(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ダミー部と前記第2ダミー部とが重なる領域には、前記第1分断部が前記第2導線と少なくとも部分的に重なっている部分、および、前記第2分断部が前記第1導線と少なくとも部分的に重なっている部分が、所定の方向に沿って交互に並んでいる、請求項3に記載のタッチパネルセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施の形態
以下、
図1乃至
図8(a)〜(e)を参照して、本発明の第1の実施の形態の一例について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0021】
タッチパネル装置およびタッチ位置検出機能付き表示装置
はじめに
図1を参照して、タッチ位置検出機能付き表示装置10について説明する。
図1に示すように、タッチ位置検出機能付き表示装置10は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置15と、表示装置15の観察者側に配置されたタッチパネルセンサ30と、タッチパネルセンサ30の観察者側に配置された保護カバー12と、を組み合わせることによって構成されている。表示装置15は、表示面16aを有する表示パネル16と、表示パネル16に接続された表示制御部(図示せず)と、を有している。表示パネル16は、映像を表示することができる矩形状のアクティブエリアA1と、アクティブエリアA1を取り囲むようにしてアクティブエリアA1の外側に配置された非アクティブエリア(額縁領域とも呼ばれる)A2と、を含んでいる。表示制御部は、表示されるべき映像に関する情報を処理し、映像情報に基づいて表示パネル16を駆動する。表示パネル16は、表示制御部の制御信号に基づいて、所定の映像を表示面16aに表示する。すなわち、表示装置15は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置としての役割を担っている。
【0022】
タッチパネルセンサ30は、表示装置15の表示面16aに、例えば接着層(図示せず)を介して接着されている。同様に、保護カバー12も、接着層(図示せず)などを介してタッチパネルセンサ30に接着されている。
図1において、タッチパネルセンサ30のうち観察者側に位置する面に符号30aが付され、表示装置15側に位置する面に符号30bが付されている。タッチパネルセンサ30および保護カバー12の組み合わせによって、タッチパネル装置20が構成されている。
【0023】
タッチパネルセンサ
次に
図2を参照して、タッチパネルセンサ30について説明する。
図2は、観察者側から見た場合のタッチパネルセンサ30を示す平面図である。
【0024】
ここでは、タッチパネルセンサ30が、投影型の静電容量結合方式のタッチパネルセンサとして構成される例について説明する。なお、「容量結合」方式は、タッチパネルの技術分野において「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等とも呼ばれており、本件では、これらの「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等と同義の用語として取り扱う。典型的な静電容量結合方式のタッチパネルセンサは、透光性を有する導電性のパターンを有しており、外部の導体(典型的には人間の指)がタッチパネルセンサに接近することにより、外部の導体とタッチパネルセンサの導電性のパターンとの間でコンデンサ(静電容量)が形成される。そして、このコンデンサの形成に伴った電気的な状態の変化に基づき、タッチパネルセンサ上において外部導体が接近している位置の位置座標が特定される。なお本実施の形態によるタッチパネルセンサ30において採用されている、後述する技術思想は、自己容量方式または相互容量方式のいずれにも対応可能である。
【0025】
(第1電極および第2電極)
図2に示すように、タッチパネルセンサ30は、タッチパネルセンサ30の一方の側(観察者側)に設けられ、第1方向D1に延びる複数の第1電極41と、タッチパネルセンサ30の他方の側(表示装置15側)に設けられ、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って延びる複数の第2電極46と、を備えている。なお
図2においては図示を省略しているが、タッチパネルセンサ30は、タッチパネルセンサ30の一方の側において第1電極41の間に設けられた複数の第1ダミー部42と、タッチパネルセンサ30の他方の側において第2電極46の間に設けられた複数の第2ダミー部47と、をさらに備えている。本実施の形態において、第1電極41および第1ダミー部42は、基材32の第1面(観察者側の面)32a上に設けられている。また第2電極46および第2ダミー部47は、基材32の第2面(表示装置15側の面)32b上に設けられている。なお
図2においては、基材32の第1面32a側に設けられている構成要素が実線で表され、基材32の第2面32b側に設けられている構成要素が点線で表されている。後述するように、第1電極41、第1ダミー部42、第2電極46および第2ダミー部47はいずれも、金属材料を含む導線によって構成されている。
【0026】
相互容量方式が採用される場合、第1電極41および第2電極46の一方が駆動電極になり、他方が、駆動電極からの信号電圧が印加される検出電極となる。例えば、タッチパネルセンサ30の観察者側に設けられた第1電極41が検出電極になり、タッチパネルセンサ30の表示装置15側に設けられた第2電極46が駆動電極になる。
【0027】
