特許第6435905号(P6435905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435905
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181203BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   H02M7/48 ZZHV
   H02M3/155 Y
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-26813(P2015-26813)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-149906(P2016-149906A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和哉
(72)【発明者】
【氏名】松岡 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】田辺 龍太
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−012639(JP,A)
【文献】 特開2014−161159(JP,A)
【文献】 特開2010−252461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
H02M 1/00−1/44
H02M 3/155
H02M 7/42−7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ(2)と、
該コンデンサ(2)を冷却する放熱部材(3)とを備え、
上記コンデンサ(2)と上記放熱部材(3)とは、これらの配列方向に加圧されており、
上記コンデンサ(2)は、
誘電体(210)と、該誘電体(210)の表面に形成された金属層(211)とを備えるコンデンサ素子(21)と、
上記金属層(211)に接続した電極部(22)と、
該電極部(22)に接続したバスバー(23)とを有し、
上記配列方向において、上記放熱部材(3)と上記コンデンサ素子(21)との間に、上記バスバー(23)の一部が介在しており、
上記バスバー(23)は、上記電極部(22)に接続した接続部(231)と、該接続部(231)から延出する延出部(232)とを備え、上記電極部(22)及び上記接続部(231)は、上記放熱部材(3)と上記コンデンサ素子(21)との間に介在しており、
上記接続部(231)は、その厚さ方向が上記配列方向と一致するよう配され、上記配列方向から見たときに上記接続部(231)は上記電極部(22)と重なり、上記接続部(231)の、上記放熱部材(3)とは反対側の主面を、上記電極部(22)に電気接続してあり、
上記コンデンサ(2)は、上記コンデンサ素子(21)と上記電極部(22)とを覆うと共に上記接続部(231)を部分的に覆う耐湿部材(24)を備え、上記接続部(231)の上記放熱部材(3)側の主面(S1)は、上記耐湿部材(24)から露出していることを特徴とする電力変換装置(1)。
【請求項2】
媒(11)が流れる流路(12)が内部に形成された複数の冷却管(3a)を備え、該複数の冷却管(3a)のうち一部の該冷却管(3a)を、上記コンデンサ(2)を冷却する上記放熱部材(3)としてあり、上記コンデンサ(2)以外の電子部品(5)と、上記コンデンサ(2)と、上記複数の冷却管(3a)とを上記配列方向に積層して積層体(10)を形成してあり、上記コンデンサ(2)は上記電子部品(5)に電気接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置(1)。
【請求項3】
上記冷却管(3a)は金属製であり、該冷却管(3a)と上記コンデンサ(2)との間に、これらを絶縁する絶縁部材(6)が介在しており、該絶縁部材(6)に、上記バスバー(23)が嵌合する凹部(60)が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置(1)。
【請求項4】
上記積層体(10)は、上記配列方向に加圧されて上記冷却管(3a)が弾性変形した状態でケース(13)に収納され、該ケース(13)の壁部(131,132)に挟まれており、弾性変形した上記冷却管(3a)の弾性復帰力によって、上記コンデンサ(2)と上記冷却管(3a)とを上記配列方向に加圧するよう構成されていることを特徴とする請求項又は請求項に記載の電力変換装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサと、該コンデンサを冷却する放熱部材とを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、直流電圧が加わるコンデンサと、該コンデンサを冷却する放熱部材とを備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。