特許第6435443号(P6435443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6435443
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/43 20180101AFI20181126BHJP
   F24F 11/72 20180101ALI20181126BHJP
【FI】
   F24F11/43
   F24F11/72
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-550615(P2018-550615)
(86)(22)【出願日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】JP2018020971
【審査請求日】2018年9月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河添 章寿
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】大西 弘祐
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6276450(JP,B1)
【文献】 特開2010−14288(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第107514681(CN,A)
【文献】 特開平5−184181(JP,A)
【文献】 実開昭50−100762(JP,U)
【文献】 実公昭50−15257(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路と、
少なくとも前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記凝縮器及び前記蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、
前記制御部は、前記室内熱交換器を前記蒸発器として機能させ、前記室内熱交換器を凍結させる凍結処理中に、送風ファンを逆回転させる空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記送風ファンを逆回転させる場合に風向板を開く
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記凍結処理中に、前記送風ファンを停止した凍結処理と前記送風ファンを逆回転させる凍結処理の両方を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記送風ファンを停止した凍結処理の時間が、前記送風ファンを逆回転させる凍結処理の時間より長い
ことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記室内熱交換器の温度が所定温度以下になってから、前記送風ファンの逆回転を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、前記凍結処理中に、前記送風ファンの停止と逆回転を繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御部は、前記凍結処理中に、前記送風ファンの正回転を行わない
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記室内熱交換器は、空気が流れる方向に2列以上の伝熱管が配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内熱交換器を清潔な状態にする技術として、例えば、特許文献1には、「暖房運転後に、前記フィン表面に水を付着させる水分付与手段を備える」空気調和機について記載されている。なお、前記した水付与手段は、暖房運転後に冷房運転を行うことによって、室内熱交換器のフィン表面に水を付着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4931566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、暖房運転後に通常の冷房運転を行ったとしても、室内熱交換器を洗浄するには、室内熱交換器に付着する水の量が足りない可能性がある。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の空気調和機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁(例えば、室外膨張弁34)及び蒸発器を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路と、少なくとも圧縮機及び膨張弁を制御する制御部と、を備え、凝縮器及び蒸発器の一方は室外熱交換器であり、他方は室内熱交換器であり、制御部は、室内熱交換器を蒸発器として機能させ、室内熱交換器を凍結させる凍結処理中に、送風ファン(例えば、室内ファン14)を逆回転させることを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、室内熱交換器を適切に洗浄可能な空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る空気調和機を示す外観構成図である。
図2】第1実施形態に係る空気調和機の室内機の縦断面構成を示す説明図である。
図3】第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を示す説明図である。
図4】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図5】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する洗浄処理を示すフローチャートである。
図6】室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
図7】室内空気の相対湿度と凍結時間との関係を示すマップである。
