまた、AMHR-IIレセプターの前記特異的抗体を作製する手段を提供することである。
本発明は更に、これら抗体の卵巣ガン治療薬としての使用に関する。
【0010】
本発明は、ヒト化12G4モノクローナル抗体に関し、該抗体は、
a)− アミノ酸配列が配列番号2(リーダー無し)若しくは配列番号4(リーダー有り)で表される可変領域と、
− アミノ酸配列が配列番号6若しくは配列番号6と少なくとも80%の相同性を有する配列で表される定常領域と
を含んでなるか又は該両領域からなる軽鎖
b)− アミノ酸配列が配列番号8(リーダー無し)若しくは配列番号10(リーダー有り)で表される可変領域と、
− アミノ酸配列が配列番号12若しくは配列番号12と少なくとも80%の相同性を有する配列で表される定常領域と
を含んでなるか又は該両領域からなる重鎖
を含んでなるか又は該両鎖からなり、該ヒト化12G4モノクローナル抗体は変異しており、軽鎖及び/又は重鎖に少なくとも1つの変異を含み、かつヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプター(AMHRII)に対して、
− アミノ酸配列が配列番号14(リーダー無し)で表される可変領域と、
− アミノ酸配列が配列番号6で表される定常領域
b) − アミノ酸配列が配列番号18(リーダー無し)又は配列番号10(リーダー有り)で表される可変領域と、
− アミノ酸配列が配列番号12で表される定常領域と
からなる重鎖
を含んでなるか又は該両鎖からなるキメラ12G4モノクローナル抗体の該レセプターに対するものと少なくとも等しいK
D、好ましくは10
-7Mを下回る、特に10
-8Mを下回る、特には10
-9M〜10
-11Mの範囲のK
Dを有する。
【0011】
本発明の抗体はまた、マウス12G4抗体のものの3分の1又は2分の1に少なくとも等しい親和性を示す。
本説明を通して、配列番号の後の括弧中の表現「リーダー有り」は、当該配列がシグナルペプチド(すなわち、当該タンパク質が分泌されることを規定するペプチド)又は該シグナルペプチドをコードする配列を含んでなることを示す。
反対に、括弧中の表現「リーダー無し」は、当該配列がシグナルペプチドも該シグナルペプチドをコードする配列も含まないことを示す。
【0012】
本発明は、本発明の変異ヒト化12G4抗体が、CDR(3つの抗原認識決定領域)中、すなわち抗原への親和性及び結合に重要であり、原則として、同じヒドロパシー指標のアミノ酸の置換のみを許容する領域中に、ヒドロパシー指標が関係しない少なくとも1つの変異((例えば、アルギニン-リジン、グルタミン酸-アスパラギン酸、セリン-スレオニン、グルタミン-アスパラギン又はバリン-ロイシン-イソロイシン)を有するにもかかわらず、依然として、以下の特性を有する:
− 対応するキメラ12G4抗体のものと少なくとも類似するか又はそれより小さくさえあるAMHR-IIレセプターに対するK
D(実施例1に従って決定)を有し、したがって対応するキメラ12G4抗体のものと、又は従来技術の抗体若しくは抗体フラグメントに関して等しいか又はそれより大きい親和性を有する
− AMHR-IIレセプターに対する特異性を有する
− 免疫応答を誘引しないか、又はマウス抗体より小さな反応を誘引する
という本発明者らの知見に基づく。
【0013】
例として、実施例1は、CHO又はYB2/0細胞において産生した本発明の抗体で得られたK
Dを提示する。
本説明を通して、用語「12G4」及び用語「LFB112」(この用語も使用する)は、同じものを指称し、同一抗体を表す。
前記抗体の親和性は、当業者に周知のBIAcoreアッセイにより決定することができる。
本発明において、用語「抗体」とは、免疫グロブリン(獲得免疫応答に関与する四本鎖からなる多量体タンパク質)をいう。
免疫グロブリンは当業者に周知であり、各々が重鎖及び軽鎖からなる2つの二量体のアセンブリからなる。この多量体の複合体は、2つのシステイン間のジスルフィド橋架けによる軽鎖及び重鎖の結合によって組み立てられ、2つの重鎖自体もまた2つのジスルフィド橋架けにより互いに結合している。
【0014】
各重鎖及び各軽鎖は、定常領域及び可変領域からなる。抗体を形成する鎖アセンブリは、特徴的なY字型の三次元構造を規定し得、ここで、
− Yの基部は、補体及びFcレセプターにより認識される定常領域Fcに相当し、
− Yの腕の端部は、それぞれ、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とのアセンブリに相当する。
より正確には、各軽鎖は、可変領域(V
L)及び定常領域(C
L)からなる。各重鎖は可変領域(V
H)と、3つの定常ドメインC
H1、C
H2及びC
H3からなる定常領域とからなる。ドメインC
H2及びC
H3はドメインFcを形成する。
抗体の構造を
図1に模式的に示す。
【0015】
軽鎖可変領域は、4つのフレームワーク領域により囲まれた3つの抗原認識決定領域(CDR)からなる。可変領域の三次元折り畳みは、3つのCDRが当該タンパク質の同じ側に曝され、特定抗原を認識する特異的構造の形成を可能にするものである。
抗体の軽鎖又は重鎖可変領域の数珠構造を
図2に示す。
【0016】
本発明に記載の抗体は、単離・精製されており、しかもヒト化されているので天然抗体とは異なる。これら抗体は成熟である。すなわち、これら抗体は、抗原の認識を可能にするアドホック(ad hoc)三次元構造を有し、抗原認識に必須の全ての翻訳後修飾(特に、グリコシル化並びに分子内及び分子間ジスルフィド橋架けの形成)を有する。
これらはモノクローナル抗体である。すなわち、これらは、抗体の混合物に相当し、したがって同一タンパク質中の幾つかの抗原決定基を認識することができるポリクローナル抗体とは対照的に、AMHR-IIレセプター中の1つの抗原決定基を唯一認識する。
「キメラモノクローナル抗体」は、本発明においては、構成する各軽鎖及び/又は各重鎖の配列が、少なくとも2つの異なる動物(又はヒト)に由来するハイブリッド配列を含んでなるか又は該配列からなる、単離された抗体を意味する。
特に、キメラ12G4抗体はマウス/ヒトハイブリッドであり、これは、軽鎖及び重鎖の配列の或る領域がマウス12G4免疫グロブリンの配列に由来し、前記重鎖及び軽鎖の残りの配列が1つ(場合によっては幾つか)のヒト免疫グロブリンの配列に由来することを示す。