この電力変換装置では、板ばね等の加圧部材を用いて、上記コンデンサと放熱部材とを、これらの配列方向に加圧している。これにより、コンデンサと放熱部材との接触圧を確保し、コンデンサの冷却効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−352023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電力変換装置は、コンデンサの冷却効率に改善の余地があった。すなわち、コンデンサは、コンデンサ素子と、該コンデンサ素子に形成された電極部と、該電極部に接続したバスバーとを備える。コンデンサ素子は、樹脂やセラミック等からなる誘電体と、該誘電体の表面に形成された金属層とを備えている。この金属層にリップル電流が流れて抵抗熱が発生する。上記電力変換装置では、上記放熱部材によって、コンデンサ素子を直接、冷却する構造になっている。そのため、金属層から発生した熱が誘電体によって遮蔽され、熱を放熱部材に効率的に伝えにくい。したがって、コンデンサ素子の冷却効率を充分、高めることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、コンデンサ素子の冷却効率をより高めることができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、コンデンサと、
該コンデンサを冷却する放熱部材とを備え、
上記コンデンサと上記放熱部材とは、これらの配列方向に加圧されており、
上記コンデンサは、
誘電体と、該誘電体の表面に形成された金属層とを備えるコンデンサ素子と、
上記金属層に接続した電極部と、
該電極部に接続したバスバーとを有し、
上記配列方向において、上記放熱部材と上記コンデンサ素子との間に、上記バスバーの一部が介在しており、
上記バスバーは、上記電極部に接続した接続部と、該接続部から延出する延出部とを備え、上記電極部及び上記接続部は、上記放熱部材と上記コンデンサ素子との間に介在しており、
上記接続部は、その厚さ方向が上記配列方向と一致するよう配され、上記配列方向から見たときに上記接続部は上記電極部と重なり、上記接続部の、上記放熱部材とは反対側の主面を、上記電極部に電気接続してあり、
上記コンデンサは、上記コンデンサ素子と上記電極部とを覆うと共に上記接続部を部分的に覆う耐湿部材を備え、上記接続部の上記放熱部材側の主面は、上記耐湿部材から露出していることを特徴とする電力変換装置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記電力変換装置においては、上記配列方向において、放熱部材とコンデンサ素子との間に、バスバーの一部が介在している。また、コンデンサと放熱部材とは、上記配列方向に加圧されている。
そのため、コンデンサ素子の冷却効率をより高めることができる。すなわち、上記構造にすると、加圧力により、バスバーの一部を放熱部材に押し付けることができる。そのため、放熱部材によってバスバーを効果的に冷却できる。上述したように、コンデンサ素子は、誘電体と、該誘電体の表面に形成された金属層とを備え、この金属層が主に発熱する。金属層は上記電極部に接続し、該電極部にバスバーが接続している。そのため、バスバーを冷却することにより、金属層から発生した熱を、電極部を介してバスバーに伝えることができる。したがって、コンデンサ素子の誘電体が熱伝導の妨げになりにくく、コンデンサ素子を効率的に冷却することが可能となる。
【0008】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサ素子の冷却効率をより高めることができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における、電力変換装置の断面図であって、図5のI-I断面図。
図2】実施例1における、コンデンサ及び放熱部材の断面図であって、図3のII-II断面図。
図3図3のIII-III断面図。
図4図2のIV矢視図。
図5図1のV-V断面図。
図6】実施例1における、コンデンサ素子および電極部の拡大断面図。
図7】実施例1における、電力変換装置の回路図。
図8参考例1における、電力変換装置の要部拡大断面図
図9】実施例における、コンデンサ及び放熱部材の断面図。
図10】実施例における、コンデンサ及び放熱部材の断面図。
図11】実施例における、電力変換装置の断面図。
図12】実施例における、コンデンサ及び放熱部材の断面図。
図13】実施例における、電力変換装置の断面図。
図14】実施例における、電力変換装置の断面図。
図15参考例2における、コンデンサ及び放熱部材の断面図。
図16】比較例における、コンデンサ及び放熱部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等に搭載するための、車載用電力変換装置とすることができる。
【実施例】
【0011】
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1図7を用いて説明する。図1図4に示すごとく、本例の電力変換装置1は、コンデンサ2と、該コンデンサ2を冷却する放熱部材3とを備える。コンデンサ2と放熱部材3とは、これらの配列方向(X方向)に加圧されている。コンデンサ2と放熱部材3とは、加圧部材4によって、X方向に加圧されている。
