特許第6435877号(P6435877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435877
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/28 20060101AFI20181203BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20181203BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B65H1/28 320
   B65H1/26 312A
   B65H7/14
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-10070(P2015-10070)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-132563(P2016-132563A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】白根 達也
(72)【発明者】
【氏名】川上 和久
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−297052(JP,A)
【文献】 特開平05−072841(JP,A)
【文献】 実開昭62−153230(JP,U)
【文献】 特開平04−140228(JP,A)
【文献】 特開平06−255809(JP,A)
【文献】 特開2002−193455(JP,A)
【文献】 特開昭61−203033(JP,A)
【文献】 特開2014−12583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の被記録媒体、第2の被記録媒体に記録する記録部と、
前記第1の被記録媒体を載置し、第1の方向に並ぶ第1の被検出部および第2の被検出部を有し、装置本体に対して前記第1の方向の移動により着脱可能な第1トレイと、
前記第2の被記録媒体を載置し、第3の被検出部を有し、前記第1トレイに支持されて前記第1トレイに対して前記第1の方向に移動可能な第2トレイと、
前記装置本体に固定され、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別する制御部と、を備え、
前記第1の方向と交わる第2の方向から見た、前記第2トレイにおける前記第3の被検出部は、前記第1の被検出部および前記第2の被検出部とともに前記第1の方向に並ぶ位置に設けられ、
前記制御部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部の検出順による、前記第1トレイの前記着脱時における前記装置本体に対する移動方向の判定と、前記第3の被検出部の検出結果の有無による、前記第2トレイが所定の位置に有るか否かの判定と、を行うことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、反射率が異なる表面を有し、
前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部のそれぞれの前記表面によって反射された反射光を受光量として検出し、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記受光量によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面との段差部を有し、
前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部の前記第2の方向における段差部の位置を検出し、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記段差部の位置によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置であって、
前記段差部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面から突出した突出部であることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項3に記載の記録装置であって、
前記段差部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面より窪む凹部であることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の記録装置であって、
前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部の前記段差部に当接することによって、回動可能なレバーを備え、
前記制御部は、前記レバーの回動位置によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、前記第1の方向の長さが異なり、
前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部のそれぞれの前記第1の方向の長さを検出し、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記第1の方向の長さによって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1トレイの前記検出部側の端部には、壁部が設けられ、前記壁部には、前記第2トレイが前記所定の位置にあるとき、前記第3の被検出部が露出する露出部が設けられたことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項8に記載の記録装置であって、
前記露出部は、前記壁部に設けられた切り欠き部であることを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項8に記載の記録装置であって、
前記露出部は、前記壁部に設けられた貫通孔であることを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1の方向は、前記装置本体の奥行き方向であり、前記第2の方向は、前記装置本体の幅方向であることを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1の方向は、前記装置本体の奥行き方向であり、前記第2の方向は、前記装置本体の高さ方向であることを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記所定の位置は、前記第2の被記録媒体が給送される給送位置または、前記第2トレイが退避する退避位置であることを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、複写機などの記録装置には、用紙などの被記録媒体を積載する媒体収容部を装置本体に対して着脱可能に備え、積載された用紙の最上部に給送ローラーが回転しながら当接し、媒体収容部から記録部に用紙が給送されるものがある。
例えば、特許文献1では、装置本体に対して個別に着脱可能な複数のカセット(媒体収容部)と、それぞれのカセットに対応する複数のカセット装着センサーとを備え、それぞれのカセットが装置本体に装着されているか否かを検出する。
また、例えば、特許文献2では、下段トレイと、下段トレイに対してスライド移動する上段トレイとから構成される媒体収容部を備え、下段トレイは、上段トレイを重ねた状態で一体的に装置本体に対して着脱可能に備えられる。スライド方向において、上段トレイが給送位置にあるときは、上段トレイの最上部の用紙が給送ローラーに当接して給送され、上段トレイが退避位置にあるときは、下段トレイの最上部の用紙が給送ローラーに当接して給送される。特許文献2の記録装置は、下段トレイに対する上段トレイの位置を検出するトレイ検出センサーを備え、上段トレイの用紙または下段トレイの用紙を選択して給送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−176575号公報
【特許文献2】特開2008−297052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上段トレイを重ねた状態で一体的に装置本体に対して着脱可能な下段トレイを備えた記録装置においては、下段トレイが装置本体に装着されているか否かを検出する検出センサーと、下段トレイに対する上段トレイの位置を検出する検出センサーとをそれぞれ個別に備えると、記録装置が大型化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]第1の被記録媒体、第2の被記録媒体に記録する記録部と、前記第1の被記録媒体を載置し、第1の方向に並ぶ第1の被検出部および第2の被検出部を有し、装置本体に対して前記第1の方向の移動により着脱可能な第1トレイと、前記第2の被記録媒体を載置し、第3の被検出部を有し、前記第1トレイに支持されて前記第1トレイに対して前記第1の方向に移動可能な第2トレイと、前記装置本体に固定され、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別する制御部と、を備え、前記第1の方向と交わる第2の方向から見た、前記第2トレイにおける前記第3の被検出部は、前記第1の被検出部および前記第2の被検出部とともに前記第1の方向に並ぶ位置に設けられ、前記制御部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部の検出順による、前記第1トレイの前記着脱時における前記装置本体に対する移動方向の判定と、前記第3の被検出部の検出結果の有無による、前記第2トレイが所定の位置に有るか否かの判定と、を行うことを特徴とする記録装置。