第1電極41は、第1方向D1に沿って並べられた複数の第1膨出部41aと、隣接する2つの第1膨出部41aを接続するよう第1方向D1に延びる第1ライン部41bと、を含んでいる。第1膨出部41aとは、第1方向D1と交差する第2方向D2における寸法が、第2方向D2における第1ライン部41bの寸法よりも大きくなっている部分のことである。また第2電極46は、第2方向D2に沿って並べられた複数の第2膨出部46aと、隣接する2つの第2膨出部46aを接続するよう第2方向D2に延びる第2ライン部46bと、を含んでいる。第2膨出部46aとは、第2方向D2と交差する第1方向D1における寸法が、第1方向D1における第2ライン部46bの寸法よりも大きくなっている部分のことである。
【0028】
図2に示すように、タッチパネルセンサ30は、タッチ位置を検出され得る領域に対応する矩形状のアクティブエリアAa1と、アクティブエリアAa1の周辺に位置する矩形枠状の非アクティブエリアAa2と、を含んでいる。アクティブエリアAa1および非アクティブエリアAa2はそれぞれ、表示パネル16のアクティブエリアA1および非アクティブエリアA2に対応して区画されたものである。
【0029】
上述の第1電極41、第1ダミー部42、第2電極46および第2ダミー部47は、アクティブエリアAa1内に配置されている。また非アクティブエリアAa2のうち基材32の第1面32a上には、各第1電極41に電気的に接続された複数の第1額縁配線43と、基材32の外縁近傍に配置され、各第1額縁配線43に電気的に接続された複数の第1端子部44と、が設けられている。さらに、非アクティブエリアAa2のうち基材32の第2面32b上には、各第2電極46に電気的に接続された複数の第2額縁配線48と、基材32の外縁近傍に配置され、各第2額縁配線48に電気的に接続された複数の第2端子部49と、が設けられている。
【0030】
信号を適切に伝達することができる限りにおいて、第1額縁配線43および第1端子部44並びに第2額縁配線48および第2端子部49の具体的な構成が特に限られることはない。例えば第1額縁配線43および第1端子部44は、第1電極41や第1ダミー部42を構成する後述する第1導線51と同一の層構成で第1導線51と同時に形成されるものであってもよい。同様に、第2額縁配線48および第2端子部49は、第2電極46や第2ダミー部47を構成する後述する第2導線56と同一の層構成で第2導線56と同時に形成されるものであってもよい。
【0031】
(基材)
基材32を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)やガラスなど、十分な透光性を有する材料が用いられる。基材32が例えばPETを含む場合、PETの厚みは例えば100〜200μmの範囲内になっている。なお電極41,46やダミー部42,47を適切に保持することができる限りにおいて、基材32の具体的な構成が特に限られることはない。例えば、PET層などの表面に設けられたハードコート層がさらに基材32に含まれていてもよい。すなわち本実施の形態において、基材32とは、何らかの具体的な構造や材料を意味するものではなく、タッチパネルセンサ30を構成する第1電極41や第2電極46などのパターンの下地となるものを意味するに過ぎない。
【0032】
(保護カバー)
保護カバー12は、表示装置15やタッチパネルセンサ30を保護するためのものである。保護カバー12を構成する材料としては、ガラスを用いてもよく、若しくは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの合成樹脂やそれらの積層体を用いてもよい。ガラスは、合成樹脂に比べて高い比誘電率を有しており、このため、合成樹脂が用いられる場合に比べてタッチパネル装置20の検出感度を高くすることができる。一方、合成樹脂は、ガラスに比べて低い温度で成形され得る。このため、合成樹脂を用いて保護カバー12を作製することにより、様々な形状を容易に保護カバー12に持たせることができる。例えば
図1に示すように、合成樹脂によって構成された保護カバー12に湾曲面13aを設けることが容易に可能になる。
【0033】
(第1電極および第1ダミー部の詳細について)
次に
図3Aおよび
図3Bを参照して、第1電極41および第1ダミー部42について説明する。
図3Aは、タッチパネルセンサ30の一方の側から見た場合の第1電極41および第1ダミー部42を拡大して示す平面図であり、
図3Bは、
図3Aにおいて符号IIIBが付された二点鎖線で囲まれた部分における第1電極41および第1ダミー部42をさらに拡大して示す平面図である。
【0034】
第1電極41および第1ダミー部42は、遮光性および導電性を有する第1導線51を、各第1導線51の間に開口部52が形成されるよう網目状に配置することによって構成されている。第1導線51は、後述するように、金属材料からなる第1金属層61を含んでいる。第1導線51に含まれる金属材料としては、例えば、銀、銅、アルミニウムまたはこれらの合金等を挙げることができる。
【0035】
第1電極41や第1ダミー部42が広がる領域の面積のうち開口部52によって占められる面積の比率(以下、開口率と称する)が十分に高くなり、これによって、表示装置15からの映像光が適切な透過率でタッチパネルセンサ30のアクティブエリアAa1を透過することができる限りにおいて、第1導線51の寸法や形状が特に限られることはない。例えば第1電極41および第1ダミー部42は、開口部52の形状が菱形の形状になるように複数の第1導線51を配置することによって構成されている。本実施の形態においては、菱形の内角のうち鋭角になる内角が第1方向D1に沿って並ぶよう、第1導線51が構成されている。開口率の範囲は、表示装置から放出される映像光の特性などに応じて適宜設定される。
【0036】