図8】室外温度と圧縮機の回転速度との関係を示すマップである。
図9】室内熱交換器の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
図10】圧縮機及び室内ファンの駆動状態を示す説明図である。
図11A】室内ファンを停止状態にした場合の凍結処理中の霜の状態を示す模式図である。
図11B】室内ファンを逆回転状態と停止状態とを組み合わせた場合の凍結処理中の霜の状態を示す模式図である。
図12】室内熱交換器を解凍するための処理を示すフローチャートである。
図13】室内熱交換器を乾燥させるための処理を示すフローチャートである。
図14】第2実施形態に係る空気調和機の室内機の縦断面構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100を示す外観構成図である。図1には、空気調和機100が備える室内機10、室外機30、及びリモコン40の正面図を示す。空気調和機100は、冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)で冷媒を循環させることによって、空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、室内(被空調空間)に設置される室内機10と、屋外に設置される室外機30と、ユーザによって操作されるリモコン40と、を備えている。
【0010】
室内機10は、リモコン信号送受信部11を備えている。リモコン信号送受信部11は、赤外線通信等によって、リモコン40との間で所定の信号を送受信する。例えば、リモコン信号送受信部11は、運転/停止指令、設定温度の変更、運転モードの変更、タイマの設定等の信号をリモコン40から受信する。また、リモコン信号送受信部11は、室内温度の検出値等をリモコン40に送信する。なお、図1では省略しているが、室内機10と室外機30とは冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0011】
図2は、第1実施形態に係る空気調和機100の室内機10の縦断面構成を示す説明図である。室内機10は、前記したリモコン信号送受信部11(図1参照)の他に、室内熱交換器12と、ドレンパン13と、室内ファン14(送風ファン)と、筐体ベース15と、フィルタ16,16と、前面パネル17と、左右風向板18と、上下風向板19と、を備えている。
【0012】
室内熱交換器12は、フィン12a及び伝熱管12gを備える。伝熱管12gは空気が流れる方向に千鳥状に2列配置されている。この伝熱管12gを通流する冷媒と、室内空気との熱交換が行われる。ドレンパン13は、室内熱交換器12から滴り落ちる水を受けるものであり、室内熱交換器12の下側に配置されている。なお、ドレンパン13に落下した水は、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。室内ファン14は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、室内ファンモータ14a(図4参照)によって、図の矢印方向(時計回り方向、正回転方向)に駆動する。筐体ベース15は、室内熱交換器12や室内ファン14等の機器が設置される筐体である。なお、本実施形態では、室内熱交換器12において、フィルタ側(上流側)を表面12fとし、室内ファン14側(下流側)を裏面12rとする。
【0013】
フィルタ16,16は、空気吸込口h1等を介して取り込まれる空気から塵埃を除去するものであり、室内熱交換器12の上側・前側に設置されている。前面パネル17は、前側のフィルタ16を覆うように設置されるパネルであり、下端を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル17が回動しない構成であってもよい。
【0014】
左右風向板18は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、左右方向において調整する板状部材である。左右風向板18は、室内ファン14の下流側に配置され、左右風向板用モータ21(図4参照)によって左右方向に回動するようになっている。
【0015】
上下風向板19は、室内に向けて吹き出される空気の通流方向を、上下方向において調整する板状部材である。上下風向板19は、室内ファン14の下流側に配置され、上下風向板用モータ22(図4参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0016】
そして、空気吸込口h1を介して吸い込まれた空気が、伝熱管12gを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路h2に導かれるようになっている。この吹出風路h2を通流する空気は、左右風向板18及び上下風向板19によって所定方向に導かれ、さらに、空気吹出口h3を介して室内に吹き出される。
【0017】
図3は、第1実施形態に係る空気調和機100の冷媒回路Qを示す説明図である。なお、図3の実線矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示している。また、図3の破線矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示している。図3に示すように、室外機30は、圧縮機31と、室外熱交換器32と、室外ファン33と、室外膨張弁34(膨張弁)と、四方弁35と、を備えている。
【0018】
圧縮機31は、圧縮機モータ31aの駆動によって、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器である。室外熱交換器32は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン33から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
【0019】
