特許第6435984号(P6435984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6435984
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 19/06 20060101AFI20181203BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20181203BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20181203BHJP
   F02D 41/14 20060101ALI20181203BHJP
   F02D 41/02 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   F02D19/06 B
   F02D45/00 368H
   F02D41/04 325Z
   F02D41/14 310D
   F02D41/02 301K
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-99362(P2015-99362)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-217160(P2016-217160A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【弁理士】
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100143797
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 文徳
(72)【発明者】
【氏名】中島 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 聡
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 雅紀
【審査官】 佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/136387(WO,A1)
【文献】 特開2009−036023(JP,A)
【文献】 特開2011−220284(JP,A)
【文献】 特開2003−020967(JP,A)
【文献】 特開2013−224649(JP,A)
【文献】 特開2014−190311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 19/06
F02D 41/02
F02D 41/04
F02D 41/14
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリン用燃料噴射弁及びガス燃料用燃料噴射弁と、排気系に配設された空燃比センサとを備えた内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関にガソリンを供給せずにガス燃料を供給した場合における目標空燃比と前記空燃比センサにより検出された実空燃比との差が第1規定値を超え、且つ、前記内燃機関にガス燃料を供給せずにガソリンを供給した場合における目標空燃比と前記空燃比センサにより検出された実空燃比との差が第2規定値を超えない状態となることを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記状態となったことが検知されたときに、ガス燃料にオイルが混入した旨の警告を発する警告手段と、
前記検知手段により前記状態となったことが検知された後、ガス燃料を供給せずにガソリンを供給している場合であるガソリン運転中において、前記内燃機関へのガソリン供給が前記内燃機関のクランクシャフトの回転中に停止されるときに、前記ガス燃料用燃料噴射弁を空打ちすることにより前記ガス燃料用燃料噴射弁を掃気する掃気手段と、
を含むことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料としてCNGとガソリンとを使用可能なエンジンの燃焼状態が正常か異常かを、空燃比フィードバック量に基づき、燃料切替の前後において判定し、双方の判定結果から、エンジンの異常部位を特定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/136387号
【特許文献2】特開2013−224649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CNG等のガス燃料を車両に充填するスタンドでは、ガス燃料をコンプレッサで加圧するため、車両内のガス燃料タンク内にコンプレッサオイル(以下、単にオイルと表記する)が混入することがある。従って、燃料としてガス燃料とガソリンとを使用可能なエンジンでは、ガス燃料に混入したオイルがインジェクタに流入することにより、インジェクタがつまる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ガソリン用燃料噴射弁とガス燃料用燃料噴射弁とを備えた内燃機関におけるガス燃料用燃料噴射弁のつまりを抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の、ガソリン用燃料噴射弁及びガス燃料用燃料噴射弁と、排気系に配設された空燃比センサとを備えた内燃機関の制御装置は、前記内燃機関にガソリンを供給せずにガス燃料を供給した場合における目標空燃比と前記空燃比センサにより検出された実空燃比との差が第1規定値を超え、且つ、前記内燃機関にガス燃料を供給せずにガソリンを供給した場合における目標空燃比と前記空燃比センサにより検出された実空燃比との差が第2規定値を超えない状態となることを検知する検知手段と、前記検知手段により前記状態となったことが検知されたときに、ガス燃料にオイルが混入した旨の警告を発する警告手段と、前記検知手段により前記状態となったことが検知された後、ガス燃料を供給せずにガソリンを供給している場合であるガソリン運転中において、前記内燃機関へのガソリン供給が前記内燃機関のクランクシャフトの回転中に停止されると