第1導線51の線幅は、求められる開口率などに応じて設定されるが、例えば第1導線51の幅は1〜10μmの範囲内、より好ましくは2〜7μmの範囲内に設定されている。これによって、観察者が視認する映像に対して第1導線51が及ぼす影響を、無視可能な程度まで低くすることができる。第1導線51の厚みは、第1電極41に対して求められる電気抵抗値などに応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜0.5μmの範囲内となっている。
【0037】
図3Aおよび
図3Bに示すように、第1電極41を構成する第1導線51と第1ダミー部42を構成する第1導線51との間には、複数の第1分断部53が設けられている。このような第1分断部53を設けることにより、第1電極41と第1ダミー部42との間を電気的に絶縁することができる。通常は、1つの第1分断部53を挟んで隣接する2つの第1導線51の一方を延長すると他方の第1導線51に重なるよう、第1分断部53および第1導線51が構成されている。第1導線51が延びる方向における第1分断部53の寸法は、例えば1〜500μmの範囲内に設定される。
【0038】
第1電極41と第1ダミー部42との間の境界部の形状、すなわち第1電極41の輪郭は、第1電極41と第1ダミー部42との間の第1分断部53の配置によって画定される。
図3Aおよび
図3Bにおいて、タッチパネルセンサ30の一方の側からタッチパネルセンサ30を見た場合における、すなわち平面視における第1電極41の輪郭が、符号B1が付された一点鎖線によって示されている。
【0039】
また
図3Bに示すように、第1ダミー部42を構成する第1導線51同士の間にも、複数の第1分断部53が設けられていてもよい。なお
図3Aにおいては、第1ダミー部42内の第1分断部53が便宜上省略されている。
【0040】
(第2電極および第2ダミー部の詳細について)
次に
図4Aおよび
図4Bを参照して、第2電極46および第2ダミー部47について説明する。
図4Aは、タッチパネルセンサ30の一方の側から見た場合の第2電極46および第2ダミー部47を拡大して示す平面図であり、
図4Bは、
図4Aにおいて符号IVBが付された二点鎖線で囲まれた部分における第2電極46および第2ダミー部47をさらに拡大して示す平面図である。
【0041】
第1電極41および第1ダミー部42の場合と同様に、第2電極46および第2ダミー部47は、遮光性および導電性を有する第2導線56を、各第2導線56の間に開口部57が形成されるよう網目状に配置することによって構成されている。第2導線56は、後述するように、金属材料からなる第2金属層66を含んでいる。第2導線56に含まれる金属材料としては、第1導線51の場合と同様に、例えば、銀、銅、アルミニウムまたはこれらの合金等を挙げることができる。
【0042】
第1導線51の場合と同様に、第2導線56の寸法や形状が特に限られることはない。ここでは、第2電極46および第2ダミー部47が、開口部57の形状が菱形の形状になるように複数の第2導線56を配置することによって構成される例が示されている。具体的には、菱形の内角のうち鈍角になる内角が第2方向D2に沿って並ぶよう、第2導線56が構成されている。
【0043】
第2導線56の線幅や厚みは、第1導線51と同等に設定されてもよく、若しくは、第1導線51とは異なるように設定されてもよい。
【0044】
図4Aおよび
図4Bに示すように、第2電極46を構成する第2導線56と第2ダミー部47を構成する第2導線56との間には、複数の第2分断部58が設けられている。このような第2分断部58を設けることにより、第2電極46と第2ダミー部47との間を電気的に絶縁することができる。通常は、1つの第2分断部58を挟んで隣接する2つの第2導線56の一方を延長すると他方の第2導線56に重なるよう、第2分断部58および第2導線56が構成されている。第2導線56が延びる方向における第2分断部58の寸法は、例えば1〜500μmの範囲内に設定される。
【0045】
第2電極46と第2ダミー部47との間の境界部の形状、すなわち第2電極46の輪郭は、第2電極46と第2ダミー部47との間の第2分断部58の配置によって画定される。
図4Aおよび
図4Bにおいて、平面視における第2電極46の輪郭が、符号B2が付された一点鎖線によって示されている。
【0046】
また
図4Bに示すように、第1ダミー部42を構成する第2導線56同士の間にも、複数の第2分断部58が設けられていてもよい。なお
図4Aにおいては、第2ダミー部47内の第2分断部58が便宜上省略されている。
【0047】
図5Aは、
図3Aに示す第1電極41および第1ダミー部42並びに
図4Aに示す第2電極46および第2ダミー部47を重ねて示す平面図である。また
図5Bは、
図5Aにおいて符号VBが付された二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す平面図である。なお
図5Aおよび
図5Bにおいては、便宜上、タッチパネルセンサ30の一方の側に設けられている、第1電極41や第1ダミー部42などの構成要素が、タッチパネルセンサ30の他方の側に設けられている、第2電極46や第2ダミー部47などの構成要素よりも太い線で表されている。ここでは、
図5Aおよび
図5Bに示すように、第1導線51同士の交点51aと第2導線56同士の交点56aとが互いに重ならないように第1導線51および第2導線56が配置されている例が示されている。
【0048】
ところで、第1分断部53または第2分断部58が形成された場所においては、光は、第1導線51または第2導線56によって遮蔽されることなくタッチパネルセンサ30を透過することができる。従って、第1分断部53や第2分断部58が無秩序に配置される場合、第1分断部53や第2分断部58によって占められる領域の面積の分だけ、分断部53,58を含まない、電極41,46が設けられている領域における光の透過率と、分断部53,58を含む、ダミー部42,47が設けられている領域における光の透過率との差が大きくなってしまう。
