特許第6435587号(P6435587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6435587-脳波計測用ヘッドギア 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435587
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】脳波計測用ヘッドギア
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20181203BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   A61B5/04 300M
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-106943(P2014-106943)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-221144(P2015-221144A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】599125814
【氏名又は名称】株式会社 澤村義肢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100095061
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恭介
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 康
(72)【発明者】
【氏名】横田 悠右
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 隆志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 章尋
(72)【発明者】
【氏名】佐野 太一
(72)【発明者】
【氏名】大西 智樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 真悟
【審査官】 多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0237923(US,A1)
【文献】 特開2008−200226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/05
A61B 5/1477
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の穴部を有する略半円状の外殻と、
前記外殻の両端に接続された第一の弾性体と、
前記外殻よりも内側、かつ前記外殻に沿うように、前記外殻に接続され、複数の電極が取り付けられる帯状体と、を備え、
前記帯状体は、使用者の後頭部部分に設置され、前記外殻によって、前記使用者の後頭部部分に固定される、
ことを特徴とする脳波計測用ヘッドギア。
【請求項2】
前記第一の弾性体は、調整手段を有し、前記調整手段により、前記第一の弾性体の長さを調整可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の脳波計測用ヘッドギア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波計測用ヘッドギアに関する。
【背景技術】
【0002】
脳波を計測するためには、脳波計測用の電極が頭皮に接触する必要がある。現在、多チャンネル脳波計測法として一般的に利用されている形態は電極ヘッドギアに脳波計測用電極が多数具備されており、当該電極ヘッドギアを装着して計測するというものである。従来の脳波計測用ヘッドギアとしては、上記のように頭部全体を覆う電極ヘッドギアがまず挙げられる。この頭部全体を覆う電極ヘッドギアは、頭皮上の様々な場所から脳波の計測を可能とするため、水泳帽の内側に多くの電極がついているような形態が良く使用される(例えば特許文献1、非特許文献1)しかしこの頭部全体を覆う電極ヘッドギアは、頭の形は人それぞれで異なることから特に後頭部で頭部の形状にフィットせず、電極が浮いてしまう場合がある。
【0003】
また従来の脳波計測用ヘッドギアの別の形態として、頭部の一部、特に額のみで計測を行うヘッドギアがある(例えば、特許文献2及び3)。医療・研究開発用途ではなく、簡易計測用用途の脳波計では額における脳波計測がなされる。この場合、1チャネルのみを額に接触させるもの、または複数チャネルを額に接触させるものが存在する。ただし、額での脳波計測においては顔が近いため、眼電、筋電等のノイズが混入しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-177231号公報
【特許文献2】特公昭61-55970号公報
【特許文献3】実開平6-70704号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】インターネットホームページ、g.tec medical engineering社[平成26年2月17日検索]「g.Nautilus with g.SAHARA active dry electrodes」http://www.gtec.at/Products/Hardware−and−Accessories/g.NAUTILUS−Specs−Features