きに、前記ガス燃料用燃料噴射弁を空打ちすることにより前記ガス燃料用燃料噴射弁を掃気する掃気手段と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガス燃料用燃料噴射弁が空打ちされるため、ガス燃料用燃料噴射弁のつまりを抑制することができる。また、本発明によれば、ガス燃料にオイルが混入したことをユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置を適用した内燃機関システムの概略構成図である。
図2A図2Aは、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECUが行うオイル混入検出処理の流れ図である。
図2B図2Bは、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECUが行うオイル混入対応処理の流れ図である。
図3図3は、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECUが行うオイル混入検出処理及びオイル混入対応処理の内容の説明図である。
図4図4は、第2実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECUが行うオイル混入検出処理の流れ図である。
図5図5は、第2実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECUが行うオイル混入検出処理及びオイル混入対応処理の内容の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1に、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置を適用した内燃機関システムの概略構成を示す。
【0011】
まず、図1に示した内燃機関システムの構成を説明する。この内燃機関システムは、車両に搭載されるシステムである。図示してあるように、内燃機関システムは、内燃機関10、ガソリンタンク20、CNGタンク30、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)40等を、備える。
【0012】
内燃機関10は、各気筒に点火プラグ11が取り付けられている4気筒の内燃機関である。内燃機関10の各吸気ポート10aには、フィードポンプ21により送られてくるガソリンタンク20内のガソリンを吸気ポート10a内に噴射するためのガソリン用インジェクタ25が設けられている。
【0013】
内燃機関10の各吸気ポート10aは、インテークマニホールド(以下、インマニとも表記する)13を介して吸気通路15と接続されている。吸気通路15には、エアクリーナ41、空気量センサ51、スロットルバルブ42が、この順に上流側から配設されている。
【0014】
インマニ13には、インマニ13の温度を検出するための温度センサ52と、インマニ13内の圧力を検出するための圧力センサ53とが取り付けられている。また、インマニ13の各枝管13aには、CNGタンク30からのCNGを吸気ポート10aに向けて噴射するCNG用インジェクタ35が設けられている。
【0015】
各CNG用インジェクタ35は、CNG用デリバリ32及びガス配管31を介してCNGタンク30と接続されている。ガス配管31の途中には、CNG用デリバリ32に供給するCNGの圧力を調整するためのレギュレータ33が配設されている。尚、このレギュレータ33は、CNG用デリバリ32側へのCNGの供給を遮断するためのCNG遮断弁、及び、レギュレータ33を通過するCNGからオイルを除去するためのオイルフィルターを備えたものである。
【0016】
ガス配管31のレギュレータ13よりも上流側(CNGタンク30側)の部分には、それぞれ、ガス配管31内のCNGの圧力、温度を測定するための圧力センサ54、温度センサ55が設けられている。
【0017】
内燃機関10の各排気ポート(図示略)には、エキゾーストマニホールド(以下、エキマニとも表記する)17を介して排気通路18が接続されている。エキマニ17のコレク
ター部17aには、空燃比(A/F)を検出するための空燃比センサ56が設けられている。また、排気通路18の途中には、内燃機関10の排気を浄化するための触媒44が設けられている。
【0018】
ECU40は、上記したセンサ51〜56やアクセル開度センサ58等からの信号に基づき、内燃機関システムの各部(インジェクタ25,26等)を統合的に制御するユニットである。ECU40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory;本実施形態では、フラッシュROM)、RAM(Random Access Memory)等で構成
されており、ECU40のROMには、CPUが実行するプログラム(ファームウェア)が記憶されている。また、ECU40には、内燃機関システムを搭載した車両のインストルメント・パネルに設けられているエンジン警告灯46、オイルオーバーフロー警告灯47等も電気的に接続されており、ECU40は、各警告灯46、47の制御も行う。
【0019】
以下、ECU40の機能を具体的に説明する。
【0020】