【0007】
本適用例によれば、第1の方向と交わる第2の方向から見た、第2トレイにおける第3の被検出部は、第1の被検出部および第2の被検出部とともに第1の方向に並ぶ位置に設けられる。これにより、第1トレイが着脱される際や、第2トレイが第1トレイに対して移動する際に、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部は、検出部によって検出可能な位置にある。そして、制御部は、第1の被検出部、第2の被検出部の検出順による、第1トレイの着脱時における装置本体に対する移動方向の判定と、第3の被検出部の検出結果の有無による、第2トレイが所定の位置に有るか否かの判定と、を行う。これにより、検出部を用いて、第1トレイが、装置本体に対して、離脱状態から装着状態に移行したか、あるいは装着状態から離脱状態に移行したかの移行状態の検出と、第2トレイが、第1トレイに対する所定の位置に有るか否かの位置検出と、を行うことができる。従って、第1トレイの装置本体に対する移行状態の検出と、第2トレイの第1トレイに対する位置検出とを目的として個別に検出部を設けなくてもよいので、記録装置の大型化を抑制できる。
【0008】
[適用例2]前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、反射率が異なる表面を有し、前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部のそれぞれの前記表面によって反射された反射光を受光量として検出し、前記制御部は、前記検出部が検出した前記受光量によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする上記記録装置。
【0009】
本適用例によれば、制御部は、受光量によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0010】
[適用例3]前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面との段差部を有し、前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部の前記第2の方向における段差部の位置を検出し、前記制御部は、前記検出部が検出した前記段差部の位置によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする上記記録装置。
【0011】
本適用例によれば、制御部は、検出部が検出した段差部の位置によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0012】
[適用例4]前記段差部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面から突出した突出部であることを特徴とする上記記録装置。
【0013】
本適用例によれば、制御部は、検出部が検出した突出部の位置によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0014】
[適用例5]前記段差部は、前記第1トレイの側面、前記第2トレイの側面より窪む凹部であることを特徴とする上記記録装置。
【0015】
本適用例によれば、制御部は、検出部が検出した凹部の位置によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0016】
[適用例6]前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部の前記段差部に当接することによって、回動可能なレバーを備え、前記制御部は、前記レバーの回動位置によって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする上記記録装置。
【0017】
本適用例によれば、制御部は、検出部が検出したレバーの回動位置によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0018】
[適用例7]前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部は、前記第1の方向の長さが異なり、前記検出部は、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部のそれぞれの前記第1の方向の長さを検出し、前記制御部は、前記検出部が検出した前記第1の方向の長さによって、前記第1の被検出部、前記第2の被検出部および前記第3の被検出部を識別することを特徴とする上記記録装置。
【0019】
本適用例によれば、制御部は、検出部が検出した長さによって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を識別することができる。
【0020】
[適用例8]前記第1トレイの前記検出部側の端部には、壁部が設けられ、前記壁部には、前記第2トレイが前記所定の位置にあるとき、前記第3の被検出部が露出する露出部が設けられたことを特徴とする上記記録装置。
【0021】
本適用例によれば、第1トレイの壁部によって遮蔽されることなく、露出部を通して第1トレイの外側から検出部によって第2トレイに設けられた第3の被検出部を検出することができる。
【0022】
[適用例9]前記露出部は、前記壁部に設けられた切り欠き部であることを特徴とする上記記録装置。
【0023】
本適用例によれば、第1トレイの壁部によって遮蔽されることなく、切り欠き部を通して第1トレイの外側から検出部によって第2トレイに設けられた第3の被検出部を検出することができる。
【0024】
[適用例10]前記露出部は、前記壁部に設けられた貫通孔であることを特徴とする上記記録装置。
【0025】
本適用例によれば、第1トレイの壁部によって遮蔽されることなく、貫通孔を通して第1トレイの外側から第2トレイに設けられた第3の被検出部を検出することができる。
【0026】
[適用例11]前記第1の方向は、前記装置本体の奥行き方向であり、前記第2の方向は、前記装置本体の幅方向であることを特徴とする上記記録装置。
【0027】
本適用例によれば、幅方向における第1トレイおよび第2トレイの外側に備えた検出部によって第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を検出できるので、装置本体の高さ方向の長さを短くできる。
【0028】
[適用例12]前記第1の方向は、前記装置本体の奥行き方向であり、前記第2の方向は、前記装置本体の高さ方向であることを特徴とする上記記録装置。
【0029】
本適用例によれば、高さ方向における第1トレイおよび第2トレイの外側に備えた検出部によって、第1の被検出部、第2の被検出部および第3の被検出部を検出できるので、装置本体の幅方向の長さを短くできる。
【0030】
[適用例13]前記所定の位置は、前記第2の被記録媒体が給送される給送位置または、前記第2トレイが退避する退避位置であることを特徴とする上記記録装置。
【0031】
本適用例によれば、第2トレイの給送位置または退避位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】記録装置の外観斜視図。
図2】記録装置の内部の概略構成を示す側面図。
図3】記録装置の内部の概略構成を示す側面図。
図4】媒体収容部の斜視図。
図5】上段トレイを下段トレイから離した状態の媒体収容部の斜視図。
図6】電気的な概略構成を示すブロック構成図。
図7】反射部を識別するための電流値の範囲を示すグラフ。
図8】上段トレイの位置を判定する方法を説明するための模式図。
図9】媒体収容部の移動方向を判定する方法を説明するための模式図。
図10】媒体収容部の移動方向を判定する方法を説明するための模式図。
図11】検出部によって検出された電流値のタイムチャート。
図12】検出部によって検出された電流値のタイムチャート。
図13】実施形態2における媒体収容部の斜視図。
図14】実施形態3における媒体収容部の斜視図。
図15】実施形態4における媒体収容部の斜視図。
図16】実施形態5における媒体収容部の斜視図。
図17】実施形態6における媒体収容部の斜視図。
図18】(a)は、壁部に反射部としての壁面が設けられた部分を示す図、(b)は、長さが異なる反射部を示す図。
図19】モーターの駆動力によってスライド移動する上段トレイの斜視図。
図20】排紙受けトレイが備えられた媒体収容部の斜視図。
図21】用紙を反転させる他の経路を備えた記録装置の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、記録装置の実施形態について、図面に従って説明する。図のX軸は、記録装置の幅方向を示し、Y軸は、記録装置の奥行き方向を示し、Z軸は、記録装置の高さ方向を示す。
【0034】
(実施形態1)
図1は、記録装置の一例であるプリンター1の外観斜視図である。プリンター1は、記録媒体としての用紙にインクジェット記録を行う記録部を内部に備えた装置本体2と、装置本体2の上部に備えられたスキャナーユニット3とから構成される。すなわち、プリンター1は、インクジェット記録機能に加えてスキャナー機能を備える複合機として構成される。
