(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異常診断機能が何らかの原因で正常に機能しない場合にはセンサ等の異常を適切に判断できないため、当該装置の機能を車載状態のまま外部からチェック可能にしており、センサ等の複数機器に対する各異常診断の実施状態を記憶手段に記憶するようにしている。
【0006】
例えば、OBDII規定では、異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下異常診断検査項目と称す)の成立を示すレディネス(readiness)情報を記憶手段に保持させるように規定している。例えば、このレディネスは、全ての異常診断検査項目で成立した場合に、製造工場から出荷可能、修理工場にて修理完了等と見做される。
【0007】
このレディネスは、規定上、外部のスキャンツールにより全クリア可能になっており記憶手段から抹消できる。しかし逆に、このレディネスは、全ての判定対象項目/検査対象項目が成立しないと全て完了とならない。この判定対象項目/検査対象項目は、条件成立の容易性、判定時間がそれぞれ異なり、一度クリアされた場合には再び完了させることが容易ではないものも存在する。例えば多大な時間を要する場合もある。したがって、製造工場出荷プロセス又は車両ディーラーによる修理環境下など、外部のスキャンツールの操作等によりレディネスの全クリア要求を受付けたときには適切な処理を行うことが望まれる。
【0008】
本発明の目的は、レディネスの全クリア要求に対し適切な処理を行うことができる電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、第1記憶手段は、車両を異常診断する異常診断手段による異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下、異常診断項目と称す)の完了を示すレディネスを記憶する。クリア手段は、第1記憶手段に記憶されたレディネスの全クリア要求を受付けると当該全クリア要求とは異なる所定の条件を満たしたことを条件としてレディネスをクリアする。請求項1記載の発明によれば、レディネスを全クリアするために他の所定の条件を満たす必要がありレディネスを全クリアしにくくなる。
しかも、クリア手段は、前記所定の条件を満たさないときには、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアするため、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目のレディネスを残留させることができ、この異常診断項目を再度正常に成立させるための時間などの制約を必要としなくなる。
【0010】
また例えば、請求項2記載の発明では、レディネスの全クリア要求を受付する前に当該レディネスの全クリア要求が所定回数以上受付けられていることを条件としているため、意図的にユーザがレディネスを全て消去したいか否かを確認することができ、レディネスを全クリアしにくくなる。
【0011】
また例えば、請求項3記載の発明では、パーマネントダイアグ情報の読出要求が受付けられている必要がある。パーマネントダイアグ情報は不揮発的に第2記憶手段に記憶されるものであり、ユーザがこのパーマネントダイアグ情報を読出したいときには、消去しづらい情報を意図的に読出したいものと判定でき、この後、レディネスが全クリア要求されていることからユーザが意図的にクリアしたいものであると判断できる。したがって、この条件を満たしたときにはユーザが意図的に全クリアしたいものと判断できる。
【0012】
また例えば、請求項4記載の発明によれば、レディネスの全クリア要求の受付後の第1所定時間中にレディネスの読出要求を受付けないことを条件としているため、レディネスの読出を不要としていると判断でき、外部ユーザは意図的にクリアしたい意思表示を示したと判断できる。
【0013】
また例えば、請求項5記載の発明によれば、レディネスのクリア要求の受付後の第2所定時間中にレディネスの読出要求以外の要求を受付けることを条件としてクリア処理するため、レディネスの読出を不要としていると判定でき、ユーザが意図的にレディネスを意図的に全てクリアしたいものと判断できる。このようにして、電子制御装置は全クリア要求を受付けたときに適切な処理を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、電子制御装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示す通信システム1は、車両に搭載された複数の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit、以下、ECUと略す)2〜4を備え、当該複数のECU2〜4が車両ネットワークによる通信線5を通じて双方向通信可能に接続されている。通信線5には、車外からスキャンツール6を接続可能にするテストポート(DLC:Data Link Connector)7が設けられている。
