(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1〜11を用いて、実施の形態1を説明する。本実施の形態1では、レンズ鏡筒の一例として、交換レンズの説明を行う。レンズ鏡筒には、デジタルスチルカメラのような撮像装置に一体的に設けられる鏡筒と、一眼カメラやミラーレスカメラのような撮像装置に着脱可能に設けられる交換レンズと、が含まれる。
【0012】
[1.交換レンズの構成(
図1〜
図6B)]
図1は、交換レンズの分解斜視図である。交換レンズは、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4を有している。
【0013】
交換レンズは、ズームリング100と、固定枠200と、カム筒500と、第1レンズ群G1を含む1群レンズユニット600と、第2レンズ群G2を含む2群レンズユニット700と、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4を含む3/4群レンズユニット300と、回転規制枠800と、後枠400と、レンズマウント900と、を備える。交換レンズは、レンズマウント900を介して、カメラボディと接続され、撮像装置を構成する。
【0014】
ズームリング100は、固定枠200の外周側に設けられる。ズームリング100は、固定枠200に対して相対的に回転可能である。ズームリング100は、
図1に示すように、内周にズーム駆動溝104が形成されている。ズーム駆動溝104は、光軸と実質的に平行な溝である。
【0015】
図2は、固定枠200をレンズマウント900側から見た斜視図である。固定枠200は、内周に、第1カム溝201、第2カム溝202、貫通カム溝203が設けられている。貫通カム溝203は、固定枠200の内周から外周に貫通している。また、固定枠200は、内周に、巾が一定で光軸と実質的に並行に形成される固定枠回転規制溝211、固定枠回転規制溝212、固定枠回転規制溝213を有する。
図2示すように、第1カム溝201、第2カム溝202、貫通カム溝203及び固定枠回転規制溝211、212、213は、周方向を略均等に3分割する位相位置にそれぞれ配置される。
【0016】
図3は、カム筒500をレンズマウント900側から見た斜視図である。カム筒500は、内周に、3つの第3カム溝520、3つの第4カム溝530及び回転規制枠800と係合する3つのバヨネット溝560を有する。3つの第3カム溝520、3つの第4カム溝530及び3つのバヨネット溝560は、周方向を略均等に3分割する位相位置にそれぞれ配置される。
【0017】
また、カム筒500の外周には、第1カムピン501、第2カムピン502、貫通カムピン503が圧入などにより取り付けられる。
【0018】
カム筒500の第1カムピン501は、固定枠200の第1カム溝201と係合し、第2カムピン502は、固定枠200の第2カム溝202と係合する。カム筒500の貫通カムピン503は、固定枠200の貫通カム溝203と係合する。貫通カムピン503は、第1カムピン501や第2カムピン502よりも径が大きい。ズーム駆動ピン504は、貫通カムピン503が貫通カム溝203に係合された状態で、貫通カムピン503の天面にビス締めされる。
【0019】
ここで、ズーム駆動ピン504は、固定枠200の外周面よりも外周側に突出している。ズーム駆動ピン504は、ズームリング100のズーム駆動溝104と係合する。これにより、ズームリング100がユーザー操作などにより光軸回りに回転すると、カム筒500はズーム駆動ピン504を介して光軸回りに回転する。この結果、カム筒500は、第1カムピン501等が第1カム溝201等に沿って移動することで、固定枠200に対して光軸回りに回転しながら光軸方向に移動する。なお、カム筒500が光軸方向に移動しても、ズーム駆動ピン504は、ズーム駆動溝104と係合し続ける。
【0020】