図18は、キメラ12G4抗体産生用発現ベクターのマップを示す。
【0017】
「ヒト化12G4モノクローナル抗体」は、本発明においては、(特に、マウス)12G4抗体の各軽鎖及び各重鎖のCDRのみが、ヒト抗体の軽鎖及び重鎖にグラフトされている、単離された抗体を意味する。
図19は、ヒト化12G4抗体産生用発現ベクターのマップを示す。
以下では、表現「キメラ12G4抗体」及び「非変異キメラ12G4抗体」は同じ抗体を指称する。
「変異ヒト化12G4モノクローナル抗体」は、本発明においては、軽鎖可変領域及び/又は軽鎖定常領域及び/又は重鎖可変領域又は重鎖定常領域に少なくとも1つの変異がなされているヒト化12G4モノクローナル抗体を意味する。
【0018】
よって、本発明の変異ヒト化モノクローナル抗体の定義は、下記の両方を包含する:
− 上記のような変異ヒト化抗体、特にヒト/マウス抗体の前駆体、及び
− 上記のような変異ヒト化抗体、特にヒト/マウス。
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖可変領域の少なくとも1つのCDR中に少なくとも1つの変異を含んでなり、前記レセプターに対して前記キメラ12G4モノクローナル抗体のものと少なくとも等しい親和性を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
この実施形態においては、単一の変異が存在する場合、それはCDR1又はCDR2又はCDR3に位置する。
1より多い変異が存在する場合、第2及びその他の変異は、抗体のCDR1及び/又はCDR2及び/又はCDR3及び/又は他の任意の領域に位置することができる。
【0019】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖(VL)のFR領域中に少なくとも1つの変異を更に含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDR1又はCDR2又はCDR3中及び軽鎖可変領域(特にFR)中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、アミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有するが免疫応答を引き起こさないか又は起こしても重大でない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0020】
1つの有利な実施形態において、本発明は、CDR1中に少なくとも1つの変異を、軽鎖(VL)のFR領域中に少なくとも1つの変異を含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDR1中及び軽鎖可変領域(特にFR)中になされたとき、該少なくとも1つの変異はアミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有するが免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0021】
1つの有利な実施形態において、本発明は、CDR2中に少なくとも1つの変異を、軽鎖(VL)のFR領域中に少なくとも1つの変異を含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDR2中及び軽鎖可変領域(特にFR)中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、アミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有するが免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0022】
1つの有利な実施形態において、本発明は、CDR3中に少なくとも1つの変異を、軽鎖(VL)のFR領域中に少なくとも1つの変異を含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDR3中及び軽鎖可変領域(特にFR)中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、アミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有するが免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0023】
1つの有利な実施形態において、本発明は、AMHR IIレセプターを発現する細胞、特にCov434、Asc 1及びMETA 2815に対してADCCを有する、特に前記非変異ヒト化12G4モノクローナル抗体の同じ細胞に対するものより大きなADCCを有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
ADCC(抗体-依存細胞性細胞毒性)は、抗体が抗原を認識すると、抗体のFc部分が、キラー細胞のレセプターFcγに認識される(キラー細胞は、結合後、該抗原を有する細胞を殺傷し得る)機構である。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体(この抗体の親和性は、対応するキメラ又はマウス抗体に比して格段に減少している(実施例2))の1以上のCDR中でなされたとき、該少なくとも1つの変異は、CDRが抗原認識に特に重要な領域に相当するにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有し、免疫応答を引き起こさないか又はより小さな反応を引き起こす変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0024】
本発明に関しては、使用した番号付けは、ScFvフラグメントの番号付けに基づき、ヒト化12G4抗体について
図3A及び3Bに示されるように、重鎖は1〜115と番号付けられ、軽鎖は131〜236と番号付けられる(図中、灰色影付きビーズは前記配列に存在しないアミノ酸に相当する)。
2つの鎖は、アミノ酸116〜130を含んでなるリンカーによって結合している。