ECU40は、基本的には、状況に応じて燃料を切り替えつつ、空燃比センサ56により検知される空燃比(以下、実空燃比とも表記する)を目標空燃比とする空燃比フィードバック制御を行うユニットである。尚、“状況”とは、暖機が完了しているか否か、ユーザ(ドライバ)がガソリン運転を希望しているか否か、要求負荷がCNG運転可能な負荷(低中負荷)であるか否か等の状況のことである。
【0021】
ただし、ECU40は、CNG運転時、図2Aに示した手順のオイル混入検出処理を繰り返すように構成(プログラミング)されている。
【0022】
オイル混入検出処理の実行を開始したECU40は、図示してあるように、まず、定常時における空燃比センサ56の振れ幅ΔAFを検出する(ステップS101)。尚、定常時とは、目標空燃比の時間変化量が予め定められている変化量閾値以下である期間(時間帯)のことである。また、空燃比センサ56の振れ幅ΔAFとは、空燃比センサ56の出力(実空燃比を示す値)の振れ幅のことである。
【0023】
その後、ECU40は、検出した振れ幅ΔAFが、第1規定値を超えているか否かを判断する(ステップS102)。ここで、第1規定値とは、振れ幅ΔAFが、その値より大きな場合、CNG用インジェクタ35にオイルが流入し、その結果として気筒内にオイルが供給されている(又は、空燃比センサ56及び/又はECU40に何らかの故障が生じている)と判断できるように予め設定される値(例えば、1.0)のことである。
【0024】
尚、既に説明したように、ECU40は、実空燃比を目標空燃比とする空燃比フィードバック制御を行うユニットである。従って、振れ幅ΔAFを規定する値が大きな方の空燃比は、通常、目標空燃比とほぼ一致する。そのため、上記内容の判断で、内燃機関10にガソリンを供給せずにCNGを供給した場合における目標空燃比と空燃比センサ56により検出された実空燃比との差が第1規定値を超えるか否かを判断できることになる。
【0025】
振れ幅ΔAFが第1規定値を超えていなかった場合(ステップS102;NO)、ECU40は、このオイル混入検出処理を終了する。
【0026】
一方、振れ幅ΔAFが第1規定値を超えていた場合(ステップS102;YES)、ECU40は、図2Bに示した手順のオイル混入対応処理を開始して、まず、ガソリン運転に切り替える処理(ステップS110)を行う。すなわち、ECU40は、このステップS110にて、内燃機関10に供給する燃料を、CNGからガソリンに変更するための処理を行う。
【0027】
尚、流れ図(図2A)への表記は省略してあるが、ECU40は、上記したオイル混入検出処理の実行中に、“ΔAF>第1規定値”とは異なるガソリン運転への切り替え条件が満たされた場合(ユーザがガソリン運転を要求した場合、要求負荷が高負荷となった場合等)には、オイル混入検出処理を終了して、内燃機関10のガソリン運転を開始する。
【0028】
ステップS110にて、ECU40は、所定時間の経過を待機する処理も行う。ここで、所定時間とは、燃料をCNGからガソリンへ切り替えた後、振れ幅ΔAFが安定するまでに要する時間として予め定められている時間のことである。
【0029】
そして、所定時間の経過を待機したECU40は、ステップS110の処理を終了して、定常時における空燃比センサ56の振れ幅ΔAFを検出する(ステップS111)。
【0030】
次いで、ECU40は、検出した振れ幅ΔAFが、第2規定値を超えているか否かを判断する(ステップS112)。ここで、第2規定値とは、振れ幅ΔAFが、その値より大きな場合、空燃比センサ56及び/又はECU40に何らかの故障が生じていると判断できるように予め設定される値のことである。尚、この第2規定値は、上記した第1規定値と同じ値であっても良い。
【0031】
振れ幅ΔAFが第2規定値を超えていた場合(ステップS112;YES)、ECU40は、エンジン警告灯46を点灯させて(ステップS113)から、このオイル混入対応処理を終了する。
【0032】
すなわち、CNG運転中の振れ幅ΔAFが第1規定値を超えており(図2A:ステップS102;YES)、ガソリン運転中の振れ幅ΔAFが第2規定値を超えている場合(図2B:ステップS112;YES)、空燃比センサ56及び/又はECU40に何らかの故障が生じていると判断することが出来る。そのため、この場合、修理が必要である旨をユーザ(ドライバ)に通知するために、エンジン警告灯46が点灯される。
【0033】
以下、振れ幅ΔAFが第2規定値以下である場合(ステップS112;NO)におけるECU40の制御内容を、図3も用いて説明する。
【0034】
振れ幅ΔAFが第2規定値以下である場合(ステップS112;NO)、ECU40は、ステップS114にて、オイルオーバーフロー警告灯47を点灯させる処理と、CNG運転を禁止する処理とを行う。さらに、ECU40は、ステップS114において、後述するステップS115におけるCNG用インジェクタの空打ちを可能とするために、レギュレータ33のCNG遮断弁を閉じる処理も行う。
【0035】
すなわち、図3(A)に模式的に示したように、CNG運転中の振れ幅ΔAFが第1規定値を超えており、ガソリン運転への切り替え後の振れ幅ΔAFが第2規定値以下である場合、レギュレータ33のオイルフィルターがオーバフローしてオイルがCNG用インジェクタ35に流入したと判断することが出来る。そのため、オイルオーバーフロー警告灯46を点灯させることにより、図3(B)に示してあるように、ユーザに、CNGにオイルが混入した旨(オイルフィルターからオイルがオーバフローした旨、オイルフィルター内のオイルを排出すべき旨)の警告がなされる。また、オイルフィルターによりオイルが除去できない状態でCNG運転が行われることは好ましいことではない。そのため、CNG運転を禁止する処理(CNG運転が禁止されていることを記憶する処理)も行われる。
【0036】
ステップS114(図2B)の処理を終えたECU40は、ステップS115にて、内燃機関10へのガソリン供給が内燃機関10のクランクシャフトの回転中に停止されると
