特許第6435529号(P6435529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6435529施設内における施設利用者の位置を管理するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435529
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】施設内における施設利用者の位置を管理するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20181203BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20181203BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20181203BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20181203BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
   G01C21/26 A
   G06Q50/16
   H04W64/00 110
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-38035(P2013-38035)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-163910(P2014-163910A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月1日
【審判番号】不服2017-17081(P2017-17081/J1)
【審判請求日】2017年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 孝明
(72)【発明者】
【氏名】渡部 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 寛治
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
(72)【発明者】
【氏名】星 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】間邊 哲也
(72)【発明者】
【氏名】野田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】近藤 陽也
【合議体】
【審判長】 中塚 直樹
【審判官】 清水 稔
【審判官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−178045(JP,A)
【文献】 特開2006−253888(JP,A)
【文献】 特開2006−308361(JP,A)
【文献】 特開2010−127850(JP,A)
【文献】 特開平11−178041(JP,A)
【文献】 特開平11−205845(JP,A)
【文献】 特開平8−70481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/02, G01C 21/26, G06Q 50/16, H04W 64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設管理者によって施設に規則的な配置で設置され、施設利用者の所持する情報通信端末との間で無線通信が可能な複数の第1無線局と、
前記情報通信端末が前記第1無線局から受けた無線の電波強度と前記情報通信端末が前記複数の第1無線局よりも外側に配置された少なくとも一つの第2無線局から受けた無線の電波強度とを前記情報通信端末から前記第1無線局を介して取得し、これら取得した無線の電波強度に基づいて前記施設内の対象領域における前記情報通信端末の位置を検出して前記施設利用者の位置を把握する位置把握手段と、
を有し、
前記対象領域内の全ての場所が前記複数の第1無線局のうちの少なくとも二つからの無線電波によってカバーされている、システム。
【請求項2】