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖可変領域の少なくとも1つのCDR中の前記少なくとも1つの変異が、アミノ酸配列が配列番号2で表される軽鎖可変領域のアミノ酸179〜アミノ酸184を含有するCDRに含まれる領域に位置する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
アミノ酸179〜アミノ酸184を含有する領域は、完全なCDRに相当しない。
【0025】
この実施形態において、抗体が唯一の変異を有する場合、それは、アミノ酸179〜アミノ酸184を含有する軽鎖CDRの領域中に位置する。
この抗体は、当然のことながら、他のCDR中に他の変異を有することができる。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDRのアミノ酸179〜184を含む領域中でなされたとき、該少なくとも1つの変異が、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有し、免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0026】
1つの有利な実施形態において、本発明は、アミノ酸179〜アミノ酸184を含有するCDR中の領域に位置する前記少なくとも1つの変異が、以下のアミノ酸置換:S179P、E184K、E184G、E184D、S182Fの少なくとも1つに相当する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明で使用する表記法は、当業者に知られた一文字表記に相当する。
例えば、表記S179Pは、179位のアミノ酸セリンがプロリンで置換されていることを意味する。
【0027】
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDRのアミノ酸179〜184を含んでなる領域中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、置き換わったアミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有する変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
例として、
図17は、本発明による変異ヒト化抗体の、AMHR-IIレセプターに対する結合親和性を示す。6B_78抗体は、軽鎖可変領域のCDR中に位置する唯一の変異、グルタミン酸がリジンで置換された変異(E184K)(すなわち、酸性アミノ酸の塩基性アミノ酸での置換)を有し、結果として(反対電荷であるので)全く異なる電荷を有するが、依然として活性を示し、特に、非変異ヒト化12G4抗体よりかなり良好で、非変異キメラ12G4抗体のものと等しい親和性を示し、免疫応答を引き起こさない。
【0028】
1つの有利な実施形態において、本発明は、少なくとも1つの変異を軽鎖(VL)のFR領域中に更に含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDRのアミノ酸179〜184を含む領域中及び軽鎖可変領域中、特にFR中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、アミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有し、免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0029】
1つの有利な実施形態において、本発明は、少なくとも1つの変異を重鎖中に更に含んでなる、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
本発明において、本発明者らは、少なくとも1つの変異がヒト化12G4抗体のCDRのアミノ酸179〜184を含む領域中、軽鎖可変領域中、特にFR中及び重鎖中になされたとき、該少なくとも1つの変異は、アミノ酸のヒドロパシー指標が必ずしも適合しないにもかかわらず、該ヒト化抗体の活性の保持を可能にするだけでなく、非変異キメラ抗体のものと少なくとも等しい親和性を有し、免疫応答を引き起こさない変異ヒト化抗体の取得をも可能にすることを見出した。
【0030】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖(VL)のFR領域中の前記少なくとも1つの変異がアミノ酸179〜アミノ酸184を含有する領域に隣接するFR領域中に位置する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
例として、
図17並びに表I及びVII(ELISAにより決定した標的AMHRII-Fcへの固定)は、本発明による変異ヒト化抗体のAMHR-IIレセプターへの結合親和性を提示する。
【0031】
よって、3C_23抗体は、以下の3つの変異:
− 軽鎖可変領域のCDR中の、セリンがプロリンで置換された変異(S179P)(すなわち、親水性アミノ酸の疎水性アミノ酸での置換)
− 軽鎖の可変領域中、特にFR中の、変異(I177T)(すなわち、親水性で、更には国際出願WO 2008/053330によればヒドロパシー指標が全く異なった値(イソロイシンについては+4.5、スレオニンについては-0.7)であるアミノ酸での疎水性アミノ酸の置換)、及び
− 重鎖中の変異(Q3R)(すなわち、グルタミンのアルギニンでの置換;ヒドロパシー指標の値は、国際出願WO 2008/053330によれば、グルタミンの-3.5からアルギニンの-4.5に変化する)
を有し、更に、非変異ヒト化12G4抗体のものよりかなり良好で、非変異キメラ12G4抗体のものより大きな親和性を有する。
【0032】
更に、3C_23K抗体は、3C_23抗体の変異とは別に、軽鎖可変領域のCDR中に、グルタミン酸がリジンで置換された第2の変異(E184K)(すなわち、酸性アミノ酸の塩基性アミノ酸での置換)もまた有し、結果として(反対の符号であるので)全く異なる電荷を有するにもかかわらず、依然として活性、特に、非変異ヒト化12G4抗体のものよりかなり良好で、非変異キメラ12G4抗体のものより大きい親和性を示し、免疫応答を引き起こさない。