【0049】
例えば、タッチパネルセンサ30のアクティブエリアAa1を、平面視において第1電極41と第2電極46とが重なる領域(以下、第1領域とも称する)、平面視において第1電極41と第2ダミー部47とが重なる領域または第2電極46と第1ダミー部42とが重なる領域(以下、第2領域とも称する)、および、平面視において第1ダミー部42と第2ダミー部47とが重なる領域(以下、第3領域とも称する)に分類して考える。この場合、第1領域においては、タッチパネルセンサ30の一方の側および他方の側のいずれにも分断部53,58が存在しない。一方、第2領域においては、タッチパネルセンサ30の一方の側および他方の側のいずれか一方に分断部53,58が存在する。また第3領域においては、タッチパネルセンサ30の一方の側および他方の側の両方に分断部53,58が存在する。従って、第1分断部53や第2分断部58の位置が無秩序に設定される場合、第1領域における光の透過率T1、第2領域における光の透過率T2および第3領域における光の透過率T3は、T1<T2<T3という関係を示すようになる。例えば、第1導線51および第2導線56の開口率が95%であり、基材32における光の透過率が100%であると仮定する場合、T1=95%、T2=96%、T3=97%というような透過率の分布になり得る。この場合、第1領域、第2領域および第3領域は、観察者によって比較的に容易に識別され得る。
【0050】
また、保護カバー12を構成する材料として上述のように合成樹脂が用いられる場合、合成樹脂の比誘電率がガラスに比べて低いため、その分だけタッチパネル装置20の検出感度が低下してしまう。このような問題を解決する方法の1つとして、平面視における第1電極41と第2電極46との間の間隔dを大きくすることが考えられる。なぜなら、間隔dを大きくすることにより、第1電極41から第2電極46に至る電気力線の経路がより観察者側にまで広がるようにすることができ、これによって、外部導体の接近や接触をより精度良く検出できるようになるからである。間隔dは、保護カバー12を構成する材料の比誘電率や保護カバー12の厚みに応じて適宜設定されるが、例えば0.1〜1mmの範囲内に設定される。
一方、平面視において第1電極41と第2電極46との間に位置することになる領域は、第1ダミー部42と第2ダミー部47とが重なる上述の第3領域である。従って、間隔dが大きくなることは、アクティブエリアAa1における上述の第3領域の面積の比率がより大きくなることを意味している。このことは、第1領域、すなわち電極41,46が観察者により視認され易くなってしまうことを導く可能性がある。
【0051】
このような課題を考慮し、本件発明者は、タッチパネルセンサ30の一方の側から見た場合に、各第1分断部53が第2導線56に少なくとも部分的に重なり、各第2分断部58が第1導線51に少なくとも部分的に重なるよう、第1導線51および第1分断部53並びに第2導線56および第2分断部58を配置することを提案する。
図6は、タッチパネルセンサ30を
図5BのVI線に沿って切断した場合を示す断面図であり、
図7は、タッチパネルセンサ30を
図5BのVII線に沿って切断した場合を示す断面図である。
図6には、基材32の法線方向に沿って一方の側からタッチパネルセンサ30を見た場合に、各第1分断部53が第2導線56に少なくとも部分的に重なっている様子が示されている。
図7には、基材32の法線方向に沿って一方の側からタッチパネルセンサ30を見た場合に、各第2分断部58が第1導線51に少なくとも部分的に重なっている様子が示されている。
【0052】
本実施の形態によれば、第1分断部53が設けられている領域において、光は、少なくとも部分的に第2導線56によって遮蔽されることになる。同様に、第2分断部58が設けられている領域において、光は、少なくとも部分的に第1導線51によって遮蔽されることになる。このため、第1分断部53または第2分断部58が設けられている上述の第2領域や第3領域における光の透過率T2,T3と、第1分断部53および第2分断部58が存在しない上述の第1領域における光の透過率T1との差が大きくなってしまうことを抑制することができる。このことにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。また、第3領域における光の透過率T3と第1領域における光の透過率T1との差を小さくすることができるので、比誘電率の低い合成樹脂を含む保護カバー12が用いられる場合に、タッチパネル装置20の検出感度向上という目的を重視して第1電極41と第2電極46との間の間隔dを大きく設定する、という構成を採用することが可能になる。従って、電極41,46が視認されることが抑制され、かつ十分な検出感度が達成されたタッチパネル装置20を提供することができる。
【0053】
好ましくは、平面視において第1ダミー部42と第2ダミー部47とが重なる上述の第3領域には、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なっている部分、および、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なっている部分の両方が存在している。これによって、第1領域における光の透過率T1と第3領域における光の透過率T3との差をより小さくすることができる。
【0054】
また好ましくは、平面視において第1ダミー部42と第2ダミー部47とが重なる上述の第3領域には、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なっている部分、および、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なっている部分が、所定の方向に沿って交互に並ぶようになっている。例えば