【0035】
スキャナーユニット3は、装置本体2に対して回動可能に設けられており、回動することにより、閉じた状態と開いた状態とをとり得る。スキャナーユニット3における上部には、カバー4が回動可能に備えられる。図1の閉じた状態にあるカバー4を回動させことにより、スキャナーユニット3の原稿台3a(図2参照)が表れる様になっている。
【0036】
装置本体2の正面上側には操作パネル5が備えられ、操作パネル5には、電源ボタン(不図示)や各種印刷設定・記録実行を行う操作ボタン(不図示)が設けられた操作部215(図6参照)が備えられる。また、操作パネル5には、印刷設定内容や印刷画像のプレビュー表示などを行う表示部214(図6参照)が備えられる。
【0037】
装置本体2の後方上部には、開閉可能な手差しカバー6が備えられる。使用者が手差しカバー6を開き、手差しトレイ7(図2参照)に沿って用紙を差し込むと、装置本体2の内部に用紙が給送される。
【0038】
装置本体2の前面下側にはカバー29が開閉可能に備えられ、図1に示すように、カバー29を開くことにより、排紙受けトレイ8、媒体収容部100を構成する下段トレイ30及び上段トレイ40が露呈する。
【0039】
図2図3は、プリンター1の内部の概略構成を示す側面図である。排紙受けトレイ8は、モーター(不図示)の駆動力によって、奥行き方向Yに移動可能に備えられ、装置本体2に収納された図1に示す状態と、図2の装置本体2の前方側に突出した状態とを取りうる。記録が行われて排出される用紙は、装置本体2の前方側に突出した状態の排紙受けトレイ8に載置される。
【0040】
仕切部材28は、排紙受けトレイ8の下方に設けられ、媒体収容部100を収容する収容空間を下方に形成する。カバー29が開いた状態で、媒体収容部100は、奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられ、媒体収容部100は、装置本体2に対して、着脱可能に備えられる。
【0041】
図2は、媒体収容部100が装着された状態において、上段トレイ40が給送位置にある状態を示す。図3は、媒体収容部100が装着された状態において、上段トレイ40が退避位置にある状態を示す。上段トレイ40は、装置本体2に装着された状態において、図2の給送位置と、図3の退避位置との間を、奥行き方向Yにおいてスライド移動可能に設けられる。
【0042】
図2の上段トレイ40に載置された用紙P2に記録されるときは、上段トレイ40は、奥行き方向Yにおける背面側(図面左側)に位置する給送位置に設定される。図3の下段トレイ30に載置された用紙P1に記録されるときは、上段トレイ40は、奥行き方向Yにおける正面側(図面右側)に位置する退避位置に設定される。
【0043】
図2における破線は上段トレイ40から給送される用紙P2の通過軌跡を示す。給送ローラー9は、回動軸12を中心に揺動するローラー支持部材11に設けられ、給送モーター(図6参照)によって回転駆動される。上段トレイ40が給送位置にあるとき、給送ローラー9が、上段トレイ40に収容された用紙P2の最上位のものと接した状態で回転することにより、最上位の用紙P2は、上段トレイ40から給送される。
【0044】
図3における破線は下段トレイ30から給送される用紙P1の通過軌跡を示す。上段トレイ40が退避位置にあるときは、給送ローラー9が、下段トレイ30に収容された用紙P1の最上位のものと接した状態で回転することにより、最上位の用紙P1は下段トレイ30から給送される。
【0045】
装置本体2の背面側で、下段トレイ30及び上段トレイ40の背面側先端と対向する位置には、分離斜面16を有する分離部2cが設けられている。媒体収容部100が装着された状態では、下段トレイ30の先端に設けられたストッパー35が、分離斜面16より背面側に位置し、下段トレイ30に収容された用紙P1の先端が分離斜面16と当接可能な状態となる。
【0046】
図2の上段トレイ40が給送位置に設定された状態では、上段トレイ40の背面側先端に設けられたストッパー42が、分離斜面16より背面側に位置し、上段トレイ40に収容された用紙P2の先端が分離斜面16と当接可能な状態となる。
【0047】
下段トレイ30或いは上段トレイ40から給送される用紙P1,P2は、その先端が分離斜面16に接しながら下流側に進むことにより、給送されるべき最上位の用紙P1,P2と次位以降の用紙P1,P2との分離が行われる。
【0048】
分離斜面16の上方には、モーター(不図示)によって回転駆動される中間ローラー17、従動ローラー18A,18B、ガイドローラー18Cが設けられる。用紙P1,P2は、中間ローラー17、従動ローラー18A,18Bによって湾曲反転され、下流側に搬送される。ガイドローラー18Cは、湾曲反転された用紙P1,P2を下側にガイドする。
【0049】
中間ローラー17の搬送経路における下流側には、搬送モーター(図6参照)によって回転駆動される搬送駆動ローラー19と、搬送駆動ローラー19に接して従動回転する搬送従動ローラー20とが設けられている。用紙P1,P2は、搬送駆動ローラー19と搬送従動ローラー20とによって記録ヘッド23が対向する位置に搬送される。
【0050】
記録ヘッド23は、キャリッジモーター213(図6参照)によって駆動され、幅方向Xに往復移動するキャリッジ22の底部に設けられる。記録ヘッド23と対向する位置には支持部材21が設けられ、支持部材21によって、用紙P1,P2と記録ヘッド23との間の距離が規定される。
【0051】
支持部材21に沿って下流側に搬送される用紙P1,P2に、インクを噴射しながら往復移動する記録ヘッド23に画像が記録される。支持部材21の下流側には、図示しないモーターによって回転駆動される排出駆動ローラー24と、排出駆動ローラー24に接して従動回転する排出従動ローラー25とが設けられている。記録ヘッド23によって記録された用紙P1,P2は、排出駆動ローラー24と排出従動ローラー25とにより排紙受けトレイ8へ向けて排出される。
【0052】
中間ローラー17と搬送駆動ローラー19との間には、搬送経路を形成する案内部材26が設けられ、案内部材26と搬送駆動ローラー19との間には、搬送経路を形成する案内部材27が設けられる。
【0053】
中間ローラー17の下側には、従動ローラー18Dが備えられる。両面印刷の際に、記録ヘッド23によって一方の面に記録された用紙P1,P2が、搬送駆動ローラー19と搬送従動ローラー20とによって案内部材26,27に沿って、図面左側に搬送され、中間ローラー17と従動ローラー18Dの間でニップされ、再び、中間ローラー17、従動ローラー18A,18Bによって湾曲反転されて下流側に搬送される。
【0054】
これにより、記録が行われた一方の面を下側にして反転された状態で、再び記録ヘッド23が対向する記録位置へと搬送され、一方の面と反対側の他方の面への記録が実行され、両面印刷が行われる。
【0055】
図4は、媒体収容部100の斜視図である。上段トレイ40には、載置面44に載置された用紙P2の幅方向Xの端部の位置を規制する一対のエッジガイド41が、幅方向Xにスライド移動可能に備えられる。
【0056】
図5は、上段トレイ40を下段トレイ30から離した状態の媒体収容部100の斜視図である。下段トレイ30には、載置面37に載置された用紙P1の幅方向Xの端部の位置を規制する一対のエッジガイド31が、幅方向Xにスライド移動可能に備えられる。また、下段トレイ30には、載置面37に載置された用紙P1の奥行き方向Yの正面側の端部の位置を規制するエッジガイド32が、奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられる。
【0057】
下段トレイ30に設けられた摩擦部材36、上段トレイ40に設けられた摩擦部材43は、コルク、ゴムなどの、用紙との間で高い摩擦係数を発揮する高摩擦部材であり、摩擦部材36,43が用紙P1,P2の最下部と接することにより、用紙P1,P2の給送時に、載置された用紙P1,P2全体が下流側に移動しないようにする。
【0058】
下段トレイ30の幅方向Xにおける両端部には、奥行き方向Yに延びて高さ方向Zに載置面37から立設する壁部33a,33bが設けられる。壁部33a,33bの内側には、奥行き方向Yに延びるガイド部34a,34bがそれぞれ設けられ、上段トレイ40は、ガイド部34a,34bに支持されてスライド移動する。
【0059】
壁部33a,33bには、高さ方向において所定の隙間が設けられて、上段トレイ40が上方に移動することを規制する規制部材(不図示)が設けられる。これにより、使用者は、上段トレイ40を下段トレイ30に重ねた状態で、装置本体2に着脱可能である。すなわち、媒体収容部100は、スライド移動可能な上段トレイ40が下段トレイ30に重なった状態で一体的に構成される。
【0060】
下段トレイ30の幅方向Xの図面右側の壁部33bには、切り欠き部38が形成される。切り欠き部38は、高さ方向Zに延びて奥行き方向Yに対向する壁面38c,38bと、奥行き方向Yに延びる壁面38aとによって構成され、高さ方向Zの上方が開口している部分である。
【0061】
下段トレイ30の幅方向Xの図面右側の壁部33bの外側壁面には、反射部51,52が設けられる。反射部51,52は、切り欠き部38の奥行き方向Yの背面側に設けられる。上段トレイ40の幅方向Xの図面右側の側面45における奥行き方向Yの正面側には、反射部53が設けられる。
【0062】