室外ファン33は、室外ファンモータ33aの駆動によって、室外熱交換器32に外気を送り込むファンであり、室外熱交換器32の付近に設置されている。室外膨張弁34は、「凝縮器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の一方)で凝縮した冷媒を減圧する機能を有している。なお、室外膨張弁34において減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器32及び室内熱交換器12の他方)に導かれる。
【0020】
四方弁35は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。すなわち、破線矢印の方向に冷媒が流れる冷房運転時には、圧縮機31、室外熱交換器32(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室内熱交換器12(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0021】
また、実線矢印の方向に冷媒が流れる暖房運転時には、圧縮機31、室内熱交換器12(凝縮器)、室外膨張弁34、及び室外熱交換器32(蒸発器)が、四方弁35を介して環状に順次接続されてなる冷媒回路Qにおいて、冷凍サイクルで冷媒が循環する。
【0022】
すなわち、圧縮機31、「凝縮器」、室外膨張弁34、及び「蒸発器」を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路Qにおいて、前記した「凝縮器」及び「蒸発器」の一方は室外熱交換器32であり、他方は室内熱交換器12である。
【0023】
図4は、第1実施形態に係る空気調和機100の制御機能を示すブロック図である。図4に示す室内機10は、前記した構成の他に、撮像部23と、環境検出部24と、室内制御回路25と、を備えている。撮像部23は、室内(被空調空間)を撮像するものであり、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えている。この撮像部23の撮像結果に基づき、室内制御回路25によって、室内にいる人(在室者)が検出される。なお、被空調空間に存在する人を検出する「人検出部」は、撮像部23と、室内制御回路25と、を含んで構成される。
【0024】
環境検出部24は、室内の状態や室内機10の機器の状態を検出する機能を有し、室内温度センサ24aと、湿度センサ24bと、室内熱交換器温度センサ24cと、を備えている。室内温度センサ24aは、室内(被空調空間)の温度を検出するセンサである。この室内温度センサ24aは、フィルタ16,16(図2参照)よりも空気の吸込側に設置されている。これによって、後記するように室内熱交換器12を凍結させているとき、その熱輻射の影響に伴う検出誤差を抑制できる。
【0025】
湿度センサ24bは、室内(被空調空間)の空気の湿度を検出するセンサであり、室内機10の所定位置に設置されている。室内熱交換器温度センサ24cは、室内熱交換器12(図2参照)の温度を検出するセンサであり、室内熱交換器12に設置されている。室内温度センサ24a、湿度センサ24b、及び室内熱交換器温度センサ24cの検出値は、室内制御回路25に出力される。
【0026】
室内制御回路25は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0027】
図4に示すように、室内制御回路25は、記憶部25aと、室内制御部25bと、を備えている。記憶部25aには、所定のプログラムの他、撮像部23の撮像結果、環境検出部24の検出結果、リモコン信号送受信部11を介して受信したデータ等が記憶される。室内制御部25bは、記憶部25aに記憶されているデータに基づいて、所定の制御を実行する。なお、室内制御部25bが実行する処理については後記する。
【0028】
室外機30は、前記した構成の他に、室外温度センサ36と、室外制御回路37と、を備えている。室外温度センサ36は、室外の温度(外気温)を検出するセンサであり、室外機30の所定箇所に設置されている。なお、図4では省略しているが、室外機30は、圧縮機31(図3参照)の吸入温度、吐出温度、吐出圧力等を検出する各センサも備えている。室外温度センサ36を含む各センサの検出値は、室外制御回路37に出力される。
【0029】
室外制御回路37は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、室内制御回路25と通信線を介して接続されている。図4に示すように、室外制御回路37は、記憶部37aと、室外制御部37bと、を備えている。記憶部37aには、所定のプログラムの他、室外温度センサ36を含む各センサの検出値等が記憶される。室外制御部37bは、記憶部37aに記憶されているデータに基づいて、圧縮機モータ31a(つまり、圧縮機31)、室外ファンモータ33a、室外膨張弁34等を制御する。以下では、室内制御回路25及び室外制御回路37を「制御部K」という。
【0030】
次に、室内熱交換器12(図2参照)を洗浄するための処理について説明する。
前記したように、室内熱交換器12の上側・前側(空気の吸込側)には、塵や埃を捕集するためのフィルタ16(図2参照)が設置されている。しかしながら、細かい塵や埃がフィルタ16を通り抜けて、室内熱交換器12に付着することがあるため、室内熱交換器12を定期的に洗浄することが望まれる。そこで、本実施形態では、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12で凍結させ、その後、室内熱交換器12の氷を溶かすことで、室内熱交換器12を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器12の「洗浄処理」という。
【0031】
図5は、第1実施形態に係る空気調和機100の制御部Kが実行する洗浄処理を示すフローチャートである。適宜、図3図4を参照してこのフローチャートを説明する。なお、図5の「START」時までは、所定の空調運転(冷房運転、暖房運転等)が行われていたものとする。
【0032】
