特許第6435669号(P6435669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435669
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】基板加工装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/00 20060101AFI20181203BHJP
   C03B 33/03 20060101ALI20181203BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20181203BHJP
   C03B 33/07 20060101ALN20181203BHJP
【FI】
   B28D7/00
   C03B33/03
   B28D5/00 Z
   !C03B33/07
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-138525(P2014-138525)
(22)【出願日】2014年7月4日
(65)【公開番号】特開2016-16525(P2016-16525A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】得永 直
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−116260(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/087879(WO,A1)
【文献】 特開2007−042799(JP,A)
【文献】 特開2014−091652(JP,A)
【文献】 特開平07−153720(JP,A)
【文献】 実開平03−093054(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/00
B28D 5/00
C03B 33/03
C03B 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する第1搬送機構と、
前記第1搬送機構の搬送方向と交差する方向の側方に配置され、前記基板を加工する加工機構と、
前記第1搬送機構より上方において互いに上下方向に重なるように並べて配置され、それぞれ基板を保持する保持部材を有し、前記第1搬送機構と前記加工機構との間で基板を搬送する第2搬送機構及び第3搬送機構と、
を備え
前記第2搬送機構及び前記第3搬送機構は、一方の保持部材による加工済み基板の前記加工機構から前記第1搬送機構への搬送と、他方の保持部材による次の未加工基板の前記第1搬送機構から前記加工機への搬送と、を同時にかつ交互に行う、
基板加工装置。
【請求項2】
前記第2搬送機構及び前記第3搬送機構はそれぞれ、
前記第1搬送機構と前記加工機構との間に配置されたレールと、
記保持部材を昇降する昇降機構と、
さらに有し、
前記保持部材及び前記昇降機構は前記レールに沿って移動する、
請求項に記載の基板加工装置。
【請求項3】
前記第1搬送機構は基板が載置される搬送ベルトを有している、請求項1または2に記載の基板加工装置。
【請求項4】
前記第2搬送機構及び前記第3搬送機構の前記加工機構側の端部と前記加工機構の加工位置との間で基板を搬送する加工用搬送ベルトをさらに備えた、請求項1からのいずれかに記載の基板加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板加工装置、特に、基板の搬送機構を備えた基板加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に溝を形成するスクライブ装置や、基板を分断するブレイク装置は、加工用のヘッドを保持するビームを有している。ビームは、左右の支柱によって門型に支持された横方向に延びる梁であり、加工される基板が載置されるテーブルの上方に配置されている。
【0003】
このような基板加工装置では、基板が載置されたテーブルはビームの下方をくぐるように移動する。そして、加工ヘッドに装着されたツールによって基板が加工される。したがって、スクライブ装置やブレイク装置を直列に配置し、基板を分断するための加工ラインを構成すると、加工ライン全体の長さが長くなる。
【0004】
そこで、特許文献1では、基板が順次搬送される第1方向に対して直交する第2方向に、スクライブ装置やブレイク装置を配置している。このような構成にすることによって、加工ラインをコンパクトにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−116260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、まず、基板を第1方向に沿って搬送し、搬送路上の加工基準位置(加工位置に対応する搬送路上の位置)で停止する。次に、基板を第2方向に搬送して加工装置における加工位置に位置させ、加工を行う。加工後、基板を搬送路上の加工基準位置に戻し、搬送路上の下流側に搬送する。
【0007】
しかし、このような方法では、加工が完了した先の基板が加工基準位置に戻され、搬送路上の下流側に搬送されるまで、次の基板に対して搬送及び加工の処理を行うことができない。このため、作業効率が低いという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、高い効率で基板を加工できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る基板加工装置は、基板を搬送する第1搬送機構と、第1搬送機構の搬送方向と交差する方向の側方に配置され基板を加工する加工機構と、互いに並べて配置され第1搬送機構と加工機構との間で基板を搬送する第2搬送機構及び第3搬送機構と、を備えている。