【0016】
スキャンツール6は、例えば液晶ディスプレー8、複数のボタン9、ケーブル10、コネクタ11などを備えており、例えば車両製造業者又はディーラーなどに所属する作業者がコネクタ11を通信線5のテストポート7に接続することで使用される。複数のボタン9は、例えば全消去ボタン、一部消去ボタン及び確定ボタンなどのボタンである。
【0017】
ECU2は、スキャンツール6から通信線5を通じて入力されるコマンドに従って、異常診断に関連する情報等をスキャンツール6に応答する。例えば、スキャンツール6は、ECU2に記録されたダイアグ情報(ダイアグコード:DTC)の読み出し、消去、車両内の警告灯の消灯制御、車台番号(VIN:Vehicle Identification Number)の読み出し、警告灯(MIL:Malfunction Indicator Light)の状況を表示することができる。
【0018】
ECU2は、クリア手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)12、通信インタフェース13、及び、不揮発性記憶手段としてのEEPROM14を備える。このマイコン12は、CPU16と、ROM17、RAM18及びバックアップRAMとしてのSRAM15などのメモリとを備え、メモリに記憶されるプログラムをCPU16が実行することに応じて各種の機能を実現する。なお、RAM18には、CPU16がプログラムを実行する際の作業領域が確保されている。
【0019】
SRAM15は、イグニッションスイッチ19のオンオフ状態に影響されることなく、バッテリ20から常時電力供給されており、当該バッテリ20から電源が供給されている間、書き込まれたデータを常時記憶保持する揮発性メモリである。SRAM15には、異常に関連する情報を記憶するための領域が確保されている。このSRAM15には、レディネスを記憶するレディネス記憶領域(第1記憶手段相当)21と、履歴情報記憶領域22と、異常を診断したときのデータなどのダイアグ情報(DTC)を記憶する異常関連情報記憶領域23と、を備えている。
【0020】
レディネス記憶領域21は、ECU2が実行可能な異常診断処理の種類毎に異常診断の実行の有無(完了又は未完了)、及び、異常診断処理の正常又は異常を示すレディネスフラグが記憶される。
【0021】
例えば、OBDII規定では、常時監視対象、定期監視対象の異常診断判定項目/異常診断検査項目(以下、異常診断項目)が予め定められている。常時監視対象の項目としては、ミスファイア、フューエルシステム、排ガス制御系(A/Fセンサ)、などが挙げられ、定期監視対象の項目としては、排ガス再循環システム、O
2センサ及びそのヒータ、触媒装置、燃料蒸発ガス排出抑制装置(エバポシステム)、二次空気供給装置、エアコンディショニングシステム、などが挙げられる。マイコン12のCPU16は、これらの各構成要素の異常診断を行い当該異常診断が完了したときに、レディネスを正常又は異常としてSRAM15のレディネス記憶領域21に記憶させる。
【0022】
履歴情報記憶領域22は、これらの異常診断処理の実行時の異常診断履歴を記憶する領域であり、レディネス記憶領域21に対応した異常診断処理の種類毎にそれぞれ異常診断履歴(正常履歴/異常履歴)を記憶する領域として設けられる。異常関連情報記憶領域23は、レディネスに対応して異常診断の実行結果を示すデータとして異常診断関連情報を記憶保持する領域として設けられる。この異常診断関連情報は、例えば、異常有/異常無/異常有無不明を表す情報を含み、リセットされていれば異常有無不明として設定される。EEPROM14は、ダイアグ情報(DTC)の中でも不揮発的に記憶すべき情報としてパーマネントダイアグ情報(PDTC)を記憶するためのPDTC記憶領域(第2記憶手段相当)24を備えた不揮発性記憶メモリである。
【0023】