また、室内熱交換器12の洗浄処理の開始条件が「START」時に成立したものとする。この「洗浄処理の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算した値が所定値に達したという条件(室内熱交換器12の表面に汚れが付着して洗浄をすべきタイミング)である。なお、ユーザによるリモコン40の操作によって、洗浄処理を行う時間帯を設定できるようにしてもよい。
【0033】
ステップS101において、制御部Kは、空調運転を所定時間(例えば、数分間)停止させる。前記した所定時間は、冷凍サイクルを安定させるための時間であり、予め設定されている。例えば、「START」時まで行われていた暖房運転を中断して、室内熱交換器12を凍結させる際(S102)、制御部Kは、暖房運転時とは逆向きに冷媒が流れるように四方弁35を制御する。
【0034】
ここで、仮に、冷媒の流れる向きを急に変えると、圧縮機31に過負荷がかかり、また、音等でユーザに違和感を生じさせる。そこで、本実施形態では、室内熱交換器12の凍結(S102)に先立って所定時間、空調運転を停止させるようにしている(S101)。この場合において、制御部Kが、空調運転の停止時から所定時間が経過した後、室内熱交換器12の凍結を行うようにしてもよい。
【0035】
なお、冷房運転を中断して室内熱交換器12を凍結させる場合には、ステップS101の処理を省略してもよい。冷房運転中(START時)に冷媒が流れる向きと、室内熱交換器12の凍結中(S102)に冷媒が流れる向きと、は同じだからである。
【0036】
次に、ステップS102において、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させる(制御部Kは凍結処理を実行する)。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を蒸発器として機能させ、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12の表面に着霜させて凍結させる。また、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させる凍結処理中に、室内ファン14(送風ファン)を逆回転(図2において、反時計方向)させることにより、室内熱交換器12の裏面12r側(下流側、図2参照)のフィンへの着霜を促進させて凍結させる。
【0037】
ステップS103において、制御部Kは、室内熱交換器12(その表面に付着した氷)を解凍する。例えば、制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器12の表面の氷を溶かして解凍する。これによって、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。なお、自然解凍でもよいし、室内ファン14を回して風を当てた解凍でもよい。
【0038】
ステップS104において、制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させる。例えば、制御部Kは、室内ファン14の駆動によって、室内熱交換器12の表面の水を乾燥させる。これによって、室内熱交換器12を清潔な状態にすることができる。ステップS104の処理を行った後、制御部Kは、一連の処理を終了する(END)。
【0039】
次に、図5の各ステップの詳細について説明する。
図6は、室内熱交換器12を凍結させるための処理(図5のS102)を示すフローチャートである(適宜、図3図4を参照)。ステップS102aにおいて、制御部Kは、初期設定をする。このとき、制御部Kは、室内ファン14の逆回転判定符号Nを0(零)に設定し、室内ファン14を停止の状態とする。
【0040】
ステップS102bにおいて、制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室外熱交換器32を凝縮器として機能させ、室内熱交換器12を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。なお、「洗浄処理」(図5に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS102aにおいて四方弁35の状態を維持する。
【0041】
ステップS102cにおいて、制御部Kは、凍結時間を設定する。具体的に説明すると、制御部Kは、室内空気(被空調空間の空気)の相対湿度に基づいて、凍結時間を設定する。なお、「凍結時間」とは、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御(S102c〜S102e)が継続される時間である。本実施形態の凍結時間のうち、室内ファン14を逆回転させる時間(逆回転時間)を所定の割合で設定するとよい。
【0042】
図7は、室内空気の相対湿度と凍結時間との関係を示すマップである。図7の横軸は、室内空気の相対湿度であり、湿度センサ24b(図4参照)によって検出される。図7の縦軸は、室内空気の相対湿度に対応して設定される凍結時間である。図7に示すように、制御部Kは、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器12の凍結を行う凍結時間を短くする。その理由は、室内空気の相対湿度が高いほど、所定体積の室内空気に含まれる水分の量が多く、室内熱交換器12に水分が付着しやすいからである。このように凍結時間を設定することで、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器12に付着させ、さらに凍結させることができる。同様に、制御部Kは、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器12の凍結を行う室内ファン14の逆回転時間を短くする。
【0043】
また、室内空気の相対湿度が所定値以上のとき、室内ファン14の逆回転を実施しないようにしてもよい。その理由は、室内空気の相対湿度が所定値以上のとき、室内ファン14の逆回転を実施すると、前面パネル17の裏面の湿りが過多になり、前面パネル17からの水滴の落下する場合がある。このことを防止するためである。
【0044】