反射部51,52,53は、シール状の部材から形成されたものであり、反射部51,52,53は、壁部33bの外側壁面、側面45に接着材によってそれぞれ接合される。反射部51,52,53の高さ方向Zにおける位置は同じである。
【0063】
図4の検出部60は、発光ダイオードなどの発光素子を備えた発光部60aと、フォトトランジスターなどによって構成される受光部60bとを備える。検出部60は、発光部60aから照射された光が反射部51,52,53に当たり、反射して戻ってきた反射光を受光量として検知して反射部51,52,53を識別することができる光学式のセンサーである。
【0064】
検出部60は、媒体収容部100が装置本体2に装着された状態において、媒体収容部100の幅方向Xにおける一方の外側に設けられる。奥行き方向Yにおける検出部60の位置は、図2図3の破線で示した位置に設けられる。
【0065】
図4は、図2の上段トレイ40が退避位置にある状態を示す。上段トレイ40が退避位置にあるとき、反射部53は、切り欠き部38の位置にあって、幅方向Xの外側から見て露出する位置にある。
【0066】
上段トレイ40が退避位置にあるとき、反射部53は、発光部60aから光が照射されて反射部53によって反射された反射光が受光部60bによって検出可能な位置にある。
【0067】
図6は、プリンター1の電気的な概略構成を示すブロック構成図である。プリンター1は制御部200を備え、制御部200は、RAM202、ROM203、ASIC(特定用途向け集積回路)201、CPU(中央処理装置)206、不揮発性メモリー204、ヘッド駆動回路207、モーター駆動回路208,209,210を備えている。RAM202、ROM203、ASIC201、CPU206及び不揮発性メモリー204は、システムバス205に接続される。ヘッド駆動回路207およびモーター駆動回路208,209,210は、ASIC201に接続されている。
【0068】
ROM203は、CPU206によるプリンター1の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納される。RAM202は、CPU206の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。ASIC201は、記録ヘッド23のノズル駆動制御を行うための制御回路と、給送モーター211、搬送モーター212、キャリッジモーター213の速度制御を行うための制御回路とを有する。
【0069】
ASIC201は、記録ヘッド23の制御信号をヘッド駆動回路207に送出し、給送モーター211、搬送モーター212、キャリッジモーター213の制御信号をモーター駆動回路208,209,210にそれぞれ送出する。さらに、ASIC201は、インターフェイス216を介してパーソナルコンピューター220との送受信を行う。CPU206は、プリンター1の記録制御を実行するための演算処理やその他必要な演算処理を行う。不揮発性メモリー204には、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等が記憶されている。
【0070】
図1の操作パネル5には、液晶などで構成される表示部214が備えられ、CPU206は、ASIC201を介して表示部214にメッセージを表示させる。また、操作パネル5には、使用者によって操作される操作ボタン(不図示)などの操作部215が備えられる。
【0071】
CPU206は、ASIC201を介して、検出部60における、発光部60aおよび受光部60bの発光および受光のタイミングを制御する。検出部60は、発光部60aから照射された光が、反射部51,52,53によって反射された反射光を受光部60bによって電流値として検出する。受光部60bによって検出された電流値は、受光部60bによって受光された受光量に対応する。
【0072】
ここで、検出部60を用いて、反射部51,52,53を識別する方法について説明する。反射部51,52,53は、表面が反射率の異なる部材から形成されたものである。そのため、発光部60aから発光され、反射部51,52,53によって反射されて受光部60bが検出する電流値は、反射部51,52,53によって異なる。
【0073】
図7は、反射部51,52,53を識別するための電流値の範囲R1,R2,R3を示すグラフである。縦軸の電流値a0,a1,a2,a3は、横軸の反射部51,52,53を識別するための閾値である。本実施形態の反射部51,52,53は、反射部51、反射部52、反射部53の順に反射率が高い。
【0074】
CPU206は、受光部60bによって検出した電流値が、閾値a0から閾値a1の範囲R1にあるときは、反射部51からの反射光であると判定する。受光部60bによって検出した電流値が、閾値a1から閾値a2の範囲R2にあるときは、反射部52からの反射光であると判定する。同様に、受光部60bによって検出した電流値が、閾値a2から閾値a3の範囲R3にあるときは、反射部53からの反射光であると判定する。このような方法により、CPU206は、発光部60aから発光された光を反射させた対象物としての反射部51,52,53を識別する。
【0075】
次に、検出部60を用いて、上段トレイ40が退避位置にあるか否かを判定する方法について説明する。図8(a)、(b)は、幅方向Xから見た図で、媒体収容部100が装置本体2に装着された状態において、検出部60によって上段トレイの位置を判定する方法を説明するための模式図である。
【0076】
前述したように、上段トレイ40は、下段トレイ30に対して奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられ、上段トレイ40には、反射部53が設けられ、下段トレイ30には、反射部51,52が設けられる。一点鎖線は、検出部60の奥行き方向Yにおける検出位置Jを示す。
【0077】
図8(a)は、上段トレイ40が退避位置にある状態を示す。検出部60(図4参照)は、検出位置Jにおいて、反射部53に発光部60aから光を照射し、反射部53からの反射光を受光部60bによって受光可能な位置にある。
【0078】
図6のCPU206は、検出部60によって検出した電流値から、反射した対象物が反射部53であるか否かを識別する。CPU206は、反射した対象物が反射部53であるとして識別したときは、上段トレイ40が退避位置にあると判定する。
【0079】
CPU206は、図8(a)の上段トレイ40が退避位置にあるとして判定すると、図3に示すように、ローラー支持部材11を回動させることにより、上段トレイ40の上方に退避していた給送ローラー9を下段トレイ30に載置された用紙P1に当接させる。これにより、回転する給送ローラー9によって用紙P1が給送される。
【0080】
図8(b)は、上段トレイ40が給送位置にある状態を示す。上段トレイ40が給送位置にあるときは、反射部53は検出位置Jにない。図6のCPU206は、検出部60によって検出した電流値から、反射部53による反射光を受光していないとして判定する。従って、CPU206は、反射部53が検出位置Jにはなく、上段トレイ40が給送位置にあると判定する。
【0081】
CPU206は、図8(b)の上段トレイ40が給送位置にあるとして判定すると、図2に示すように、ローラー支持部材11を回動させることにより、上段トレイ40の上方に退避していた給送ローラー9を上段トレイ40に載置された用紙P2に当接させる。これにより、回転する給送ローラー9によって用紙P2が給送される。
【0082】
次に、検出部60を用いて、媒体収容部100が、装置本体2に装着されたか、装置本体2から離脱されたかを検出する方法について説明する。図9(a)、(b)は、幅方向Xから見た図で、上段トレイ40が退避位置にある状態において、媒体収容部100の移動方向を判定する方法を説明するための模式図である。
【0083】
図9(a)は、装置本体2に対して媒体収容部100が離脱状態から装着状態に移行する様子を示す。破線で示した離脱状態にある媒体収容部100は、装着状態に移行するため移動方向D1(背面側)に移動する。実線で示した媒体収容部100は、反射部51,52が、検出位置Jを通過した後の状態を示す。
【0084】
図6のCPU206は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52が検出位置Jを通過した順番を検出する。図9(a)の媒体収容部100が移動方向D1に移動するとき、CPU206は、反射部52を先に検出し、次に反射部51を検出する。そこで、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D1に移動したとして判定する。すなわちCPU206は、媒体収容部100が離脱状態から装着状態に移行したとして判定する。
【0085】
図9(b)は、装置本体2に対して媒体収容部100が装着状態から離脱状態に移行する様子を示す。破線で示した装着状態にある媒体収容部100は、離脱状態に移行するため移動方向D2(正面側)に移動する。実線で示した媒体収容部100は、反射部51,52が、検出位置Jを通過した後の状態を示す。
【0086】
図6のCPU206は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52が検出位置Jを通過した順番を検出する。図9(b)の媒体収容部100が移動方向D2に移動するとき、CPU206は、反射部51を先に検出し、次に反射部52を検出する。そこで、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D2に移動したとして判定する。すなわちCPU206は、媒体収容部100が装着状態から離脱状態に移行したとして判定する。