マイコン12のCPU16は、車両ユーザなどによりイグニッションスイッチ19がオンにされ車両が起動すると、メモリに記憶されたプログラムを実行することで所定の車両制御を実行し、また並行して車両制御に関する異常診断を行う異常診断手段として動作する。異常診断処理の実行時期は、異常診断の種類ごとに異なるものの、マイコン12のCPU16は、イグニッションスイッチ19がオンされて車両が起動した直後に各種センサの出力信号に基づいて異常診断処理したり、車両の走行時に車両制御の実行結果に基づいて異常診断したりすることもある。また、マイコン12のCPU16は、イグニッションスイッチ19が一旦オフされて再度オンされることで所謂ドライビングサイクルが変化しても、前回の車両状態(各種センサの出力信号)を予めSRAM15に記憶しておき、今回の車両状態(各種センサの出力信号)と照合することで異常診断処理することもある。すなわち、多数の異常診断項目の中でも、比較的短時間で検出しやすい項目と長時間かけなければ検出し難い項目とが存在する。
【0024】
マイコン12のCPU16は、各種の異常診断項目の実行毎に対応する診断実行有無を示すレディネスフラグをSRAM15にセットし、異常診断完了したことを示す情報を記憶させる。そして、マイコン12のCPU16は、SRAM15内の異常関連情報記憶領域23の記憶内容を当該異常診断結果に従った内容に更新する。また、マイコン12は、異常を生じた場合には例えば警告表示ランプを点灯させることで車両乗員に報知する。
【0025】
また、ユーザによりスキャンツール6が通信線5に接続されると外部要求受付処理を実行する。すなわち、マイコン12は、通信インタフェース13を通じて外部から何らかの要求を受付けるまで待機し、要求信号を受け付けると、これに応じた処理を実行する。
【0026】
スキャンツール6は、SRAM15に記憶されるレディネスフラグの全クリア要求をECU2に出力可能になっている。この全クリア要求は、スキャンツール6のユーザ操作に応じてマイコン12に向けて出力されるコマンドであり、ユーザによるスキャンツール6の例えば1回のボタン操作により1回のクリア要求がなされるものとなっている。
【0027】
以下、本実施形態に係る作用について説明する。
図2にレディネスの全クリア要求を受付けたときのマイコン12の処理内容を概略的に示している。通常、マイコン12は、異常診断処理を行うと、異常診断項目に対応してレディネスの完了をレディネスフラグとしてSRAM15に記憶させる。
【0028】
ユーザ操作に応じて、スキャンツール6が全クリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12は、レディネスの全クリア要求を受付ける。マイコン12が、レディネスの全クリア要求を受付けたときには(S1:YES)、この全クリア要求をステップS1以前に第1所定回数以上だけ受付けたか否かを判定する(S2)。このステップS2では、例えば、ユーザによりスキャンツール6から全クリア要求を示すコマンドが入力(例えば、全消去ボタン9が押下)されていたかを判定する。マイコン12は、全クリア要求の受付回数をRAM18などのメモリに記憶し、この受付回数が所定回数以上となっている場合に、全てのレディネスをクリアする(S3)。この場合、マイコン12は、ユーザが意図的に全てのレディネスの情報を消去したいと判断して全クリア要求を承認し、全てのレディネスを消去する。
【0029】
また、マイコン12は、ステップS1のクリア要求を受付する以前に所定回数未満しか全クリア要求を受付けていなかったときには(S2:NO)、たとえステップS1において全クリア要求を受付けたとしても、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアする(S4)。
【0030】
マイコン12が、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアすることにより、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目のレディネスを残留させることができ、この異常診断項目を再度正常に成立させるための時間などの制約を必要としなくなる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、マイコン12は、レディネス記憶領域21に記憶されたレディネスの全クリア要求を受付けると、当該全クリア要求とは異なる所定の条件を満たしたことを条件としてレディネスをクリアする。したがって、レディネスを全クリアするためには、他の所定の条件を満たす必要がありレディネスをクリアしにくくなる。
【0032】
このとき、例えば、マイコン12はレディネスの全クリア要求の受付処理以前に当該レディネスの全クリア要求を所定回数以上受付けていることを全クリア処理実行条件としているため、ユーザが意図的にレディネスを全て消去したいか否かを確認することができ、レディネスを全クリアしにくくなる。このようにして、ECU2はクリア要求を受付けたときに適切な処理を行うことができる。