なお、図7に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。また、制御部Kが、室内空気の相対湿度に代えて、室内空気の絶対湿度に基づき、凍結時間を設定するようにしてもよい。すなわち、制御部Kは、室内空気の絶対湿度が高いほど、凍結時間を短くするようにしてもよい。
【0045】
次に、図6のステップS102dにおいて、制御部Kは、圧縮機31の回転速度を設定する。すなわち、制御部Kは、室外温度センサ36の検出値である室外温度に基づいて、圧縮機モータ31aの回転速度を設定し、圧縮機31を駆動する。
【0046】
図8は、室外温度と、圧縮機31の回転速度と、の関係を示すマップである。室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、図8に示すように、室外温度が高いほど、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくする。その理由は、室内熱交換器12において室内空気から熱を奪うには、それに対応して、室外熱交換器32での放熱が充分に行われることを要するからである。例えば、室外温度が比較的高い場合、制御部Kは、圧縮機モータ31aの回転速度を大きくすることで、圧縮機31から吐出される冷媒の温度・圧力を高くする。これによって、室外熱交換器32での熱交換が適切に行われ、ひいては、室内熱交換器12の凍結も適切に行われる。なお、図8に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。
【0047】
ちなみに、通常の空調運転(冷房運転や暖房運転)では、圧縮機31から吐出される冷媒の温度等に基づいて、圧縮機31の回転速度が制御されることが多い。一方、室内熱交換器12を凍結させているときには、圧縮機31から吐出される冷媒の温度が通常の空調運転時よりも低くなりやすいため、別のパラメータとして、室外温度を用いるようにしている。
【0048】
次に、図6のステップS102eにおいて、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。なお、ステップS102eでは、通常の冷房運転時よりも室外膨張弁34の開度を小さくすることが望ましい。これによって、通常の冷房運転時よりも低温低圧の冷媒が、室外膨張弁34を介して室内熱交換器12に流入する。したがって、室内熱交換器12に付着した水が凍結しやすくなり、また、室内熱交換器12の凍結に要する消費電力量を低減できる。
【0049】
ステップS102fにおいて、制御部Kは、室内熱交換器12の温度TEが所定範囲内(T1≦TE≦T2)であるか否かを判定する。前記した「所定範囲」とは、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分が室内熱交換器12で凍結し得るに適した範囲であり、予め設定されている。
【0050】
ステップS102fにおいて、室内熱交換器12の温度が所定範囲外である場合(S102f:No)、制御部Kの処理はステップS102eに戻る。例えば、室内熱交換器12の温度が所定範囲よりも高い場合、制御部Kは、室外膨張弁34の開度をさらに小さくする(S102e)。このように、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させているとき、室内熱交換器12の温度TEが所定範囲内に収まるように、室外膨張弁34の開度を調整する。
【0051】
図9は、室内熱交換器12の温度TEの時間的な変化の一例を示す説明図である。図9の横軸は、図6の「START」時からの経過時間である。図9の縦軸は、室内熱交換器12の温度TE(室内熱交換器温度センサ24cの検出値:図4参照)である。なお、温度が0℃未満の所定範囲Fは、ステップS102f(図6参照)の判定基準となる温度範囲であり、前記したように、予め設定されている。
【0052】
図9に示すように、室内熱交換器12を凍結させるための所定の制御が開始されてからの「経過時間」が長くなるにつれて、室内熱交換器12の温度が徐々に低くなっている。そして、経過時間tを過ぎると、室内熱交換器12の温度が所定範囲F内に収まっている。これによって、室内機10の信頼性を確保しつつ(室内熱交換器12の温度が過度に低くなることを抑制しつつ)、室内熱交換器12を凍結させることができる。
【0053】
なお、経過時間tを過ぎると、室内熱交換器12の凍結が進むため、時間の経過とともに、室内熱交換器12の氷の厚さが厚くなっていく。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する充分な量の水を、室内熱交換器12で凍らせることができる。
【0054】
本実施形態において、制御部Kは、室内熱交換器12の温度TEが所定温度以下(T2以下)の時刻t21になってから、室内ファン14の逆回転を開始させる。図9においては、時刻t21〜時刻t22の間、制御部Kは、室内ファン14を逆回転させることで、室内熱交換器12の裏面12r(図2参照)も、十分に凍らせることができる。
【0055】
図6のステップS102fにおいて、室内熱交換器12の温度TEが所定範囲内である場合(S102f:Yes)、制御部Kの処理はステップS102gに進む。
【0056】
ステップS102gにおいて、制御部Kは、室内ファン14の逆回転判定符号Nが1であるか否かを判定する。逆回転判定符号Nが1でなければ(S102g:No)、ステップS102hにおいて、室内ファン14を逆回転させ、ステップS102iに進む。逆回転判定符号Nが1であれば(S102g:Yes)、制御部Kの処理はステップS102kに進む。
【0057】
ステップS102iにおいて、制御部Kは、室内ファン14の逆回転時間(時刻t21〜t22の期間)が経過したか否かを判定する。室内ファン14の逆回転時間が経過していなければ(S102i:No)、制御部Kの処理はステップS102hに戻る。室内ファン14の逆回転時間が経過していれば(S102i:Yes)、制御部Kの処理はステップS102jに進む。
【0058】
ステップS102jにおいて、制御部Kは、室内ファン14を停止し、室内ファン14の逆回転判定符号Nを1に設定し、制御部Kの処理はステップS102kに進む。
【0059】
