特許第6435441号(P6435441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6435441電気エネルギーを蓄積する電池を含む暖房装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6435441
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】電気エネルギーを蓄積する電池を含む暖房装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/26 20060101AFI20181126BHJP
   F24D 13/02 20060101ALI20181126BHJP
   F24C 7/06 20060101ALI20181126BHJP
【FI】
   H05B3/26
   F24D13/02 A
   F24C7/06 C
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-540140(P2018-540140)
(86)(22)【出願日】2016年11月28日
(86)【国際出願番号】IB2016057160
(87)【国際公開番号】WO2017093878
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年7月31日
(31)【優先権主張番号】1561615
(32)【優先日】2015年11月30日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518187226
【氏名又は名称】ランシー エネルジー ストレージ エス.アー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイエ ラファエル
【審査官】 黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/018318(WO,A1)
【文献】 中国実用新案第201000896(CN,Y)
【文献】 実開昭53−157450(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02− 3/86
F24C 7/00
F24C 7/04− 7/08
F24D 13/00−15/04
F24H 3/00
F24H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房装置(1)であって、発熱体(2)と、電気エネルギーを蓄積する電池(7)とを備え、
電池列(4)であって前記電池(4)の前面及び後面(4a,4p)を規定する平行六面体形状を有する電池列(4)、を形成するように、前記電池(7)はグループ化され、
前記発熱体(2)は、前記電池列(4)の前記前面及び前記後面(4a,4p)のうちの1つに沿って、又は前記電池列(4)の上方に、前記電池列(4)の近傍において配置された少なくとも1つの面を形成して、前記装置の周りの空気の循環を対流によって作り出すために、前記電池列(4)によって生じた熱が前記発熱体(2)によって生じた熱に加わり、
前記装置(1)は、
前記電池列(4)と前記発熱体(2)との間に置かれた第1断熱板(3)と、
少なくとも一つの対流板(5)と、
前記対流板(5)の、第1面(5a)の反対側の第2面上に配置された、壁(100)に固定するための少なくとも1つの固定手段(6)とを備え、
前記対流板(5)の前記第1面(5a)は前記電池列(4)によって形成される前記前面(4a)又は前記後面(4p)と密接しており、前記電池列(4)と前記対流板(5)との間で熱交換が可能であり、
前記固定手段(6)は、前記対流板(5)が、床面(101)から離れて、かつ前記壁(100)から離れて配置されるように、前記装置(1)を前記壁(100)に取り付けることを可能にし、それにより、前記装置(1)の下の空間(10)、及び、前記対流板(5)と前記壁(100)との間の空間(11)を、対流によって空気流が通ることが可能になる
ことを特徴とする暖房装置(1)。
【請求項2】
互いの近傍に配置された前記電池列(4)の前記面(4a)と前記発熱体(2)の面(2p)とは、平面状である
ことを特徴とする請求項1の装置(1)。
【請求項3】
前記電池列(4)は、前記電池(4)の高さが前記電池(4)の厚さに近いような形状を有し、よって前記電池列(4)は細長いブロックの形状を有し、
前記発熱体(2)は、前記電池(4)の上方に配置され、前記対流板(5)が存在するときには前記対流板(5)の近傍に配置される
ことを特徴とする請求項1又は2の装置(1)。
