特許第6435959号(P6435959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435959
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
   B62D 49/00 20060101AFI20181203BHJP
   B62D 65/06 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B62D49/00 C
   B62D65/06 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-67773(P2015-67773)
(22)【出願日】2015年3月28日
(65)【公開番号】特開2016-187970(P2016-187970A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塚本 清宏
(72)【発明者】
【氏名】三宅 悦朗
【審査官】 中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−173480(JP,A)
【文献】 特開2007−320504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 49/00
B62D 65/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の前部にエンジン(19)を内装するボンネット(4)を備え、
ボンネット(4)の後部には、ボンネット(4)を横軸芯に回動させる回動軸(18)を設け、
回動軸(18)は、走行車体(1)側に設ける回動軸支持体(21)で支持される構成とし、
回動軸支持体(21)には、回動軸(18)を挿入する挿入口部(23)と、挿入口部(23)に挿入した回動軸(18)を案内する案内孔部(24)と、案内孔部(24)と連通して回動軸(18)を保持する保持孔部(25)を形成し
案内孔部(24)は挿入口部(23)から後方に向かって形成し、案内孔部(24)の後部に保持孔部(25)を設け、
案内孔部(24)は、挿入口部(23)の下方から後方に延びる第一の案内孔部(24a)と、第一の案内孔部(24a)の後端部の下方から後方に延びる第二の案内孔部(24b)を設け、第二の案内孔部(24b)の後端部に保持孔部(25)を設けたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
保持孔部(25)の回動軸(18)が案内孔部(24)に沿い移動するのを規制する規制部材(27)を設けたことを特徴とする請求項1記載のトラクタ。
【請求項3】
規制部材(27)はフランジ部材であり、該フランジ部材(27)はボルト(26)で回動軸支持体(21)に取り付けられる構成又はフランジ部(27)とボルト(26)を一体に構成するものであって、回動軸支持体(21)に取り付けられたフランジ部材(27)の一部を、保持孔部(25)の前側に位置する構成とすることを特徴とする請求項2記載のトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボンネットの後部に回動軸を設け、ボンネットを回動させる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−292274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組立等で、ボンネットを取り付けるにあたって、トラクタの周囲の部材に当接して傷が付くのを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、請求項1の発明は、
走行車体(1)の前部にエンジン(19)を内装するボンネット(4)を備え、
ボンネット(4)の後部には、ボンネット(4)を横軸芯に回動させる回動軸(18)を設け、
回動軸(18)は、走行車体(1)側に設ける回動軸支持体(21)で支持される構成とし、
回動軸支持体(21)には、回動軸(18)を挿入する挿入口部(23)と、挿入口部(23)に挿入した回動軸(18)を案内する案内孔部(24)と、案内孔部(24)と連通して回動軸(18)を保持する保持孔部(25)を形成し
案内孔部(24)は挿入口部(23)から後方に向かって形成し、案内孔部(24)の後部に保持孔部(25)を設け、
案内孔部(24)は、挿入口部(23)の下方から後方に延びる第一の案内孔部(24a)と、第一の案内孔部(24a)の後端部の下方から後方に延びる第二の案内孔部(24b)を設け、第二の案内孔部(24b)の後端部に保持孔部(25)を設けたことを特徴とするトラクタとする。
【0006】
【0007】
【0008】
請求項2記載の発明は、
保持孔部(25)の回動軸(18)が案内孔部(24)に沿い移動するのを規制する規制部材(27)を設けたことを特徴とする請求項1記載のトラクタとする。
【0009】
請求項3記載の発明は、
規制部材(27)はフランジ部材であり、該フランジ部材(27)はボルト(26)で回動軸支持体(21)に取り付けられる構成又はフランジ部(27)とボルト(26)を一体に構成するものであって、回動軸支持体(21)に取り付けられたフランジ部材(27)の一部を、保持孔部(25)の前側に位置する構成とすることを特徴とする請求項2記載のトラクタとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、簡単な構成で、ボンネットを組み付けることができる。
【0011】
また、ボンネットの回動軸孔の挿入口部を保持孔部より前側にあるため、ボンネットの挿入の際に、ボンネットの後端部が周辺の部材に当接して傷が付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トラクタの側面図
図2】トラクタの斜視図
図3】トラクタの斜視図
図4】ボンネットの斜視図
図5】(A)底面から見たボンネットの内部を示す図、(B)側面から見たボンネットの内部を示す図
図6】側面から見たボンネットの解放状態を示す図
図7】(A)側面から見たボンネットの組み付けを示す図、(B)回動軸支持体の部分拡大図
図8】後斜めから見たボンネットを示す図
図9】回動軸支持体を示す図
図10】(A)(B)ハーネスの配索を示す図、(C)樹脂製シートによるハーネス斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態のトラクタについて以下、説明する。
【0014】