【0012】
図2図3に示すごとく、コンデンサ2は、コンデンサ素子21と、電極部22と、バスバー23とを有する。図6に示すごとく、コンデンサ素子21は、誘電体210と、該誘電体210の表面に形成された金属層211とを備える。電極部22は、金属層211に接続している。また、図2図3に示すごとく、バスバー23は、電極部22に接続している。
X方向において、放熱部材3とコンデンサ素子21との間に、バスバー23の一部が介在している。この介在する部分の上記放熱部材3側の主面S1は平坦になっている。
【0013】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車載用電力変換装置である。また、コンデンサ素子21は、フィルムコンデンサ素子である。図6に示すごとく、コンデンサ素子21は、合成樹脂からなるフィルム(誘電体210)と、該フィルムの表面に形成した金属層211とを備える。このフィルムを巻回することにより、コンデンサ素子21を形成してある。金属層211には、一方の電極部22aに接続した第1金属層211aと、他方の電極部22b(図2参照)に接続した第2金属層211bとがある。また、電極部22は、メタリコン電極である。
【0014】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、フィルタコンデンサ2aと平滑コンデンサ2bとの、2個のコンデンサ2を備える。
【0015】
図2図3に示すごとく、バスバー23は、電極部22に接続した接続部231と、該接続部231から延出する延出部232とを備える。この接続部231が、放熱部材3とコンデンサ素子21との間に介在している。延出部232は、後述する金属板14に接続している。バスバー23は、銅板等からなる。
【0016】
コンデンサ2は、耐湿部材24を備える。耐湿部材24は、コンデンサ素子21と電極部22とを覆うと共に、接続部231の一部を覆っている。接続部231の放熱部材3側の主面S1は、耐湿部材24から露出している。この主面S1を、放熱部材3に押し当てている。耐湿部材24は、エポキシ樹脂等の合成樹脂からなる。
【0017】
接続部231は、電極部22の主面S2を覆っている。耐湿部材24は、コンデンサ素子21の側面S3と、電極部22の側面S4とを覆うと共に、接続部231の側面S5の一部を覆っている。
【0018】
電極部22の主面S2は、接続部231から露出していない。すなわち、本例では、電極部22の主面S2を全て接続部231によって覆っている。電極部22はメタリコン電極によって形成されているため、微小な孔が存在しており、水分を通しやすい。また、コンデンサ素子21に水分が浸入すると、コンデンサ素子21の上記金属層211(図6参照)が酸化して、静電容量が低下するおそれがある。そのため本例では、コンデンサ素子21の側面S3、及び電極部22の側面S4を耐湿部材24によって覆うと共に、電極部22の主面S2を接続部231によって覆っている。これにより、耐湿部材24と接続部231とを用いて、外部から電極部22、コンデンサ素子21に水分が浸入することを防止している。
【0019】
また、接続部231は放熱部材3に押し当てられている。そのため、接続部231は冷却板としての機能も有する。すなわち、本例の接続部231は、コンデンサ素子21を冷却するための冷却板としての機能と、外部から水分が浸入することを防止する防水板としての機能と、コンデンサ素子21と他の部品とを電気接続するための機能とを兼ね備えている。
【0020】
図2図3に示すごとく、コンデンサ2の2個の電極部22(22a,22b)は、コンデンサ素子21の、X方向における両端に形成されている。それぞれの電極部22(22a,22b)に、バスバー23の接続部231(231a,231b)が接続している。個々の接続部231(231a,231b)は、上記放熱部材3によって冷却される。
【0021】
一方、本例の放熱部材3は、冷媒11が流れる流路12が内部に形成された冷却管3aである。冷却管3aは金属製である。冷却管3aと接続部231との間には、これらを絶縁する絶縁部材6が介在している。絶縁部材6はセラミック製である。
【0022】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、コンデンサ2以外の電子部品5(5,5)を備える。電子部品5には、半導体モジュール5とリアクトル5とがある。コンデンサ2(2a,2b)とリアクトル5と半導体モジュール5とは、金属板14によって電気接続されている。これにより、昇圧回路100(図7参照)及びインバータ回路101を構成している。
【0023】