き(図2Bでは、“ガソリン供給停止時”)に、CNG用インジェクタ35を空打ちすることによって、CNG用インジェクタ35を掃気する処理を行う。
【0037】
具体的には、このステップS115にて、ECU40は、実行中の他処理により燃料カットが開始されるのを待機(監視)する。燃料カットが開始された場合、ECU40は、レギュレータ33のCNG遮断弁から各CNG用インジェクタ35までのデッドボリュームを吹き切れる時間として予め設定されている時間(例えば、5サイクル分の時間)だけ、CNG用インジェクタ35を空打ちする(図3(B)、(C)参照)。
【0038】
そして、上記内容の空打ちを終えたECU40は、ステップS115の処理及びこのオイル混入対応処理(図2Bの処理)を終了する。
【0039】
以上、説明したように、ECU40は、内燃機関10にガソリンを供給せずにCNGを供給した場合におけるΔAFが第1規定値を超え、内燃機関10にCNGを供給せずにガソリンを供給した場合におけるΔAFが第2規定値を超えない状態となったことを検知した場合(ステップS102;YES、S112;NO)、CNGにオイルが混入した旨の警告を発する(ステップS114)。また、ECU40は、その後、内燃機関10へのガソリン供給が内燃機関10のクランクシャフトの回転中に停止されるときに、CNG用インジェクタ35を空打ちする(ステップS115)ことによって、CNG用インジェクタ35を掃気する。
【0040】
従って、ECU40によれば、CNG用インジェクタ35のつまりを抑制することができると共に、CNGにオイルが混入したことをユーザに通知することができる。
【0041】
《第2実施形態》
以下、第1実施形態の説明時に用いたものと同じ符号を用いて、本発明の第2実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECU40について、第1実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECU40と異なる部分を中心に説明する。尚、以下では、第1、第2実施形態に係る内燃機関の制御装置としてのECU40のことを、それぞれ、第1、第2ECU40と表記する。
【0042】
第2ECU40は、上記したオイル混入検出処理(図2A;以下、第1オイル混入検出処理とも表記する)の代わりに、図4に示した手順のオイル混入検出処理(以下、第2オイル混入検出処理とも表記する)を実行するように、第1ECU40を変形したユニットである。
【0043】
この第2オイル混入検出処理のステップS201の処理は、第1オイル混入検出処理(図2A)のステップS101の処理と同じ処理である。
【0044】
続くステップS202では、『ΔAF>第1規定値』が成立しているか否かではなく、単位時間(例えば、3000サイクル分の時間)当たりの『ΔAF>第1規定値』の成立回数が、閾値(例えば、10)を超えているかが判断される。
【0045】
そして、第2ECU40は、単位時間当たりの『ΔAF>第1規定値』の成立回数が、閾値を超えていなかった場合(ステップS202;NO)には、第2オイル混入検出処理を終了する。また、第2ECU40は、単位時間当たりの『ΔAF>第1規定値』の成立回数が、閾値を超えていた場合(ステップS202;YES)には、上記したものと同内容のオイル混入対応処理(図2B)を実行する。
【0046】
『ΔAF>第1規定値』が成立しているか否かで、CNG用インジェクタ35にオイル
が流入しているか否かを判断する第1オイル混入検出処理では、空燃比センサ56の出力に一時的に大きなノイズが載ってしまった場合等に誤判定がなされることが考えられる。一方、単位時間当たりの『ΔAF>第1規定値』の成立回数が閾値を超えているか否かでCNG用インジェクタ35にオイルが流入しているか否かを判断するようにしておけば、図5に示してあるような状況となった場合に限り、CNGにオイルが混入したと判定されるようにすることが出来る。従って、第2ECU40によれば、誤判定が殆どない形で、CNGにオイルが混入したことをユーザに通知することができることになる。
【0047】
《変形形態》
上記した技術は、各種の変形を行うことが出来るものである。例えば、各実施形態に係るECU40を、上記したものと同様の判断を、ガソリン運転からCNG運転への切り替え時に行うユニットに変形しても良い。また、オイル混入対応処理(図2B)を、オイルが混入したことをユーザに音声等で通知する処理に変形しても良い。また、ECU40により制御される内燃機関10が、インジェクタ25、35の取り付け位置が上記したものとは異なる内燃機関、CNGの供給系にオイルフィルターが設けられていない内燃機関、CNGではないガス燃料(例えば、水素)が使用される内燃機関、船舶用の内燃機関等であっても良いことは、当然のことである。
【符号の説明】
【0048】
10・・・内燃機関
10a・・・吸気ポート
11・・・点火プラグ
13・・・インテークマニホールド
13a・・・枝管
15・・・吸気通路
17・・・エキゾーストマニホールド
17a・・・コレクター部
18・・・排気通路
20・・・ガソリンタンク
21・・・フィードポンプ
25・・・ガソリン用インジェクタ
30・・・CNGタンク
31・・・ガス配管
32・・・CNG用デリバリ
33・・・レギュレータ
35・・・CNG用インジェクタ
40・・・ECU
41・・・エアクリーナ
42・・・スロットルバルブ
44・・・触媒
46・・・エンジン警告灯
47・・・オイルオーバーフロー警告灯
51・・・空気量センサ
52,55・・・温度センサ
53,54・・・圧力センサ
56・・・空燃比センサ
58・・・アクセル開度センサ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5