図4は、1群レンズユニット600をレンズマウント900側から見た斜視図である。1群レンズユニット600は、内周に、巾が一定で光軸と実質的に平行に形成される1群回転規制リブ641、1群回転規制リブ642、1群回転規制リブ643を有する。1群回転規制リブ641、642、643のそれぞれの一部は、1群レンズユニット600の像面側から突出している。また、1群レンズユニット600の外周の端部側には、第3カムピン621、第3カムピン622、第3カムピン623が圧入などにより取り付けられている。第3カムピン621、622、623は、1群回転規制リブ641、642、643とそれぞれ対を形成し、対向する位置に取り付けられる。即ち、第3カムピン621、622、623と、1群回転規制リブ641、642、643とは、周方向の位相がそれぞれ実質的に同じである。1群回転規制リブ641、642、643は、ガイド部の一例である。
【0021】
第3カムピン621、622、623は、カム筒500の3つの第3カム溝520とそれぞれ係合する。これにより、1群レンズユニット600は、カム筒500に対して相対的に光軸回りに回転しながら光軸方向に移動する。
【0022】
図5は、2群レンズユニット700をレンズマウント900側から見た斜視図である。2群レンズユニット700は、外周に、巾が一定で光軸と実質的に平行に形成される2群回転規制溝751、2群回転規制溝752、2群回転規制溝753を有する。また、2群レンズユニット700の外周には、第4カムピン731、第4カムピン732、第4カムピン733が圧入などにより取り付けられる。第4カムピン731、732、733は、2群回転規制溝751、752、753を形成する2群レンズユニット700の壁に設けられ、2群回転規制溝751、752、753の近傍に配置される。第4カムピン731、732、733は、カム筒500の3つの第4カム溝530とそれぞれ係合する。これにより、2群レンズユニット700は、カム筒500に対して相対的に光軸回りに回転しながら光軸方向に移動する。2群回転規制溝751、752、753は、ガイド部の一例である。
【0023】
図6Aは、レンズマウント900側から見た回転規制枠800の斜視図であり、
図6Bは、被写体側から見た回転規制枠800の斜視図である。回転規制枠800は、フランジ810から径方向の外周側に突出する回転規制キー811、回転規制キー812、回転規制キー813を有する。3つの回転規制キー811、812、813は、外周を周方向に略3等分する位相位置に配置される。回転規制キー811、812、813は、固定枠200の固定枠回転規制溝211、212、213とそれぞれ係合する。これにより、回転規制枠800は、固定枠200に対して光軸回りの回転が規制され、光軸方向に移動可能となる。
【0024】
また、回転規制枠800は、巾が一定で光軸に沿って形成される2群回転規制リブ851、2群回転規制リブ852、2群回転規制リブ853を有する。2群回転規制リブ851、852、853は、フランジ810の内周側から被写体側に突出している。2群回転規制リブ851、852、853は、回転規制キー811、812、813と周方向の位相位置が略同じである。なお、2群回転規制リブ851、852、853は、フランジ810から突出しているので、撓み易い。
【0025】
2群回転規制リブ851、852、853には、外周側に、実質的に巾が一定で光軸と平行に形成される1群回転規制溝841、1群回転規制溝842、1群回転規制溝843がそれぞれ設けられる。
図6Aに示すように、1群回転規制溝841、842、843は、2群回転規制リブ851、852、853の全長に渡って設けられ、フランジ810を貫通する。
【0026】
ここで、2群回転規制リブ851、852、853は、2群レンズユニット700の2群回転規制溝751、752、753とそれぞれ係合し、1群回転規制溝841、842、843は、1群レンズユニット600の1群回転規制リブ641、642、643とそれぞれ係合する。これにより、1群レンズユニット600及び2群レンズユニット700は、回転規制枠800に対して光軸回りの回転が規制された状態で、光軸方向に移動可能にガイドされる。
【0027】
また、回転規制枠800の外周には、3つのバヨネットキー860が設けられている。3つのバヨネットキー860は、カム筒500の3つのバヨネット溝560とそれぞれ係合する。これにより、回転規制枠800は、カム筒500に対して相対的に回転可能で、光軸方向の移動が規制される。なお、回転規制枠800はガイド枠の一例である。
【0028】
図1に示す3/4群レンズユニット300は、固定枠200に取り付けられる。3/4群レンズユニット300には、フォーカスレンズである第3レンズ群G3が取り付けられる。3/4群レンズユニット300には、第3レンズ群G3を動作させるためのフォーカスモータ等が取り付けられる。なお、第4レンズ群G4は、固定レンズとして、3/4群レンズユニット300内に取り付けられる。