ステップS102kにおいて、制御部Kは、ステップS102cで設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。「START」時から所定の凍結時間が経過していない場合(S102k:No)、制御部Kの処理はステップS102dに戻る。一方、「START」時から所定の凍結時間が経過した場合(S102k:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。
【0060】
なお、図6の「START」時からの経過時間ではなく、室内熱交換器12の温度TEが所定範囲F内に収まってからの経過時間(図9に示す時刻t21からの経過時間)に基づいて、ステップS102fの判定処理を行うようにしてもよい。
【0061】
また、図6では省略したが、室外温度が氷点下である場合、制御部Kは、室内熱交換器12の凍結を行わないことが好ましい。その後の室内熱交換器12の解凍によって流れ落ちた多量の水がドレンホース(図示せず)内で凍りつくことを防止し、ひいては、ドレンホースを介した排水が阻害されることを防止するためである。
【0062】
図10は、圧縮機31及び室内ファン14の駆動状態を示す説明図である。図10の横軸は時刻である。図10の縦軸は、圧縮機31のON/OFF、及び室内ファン14のON/OFFの駆動状態を示している。図10に示す例では、所定の空調運転が時刻t1まで行われており、圧縮機31及び室内ファン14が駆動している(つまり、ON状態である)。その後、時刻t1〜t2において圧縮機31及び室内ファン14が停止している(図5のステップS101)。そして、時刻t2〜t3において、室内熱交換器12の凍結が行われている(図5のステップS102)。この時刻t2〜t3の時間が、ステップS102b(図6参照)で設定された凍結時間である。
【0063】
図10に示す例では、室内熱交換器12の凍結処理中、時刻t2〜t21においては、室内ファン14が停止されており、時刻t21〜t22においては、逆回転方向に室内ファン14が駆動している。そして、時刻t22〜t3においては、室内ファン14が停止されている。図10に示すように、室内ファン14を逆回転させる場合の効果について、図11Aおよび図11Bを参照して説明する。なお、時刻t3以後の処理については後記する。
【0064】
図11Aは、室内ファン14を停止状態にした場合の凍結処理中の霜の状態を示す模式図である。図11Bは、室内ファン14を逆回転状態と停止状態とを組み合わせた場合の凍結処理中の霜の状態を示す模式図である。
【0065】
図11Aに示すように、室内熱交換器12の凍結処理中に逆回転させずに、室内ファン14を停止させておくと、自然対流により吸い込まれた空気は室内熱交換器12の表面12f側(図2参照)で冷却され、室内熱交換器12の裏面12r側に流れたときには乾いているため、室内熱交換器12の裏面12r側の霜の付着量が少ない。室内熱交換器12の全体の清潔性を保つために、室内熱交換器12の裏面12r側への霜の付着量を増加させることが課題である。
【0066】
これに対し、図11Bに示すように、室内熱交換器12の凍結処理中に、室内ファン14を逆回転させることで、室内熱交換器12の裏面12r側への霜の付着量を増加させ、その霜を溶かすときに、発生する水で汚れを洗い流し、室内熱交換器全体の清潔性を保つことができる。
【0067】
なお、制御部Kは、室内ファン14の逆回転時に上下風向板19(図2参照)を開くとよい。これにより、室内ファン14の逆回転時の風量を増すことができ、霜付着量を増加させることができる。
【0068】
次に、解凍するための処理、乾燥させるための処理について説明する。
図12は、室内熱交換器12を解凍するための処理(図5のS103)を示すフローチャートである(適宜、図3図4を参照)。制御部Kは、前記したステップS102(図6参照)の処理によって室内熱交換器12を凍結させた後、図12に示す一連の処理を実行する。
【0069】
ステップS103aにおいて、制御部Kは、室内温度(被空調空間の温度)が所定値以上であるか否かを判定する。この所定値は、室内熱交換器12を凝縮器として機能させるか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0070】
ステップS103aにおいて室内温度が所定値以上である場合(S103a:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための処理を終了する(END)。次に説明するように、室内熱交換器12を解凍させる際には暖房運転時と同様に四方弁35が制御される。その理由は、室内温度が所定値以上の場合には冷凍サイクルの凝縮側の熱負荷が大きくなり過ぎて、蒸発側との均衡がとれなくなるからである。また、室内温度が比較的高い場合には、室内熱交換器12の氷が時間の経過とともに自然に溶けるからでもある。
【0071】
ステップS103b以降の処理は、図10の時刻t3〜t4と異なり、変形例の制御方法である。ステップS103bにおいて、制御部Kは、四方弁35を制御する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器32を蒸発器として機能させるように四方弁35を制御する。つまり、制御部Kは、暖房運転時と同様に四方弁35を制御する。
【0072】
ステップS103cにおいて、制御部Kは、上下風向板19(図2参照)を閉じる。これによって、次に室内ファン14を駆動させても(S103d)、水の滴が空気とともに室内に飛び出すことを防止できる。
【0073】
ステップS103dにおいて、制御部Kは、室内ファン14を駆動する。これによって、空気吸込口h1(図2参照)を介して空気が取り込まれ、さらに、取り込まれた空気が上下風向板19と前面パネル17との隙間等を介して室内に漏れ出る。したがって、室内熱交換器12(凝縮器)の温度が高くなり過ぎることを抑制できる。
【0074】
