(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モード制御手段は、前記複数のかごのそれぞれの運行状況に基づいて、前記複数のかごの輸送能力を超える可能性があると判断した場合、前記行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替える、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のエレベータ群管理システム。
前記モード制御手段は、前記複数のかごのそれぞれの運行状況に基づいて、現在から所定時間前までの乗場呼びの平均発生間隔が規定時間以上であると判断した場合、上下方向登録モードから前記行先階登録モードに切り替える、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のエレベータ群管理システム。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
案内された割当号機のかごに乗車できない状況が生じた場合、利用者が乗場でどのような行動を取るのか不明な状態にある。状況によっては、利用者が混乱することで乗場が無秩序な状態となる可能性もある。
【0006】
一方、乗場において、上下方向の乗場呼びの入力を受け付ける登録システムでは、エレベータシステムの輸送能力を超える利用者が発生した場合には、乗場において利用者自ら列を作って規則正しく乗車する行動を取ることが、これまでの現場事例等から判明している。
【0007】
本発明の目的は、乗場の混雑状況に応じて、行先階登録と上下方向の乗場呼びを切り替えることができるエレベータ群管理システム及び乗場呼びの登録モード切替制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るエレベータ群管理システムは、
複数のかごからなる一のかご群を運行管理するエレベータ群管理システムであって、
乗場において行先階乗場呼びの入力を受け付ける行先階乗場呼び登録手段と、
乗場において上下乗場呼びの入力を受け付ける上下乗場呼び登録手段と、
前記かごの運行状況に基づいて、乗場呼びの登録モードを行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定するモード制御手段と、
前記登録モードが前記行先階登録モード時には、前記行先階乗場呼びを前記複数のかごの何れかに割り当てし、前記登録モードが前記上下方向登録モード時には、前記上下乗場呼びを前記複数のかごの何れかに割り当てる乗場呼び割当制御手段と、
前記割り当てられた乗場呼びに基づいて前記複数のかごの運行を制御する運行制御手段と、
を具える。
【0009】
乗場に配置され、操作画像を表示画面に表示する操作用表示手段と、
前記行先階登録モード時には、行先階乗場呼びの入力用の操作画像を前記操作用表示手段に表示させ、前記上下方向登録モード時には、上下乗場呼びの入力用の操作画像を前記操作用表示手段に表示させる操作用表示制御手段と、
前記表示画面上に配置され、前記操作画像に対するタッチ操作による乗場呼びの入力を受け付けるタッチパネル操作手段と、を具え、
前記行先階乗場呼び登録手段及び上下乗場呼び登録手段は、前記タッチパネル操作手段としてもよい。
【0010】
前記複数のかごのそれぞれに対応付けられて乗場に配置され、対応するかごに関する情報を表示する複数のかご情報表示手段と、
前記行先階登録モード中、前記複数のかご情報表示手段のそれぞれに、対応するかごに割り当てられた行先階情報を表示させ、前記上下方向登録モード中、前記複数のかご情報表示手段のそれぞれに、対応するかごの運行方向情報を表示させるかご情報表示制御手段と、を具えるようにしてもよい。
【0011】
前記乗場呼び割当制御手段は、前記行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替えられた場合、既にかごに割り当てられた行先階乗場呼びを、上下乗場呼びに変更して前記複数のかごへの割当変更を行なうようにしてもよい。
【0012】
前記乗場に配置され、前記乗場の行先階乗場呼び登録手段が受け付けた行先階乗場呼びが前記割当変更された場合、前記割当制御手段から前記割当変更されたかごの情報を受信して、前記かごの案内を出力する案内手段を、具えるようにしてもよい。
【0013】