図5Bにおいては、第3領域において、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なっている部分、および、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なっている部分が、第2方向D2に平行な矢印L2で示す方向に沿って交互に並んでいる様子が示されている。このように第1分断部53と第2分断部58とが交互に並ぶようにすることによって、第3領域における透過率の分布をより均一化することができ、これによって、タッチパネルセンサ30の意匠性をより向上させることができる。
【0055】
タッチパネルセンサの製造方法
次に、以上のような構成からなるタッチパネルセンサ30を製造する方法について、
図8(a)〜(e)を参照して説明する。
【0056】
はじめに
図8(a)に示すように、タッチパネルセンサ30を作製するための元材としての積層体60(ブランクとも呼ばれる)を準備する。積層体60は、基材32と、基材32の第1面32a上に設けられ、遮光性および導電性を有する第1金属層61と、基材32の第2面32b上に設けられ、遮光性および導電性を有する第2金属層66と、を備えている。基材32の各面32a,32b上に金属層61,66を設ける方法が特に限られることはなく、蒸着法やスパッタリング法などの公知の方法が適宜用いられ得る。
【0057】
次に
図8(b)に示すように、第1金属層61上に第1感光層71を設け、かつ、第2金属層66上に第2感光層76を設ける。第1感光層71および第2感光層76は、特定波長域の光、例えば紫外線に対する感光性を有している。感光層71,76のタイプが特に限られることはない。例えば光硬化型の感光層が用いられてもよく、若しくは光硬化型の感光層が用いられてもよい。ここでは、光溶解型の感光層が用いられる例について説明する。第1金属層61上および第2金属層66上に第1感光層71および第2感光層76を設ける方法としては、例えば、ドライフィルムレジストを第1金属層61上および第2金属層66上にそれぞれ貼付するという方法や、感光材を第1金属層61上および第2金属層66上にそれぞれ塗布するという方法を採用することができる。
【0058】
(露光工程)
その後、
図8(b)に示すように、所定のパターンで遮光部72aおよび開口部72bが形成された第1露光マスク72を第1感光層71の近傍に設置し、かつ、所定のパターンで遮光部77aおよび開口部77bが形成された第2露光マスク77を第2感光層76の近傍に設置する。第1露光マスク72の遮光部72aのパターンは、開口部52および第1分断部53のパターンに対応しており、第1露光マスク72の開口部72bのパターンは、第1導線51のパターンに対応している。また第2露光マスク77の遮光部77aのパターンは、開口部57および第2分断部58のパターンに対応しており、第2露光マスク77の開口部77bのパターンは、第2導線56のパターンに対応している。次に、第1露光マスク72に対する第2露光マスク77の相対位置を調整する。例えば、第1露光マスク72または第2露光マスク77のいずれか一方の露光マスクに形成されているアライメントマークを基準として、他方の露光マスクの位置を調整する。若しくは、基材32などに設けられている同一のアライメントマークを共通に用いて、第1露光マスク72および第2露光マスク77の位置を調整する。これによって、第1露光マスク72に対して高い位置精度で第2露光マスク77を配置することができる。その後、第1露光マスク72を介して第1感光層71に所定のパターンで露光光を照射し、かつ、第2露光マスク77を介して第2感光層76に所定のパターンで露光光を照射する露光工程を実施する。なお、第1感光層71に対する露光光の照射と、第2感光層76に対する露光光の照射は、同時に実施されてもよく、異なるタイミングで実施されてもよい。
【0059】
(現像工程)
次に、第1感光層71および第2感光層76を現像する。これによって、
図8(c)に示すように、パターニングされた第1感光層71および第2感光層76を得ることができる。
【0060】
(エッチング工程)
その後、
図8(d)に示すように、第1感光層71をレジストとして第1金属層61をウェットエッチングする。これによって、電極41および第1ダミー部42の第1導線51に対応するパターンで第1金属層61をパターニングすることができる。また、第2感光層76をレジストとして第2金属層66をウェットエッチングする。これによって、第2電極46および第2ダミー部47の第2導線56に対応するパターンで第2金属層66をパターニングすることができる。次に、
図8(e)に示すように、感光層71,76を除去する。このようにして、上述のタッチパネルセンサ30を得ることができる。
【0061】
なお図示はしないが、第1導線51および第2導線56には、第1導線51および第2導線56による光の反射を抑制するための低反射処理が施されていてもよい。例えば第1導線51の表面には、黒化処理が施されていてもよい。また、第2導線56は、金属材料からなる層に加えて、金属材料からなる層と基材32の第2面32bとの間に設けられた低反射層をさらに含んでいてもよい。
【0062】
本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ30の一方の側から見た場合に、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、かつ第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なるよう、第1導線51および第2導線56が配置されている。このため、分断部53,58を設けることに起因する光の透過率の上昇の程度を小さくすることができる。従って、分断部53,58を含まない領域における光の透過率と、分断部53,58を含む領域における光の透過率との差が大きくなることを抑制することができる。このことにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0063】