【0087】
図10(a)、(b)は、幅方向Xから見た図で、上段トレイ40が給送位置にある状態において、媒体収容部100の移動方向を判定する方法を説明するための模式図である。図9(a)、(b)を参照し、上段トレイ40が退避位置にある状態で、媒体収容部100が着脱される際に、CPU206が、媒体収容部100の移動方向を判定する様子を説明したが、次に、図10(a)、(b)を参照し、上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100が着脱される際に、CPU206が、媒体収容部100の移動方向を判定する様子を説明する。
【0088】
図10(a)は、装置本体2に対して媒体収容部100が離脱状態から装着状態に移行する様子を示す。破線で示した離脱状態にある媒体収容部100は、装着状態に移行するため移動方向D3(背面側)に移動する。実線で示した媒体収容部100は、反射部51,52が、検出位置Jを通過した後の状態を示す。
【0089】
図6のCPU206は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52が検出位置Jを通過した順番を検出する。図10(a)の媒体収容部100が移動方向D3に移動するとき、CPU206は、反射部52を先に検出し、次に反射部51を検出する。そこで、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D3に移動したとして判定する。すなわちCPU206は、媒体収容部100が離脱状態から装着状態に移行したとして判定する。
【0090】
図10(b)は、装置本体2に対して媒体収容部100が装着状態から離脱状態に移行する様子を示す。破線で示した装着状態にある媒体収容部100は、離脱状態に移行するため移動方向D4(正面側)に移動する。実線で示した媒体収容部100は、反射部51,52が、検出位置Jを通過した後の状態を示す。
【0091】
図6のCPU206は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52が検出位置Jを通過した順番を検出する。図10(b)の媒体収容部100が移動方向D4に移動するとき、CPU206は、反射部51を先に検出し、次に反射部52を検出する。そこで、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D4に移動したとして判定する。すなわちCPU206は、媒体収容部100が装着状態から離脱状態に移行したとして判定する。
【0092】
図9(a)、(b)、図10(a)、(b)に示した二点鎖線の横線は、高さ方向Zにおいて検出部60の発光部60aから照射された光が受光部60bによって受光可能な検出位置Kを示す。反射部51,52,53は、高さ方向Zにおいて受光部60bによって受光可能な検出位置Kにあり、幅方向Xから見ると、反射部51,52,53は、奥行き方向Yに並んだ位置に配置されている。
【0093】
これにより、検出部60は、奥行き方向Yにスライド移動する上段トレイ40に設けられた反射部53による反射光を受光可能であるとともに、媒体収容部100が奥行き方向Yに移動して装置本体2に着脱される際に、下段トレイ30に設けられた反射部51,52による反射光を受光することができる。
【0094】
検出部60によって検出された受光量によって、装置本体2に対する媒体収容部100の移動方向と、上段トレイ40の位置を検出する方法について具体的に説明する。
【0095】
図11(a)は、図9(a)の上段トレイ40が退避位置にある状態で、媒体収容部100を離脱状態から装着状態に移行させたときの、検出部60によって検出された電流値のタイムチャートである。媒体収容部100が移動方向D1に移動しながら離脱状態から装着状態に移行されるとき、図11(a)に示すように、電流値i0〜i6の順に電流値が検出される。初めに検出された電流値i0は、図4の壁部33bにおける反射部52より背面側の部分33b1からの反射光を受光したときの電流値である。
【0096】
CPU206は、図11(a)の電流値i1が図7の範囲R2にあることから、反射部52による反射光を受光したと判定する。同様に、CPU206は、電流値i3が範囲R1にあることから、反射部51による反射光を受光したと判定する。CPU206は、反射部52、51の順に検出したと判定する。従って、CPU206は、図9(a)の媒体収容部100が移動方向D1に移動し、離脱状態から装着状態に移行されたと判定する。
【0097】
電流値i2は、図4の壁部33bにおける反射部51と反射部52との間の部分33b2からの反射光を受光したときの電流値であり、電流値i4は、壁部33bにおける反射部51より切り欠き部38側の部分33b3からの反射光を受光したときの電流値である。電流値i5は、上段トレイ40の側面45からの反射光を受光したときの電流値である。
【0098】
そして、CPU206は、電流値i6が範囲R3にあることから、反射部53による反射光を受光したと判定する。これにより、CPU206は、上段トレイ40が退避位置にあるとして判定する(図8(a)参照)。
【0099】
図11(b)は、図9(b)の上段トレイ40が退避位置にある状態で、媒体収容部100を装着状態から離脱状態に移行させたときの、検出部60によって検出された電流値のタイムチャートである。媒体収容部100が移動方向D2に移動しながら装着状態から離脱状態に移行されるとき、図11(b)に示すように、電流値i10〜i16の順に電流値が検出される。初めに検出された電流値i10は、媒体収容部100が装着された状態において、上段トレイ40が退避位置にあって、反射部53からの反射光を受光したときの電流値である。
【0100】
CPU206は、電流値i13が図7の範囲R1にあることから、反射部51による反射光を受光したと判定する。同様に、CPU206は、電流値i15が範囲R2にあることから、反射部52による反射光を受光したと判定する。CPU206は、反射部51、52の順に検出したと判定する。従って、CPU206は、図9(b)の媒体収容部100が移動方向D2に移動し、装着状態から離脱状態に移行されたと判定する。
【0101】
電流値i11は、図4の上段トレイ40の側面45からの反射光を受光したときの電流値である。電流値i12は、壁部33bにおける反射部51より切り欠き部38側の部分33b3からの反射光を受光したときの電流値であり、電流値i14は、壁部33bにおける反射部51と反射部52との間の部分33b2からの反射光を受光したときの電流値であり、電流値i16は、壁部33bにおける反射部52より背面側の部分33b1からの反射光を受光したときの電流値である。
【0102】
以上、図9(a)、(b)の上段トレイ40が退避位置にある状態で、媒体収容部100の移動方向を判定する方法について説明したが、次に、図10(a)、(b)の上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100の移動方向を判定する方法について説明する。図12(a)は、図10(a)の上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100を離脱状態から装着状態に移行させたときの、検出部60によって検出された電流値のタイムチャートである。
【0103】
図10(a)の上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100が離脱状態から装着状態に移行されるとき、図12(a)に示すように、電流値i0〜i4の順に電流値が検出される。
【0104】
CPU206は、電流値i1が図7の範囲R2にあり、電流値i3が範囲R1にあることから、反射部52、51の順に検出したと判定する。従って、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D3に移動し、離脱状態から装着状態に移行されたと判定する。
【0105】
電流値i0、i2、i4は、図4の壁部33bにおける、反射部52より背面側の部分33b1、反射部51と反射部52の間の部分33b2、反射部51より切り欠き部38側の部分33b3からの反射光をそれぞれ受光したときの電流値である。
【0106】
図9(a)の上段トレイ40が退避位置にある状態は、図11(a)に示したように、側面45による反射光による電流値i5、反射部53からの反射光による電流値i6を検出したが、図10(a)の上段トレイ40が給送位置にある状態では、上段トレイ40が壁部33bによって遮蔽される位置にあって切り欠き部38の位置にはないので、検出部60は、図12(a)の破線で示した、電流値i5、電流値i6を検出しない。
【0107】
図12(b)は、図10(b)の上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100を装着状態から離脱状態に移行させたときの、検出部60によって検出された電流値のタイムチャートである。上段トレイ40が給送位置にある状態で、媒体収容部100が装着状態から離脱状態に移行されるとき、図12(b)に示すように、電流値i12〜i16の順に電流値が検出される。
【0108】
上段トレイ40が給送位置にある状態で媒体収容部100が装置本体2に対して装着されているとき、図8(b)に示すように、下段トレイ30の切り欠き部38が検出位置Jにあって、上段トレイ40は、壁部33bによって遮蔽される位置にある。