【0010】
この装置では、第1搬送機構によって搬送されてきた基板は、第2及び第3搬送機構によって第1搬送機構と加工機構との間で搬送される。
【0011】
ここでは、基板が搬送される方向と交差する方向に加工機構が配置されているので、加工ラインの搬送方向の長さをコンパクトにすることができる。また、加工された基板を第2及び第3搬送機構の一方によって第1搬送機構に戻す際に、次の基板を他方の搬送機構によって加工機構に搬送できるので、基板の搬送及び加工にかかる時間を短縮でき、高い効率で基板を加工することができる。
【0012】
本発明の別の側面に係る基板加工装置では、第2搬送機構及び第3搬送機構は、第1搬送機構により搬送されてきた未加工の基板を加工機構に搬送するとともに、加工機構により加工された基板を第1搬送機構に搬送する。
【0013】
本発明のさらに別の側面に係る基板加工装置では、第2搬送機構及び第3搬送機構は、一方の搬送機構が加工された基板を搬送する際に、他方の搬送機構が次の未加工の基板を搬送する。
【0014】
本発明のさらに別の側面に係る基板加工装置では、第2搬送機構及び第3搬送機構は、第1搬送機構より上方において、上下方向に並べて配置されている。
【0015】
ここでは、各搬送機構の占有スペースを小さくすることができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面に係る基板加工装置では、第2搬送機構及び第3搬送機構はそれぞれ、第1搬送機構と加工機構との間に配置されたレールと、基板を保持する保持部材と、保持部材を昇降する昇降機構と、を有している。そして、保持部材及び昇降機構はレールに沿って移動する。
【0017】
本発明のさらに別の側面に係る基板加工装置では、第1搬送機構は基板が載置される搬送ベルトを有している。
【0018】
本発明のさらに別の側面に係る基板加工装置では、第2搬送機構と第3搬送機構の加工機構側の端部と加工機構の加工位置との間で基板を搬送する加工用搬送ベルトをさらに備えている。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明では、高い効率で基板を加工することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による基板加工装置の平面図。
図2】基板の加工の様子を示す模式図。
図3A】加工動作を示す図。
図3B】加工動作を示す図。
図3C】加工動作を示す図。
図3D】加工動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の一実施形態による基板加工装置の平面図である。なお、図1においては、装置全体を模式化して示している。
【0022】
この基板加工装置1は、基板を順次搬送するとともに、搬送されてきた基板の端部に形成された端子部分を露出するための装置である。この基板加工装置1の前段には、図示しないスクライブ装置及びブレイク装置が設けられている。スクライブ装置では1枚のマザー基板にブレイク用の複数の溝が形成される。また、ブレイク装置では、1枚のマザー基板が複数の単位基板(以下、単に「基板」と記す)にブレイクされる。したがって、この基板加工装置1には、複数の基板Sが順次搬送されてくる。各基板Sは貼り合わせ基板であり、基板Sの端部(端子が形成された部分)には、溝が形成されている。
【0023】
基板加工装置1は、搬送ベルト(第1搬送機構)2と、複数のブレイク装置3と、それぞれ複数の下搬送機構4(第2搬送機構)及び上搬送機構(第3搬送機構)5と、加工用搬送ベルト6と、を有している。
【0024】
搬送ベルト2は、図1において、第1方向(図の左右方向)に複数の基板Sを搬送する。ここでは、図1の左から搬入されてきた基板Sが、ブレイク装置3によって加工され、右方向に搬出される。
【0025】
ブレイク装置3は、搬送ベルト2の搬送方向下流側において、搬送ベルト2の両側に配置されている。より詳細には、搬送ベルト2の一方側に、3台のブレイク装置3が搬送方向に並べて配置され、搬送ベルト2の他方側に、3台のブレイク装置3が搬送方向に並べて配置されている。各ブレイク装置3は、図2に拡大して一部を示すように、基板Sの端部を上方から押圧し、基板Sの端部の下層部分を除去する。これにより、基板Sの端部に形成された端子部分が露出される。
【0026】
下搬送機構4及び上搬送機構5は、搬送ベルト2によって搬送されてきた基板S及びブレイク装置3によって加工された基板Sを、第1方向と直交する第2方向に搬送する。下搬送機構4及び上搬送機構5は、図1及び図3A図3Dに示すように、搬送ベルト2及び加工用搬送ベルト6の上方において、上下方向に並べて配置されている。図1では、下搬送機構4の一部(具体的にはレール)は、上搬送機構5に重なっており、表れていない。
【0027】
下搬送機構4は、1対のレール41と、保持部材42と、昇降機構43と、を有している。1対のレール41は搬送ベルト2とブレイク装置3との間に配置されている。保持部材42及び昇降機構43は、1対のレール41に沿って移動する。保持部材42は、例えば真空吸着によって基板Sを下面に保持する。昇降機構43は、例えばラック・ピニオン機構を有し、保持部材42を昇降させる。保持部材42の搬送方向の幅は、1対のレール41間の距離より短い。
【0028】
上搬送機構5も、下搬送機構4とまったく同様の構成であり、1対のレール51と、保持部材52と、昇降機構53と、を有している。なお、前述のように、保持部材52の搬送方向の幅は、1対のレール51間の距離より短いので、上搬送機構5の保持部材52は、下搬送機構4の1対のレール41間を通過して、昇降することが可能である。
