(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6435450
(24)【登録日】2018年11月16日
(45)【発行日】2018年12月5日
(54)【発明の名称】草刈り用チップソー
(51)【国際特許分類】
A01D 34/73 20060101AFI20181126BHJP
【FI】
A01D34/73 102
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-101123(P2018-101123)
(22)【出願日】2018年5月28日
【審査請求日】2018年8月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508215407
【氏名又は名称】井上 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝幸
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−142198(JP,A)
【文献】
特開昭56−164710(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3217662(JP,U)
【文献】
実開昭54−64727(JP,U)
【文献】
特開平4−32894(JP,A)
【文献】
米国特許第4527382(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/73
B26D 1/12 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機への取付け穴が穿設された円板状の台金と、該台金の外周縁部に脱着可能に取り付けられる複数のチップ取付け部を有する円環状の替え刃とを備えたチップソーにおいて、前記チップ取付け部は直線状の前傾と直線状の後傾を稜線とする山型に形成され、前記前傾と前記後傾が交わる前記チップ取付け部の前記前傾側には、前記前傾の長さの1/2以上にチップが固着され、前記後傾側には、前記後傾の長さの1/2以上に鋸歯状の複数の歯が形成され、隣接する前記チップ取付け部の間には、直線状の前記後傾と直線状の前記前傾により形成される刃室を有することを特徴とする草刈り用チップソー。
【請求項2】
前記替え刃は、前記台金の外周縁部で円弧状に複数に分割され、分割された各替え刃が接合して円環状に形成されるとともに、分割された各替え刃は複数のチップ取付け部を有することを特徴とする請求項1に記載の草刈り用チップソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雑草、雑木、小竹等の植物を刈り払いする際に使用する草刈り用チップソーに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでの草刈り用チップソーは、円板状の台金の外周縁部に、所定間隔で複数のチップ取付け部が形成され、その先端部にチップが取り付けられている。このチップソーを刈払い機に取り付けて回転させることにより、雑草等の草刈りを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−151954
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の従来の草刈り用チップソーによると、多数のチップ取付部にそれぞれ固着されたチップは、草刈り時にチップが硬い草木や石や金属等に接触して刃の摩耗や損傷が起こり、徐々に草刈りの効果が失われるものであり、一部のチップが破損した場合でも、新規のチップソーとまるごと交換するしかなかった。また、草刈りを続けると、隣り合うチップ取付部間の刃室に、刈り取られた草木が挟まって絡み、スムーズな草刈りができなくなる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のチップソーは、刈払機への取付け穴が穿設された円板状の台金と、該台金の外周縁側に脱着可能に取り付けられる複数のチップ取付け部を有する円環状の替え刃とを備えたチップソーにおいて、前記チップ取付け部は直線状の前傾と直線状の後傾を稜線とする山型に形成され、前記前傾と前記後傾が交わる前記チップ取付け部の前記前傾側には、前記前傾の長さの1/2以上にチップが固着され、前記後傾側には、前記後傾の長さの1/2以上に鋸歯状の複数の歯が形成され、隣接する前記チップ取付け部の間には、直線状の前記後傾と直線状の前記前傾により形成される刃室を有することを特徴とする。
【0006】