前記複数の第1無線局の一部が前記施設外に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置把握手段は、前記情報通信端末が前記第1無線局から受けた無線の電波強度に基づく第1位置と、前記情報通信端末が前記少なくとも一つの第2無線局から受けた無線の電波強度に基づく第2位置とを用いて前記情報通信端末の位置を算出する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記位置把握手段は、前記第1位置に対して前記第2位置よりも大きい重み付けを行って前記情報通信端末の位置を算出する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記位置把握手段は、前記施設内の各場所と前記複数の第1無線局からの無線の電波強度とが対応付けられた第1施設内電波強度マップと、前記施設内の各場所と前記少なくとも一つの第2無線局からの無線の電波強度とが対応付けられた第2施設内電波強度マップと、を有し、前記第1施設内電波強度マップを参照して前記第1位置を検出すると共に、前記第2施設内電波強度マップを参照して前記第2位置を検出する、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記施設管理者の指令に基づいて前記複数の第1無線局の一部を選択的に休止又は動作させると共に、休止又は動作させた第1無線局についての情報を前記位置把握手段に出力する選択手段をさらに有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項7】
前記位置把握手段は、前記複数の第1無線局の一部を休止又は動作させた場合のそれぞれに対応する施設内電波強度マップを有し、前記選択手段による選択結果に応じて参照すべき施設内電波強度マップを切り替えて前記情報通信端末の位置を検出する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の第1無線局のうちの少なくとも一つは、前記施設内に設定された管理対象領域の外縁に沿って配置されている、請求項1〜7のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項9】
前記施設利用者が所定場所を通過したか否かを判定するために前記施設管理者によって設置されて前記所定場所における無線電波を低下させる少なくとも一つの遮蔽体を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内における施設利用者の位置を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の行動管理装置では、GPS情報を利用して被管理者の位置を検知している。また、特許文献2に記載の駐車管理システムでは、駐車場利用者の携帯端末が、所定の位置に設置された各アンテナの通信エリア内の属するか否かによって車両(駐車場利用者)の位置を確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−35173号公報
【特許文献2】特開2003−233898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の行動管理装置は、GPS電波を受信できない屋内で使用することができない。また、特許文献2に記載の駐車場管理システムのように、駐車場利用者の携帯端末が各無線局の通信エリア内に属するか否かによって駐車場利用者の位置を確認する構成では、駐車場利用者が、ある無線局の通信エリア内に位置することについては確認することはできるが、駐車場利用者の位置を精度よく把握等することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、屋内、屋外にかかわらず、施設内における施設利用者の位置を精度よく把握して管理することのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によるシステムは、施設管理者によって施設に規則的な配置で設置され、施設利用者の所持する情報通信端末との間で無線通信が可能な複数の第1無線局と、前記情報通信端末が前記第1無線局から受けた無線の電波強度と前記情報通信端末が前記複数の第1無線局よりも外側に配置された少なくとも一つの第2無線局から受けた無線の電波強度とを前記情報通信端末から前記第1無線局を介して取得し、これら取得した無線の電波強度に基づいて前記施設内の対象領域における前記情報通信端末の位置を検出して前記施設利用者の位置を把握する位置把握手段と、を有し、前記対象領域内の全ての場所が前記複数の第1無線局のうちの少なくとも二つからの無線電波によってカバーされている。
【発明の効果】
【0007】
前記システムによると、施設利用者の所持する情報通信端末が施設管理者によって設置された複数の無線局の少なくとも一つから受けた無線の電波強度情報に基づいて前記情報通信端末の位置を検出して前記施設利用者の位置を把握するので、屋内、屋外にかかわらず、施設内における前記施設利用者の位置を精度よく把握して管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における位置管理システムの概略構成を示す図である。
図2】前記位置管理システムを構成する複数の無線局の配置例を示す図である。
図3】前記複数の無線局の他の配置例を示す図である。
図4】前記位置管理システムを構成する管理装置のブロック図である。
図5】前記複数の無線局の一部を休止させた状態の一例を示す図である。
図6】前記複数の無線局の一部を休止させた状態の他の例を示す図である。