前記モード制御手段は、前記複数のかごのそれぞれの運行状況に基づいて、前記複数のかごの輸送能力を超える可能性があると判断した場合、前記行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替えるようにしてもよい。
【0014】
前記モード制御手段は、前記複数のかごのそれぞれの運行状況に基づいて、現在から所定時間前までの乗場呼びの平均発生間隔が規定時間以上であると判断した場合、上下方向登録モードから前記行先階登録モードに切り替えるようにしてもよい。
【0015】
前記モード制御手段は、乗場毎に前記登録モードの設定を記憶管理するようにしてもよい。
【0016】
本発明に係る乗場呼びの登録モード切替制御方法は、
複数のかごからなるかご群を運行管理するエレベータ群管理システムの乗場呼びの登録モード切替制御方法であって、
乗場において行先階乗場呼びの入力を受け付ける行先階乗場呼び登録受付ステップ、
乗場において上下乗場呼びの入力を受け付ける上下乗場呼び登録受付ステップ、
前記かごの運行状況に基づいて、乗場呼びの登録モードを行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定するモード制御ステップ、
前記登録モードが前記行先階登録モード時には、前記行先階乗場呼びを前記複数のかごの何れかに割り当てし、前記登録モードが前記上下方向登録モード時には、前記上下乗場呼びを前記複数のかごの何れかに割り当てる割当制御ステップ、
前記割り当てられた乗場呼びに基づいて前記複数のかごの運行を制御する運行制御ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、かごの運行状況に基づいて、乗場呼びの登録モードを行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定することができる。そして、行先階登録モードで運行中に、乗場への利用者の増加により、エレベータシステムの輸送能力を超えるような場合には、乗場で乗車待ちの利用者が規則正しく乗車する傾向にある上下方向登録モードに切り替えることで、乗場における混乱の発生を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照して本発明の一実施形態に係るエレベータ群管理システム1(群管理システム)及び群管理システム1の乗場呼びの登録モード制御方法について説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの乗場の外観図である。群管理システム1は、利用者を所望する行先階に案内するべく複数のエレベータ(かご6:
図2参照)を一のかご群として運行管理する。本実施形態の群管理システム1では、6基のエレベータ(かご6)を一つのかご群として運行管理する。各階床の乗場には、A〜Fの号機名が付された6台のかご6のドア61周囲に液晶インジケータ320、タッチパネルディスプレイ23等が設けられている。なお、
図1では、A号機及びB号機のかご6のドア61周囲のみを図示している。もちろん、エレベータの台数は6台に限られない。
【0021】
液晶インジケータ320は、かご6の設置台数分あり、各号機のかご61のドア61上方にそれぞれ配置されている。各液晶インジケータ320は、対応付けられたかご6の情報(号機名及び停止階(行先階)など)を表示する。タッチパネルディスプレイ23は、かご6とかご6との間などに4台が配置され、操作画像等を表示して乗場呼びのタッチ操作入力を受け付ける。
【0022】
また、本実施形態の群管理システム1は、乗場呼びの登録モードが、かご6の運行状況に応じて行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定される。行先階登録モードでは、乗場において行先階乗場呼びの入力(登録)が受け付けられる。また、上下方向登録モードでは、乗場において目的方向(上昇方向、降下方向)の乗場呼び(上下乗場呼び)の入力が受け付けられる。また、登録モードの種類に応じて、液晶ディスプレイ23でも、行先階乗場呼びの入力用の操作画像、及び、上下乗場呼びの入力用の操作画像が表示される。詳細は後述する。
【0023】
図2は、本発明の実施形態の群管理システム1の機能ブロック図である。群管理システム1は、有線接続された乗場呼び登録装置2、かご情報表示装置3、群管理制御装置4、かご制御装置5、かご6等を具えている。なお、乗場呼び登録装置2、かご情報表示装置3については、1の乗場についてのみ図示し、その他は同様の構成であるので省略する。なお、これらは、CPU、メモリやバッファ、これらに記録された各種プログラム等によって実現されるが、
