【文献】
金井 玄,メタロセン触媒を用いたプロピレンランダム共重合体の開発,高分子,日本,公益社団法人 高分子学会,2004年,53巻10号,796-798
【文献】
佐々木 俊夫、常法寺 博文,メタロセン触媒によるポリオレフィンの合成,高分子,日本,公益社団法人 高分子学会,1993年,42巻11号,907-910
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、ヒートシール性樹脂層、粘着剤層および熱可塑性樹脂層がこの順に、共押出製膜により積層されてなる積層フィルムと、該積層フィルムの熱可塑性樹脂層上に積層された基材フィルムと、を有する積層体からなる商品展示用再シール性粘着フィルムであって、
ヒートシール性樹脂層は、メタロセン触媒を使用して重合したポリプロピレン樹脂からなる層であり、
粘着剤層は、スチレン系共重合体を用いたホットメルト型粘着剤からなる層であり、
熱可塑性樹脂層は、メタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレンからなる層であり、
上記ヒートシール性樹脂層を、商品の被着面とヒートシールして貼り付け、その後該商品を引き剥がすことにより、ヒートシールした部分において、上記粘着剤層が、再シール可能な状態で露出することを特徴とする、上記商品展示用再シール性粘着フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について以下に更に詳しく説明する。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本発明において、密度は、JIS−K7112に準拠して測定される値である。さらに、MFRは、JIS−K7210に準拠して測定される値である。
【0014】
<本発明の商品展示用粘着フィルムの層構成>
図1は、本発明の商品展示用粘着フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明の粘着フィルムは、熱可塑性樹脂層2、粘着剤層3およびヒートシール性樹脂層4がこの順に共押出製膜により積層されてなる積層フィルムと、該積層フィルムの熱可塑性樹脂層2の面に積層された基材フィルム1と、を有する積層体からなる。ここで、基材フィルム1と該積層フィルムとは、ドライラミネート法またはサンドイッチラミネート法によってラミネートすることができる。または、熱可塑性樹脂層2、粘着剤層3およびヒートシール性樹脂層4を、基材フィルム1上に共押出
ラミネート法によって積層してもよい。
【0015】
図2は、商品を引き剥がした状態を示す概略的断面図である。
図2に示されるように、商品5の少なくとも一部を、本発明の粘着フィルムのヒートシール性樹脂層4の面と重ね合わせ、ヒートシールすることにより、粘着フィルム上に商品5を貼り付けることができる。次いで、粘着フィルムから商品5を引き剥がすと、ヒートシールした部分において、商品5と共にヒートシール性樹脂層4が剥離し、この部分において、粘着剤層3が露出する。したがって、いったん引き剥がした商品5を、粘着剤層3が露出した部分に押しつけることにより、再接着することができる。
【0016】
図3は、本発明の商品展示用粘着フィルム6に商品5がヒートシールされた商品展示体について、一例を示す概略図である。
図3に示されるように、本発明の商品展示用粘着フィルム6は、商品5の幅より細い帯状であってよく、この上に商品5を1個から複数個並べてヒートシールすることにより、場所をとらずに見栄え良く商品を陳列することができる。また、本発明の商品展示用粘着フィルム6は、商品5と同じ幅であるか、またはそれより幅広い形状であってもよい。
【0017】
<基材フィルム>
本発明において、基材フィルムとしては、展示する商品の重量や、展示様式、物流において要求される機械的強度等に応じて、種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等からなる樹脂フィルム、または、各種の紙基材、金属箔、またはこれらをラミネートした多層フィルム等を用いることができる。特に、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルムを用いることが、好適な取り扱い性や、十分な機械的強度を有する点等から好ましい。
基材フィルムの厚さは、展示様式等に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、例えば、20〜100μmである。
【0018】
<熱可塑性樹脂層>
本発明の粘着フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層は、熱可塑性を有し、常温では固体となってタックおよび接着性を有しない慣用の熱可塑性樹脂からなってよい。
好適な熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ハロゲン含有樹脂(塩化ビニル系樹脂等)、ビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂等)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等)、ポリフェニレンエーテル系樹脂等が例示できる。これらは単独の樹脂で用いてもよく、二種以上の樹脂の混合物として用いてもよい。これらのうち、本発明における共押出製膜に適しており、粘着剤層、特にスチレン系共重合体からなるホットメルト型粘着剤との好適な層間接着強度が得られることから、ポリオレフィン系樹脂が好適に使用される。