ステップS103eにおいて、制御部Kは、圧縮機31の回転速度を所定の値に設定し、圧縮機31を駆動する。ステップS103fにおいて、制御部Kは、室外膨張弁34の開度を調整する。このように圧縮機31及び室外膨張弁34が適宜に制御されることで、凝縮器である室内熱交換器12を介して高温の冷媒が通流する。その結果、室内熱交換器12の氷が一気に溶けるため、室内熱交換器12に付着していた塵や埃が洗い流される。そして、塵や埃を含む水はドレンパン13(図2参照)に落下し、ドレンホース(図示せず)を介して外部に排出される。
【0075】
ステップS103gにおいて、制御部Kは、図1の「START」時から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、室内熱交換器12の解凍に要する時間であり、予め設定されている。ステップS103gにおいて「START」時から所定時間が経過していない場合(S103g:No)、制御部Kの処理はステップS103fに戻る。一方、「START」時から所定時間が経過した場合(S103g:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を解凍するための一連の処理を終了する(END)。
【0076】
なお、図12に示す一連の処理に代えて、図10のタイムチャート(時刻t3〜t4)に示すように、圧縮機31や室内ファン14を停止状態で維持するようにしてもよい。その理由は、室内熱交換器12を凝縮器として機能させずとも、室内熱交換器12の氷が室温で自然に溶けるからである。これによって、室内熱交換器12の解凍に要する消費電力を低減できる。また、上下風向板19(図2参照)の内側に水滴が付くことを抑制できる。
【0077】
図13は、室内熱交換器12を乾燥させるための処理(図5のS104)を示すフローチャートである。制御部Kは、前記したステップS103a〜S103gの処理(図11参照)によって室内熱交換器12を解凍した後、図12に示す一連の処理を実行する。
【0078】
ステップS104aにおいて、制御部Kは、四方弁35、圧縮機31、室内ファン14等の駆動状態を維持する。すなわち、制御部Kは、室内熱交換器12の解凍時と同様に四方弁35を制御して室内熱交換器12を凝縮機となるようにし、また、圧縮機31や室内ファン14等を駆動させ続ける。このように暖房運転時と同様の制御を行うことで、室内熱交換器12に高温の冷媒が流れ、また、室内機10に空気が取り込まれる。その結果、室内熱交換器12に付着した水が蒸発する。
【0079】
次に、ステップS104bにおいて、制御部Kは、ステップS104aの処理を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104b:No)、制御部Kの処理はステップS104aに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104b:Yes)、制御部Kの処理はステップS104cに進む。
【0080】
ステップS104cにおいて、制御部Kは、送風運転を実行する。すなわち、制御部Kは、圧縮機31を停止させ、室内ファン14を所定の回転速度で駆動する。これによって、室内機10の内部が乾燥するため、防菌・防黴の効果が奏される。
【0081】
なお、ステップS104aやステップS104cの処理中、上下風向板19(図2参照)を閉じていてもよいし、また、上下風向板19を開いていてもよい。
【0082】
次に、ステップS104dにおいて、制御部Kは、ステップS104cの処理を開始してから所定時間が経過しているか否かを判定する。所定時間が経過していない場合(S104d:No)、制御部Kの処理はステップS104cに戻る。一方、所定時間が経過した場合(S104d:Yes)、制御部Kは、室内熱交換器12を乾燥させるための一連の処理を終了する(END)。
【0083】
なお、図10に示すタイムチャートでは、時刻t4〜t5において暖房(図12のS104a)が行われた後(暖房と同じ冷媒の流れの運転が行われた後)、時刻t5〜t6において送風(図12のS104c)が行われている。このように暖房及び送風を順次に行うことで、室内熱交換器12を効率的に乾燥させることができる。
【0084】
<効果>
第1実施形態によれば、制御部Kは、室内熱交換器12を蒸発器として機能させ、室内熱交換器12を凍結させる凍結処理中に、室内ファン14(送風ファン)を逆回転させる。これにより、室内熱交換器12の裏面12r(図2参照)側の霜の付着量が増加できる。
【0085】
特に、空気が流れる方向に2列以上の伝熱管12gが配置された室内熱交換器12の場合、室内熱交換器12の表面12f(図2参照)側の霜の付着量が裏面12r(図2参照)より多くなりやすい。そのため、第1実施形態によれば、室内熱交換器12の霜の付着量を均等にすることができる。
【0086】
なお、図10においては、時刻t2〜t3の凍結処理中に室内ファン14は停止状態、逆回転状態、停止状態のパターンとしているがこれに限定されるわけではない。例えば、逆回転状態、停止状態のパターンであってもよいし、停止状態、逆回転状態のパターンであってもよい。
【0087】
また、制御部Kは、室内ファン14が逆回転させる場合に上下風向板19を開く。これにより、風量が増えて、室内熱交換器12の裏面12r(図2参照)側の霜の付着量を増加できる。
【0088】
また、制御部Kは、凍結処理中に、室内ファン14を停止した凍結処理と室内ファン14を逆回転させる凍結処理の両方を行う。これにより、室内熱交換器12の表面12f(図2参照)側と裏面12r(図2参照)側の霜の付着量を均等にすることできる。
【0089】
また、制御部Kは、室内ファン14を停止した凍結処理の時間(例えば、図10の時刻t2〜t21の時間と時刻t22〜t3の時間との加算時間)が、室内ファン14を逆回転させる凍結処理の時間(例えば、図10の時刻t21〜t22の時間)より長い。これにより、霜で凍結する部分が正流する部分(図11A参照)と逆流する部分(図11B参照)が生じ、正流する部分の霜の付着量を多くすることができる。
【0090】
また、制御部Kは、室内熱交換器12の温度が所定温度以下(例えば、図9のT2以下)になってから、室内ファン14の逆回転を開始させる。これにより、室内ファン14の逆回転時間を短くすることができる。
【0091】
また、制御部Kは、凍結処理中に、室内ファン14の停止と逆回転を繰り返す。これにより、室内熱交換器12の表面12f側(図2参照)と裏面12r(図2参照)側の霜の付着量を均等にすることできる。