図2では、これらの連繋によって実現される代表的な機能に関する機能ブロックのうち、本発明に関連する機能ブロックのみを描いている。これら機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウエアのみ又はこれらの組合せによって実現可能であることは当然理解されるべきである。
【0024】
乗場呼び登録装置2は、各階床の乗場に複数台(例えば4台)が設けられ、登録モードに応じた乗場呼びの入力を受け付ける。乗場呼び登録装置2は、操作用表示制御手段22、通信手段21、タッチパネルディスプレイ23等を具えている。
【0025】
操作用表示制御手段22は、装置全体の動作を制御する。具体的には、行先階登録モード時、行先階乗場呼びの入力用の操作画像をタッチパネルディスプレイ23(操作用表示手段24)に表示させ、上下方向登録モード時、上下乗場呼びの入力用の操作画像をタッチパネルディスプレイ23に表示させる。登録モードの情報は、群管理制御装置4(モード制御手段42)から送信される。
【0026】
また、操作用表示制御手段22は、タッチパネルディスプレイ23(タッチパネル操作手段25)で受け付けられた乗場呼び情報を、装置識別IDとともに群管理制御装置4(乗場呼び割当制御手段43)に送信する。装置識別IDは、各装置に付与された固有の識別情報であり、例えばMACアドレスである。なお、各装置間の通信は装置識別IDを用いて行なうことができる。また、操作用表示手段23に表示させる画像データは記憶部(図示せず)に記憶されている。
【0027】
通信手段21は、群管理制御装置4とのデータ通信を制御する。タッチパネルディスプレイ23は、操作用表示手段24、及びタッチパネル操作手段25等を具え、乗場呼びの入力を受け付ける。操作用表示手段24は、液晶ディスプレイ等で構成される。タッチパネル操作手段25は、タッチパネル等で構成され、操作用表示手段24の表示画面上に配置される。タッチパネル操作手段25は、上述したように利用者のタッチ操作入力を受け付け、行先階乗場呼び登録手段及び上下乗場呼び登録手段として機能する。また、タッチパネル操作手段25は、検出したタッチ操作(接触位置)の信号を操作用表示制御手段22に送信する。操作用表示制御手段22は、受信した信号に基づいてタッチ操作内容を特定する。
【0028】
かご情報表示装置3は、各階床の乗場において各かご6のそれぞれに対応付けて配置される。すなわち、かご6の設置台数だけ配置される。かご情報表示装置3は、上述したように液晶インジケータ320でかご6に関する情報を表示する。かご情報表示装置3は、通信手段31、かご情報表示手段32等を具えている。通信手段31は、群管理制御装置4とのデータ通信を制御する。かご情報表示手段32は、液晶ディスプレイである液晶インジケータ320等で構成され、群管理制御装置4(かご情報表示制御手段45)から受信した画像情報に基づいて、対応するかご6に関する情報を表示する。具体的には、行先階登録モード中、対応するかご6に割り当てられた行先階情報を表示し、上下方向登録モード中、対応するかご6の運行方向情報をホールランタンのように表示する。
【0029】
群管理制御装置4は、エレベータのシャフト上部の機械室などに設けられ、かご6の運行を統括的に管理する。群管理制御装置4は、運行制御手段40、通信手段41、モード制御手段42、乗場呼び割当制御手段43、割当情報記憶部44、かご情報表示制御手段45等を具えている。
【0030】
運行制御手段40は、図示では1つであるが、かご6の設置台数(6台)だけ設けられ、各かご6のそれぞれに対応付けられている。運行制御手段40は、乗場呼び割当制御手段43から受信した割当情報などに基づいてモータ等の駆動手段を駆動し、対応するかご6を昇降させる。
【0031】
通信手段41は、乗場呼び登録装置2、かご情報表示装置3、かご制御装置5とのデータ通信を制御する。モード制御手段42は、モード切替条件に基づいて、登録モードを行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定する。モード制御手段42は、運行制御手段40やかご制御装置5から受信したかご6の運行状況に基づいて乗場毎にモード切替条件の成立の判定を行なう。
【0032】