【0019】
なお、上記の熱可塑性樹脂は、その製膜化に際して、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%、例えば、20質量%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。
【0020】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができる。
熱可塑性樹脂層の層厚としては、共押出製膜により製膜可能な厚さであればよく、当業者が適宜に決定することができるが、例えば、10〜40μmである。
【0021】
<粘着剤層>
本発明の粘着フィルムにおいて、粘着剤層は、押出可能な熱溶融性を有し、常温でタックおよび接着性を有し、引き剥がした商品を押しつけることにより再シールすることができる、任意の粘着剤からなってよい。
【0022】
このような粘着剤として、本発明においては特に、本発明における上吹き空冷インフレーションによる共押出製膜が可能であり、製造工程数の削減、コストの削減が可能となるため、ホットメルト型粘着剤が好適に用いられる。
【0023】
ホットメルト型粘着剤としては、熱可塑性樹脂からなるベースポリマーおよびタッキファイヤーを含む組成物が用いられる。
【0024】
ベースポリマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレンコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレンコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレンコポリマー(SEPS)、スチレン−イソプレン−ブチレンコポリマー(SIBS)等のスチレン系共重合体、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ビニル芳香族と共役ジエンとの共重合体およびその水添物、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリエステル樹脂等が単独もしくは複数ブレンドして用いられる。本発明において好適に用いられるヒートシール性樹脂および熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹脂と共に共押出製膜した場合に、凝集力が発現しやすく、被着体とヒートシールした後に剥離しても、被着体上に粘着剤が残りにくい点、粘度調整がしやすい点、粘着性が良好である点、熱可塑が容易である点から、スチレン系共重合体をベースポリマーとして用いるホットメルト型粘着剤が特に好ましい。
【0025】
タッキファイヤーとしては、慣用の粘着付与性樹脂、例えば、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、合成ポリテルペン樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族環状炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、炭化水素系樹脂、ポリブテン、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン、水素添加ロジンとモノアルコールまたは多価アルコールとのエステル、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、及び共重合系石油樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種またはそれ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
タッキファイヤーの添加量としては、所望のタックに応じて当業者が適宜に設定することができるが、例えば、ベースポリマー100質量部に対して、10〜150質量部程度であってよい。タッキファイヤーの添加量が多すぎると、粘着剤層の凝集力が低下し易くなる。逆に少なすぎると、粘着力が低下し易くなる。
【0027】
粘着剤としては、上記ベースポリマーに対して、タッキファイヤーのほか、可塑剤、粘
度調整剤、抗酸化剤、充填剤等の慣用の添加剤を、極く微量から数十%の量で、所望の凝集力や粘着力等に応じて任意に添加することができる。
【0028】
本発明において好適に用いられるスチレン系ホットメルト型粘着剤としては、押出加工性に優れる点から、例えば、ヘンケルジャパン(株)製Technomelt PS 7090等が挙げられる。
粘着剤層の層厚としては、当業者が適宜に決定することができるが、例えば、10〜40μmである。
【0029】
<ヒートシール性樹脂層>
本発明の粘着フィルムは、表面にヒートシール性樹脂層を有するため、商品をヒートシールにより貼りつけることができる。そして、商品を引き剥がすと、ヒートシール性樹脂層の凝集破壊が起きて、ヒートシール性樹脂層と粘着剤層との界面で剥離が生じ、粘着剤層が露出する。ヒートシール性樹脂層上の商品とのヒートシール部付近に予めスリットを入れておき、ヒートシール層の凝集破壊を促して、ヒートシール性樹脂層と粘着剤層との界面での剥離を確実にすることもできる。
【0030】