【0033】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖(VL)のFR領域中の前記少なくとも1つの変異が、以下のアミノ酸置換:I132T、A143T、T150A、S158P、L175Q、I177T、Y178H、V187A、S192T、G197D、F212Sの少なくとも1つに相当する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、重鎖中の前記少なくとも1つの変異が、以下のアミノ酸置換:Q1E、Q3E、Q3R、Q6E、A9T、V11A、K12R、K13R、K19E、V20A、A24G、A24V、A24T、Q39E、A40V、S31G、L45P、D56N、A76T、A79T、R87G、T58A、Q62R、V67M、I70N、T74A、S77P、A79T、S88P、E89D、F102S、A103T、L110P、S114Tの少なくとも1つに相当する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
【0034】
1つの有利な実施形態において、本発明は、下記:
a)1つのCDR中に位置する以下のアミノ酸置換:S179P、E184K、E184G、E184D、S182Fの少なくとも1つがなされている、アミノ酸配列が配列番号2で表される可変領域、又は
1つのCDR中に位置する以下のアミノ酸置換:S179P、E184K、E184G、E184D、S182Fの少なくとも1つ、及び領域FR中に位置する以下のアミノ酸置換:I132T、A143T、T150A、S158P、L175Q、Y178H、V187A、S192T、G197D、F212Sの少なくとも1つがなされている、アミノ酸配列が配列番号2で表される可変領域
と、アミノ酸配列が配列番号6で表される定常領域とを含んでなるか若しくは該両領域からなる軽鎖
b)以下のアミノ酸置換:Q1E、Q3E、Q3R、Q6E、A9T、V11A、K12R、K13R、K19E、V20A、A24G、A24V、A24T、Q39E、A40V、S31G、L45P、D56N、A76T、A79T、R87G、T58A、Q62R、V67M、I70N、T74A、S77P、A79T、S88P、E89D、F102S、A103T、L110P、S114Tの少なくとも1つがなされている、アミノ酸配列が配列番号58で表される重鎖
から選択される軽鎖及び重鎖を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
【0035】
実施例3の表VIIは、得られた種々のクローン及びそれらの置換を提示する。この表はまた、ヒドロパシー指標は、変異に応じてかなり変化するが、抗原についての親和性及び/又は活性の喪失を導かず、或る種のクローンについて、対応するキメラ抗体に比して親和性の増大(1以上の比 本発明のAb/キメラ抗体)が得られることを可能にさえすることを示す。
この実施形態において、事前に得られた2つの抗体の組合せに由来し、非変異キメラ12G4抗体に比してAMHR-IIレセプターに関する親和性及び活性が更に増大した抗体を構成することが可能である。
【0036】
1つの有利な実施形態において、本発明は、下記:
a)アミノ酸配列が
− 配列番号22(リーダー無し)若しくは配列番号24(リーダー有り)、又は
− 配列番号30(リーダー無し)若しくは配列番号32(リーダー有り)、又は
− 配列番号34(リーダー無し)若しくは配列番号36(リーダー有り)、又は
− 配列番号46(リーダー無し)若しくは配列番号48(リーダー有り)
で表される可変領域と、アミノ酸配列が配列番号6で表される定常領域とを含んでなるか又は該両領域からなる軽鎖
b)アミノ酸配列が
− 配列番号38(リーダー無し),若しくは配列番号40(リーダー有り)、
− 配列番号26(リーダー無し),若しくは配列番号28(リーダー有り)、
− 配列番号8(リーダー無し),若しくは配列番号10(リーダー有り)、
− 配列番号42(リーダー無し),若しくは配列番号44(リーダー有り)、
− 配列番号50(リーダー無し),若しくは配列番号52(リーダー有り)
で表される可変領域と、アミノ酸配列が配列番号12で表される定常領域とを含んでなるか又は該両領域からなる重鎖
から選択される軽鎖及び重鎖を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体に関する。
【0037】
1つの有利な実施形態において、本発明は、
a)− 配列番号70(リーダー無し)若しくは配列番号72(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖と、
b)− 配列番号74(リーダー無し)若しくは配列番号76(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる重鎖と
を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体(3C_23抗体)
又は
a)− 配列番号78(リーダー無し)若しくは配列番号80(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖と、
b)− 配列番号58(リーダー無し)若しくは配列番号60(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる重鎖と
を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体(6B_78抗体)
又は
a)− 配列番号82(リーダー無し)若しくは配列番号84(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖と、
b)− 配列番号86(リーダー無し)若しくは配列番号88(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる重鎖と
を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体(3C_23K抗体)
又は