【0029】
[加工動作]
図3A図3Dは、搬送ベルト2によって加工基準位置に搬送されてきた基板Sを加工する際の動作を示している。ここで、「加工基準位置」とは、搬送ベルト2上において、ブレイク装置3において実際に加工する位置と搬送方向において同じ位置である。なお、以下では、1つのブレイク装置3による加工動作を説明するが、他のすべてのブレイク装置3においても、まったく同様の加工動作が実行される。
【0030】
基板Sが加工基準位置に搬送されてくると、搬送ベルト2による搬送を一旦停止する。そして、下搬送機構4の保持部材42を基板Sの真上に位置させる(図3A−a)。次に、昇降機構43により保持部材42を下降させ、保持部材42によって基板Sを吸着する(図3A−b)。
【0031】
このような状態で、保持部材42を上昇させて基板Sを搬送ベルト2から持ち上げ、レール41に沿って保持部材42を移動させて、加工用搬送ベルト6の上方に位置させる。なお、このとき、加工用搬送ベルト6のブレイク装置3側の端部まで基板Sを移動させる(図3A−c)。そして、保持部材42を下降させて、加工用搬送ベルト6に基板Sを載置する(図3A−d)。
【0032】
その後、保持部材42による基板Sの吸着を解除して保持部材42を上昇させるとともに、加工用搬送ベルト6を駆動して基板Sをブレイク装置3の加工位置に移動させる(図3A−e)。ブレイク装置3では、図2に示すように、基板Sを上方から押圧し、基板Sの端部をブレイクして端子部分を露出させる。
【0033】
加工が終了すると、加工用搬送ベルト6によって、加工済み基板Sをブレイク装置3の加工位置から下搬送機構4の下方位置まで戻す(図3B−a)。なお、この時点では、加工基準位置に次の未加工基板Sが搬送されてきている(図3B−a)。
【0034】
次に、下搬送機構4の保持部材42を下降させて加工済み基板Sを吸着する(図3B−b)。また、これと同時に、上搬送機構5の保持部材52を下降させて未加工基板Sを吸着する(図3B−b)。そして、下搬送機構4の保持部材42を上昇させて加工済み基板Sを加工用搬送ベルト6から持ちあげるとともに、上搬送機構5の保持部材52を上昇させて未加工基板Sを搬送ベルト2から持ち上げる(図3B−c)。
【0035】
その後、下搬送機構4の保持部材42を加工基準位置に移動させると同時に、上搬送機構5の保持部材52を加工用搬送ベルト6の上方に移動させる(図3B−d)。このとき、前述と同様に、加工用搬送ベルト6のブレイク装置3側の端部まで未加工基板Sを移動させる。そして、下搬送機構4の保持部材42を下降させて加工済み基板Sを搬送ベルト2上に載置するとともに、上搬送機構5の保持部材52を下降させて未加工基板Sを加工用搬送ベルト6に載置する(図3B−e)。
【0036】
次に、上搬送機構5の保持部材52による未加工基板Sの吸着を解除して保持部材52を上昇させるとともに、加工用搬送ベルト6を駆動して未加工基板Sをブレイク装置3の加工位置に移動させる(図3C−a)。そして、前記同様に、ブレイク装置3を作動させ、基板Sの端部をブレイクし、端子部分を露出させる。
【0037】
加工が終了すると、加工用搬送ベルト6によって、加工済み基板Sをブレイク装置3の加工位置から上搬送機構5の下方位置まで戻す(図3C−b)。なお、この時点では、加工基準位置に次の未加工基板Sが搬送されてきている(図3C−b)。
【0038】
次に、上搬送機構5の保持部材52を下降させて加工済み基板Sを吸着するとともに、下搬送機構4の保持部材42を下降させて次の未加工基板Sを吸着する(図3C−c)。そして、上搬送機構5の保持部材52を上昇させて加工済み基板Sを加工用搬送ベルト6から持ち上げるとともに、下搬送機構4の保持部材42を上昇させて次の未加工基板Sを搬送ベルト2から持ち上げる(図3C−d)。
【0039】
その後、上搬送機構5の保持部材52を加工基準位置に移動させると同時に、下搬送機構4の保持部材42を加工用搬送ベルト6の上方に移動させる(図3C−e)。そして、上搬送機構5の保持部材52を下降させて加工済み基板Sを搬送ベルト2上に載置するとともに、下搬送機構4の保持部材42を下降させて次の未加工基板Sを加工用搬送ベルト6に載置する(図3D−a)
以上の処理を繰り返し実行することによって、順次搬送されてくる基板Sを、待機時間を少なくして加工をすることができる。このため、効率よく搬送及び加工を行うことができ、全体の加工時間を短縮することができる。
【0040】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0041】
(a)前記実施形態では、搬送ベルトの両側にブレイク装置が配置されている場合について説明したが、片側のみにブレイク装置が配置されている場合においても、本発明を同様に適用することができる。また、ブレイク装置の個数も、前記実施形態に限定されるものではない。
【0042】
(b)前記実施形態では、加工機構としてブレイク装置を例にとって説明したが、他の、例えばスクライブ装置であっても本発明を同様に適用することができる。
【0043】
(c)下搬送機構及び上搬送機構の具体的な構成は前記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0044】
1 基板加工装置
2 搬送ベルト(第1搬送機構)
3 ブレイク装置(加工機構)
4 下搬送機構(第2搬送機構)
5 上搬送機構(第3搬送機構)
6 加工用搬送ベルト
41,51 レール
42,52 保持部材
43,53 昇降機構
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D