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の脳波計測用ヘッドギアにおいて、伝導性のジェルを利用する場合は、脳波計測用ヘッドギアが多少頭の形状にフィットしていなくても、ジェルを用いることで電極と頭皮との間を電気的に接触させることが可能となる。しかしBMI(Brain-Machine Interface)等での利用を想定し、洗髪の必要のないユーザビリティに優れた、ジェル不要なドライ電極を用いる場合は、よりヘッドギアを頭部にフィットさせる必要がある。またヘッドギアに取り付けた電極すべてを頭部にフィットさせるためにはヘッドギアを頭部に押さえつける必要があるが、電極ごとで圧力の分布が大きく異なる場合、圧力が高い部分においては電極が頭皮に押しつけられ痛みを感じてしまう。
【0007】
とりわけ、上記した頭部の一部、特に額のみで計測を行うヘッドギアのタイプにおいては、側面に強い圧力がかかる。したがって側頭部に電極をつけた場合、使用者に痛みが生じてしまうため、側頭部の脳波計測が困難である。特許文献2の発明である生体電極保持装置のU字形バネ部分については、一般的なヘッドフォンと同様に頭の大きさよりも小さく形成している。したがって使用者が当該生体電極保持装置を装着した場合、当該U字形バネ部分の復元力により頭に固定することになる。この場合側頭部にかかる力が大きいため、当該側頭部に電極を装着した場合に使用者に痛みが生じる。特許文献3にかかわる考案も、脳波電極装着具のヘッドバンド部分から使用者の側頭部に加わる圧力が大きいため、特許文献1及び2に開示されている発明及び考案は額部分のみ電極を装着できるにすぎない。また、特許文献1乃至3及び非特許文献に開示されている発明、考案にはヘッドギアや生体電極保持装置及び脳波電極装着具の電極位置に対応する部分に穴を開けて、当該ヘッドギアや生体電極保持装置及び脳波電極装着具の復元力を調整する旨の記載はない。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、様々な人の頭部の形状にフィットし、また頭部の内側方向にかかる力から外側方向にかかる力を減ずることにより、頭部の特定の部位に強い圧力がかからない脳波計測用ヘッドギアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明の脳波計測用ヘッドギアは、略半円状の外殻と、電極を備える帯状体と、複数の第一の弾性体を有し、当該複数の第一の弾性体のうちの各一端を当該外殻の両端にそれぞれ接続したヘッドギア外殻部が存在し、
当該帯状体の両端及び/又は当該帯状体の両端にそれぞれ各一端を接続した複数の第二弾性体の各他端をさらに当該ヘッドギア外殻部に接続することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記帯状体は前記略半円状の外殻の内側に位置することを特徴とする。
【0011】
また本発明の脳波計測用ヘッドギアは、略半円状の外殻と、複数の第三の弾性体を有し、当該複数の第三の弾性体のうちの各一端を当該外殻の両端にそれぞれ接続し、当該複数の第三の弾性体は電極を備えることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記略半円状の外殻は弾性部材から成り、使用者の頭部よりも大径であり、前記略半円状の外殻の側面には穴部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記略半円状の外殻の前記穴部は、大きさを調節できることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記複数の第一の弾性体、前記複数の第二の弾性体、前記複数の第三の弾性体のいずれもが調整手段を有し、当該調整手段により前記複数の第一の弾性体、前記複数の第二の弾性体、前記複数の第三の弾性体のいずれの長さも調節可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の脳波計測用ヘッドギアは、略半円状の外殻と、電極を備える帯状体と、
複数の第一の弾性体を有し、当該複数の第一の弾性体のうちの各一端を当該外殻の両端にそれぞれ接続したヘッドギア外殻部が存在し、当該帯状体の両端及び/又は当該帯状体の両端にそれぞれ各一端を接続した複数の第二弾性体の各他端をさらに当該ヘッドギア外殻部に接続することを特徴とするため、頭部の特定の部位に強い圧力がかからない。
【0016】
本発明において、前記帯状体は前記略半円状の外殻の内側に位置することを特徴とするため、様々な人の頭部の形状に電極がフィットする。
【0017】
本発明の脳波計測用ヘッドギアは、略半円状の外殻と、複数の第三の弾性体を有し、当該複数の第三の弾性体のうちの各一端を当該外殻の両端にそれぞれ接続し、当該複数の第三の弾性体は電極を備えることを特徴とするため、前頭部でも脳波を計測することができる。
【0018】
本発明において、前記略半円状の外殻は弾性部材から成り、使用者の頭部よりも大径であり、前記略半円状の外殻の側面には穴部が形成されていることを特徴とするため、外殻の外側への復元力を調整できる。
【0019】
本発明において、前記略半円状の外殻の前記穴部は、大きさを調節できることを特徴とするため、使用者が装着しやすい脳波計測用ヘッドギアを提供することができる。
【0020】