a)− 配列番号78(リーダー無し)若しくは配列番号80(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖と、
b)− 配列番号90(リーダー無し)若しくは配列番号92(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる重鎖と
を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体(4C_35抗体)
又は
a)− 配列番号94(リーダー無し)若しくは配列番号96(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖と、
b)− 配列番号98(リーダー無し)若しくは配列番号100(リーダー有り)で表されるアミノ酸配列からなる重鎖と
を有する、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体(5B_42抗体)
に関する。
【0038】
別の1つの観点によれば、本発明は、Fv、Fab、F(ab')
2、Fab'、dsFv、scFv、Sc(Fv)
2、「ダイアボディ」からなるフラグメント群より選択される、上記のような変異ヒト化12G4モノクローナル抗体のフラグメントに関する。
別の1つの観点によれば、本発明は、上記のモノクローナル抗体の軽鎖をコードする配列、及び/又は上記のモノクローナル抗体の重鎖をコードする配列を含んでなるか若しくは該配列からなる核酸に関する。
【0039】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖をコードする配列が、以下の配列:
a)1つのCDR中で以下のアミノ酸置換:S179P、E184K、E184G、E184D、S182Fの1以上を可能にする少なくとも1つのコドン置換がなされている、配列番号53で表される軽鎖可変領域をコードする配列、又は
b)− 1つのCDR中で以下のアミノ酸置換:S179P、E184K、E184G、E184D、S182Fの1以上を可能にする少なくとも1つのコドン置換、及び
− 1つのFR中で以下のアミノ酸置換:I132T、A143T、T150A、S158P、L175Q、Y178H、V187A、S192T、G197D、F212Sの1以上を可能にする少なくとも1つのコドンの少なくとも1つの置換
がなされている、配列番号53で表される軽鎖可変領域をコードする配列
と、配列番号5で表される定常領域をコードする配列とを含んでなるか又は該両配列からなる上記核酸に関する。
【0040】
1つの有利な実施形態において、本発明は、重鎖をコードする配列が、以下の配列:
a)以下のアミノ酸置換:Q1E、Q3E、Q3R、Q6E、A9T、V11A、K12R、K13R、K19E、V20A、A24G、A24V、A24T、Q39E、A40V、S31G、L45P、D56N、A76T、A79T、R87G、T58A、Q62R、V67M、I70N、T74A、S77P、A79T、S88P、E89D、F102S、A103T、L110P、S114Tの1以上を可能にする少なくとも1つのコドン置換がなされている、配列番号57を含んでなるか又は該配列からなる、上記核酸に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記の軽鎖及び重鎖を含んでなる上記核酸に関する。
【0041】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖をコードする配列が、以下:
a)可変領域:
− 配列番号21(リーダー無し)若しくは配列番号23(リーダー有り)、又は
− 配列番号29(リーダー無し)若しくは配列番号31(リーダー有り)、又は
− 配列番号33(リーダー無し)若しくは配列番号35(リーダー有り)、又は
− 配列番号45(リーダー無し)若しくは配列番号47(リーダー有り)、又は
b)定常領域
− 配列番号5
から選択される 可変領域をコードする配列及び定常領域をコードする配列を含んでなるか又は該両配列からなる、上記の核酸に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、重鎖をコードする配列が、以下:
a)可変領域:
− 配列番号25(リーダー無し)若しくは配列番号27(リーダー有り)、又は
− 配列番号7(リーダー無し)若しくは配列番号9(リーダー有り)、又は
− 配列番号37(リーダー無し)若しくは配列番号39(リーダー有り)、又は
− 配列番号41(リーダー無し)若しくは配列番号43(リーダー有り)、又は
− 配列番号49(リーダー無し)若しくは配列番号51(リーダー有り)、
b)定常領域
− 配列番号11
から選択される 可変領域をコードする配列及び定常領域をコードする配列を含んでなるか又は該両配列からなる、上記の核酸に関する。
【0042】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖をコードする配列が以下の配列:
− 配列番号69(リーダー無し)若しくは配列番号71(リーダー有り)、又は
− 配列番号77(リーダー無し)若しくは配列番号79(リーダー有り)、又は
− 配列番号81(リーダー無し)若しくは配列番号83(リーダー有り)、又は
− 配列番号93(リーダー無し)若しくは配列番号95(リーダー有り)、
から選択され、重鎖をコードする配列が以下の配列:
− 配列番号73(リーダー無し)若しくは配列番号75(リーダー有り)、又は
− 配列番号57(リーダー無し)若しくは配列番号59(リーダー有り)、又は
− 配列番号85(リーダー無し)若しくは配列番号87(リーダー有り)、又は
− 配列番号89(リーダー無し)若しくは配列番号91(リーダー有り)、又は
− 配列番号97(リーダー無し)若しくは配列番号99(リーダー有り)、
から選択される、上記核酸に関する。
【0043】
1つの有利な実施形態において、本発明は、軽鎖をコードする配列及び重鎖をコードする配列が
a)軽鎖をコードする配列 配列番号69(リーダー無し)若しくは配列番号71(リーダー有り)及び
b)重鎖をコードする配列 配列番号73(リーダー無し)若しくは配列番号75(リーダー有り)である上記核酸(3C_23抗体)、又は、
a)軽鎖をコードする配列 配列番号77(リーダー無し)若しくは配列番号79(リーダー有り)及び