本発明において、ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂は、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、又はこれらの樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等を単独で、または2種またはそれ以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
高いシール強度を発揮することができ、且つ、特にスチレン系共重合体からなるホットメルト型粘着剤と共押出製膜することにより、該粘着剤層と好適な層間接着強度で接着することから、特に、ポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。
【0032】
さらに、商品を引き剥がす力により、層構造が破壊され、粘着剤層が確実に露出するように、ヒートシール性樹脂層は、高過ぎない適度な凝集力を有する必要があり、そのためには、ポリプロピレン樹脂を特に好ましく用いることができる。本発明においては、ヒートシール性樹脂層がポリプロピレン樹脂からなることにより、商品を引き剥がした際に、ヒートシール部分のみにおいて、ヒートシール性樹脂層が確実に剥離し、剥離面は糸引きがなく、美麗なものとなる。したがって、確実に剥離させるためにヒートシール性樹脂層上に設けられるスリット等の剥離補助手段を設ける必要がなく、製造工程の大幅な簡易化につながる。
【0033】
なお、上記のヒートシール性樹脂は、その製膜化に際して、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%、例えば、20質量%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。
【0034】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができる。
ヒートシール性樹脂層の層厚としては、当業者が適宜に決定することができるが、例えば、5〜30μmである。
【0035】
<粘着フィルム>
本発明の粘着フィルムの製造において、熱可塑性樹脂層、粘着剤層およびヒートシール性樹脂層は、3層共押出により積層フィルムとして製膜される。製膜には、Tダイ共押出機または共押出インフレーション製膜機等が使用される。
【0036】
ここで、熱可塑性樹脂層とヒートシール性樹脂層とで、粘着剤層を挟んで押し出すことにより、製膜機の樹脂押出口におけるブロッキング(供給口の閉塞)を防ぐことができる。また、製膜後のフィルムの取り扱いが容易であり、そのまま巻き取って保管したり、必要に応じて接着剤層を介して、基材フィルムとラミネートすることもできる。
【0037】
あるいは、基材フィルム上に、直接またはアンカーコート剤層等を介して、3層を共押出コーティングにより積層してもよい。
3層共押出によって製膜することにより、コーティング等の方法による場合と比べて、層間接着強度の調製の自由度が高く、製造の手間やコストを削減することができる。
【0038】
上記構成の本発明の粘着フィルムにおいて、粘着剤層とヒートシール性樹脂層との層間接着強度は、粘着剤層の凝集破壊に要する力(凝集破壊強度)より小さいものであり、且つ、ヒートシール性樹脂層の凝集破壊強度より大きい。
【0039】
また、商品とヒートシール性樹脂層とのシール強度は、貼り付ける商品の重量に応じて当業者が適宜に設定することができる。一例として、商品の重量が30g程度であり、ヒートシール面積が縦5〜50mmであり、巾15mm〜商品の幅であるときに、商品とヒートシール性樹脂層とのシール強度は、例えば、8〜30N/35mm幅であってよい。これは、ヒートシール性樹脂層の凝集破壊強度、および、粘着剤層とヒートシール性樹脂層との層間接着強度より大きい。再シール強度としては、例えば、1〜10N/35mm幅程度である。
【0040】
層間接着強度及び各層の凝集破壊強度は、各層を構成する樹脂の種類および隣接する樹脂との組み合わせ、並びにその層厚等を選択することにより、調節することができる。このような樹脂の組み合わせとしては、例えば、粘着剤層を構成する樹脂組成物として、スチレン系共重合体をベースポリマーとするホットメルト型粘着剤を用い、ヒートシール性樹脂層を構成する樹脂として、ポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン樹脂を用い、粘着剤層の層厚を10μm以上とし、ヒートシール性樹脂層の層厚を5〜30μmとして共押出製膜することにより、特に好適な凝集破壊強度及び層間接着強度が得られる。
【0041】
上記に加え、タッキファイヤー等、添加剤の種類や添加量によって、各層の凝集破壊強度や層間接着強度を調節することも、当業者にはよく知られている。
本発明の粘着フィルムは、例えば、帯状またはシート状にして、そのヒートシール性樹脂層の側の表面に、種々の商品、例えば、菓子、調味料、インスタント食品等の食品の入った小袋包装体をヒートシールして、商品展示体とすることができる。商品展示体の上部には、それを壁等に吊り下げるための孔等を設けるとよい。
【0042】
ヒートシールする商品の包装体は、上記ヒートシール性樹脂層とヒートシール可能な慣用の包装材料からなるもの、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、これらに蒸着膜を設けた蒸着フィルム、金属箔、紙基材、またはこれらをラミネートした多層フィルム等からなるものであってよい。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳しく説明する。
<実施例1>
(熱可塑性樹脂)メタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製[エボリューSP2020]:密度=0.916g/cm
3、MFR=2.3g/10分)80質量部と、スリップ剤(エルカ酸アミド1.5質量%)−アンチブロッキング剤(天然シリカ10質量%)マスターバッチ(宇部丸善ポリエチレン(株)製[UM−82105M]:バインダー:低密度ポリエチレン)20質量部とを十分に混錬して樹脂組成物を調整した。
【0044】
(粘着剤)スチレン系共重合体をベースポリマーとして用いるホットメルト型粘着剤(ヘンケルジャパン(株)製[Technomelt PS 7090]:密度=約1.0g/cm
3、MFR=37g/10分)を用いた。
【0045】
(ヒートシール性樹脂)メタロセン触媒を使用して重合したポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製[RFG4VM]:密度=0.890g/cm
3、MFR=6.0g/10分)80質量部と、スリップ剤−アンチブロッキング剤マスターバッチ(宇部丸善ポリエチレン(株)製[UM−82105M])20質量部とを十分に混錬して樹脂組成物を調整した。
【0046】
上記の樹脂組成物および粘着剤を用いて、熱可塑性樹脂およびヒートシール性樹脂の押出し温度180℃、粘着剤の押出し温度160℃、ダイス温度170℃にて、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により、熱可塑性樹脂層35μm/粘着剤層10μm/ヒートシール性樹脂層10μmの層構成からなる3層共押し積層フィルムを製膜した。
【0047】
得られた積層フィルムの熱可塑性樹脂層の表面にコロナ処理を施し、その表面とPETフィルム(東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100]、片面コロナ処理、厚さ50μm)のコロナ処理面とを、2液硬化型ウレタン接着剤(主剤:ポリエステル樹脂、硬化剤:脂肪族系ポリイソシアネート、乾燥後質量3.5g/m
2)を用いてドライラミネート法(DL)により貼り合わせ、下記構成からなる本発明の商品展示用粘着フィルムを作製した。
(層構成)
PETフィルム50μm/DL/積層フィルム55μm(熱可塑性樹脂層35μm/粘着剤層10μm/ヒートシール性樹脂層10μm)
【0048】
<実施例2>
粘着剤として、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井・デュポン ポリケミカル(株)製、[P1007]、密度=0.93g/cm
3、MFR=9.0g/10分)を使用し、それ以外は、実施例1と同様にして、本発明の商品展示用粘着フィルムを作製した。
【0049】
<実施例3>
ヒートシール性樹脂として、メタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製[エボリューSP2020]:密度=0.916g/cm
3、MFR=2.3g/10分)を使用し、それ以外は、実施例1と同様にして、本発明の商品展示用粘着フィルムを作製した。
【0050】
<試験>
実施例1〜3の商品展示用粘着フィルムを評価するために、下記の試験を実施した。
各実施例で製造した粘着フィルムのヒートシール性樹脂層の面と、包装体サンプル(層構成:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)25μm/DL/メタロセン触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレンフィルム50μm)のOPP面とを、シール温
度190℃、シール圧1kg/cm
2、シール時間0.3秒のシール条件にてヒートシールしたサンプルを作製した。
【0051】
このヒートシール物を用い、ヒートシール強度および再シール強度を以下のようにして評価した。
(ヒートシール強度)
ヒートシール物から35mm幅の短冊状試験片を切出し、引張試験機を用いて、剥離角度180°、引張速度300mm/分にてヒートシール強度(N/35mm幅)を測定した。
(再シール強度)
上記ヒートシール物を剥離させると、粘着剤層/ヒートシール性樹脂層の間にて層間剥離し、粘着剤層が露出した状態になった。この状態のサンプルを手で圧着して再シールし、引張試験機を用いて、剥離角度180°、引張速度300mm/分にて再シール強度(N/35mm幅)を測定した。
(測定結果)
実施例1〜3の商品展示用粘着フィルムのヒートシール強度、再シール強度は、次の通りであった。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1〜3のいずれの粘着フィルムも、良好な作業性のもとに製造することができた。また、包装体サンプルを引き剥がすことにより、粘着剤層とヒートシール性樹脂層との間で剥離し、再シール性を示した。
【0054】
特に、実施例1の粘着フィルムは、確実に、美麗な剥離面を有し、また十分に高い再シール強度が得られた。これに対し、実施例2および3の粘着フィルムは、実用に供することは可能なものの、実施例2の粘着フィルムは再シール強度において、実施例3の粘着フィルムは剥離面の見た目及び再シール強度において、実施例1よりも劣るものであった。