本例では、電子部品5(5,5)と、コンデンサ2(2a,2b)と、冷却管3aとをX方向に積層して積層体10を形成してある。積層体10はケース13に収納されている。ケース13の第1壁部131と積層体10との間に、上記加圧部材4(板ばね)が配されている。この加圧部材4によって、積層体10をケース13の第2壁部132に向けて加圧している。これにより、コンデンサ2(2a,2b)と冷却管3aとの接触圧、及び電子部品5(5,5)と冷却管3aとの接触圧を確保すると共に、積層体10をケース10内に固定している。
【0024】
図1に示すごとく、X方向に隣り合う2つの冷却管3aは、一対の連結管17によって連結されている。連結管17は、パワー端子52(図5参照)の突出方向(Z方向)とX方向との双方に直交する幅方向(Y方向)における、冷却管3aの両端部にそれぞれ設けられている。また、一部の冷却管3aには、冷媒11を導入するための導入管15と、冷媒11を導出するための導出管16とが接続している。導入管15から冷媒11を導入すると、冷媒11は連結管17を通って全ての冷却管3a内を流れ、導出管16から導出する。これにより、コンデンサ2(2a,2b)と電子部品5(5,5)とを冷却している。
【0025】
図5に示すごとく、半導体モジュール5は、半導体素子50(図7参照)を内蔵する本体部51と、該本体部51から突出したパワー端子52と、制御端子53とを備える。パワー端子52には、直流電圧が加わる正極端子52p及び負極端子52nと、交流負荷81(図7参照)に接続される交流端子52cとがある。また、制御端子53は制御回路基板18に接続している。制御回路基板18によって上記半導体素子50のスイッチング動作を制御している。
【0026】
図7に示すごとく、本例では、フィルタコンデンサ2aと、リアクトル5と、一部の半導体モジュール5とによって、上記昇圧回路100を形成してある。また、他の半導体モジュール5と平滑コンデンサ2bとによって、インバータ回路101を形成してある。本例では、昇圧回路100を用いて直流電源8の電圧を昇圧し、その後、インバータ回路101を用いて直流電力を交流電力に変換している。そして、得られた交流電力を用いて、三相交流モータ81を駆動している。これにより、上記車両を走行させている。フィルタコンデンサ2aは、直流電源8から供給される電流Iに含まれるノイズ電流を除去している。また、平滑コンデンサ2bは、昇圧回路100によって昇圧された直流電圧を平滑化している。
【0027】
本例の作用効果について説明する。本例では、図2図3に示すごとく、X方向において、放熱部材3とコンデンサ素子21との間に、バスバー23の一部を介在させている。コンデンサ2と放熱部材3とは、X方向に加圧されている。
そのため、コンデンサ素子21の冷却効率をより高めることができる。すなわち、上記構成にすると、加圧力によって、バスバー23の一部を放熱部材3に押し付けることができる。そのため、放熱部材3によってバスバー23を効果的に冷却できる。上述したように、コンデンサ素子21は、誘電体210と、該誘電体210の表面に形成された金属層211とを備え、この金属層211が主に発熱する。金属層211は電極部22に接続し、該電極部22にバスバー23が接続しているため、バスバー23を冷却することにより、金属層211から発生した熱を、電極部22を介してバスバー23に伝えることができる。したがって、コンデンサ素子21の誘電体210が熱伝導の妨げになりにくく、コンデンサ素子21を効率的に冷却することが可能となる。
【0028】
また、本例では、バスバー23のうちコンデンサ素子21と放熱部材3との間に介在する部分(接続部231)は、放熱部材3側の主面S1が平坦になっている。
そのため、接続部231と放熱部材3との間に隙間が形成されにくくなり、接続部231を効率的に冷却することができる。したがって、コンデンサ素子21の冷却効率を高めることができる。また、接続部231に加わる加圧力を均等にすることができため、コンデンサ素子21に局所的に大きな加圧力が加わることを抑制できる。
【0029】
また、本例では、バスバー23の接続部231を、放熱部材3とコンデンサ素子21との間に介在させている。
そのため、コンデンサ2の冷却効率をより高めることができる。すなわち、図8に示すごとく、バスバー23の延出部232を、放熱部材3aとコンデンサ素子21との間に介在させることも可能であるが、この場合、延出部232からコンデンサ素子21までの伝熱距離が長くなるため、コンデンサ素子21の冷却効率が若干低下するおそれが考えられる。これに対して、図2図3に示すごとく、本例のように、バスバー23の接続部231を、放熱部材3とコンデンサ素子21との間に介在させれば、接続部231からコンデンサ素子21までの伝熱距離は短いため、コンデンサ素子21の冷却効率をより高めることができる。
【0030】
また、図2図3に示すごとく、本例では、接続部231の放熱部材3側の主面S1が、耐湿部材24から露出している。そのため、放熱部材3と接続部231との間に耐湿部材24が介在しなくなり、接続部231効率良く冷却することができる。したがって、コンデンサ素子の冷却効率を高めることができる。また、放熱部材3と接続部231との間に耐湿部材24が介在しないと、コンデンサ2のX方向長さを短くすることができ、コンデンサ2を小型化することができる。
【0031】