【請求項4】
前記電池列(4)は、その前面及び後面(4a,4p)が主面を構成するような、かつ、その側面のそれぞれが各主面の表面積と比べて小さな表面積を有するような、形状を有し、
前記発熱体(2)は、前記電池列(4)の前記前面及び前記後面(4a,4p)のうちの1つに沿って配置されるのに対し、前記対流板(5)は、前記電池(4)前記後面及び前記前面(4,4)のうちの他方に沿って配置される
ことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項の装置(1)。
【請求項5】
前記対流板(5)は前記電池列(4)の後面(4p)に沿って広がり、前記第1断熱板(3)は前記電池列(4)の前面(4a)に沿って広がり、
前記発熱体(2)は、前記第1断熱板(3)に沿って、前記第1断熱(3)の前記電池列(4)とは反対の側において広がる
ことを特徴とする請求項の装置(1)。
【請求項6】
前記第1断熱板(3)は、前記電池列(4)の前記前面(4a)に接して広がり、前記発熱体(2)は、前記第1断熱板(3)に接して広がる
ことを特徴とする請求項の装置(1)。
【請求項7】
空間(15)が前記電池列(4)と前記発熱体(2)との間に配置され、前記第1断熱板(3)が前記電池列(4)又は前記発熱体(2)のいずれかに接して広がる
ことを特徴とする請求項の装置(1)。
【請求項8】
空間(15)が前記電池列(4)と前記発熱体(2)との間に配置され、前記装置(1)は第2断熱板(16)を備え、前記第1断熱板(3)及び前記第2断熱板(16)のうちの一方(16)は前記電池列(4)に接して広がり、前記第1断熱板(3)及び前記第2断熱板(16)のうちの他方(3)は前記発熱体(2)に接して広がる
ことを特徴とする請求項の装置(1)。
【請求項9】
前記対流板(5)と各固定手段(6)との間に配置された断熱要素(8)を備える
ことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項の装置(1)。
【請求項10】
互いに接触する前記対流板(5)の表面と前記電池列(4)の表面との間において、完全な接触を達成、すなわち空間がないようにするために、前記対流板(5)と前記電池列(4)との間に接合ペーストが置かれる
ことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1項の装置(1)。
【請求項11】
前記対流板(5)には、穴が空けられており、かつ/又はフィンが設けられている
ことを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1項の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを蓄積する電池を含む暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池列を暖房装置に関連付けることが知られており、電気の消費の時間的な間隔を開けるために、この列はこの装置によって使用される電気エネルギーの一部を蓄積することができる。その結果、この電池列は、電気の優遇料金期間をうまく利用することを可能にする。すなわち、電池は、電気がより安い期間にわたって、典型的には夜間に、充電され、これらの電池に含まれている電気は、電気がより高い期間にわたって、典型的には昼間に、その装置の動作に使用される。そのような暖房装置は、熱を発生させることが意図される発熱体と、前記電池列とを、特に有する。後者は、発熱体から離れたところに配置され、暖房される部屋の外においても電気メータのできるだけ近くに配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、そのような装置は、このエネルギーの蓄積及び放出の間のかなり多くのエネルギー損失の結果、エネルギー効率が低いという短所があり、損失は電池の容量の30%に達し得る。
【0004】
しかも、既存の装置は一般的にかさばり、据え付けが比較的複雑であり、これは使用の可能性を制限する。
【0005】
本発明の目的は、その構造が最大エネルギー効率の恩恵を受けることを可能にする蓄積装置を提案することによって、これらの短所を克服することである。
【0006】
文献FR 2 882 132 A1, WO 2011/089182 A1, CN 203771693 U, WO 2012/018318 A1及びDE 19547520 A1は、従来技術によるさまざまな装置を記載するが、この目標に到達することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該装置は、それ自体が知られているやり方で、発熱体と、電気エネルギーを蓄積する電池とを備える。