行先階登録モードから上下方向登録モードへのモード切替条件は、新規の行先階乗場呼びが発生した場合、この行先階乗場呼びの複数のかご6の何れかへの割り当てによって、この乗場呼びの階床でかご6に積み残し又は満員通過が発生する可能性があることである。すなわち、エレベータシステムの輸送能力を超える利用者が発生すると予測した場合に上下方向登録モードに切り替えられる。なお、登録モードは、乗場(階床)毎に判断される。
【0033】
より具体的には、積み残しや満員通過の発生可能性は、乗場における行先階登録数や割当状態、カメラ等による乗場の画像判断、かご6の下部に設けられた荷重センサ(図示せず)等によって計測された各かご6内の荷重から判断することができる。なお、上下方向登録モードから行先階登録モードへのモード切替条件は、現在から所定時間前(例えば5分前)までの上下乗場呼びの平均発生間隔が規定時間(例えば20秒)以上であり(第一条件)、且つ、現在、乗場に上下方向乗場呼びの割り当てがないこと(第二条件)とすることができる。
【0034】
また、モード制御手段42は、各乗場の登録モードの設定内容をメモリで記憶管理し、登録モードの情報を乗場呼び登録装置2、乗場呼び割当制御手段43、かご情報表示制御手段45等に送信する。
【0035】
乗場呼び割当制御手段43は、現在の各かご6の運行状況(運行方向等)及び登録モード等に基づいて、受信した未割当の乗場呼びを複数のかご6の何れかに割り当てる。具体的には、行先階登録モード中、未割当の行先階乗場呼びのあった乗場(階床)及び行先階を停止階として複数のかご6の何れかに割り当てる。また、割り当てたかご6の運行制御手段40に割当情報(停止階情報)を送信する。さらに、この行先階乗場呼びの入力を受け付けた乗場呼び登録装置2に、割り当てたかご6の号機名(A号機〜F号機)の情報を送信する。
【0036】
また、上下方向登録モード中、未割当の上下乗場呼びのあった階床を停止階として複数のかご6の何れかに割り当てる。また、割り当てたかご6の運行制御手段40に割当情報(停止階情報)を送信する。
【0037】
さらに、乗場呼び割当制御手段43は、既に割り当てた行先階乗場呼び(既割当行先階乗場呼び)及び上下乗場呼び(既割当上下乗場呼び)のそれぞれを、割り当てたかご6に対応付けて割当情報記憶部44で記憶管理する。
図3は、割当情報記憶部44に記憶されている既割当行先階乗場呼びリスト80の一例である。
図3は、A号機のかご6の既割当行先階乗場呼びリスト80を示す。リスト80には、かご6に既に割り当てられている行先階乗場呼びの階床、行先階の情報が登録されている。
図3に示すリスト80には、4つの行先階乗場呼びが登録されている。新規の行先階乗場呼びは、割り当てられた際に該当するかご6(号機)のリスト80に追加され、かご6がこの乗場呼びのあった乗場(階床)に到着した際に削除される。
【0038】
乗場呼び割当制御手段43は、ある乗場において、行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替わった際、上記リスト80を参照して、上記乗場の既割当行先階乗場呼びの全てを上下乗場呼びに割当変更する。
【0039】
例えば、1階の乗場が上下方向登録モードに切り替わった場合、
図3に示すリスト80中おける行先階乗場呼び(階床:1、行先階:10)が割当変更の対象となる。まず、A号機の運行制御手段40に割当キャンセル情報(停止階:1、10)を送信する。キャンセル情報には、キャンセルする停止階の情報が含まれる。次に、この行先階乗場呼び(階床:1、行先階:10)を上下乗場呼びに変更する。この乗場呼びの階床は1階で行先階は10階であるので、上下乗場呼び(階床:1、目的方向:上)に変更される。また、他のかご6(B号機〜F号機)のリスト80のそれぞれにおいても上述と同様に行なう。その後、変更した全ての上下乗場呼びを1つのかご6に割り当てる。1つのかご6の選択は、例えば、最先にこの乗場に到着するかご6である。
【0040】
なお、キャンセル情報の停止階が、キャンセルしない他の乗場呼びの停止階に重複している場合、その停止階の情報はキャンセル情報に含められない。例えば、
図3のリスト80の行先階乗場呼び(階床:2、行先階:5)を上下乗場呼びに割当変更する場合、キャンセル情報の停止階は2階と5階になるが、キャンセルしない他の行先階乗場呼び(階床:5、行先階:15)で5階が停止階になっているので、キャンセル情報の停止階は2階としてA号機の運行制御手段40に送信される。
【0041】