b)重鎖をコードする配列 配列番号57(リーダー無し)若しくは配列番号59(リーダー有り)である上記核酸(6B_78抗体)、又は、
a)軽鎖をコードする配列 配列番号81(リーダー無し)若しくは配列番号83(リーダー有り)及び
b)重鎖をコードする配列 配列番号85(リーダー無し)若しくは配列番号87(リーダー有り)である上記核酸(3C_23K抗体)、又は、
a)軽鎖をコードする配列 配列番号77(リーダー無し)若しくは配列番号79(リーダー有り)及び
b)重鎖をコードする配列 配列番号89(リーダー無し)若しくは配列番号91(リーダー有り)である上記核酸(4C_35抗体)、又は、
a)軽鎖をコードする配列 配列番号93(リーダー無し)若しくは配列番号95(リーダー有り)、及び
b)重鎖をコードする配列 配列番号97(リーダー無し)若しくは配列番号99(リーダー有り)である上記核酸(5B_42抗体)
に関する。
【0044】
別の1つの観点によれば、本発明は、上記核酸の少なくとも1つを含んでなり、該核酸がその発現を可能にするエレメントの制御下にある発現ベクターに関する。
「発現ベクター」は、本発明においては、少なくとも1つの生物における複製(重複化)を可能にするエレメントを有するDNA分子を規定する。複製を可能にするこれらエレメントは、特に、酵母若しくは細菌における複製起点、又はウイルスの複製を制御するエレメントである。
本発明によるベクターは、特には、プラスミド、ファージ、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、複製可能ウイルス又は組込み型ウイルスの改変ゲノムなどである。
これらベクターは、制御するヌクレオチド配列の発現(すなわち、RNAへの転写)を可能にするヌクレオチド配列を有することから、「発現ベクター」と呼ばれる。
【0045】
本発明において、ベクター中に含有される前記核酸配列は、「その発現を可能にするエレメントの制御下」に配置される。これは、発現ベクターが、ウイルスのプロモーター(例えば、シミアンウイルスSV40若しくはサイトメガロウイルス(CMV)の初期プロモーター又はラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター配列、特に、TATAAボックスを含んでなる配列又はプロモーター)のような転写開始配列を少なくとも1つ有することを意味する。更に、前記ベクターはまた、哺乳動物遺伝子、特にヒト遺伝子に由来する少なくとも1つの転写終止配列、特にポリアデニル化配列を有する。
ベクター中に含有されるヌクレオチド配列の発現に不可欠であるこれら配列には、前記配列の発現を調節又は改変するための他の配列を付加し得る。非限定的なリストには以下が含まれる:哺乳動物、特にヒトの遺伝子のイントロン、エンハンサータイプの転写調節配列、又は哺乳動物、特にヒトの遺伝子の、転写されているが翻訳されていない配列。
【0046】
本発明の1つの有利な実施形態は、以下の配列:配列番号59、71、75、79、83、87、91、95又は99を含んでなる核酸から選択される少なくとも1つの核酸を含んでなる、上記の発現ベクターに関する。
別の1つの有利な実施形態において、本発明は、
・ 以下の配列: 配列番号71、79、83又は95を有する核酸から選択され、その発現を可能にするエレメントの制御下にある第1の核酸、及び
・ 以下の配列:配列番号59、75、87、91又は99を有する核酸から選択され、その発現を可能にするエレメントの制御下にある第2の核酸
を含んでなる、上記の発現ベクターに関する。
【0047】
したがって、この発現ベクターは、2つの前記核酸配列を含んでなり、より具体的には上記モノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸配列及び上記モノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸配列を含んでなる。
好ましくは、発現ベクターは、上記モノクローナル抗体の軽鎖をコードする核酸配列の発現を可能にする第1のエレメント及び上記モノクローナル抗体の重鎖をコードする核酸配列の発現を可能にする第2のエレメントを含有し、前記核酸配列の発現を可能にする第1のエレメント及び第2のエレメントは、同一であっても異なってもよいが、好ましくは同一である。これら制御エレメントは、特に、ウイルスRSVの長末端反復(LTR)配列である。
【0048】
本発明の別の1つの実施形態は、少なくとも1つの抗生物質耐性遺伝子を含んでなる上記発現ベクターに関する。
「少なくとも1つの耐性遺伝子」は、本発明においては、発現ベクターが1つ又は2つ又は3つ又は4つ又は5つ又は6つの抗生物質耐性遺伝子を含有することができることを意味する。
「抗生物質耐性遺伝子」は、本発明においては、その発現産物が細胞に対して細胞分裂停止効果(増殖の阻害)又は細胞溶解効果(細胞死)を発揮する遺伝子を規定する。本発明に係る抗生物質は、特には原核細胞に対して効果を有するが、酵母、植物、昆虫、両生類又は哺乳動物にかかわらず、真核細胞に対して効果を有することもある。
【0049】
より具体的には、発現ベクターは、原核細胞に特異的な抗生物質耐性遺伝子及び真核細胞に特異的な少なくとも1つ、好ましくは2つの抗生物質耐性遺伝子を有する。
原核細胞に特異的な抗生物質としては:アンピシリン、テトラサイクリン及びその誘導体、ハイグロマイシン、カナマイシンなどが挙げられる。真核細胞に特異的な抗生物質として:G418、ジェネテシン(G418の塩)、ピューロマイシン、メトトレキサート、ブラスチシジンなどが挙げられる。
【0050】
重鎖及び軽鎖をコードする興味対象の転写単位(TU)が、cDNAの形態で、RSVプロモーターの依存性下にクローニングされる。このプロモーターは、ラウス肉腫ウイルスのLTR(長末端反復)に相当し、これは、5'領域にエンハンサーエレメントを含有する。
オルタナティブスプライシングに最適化され、5'側のヒトβ-グロビンから単離された