図7】前記位置管理システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の概要を説明する。
本発明は、施設内における施設利用者の位置を管理するシステム(以下単に「位置管理システム」という)を提供する。本発明による位置管理システムは、主に複数の人が利用可能な施設に適用され、施設利用者の所持する情報通信端末から得られる情報を用いて前記施設内における前記施設利用者の位置を管理する。
【0010】
具体的には、本発明による位置管理システムは、施設利用者の所持する情報通信端末との間で無線通信が可能な複数の無線局(いわゆるアクセスポイントを含む)を有しており、前記情報通信端末が前記複数の無線局の少なくとも一つから受けた無線の電波強度情報に基づいて前記情報通信端末の位置を検出して前記施設利用者の位置を把握し管理する。
本発明による位置管理システムが適用される施設は、複数の人が利用可能な施設であればよく、特に制限されないが、例えば、駐車場、鉄道施設又は商業施設などが該当する。
【0011】
なお、以下の説明においては、「無線局」として主にアンテナ一体型無線機を用いる場合について説明する。但し、これに限るものではなく、無線局を構成する無線機とアンテナとを別体としてもよい。この場合においては、以下の説明における「無線局」は、主にそのアンテナを示すものとする。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態における位置管理システム1の概略構成を示している。
図1に示すように、位置管理システム1は、所定の施設(駐車場、鉄道施設、商業施設等)内に配置された複数の無線局2と、前記施設内に設定された管理対象領域M内における施設利用者の位置を管理する管理装置3と、を含む。管理対象領域Mは、施設利用者の位置の管理を行う領域であり、前記施設に応じて適宜設定される。なお、ここでは、前記施設の一部の領域を管理対象領域Mとしているが、前記施設の全領域を管理対象領域Mとしてもよい。
【0013】
複数の無線局2は、施設管理者によって設置され、それぞれに個別の管理番号が付与されている。各無線局2は、施設利用者の所持する情報通信端末10との間で無線通信を行って、管理装置3と情報通信端末10との間における情報の送受信を中継可能に構成されている。
【0014】
複数の無線局2は、管理対象領域M内の各地点が少なくとも一つの無線局2からの無線電波によってカバーされるように、配置される。好ましくは、複数の無線機2は、管理対象領域M内の各地点が二つ以上(さらに好ましくは三つ以上)の無線局2からの無線電波によってカバーされるように、配置される。複数の無線局2は、基本的には、前記施設内の管理対象領域M内及び/又はその近傍に配置されるが、一部の無線局2が前記施設外に配置されてもよい。
【0015】
無線局2の個数や各無線局2の設置場所は、管理対象領域Mの大きさや形状、及び/又は、使用する無線局2の無線電波の到達距離などに応じて任意に設定可能である。通常、前記複数の無線局2は、管理対象領域Mの形状に応じて規則的に配置される。例えば、複数の無線局2をほぼ等間隔で(均等に)配置し、これにより、管理対象領域M内の各地点が二つ以上の無線局2からの無線電波によってカバーされるようにする。好ましくは、複数の無線局2のうちの少なくとも一つの無線局2を管理対象領域Mの外縁に沿って配置する。
【0016】
ここで、各無線局2(特にアンテナ部分)は、各無線局2の送信する無線電波に対する前記施設利用者(前記施設が駐車場等の場合には、前記施設利用者が運転又は乗車する車両を含む)の影響等を抑制するため、前記施設利用者(及び前記車両)よりも高い位置、例えば、管理対象領域Mの床面又は地面から概ね2〜3mの高さ位置に設けられている。また、特に管理対象領域Mの全部又は一部が屋外である場合には、無線電波を透過する材質(例えば、アクリル樹脂)で形成されたカバー部材(図示省略)によって各無線局2を覆うことが好ましく、さらに、各無線局2の電力源として太陽光発電電源や風力発電電源を使用してもよい。
【0017】
図2は、前記施設内における複数の無線局2の配置の一例を示している。ここでは、説明の便宜上、管理対象領域Mが平面視矩形をなす場合を示している。なお、図2中の破線は、各無線局2からの無線の電波強度を模式的に示したものである。
【0018】
図2に示すように、複数の無線局2(2〜212)は、前記施設内(ここでは、管理対象領域M(領域Ma〜領域Mf)内)に平面視格子状に配置されており、隣接する二つの無線局2の間隔は各無線局2からの無線電波の到達距離にほぼ等しく設定されている。そして、このような複数の無線局2の配置によって、本実施形態においては、複数の無線局2(2〜212)の大部分が管理対象領域Mの外縁に沿って配置され、また、図2からも明らかなように、管理対象領域M内における各地点が三つ以上の無線局2からの無線電波によってカバーされるようになっている。
【0019】