また本実施の形態によれば、露光工程において、第1露光マスク72に対する第2露光マスク77の相対位置が調整される。このため、基材32の第1面32a側に設けられる第1導線51や第1分断部53に対する、基材32の第2面32b側に設けられる第2導線56や第2分断部58の相対的な位置精度を高めることができる。従って、第1分断部53と第2導線56とを精度良く重ねることができ、また、第2分断部58と第1導線51とを精度良く重ねることができる。このことにより、分断部53,58を設けることに起因する光の透過率の上昇の程度をより小さくすることができる。
【0064】
第2の実施の形態
次に
図9および
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここでは、ウェットエッチングによって金属層61,66をパターニングして導線51,56を作製する場合に金属層61,66上に形成される感光層71,76を露光するための露光マスク72,77の具体的なパターンの例について説明する。本実施の形態において、
図1乃至
図8に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が本実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0065】
図9(a)は、第1感光層71を露光するための第1露光マスク72のパターンの一例を示す平面図である。ここでは、第1導線51の交点51aとなる部分およびその周辺の部分に照射される露光光を生成するための第1露光マスク72のパターンについて具体的に説明する。
図9(a)に示すように、第1露光マスク72は、第1導線51に対応するパターンで線状に延びる複数の開口部72bと、線状に延びる開口部72bを画定するように広がる遮光部72aと、を含んでいる。
図9(a)において、異なる方向に線状に延びる開口部72bが互いに接続される部分(以下、接続部分とも称する)が符号72kで表され、また線状に延びる開口部72bの交点が符号72cで表されている。
図9(a)に示す例において、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bは、交点72cからの距離に依らず同一の幅sを有している。
【0066】
図9(b)は、
図9(a)に示す第1露光マスク72を用いて露光することにより得られた第1感光層71をレジストとして第1金属層61をウェットエッチングすることによって得られる第1導線51のパターンの一例を示す平面図である。
図9(b)に示すように、異なる方向に延びる第1導線51が互いに接続される接続部分51kの形状は、第1露光マスク72の対応する接続部分72kの形状とは異なっている。具体的には、第1導線51の接続部分51kは、第1露光マスク72の接続部分72kよりも広がった形状を有している。このことは、第1露光マスク72を用いて第1感光層71を露光する際に、第1感光層71の解像性の限界のため、接続部分72kの形状が完全には第1感光層71に反映されず、第1露光マスク72の接続部分72kに対応する第1感光層71の接続部分の形状が、
図9(b)に示す第1導線51の接続部分51kのように鈍った形状になることに起因していると考えられる。また、第1金属層61をウェットエッチングする際に、第1露光マスク72の接続部分72kに対応する第1感光層71の接続部分のところにまでエッチング液が十分に侵入することができないことにも起因していると考えられる。接続部分51kにおける第1金属層61のエッチングが不完全なものであるため、
図9(b)に示すように、交点51aの近傍における第1導線51の幅w1が、交点51aから遠い部分における第1導線51の幅w2よりも大きくなってしまう。このことは、交点51a近傍の領域における光の反射率が、交点51aから遠い領域における光の反射率よりも高くなり、この結果、交点51aが視認されやすくなる、ということを導く。すなわち、交点51aからの距離に応じて、光の反射率および透過率が局所的にばらついてしまうことが考えられる。
【0067】
このような課題を考慮すると、
図10(a)に示すようなパターンで第1露光マスク72の接続部分72kが形成されることが好ましいと考えらえる。
図10(a)に示す例において、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bのうち、接続部分72kに接しているまたは接続部分72kを含む部分(以下、第1部分とも称する)が符号72xで表されている。また、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bのうち、第1部分72xよりも交点72cから遠位に設けられ、かつ第1部分72xに接続されている部分(以下、第2部分とも称する)が符号72yで表されている。また、第2部分72yを交点72c近傍にまで仮想的に延長した場合の線が点線で表されている。
図10(a)に示すように、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bの第1部分72xは、第2部分72yを延長した点線よりも交点72c側に位置するよう設けられている。すなわち、第1露光マスク72の遮光部72aは、
図9(a)に示す場合に比べて、交点72cに向かって突出している。この結果、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bの第1部分72xの幅s1は、第2部分72yの幅s2よりも小さくなっている。