【0029】
図1に示す後枠400は、固定枠200に取り付けられ、固定枠200の外周側に設けられる。
【0030】
図1に示すレンズマウント900は、カメラボディと結合するマウント部である。レンズマウント900は、固定枠200に取り付けられる。
【0031】
[2.交換レンズの組み立て]
次に、交換レンズの組み立て順序を説明する。
【0032】
まず、固定枠200の内側にカム筒500が挿入される。このとき、固定枠200の第1カム溝201、第2カム溝202、貫通カム溝203に対して、カム筒500の第1カムピン501、第2カムピン502、貫通カムピン503がそれぞれ取り付けられる。そして、ズーム駆動ピン504は貫通カムピン503にネジ締めされる。
【0033】
次に、カム筒500の内側に1群レンズユニット600が挿入される。このとき、カム筒500の3つの第3カム溝520に対して、1群レンズユニット600の第3カムピン621、622、623がそれぞれ取り付けられる。
【0034】
次に、カム筒500の内側に2群レンズユニット700が挿入される。このとき、カム筒500の3つの第4カム溝530に対して、2群レンズユニット700の第4カムピン731、732、733がそれぞれ取り付けられる。
【0035】
次に、カム筒500の内側に回転規制枠800が挿入される。その際、回転規制枠800の2群回転規制リブ851、852、853が、2群レンズユニット700の2群回転規制溝751、752、753にそれぞれ係合し、回転規制枠800の1群回転規制溝841、842、843が、1群レンズユニット600の1群回転規制リブ641、642、643にそれぞれ係合する。更に、回転規制枠800の3つのバヨネットキー860が、カム筒500の3つのバヨネット溝560にそれぞれ係合する。
【0036】
このようにして、固定枠200の内側に、カム筒500、1群レンズユニット600、2群レンズユニット700、回転規制枠800が挿入される。
【0037】
次に、固定枠200のレンズマウント900側に、3/4群レンズユニット300を、ビス締め固定する。
【0038】
次に、固定枠200の外周にズームリング100が取り付けられる。この際、ズームリング100のズーム駆動溝104に、カム筒500のズーム駆動ピン504が係合する。
【0039】
そして、固定枠200のレンズマウント900側に後枠400がビス締め固定され、固定枠200にレンズマウント900がビス締め固定される。
【0040】
このようにして組み立てられた交換レンズは、ズームリング100が回転すると、固定枠200に対して、カム筒500が回転し、光軸方向に移動する。また、回転規制枠800は、固定枠200に対して光軸回りの回転が規制された状態でカム筒500と一体的に光軸方向に移動する。また、1群レンズユニット600及び2群レンズユニット700は、それぞれ、光軸回りの回転が規制された状態でカム筒500に対して光軸方向に移動する。
【0041】
[3.各構成の関係(
図7〜
図10)]
図7は、固定枠200、カム筒500、1群レンズユニット600、2群レンズユニット700、回転規制枠800を組み立てた状態の斜視図である。
【0042】
図8は、
図7の光軸と垂直方向(XY方向)の断面を示す模式図である。
図8では、第3カムピン621、622、623に係合する3つの第3カム溝520を、それぞれ第3カム溝521、第3カム溝522、第3カム溝523としている。
図8に示すように、第3カム溝521、522、523、第3カムピン621、622、623、1群回転規制リブ641、642、643、2群回転規制溝751、752、753、1群回転規制溝841、842、843、2群回転規制リブ851、852、853及び第4カムピン731、732、733は、それぞれ周方向に略3等分する位相位置に配置される。そして、第3カム溝521、第3カムピン621、1群回転規制リブ641、2群回転規制溝751、1群回転規制溝841及び2群回転規制リブ851は、周方向の実質的に同じ位相位置に配置される。同様に、第3カム溝522、第3カムピン622、1群回転規制リブ642、2群回転規制溝752、1群回転規制溝842及び、2群回転規制リブ852は、周方向の実質的に同じ位相位置に配置され、第3カム溝523、第3カムピン623、1群回転規制リブ643、2群回転規制溝753、1群回転規制溝843及び2群回転規制リブ853は、周方向の実質的に同じ位相位置に配置される。