但し、複数の無線局2の配置は、前記平面視格子状の配置に限るものではない。管理対象領域Mの形状等に応じて、例えば図3に示すように、複数の無線局2を平面視三角格子状(又はハニカム状)に配置してもよい。また、管理対象領域Mが不規則な形状を有する場合には、例えば、管理対象領域Mを内包する最小矩形を形成するように複数の無線局2を配置すればよい。
【0020】
ここで、前記施設利用者の所持する情報通信端末10には、前記施設を利用するにあたって、事前に所定のアプリケーションがインストールされているものとする。そして、この所定のアプリケーションの機能によって、情報通信端末10は、以下のような処理を実行するようになっている。
【0021】
すなわち、情報通信端末10が複数の無線局2のうちの少なくとも一つの無線局2の通信範囲内(無線電波の到達範囲内)に入ると、情報通信端末10は無線局2からの通信要求に応答して無線局2との間に無線通信を確立する。そして、情報通信端末10は、いずれかの無線局2との間に無線通信が確立されている間、換言すれば、情報通信端末10が全ての無線局2の通信範囲外に出るまでの間、各無線局2から受けた無線の電波強度を測定し、その測定結果(以下「受信電波強度情報」という)を自身の識別情報とともに連続的又は断続的に、前記無線通信が確立されている無線局2へと送信する。
情報通信端末10が各無線局2から受けた無線の電波強度は、情報通信端末10に搭載されている受信強度測定回路などによって測定される。
【0022】
図4は、管理装置3のブロック図である。
図4に示すように、管理装置3は、無線局2との間で無線通信又は有線通信が可能な送受信部31と、複数の無線局2の一部を選択的に休止又は動作させることが可能な選択部32と、情報通信端末10の位置を検出して前記施設利用者の位置を把握する位置把握部33と、を有する。
【0023】
送受信部31は、前記施設利用者の所持する情報通信端末10から無線局2を介して当該情報通信端末10の識別情報及び前記受信電波強度情報を受信する。受信した前記識別情報及び前記受信電波強度情報は位置把握部33に出力される。
【0024】
選択部32は、入力部(図示省略)を介した前記施設管理者の選択指令に基づいて複数の無線局2の一部を選択的に休止させ又は動作させる。なお、前記選択指令が入力されない場合には、選択部32は、原則として、複数の無線局2の全てを動作させる。休止又は動作させる無線局2は、前記施設管理者が任意に選択可能であり、例えば前記管理番号によって特定することができる。また、選択部32は、複数の無線局2の一部を休止又は動作させた場合には、当該休止又は動作させた無線局2についての情報(休止・動作無線局情報)を位置把握部33に出力する。
【0025】
図5図6は、複数の無線局2(2〜212)の一部を休止させた状態の例を示している。なお、ここでは、複数の無線局2の一部を休止させる場合のみを説明するが、複数の無線局2の一部を動作させる場合については、以下の説明において休止させる無線局2以外の無線局2を動作させるようにすればよい。
【0026】
例えば、管理対象領域Mのうちの領域Maについて、前記施設利用者の位置の把握が不要になった場合や前記施設利用者の位置をあまり詳細に把握する必要がない場合には、前記施設管理者は、前記入力部を介して無線局2を休止させる休止指令を入力する。すると、選択部32は、図5に示すように、無線局2を休止させて無線局2からの無線電波の送信を停止させる。なお、無線局2に加えて無線局2及び/又は無線局2を休止させるようにしてもよい。
【0027】
また、管理対象領域Mのうちの領域Mc及び領域Mfについて前記施設利用者の位置の把握が不要になった場合や前記施設利用者の位置をあまり詳細に把握する必要がない場合には、前記施設管理者は、前記入力部を介して無線局2、2、212を休止させる休止指令を入力する。すると、選択部32は、図6に示すように、無線局2、2、212を休止させて無線局2、2、212からの無線電波の送信を停止させる。
【0028】
なお、前記施設管理者は、任意の無線局を休止させることが可能であり、例えば、位置管理システム1による前記施設利用者の管理を継続しつつ、複数の無線局2(2〜212)を一つずつ順番に休止させて各無線局2のメンテナンス等を行うこともできる。
【0029】
図4に戻って、位置把握部33は、前記受信電波強度情報に基づいて管理対象領域M内における情報通信端末10の位置を検出することによって、前記施設利用者の位置を把握する。
【0030】
図2において破線で示されるように、複数の無線局2(2〜212)からの無線の電波強度は、管理対象領域M内の各場所(各位置)で異なる情報、すなわち、各場所の固有情報となる。位置把握部33は、例えば、管理対象領域M内の各場所における各無線局2(2〜212)からの無線の電波強度を予め測定して作成された施設内電波強度マップ(以下単に「電波強度マップ」という)を有している。そして、位置把握部33は、情報通信端末10から取得した前記受信電波強度情報に基づき前記電波強度マップを参照することにより、情報通信端末10の位置を検出(推定)し、この検出(推定)した情報通信端末10の位置を、当該情報通信端末10を所持する前記施設利用者の位置として把握する。