さらに本発明のチップソーは、前記替え刃が、前記台金の外周縁部で円弧状に複数に分割され、分割された各替え刃が接合して円環状に形成されるとともに、分割された各替え刃は複数のチップ取付け部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のチップソーによれば、チップ取付け部の前傾に固着されたチップと、後傾に形成された鋸刃状の複数の刃により、草木の絡みを軽減でき、常にスムーズな草刈りを行うことができるとともに、一部の刃が破損した場合には、その部分の替え刃のみを交換すればよいので、従来のチップソーに比べ経済的であり、草刈りの作業効率も格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の草刈り用チップソーの平面図である。
【
図2】本発明の草刈り用チップソーのチップ取付け部の拡大図である。
【
図3】本発明の草刈り用チップソーの替え刃の平面図である。
【
図4】本発明の草刈り用チップソーの替え刃を覆うカバーの平面図である。
【実施例】
【0009】
図1は本発明の草刈り用チップソーの平面図である。
図1において、刈払機への取付け穴4aが穿設された円板状の台金4の外周部3には、等間隔に複数の山型のチップ取付け部10が設けられ、該チップ取付け部10の二つの稜線部には異なる刃が形成された円環状の替え刃11がボルト12により取り付けられている。また、替え刃11の上側には、円環状のカバー13が前記ボルト12で一緒に固定されている。円環状の替え刃11は4つの円弧状の替え刃に分割されており、円環状のカバー13も4つの円弧状のカバーに分割されている。
【0010】
図2は本発明の草刈り用チップソーのチップ取付け部の拡大図である。
図2において、台金4の外周縁部3に設けられたチップ取付け部10の2つの稜線のうちの前傾、つまり、外周縁部3と稜線とが鋭角をなす側には、その先端部に超合金のチップ2が固着されている。また、チップ取付け部10の2つの稜線のうちの後傾、つまり、外周縁部3と稜線とが鈍角をなす側には、鋸刃1が形成されている。
【0011】
なお、チップ2及び鋸刃1の取付け長さは、各々チップ取付け部10の前傾6及び後傾7の1/2以上とする。また、前傾と後傾とが交わる刃先8を頂点とする角度は約35度としている。
【0012】
本発明の草刈り用チップソーは、チップ取付け部10の前傾6及び後傾7の両方に刃が形成されているので、一方の刃が損傷した際には台金4を裏返して使用したり、回転方向5を変えて使用すれば、損傷していない刃を使用することができる。また、後傾7に設けられた鋸刃1で草刈りを行う場合には、草刈り対象物に鋸刃1が鈍角的に当接するため、よりスムーズな切れ味が得られるとともに、V型の刃室9への草溜まりも軽減でき、刈り払い機のエンジンへの負荷も減少する。
【0013】
図3は本発明の草刈り用チップソーの替え刃11の平面図である。本実施例では、4分割された円弧状の替え刃11a、11b、11c及び11dが円環状に連接されて替え刃11を形成している。分割された各替え刃には4つのチップ取付け部10が設けられており、各チップ取付け部10には、
図2で説明したようなチップ2と鋸刃1が形成されている。また台金4にボルトで取り付け固定するための取付け穴14が設けられている。上記によれば、一部の歯が損傷した場合には、その歯を有する替え刃のみを交換することができるので、極めて経済的である。
【0014】
図4は、替え刃11を覆うように前記ボルト12で台金4に替え刃11と一緒に固定されているカバー13の平面図である。カバー13にはボルト12が貫通する穴15が設けられている。本実施例では、カバー13も替え刃11と同様に円弧状に4分割されているが、分割された各カバーは2つの隣接する替え刃の接合部がカバーの中央部に重なるように取り付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、台金のチップ取付け部にチップが固着される実施例に示すようなものに限定されることなく、各種形態のチップソーに適用できる。
【符号の説明】
【0016】
1 鋸刃
2 チップ
3 外周縁部
4 台金
5 回転方向
6 前傾
7 後傾
8 刃先部
9 刃室
10 チップ取付け部
11、11a、11b、11c、11d 替え刃
12 ボルト
13 カバー
14 取付け穴
15 穴
【要約】
【課題】草刈り時の雑草等の絡みつき防止と切れ味に優れ、刈払い機のエンジンへの負荷を軽減させるとともに、経済的な草刈り用チップソーを提供すること。
【解決手段】複数の山型のチップ取付け部を有し、台金への脱着が可能な替え刃を備えたチップソーであって、前記チップ取付け部の各稜線にはチップと鋸歯が形成され、隣接する前記チップ取付け部の間には、V型の刃室を有する草刈り用チップソーである。
【選択図】
図1