本発明において、前記複数の第一の弾性体、前記複数の第二の弾性体、前記複数の第三の弾性体のいずれもが調整手段を有し、当該調整手段により前記複数の第一の弾性体、前記複数の第二の弾性体、前記複数の第三の弾性体のいずれの長さも調節可能であることを特徴とするため、確実に帯状体に設置されている電極を頭皮に固定して脳波を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の脳波計測用ヘッドギアを説明する図であり、(a)は本発明の脳波計測用ヘッドギアを上方から見た図である。(b)は本発明の脳波計測用ヘッドギアを使用者が装着して後方から見た図である。
図2】本発明の脳波計測用ヘッドギアを使用者が装着して前方から見た図であり、(a)は側頭部、後頭部及び頭頂部の脳波を計測する場合の図である。(b)は前頭部の脳波を計測する場合の図である。
図3】本発明の脳波計測用ヘッドギアにかかる力の大きさを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の例について説明する。
【0023】
図1に基づいて、本発明に係る脳波計測用ヘッドギア1について説明する。
【0024】
図1(a)は、本発明の脳波計測用ヘッドギア1を上方から見た図である。図1(b)は、本発明の脳波計測用ヘッドギア1を使用者が装着して後方から見た図である。
【0025】
図1(a)において、本発明の脳波計測用ヘッドギア1は、帯状体2と略半円状である外殻4を備える。当該帯状体2は、例えばプラスチックなど柔らかい素材から形成されている。この帯状体2に脳波計測用の電極3を、当該電極3の先端部分3bが脳波計測時に人の頭皮に接するように取り付ける。さらに、例えばゴムバンドなどの2つの第一の弾性体7aの各一端を当該外殻4の両端に留め具6aでそれぞれ接続したものがヘッドギア外殻部10となる。
【0026】
側頭部及び後頭部の脳波の計測に用いる帯状体2の両端部は留め具6cにより、ヘッドギア外殻部10の外殻4の両端部とそれぞれ接続される。なお、図1(a)において下方が前方、すなわち顔の部分になる。一方頭頂部などの脳波を測定する場合は、2つの第二の弾性体7bの各一端を帯状体2の両端にそれぞれ留め具6bなどで接続し、さらに当該2つの弾性体7bの各他端について、ヘッドギア外殻部10の外殻4の下部2カ所に留め具6cでそれぞれ接続する。
【0027】
外殻4は例えばプラスチック等の弾性部材を用いて略半円状に形成する。なお使用者が脳波計測用ヘッドギア1を装着していないときにおいて、外殻4の両端部分の長さLが使用者の頭部の幅より長くなるように作成する。
【0028】
図1(b)において、外殻4の側面には略四角形状の穴部5が複数設けられている。当該穴部5は、脳波計測用ヘッドギア1における外殻4の内側に位置する帯状体2に設置されている、電極3の金属板部分3aが脳波計測用ヘッドギア1の外側から見える位置に形成されている。なお、当該電極3にはリード線8が接続されている。穴部3の形状は略四角形状だけでなく、他の形状でも良い。また頭頂部などの脳波を測定する場合において第二の弾性体7bを用いず、帯状体2の両端を直接ヘッドギア外殻部10の外殻4に接続することもできる。
【0029】
ここで電極3を取り付けた帯状体2は柔らかい素材でできている。したがって、帯状体2が使用者の頭部にフィットすることにより電極3の先端部分3bを頭皮に接触させることができ、さまざまな頭部の形状に対して電極3と頭皮の導通が確保されることにつながる。
【0030】
前述したように、外殻4の側面には略四角形状の穴部5が複数設けられているため、側頭部及び後頭部に使用されている帯状体2の電極3の位置について外部より確認でき、当該電極3の位置の微調整などが、脳波計測用ヘッドギア1を装着したままできる。さらに当該穴部5の大きさを調節することにより、外殻4の外側への復元力の大きさを自由自在に調整することができる。この復元力については後ほど詳述する。また、穴部5の大きさを調節することにより外殻4がたわみやすくなるため脳波計測用ヘッドギア1を使用者が装着しやすくなる。
【0031】
ここで、帯状体2は使用者の側頭部部分、後頭部部分及び頭頂部部分に設置されているが、帯状体2のみ、又は帯状体2及び第二の弾性体7bを用いて頭頂部の他に頭部の所望の位置で脳波を計測することができる。なお図1(a)及び図1(b)に示されているように、頭頂部の脳波を計測する場合も帯状体2の電極3の位置について外部から確認することができる。
【0032】
図2(a)に基づいて、使用者が脳波計測用ヘッドギア1を装着して側頭部、後頭部及び頭頂部の脳波を計測する場合について説明する。
【0033】
脳波計測用ヘッドギア1のヘッドギア外殻部10に設置されている2つの第一の弾性体7aは、例えばアジャスターなどの調整手段9により長さを使用者の額の形状に合わせて調節して当該第一の弾性体7aを額に固定することができる。なお頭頂部の脳波を測定するために用いている帯状体2と接続される第二の弾性体7bについても、図1(a)に示すように調整手段9により当該第二の弾性体7bの長さを使用者の頭部の形状に合わせてそれぞれ調節することができる。
【0034】
このように調整手段9によって、第一の弾性体7a、及び第二の弾性体7bの長さを調整することにより当該第一の弾性体7a、及び第二の弾性体7bが伸縮し、当該第一の弾性体7aと外殻4、留め具6cを介して接続されている帯状体2、及び第二の弾性体7bと接続されている帯状体2が使用者の頭部に固定される。したがって、当該帯状体2に設置されている電極3がより確実に使用者の頭部にフィットすることになり、さまざまな頭部の形状に対して脳波を測定することに役立つ。
【0035】