【0031】
ここで、位置把握部33は、前記複数の無線局2(2〜212)の一部を休止させた場合又は一部を動作させた場合のそれぞれに対応する電波強度マップを有しており、選択部32から入力した前記休止・動作無線局情報に基づいて(すなわち、選択部32による選択結果に応じて)、参照すべき電波強度マップを切り替えて情報通信端末10の位置を検出する。
【0032】
例えば、無線局2を休止させた場合には(図5参照)、位置把握部33は、無線局2〜212からの無線の電波強度に基づいて作成された電波強度マップを参照して情報通信端末10の位置を検出する。また、例えば、無線局2、2、212を休止させた場合には(図6参照)、位置把握部33は、無線局2〜2、無線局2〜2か及び無線局2〜211からの無線の電波強度に基づいて作成された電波強度マップを参照して情報通信端末10の位置を検出する。
【0033】
なお、無線局2〜212からの無線の電波強度に基づいて作成された前記電波強度マップは、簡易には、無線局2〜212からの無線の電波強度に基づいて作成された前記電波強度マップにおいて無線局2からの無線の電波強度を0としたものすることができる。同様に、無線局2〜2、無線局2〜2及び無線局2〜211からの無線の電波強度に基づいて作成された前記電波強度マップは、簡易には、無線局2〜212からの無線の電波強度に基づいて作成された前記電波強度マップにおいて無線局2、2、212からの無線の電波強度を0としたものすることができる。
【0034】
また、位置把握部33が、各情報通信端末の識別情報とその所持者とが関連付けられたテーブルデータ等を有することにより、位置把握部33は、誰が管理対象領域M内のどこにいるかを特定することも可能となる。
【0035】
管理装置3は、以上のようにして管理対象領域M内における施設利用者の位置を把握して管理する。すなわち、管理装置3は、各施設利用者が管理対象領域M内のどこにいるかを常時把握して管理することができる。これにより、各施設利用者の位置に応じた適切なサービスの提供を行うことが可能となる。例えば、管理装置3が管理対象領域Mを複数に分割した各エリアについての情報を有するようにすれば、管理装置3は、各施設利用者に対して、各施設利用者の現在位置(属するエリア)に応じた情報を、無線局2を介して各施設利用者の所持する情報通信端末10に送信することができる。また、管理装置3は、管理対象領域Mが前記施設の入出場口を含む場合には、各施設利用者の入出場管理を行うことも可能となる。
【0036】
以上説明したように、位置管理システム1は、施設管理者によって設置されて施設利用者の所持する情報通信端末10との間で無線通信が可能な複数の無線局2(2〜212)と、情報通信端末10が複数の無線局2の少なくとも一つから受けた無線の電波強度情報(受信電波強度情報)に基づいて情報通信端末10の位置を検出して前記施設利用者の管理対象領域Mにおける位置を把握し管理する管理装置3と、を有する。ここで、複数の無線局2は、前記施設内にほぼ等間隔で配置されており、管理対象領域M内の各地点又はほとんどの地点は、一つの無線局2からの無線電波だけではなく、二つ以上の無線局2からの無線電波によってカバーされている。
これにより、屋内、屋外にかかわらず、また、施設管理者及び前記施設利用者に特別な負担をかけることなく、各施設利用者の管理対象領域M内における位置を詳細に把握して管理することができる。
【0037】
ここで、複数の無線局2は前記施設管理者によって設置され、各無線局2には固有の管理番号が前記施設管理者によって付与されている。これにより、前記施設管理者は、複数の無線局2のそれぞれを管理番号に基づいて個別に管理することができる。例えば、いずれかの無線局2が故障等した場合であっても、前記施設管理者は故障等した無線局2を速やかに復旧させることができ、前記施設利用者の位置の管理精度の低下を抑制できる。
【0038】
また、位置管理システム1においては、複数の無線局2の一部を選択的に休止又は動作させることができるように構成されているので、前記施設管理者は、管理対象領域Mの変更や要求される管理(検出)精度などに応じて、前記施設利用者の位置を検出するために使用する無線局2を任意に選択することができる。これにより、状況に応じて適切な数の無線局2を動作させることが可能となり、不要な又は過剰な無線電波の送出や電力消費を抑制できる。また、いずれかの無線局2が故障等した場合には、当該無線局2を停止させると共に対応する前記電波強度マップへの切り替えを行うことによって、位置管理システム1による前記施設利用者の位置の管理精度(把握精度)の低下を抑制することも可能である。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。
【0040】