【0109】
このため、図9(b)の上段トレイ40が退避位置にある状態では、図11(b)に示したように、反射部53からの反射光による電流値i10、側面45による反射光による電流値i11を検出したが、図10(b)の上段トレイ40が給送位置にある状態では、検出部60は、図12(b)の破線で示した、電流値i10、電流値i11を検出しない。
【0110】
CPU206は、電流値i13が図7の範囲R1にあり、電流値i15が範囲R2にあることから、反射部51、52の順に検出したと判定する。従って、CPU206は、媒体収容部100が移動方向D4に移動し、装着状態から離脱状態に移行されたと判定する。
【0111】
電流値i12、i14、i16は、図4の壁部33bにおける、反射部51より切り欠き部38側の部分33b3、反射部51と反射部52の間の部分33b2、反射部52より背面側の部分33b1からの反射光をそれぞれ受光したときの電流値である。
【0112】
本実施形態における記録部は、記録ヘッド23、記録ヘッド23を備えて往復移動するキャリッジ22、用紙P1,P2を搬送する、搬送駆動ローラー19、搬送従動ローラー20を含んで構成される。
【0113】
以上、本実施形態で説明したプリンター1は、第1の被記録媒体としての用紙P1、第2の被記録媒体としての用紙P2に記録する記録部と、用紙P1を載置し、図4の奥行き方向Y(第1の方向)に並ぶ、第1の被検出部としての反射部51および第2の被検出部としての反射部52を有し、装置本体2に対して第1の方向である奥行き方向Yの移動により着脱可能な第1トレイとしての下段トレイ30と、用紙P2を載置し、第3の被検出部としての反射部53を有し、下段トレイ30に支持されて下段トレイ30に対して奥行き方向Yに移動可能な第2トレイとしての上段トレイ40と、装置本体2に固定され、反射部51,52,53を検出する検出部60と、検出部60の検出結果に基づいて、反射部51,52,53を識別する図6の制御部200と、を備える。
【0114】
そして、奥行き方向Yと交わる幅方向X(第2の方向)から見た、上段トレイ40における反射部53は、反射部51,52とともに奥行き方向Y(第1の方向)に並ぶ位置に設けられる。
【0115】
これにより、下段トレイ30が着脱される際や、上段トレイ40が下段トレイ30に対してスライド移動する際に、反射部51,52,53は、検出部60によって検出可能な検出位置Kにある。
【0116】
制御部200は、反射部51、反射部52の検出順による、下段トレイ30の着脱時における装置本体2に対する移動方向D1〜D4の判定と、反射部53の検出結果の有無による、上段トレイ40が所定の位置としての退避位置に有るか否かの判定と、を行う。
【0117】
これにより、検出部60を用いて、下段トレイ30が、離脱状態から装着状態に移行したか、あるいは装着状態から離脱状態に移行したかの移行状態の検出と、上段トレイ40が退避位置に有るか否かの位置検出と、を行うことができる。従って、下段トレイ30の移行状態の検出と、上段トレイ40の位置検出とを目的として個別に検出部を設けなくてもよいので、プリンターの大型化を抑制できる。
【0118】
また、奥行き方向Yにおける装置本体2の外側から内側に向かって装着された下段トレイ30において、反射部51,52の位置は、検出部60の検出位置Jより、内側にある。
【0119】
これにより、下段トレイ30が離脱状態から装着状態に移行する際、または下段トレイ30が装着状態から離脱状態に移行する際に、反射部51,52は、検出部60によって検出される検出位置Jを通過する。これにより、検出部60によって反射部51,52を検出できる。
【0120】
また、反射部51,52,53は、反射率が異なる表面を有し、検出部60は、反射部51,52,53のそれぞれの表面によって反射された反射光を受光量として検出し、制御部200は、検出部60が検出した受光量によって、反射部51,52,53を識別する。これにより、検出部60によって、反射部51,52,53を識別することができる。
【0121】
また、下段トレイ30の幅方向Xの検出部60側の端部には、壁部33bが設けられ、壁部33bには、上段トレイ40が退避位置にあるとき、反射部53が露出する露出部としての切り欠き部38が設けられる。
【0122】
これにより、下段トレイ30の壁部33bによって遮蔽されることなく、切り欠き部38を通して、上段トレイ40の検出部60側から上段トレイ40に設けられた反射部53を検出することができる。
【0123】
また、検出部60は、幅方向Xにおける媒体収容部100の外側に設けられる。これにより、装置本体2における高さ方向Zの長さを短くできる。
【0124】
(実施形態2)
実施形態1の下段トレイ30には、露出部として切り欠き部38が設けられたが、実施形態2では、露出部として貫通孔を設けた下段トレイについて説明する。図13は、本実施形態における媒体収容部110の斜視図である。
【0125】
媒体収容部110は、下段トレイ70と上段トレイ40とから構成される。下段トレイ70の奥行き方向Yの背面側に壁部73が設けられ、壁部73には、分離斜面71が設けられる。実施形態1では、装置本体2の背面側に分離斜面16が形成された分離部2cを設けたが、本実施形態では、分離部2cを装置本体2に備えずに、下段トレイ70の壁部73に設けられた分離斜面71によって、用紙(不図示)が分離される。
【0126】
媒体収容部110の上段トレイ40の構成は、実施形態1で説明した構成と同じである。本実施形態では、上段トレイ40の一対のストッパー42は、上段トレイ40が給送位置にあるとき、すなわち上段トレイ40が下段トレイ70において背面側の位置にあるとき、壁部73に形成された一対の切り欠き部72にそれぞれ侵入する。
【0127】
下段トレイ70には、載置面76の幅方向Xの両端部に、奥行き方向Yに延びて立設する壁部74a,74bが設けられる。上段トレイ40は、壁部74a,74bの内側にそれぞれ設けられて奥行き方向Yに延びるガイド部34a,34bに支持されて、奥行き方向Yにスライド移動する。
【0128】
幅方向Xの一方の端部に設けられた壁部74bには、露出部としての貫通孔75が形成される。上段トレイ40が図13に示す退避位置にあるとき、上段トレイ40の側面45に設けられた反射部53が貫通孔75を通して露出する。
【0129】
図6の制御部200は、検出部60を用いて発光部60aから照射された光の反射部53による反射光を受光部60bによって受光した受光量に応じた電流値によって、反射部53を識別する。
【0130】
下段トレイ70の壁部74bにおける貫通孔75の背面側には、反射部51,52が奥行き方向Yに並んで設けられる。反射部51,52の高さ方向Zにおける位置は、反射部53と同じ位置に配置される。
【0131】
実施形態1で説明したように、図6の制御部200は、検出部60を用いて、反射部51,52,53を識別する。制御部200は、反射部53を検出したか否かによって、上段トレイ40が退避位置に有るか否かを判定する。また、制御部200は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52の検出順によって、下段トレイ70が装着または離脱するときの、奥行き方向Yにおける移動方向を判定する。
【0132】
このような構成により、検出部60を用いて、下段トレイ70が、離脱状態から装着状態に移行したか、あるいは装着状態から離脱状態に移行したかの移行状態の検出と、上段トレイ40が退避位置に有るか否かの位置検出と、を行うことができる。従って、下段トレイ70の移行状態の検出と、上段トレイ40の位置検出とを目的として個別に検出部を設けなくてもよいので、プリンターの大型化を抑制できる。本実施形態のプリンターにおけるその他の構成は、実施形態1で説明したプリンター1の構成と同じである。
【0133】
(実施形態3)
実施形態1,2では、検出部60を幅方向Xにおける媒体収容部100,110の外側に備え、幅方向Xから照射された光の反射光を検出したが、実施形態3では、検出部60を高さ方向Zにおける媒体収容部の外側に備え、高さ方向Zから照射された光の反射光を検出するプリンターについて説明する。
【0134】
図14は、本実施形態における媒体収容部120の斜視図である。媒体収容部120は、下段トレイ70aと上段トレイ40aとから構成される。下段トレイ70aには、壁部74aの上部から内側に突出する壁部77が設けられる。
【0135】
壁部77と上段トレイ40aの上面46との間には、隙間が設けられ、上段トレイ40aは、壁部74a,74bの内側に設けられたガイド部34a,34bに支持されて、奥行き方向Yにスライド移動する。
【0136】
壁部77には、奥行き方向Yに並ぶ反射部51,52が設けられる。上段トレイ40aの上面46における正面側の幅方向Xにおける壁部74a側には、反射部53が設けられる。反射部51,52,53の幅方向Xにおける位置は同じである。すなわち、高さ方向Zから見た、上段トレイ40aにおける反射部53は、反射部51,52とともに奥行き方向Yに並ぶ位置に設けられる。
【0137】
上段トレイ40aが図14の退避位置にあるとき、反射部53は、壁部77と、下段トレイ70aの正面側の壁部78との間から露出する。
【0138】
図6の制御部200は、検出部60を用いて、反射部51,52,53を識別する。制御部200は、反射部53を検出したか否かによって、上段トレイ40aが退避位置に有るか否かを判定する。また、制御部200は、検出部60を用いて、反射部51,52を識別し、反射部51,52の検出順によって、下段トレイ70aが装着または離脱するときの、奥行き方向Yにおける移動方向を判定する。