ドナー配列及び3'側の免疫グロブリンの重鎖可変領域の遺伝子に由来するアクセプター配列から構成された人工イントロンが、プロモーターの直ぐ3'側にクローニングされる。興味対象のTUは、重鎖についてはヒト起源(hGH)の成長ホルモン(GH)遺伝子に、軽鎖についてはウシ起源の成長ホルモン(bGH)遺伝子に由来するポリアデニル化配列で終止する。ポリAの選択におけるこの起源の相違は、興味対象の遺伝子間の組換えを制限する目的を有する。LTRRSVプロモーター、キメライントロン、cDNA及びポリA配列のこの組合せは、YB2/0細胞株における高い転写及び翻訳活性を付与するので、選択した。
【0051】
発現ベクターは、興味対象のTUに加えて、化学分子に対する抵抗性のための幾つかのTUを含有する。
Bla遺伝子:この遺伝子(ベクターの制限マップ中でAmpと呼ばれる)は、細菌中の酵素β-ラクタマーゼを発現し(原核生物プロモーター)、アンピシリンに対する抵抗性を付与する。
Neo遺伝子:この遺伝子は、プロモーターSV40の制御下に酵素npt II(ネオマイシン-ホスホトランスフェラーゼII)をコードし、この遺伝子を発現するトランスフェクト哺乳動物細胞に、種々の抗生物質、例えばネオマイシン、カナマイシン又はG418に対する抵抗性を付与する。
Dhfr遺伝子:この遺伝子は、プロモーターSV40の制御下に酵素DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)をコードし、メトトレキサート(MTX)に対する抵抗性を付与する。この方法は、MTXの濃度を増大させることによる遺伝子増幅に使用することができ、したがってトランスフェクト細胞による抗体産生の増加を生じ得る。
【0052】
図18〜22は、クローン3C_23、6B_78、3C_23K、4C_35及び5B_42を作製するために使用した発現ベクターのマップを示す。
【0053】
別の1つの観点において、本発明は、上記核酸及び/又は上記発現ベクターにより形質転換された宿主細胞又は細胞株に関する。
具体的には、前記細胞又は細胞株は、
・ 25%未満のアポトーシスを示し、
・ 細胞分裂の間に安定であり、
・ 少なくとも14μg/mlの上記モノクローナル抗体を分泌する
点で特徴付けられる。
細胞安定性の概念は、本発明によるモノクローナル抗体の発現を可能にする少なくとも1つのベクターを含有する細胞に由来するクローン化細胞のクローニングから生じる細胞が、種々の分裂の間、抗生物質耐性を保存し、モノクローナル抗体を産生することができることである。
【0054】
更に別の1つの観点において、本発明は、少なくとも、
・ 上記モノクローナル抗体、又は
・ 上記核酸、又は
・ 上記ベクター、又は
・ 上記モノクローナル抗体のフラグメント
を、医薬的に許容可能なビヒクルと共に含んでなる医薬組成物、特にワクチン組成物に関する。
有利には、本発明は、少なくとも1つの上記モノクローナル抗体を医薬的に許容可能なビヒクルと共に含んでなる医薬組成物、特にワクチン組成物に関する。
【0055】
活性成分の投薬量は、特に、投与方法に依存し、当業者により容易に決定される。
「医薬的に許容可能なビヒクル」とは、細胞、細胞培養物、組織又は生物のような生物学的系と共存可能な非毒性の材料をいう。
治療有効量(単位用量)は、週1回以上の投与で数週間又は数ヶ月間の、0.01mg/kgから500mg/kgまで、好ましくは0.1mg/kgから500mg/kgまで、好ましくは0.1mg/kgから100mg/kgまで、好ましくは0.1mg/kgから20mg/kgまで、好ましくは0.1mg/kgから10mg/kg、より好ましくは1mg/kgから10mg/kgまで変化し得る。
更に、治療有効量(単位用量)は、週1回以上の投与で数週間又は数ヶ月間の、0.2mg/m
2から10g/m
2まで、好ましくは0.2mg/m
2から1mg/m
2まで、好ましくは2mg/m
2から1g/m
2まで、好ましくは20mg/m
2から1g/m
2、より好ましくは20mg/m
2から0.5g/m
2まで変化し得る。
【0056】
本発明の医薬組成物は、具体的には、(特に注射又は穏やかな灌流により)静脈内に、皮下に、全身に、浸潤により局所に、経口で、又はエアロゾルにより呼吸若しくは肺経路で投与することができる。
非経口投与用の調製物は、滅菌の水性又は非水性溶液、懸濁液又はエマルジョンを含むことができる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、又は注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)である。水性ビヒクルは、水、アルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液を含む。
【0057】
本発明の医薬組成物の有利な医薬形態は、経口経路により投与することができ、
・ 上記モノクローナル抗体、又は
・ 上記核酸、又は
・ 上記発現ベクター、又は
・ 前記モノクローナル抗体の上記フラグメント
を賦形剤と共に、噴霧剤の存在下又は非存在下に含む。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、エアロゾルは、変異ヒト化抗体及び賦形剤を含有する液体の形態である。賦形剤は、ほとんどの場合、アルコールであるが、当業者に公知の任意の他の賦形剤を本発明に関連して使用することができる。液体形態のエアロゾルは、噴霧剤ガス、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)又はヒドロフルオロカーボン(HFA)と組み合わせることができる。
液体形態のエアロゾルはまた、液体微小粒子及び賦形剤からなることもできる。この場合、賦形剤は、合成ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ラクトース又はヒドロキシエチルデンプン(HES)から選択することができる。微小粒子は、その後、注入器(insufflator)を用いて投与される。
【0059】
本発明の別の1つの実施形態において、エアロゾルは粉体の形態である。粉体は、1〜10μm、好ましくは9μm未満、好ましくは5μm未満のサイズの粒子から構成される。非限定的な例として、乾燥粉末を取得するための以下の方法を使用することができる:超音波の有方向沈降(ultrasound, directed precipitation)による、凍結乾燥又は結晶化を伴う噴霧。