かご情報表示制御手段45は、登録モード及び既割当行先階乗場呼びリスト80等に基づいて各かご情報表示手段32に画像情報を送信する。上述したように、行先階登録モード中、対応するかご6に割り当てられた行先階情報を表示する画像情報を送信し、上下方向登録モード中、対応するかご6の運行方向情報をホールランタンのように表示するための画像情報を送信する。なお、画像情報は、画像情報記憶部(図示せず)に予め記憶されている。
【0042】
また、かご情報表示制御手段45は、上述の割当変更が行なわれた際にキャンセルされた行先階乗場呼びの情報を乗場呼び割当制御手段43から受信して、割当変更されたかご6を案内するための画像情報を、キャンセルされた行先階乗場呼びの階床のかご情報表示手段32に送信する。上記キャンセルされた行先階乗場呼びの情報には、キャンセルされた行先階乗場呼びの階床、割り当てられていたかご6の号機名、割当変更されたかご6の号機名が含まれる。詳細は後述する。
【0043】
かご制御装置5は、各かご6に設けられ、群管理制御装置4、特に対応する運行制御手段40からの情報に基づいて、ドア61の開閉、照明やエアコンの調整等を行なう。
【0044】
上記した実施形態では、
図2に示すような組み合わせでユニット(装置)として説明しているが、群管理システム1として構成されていれば特にこれに限定されるものではない。例えば、群管理制御装置4が操作用表示制御手段22を含む構成としてもよい。
【0045】
次に、乗場呼び登録装置2のタッチパネルディスプレイ23に表示される操作画像について
図4を参照しつつ説明する。
図4(a)は、本発明の実施形態のタッチパネルディスプレイ23に表示された行先階登録モード時の表示画像の一例を示す図である。
図4(b)は、上下方向登録モード時の表示画像の一例を示す図である。タッチパネルディスプレイ23は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、登録モードによって表示内容が変更される。
【0046】
行先階登録モード時、タッチパネルディスプレイ23には、割当号機名90の画像、及び、操作ボタン(テンキー)91の操作画像が表示される。割当号機名90は、行先階乗場呼びが入力された後、割り当てられたかご6の号機名である。操作ボタン91は、行先階(行先階乗場呼び)を入力するためのアイコン画像である。利用者は、所望する行先階に該当する数字の操作ボタン91(アイコン画像部分)をタッチ操作することで行先階乗場呼びの入力が受け付けられる。
【0047】
また、上下方向登録モード時、タッチパネルディスプレイ23には、上下方向ボタン92の操作画像が表示される。上下方向ボタン92は、目的方向(上下乗場呼び)を入力するためのアイコン画像である。利用者は、所望する方向に該当する上下方向ボタン92(アイコン画像部分)をタッチ操作することで上下乗場呼びの入力が受け付けられる。
【0048】
次に、液晶インジケータ320に表示される操作画像について
図5を参照しつつ説明する。
図5(a)は、液晶インジケータ320に表示された行先階登録モード時の表示画像の一例を示す図である。
図5(b)、
図5(c)は、行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替わって上述の割当変更を行なった場合の表示画像の一例を示す図である。
図5(d)は、上下方向登録モード時の表示画像の一例を示す図である。
【0049】
行先階登録モード時、液晶インジケータ320には、対応するかご6の号機名95の画像、及び、割り当てられた行先階(停止階)96の画像が表示される。すなわち、行先階インジケータとして機能する。
【0050】
また、行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替わって上述の割当変更が行なわれた場合、
図5(b)、
図5(c)に示すように、割当変更された号機名を案内する画像が表示される。例えば、
図5(a)で表示されている3つの割当行先階(行先階乗場呼び)がある状態で、上下方向登録モードに切り替わった場合、これら3つの行先階乗場呼びは上下乗場呼びに割当変更される。そして、割当変更された上下乗場呼びが割り当てられた新たな号機名が案内される。例えば、新たな号機が同一(B号機)であった場合、
図5(b)に示すように、現在の場所で待機する案内97のメッセージ画像が表示される。一方、新たな号機が別の号機(C号機)であった場合、
図5(c)に示すように、割り当てられた号機名の場所を表示する案内98のメッセージ画像が表示される。
【0051】
そして、