【0033】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態の追加説明図を示す。第2実施形態が第1実施形態と異なるところは、
図2のステップS2に代えて
図3のステップS2aを設けており、パーマネントダイアグ(PDTC)情報の読出要求が受付けられていることを条件としてレディネスを全てクリアするところにある。
【0034】
すなわち、ユーザ操作に応じて、スキャンツール6が全クリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12は全クリア要求を受付ける。マイコン12が全クリア要求を受付けると(S1:YES)、ステップS1の処理以前の所定時間前までにPDTC情報の読出要求を受付けたか否かを判定し(S2a)、この判定結果を満たしたことを条件として(S2a:YES)、全クリア要求を承認して全てのレディネスを消去し(S3)、PDTC情報の読出要求を受付けていないときには(S2a:NO)、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアする(S4)。
【0035】
前述したように、EEPROM14にはダイアグ情報の中でも恒久的に記憶すべき情報としてPDTC情報が記憶されている。マイコン12は、ステップS2aのPDTC情報の読出要求について、ステップS1を処理する前の所定時間内に受付けていれば、ユーザが意図的に重要度の高い操作をステップS1の直前にしていることを確認できる。このため、このステップS1の全クリア要求を承認し、全てのレディネスを消去する。
【0036】
また、マイコン12はステップS1の全クリア要求を受付する以前に所定回数未満しか全クリア要求を受付けていなかったときには(S2:NO)、たとえステップS1において全クリア要求を受付けたとしても、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアする(S4)。
【0037】
マイコン12は、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアすることにより、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目のレディネスを残留させることができ、この異常診断項目を再度正常に成立させるための時間等を必要としなくなる。
【0038】
マイコン12は、ユーザ操作に応じてPDTC情報を読出したいときには、消去しづらい情報を意図的に読出したいものと判断し、この後、レディネスが全クリア要求されていることから、ユーザが意図的にレディネスを全クリアしたいものと判断する。したがって、この条件を満たしたときには、意図的にレディネスを全クリアしたいという意思表示を確認できる。第2実施形態によっても前述実施形態と同一又は類似の効果を奏するものとなり、ECU2はクリア要求を受付けたときに適切な処理を行うことができる。
【0039】
(第3実施形態)
図4及び
図5は第3実施形態の追加説明図を示す。第3実施形態が第1又は第2実施形態と異なるところは、レディネスの全クリア要求の受付後の第1所定時間中に当該レディネスの読出要求を受付けないことを条件としてレディネスを全てクリアするところにある。
【0040】
すなわち、ユーザ操作に応じて、スキャンツール6が全クリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12は全クリア要求を受付ける(T1)。マイコン12が全クリア要求を受付けると(T1:YES)、まずタイマを起動する(T2)。これは、クリア要求受付後の所定時間内のユーザ操作が、どのような操作となるかを確認するために行われる時間計測処理である。そして、マイコン12は、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアする(T3)。このタイミングでは、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目の情報を残している。そしてマイコン12は、
図5に示すレディネスの全クリア判定処理を実行する(U1〜U4)。
【0041】
マイコン12は、ステップU1において第1所定時間経過したか否かを判定し(U1)、第1所定時間経過したことを条件として全てのレディネスをクリアする(U2)。第1所定時間は例えば5[sec]程度の時間に設定される。逆に、マイコン12はレディネスの読出要求を受付けたときには(U3:YES)、タイマを停止し(U3)、ステップT3で消去した項目以外の異常診断項目の情報を残したまま、全クリア判定処理を終了する(U4)。
【0042】