また、本例では、耐湿部材24によって、コンデンサ素子21の側面S3、及び電極部22の側面S4を覆っている。そして、電極部22の主面S2を、接続部231によって覆っている。そのため、外部から電極部22及びコンデンサ素子21に侵入する水分を、耐湿部材24及び接続部231によって遮蔽することができる。したがって、水分が浸入してコンデンサ2の静電容量が低下することを抑制できる。また、上記構成を採用すると、電極部22の主面S2を耐湿部材24によって覆う必要がないため、耐湿部材24の使用量を低減することができる。そのため、コンデンサ2を小型化することができる。
【0032】
また、本例では、接続部231と電極部922との間に、これらを接着する、はんだ等の接着部材7が存在している。この接着部材7が、接続部231の主面S1を覆わないように構成してある。
すなわち、仮に、図16に示すごとく、接着部材97が接続部9231の主面S1の一部を覆っていたとすると、絶縁部材96と接続部9231との間に隙間Gが形成され、接続部9231を冷却しにくくなる。これに対して、本例のように、接着部材7が接続部231の主面S1を覆わなければ、接続部231と絶縁部材6とを密着させることができ、接続部231を効果的に冷却することができる。そのため、コンデンサ素子21の冷却効率を高めることができる。
【0033】
また、図1に示すごとく、本例では、電子部品5(5,5)と、コンデンサ2と、冷却管3aとをX方向に積層して積層体10を形成している。コンデンサ2は電子部品5に電気接続されている。
そのため、コンデンサ素子21の冷却効率をより高めることができる。すなわち、上記構成にすれば、電子部品5からコンデンサ素子21へ、空間を介して伝わる熱を、冷却管3aによって遮蔽することができる。また、電子部品5からコンデンサ素子21へ、金属板14を介して伝わる熱は、冷却管3aによって冷却することができる。そのため、電子部品5からコンデンサ素子21へ熱が伝わることを効率的に抑制でき、コンデンサ素子21をより冷却しやすくなる。
【0034】
また、図2図3に示すごとく、本例では、コンデンサ2の2個の接続部231(231a,231b)を、両方とも冷却管3aによって冷却している。そのため、コンデンサ素子21の冷却効率をさらに高めることができる。
【0035】
また、図2に示すごとく、本例では、接続部231を延出部232よりも厚く形成してある。
そのため、接続部231の側面S5のうち電極部22から遠い部位から、延出部232を延出させつつ、上記側面S5のうち電極部22に近い部位を、耐湿部材24によって被覆することができる。したがって、接続部231の側面S5から水分が侵入することを、耐湿部材24によって効果的に防止できる。
【0036】
本発明によれば、コンデンサ素子の冷却効率をより高めることができる電力変換装置を提供することができる。
【0037】
以下の実施例においては、図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0038】
参考例1
本例は、コンデンサ2の構造を変更した例である。図8に示すごとく、本例では、コンデンサ2の2つのバスバー23a,23bのうち一方のバスバー23aの延出部232aを、耐湿部材24に隣り合う位置に配置してある。そして、この延出部232aを、X方向において、放熱部材3(冷却器3a)とコンデンサ素子21との間に介在させている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0039】
(実施例
本例は、耐湿部材24の構造を変更した例である。図9に示すごとく、本例の耐湿部材24は、耐湿フィルム240を巻回することにより形成されている。耐湿フィルム240は、コンデンサ素子21の側面S3と、電極部22の側面S4と、接続部231の側面S5の一部とを被覆している。
【0040】
本例の作用効果について説明する。耐湿フィルム240を巻回して耐湿部材24を形成する場合は、樹脂の成型体を用いる場合と比べて、耐湿部材24を薄くしやすい。そのため、コンデンサ2をより小型化することができる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0041】
(実施例
本例は、耐湿部材24の構造を変更した例である。図10に示すごとく、本例では、耐湿部材24によって、コンデンサ素子21の側面S3と、電極部22の側面S4と、接続部231の側面S5とを被覆すると共に、延出部232の一部を封止してある。本例の耐湿部材24は、合成樹脂の成型体により形成されている。
【0042】
本例の作用効果について説明する。本例では、耐湿部材24によって延出部232を封止しているため、延出部232を他の部材から絶縁することができる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0043】
(実施例