トラクタは、前輪2及び後輪3を備える走行車体1を備える。走行車体1の前部にはエンジンを内装するボンネット4を備える。運転席5はキャビン6の内部に設けられている。ボンネット4の左右一側(実施例では右側)に上下方向に延びる排気管7を設けている。
【0015】
ボンネット4は、その前部に前照灯8を設ける。前照灯8は、左右一対設け、それぞれはボンネット4の前端部からボンネット4の側方に張り出す構成としている。
【0016】
ボンネット4の前面に前部外気導入口9を設け、ボンネット4の前部の左右両側面にはそれぞれ側部外気導入口10を設け、ボンネット4の前部上面には左右一対の上部外気導入口11を形成する。前部外気導入口9にはフロントグリル9aを設け、側部外気導入口10にはサイドグリル10aを設け、上部外気導入口11にはアッパグリル11aを設ける。これにより、ボンネット4の前面と左右両側面と上面からそれぞれ外気を吸引できる構成である。
【0017】
ボンネット4の内部には各種補強プレートを備えている。補強プレートは、ボンネット4の内部の前側に左右方向に延びる第一補強プレート12と、ボンネット4の後部に左右方向に延びる第二補強プレート13と、第一補強プレート12と、第二補強プレート13の間に左右方向に延びる第三補強プレート14を設けている。第二補強プレート13の中間部と第三補強プレート14の中間部を前後方向に延びる第四補強プレート15で連結している。ボンネット4の後部の内側面に上下方向に延びる第五補強プレート16と第六補強プレート17を設けている。
【0018】
ボンネット4の後端部の内部には左右方向に延びる回動軸18を設けている。エンジン19の後方に上下方向に延びるダッシュボード20を設け、ダッシュボード20に上部に回動軸18を支持する左右一対の回動軸支持体21を設けている。回動軸支持体21は下狭まりの三角形状のプレートで構成され、その上部に回動軸18を挿入して保持する回動軸孔22を切り欠いて形成している。
【0019】
回動軸孔Aは、回動軸18を挿入する挿入口部23と、挿入口部23に挿入した回動軸18を案内する案内孔部24と、案内孔部24を通過させた回動軸18を保持する保持孔部25を設ける。挿入口部23と案内孔部24と保持孔部25は連通する構成としている。さらに、詳述すると、挿入口部23は回転軸支持体21の上端面から下方に向かって形成し、案内孔部24は、挿入口部23の下方にその前端部を設け、該前端部から後方に延びる第一の案内孔部24aと、第一の案内孔部24aの後端部の下方から後方に延びる第二の案内孔部24bを形成し、案内孔部24は側面視で階段状に形成している。そして、第二の案内孔部24bの後端部に保持孔部25を設けている。
【0020】
第二の案内孔部24bの下方に着脱自在のボルト26を設ける。ボルト26にはフランジ部27を一体形成しており、ボルト26を締めた時にフランジ部27の上部が、側面視で第二の案内孔部24bとラップする構成である。なお、ボルト26とフランジ部27は一体でなくても、ボルト26を締めた時にフランジ部27が回動軸支持体21の側面に当接する構成にしてもよい。
【0021】
次に、ボンネット4の回動軸支持体21への取り付けについて説明する。
【0022】
ボンネット4の回動軸18を挿入口部23に挿入する。次いで、回動軸18を第一の案内孔部24a・第二の案内孔部24bに沿って保持孔部25まで案内する。そして、ボルト26を締めるとフランジ部27が回動軸18の前方に位置することになり、回動軸18が保持孔部25から抜けることを規制する。
【0023】
そして、ボンネット4は回動軸18を支点に、その前側を上下方向に回動することで、ボンネット4の内部のエンジン19周辺の解放・閉鎖ができる構成である。ボンネット4の回動はエンジン19の上方に設ける支持プレート29と、ボンネット4の内部の天井とを連結するダンパ28により、ボンネット4の回動動作を補助し、また、ボンネット4の解放状態を支持する構成である。
【0024】
ボンネット4を外すときには、ボルト26を外し、回動軸18を回動軸孔Aから取り出す構成である。
【0025】
本実施の形態のように、ボンネット4を前側の挿入口部23から挿入し、後側の保持孔部25で保持するため、着脱時に後方のキャビン6のフロントガラス36やワイパー35の障害物にボンネット4が当接するのを防止できる。
【0026】
次に、前照灯8,8及びホーン30のハーネス31の保護構成について説明する。
【0027】
ボンネット4の前部上方の左右に前照灯装着孔を介して前後突出状に左右一対の前照灯8,8を設け、ボンネット4の内側には前照灯8,8の間に警報用のホーン30を設け、これら前照灯8,8にはハーネス31a,31aを接続し、ホーン30にはハーネス31bを接続している。これらハーネス31a,31a,31bは、ボンネット側コネクタ32に接続されている。該コネクタ32は、キャビン側コントローラや操作部からのキャビン側ハーネス(図示せず)に適宜にコネクタ(図示せず)接続される構成である。
【0028】
前記前照灯8,8用ハーネス31a,31aとホーン30用ハーネス31bはその途中集合部Sで束ねて前記ボンネット側コネクタ32に至るものである。前照灯8,8用ハーネス31a,31a及びホーン30用ハーネス31bの集合部Sまでは、コルゲートチューブ33a,33aやビニールチューブ33bで保護している。また、集合部Sからボンネット側コネクタ32までは塩化ビニールシートなどの樹脂性シート部材33cで束ね、適宜間隔毎に外周面をビニールテープ(図示せず)で巻くか、巻き残りの余剰部を重合してステープル止めなどして一体化している。上記のように樹脂性シート31cで保護した集合部Sからボンネット側コネクタ32までの長尺部分は、該ボンネット4の天井部や側壁の内側に適宜にクランプ止めして保持させている。
【0029】
このように、複数のハーネスを束ねる箇所を樹脂製シート部材31cで保護する構成とするから、ハーネス本数に関わらず汎用のシート部材を利用でき、コスト低廉化できる。
【0030】
塩化ビニールシートなどの樹脂製シート31cの耐熱性に配慮する場合は、エンジン近傍の部分において、ボンネット4を内外2重の構成としてその間に配置するとよい。
【符号の説明】
【0031】
1 走行車体
4 ボンネット
18 回動軸
19 エンジン
21 回動軸支持体
23 挿入口部
24 案内孔部
24a 第一の案内孔部
24b 第二の案内孔部
25 保持孔部
26 ボルト
27 規制部材(フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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