【0068】
図10(b)は、
図10(a)に示す第1露光マスク72を用いて露光することにより得られた第1感光層71をレジストとして第1金属層61をウェットエッチングすることによって得られる第1導線51のパターンの一例を示す平面図である。上述のように、
図10(a)に示す例において、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bの第1部分72xは、第2部分72yを延長した点線よりも交点72c側に位置するよう設けられている。このことは、ウェットエッチングの際に、第2部分72yを延長した仮想的な点線が互いに交わる部分に対応して除去された第1感光層71の位置にまでエッチング液が侵入し易くなることを導く。このため
図10(b)に示すように、交点51a近傍の領域における第1導線51の幅w1が、交点51aから遠い領域における第1導線51の幅w2よりも大きくなってしまうことを抑制することができる。これによって、交点51a近傍の領域における光の反射率が、交点51aから遠い領域における光の反射率よりも高くなってしまうことを抑制することができる。このことにより、交点51aが視認されることを抑制することができる。
【0069】
なお、第1露光マスク72の接続部分72kに対応して形成される第1感光層71の接続部分にエッチング液が侵入し易くなるようにすることができる限りにおいて、第1露光マスク72の線状に延びる開口部72bの第1部分72xの具体的な形状が特に限られることはなく、様々な形状が適宜採用され得る。また図示はしないが、第2露光マスク77の線状に延びる開口部77bも、第1露光マスク72の場合と同様の第1部分および第2部分を有していてもよい。
【0070】
変形例
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、いくつかの変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の各実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0071】
(第1の変形例)
上述の実施の形態の形態においては、第1導線51および第2導線56がそれぞれ規則的に配置される例を示した。具体的には、第1導線51の複数の交点51aおよび第2導線56の複数の交点56aがそれぞれ所定の方向に沿って周期的に並ぶよう、第1導線51および第2導線56が配置される例を示した。しかしながら、
図11に示すように、第1導線51は、複数の交点51aが不規則に並ぶように配置されていてもよい。
図11に示すような第1導線51のパターンは、例えば、はじめに、複数の交点51aがそれぞれ所定の方向に沿って周期的に並ぶように第1導線51を配置し、次に、隣接する交点51a間の距離よりも小さい距離だけ様々な方向で各交点51aをランダムに変位させることにより、作製され得る。複数の交点51aが不規則に並ぶように第1導線51を配置することにより、例えば、モアレを低減するという効果が期待される。なお図示はしないが、第2導線56も、第1導線51の場合と同様に、複数の交点56aが不規則に並ぶように配置されていてもよい。
【0072】
図11に示す本変形例においても、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なるよう、第1分断部53の位置および第2分断部58の位置を設定することにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0073】
(第2の変形例)
また上述の実施の形態の形態においては、第1電極41および第1ダミー部42を構成する第1導線51が、基材32の第1面32a上に設けられ、第2電極46および第2ダミー部47を構成する第2導線56が、基材32の第2面32b上に設けられる例を示した。しかしながら、タッチパネルセンサ30の一方の側から見た場合に、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なることができる限りにおいて、タッチパネルセンサ30の層構成が特に限られることはない。例えば
図12Aに示すように、互いに対向する2つの基材32A,32Bの対向面の一方(第1の基材32A)に第1導線51を設け、他方(第2の基材32B)に第2導線56を設け、そして2つの基材32を貼り合わせてもよい。このように2つの基材32A,32Bを貼り合わせる場合であっても、第1導線51によって、タッチパネルセンサ30の一方の側に設けられる第1電極41および第1ダミー部42を構成することができ、また第2導線56によって、タッチパネルセンサ30の他方の側に設けられる第2電極46および第2ダミー部47を構成することができる。また、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、第2分断部58(図示せず)が第1導線51と少なくとも部分的に重なるよう、第1導線51、第1分断部53、第2導線56および第2分断部58を配置することにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0074】
なお
図12Aにおいては、第1の基材32Aのうち第1導線51が設けられている面と、第2の基材32Bのうち第2導線56が設けられている面とが向かい合うように2つの基材32A,32Bを貼りあわせ、これによって、タッチパネルセンサ30の一方の側に設けられる第1導線51の間の第1分断部53が、タッチパネルセンサ30の他方の側に設けられる第2導線56と少なくとも部分的に重なる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図12Bに示すように、第1の基材32Aのうち第1導線51が設けられている面とは反対側の面と、第2の基材32Bのうち第2導線56が設けられている面とは反対側の面とが向かい合うように、2つの基材32A,32Bを貼りあわせてもよい。その他にも、