本例は、冷却管3aの数を変更した例である。図11に示すごとく、本例のフィルタコンデンサ2aは、金属製のケース13と、冷却管3aとの間に設けられている。フィルタコンデンサ2aの一方の接続部231a(図2参照)は、ケース13によって冷却されている。また、他方の接続部231bは、冷却管3aによって冷却されている。このように、本例では、ケース13を、放熱部材3として利用している。
【0044】
また、平滑コンデンサ2bは、冷却管3aとヒートシンク3cとの間に介在している。平滑コンデンサ2bの一方の接続部231a(図2参照)は、冷却管3aによって冷却されている。また、他方の接続部231bは、ヒートシンク3cによって冷却されている。ヒートシンク3cには、加圧部材4の加圧力が加わる。ヒートシンク3cは、加圧部材4の加圧力を均一化し、平滑コンデンサ2bに加圧力が局所的に加わることを抑制している。これにより、平滑コンデンサ2bが加圧力によって凹むことを防止している。このように、上記ヒートシンク3cは、平滑コンデンサ2bを冷却する放熱部材3としての機能と、加圧部材の加圧力を均一にする機能との、2つの機能を兼ね備えている。
【0045】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、冷却管3aの本数を低減することができる。そのため、電力変換装置1の製造コストを低減できる。また、電力変換装置1のX方向長さを短くすることができ、電力変換装置1を小型化することができる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0046】
(実施例
本例は、絶縁部材6の形状を変更した例である。図12に示すごとく、本例の絶縁部材6には、コンデンサ2側から冷却管3a側に凹む凹部60が形成されている。この凹部60に、バスバー23の接続部231が嵌合している。
【0047】
本例の作用効果について説明する。上記構成にすると、バスバー23と冷却管3aとの間の沿面距離を長くすることができる。そのため、バスバー23と冷却管3aとの間を絶縁しやすい。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0048】
(実施例
本例は、加圧部材4の構造を変更した例である。図13に示すごとく、本例では、積層体10をX方向に圧縮し、冷却管3aをX方向に弾性変形させた状態で、積層体10をケース13に収納している。積層体10は、ケース13の壁部131,132に挟まれている。そして、冷却管3aの弾性復帰力によって、コンデンサ2と冷却管3aとをX方向に加圧するよう構成してある。
このようにすると、専用の加圧部材4を設ける必要がないので、電力変換装置1のX方向長さを短くすることができる。そのため、電力変換装置1を小型化することができる。また、部品点数を低減できるため、電力変換装置1の製造コストを低減できる。
【0049】
また、本例では、実施例1と同様に、コンデンサ2(2a,2b)と冷却管3aとの間、及び電子部品5(5,5)と冷却管3aとの間に絶縁部材6が介在している。絶縁部材6は弾性材料からなる。電力変換装置1を使用するとコンデンサ2や電子部品5が発熱し、これらコンデンサ2、電子部品5が熱膨張する。本例では、コンデンサ2、及び電子部品5が熱膨張してX方向に力が発生した場合、この力を、絶縁部材6によって吸収している。
【0050】
すなわち、実施例1のように、専用の加圧部材4(板ばね)を設けている場合は、コンデンサ2等の熱膨張によって発生したX方向への力を、加圧部材4によって充分吸収できるが、本例のように専用の加圧部材4を設けず、冷却管3aが加圧部材4を兼ねている場合は、冷却管3aのみでは上記力を充分吸収できないおそれがある。そのため本例では、絶縁部材6によって上記力を吸収している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0051】
(実施例
本例は、放熱部材3の構造を変更した例である。図14に示すごとく、本例では、加圧部材4aを用いて、コンデンサ2を、金属製のケース13の壁部139に押し当てている。壁部139は、複数の放熱用突部138を備えたヒートシンク3cになっている。本例では、壁部139を、放熱部材3として利用している。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【0052】
参考例2
本例は、耐湿部材24の構造を変更した例である。図15に示すごとく、本例では、耐湿部材24によって、接続部231を全て覆っている。そして、コンデンサ2と冷却管3aとの間に絶縁部材6(図2参照)を設けていない。
【0053】
本例の作用効果について説明する。上記構造にすると、耐湿部材24によって接続部231と冷却管3aとの間を絶縁でき、絶縁部材6が不要となる。そのため、部品点数を低減でき、電力変換装置1の製造コストを低減できる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を備える。
【符号の説明】
【0054】
1 電力変換装置
10 積層体
2 コンデンサ
21 コンデンサ素子
22 電極部
23 バスバー
3 放熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16