【0008】
本発明によると、
電池列であってこの列の前面及び後面を規定する平行六面体形状を有する電池列を形成するように、前記電池はグループ化され、
前記発熱体は、前記電池列の前記前面若しくは後面の1つに沿って、又はこの電池列の上方に、この電池列の近傍において配置された少なくとも1つの面を形成して、前記装置の周りの空気の循環を対流によって作り出すために、前記電池列によって生じた熱が前記発熱体によって生じた熱に加わり、
前記装置は、前記電池列と前記発熱体との間に置かれた第1断熱板を備える。
【0009】
よって、本発明によると、電池列は、暖房装置から分離しておらず、反対に暖房装置の構造に密接に統合されており、その結果、発熱体の近傍に配置される。「近傍に」という表現は、少なくとも前記第1断熱板(発熱体及び電池列は、したがって、この第1断熱板の2つの反対向きの面にそれぞれ接触する)の厚さに等しくあり得る距離から、最大約15センチメートルの範囲内の距離までを意味する。
【0010】
装置が動作中であり、電池が商用電力網によって充電されているとき、典型的には昼間に、放電及び充電によるこれらの電池の昇温は、発熱体によって発生する熱に加わり、したがって装置によって全体的に放出される熱を増加させる。加えて、電池列のまわりの対流による空気循環は、この電池列が受ける昇温を積極的に放散することを可能にし、したがって装置のエネルギー効率を向上させる。
【0011】
電池が充電されるとき、すなわち典型的には夜に、充電によるこれらの電池の昇温は、発熱体によって発生する熱に同様に加わり、その結果装置がある程度加熱されることを可能にし、電池列が受ける昇温の積極的な放散も存在する。
【0012】
装置が電池によってのみ動作する場合には、放電によるこれらの電池の昇温は、発熱体によって発生する熱に同様に加わる。
【0013】
好ましくは、互いの近傍に配置された前記電池列の前記面と前記発熱体の面とは、平面状であり、これにより、この電池列とこの発熱体との互いの熱交換が最大になる。
【0014】
好ましくは、前記装置は少なくとも一つの対流板を備え、その第1面は前記電池列によって形成される前記前面又は後面と密接しており、この電池列と前記対流板との間で熱交換が可能である。
【0015】
これらの電池の放電及び充電による電池の昇温は、対流板に伝達され、したがって対流板によって生成される対流効果を増加させる。
【0016】
装置は、面上に設置され又はキャスターに取り付けられ得る。それは、前記対流板の、前記第1面の反対側の第2面上に配置された、壁に固定するための少なくとも1つの手段をも備え得る。この固定手段は、前記対流板が、床面から離れて、かつ前記壁から離れて配置されるように、前記装置をこの壁に取り付けることを可能にし、それにより、前記装置の下の空間、及び、前記対流板と前記壁との間の空間を、対流によって空気流が通ることが可能になる。
【0017】
1つの可能性として、前記電池列は、その高さがその厚さに近いような形状を有し、よってこの列は細長いブロックの形状を有する。この場合、前記発熱体は、この列の上方に配置され、前記対流板が存在するときにはこの対流板の近傍にある。
【0018】
「高さ」及び「厚さ」という用語は、装置が設置される床面、又は装置が取り付けられることが意図される壁に関して考えられるべきであるということが理解される。すなわち、「高さ」は垂直方向の装置の寸法を表し、「厚さ」は前記前面から前記後面への向きにおける装置の寸法を表す。「近傍に」という表現は、前述のように同様に考えられるべきである。
【0019】
他の可能性として、前記電池列は、その前面及び後面が主面を構成するような、かつ、その側面のそれぞれが各主面の表面積と比べて小さな表面積を有するような、形状を有する。この場合、前記発熱体は、前記電池列の前面又は後面のうちの1つに沿って配置されるのに対し、前記対流板は、この列のこれらの後面又は前面のうちの他方に沿って配置される。
【0020】
電池列の高さは、特にこの電池列の厚さの少なくとも5倍であり得、よって前記列は厚い板の形状を有する。
【0021】
前面及び後面が主面を構成するという可能性がある場合、前記対流板は好ましくは前記電池列の後面に沿って広がり、前記第1断熱板はこの電池列の前面に沿って広がり、前記発熱体は、前記第1断熱板に沿って、この板の前記電池列とは反対の側において広がる。
【0022】
前記第1断熱板は、前記電池列の前記前面に接して広がり得て、前記発熱体は、この第1断熱板に接して広がり得る。代替として、空間が前記電池列と前記発熱体との間に配置され、前記第1断熱板が前記電池列若しくは前記発熱体のいずれかに接して広がり、又は、前記装置は第2断熱板を備え、2つの断熱板のうちの一方は前記電池列に接して広がり、これらの2つの断熱板のうちの他方は前記発熱体に接して広がる。