図5(b)、
図5(c)に示すような表示が一定期間行なわれた後、
図5(d)に示すようにかご6の運行方向を示すホールランタン99を模した画像が表示される。液晶インジケータ320の上半分が上昇方向を示す領域となり、下半分が下降方向を示す領域となる。液晶インジケータ320に対応するかご6の到着が近づいたとき、
図5(d)に示すようにかご6の運行方向(上)側となる液晶インジケータ320の上半分の色が変化する。その後、かご6が到着したときには運行方向側が点滅表示される。また、登録モードが上下方向登録モードから行先階登録モードに切り替わった場合は、
図5(d)から
図5(a)の表示内容に切り替わる。なお、
図5(d)のようなホールランタン99を模した画像でなくてもよい。例えば、運行方向を示す矢印の画像を表示するようにしてもよい。
【0052】
次に、行先階登録モードから上下方向登録モードへの切替処理について
図6を参照しつつ詳述する。
図6は、行先階登録モードから上下方向登録モードへの切替処理を示すフローチャートである。この処理は、新規に入力された行先階乗場呼びがかご6に割り当てられたことを契機として、群管理制御装置4によって実行される。以下、新規の行先階乗場呼び(階床:1、行先階10、割当号機:B)が割り当てられたとして説明する。
【0053】
最初に、群管理制御装置4は、新規の行先階乗場呼びが入力されたタッチパネルディスプレイ23に割当号機名を表示させる(ステップS10)。次に、群管理制御装置4は、行先階登録モードから上下方向登録モードへのモード切替条件が成立したか否かを判断する(ステップS11)。上述したように、新規の行先階乗場呼びが割り当てられたことによって、上記乗場呼びがあった1階でかご6に積み残し又は満員通過が発生する可能性があるか否かを判断する。
【0054】
モード切替条件が成立していないと判断した場合(ステップS11のNO)、この処理を終了する。一方、モード切替条件が成立したと判断した場合(ステップS11のYES)、群管理制御装置4は、登録モードの設定を行先階登録モードから上下方向登録モードに変更する(ステップS12)。これにより、乗場呼び割当制御手段43での乗場呼びの割当方法が上下乗場呼びの割り当てに切り替わる。
【0055】
次に、群管理制御装置4は、乗場(1階)の上下乗場呼びの発生数と呼びの未発生間隔の記録処理を開始する(ステップS13)。これにより、上下方向登録モードが終了するまで、図示しない別のルーチンで並行して上記記録処理が行なわれる。そして、群管理制御装置4は、乗場(1階)の乗場呼び登録装置2のそれぞれに登録モードの情報を送信する(ステップS14)。これにより、タッチパネルディスプレイ23の表示内容が、
図4(b)に示すような上下方向登録モードの表示内容に切り替わる。
【0056】
次に、群管理制御装置4は、今回割り当てた号機(B号機)以外に、この乗場(1階)の既割当行先階乗場呼びを保持するかご6の有無を判断する(ステップS15)。保持するかご6はないと判断した場合(ステップS15のNO)、群管理制御装置4は、ステップS18の処理に移行する。一方、保持するかご6があると判断した場合(ステップS15のYES)、群管理制御装置4は、上述したように、この乗場(1階)の既割当行先階乗場呼びの全てをキャンセルし且つ割当変更する(ステップS16)。そして、乗場(1階)の各液晶インジケータ320に割当変更されたかご6の号機名を案内する画像を表示させる(ステップS17)。すなわち、上述した
図5(b)、
図5(c)に示すような案内画像を一定期間だけ液晶インジケータ320に表示させる。
【0057】
その後、群管理制御装置4は、この乗場(1階)の全ての液晶インジケータ320の表示内容を、
図5(d)に示すようなホールランタンを模した画像に変更する(ステップS18)。
【0058】
次に、上下方向登録モードから行先階登録モードへの切替処理について
図7を参照しつつ詳述する。
図7は、上下方向登録モードから行先階登録モードへの切替処理を示すフローチャートである。この処理は、新規に入力された上下乗場呼びがかご6に割り当てられたことを契機として、群管理制御装置4によって実行される。以下、新規の上下乗場呼び(階床:1、目的方向:上、割当号機:B)が割り当てられたとして説明する。
【0059】
最初に、群管理制御装置4は、上下方向登録モードから行先階登録モードへの登録モード切替条件(第一条件)が成立したか否かを判断する(ステップS30)。上述したように、現在から所定時間前(例えば5分前)までのこの乗場(1階)の乗場呼びの平均発生間隔が規定時間(例えば20秒)以上であるか否かを判断する。成立しないと判断した場合(ステップS30のNO)、この処理を終了する。