【0139】
このような構成により、検出部60を用いて、下段トレイ70aが、離脱状態から装着状態に移行したか、あるいは装着状態から離脱状態に移行したかの移行状態の検出と、上段トレイ40aが退避位置に有るか否かの位置検出と、を行うことができる。従って、下段トレイ70aの移行状態の検出と、上段トレイ40aの位置検出とを目的として個別に検出部を設けなくてもよいので、プリンターの大型化を抑制できる。
【0140】
また、本実施形態の検出部60は、高さ方向Zにおける媒体収容部120の外側に設けられる。これにより、装置本体2の幅方向Xの長さを短くできる。本実施形態のプリンターにおけるその他の構成は、実施形態1で説明したプリンター1の構成と同じである。
【0141】
(実施形態4)
実施形態1〜3における検出部60は、光学式のセンサーを用いたが、実施形態4では、レバーを備えて被検出部の幅方向の位置を検出するプリンターについて説明する。図15は、本実施形態における媒体収容部130の斜視図である。媒体収容部130は、下段トレイ30aと上段トレイ40bとから構成される。
【0142】
壁部33bの幅方向Xの外側の側面33cには、側面33cから突出する突出部81,82が段差部として設けられる。壁部33bには、貫通孔90が形成される。貫通孔90の奥行き方向Yにおける両側には、側面33cに対して傾斜する斜面90a,90bが形成される。貫通孔90において、壁部33bの外側の開口部は、壁部33bの内側の開口部より大きい。
【0143】
図15の上段トレイ40bは、上段トレイ40bに載置された用紙(不図示)が給送される給送位置にある。上段トレイ40bが給送位置にあるとき、上段トレイ40bの側面45に形成された段差部としての突出部83が貫通孔90を通して露出する。
【0144】
装置本体2における下段トレイ30aの幅方向Xの外側には、検出部140が固定される。検出部140は、本体部142に備えられ、回動軸143を支点として方向D3,D4に回動するレバー141を有する。レバー141の先端部には、ローラー144が設けられる。
【0145】
レバー141には、方向D3に回動する方向に付勢力が常時作用している。そのため、媒体収容部130が奥行き方向Yに移動して、装置本体2に対して着脱される際に、ローラー144は、下段トレイ30aの壁部33bの側面33cを押圧しながら回転する。
【0146】
下段トレイ30aの奥行き方向Yのスライド移動に伴って、ローラー144は、側面33c、突出部81,82と摺動する。
【0147】
上段トレイ40bが給送位置にあるとき、突出部83は、貫通孔90を通して露出する位置にある。これにより、上段トレイ40bが給送位置にあるとき、ローラー144は、突出部83に当接する。
【0148】
貫通孔90の奥行き方向Yの両側に斜面90a,90bが形成されていることにより、レバー141のローラー144が貫通孔90の角部を摺動する際の衝撃を小さくし、検出部140が損傷されることを抑制する。
【0149】
突出部81の側面33cからの高さL1は、突出部82の側面33cからの高さL2より低く形成されている。突出部83の幅方向Xの端部は、側面33cより内側に位置する。そのため、突出部81,82,83の幅方向Xにおける端部の位置が異なる。
【0150】
従って、下段トレイ30aの奥行き方向Yのスライド移動に伴って、ローラー144が、突出部81,82,83と当接する状態におけるレバー141の回動角度の位置が異なる。検出部140は、ローラー144が、突出部81,82,83と当接する状態におけるレバー141の回動角度を検出することができる。図6の制御部200は、検出部140が検出した回動角度によって、突出部81,82,83を識別する。
【0151】
以上、本実施形態で説明した媒体収容部130の下段トレイ30a、上段トレイ40bには、下段トレイ30aの側面33cから突出した形状の、第1の被検出部としての突出部81、第2の被検出部としての突出部82を有し、上段トレイ40bの側面45から突出した第3の被検出部としての突出部83を有する。検出部140は、レバー141を備え、レバー141の回動位置によって、突出部81,82,83の幅方向Xにおける端部の位置を検出する。
【0152】
図6の制御部200は、検出部140を用いて、突出部81,82,83を識別する。制御部200は、突出部83を検出したか否かによって、上段トレイ40bが所定の位置としての給送位置に有るか否かを判定する。また、制御部200は、検出部140を用いて、突出部81,82を識別し、突出部81,82の検出順によって、下段トレイ30aが装着または離脱するときの、奥行き方向Yにおける移動方向を判定する。本実施形態のプリンターにおけるその他の構成は、実施形態1で説明したプリンター1の構成と同じである。
【0153】
本実施形態では、突出部81,82,83の幅方向Xの端部の位置を検出するためにレバー141を含んで構成される検出部140を備えたが、突出部81,82,83を押圧する状態で幅方向Xにスライド移動するスライド部材を設け、スライド部材の幅方向Xの位置を検出することによって、突出部81,82,83の幅方向Xの端部の位置を検出してもよい。
【0154】
また、レーザー光線を突出部81,82,83に向かって照射した反射光から突出部81,82,83の幅方向Xの端部の位置までの距離を測定し、突出部81,82,83の幅方向Xの端部の位置を検出してもよい。
【0155】
(実施形態5)
実施形態4では、段差部としての突出部81,82,83が設けられたが、実施形態5では、段差部としての凹部が設けられた媒体収容部について説明する。図16は、本実施形態における媒体収容部130aの斜視図である。
【0156】
下段トレイ30bの側面33cには、側面33cから窪む凹部521,522が段差部として設けられる。上段トレイ40cは、上段トレイ40cに載置された用紙(不図示)が給送される給送位置にある。上段トレイ40cが給送位置にあるとき、上段トレイ40cの側面45に形成された段差部としての凹部523が貫通孔90を通して露出する。媒体収容部130aのその他の構成は、実施形態4で説明した媒体収容部130の構成と同じである。
【0157】
媒体収容部130aが奥行き方向Yに移動して、装置本体2に対して着脱される際に、ローラー144は、下段トレイ30bの壁部33bの側面33cを押圧しながら回転する。下段トレイ30bの奥行き方向Yのスライド移動に伴って、ローラー144は、側面33c、凹部521,522と摺動する。上段トレイ40cが給送位置にあるとき、ローラー144の外周面は、貫通孔90を通り、凹部523に当接する。
【0158】
検出部140は、レバー141の回動位置によって、凹部521,522,523の幅方向Xにおける底部の位置を検出する。そして、図6の制御部200は、検出部140が検出した底部の位置によって、第1の被検出部としての凹部521、第2の被検出部としての凹部522、第3の被検出部としての凹部523を識別する。
【0159】
制御部200は、凹部523を検出したか否かによって、上段トレイ40cが所定の位置としての給送位置に有るか否かを判定する。また、制御部200は、検出部140を用いて、凹部521,522を識別し、凹部521,522の検出順によって、下段トレイ30bが装着または離脱するときの、奥行き方向Yにおける移動方向を判定する。本実施形態のプリンターにおけるその他の構成は、実施形態1で説明したプリンター1の構成と同じである。
【0160】
(実施形態6)
実施形態6では、上段トレイに設けられた反射部を遮蔽する壁部が、下段トレイに設けられていない媒体収容部を備えたプリンターについて説明する。
【0161】
図17は、本実施形態における媒体収容部150の斜視図である。媒体収容部150は、下段トレイ160と上段トレイ40とから構成される。下段トレイ160には、奥行き方向Yに延びて載置面162から立設するガイド部161a,161bが設けられる。上段トレイ40は、ガイド部161a,161bに支持されて奥行き方向Yにスライド移動する。
【0162】
媒体収容部150が装置本体2に装着された状態で、下段トレイ160の先端に設けられたストッパー35が、図2の分離斜面16より背面側に位置し、下段トレイ160に収容された用紙(不図示)の先端が分離斜面16と当接可能な状態となる。上段トレイ40が給送位置に設定された状態では、上段トレイ40の背面側先端に設けられたストッパー42が、分離斜面16より背面側に位置し、上段トレイ40に収容された用紙(不図示)の先端が分離斜面16と当接可能な状態となる。
【0163】
下段トレイ160の載置面162には用紙の幅方向Xの端部の位置を規制するエッジガイド31が幅方向Xにスライド移動可能に備えられ、上段トレイ40の載置面44には用紙の幅方向Xの端部の位置を規制するエッジガイド41が幅方向Xにスライド移動可能に備えられる。
【0164】
下段トレイ160の検出部60側の上面163には、上段トレイ40の外側の位置に立設部171,172が設けられる。立設部171,172の検出部60側の面171a,172aには、複数の突起部が網目状に形成されており、立設部171,172の網目状の模様が異なる。そのため、立設部171,172の面171a,172aによる反射光の反射率は異なる。また、面171a,172aの反射率は、上段トレイ40の側面に貼られたシール状の部材からなる反射部53の反射率とも異なる。
【0165】