【0023】
好ましくは、前記装置は、前記対流板と前述の各固定手段との間に配置された断熱要素を、この対流板とこの固定手段との間のいかなるサーマルブリッジをも排除するために、備える。固定手段がねじで構成されるときには、これらの断熱要素は特に、断熱材からなり対流板とこれらのねじとの間に置かれるワッシャーで構成され得る。
【0024】
好ましくは、互いに接触するこの対流板の表面とこの電池列の表面との間において、完全な接触を達成、すなわち空間がないようにするために、前記対流板と前記電池列との間に接合ペーストが置かれる。
【0025】
そのような接合ペーストにより、この列とこの板との間の熱交換を促進することが可能になる。それは、特にポリマー(例えばシリコーン)によって構成され、金属粒子(例えば銀)が充填され、特にパワーエレクトロニクス又はマイクロエレクトロニクスの分野で使用される、「サーマルペースト」と呼ばれるペーストで構成され得る。
【0026】
電池列と発熱体との間に空間が設けられ、断熱板が電池列によって形成される前記前面に接して広がるときに、同一の接合ペーストがこの前面と断熱板との間に同様に置かれ得る。
【0027】
好ましくは、前記対流板の空気との熱交換を促進し、したがって対流による空気循環の生成を促進する構成がされるように、前記対流板には、穴が空けられており、かつ/又はフィンが設けられている。
【0028】
非限定的な例として当該暖房装置のいくつかの可能な実施形態を表す、添付の概略図を参照して、本発明はよりよく理解され、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、第1実施形態による本装置の、壁に取り付けられているときの側面図である。
図2図2は、第2実施形態による、図1に類似する装置の図である。
図3図3は、図1及び2による装置の性能を、従来技術による装置の性能と比較する曲線を示す。
図4図4は、第3実施形態による装置の透視図である。
図5図5は、キャスターに取り付けられた、第4実施形態による装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、床101の上方で、壁(mur)のような壁(paroi)100に取り付けられた暖房装置1を示す。
【0031】
装置1は、前側(すなわち、壁100から遠い方)から後側(すなわち、この壁100に近い方)へ向かって、発熱体2、断熱板3、電池列4、対流板5及び壁100に固定するためのねじ6を有する。
【0032】
発熱体2は、平板の形状を有し、熱伝導性の材料、特に金属材料により形成された平面状の壁を有するケーシングと、このケーシングの内部に収容され、前記列4の電池7によって電力が供給される抵抗器とによって構成されている。
【0033】
もちろん、この発熱体2の前において、装置1は、表示されていない格子又は適合した手すりを有し、ユーザがこの発熱体と直接接触する危険を避けている。
【0034】
板3は、断熱材料、例えば一般的な発泡材料(有機若しくは無機)又は熱エーロゲル(aerogel)により形成される。それは、その主面の面全体が、発熱体2のケーシングによって形成される平面状の後の主面2p、及び電池列4によって形成される平面状の前の主面4aと接する。
【0035】
後者は、厚い板の形状を有する、すなわち、その厚さの少なくとも5倍の高さを有する。それは、熱伝導材料、特に金属により形成された平面状の壁を有するケーシングによって構成されており、ケーシングはリチウム電池のような複数の電気エネルギー蓄積電池7を収容する。このケーシングは、平面状の後の主面4pを形成し、それによって電池列4は次に対流板5の前面5aと、この後面の全面によって、密接する。
【0036】
対流板5は、例えばアルミニウムにより形成された板によって構成されている。それは、断熱材料により形成された複数の穿孔受けリング8を備え、これらのリングは次にねじ6を受け入れる。
【0037】
「サーマルペースト」と呼ばれる接合ペーストが、互いに接触することが意図される対流板5及び電池列4の面のうちのいずれか一方に、完全に接触させるために、すなわち、これらの面の間で空間をなくすために、装置1の組み立ての前に塗布され、列4と板5との間の良好な熱交換を可能にする。
【0038】
ねじ6は、壁100に挿入され、装置1のこの壁100への取り付けを可能にし、これにより、装置1と床101との間の空間10、及び壁100と対流板5との間の空間11が存在する。
【0039】