【0092】
また、制御部Kは、凍結処理中に、送風ファンの正回転を行わないようにしてもよい。冷気が室内空間に流れるのを防止することができ、ユーザに違和感を生じさせない。
【0093】
また、室内熱交換器12を凍結させた後(図5のS102)、室内熱交換器12の氷を解凍する(S103)。これによって、通常の冷房運転時よりも、室内熱交換器12に多くの水分(氷)を付着させることができる。そして、室内熱交換器12の解凍によって、その表面に多量の水が流れるため、室内熱交換器12に付着した塵や埃を洗い流すことができる。
【0094】
また、室内熱交換器12を凍結させる際、制御部Kは、例えば、室内空気の相対湿度に基づいて凍結時間を設定する(図6のS102c、図7参照)。これによって、室内熱交換器12の洗浄に要する適量の水を、室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0095】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室外温度に基づいて圧縮機モータ31aの回転速度を設定する(図6のS102d、図8参照)。これによって、室内熱交換器12の凍結中、室外熱交換器32での放熱を適切に行うことができる。
【0096】
また、室内熱交換器12を凍結させているとき、制御部Kは、室内熱交換器12の温度に基づいて、室外膨張弁34の開度を調整する(図6のS102e)。これによって、室内熱交換器12に通流する冷媒の温度を十分に低くし、室内機10に取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器12において凍らせることができる。
【0097】
また、図7において、室内空気の相対湿度に基づいて、凍結時間を変更することを説明したが、これに限定されるわけではない。図10においては、凍結洗浄の全体時間として時刻t1〜t6の時間を示したが、室内空気の室温と湿度に基づいて、凍結洗浄の全体時間を変更してもよい。具体的には、室温が高いと室内熱交換器12が凍り難くなり、湿度が低いと、室内熱交換器12が凍り難くなるためである。
【0098】
また、図10において時刻t1前の空調運転が、冷房又は除湿運転の場合は、暖房運転の場合よりも、室内熱交換器12の温度TE(図9参照)の温度変化をゆっくりにする。冷房又は除湿運転の場合は、フィン12aに水滴がついていることが多く、氷点下になると、フィン12aからのきしみ音がなる可能性が多くなる。このため、室内熱交換器12の温度TEの温度変化をゆっくりとすることにより、きしみ音の発生を防止することができる。
【0099】
≪第2実施形態≫
第1実施形態では、図2に示す壁掛式の室内機10の例について示したが、これに限定されるわけではない。第2実施形態では、天井埋込式の室内機10Aについても適用できることを示す。なお、図2図4に記載の同一構成品については、同一符号を付しており、説明を省略する。
【0100】
図14は、第2実施形態に係る空気調和機の室内機10Aの縦断面構成を示す説明図である。室内機10Aは、方形の四隅を切り取った略8角形の平面形状の箱体として構成されており、天井開口部の上方天井R内に埋設され、室内機10Aの内部には、室内熱交換器12A及び室内ファン14Aが配置されている。また、室内機10Aの下部開口部は、ほぼ正方形の天井パネル2によって覆われている。そして、天井パネル2の中央部には、空気吸込口h1が形成され、この空気吸込口h1の外側には、天井パネル2の各辺縁に沿う長方形の空気吹出口h3が形成されている。
【0101】
室内機10Aは、内部に配設された室内ファンモータ14Aaによって室内ファン14を駆動すると室内の室内空気が、空気吸込口h1からフィルタ16を通って、室内機10A内に吸込まれ、室内熱交換器12Aを通過する過程で、冷却又は加熱されることにより、調和空気となって、空気吹出口h3から風向ルーバ26に案内され、室内に吹出される。なお、図14において、13Aはドレンパンを兼ねる支持枠、27は導風板である。
【0102】
第2実施形態においても、制御部Kは、室内熱交換器12Aを蒸発器として機能させ、室内熱交換器12Aを凍結させる凍結処理中に、室内ファン14A(送風ファン)を逆回転させる。これにより、室内熱交換器12Aの裏面12r側の霜の付着量が増加できる。
【0103】
各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【0104】
例えば、第1実施形態では、伝熱管12gが空気が流れる方向に千鳥状に2列配置された室内熱交換器12について説明したが、これに限らない。伝熱管12gが千鳥状に配置されていなくてもよい。また、伝熱管12gは2列に限らず、1列の伝熱管12gや3列以上の伝熱管12gが配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
100 空気調和機
10,10A 室内機
12,12A 室内熱交換器(蒸発器/凝縮器)
12f 表面
12r 裏面
14,14A 室内ファン(送風ファン)
17 前面パネル
18 左右風向板
19 上下風向板
23 撮像部(人検出部)
26 風向ルーバ
27 導風板
30 室外機
31 圧縮機
31a 圧縮機モータ(圧縮機のモータ)
32 室外熱交換器(凝縮器/蒸発器)
33 室外ファン
34 室外膨張弁(膨張弁)
35 四方弁
40 リモコン
K 制御部
Q 冷媒回路
【要約】
空気調和機(100)は、圧縮機(31)、凝縮器、室外膨張弁(34)、及び蒸発器を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環する冷媒回路(Q)と、少なくとも圧縮機(31)及び室外膨張弁(34)を制御する制御部と、を備え、凝縮器及び蒸発器の一方は室外熱交換器(32)であり、他方は室内熱交換器(12)であり、制御部は、室内熱交換器(12)を蒸発器として機能させ、室内熱交換器(12)を凍結させる凍結処理中に、室内ファン(14)を逆回転させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14