【0043】
また、第4カムピン731、732、733は、2群回転規制溝751、752、753を形成する2群レンズユニット700の壁にそれぞれ設けられているため、第3カムピン621、622、623の近傍にそれぞれ配置される。第3カムピン621と第4カムピン731の距離をなるべく短くしているので、負荷の力点と作用点との距離が短いため、回転規制キー811と固定枠回転規制溝211との係合部のこじり負荷が軽減される。第3カムピン622と第4カムピン732及び第3カムピン623と第4カムピン733との関係についても同様である。
【0044】
図9Aは、レンズ収納状態における
図7の光軸方向(Z方向)の断面を示す模式図であり、
図9Bは、レンズ使用状態における
図7の光軸方向(Z方向)の断面を示す模式図である。
図9Aに示すレンズ収納状態では、1群回転規制溝841と係合する1群回転規制リブ641は、光軸方向において、2群回転規制リブ851の像面側端部まで収納される。また、
図9Bに示すレンズ使用状態では、第3カムピン621は、1群回転規制溝841(2群回転規制リブ851)の被写体側端部付近まで、光軸方向に移動する。第3カムピン622、1群回転規制リブ642、1群回転規制溝842及び2群回転規制リブ852についても同様である。また、第3カムピン623、1群回転規制リブ643、1群回転規制溝843及び2群回転規制リブ853についても同様である。
【0045】
図10は、
図8における第3カムピン621付近の拡大図である。外周側から内周側に向かって、カム筒500、1群レンズユニット600、回転規制枠800、2群レンズユニット700が配置されている。
【0046】
カム筒500は、内周面に、第3カム溝521を有する。1群レンズユニット600は、外周面に、第3カムピン621を有する。第3カムピン621は、第3カム溝521と係合する。
【0047】
第3カムピン621は、1群レンズユニット600本体の像面側の端部に圧入されている。また、1群レンズユニット600は、第3カムピン621と径方向に対向する内周の位置に、1群回転規制リブ641を有する。1群回転規制リブ641は、2つの凸部681、2つの凸部681に挟まれる1つの凹部691を有する。凸部681は、凹部691と対向する側に接触面641aと、接触面641aと凹部691を繋ぐ内周面641bを有する。凹部691は、“肉盗み”であり、1群レンズユニット600を形成する樹脂に“引け”が生じるのを軽減する。1群レンズユニット600は、樹脂で形成された外装部材である。そのため、肉盗みである凹部691がない場合、樹脂に“引け”が生じ、凸凹した表面になり、摺動性やデザイン(美観)性を損なう可能性がある。第3カムピン622、623及び1群回転規制リブ642、643についても同様である。
【0048】
図10に示すように、回転規制枠800の2群回転規制リブ851は、断面形状が略凹状である1群回転規制溝841を有する。1群回転規制溝841は、2つの摺動面841aと、2つの摺動面841aを繋ぐ底面841bを有する。2つの摺動面841aは、1群回転規制リブ641の接触面641aと接触して移動可能である。2つの摺動面841aは、径方向(L1)と略平行に、接触面641aと接触し、回転規制枠800が1群レンズユニット600から外れることを軽減している。
【0049】
2群回転規制リブ851は、2つの接触面851aと、2つの接触面851aを繋ぐ内周面851bを有する。
【0050】
2群レンズユニット700は、外周面に、2群回転規制溝751を有する。2群回転規制溝751は、凹形状であり、2つの摺動面751aと、2つの摺動面751aを繋ぐ底面751bを有する。2つの摺動面751aは、2群回転規制リブ851の2つの接触面851aと接触して移動可能である。摺動面751aは、径方向(L1)と略平行に、接触面851aと接触し、2群レンズユニット700が回転規制枠800から外れることを軽減している。
【0051】
ここで、