図12Cに示すように、第1の基材32Aのうち第1導線51が設けられている面とは反対側の面と、第2の基材32Bのうち第2導線56が設けられている面とが向かい合うように、2つの基材32A,32Bを貼りあわせてもよい。これらの場合であっても、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、第2分断部58(図示せず)が第1導線51と少なくとも部分的に重なるよう、第1導線51、第1分断部53、第2導線56および第2分断部58を配置することにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0075】
(第3の変形例)
また上述の実施の形態の形態においては、電極41,46が膨出部41a,46aおよびライン部41b,46bを含む例を示した。すなわち、電極41,46のパターンがいわゆるダイヤモンドパターンである例を示した。しかしながら、電極41,46のパターンが特に限られることはない。例えば
図13に示すように、電極41,46のパターンとして、いわゆるストライプパターンが採用されてもよい。この場合であっても、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なるよう、第1導線51、第1分断部53、第2導線56および第2分断部58を配置することにより、電極41,46が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0076】
(その他の変形例)
また上述の実施の形態の形態においては、第1分断部53が第2導線56と少なくとも部分的に重なり、かつ第2分断部58が第1導線51と少なくとも部分的に重なる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1分断部53は第2導線56と少なくとも部分的に重なっているが、第2分断部58は第1導線51と重なっていなくてもよい。この場合であっても、第1分断部53および第2分断部58が無秩序に配置されている場合に比べれば、電極41,46が設けられている領域における光の透過率と、分断部53,58を含む領域における光の透過率との差を小さくすることができる。
【0077】
また上述の実施の形態の形態においては、複数の第1分断部53の全てが第2導線56に重なっている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、複数の第1分断部53の少なくとも一部が第2導線56に重なっていればよい。例えば、第1電極41と第1ダミー部42との境界を区画する第1分断部53は第2導線56に重なっているが、第1ダミー部42内の第1分断部53は第2導線56に重なっていない、という配置が採用されてもよい。反対に、第1ダミー部42内の第1分断部53は第2導線56に重なっているが、第1電極41と第1ダミー部42との境界を区画する第1分断部53は第2導線56に重なっていない、という配置が採用されてもよい。また、複数の第1分断部53が一定の比率で第2導線56に重なるようになっていてもよい。第2分断部58についても同様に、複数の第2分断部58の少なくとも一部が第1導線51に重なっていればよい。この場合であっても、第1分断部53が無秩序に配置されている場合に比べれば、電極41,46が設けられている領域における光の透過率と、分断部53,58を含む領域における光の透過率との差を小さくすることができる。
【0078】
また上述の実施の形態の形態においては、第1分断部53が第2導線56に少なくとも部分的に重なるように構成された第1電極41、第1ダミー部42、第2電極46および第2ダミー部47を用いて、タッチパネルセンサ30を構成する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、タッチパネルセンサ30以外にも、第1分断部53が第2導線56に少なくとも部分的に重なるように構成された第1電極41、第1ダミー部42、第2電極46および第2ダミー部47を用いて、導電性を有するパターンを備えた導電性パターン基板を構成してもよい。この場合にも、導電性パターン基板において、第1分断部53を設けることに起因する光の透過率の上昇の程度を小さくすることができる。従って、第1電極41が設けられている領域における光の透過率と、第1分断部53を含む領域における光の透過率との差が大きくなることを抑制することができる。このことにより、第1電極41が観察者に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0079】
導電性パターン基板の用途は特には限られないが、例えば、導電性パターン基板を用いて移動体用メッシュアンテナや電磁波シールド等を構成することができる。
【0080】
導電性パターン基板においても、タッチパネルセンサ30の場合と同様に、第2分断部58が第1導線51に少なくとも部分的に重なるように第1電極41、第1ダミー部42、第2電極46および第2ダミー部47が構成されていてもよい。またパターン基板においても、タッチパネルセンサ30の場合と同様に、第1電極41および第1ダミー部42を構成する第1導線51と、第2電極46および第2ダミー部47を構成する第2導線56とが、1つの基材の異なる面にそれぞれ設けられていてもよく、若しくは、互いに貼り合わされる2つの基材にそれぞれ設けられていてもよい。
【0081】
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。