(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435534
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】鞄
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20181203BHJP
A45C 13/26 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
A45C3/00 G
A45C13/26 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-201521(P2015-201521)
(22)【出願日】2015年9月23日
(65)【公開番号】特開2017-60720(P2017-60720A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年3月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515168097
【氏名又は名称】小田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小田 健太郎
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−067868(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3074450(JP,U)
【文献】
実開昭53−086206(JP,U)
【文献】
実開昭48−042653(JP,U)
【文献】
実開昭53−020205(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3173176(JP,U)
【文献】
特開平01−268503(JP,A)
【文献】
実開平04−064219(JP,U)
【文献】
実開昭57−137323(JP,U)
【文献】
実開平06−017519(JP,U)
【文献】
実開昭53−151806(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
A45C 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立時の重心直上に把手が位置し、把手基部が後壁に連結されており、上壁全体が前壁上部に、前記前壁上部が前壁下部に、ヒンジを介して回動自在に連結されており、前記上壁全体および前記前壁上部が前記前壁下部に寄り添う位置へ移動することにより開口を成し、開口時に前記上壁全体と前記前壁上部とが折りたたまれて重なり合う位置関係となるように前記上壁全体が移動する軌跡を定める部品を有し、前記軌跡を定める部品が側壁に対して垂直な回転軸を中心として回転することにより、前記上壁全体および前記前壁上部が前記把手を把持する手に接触しないことを特徴とする箱状の鞄。
【請求項2】
前記側壁に対して垂直な他の回転軸を中心として、前記把手が前記後壁側へ回転移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の箱状の鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手を持ち替えることなく開閉できる鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
鞄に望まれる機能として、被収納物を変形や破損から保護する丈夫さを有し、置き場所の占有面積が少なく、被収納物の出し入れが容易であることが挙げられる。これらを満たすためには、箱状の構造を持ち、直立した状態で上壁から前壁上部にわたって開口し、手で拡げたり抑えたりすることなく開口形状が維持されることが望ましい。これに該当するものとして、フライトケースと呼ばれるものがある。
【0003】
鞄に望まれる別の機能として、歩行している時や立ち止まっている時、素早く安定的な姿勢で、被収納物を容易に出し入れできることも挙げられる。これを満たすためには、把手を持ち替えることなく開閉できることが望ましい。しかし、フライトケースはこの条件を満たしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、箱状の構造を持ち、直立した状態で上壁から前壁上部にわたって開口し、手で拡げたり抑えたりすることなく開口形状が維持され、把手を持ち替えることなく開閉できる鞄を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、箱状の鞄において、直立時の重心直上に把手が位置し、把手基部が後壁または側壁に連結されており、上壁全体および前壁上部が前壁下部に寄り添う位置へ移動することにより開口を成し、その移動が把手を把持する手によって妨げられないことを特徴とする。
【0006】
また、追加的手段により、開閉動作がより安定的になる。その手段は、上壁が移動する軌跡を定める部品を設けることである。
【0007】
また、別の追加的手段により、把手を把持して吊り下げていない時には、より大きな開口が得られ、被収納物の出し入れがさらに容易になる。その手段は、開口をより大きくする位置へ把手が移動可能であるようにすることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、箱状の構造を持ち、直立した状態で上壁から前壁上部にわたって開口し、手で拡げたり抑えたりすることなく開口形状が維持され、把手を持ち替えることなく開閉できる鞄が提供可能となる。
【0009】
また、追加的手段により、開閉動作がより安定的になる。
【0010】
また、別の追加的手段により、把手を把持して吊り下げていない時には、より大きな開口が得られ、被収納物の出し入れがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】 本発明の最も主要な特徴を示す形態(実施例1)の説明図である。開閉途中の状態を示す。
【
図2】 本発明の最も主要な特徴を示す形態(実施例1)の説明図である。閉口時の状態を示す。
【
図3】 本発明の最も主要な特徴を示す形態(実施例1)の説明図である。開口時の状態を示す。
【
図4】 上壁が移動する軌跡を定める部品を有する形態(実施例2)の説明図である。開閉途中の状態を示す。
【
図5】 上壁が移動する軌跡を定める部品を有する形態(実施例2)の説明図である。開口時の状態を示す。
【
図6】 開口をより大きくする位置へ把手が移動可能である形態(実施例3)の説明図である。把手を後壁側へ移動させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の最も主要な特徴を示す形態の実施例を
図1から
図3に示す。
図1は開閉途中、
図2は閉口時、
図3は開口時の状態を示す。
【0014】
閉口時は板状の壁に囲まれた箱状である。把手基部2は後壁4に連結されていて、把手基部2から斜め上へ伸びた支え3により、鞄の直立時の重心直上に把手1が保持されている。上壁5はヒンジ9を介して前壁上部6に連結されている。前壁上部6はヒンジ10を介して前壁下部7に連結されている。これらのヒンジ9、10は、連結対象部品の対向する位置を中心とする回転動作を可能にするものであり、例えば弾性体の柔軟性を利用して屈曲させるものでもよいし、非弾性体が軸を中心に回転するものでもよい。ヒンジ9、10を介した回転動作により、上壁5および前壁上部6は
図3に示すように前壁下部7に寄り添う位置へ移動可能であり、閉口時に上壁5、前壁上部6のあった位置が開口部となる。上壁5は単独では把手基部2を囲まない形状であり、上壁5、前壁上部6の移動が、把手1を把持する手により妨げられない。これにより、把手1を持ち替えることなく開閉できる。
【0015】
なお、使用者の意に反して開口することのないよう、上壁5、前壁上部6は留具(図示せず)により着脱自在に固定される。例えば、閉口時に上壁5、前壁上部6と側壁8とが接する位置に磁石を設けることができる。上壁5、前壁上部6の固定をより確実にするため、錠前として機能する要素を磁石の代わりに、または磁石に加えて設けてもよい。
【実施例2】
【0016】
実施例1に示した特徴に加え、上壁5が移動する軌跡を定める部品を有する形態の実施例を
図4、
図5に示す。
図4は開閉途中、
図5は開口時の状態を示す。アーム11は、側壁8に対して垂直な回転軸13を中心として回転可能であるように側壁8に連結されており、また、側壁8に対して垂直な別の回転軸14を有するヒンジ12を介して上壁5に連結されている。アーム11およびヒンジ12の形状、寸法、位置は、閉口時、開閉途中、開口時の上壁5の位置が適切に定まるように設定されている。これにより、上壁5が移動する軌跡が定まり、開閉動作がより安定的になる。なお、閉口時の外観は実施例1に示した
図2と同じである。
【実施例3】
【0017】
実施例2に示した特徴に加え、開口をより大きくする位置へ把手1が移動可能である形態の実施例を
図6に示す。側壁8に対して垂直な回転軸15を中心として、把手1および支え3が後壁4側へ回転移動可能である。さらに、この回転移動の固定と解除とを自在にする要素(図示せず)を把手基部2および支え3に有する。これにより、把手1を鞄の重心直上に固定した状態で把持して吊り下げることができ、把手1を把持して吊り下げていない時には、より大きな開口が得られ、被収納物の出し入れがさらに容易になる。
図6は把手1および支え3を後壁4側へ移動させた状態を示す。
【符号の説明】
【0018】
1 把手
2 把手基部
3 支え
4 後壁
5 上壁
6 前壁上部
7 前壁下部
8 側壁
9 ヒンジ
10 ヒンジ
11 アーム
12 ヒンジ
13 回転軸
14 回転軸
15 回転軸