図10に示すように、カム筒500の第3カム溝521は1群レンズユニット600の第3カムピン621と係合することによって、カム筒500と1群レンズユニット600とは、径方向(L1)に、距離D1の係合関係を有する。また、1群レンズユニット600は、回転規制枠800との関係で、径方向に、距離D2の隙間を有する。即ち、距離D2は、1群回転規制リブ641の内周面641bと1群回転規制溝841の底面841bとの距離である。また、回転規制枠800は、2群レンズユニット700との関係で、径方向に、距離D3の隙間を有する。即ち、距離D3は、2群回転規制リブ851の内周面851bと2群回転規制溝751の底面751bとの距離である。
【0052】
そして、1群レンズユニット600の第3カムピン621がカム筒500の第3カム溝521から外れるのを防止するため、以下の式(1)を満足する。
【0053】
D1>D2+D3 ・・・(1)
更に、
図10に示すように、外周側から、第3カム溝521に対して第3カムピン621が係合し、1群回転規制リブ641に対して1群回転規制溝841が係合し、2群回転規制リブ851に対して2群回転規制溝751が係合する。そして、1群レンズユニット600が内周側へ押圧された場合、1群レンズユニット600を回転規制枠800が支え、回転規制枠800を2群レンズユニット700が支える。この構成により、レンズ鏡筒の耐衝撃性が向上する。また、2群回転規制リブ851は、接触面851aにより、2群レンズユニット700の回転を規制するとともに、外周側に形成された1群回転規制溝841により、1群レンズユニット600の回転を規制するように、同時に2つの部材の回転を規制することでレンズ鏡筒の小型化に寄与する。
【0054】
ここで、
図10に示すように、摺動面841aの周方向の幅は、接触面851aの周方向幅よりも狭い。
【0055】
なお、上記は、第3カムピン621付近の構成についての説明であるが、第3カムピン622付近における1群回転規制リブ642、2群回転規制溝752、1群回転規制溝842、2群回転規制リブ852の構成及び第3カムピン623付近における1群回転規制リブ643、2群回転規制溝753、1群回転規制溝843、2群回転規制リブ853の構成についても同様である。
【0056】
[4.変形例(
図11)]
図11は、変形例における第3カムピン621付近の拡大図である。外周側から内周側に向かって、カム筒500、1群レンズユニット600、回転規制枠800、2群レンズユニット700が配置されている。カム筒500は、内周面に、第3カム溝521を有する。1群レンズユニット600は、外周面に、第3カムピン621を有する。第3カムピン621は、第3カム溝521と係合する。以上の点は、
図10と同じである。しかし、
図10とは、1群レンズユニット600、2群レンズユニット700及び回転規制枠800に設けられる回転規制リブと回転規制溝との関係が逆になっている。
【0057】
即ち、1群レンズユニット600は、第3カムピン621と径方向に対向する内周の位置に、1群回転規制溝644を有する。1群回転規制溝644は、凸部684に挟まれた部分であり、2つの摺動面644aと、2つの摺動面644aを繋ぐ底面644bを有する。1群回転規制溝644は、
図10に示す1群回転規制リブ641の凹部691と同様に、光軸方向と略平行に設けられる。
【0058】
図11に示すように、回転規制枠800は、1群回転規制リブ844と、1群回転規制リブ844の内周側に設けられる2群回転規制溝854を有する。1群回転規制リブ844は、2つの接触面844aと、2つの接触面844aを繋ぐ外周面844bを有し、1群レンズユニット600の1群回転規制溝644と係合する。即ち、2つの接触面844aは、1群回転規制溝644の摺動面644aと接触して移動可能である。2群回転規制溝854は、2つの摺動面854aと、2つの摺動面854aを繋ぐ底面854bを有する。
【0059】
2群レンズユニット700は、外周面に、凹部794と、凹部794に外周側に形成される2群回転規制リブ754を有する。2群回転規制リブ754は、凸形状であり、2つの接触面754aと、2つの接触面754aを繋ぐ外周面754bを有する。2群回転規制リブ754は、2群回転規制溝854と係合する。即ち、接触面754aが2群回転規制溝854の摺動面854aと接触して移動可能である。
【0060】
ここで、