図6の制御部200は、検出部60が検出した受光量によって、面171a,172a、反射部53を識別する。制御部200は、反射部53を検出したか否かによって、上段トレイ40が退避位置に有るか否かを判定する。また、制御部200は、検出部60を用いて、面171a,172aを識別し、面171a,172aの検出順によって、下段トレイ160が装着または離脱するときの、奥行き方向Yにおける移動方向を判定する。本実施形態のプリンターにおけるその他の構成は、実施形態1で説明したプリンター1の構成と同じである。
【0166】
図18(a)は、壁部505に反射率の異なる壁面506を設けた部分を示す図である。媒体収容部500における上段トレイ501は、下段トレイ504に対して奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられる。
【0167】
図18(a)に示すように、壁部505に反射率の異なる壁面506を形成してもよい。表面加工の違いにより、壁面506が形成されていない壁部505の面と壁面506とは、反射率が異なる。例えば、壁面506には、所謂シボ加工によって表面に微細な凹凸模様が形成され、壁面506は、壁面506が形成されていない壁部505の面より反射率が低い。
【0168】
上段トレイ501の側面502には、壁面506、壁面506が形成されていない壁部505の面と反射率が異なるシール状部材503が接合される。シール状部材503は、上段トレイ501が退避位置にあるとき、切り欠き部507から露出する。
【0169】
検出部60は、壁面506、壁面506が形成されていない壁部505の面、シール状部材503に対して照射した光の反射光の受光量を検出し、図6の制御部200は、検出された受光量によって壁面506、壁面506が形成されていない壁部505の面、シール状部材503を識別する。
【0170】
図18(b)に示すように、奥行き方向Yの長さが異なる、第1、第2、第3の被検出部511,512,513を設けてもよい。媒体収容部510における上段トレイ516は、下段トレイ515に対して奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられる。
【0171】
下段トレイ515の壁部514には、シール状部材から構成された、第1の被検出部511、第2の被検出部512が貼られている。また、上段トレイ516の側面517には、シール状部材から構成された第3の被検出部513が貼られている。第3の被検出部513は、上段トレイ516が図18(b)の退避位置にあるとき、壁部514に形成された切り欠き部519から露出する。
【0172】
奥行き方向Yにおいて、第1の被検出部511の長さL3、第2の被検出部512の長さL4、第3の被検出部513の長さL5は、第1の被検出部511、第2の被検出部512、第3の被検出部513の順に長い。
【0173】
第1の被検出部511、第2の被検出部512、第3の被検出部513には、奥行き方向Yの間隔が同じであって、高さ方向Zに延びるストライプがそれぞれ形成されている。ストライプを構成する線の本数は、第1の被検出部511、第2の被検出部512、第3の被検出部513の順に多い。
【0174】
光学式の検出部518は、第1の被検出部511、第2の被検出部512、第3の被検出部513のストライプの本数を検出し、図6の制御部200は、検出されたストライプの本数によって第1の被検出部511、第2の被検出部512、第3の被検出部513を識別する。
【0175】
このような方法により、検出部518は、第1の被検出部511、第2の被検出部512および第3の被検出部513のそれぞれの奥行き方向Yの長さL3,L4,L5を検出し、制御部200は、検出部518が検出した奥行き方向Yの長さによって、第1の被検出部511、第2の被検出部512および第3の被検出部513を識別する。
【0176】
実施形態1〜実施形態6では、上段トレイの下段トレイに対するスライド移動は、手動で行われたが、モーターの駆動力によってスライド移動する上段トレイを備えたプリンターに本発明を適用してもよい。図19は、モーター(不図示)の駆動力によってスライド移動する上段トレイ300の斜視図である。
【0177】
上段トレイ300の載置面304には、用紙の幅方向Xの端部の位置を規制する一対のエッジガイド302、用紙の奥行き方向Yの正面側の端部の位置を規制するエッジガイド303がスライド移動可能に備えられる。
【0178】
上段トレイ300には、給送位置に設定された状態で、図2の分離斜面16より背面側に位置する一対のストッパー301、用紙の給送時に、積載された用紙全体が下流側に給送されることを抑制するための摩擦部材305が設けられる。
【0179】
上段トレイ300の幅方向Xにおける一方の壁部306の上部には、ラックギア307が奥行き方向Yに延設される。上段トレイ300は、下側から支持する下段トレイ(不図示)に対してスライド移動可能に備えられる。
【0180】
装置本体(不図示)には、ラックギア307と噛合するピニオンギア(不図示)と、ピニオンギアを回転させるモーターが備えられ、モーターの回転駆動によって、上段トレイ300は、下段トレイに対して奥行き方向Yに移動可能である。
【0181】
また、排紙受けトレイが備えられた媒体収容部に、本発明を適用してもよい。図20は、排紙受けトレイ323が備えられた媒体収容部320の斜視図である。上段トレイ322は、下段トレイ321に支持されて奥行き方向Yにスライド移動する。
【0182】
上段トレイ322には、用紙の端部の位置を規制するエッジガイド325が備えられ、下段トレイ321には、用紙の端部の位置を規制するエッジガイド331が備えられる。図20の上段トレイ322が給送位置にあるとき、上段トレイ322の先端部に設けられた一対のストッパー327は、下段トレイの背面側の壁部328に形成された一対の切り欠き部326にそれぞれ侵入する。
【0183】
壁部328には、用紙を分離させるための分離斜面330が形成され、上段トレイ322の載置面324には、用紙の給送時に、積載された用紙全体が下流側に給送されることを抑制するための摩擦部材329が設けられる。排紙受けトレイ323は、回動軸332を支点として回動し、下段トレイ321の正面側の上方を開閉する。
【0184】
用紙を反転させる為の経路は、実施形態1で説明した形態のほか、図21に示す様に支持部材411の下側を通って再び各トレイからの給送経路に合流させる形態も採用可能である。媒体収容部401は、用紙P1を載置する下段トレイ402と、用紙P2を載置する上段トレイ403とから構成され、媒体収容部401は、装置本体419に対して着脱可能に備えられる。
【0185】
下段トレイ402の背面側の上方には、回動軸406を支点として揺動する揺動部材404に支持された給送ローラー405が備えられる。上段トレイ403は、装置本体419の奥行き方向Yにスライド移動可能に備えられ、用紙P2が給送ローラー405に当接して給送される給送位置と、用紙P2が給送ローラー405から退避して、下段トレイ402に載置された用紙P1に給送ローラー405が当接する退避位置とに設定可能である。
【0186】
下段トレイ402に載置された用紙P1、または上段トレイ403に載置された用紙P2は、給送ローラー405によって給送され、用紙P1,P2は、分離斜面407に沿って下流側に給送される。
【0187】
搬送駆動ローラー408と搬送従動ローラー409とに挟持されて、用紙P1,P2は、幅方向Xに往復移動するキャリッジ412の下部に備えられた記録ヘッド410の下方を支持部材411の上面に沿って下流側に搬送される。
【0188】
搬送される用紙P1,P2に記録ヘッド410からインクが噴射されて画像が記録され、第1排出駆動ローラー414と第1排出従動ローラー413とに挟持されて排出され、排紙受けトレイ418に載置される。
【0189】
用紙P1,P2の両面印刷が行われる際、一方の面に記録が行われるときは、経路切り換え部材415は支持部材411の下側を通る経路を閉じる姿勢をとっている。一方の面に記録ヘッド410によって記録された用紙P1,P2の後端が経路切り換え部材415の位置を通過した後、第2排出駆動ローラー417は逆転駆動され、用紙P1,P2をバックフィードさせる(背面側に搬送する)。その際、経路切り換え部材415は、図21に示すように、支持部材411の下側を通る経路を開放する姿勢をとる。
【0190】
これにより、用紙P1,P2の後端は下側経路へと入り込む。破線で示すように、一方の面に記録の行われた用紙が反転させられ、他方の面を上にした状態で再び記録ヘッド410と対向する位置に搬送され、記録ヘッド410によって他方の面に記録される。
【符号の説明】
【0191】
1…プリンター、2,419…装置本体、23,410…記録ヘッド、30,30a,30b,70,70a,160,321,402,504,515…下段トレイ、33b,74b…壁部、38…切り欠き部、40,40a,40b,40c,300,322,403,501,516…上段トレイ、51,52,53…反射部、60,140,518…検出部、60a…発光部、60b…受光部、81,82,83…突出部、90…貫通孔、100,110,120,130,130a,150,320,401,500,510…媒体収容部、141…レバー、200…制御部、521,522,523…凹部、D1,D2…移動方向、P1,P2…用紙、X…幅方向、Y…奥行き方向、Z…高さ方向。
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