エアロゾルは、液体形態か又は固体形態かに依存して、空気式、超音波式若しくは篩型であり得るネブライザーを用いるか、又は液体製剤については(加圧液体型、機械式、電気流体力学的、加熱型の)計量エアロゾルを用いるか、又は固体製剤については吸入器を用いて投与される(Reychler G., Dessanges JF及びVecellio L, Rev. Mal. Respir, 2007; 24: 1013-1023)。
【0060】
別の1つの観点によれば、本発明は、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する疾患、特には
卵巣ガン、特に転移卵巣ガン、漿液性ガン、副腎腫、類内膜、膠状上皮、
前立腺ガン、
生殖細胞ガン、
子宮内膜ガン、
子宮の悪性混合ミュラー腫瘍、
平滑筋肉腫、
子宮内膜間質性肉腫
の患者の治療において、同時、別々又は逐次に使用するための組合せ調製物として、上記モノクローナル抗体を含む第1の医薬調製物と、従来の抗ガン剤化合物、特にパクリタキセル又は白金塩、特にはオキサリプラチン、シスプラチン若しくはカルボプラチンを含む第2の医薬調製物とを含んでなる生成物に関する。
【0061】
別の1つの観点によれば、本発明は、少なくとも:
・ 上記モノクローナル抗体、又は
・ 前記モノクローナル抗体の上記フラグメント、又は
・ 上記核酸、又は
・ 上記ベクター、又は
・ 上記細胞
の、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する疾患、特に:
卵巣ガン、特には転移卵巣ガン、漿液性ガン、副腎腫、類内膜、膠状上皮、
前立腺ガン、
生殖細胞ガン、
子宮内膜ガン、
子宮の悪性混合ミュラー腫瘍、
平滑筋肉腫、
子宮内膜間質性肉腫
の治療又は予防を意図する医薬を製造するための使用に関する。
【0062】
「治療」は、症状が認識できる発症した病状を処置することを意味する。「予防」は、前記病状の発症を防ぐことを意味する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、上記抗体又はその上記フラグメントの、卵巣ガンを診断し、及び/又はモニターするための使用に関する。
1つの有利な実施形態において、本発明は、従来の抗ガン剤薬、特にはパクリタキセル、又は白金塩、特にはオキサリプラチン、シスプラチン若しくはカルボプラチンを追加的に含んでなる上記抗体又はその上記フラグメントの使用に関する。
【0063】
別の1つの観点によれば、本発明は:
ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する病状、特に:
卵巣ガン、特には転移卵巣ガン、漿液性ガン、副腎腫、類内膜、膠状上皮、
前立腺ガン、
生殖細胞ガン、
子宮内膜ガン、
子宮の悪性混合ミュラー腫瘍、
平滑筋肉腫、
子宮内膜間質性肉腫
の治療又は予防に使用するための、
・ 上記モノクローナル抗体、又は
・ 前記モノクローナル抗体の上記フラグメント、又は
・ 上記核酸、又は
・ 上記ベクター、又は
・ 上記細胞,
に関する。
【0064】
1つの有利な実施形態において、上記モノクローナル抗体又はその上記フラグメントは、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係するガン、特に:
卵巣ガン、特には転移卵巣ガン、漿液性ガン、副腎腫、類内膜、膠状上皮、
前立腺ガン、
生殖細胞ガン、
子宮内膜ガン、
子宮の悪性混合ミュラー腫瘍、
平滑筋肉腫、
子宮内膜間質性肉腫
を診断し、及び/又はモニターするために使用する。
1つの有利な実施形態において、上記モノクローナル抗体若しくはその上記フラグメント、又は上記核酸又は上記ベクター又は上記細胞は、従来の抗ガン剤薬、特にはパクリタキセル、又は白金塩、特にはオキサリプラチン、シスプラチン若しくはカルボプラチンを追加的に含んでなる。
【0065】
別の1つの観点によれば、本発明は、少なくとも:
・ 上記モノクローナル抗体、又は
・ 前記モノクローナル抗体の上記フラグメント、又は
・ 上記核酸、又は
・ 上記ベクター、又は
・ 上記細胞,
を含んでなる、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する病状、特には卵巣ガンの診断に使用するキットに関する。
【0066】
別の1つの観点によれば、本発明は、以下の工程:
a.患者から事前に取得した生検を標識する工程、
b.ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターの存在を決定する工程
を含んでなる、ヒト生物学的サンプルについて、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する病状、特には卵巣ガンを診断する方法に関する。
【0067】
別の1つの観点によれば、本発明は、以下の工程:
a.患者から生検を取得する工程、
b.生検を標識する工程、
c.ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターの存在を決定する工程
を含んでなる、ヒト生物学的サンプルについて、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する病状、特には卵巣ガンを診断する方法に関する。
生検の標識は当業者に周知の技法に従って行う。
レセプターの存在は、当業者に周知の技法、例えばイムノアッセイ、結合などにより決定することができる。
【0068】
別の1つの観点によれば、本発明は、以下の工程:
a.患者から生検を取得する工程、
b.生検を標識する工程、
c.ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターの存在を決定する工程、
d.ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターの存在が決定された場合、
i. 上記モノクローナル抗体、又は
ii. 前記モノクローナル抗体の上記フラグメント、又は
iii. 上記核酸、又は
iv. 上記ベクター、又は
v. 上記細胞
で患者を治療する工程
を含んでなる、ヒト生物学的サンプルについて、ヒト抗-ミューラー管ホルモンII型レセプターに関係する病状、特には卵巣ガンを治療する方法に関する。