例えば、上述に実施形態においては、複数の無線局2がほぼ等間隔で(ほぼ均等に)配置されており、また、管理対象領域M内における各地点が三つ以上の無線局2からの無線電波によってカバーされるようになっている。しかし、これに限るものではなく、管理対象領域Mの形状などに応じて、複数の無線局2のうち一部の無線局2を不均等配置としてもよいし、管理対象領域M内における一部の地点が一つ又は二つの無線局2からの無線電波によってカバーされるように構成されてもよい。
【0041】
また、前記施設管理者によって設置された複数の無線局2以外に、その無線電波が管理対象領域Mの一部の領域又は全部をカバーする他の無線局(公共無線局を含む)がある場合には、管理装置3(位置把握部33)は、情報通信端末10が複数の無線局2から受けた無線の電波強度情報に加えて、前記他の無線局から情報通信端末10が受けた無線の電波強度情報も加味して情報通信端末10の位置を検出するようにしてもよい。前記他の無線局は、一つでもよいし複数でもよい。また、前記他の無線局は、前記施設内(管理対象領域M内を含む)及び前記施設外のいずれに配置されていてもよい。但し、情報通信端末10(施設利用者)の位置の検出精度を向上させるためには、複数の無線局2よりも外側に配置されている、複数の前記他の無線局を利用するのが好ましい。
【0042】
例えば、図7に示すように、前記施設管理者によって設置された複数の無線局2(2〜212)以外に、管理対象領域Mを囲むように複数の他の無線局20(20〜20)が配置されている場合には、管理装置3(位置把握部33)は、情報通信端末10が複数の無線局22〜212)から受けた無線の電波強度情報及び複数の他の無線局20(20〜20)から受けた無線の電波強度情報に基づいて、情報通信端末10の位置を検出する。
【0043】
この場合、管理装置3(位置把握部33)は、例えば、管理対象領域M内の各場所における各無線局2(2〜212)及び各他の無線局20(20〜20)からの無線の電波強度を予め測定して作成された電波強度マップを有する。また、情報通信端末10は、前記所定のアプリケーションの機能によって、各無線局2及び各他の無線局20から受けた無線の電波強度を測定し、その測定結果(受信電波強度情報)を無線通信が確立されている無線局2へと送信する。そして、管理装置3(位置把握部33)は、情報通信端末10から取得した前記受信電波強度情報に基づき、各無線局2及び各他の無線局20からの無線の電波強度に基づいて作成された前記電波強度マップを参照することにより、情報通信端末10の位置を検出して当該情報通信端末10を所持する前記施設利用者の位置を把握する。
【0044】
あるいは、管理装置3(位置把握部33)は、管理対象領域M内の各場所における各無線局2(2〜212)からの無線の電波強度を予め測定して作成された第1電波強度マップと、各他の無線局20(20〜20)からの無線の電波強度を予め測定して作成された第2電波強度マップと、を有する。そして、管理装置3(位置把握部33)は、複数の無線局2についての前記受信電波強度情報に基づいて(すなわち、前記第1電波強度マップを用いて)検出された第1位置と、複数の他の無線局20についての前記受信電波強度情報に基づいて(すなわち、前記第2電波強度マップを用いて)検出された第2位置とを用いて情報通信端末10の位置を算出する。この場合、前記第1位置に対して、前記第2位置よりも大きい重み付けを行って情報通信端末10の位置を算出するのが好ましい。
このようにすると、実質的に前記施設管理者が複数の無線局2をさらに追加した場合と同様の効果が得られるので、特に他の無線局20の無線電波によってカバーされる領域についての前記施設利用者の位置の管理精度(把握精度)を向上させることが可能となる。
【0045】
また、管理対象領域M内における無線の電波強度(分布)を調整したり、特定の無線局2からの無線の電波に指向性を持たせたり、管理対象領域M外における無線の電波強度を低下させたり、管理対象領域M内の所定の場所についての無線の電波強度を低下させたりするために、前記施設管理者が、前記施設内の所定位置、さらに言えば、管理対象領域M内の所定位置に無線電波を遮蔽する遮蔽体を設置するようにしてもよい。
【0046】
例えば、管理対象領域M内の所定場所を前記施設利用者が通過したか否かを判定(管理)したいような場合においては、一つ又は複数の前記遮蔽体を設置して前記所定場所の無線電波を著しく低下させ又は前記所定の場所を挟む領域が異なる無線局2の無線電波によってカバーされるようにすることで、前記施設利用者が前記所定の場所を通過したか否かの判定をより容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1…位置管理システム
2(2〜212)…無線局
3…管理装置
31…送受信部
32…選択部(選択手段)
33…位置把握部(位置把握手段)
M…管理対象領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7