【0060】
一方、成立すると判断した場合(ステップS30のYES)、群管理制御装置4は、登録モード切替条件(第二条件)が成立したか否かを判断する(ステップS31)。上述したように、現在、この乗場(1階)の上下方向乗場呼びの割り当てがないことを判断する。すなわち、上記割り当てられた新規の上下乗場呼び(階床:1、目的方向:上、割当号機:B)も含めて割り当てがないことを判断する。成立しないと判断した場合(ステップS31のNO)、群管理制御装置4は、割り当てがなくなる(ステップS31のYES)までステップS30の処理に戻る。
【0061】
一方、成立すると判断した場合(ステップS31のYES)、群管理制御装置4は、登録モードの設定を上下方向登録モードから行先階登録モードに変更する(ステップS32)。これにより、乗場呼び割当制御手段43での乗場呼びの割当方法が行先階乗場呼びの割り当てに切り替わる。次に、群管理制御装置4は、乗場(1階)の乗場呼び登録装置2のそれぞれに登録モードの情報を送信する(ステップS33)。これにより、タッチパネルディスプレイ23の表示内容が、
図4(a)に示すような行先階登録モードの表示内容に切り替わる。そして、群管理制御装置4は、この乗場(1階)の全ての液晶インジケータ320の表示内容を、
図5(a)に示すような行先階インジケータの表示内容に変更する(ステップS34)。
【0062】
以上のように、かごの運行状況に基づいて、乗場呼びの登録モードが行先階登録モード及び上下方向登録モードの何れかに設定している。したがって、エレベータ群管理システム1において、かごの輸送能力を超えるような混雑状況により、積み残しや満員通過が発生しそうな場合には、乗場で乗車待ちの利用者が規則正しく乗車する傾向にある上下方向登録モードに切り替えることで、乗場における混乱の発生を予防できる。
【0063】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0064】
上述の実施形態では、各乗場において登録モードの設定が行なわれていたが、全ての乗場において登録モードを設定しなくてもよい。例えば、エントランスのある1階の乗場にだけ乗場呼び登録装置2を配置し、1階以外の乗場には上下乗場呼びのみの入力を受け付ける乗場呼び装置を配置する。そして、1階だけ登録モードの切り替えを行なうようにしてもよい。エントランスのある乗場は、利用者が集中するので、このような階床にのみ適用するだけでも効果的である。また、上述の実施形態では、乗場単位で登録モードの設定が行なわれているが、群管理システム1全体で1の登録モードを設定するようにしてもよい。
【0065】
また、登録モードのモード切替条件は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、運行時間を用いてもよい。具体的には、オフィスビル等に適用された群管理システムでは、朝の通勤時間帯を上下方向登録モードに設定するようなモード切替条件とすればよい。
【0066】
さらに、上述の実施形態では、タッチパネル操作手段25を行先階乗場呼び登録手段及び上下乗場呼び登録手段として機能させていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、行先階乗場呼び登録手段としてキーパッド(テンキー)装置を用い、また上下乗場呼び登録手段として上昇方向及び下降方向のボタンを有するボタン入力装置を乗場に併設する構成を用いてもよい。この場合、行先階登録モード時にはボタン入力装置の電源をオフし、上下方向登録モード時にはボタン入力装置をオフする構成とする。電源のオン及びオフは、群管理制御装置が行なうようにすればよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、行先階登録モードから上下方向登録モードに切り替えられる際、乗場の各液晶インジケータ320に割当変更の案内が表示されるが、液晶インジケータ320を用いなくてもよい。例えば、別途、液晶ディスプレイ装置や、音声案内を行なうスピーカ等を有する音声出力装置を用いてもよい。また、案内手段は、複数でなくても単一であってもよい。単一の音声出力装置の案内手段を用いた場合、例えば「割当変更されたのでB号機に移動して一列に並んでお待ちください。」と出力すればよい。