図11に示すように、カム筒500の第3カム溝521は1群レンズユニット600の第3カムピン621と係合することによって、カム筒500と1群レンズユニット600とは、径方向(L1方向)に、距離D1の係合関係を有する。また、1群レンズユニット600は、回転規制枠800との関係で、径方向に、距離D4の隙間を有する。
【0061】
即ち、距離D4は、1群回転規制溝644の底面644bと1群回転規制リブ844の外周面844bとの距離である。また、回転規制枠800は、2群レンズユニット700との関係で、径方向に、距離D5の隙間を有する。即ち、距離D5は、2群回転規制溝854の底面854bと2群回転規制リブ754の外周面754bとの距離である。
【0062】
そして、1群レンズユニット600の第3カムピン621がカム筒500の第3カム溝521から外れるのを防止するため、以下の式(2)を満足する。
【0063】
D1>D4+D5 ・・・(2)
更に、
図11に示すように、外周側から、第3カム溝521に対して第3カムピン621が係合し、1群回転規制溝644に対して1群回転規制リブ844が係合し、2群回転規制溝854に対して2群回転規制リブ754が係合する。そして、1群レンズユニット600が内周側へ押圧された場合、1群レンズユニット600を回転規制枠800が支え、回転規制枠800を2群レンズユニット700が支える。この構成により、レンズ鏡筒の耐衝撃性が向上する。また、1群回転規制リブ844は、接触面844aにより、1群レンズユニット600の回転を規制するとともに、内周側に形成された2群回転規制溝854により、2群レンズユニット700の回転を規制するように、同時に2つの部材の回転を規制することでレンズ鏡筒の小型化に寄与する。
【0064】
ここで、
図11に示すように、接触面844aの周方向の幅は、摺動面854aの周方向幅よりも広い。
【0065】
なお、上記は、変形例における第3カムピン621付近の構成についての説明であるが、第3カムピン622付近における1群回転規制溝、凸部、2群回転規制リブ、凹部、1群回転規制リブ、2群回転規制溝の構成及び第3カムピン623付近における1群回転規制溝、凸部、2群回転規制リブ、凹部、1群回転規制リブ、2群回転規制溝の構成についても同様である。
【0066】
また、1群回転規制溝644及び2群回転規制リブ754はガイド部の一例である。
【0067】
[5.まとめ]
上記のように、鏡筒内部に回転規制溝を有する回転規制リブ(例えば、2群回転規制リブ851、1群回転規制リブ844)を設けることにより、2群レンズユニット700の回転規制と1群レンズユニット600の回転規制が可能となる。そのため、レンズ鏡筒の径方向の部品が削減され、レンズ鏡筒の小径化が実現される。
【0068】
また、カム筒500に対して係合される、第3カムピン621及び第4カムピン731が略同位相に配置されている。即ち、第3カムピン621と第4カムピン731とは、周方向において、近傍に配置される。これにより、負荷の力点と作用点との距離を短くできるので、こじり負荷を軽減できる。結果、小型なレンズ鏡筒でありながらスムーズな動作を実現できる。
【0069】
例えば、カム筒500の回転動作によって、第3カムピン621及び第4カムピン731が周方向に負荷を受ける。
図10に示す実施の形態では、第3カムピン621に対する負荷は、1群回転規制リブ641を介して1群回転規制溝841に伝わり、2群回転規制リブ851に伝わる。一方、第4カムピン731に対する負荷は、2群回転規制溝751を介して2群回転規制リブ851に伝わる。カム筒500は、固定枠200に対して相対的に回転しており、2群回転規制リブ851に伝わった回転力は回転規制キー811と固定枠回転規制溝211との係合部に伝達されることになる。
【0070】
また、
図11に示す変形例では、第3カムピン621に対する負荷は、1群回転規制溝644を介して1群回転規制リブ844に伝わり、2群回転規制溝854に伝わる。一方、第4カムピン731に対する負荷は、2群回転規制リブ754を介して2群回転規制溝854に伝わる。カム筒500は、固定枠200に対して相対的に回転しており、2群回転規制溝854に伝わった回転力は回転規制キー811と固定枠回転規制溝211との係合部に伝達されることになる。
【0071】