本実施形態によれば、マイコン12はステップU3でYESと判定したときには、ユーザが意図的に消去したくないという意思表示を示したと判断する。この結果、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目の情報が残留することになり、この異常診断項目を再度正常に成立させるための時間などの制約を必要としなくなる。
【0043】
また、レディネスの全クリア要求の受付後の第1所定時間中にレディネスの読出要求を受付けないことを全クリア条件としているため、レディネスの読出を不要としていると判断でき、この結果、マイコン12は、ユーザが意図的にクリアしたいという意思表示を示したと判断できる。この第3実施形態によっても前述実施形態と同一又は類似の効果を奏する。このようにして、ECU2はクリア要求を受付けたときに適切な処理を行うことができる。
【0044】
(第4実施形態)
図6は第4実施形態の追加説明図を示す。この第4実施形態が、第3実施形態と異なるところは、レディネスの全クリア要求の受付後の第2所定時間中にレディネスの読出要求以外の要求を受付けることを条件としてレディネスを全てクリアするところにある。
【0045】
本実施形態では、第3実施形態で説明した
図4に示す処理は同一である。すなわち
図4に示すように、ユーザ操作に応じて、スキャンツール6が全クリア要求をECU2に出力すると、ECU2のマイコン12は全クリア要求を受付ける(T1)。マイコン12が全クリア要求を受付けると(T1:YES)、まずタイマを起動する(T2)。そして、マイコン12は、正常のレディネスが記憶されている項目以外の異常診断項目の情報をクリアする(T3)。このタイミングでは正常のレディネスの異常診断項目の情報を残している。そしてマイコン12は、
図6に示すレディネスの全クリア判定処理を実行する(U1a〜U4)。
【0046】
マイコン12は、ステップU1aにおいて第2所定時間経過したか否かを判定し(U1a)、第2所定時間経過したことを条件として全クリア判定処理を終了する。第2所定時間は第3実施形態の第1所定時間と同一(例えば5[sec])であっても異なる時間であっても良い。マイコン12は、ステップU1aにおいてYESと判定したときには、ユーザが意図的に消去したくないという意思表示をしたと判断する。この結果、正常のレディネスが記憶されている異常診断項目の情報が残留することになる。
【0047】
またマイコン12は、外部のスキャンツール6からレディネスの読出要求以外の何らかの要求を受付けたか否かを判定する(U5)。マイコン12は、この何らかの要求を受付けたことを条件として、タイマを停止し(U4)、全てのレディネスをクリアする(U5)。この何らかの要求としては、例えば、エンジンの回転数情報、車速情報、バッテリ電圧(VB)情報などの車両状態の情報などを要求する場合である。
【0048】
すなわち、本実施形態に係る処理は、ユーザが意図的に消去したいときにレディネスの読出操作以外の操作に移ることを想定しており、マイコン12は、例えばユーザが読出操作以外の操作を行うことで当該操作に伴う要求を受付けたときには、ユーザが意図的に消去したいという意思表示を示したと判断する。この結果、全てのレディネスがクリア処理される(U6)ことになる。
【0049】
本実施形態によれば、マイコン12は、レディネスのクリア要求の受付後の第2所定時間中にレディネスの読出要求以外の要求を受付けることを条件として全クリア処理するため、レディネスの読出を不要としていると判定でき、ユーザが意図的にレディネスを全クリアしたいと判断できる。この第4実施形態においても前述実施形態と同一又は類似の効果を奏する。このようにして、ECU2はクリア要求を受付けたときに適切な処理を行うことができる。
【0050】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
スキャンツール6はボタン9の一回の操作に応じて一回の要求を送信する形態を示したがこれに限定されるものではなく一回の操作に応じて複数回の要求を送信する形態に適用しても良い。逆に2回以上の操作に応じて一回の要求を送信する形態に適用しても良い。
第2実施形態において、PDTC情報の読出要求の受付条件は、ステップS1の処理以前の所定時間前までの条件としているが所定時間前までの条件に限られない。
各種情報(例えばレディネス、履歴情報、異常関連情報等)がバックアップRAMとしてのSRAM15に記憶される形態を示したが、記憶媒体はこれに限られるものではなく、これらの少なくとも一部の情報を例えば不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に記憶させるようにしても良い。