例として、装置1の高さは10〜100cmの範囲であり得る。電池列4の厚さは1〜20cmの範囲であり得、空間10,11のそれぞれは3〜10cmの範囲であり得る。
【0040】
よって、対流板5と接触することによって、及び発熱体2の近傍に配置されることによって、電池列4は装置1の構造に密接に統合されている。
【0041】
装置1が動作中であり、電池7が商用電力網によって充電されているとき、典型的には昼間に、放電及び充電によるこれらの電池の昇温は、対流板5に伝達され、したがってそれによって生成される対流効果を増加させる。電池列4と発熱体2とが近接しているので、この同様の昇温は発熱体2によって生成される熱に加わり、その結果、装置1によって全般的に放出される熱を増加させる。電池列4の周囲で対流により空気が循環するので、この電池列が受ける昇温を積極的に放散させることが更に可能になり、よって装置1のエネルギー効率が向上する。
【0042】
電池7が充電されているとき、すなわち典型的には夜間に、充電によるこれらの電池の昇温は、対流板5に同様に伝達され、発熱体2によって生成される熱に同様に加わり、これにより、装置1はある程度の暖房を可能にし、電池列4が受ける昇温の積極的な放散も行われる。
【0043】
装置1が電池7で動作するのみの場合には、同様に、放電によるこれらの電池の昇温は、対流板5に伝達され、発熱体2によって生成される熱に加わる。
【0044】
図2に示されている装置1の第2実施形態において、発熱体2、断熱板3、電池列4、対流板5及びねじ6は、説明されたばかりのものであることが同一の又は非常に類似したやり方でわかる。簡単のため、この第2実施形態において、及び後に説明される他の実施形態において見られる既に説明された要素には、同一の参照番号が付与される。
【0045】
この第2実施形態の場合、空間15が電池列4と発熱体2との間に配置され、装置1は第2断熱板16を備え、それは電池列4の前面4aに接して広がり、板3は以前と同様に発熱体2に接して広がる。
【0046】
発熱体2及び板3の電池列4のケーシングへの取り付けは、ねじ6によって達成される取り付けと同じく又は同様に、ねじ手段17によって達成される。
【0047】
空間15は、互いに向き合う板3及び16の面の間で、3〜10cmの範囲の厚さを有し得る。
【0048】
この第2実施形態による装置1において、対流による二重の空気循環が、電池列4のいずれの側においても空間10,11及び10,15を通って達成され、よって装置によって生成された、空気の対流及び昇温の増加の効果を最大化し、電池列4の昇温をますます放散し、したがって装置1のエネルギー効率を更に向上させる。
【0049】
図3は、横軸に電池列4によって放出された電力、縦軸に暖房装置1のエネルギー効率を有する、基準座標系である。電池列が発熱体から分離されており対流板が存在しない、従来技術による装置に関する曲線20と、上述の2つの実施形態のうちのいずれか1つによる装置1に関する曲線30とが、この基準座標系において表されている。
【0050】
既知の装置のエネルギー効率は最大で約75%であるのに対し、本特許出願による装置1のエネルギー効率は95%を超えるということが分かる。
【0051】
第3実施形態による装置1の場合、図4に示されているが、電池列4はその厚さに近い高さを有し、そのため、細長いブロックの形状を有する。この場合、発熱体2はこの列4の上方で対流板5の近傍に配置され、断熱板3は発熱体2の上面の上に置かれる。
【0052】
この図4において、装置1の周囲の空気の循環を表す太い矢印が更に示されている。
【0053】
図5に示されている第4実施形態による装置は、キャスター20に取り付けられている点を除いて、図1に示されているものに類似している。
【0054】
上述のことから分かるように、本発明による暖房装置1は、最大エネルギー効率の恩恵を受けることを可能にする構造を有する装置を提供することによって、現存する同等の装置の短所を克服する。
【0055】
本発明は、例として提供される実施形態を参照して上に説明されたが、これらの実施形態に限定されないことは明らかである。
【要約】
装置(1)は、発熱体(2)と、電池(7)とを備える。本発明によると、電池列(4)であって前記列の前面(4a)及び後面(4p)を規定する平行六面体形状を有する電池列(4)、を形成するように、前記電池(7)はグループ化され、前記発熱体(2)は、前記電池列(4)の前記前面(4a)若しくは後面(4p)の1つに沿って、又は前記電池列(4)の上方に、配置された少なくとも1つの面を形成し、前記装置(1)は、前記電池列(4)と前記発熱体(2)との間に置かれた第1断熱板(3)を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5