図2(b)に基づいて、使用者が脳波計測用ヘッドギア1を装着して前頭部の脳波を計測する場合について説明する。
【0036】
外殻4の両端に複数の第三の弾性体7cの各一端を接続し、当該第三の弾性体7cには直接電極3が設置されている。したがって当該第三の弾性体7cにより前頭部の脳波を測定することができる。帯状体2、又は図1(a)で示されている帯状体2の両端に複数の第二の弾性体7bの各一端をそれぞれ接続したもの、あるいは帯状体2と帯状体2の両端に複数の第二の弾性体7bの各一端をそれぞれ接続したものの両方をさらにヘッドギア外殻部10に接続することにより、第三の弾性体7cを用いて前頭部の脳波を測定すると同時に、側頭部など頭部の所望の位置の脳波を計測することができる。かかる場合も帯状体2が外殻4の内側に位置するのは前述した通りである。なお調整手段9によって、第三の弾性体7cの長さを調整することができるなどその他の部分については図2(b)と同じである。
【0037】
図3に基づいて、脳波計測用ヘッドギア1の装着時の外殻4の復元力について説明する。
【0038】
脳波計測用ヘッドギア1を頭に装着した場合、図1(a)においては、電極3を取り付けた帯状体2が使用者の側頭部及び後頭部に接し、ヘッドギア外殻部10の第一の弾性体7aが図2で示されているように額の部分に来る。前述したように、ヘッドギア外殻部10の第一の弾性体7aの長さを調整手段9によって使用者の額の形状に合わせて伸縮させるように調節すると、ヘッドギア外殻部10の第一の弾性体7aは額の形状に沿って湾曲するため、図3中のF1、F2、F3の力が当該第一の弾性体7aから使用者の頭部に向かって内側に働く。この時使用者の前頂部にかかるF1の力よりも使用者の側頭部にかかるF2、F3の力の大きさの方が大きく、外殻4がない状態では使用者は特に側頭部、すなわちF2及びF3の部分において痛みを感じることになる。よって外殻4がなく、帯状体2及び第一の弾性体7aだけの場合は側頭部に該当する部分に電極3を設置して脳波を計測することが困難になる。
【0039】
一方前述したように、脳波計測用ヘッドギア1は、未装着時に外殻4の両端部分の長さLが使用者の頭部の幅より長くなるように作成されている。しかし、使用者がヘッドギア外殻部10の第一の弾性体7aを調整手段9により使用者の額の形状に合わせて伸縮させるように調節することにより、当該第一の弾性体7aと留め具6aで接続されている外殻4が内側、すなわち使用者の頭部の方向に引っ張られることになる。すると、外殻4が使用者の頭部の方向へたわむため、外殻4の復元力としてF4、F5の力が外側へ働く。
【0040】
これにより使用者の側頭部にかかる力は、頭部の内側に向かう力であるF2、F3から頭部の外側に向かう力であるF4、F5をそれぞれ引いたものとなる。つまり、外殻4の外側に向かう力を利用することにより、第一の弾性体7aから頭部の内側に向かう強い力が弱められる。したがって、例えば側頭部といった頭部の特定の部位に強い圧力がかかるといったことがない。よってヘッドギア外殻部10に接続されている帯状体2により側頭部などに対して脳波を計測することができ、その際に痛みを感じることもない。
【0041】
また、外殻4の穴部5の大きさを調整することにより外殻4の復元力を調整することができる。すなわち穴部5の大きさを大きくした場合は、外殻4が頭部の内側へたわみやすくなるため外殻4の外側への復元力が弱まる。一方、穴部5の大きさを小さくした場合は外殻4の外側への復元力が強まる。このように外殻4の穴部の大きさを調整することにより、外殻4全体としての復元力を変化させることができるため、第一の弾性体7aより頭部の特定の部位にかかる強い圧力を適切に調節することができる。したがって脳波計測用ヘッドギア1の使用者が痛みを感じることなく、なおかつ電極3を適度な圧力で頭皮に接触させながら脳波を計測することができる。
【0042】
一方、図1(a)及び図1(b)で示されている、頭頂部で用いられている帯状体2についても、当該帯状体2の両端に2つの第二の弾性体7bの各一端が接続され、当該2つの第二の弾性体7bの各他端がそれぞれヘッドギア外殻部10の外殻4の下部に留め具6cによって接続されている。したがって、頭部の外側へ向かう外殻4の復元力により当該2つの第二の弾性体7bによる頭部の内側に向かう力が弱められ、頭部の特定の部位に強い圧力がかからない。したがって脳波計測用ヘッドギア1において帯状体2を設置する位置を適宜選択することによって、頭部の所望の部位で使用者が痛みを感じることなく脳波を計測することが可能になる。
【0043】
なお、図2(b)で示されている帯状体2を用いずに前頭部で脳波を計測する場合も、第一の弾性体7aと同様、2つの第三の弾性体7cによる頭部の内側に向かう力が頭部の外側へ向かう外殻4の復元力により弱められる。従って、前頭部においても使用者が痛みを感じることなく脳波を計測することが可能になる。
【0044】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々なる態様で実施し得ることはもちろんである。例えば外殻4の幅などを調節することが可能である。また、帯状体2に設置する電極の数も自由に変更できる。
【符号の説明】
【0045】
1 脳波計測用ヘッドギア
2 帯状体
3 電極
3a 金属板部分
3b 先端部分
4 外殻
5 穴部
6a 留め具
6b 留め具
6c 留め具
7a 第一の弾性体
7b 第二の弾性体
7c 第三の弾性体
8 リード線
9 調整手段
10 ヘッドギア外殻部
図1
図2
図3