このように、本実施の形態では、第3カムピン621と第4カムピン731の距離をなるべく短くしているので、負荷の力点と作用点との距離が短いため、回転規制キー811と固定枠回転規制溝211との係合部のこじり負荷が軽減される。第3カムピン622と第4カムピン732及び第3カムピン623と第4カムピン733との関係についても同様である。
【0072】
さらに、レンズ鏡筒への被写体側からの衝撃による外力が発生した場合、レンズ鏡筒の破損が軽減される。例えば、第3カムピン621が第3カム溝521から脱落する向き、即ちレンズ鏡筒の内側向きへ1群レンズユニット600が変形すると、
図10に示す実施の形態では、1群回転規制リブ641の内周面641bと1群回転規制溝841の底面841bとが当接し、2群回転規制リブ851の内周面851bと2群回転規制溝751の底面751bとが当接する。また、
図11に示す変形例では、1群回転規制溝644の底面644bと1群回転規制リブ844の外周面844bとが当接し、2群回転規制溝854の底面854bと2群回転規制リブ754の外周面754bとが当接する。これによって、1群レンズユニット600の変形を回転規制枠800と2群レンズユニット700で防止するので耐衝撃性の高いレンズ鏡筒を実現できる。つまり、回転規制枠800のように厚みが薄く、強度が低いリブ構造であっても、回転規制枠800を1群レンズユニット600と2群レンズユニット700で挟んで配置することで、レンズ鏡筒の耐衝撃強度を確保することが可能となる。
【0073】
また、1群回転規制溝841は、光軸方向において、回転規制キー811と略同じ位置まで延設されている。これによって、1群レンズユニット600が回転規制枠800に対して光軸方向に相対的に移動しても、沈胴長を小さく維持したまま1群回転規制リブ641と1群回転規制溝841の接触面積を多く確保できるため、より耐衝撃性に優れたレンズ鏡筒を実現できる。1群回転規制リブ642と1群回転規制溝842及び1群回転規制リブ642と1群回転規制溝842との関係についても同様である。
【0074】
なお、1群回転規制溝841を径方向に延設すれば、例えば、第3カムピン621が1群レンズユニット600とは別部材であり、1群レンズユニット600に圧入などにより固定される場合であっても、径方向において1群回転規制リブ641まで圧入代を確保できるため、より強度の高いカムピンを構成することができる。第3カムピン622と1群回転規制リブ642及び第3カムピン623と1群回転規制リブ643との関係についても同様である。
【0075】
(実施の形態2)
図12は、2群レンズユニット700に金属部材790を取り付けた構成を示す斜視図である。金属部材790は、
図5に示す2群レンズユニット700の内側の被写体側端部に設けられる。金属部材790は、3つの2群回転規制溝751、752、753が形成される突出部の内周側に配置され、位置決めされ、ビス留めされる。金属部材790は、例えば、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)、真鍮などで構成される。金属部材790は、2群回転規制溝751、752、753が内周側に曲がるのを軽減するために設けられる。金属部材790が設けられることにより、2群回転規制溝751、752、753の内周側への撓みが軽減され、2群レンズユニット700及びレンズ鏡筒の耐衝撃性がより高くなる。
【0076】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【0077】
例えば、実施の形態1では、第3カム溝、第4カム溝、第3カムピン、第4カムピン、固定枠回転規制溝、1群回転規制溝、2群回転規制溝、1群回転規制リブ、2群回転規制リブ、回転規制キーについて、それぞれ3つずつ、周方向に実質的に均等に設けられているが、これに限らない。これらの構成要素は、周方向に均等でなくてもよく、また、3つではなく、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよく、高精度に各レンズ群を移動可能に支持できればよい。
【0078】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0079】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0080】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。