(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貴金属類を含有する金属義歯又は貴金属類を含有する金属補綴物を切削加工する際に生ずる貴金属類の切削屑を収集するための受け皿を有する歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置であって、前記受け皿はその一部に切削屑の収集排出口を有し、前記収集排出口には、当該収集排出口を覆う金網が設けられており、前記金網は、切削屑は通過するが、切削加工される貴金属類を含有する金属義歯又は貴金属類を含有する金属補綴物は通過しない目開きの金網であり、前記受け皿のおもて面は、前記収集排出口に向かって切削屑が前記収集排出口に到達可能なように、前記受け皿の周囲から前記収集排出口に向かって下る傾斜面が形成されており、前記収集排出口の下部は筒状に下方に突出する排出筒を有しており、前記排出筒の下方近傍に収集容器が配置されており、且つ、前記排出筒が、着脱可能に前記収集容器に固定されるよう嵌め込まれており、
更に、前記受け皿は、前記受け皿の周囲のうち、作業者側から見て左右側の縁の一部が他の周囲の縁より低くされている部分を有していて、前記受け皿の周囲のうち、作業者側の縁に、透明な切削屑飛散防止壁が設けられており、
また、前記収集容器を底部が広い収集容器とするか、または、前記収集容器の底部の外周側に前記収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台を設けてなる
ことを特徴とする歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置。
【背景技術】
【0002】
義歯は、セラミック、プラスチック、金属などがその材料として使用され、金属義歯の材料としては、貴金属系合金などの銀や金が含まれる金属なども使用されている。また、金属補綴物は、虫歯の箇所を削った後に入れる詰め物とか、クラウンとも称される金属のかぶせものなども用いられておりその材料として貴金属も用いられる。
【0003】
金属義歯や金属補綴物を作るには、患者の歯型を象った鋳型を用いて溶解金属をほぼ所定の形状に鋳造し、得られた鋳造体を更に患者の当該歯の形状に合うようヤスリ部を有する回転トリマーなどを使用して切削トリミングし、その他適宜の研磨器具を使用し光沢を出すなどの加工をする必要がある。
【0004】
しかし、これらの金属義歯や金属補綴物を、銀や金などの貴金属類を用いて作成する場合に、切削粉などの切削屑がでる。貴金属類は高価なので、これらを収集して再利用することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記非特許文献1には、歯科材料の技工作業用ボックスが提案されている。用途として粉塵飛散防止が示されているが、バキュームホースの取り付け口が、ボックス底面より若干上方に位置されており、これから明らかなように、これ等の主たる用途は、石膏段階における義歯模型の切削や樹脂やセラミックなどの義歯の形状調整のための切削等が主流であり、バキュームホースで簡単に吸引できる石膏粉塵、樹脂粉、セラミック粉塵などを廃棄することに使用されている。本発明の対象となる貴金属類からなる義歯や補綴物の切削屑の回収にも用いうるが、比重が大きく底部に堆積しやすい貴金属粒子や粉末などの屑の回収には、ボックスを持ち上げて、開けて、底部に堆積した貴金属粒子や粉末などの屑かき集めて収集しなければならず、このような屑収集用には不便であるし、両脇の腕挿入孔から腕を挿入して作業をするので、長時間作業をする場合に腕挿入孔のまわりの縁に腕が当たって痛みをおぼえ、長時間の作業がしづらいなどの問題がある。
【0007】
本発明は、貴金属類を用いた金属義歯や、金属補綴物を切削加工する際に生じた切削粉や切削粒状物などの切削屑を収集するためのより簡便で、使用しやすい装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置は以下の構成を有する。
【0009】
(1)貴金属類を含有する金属義歯又は貴金属類を含有する金属補綴物を切削加工する際に生ずる貴金属類の切削屑を収集するための受け皿を有する歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置であって、前記受け皿はその一部に切削屑の収集排出口を有し、収集排出口には、当該収集排出口を覆う金網が設けられており、前記金網は、切削屑は通過するが、切削加工される貴金属類を含有する金属義歯又は貴金属類を含有する金属補綴物は通過しない目開きの金網であり、前記受け皿のおもて面は、前記収集排出口に向かって切削屑が前記収集排出口に到達可能なように、受け皿の周囲から収集排出口に向かって下る傾斜面が形成されており、前記収集排出口の下部は筒状に下方に突出する排出筒を有しており、前記排出筒の下方近傍に収集容器が配置されており、且つ、前記受け皿の周囲のうち、作業者側の縁側の位置に、透明な切削屑飛散防止壁が設けられていることを特徴とする歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置。
【0010】
(2)前記(1)項に記載の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置においては、前記排出筒が、着脱可能に収集容器に固定されるよう嵌め込まれていることが好ましい。
【0011】
(3)前記(1) 〜(2)項のいずれか1項に記載の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置においては、受け皿が、受け皿の周囲のうち、作業者側から見て左右側の縁の一部が他の周囲の縁より低くされている部分を有することが好ましい。
【0012】
(4)前記(1) 〜(3)項のいずれか1項に記載の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置においては、収集容器が底部が広い収集容器とするか、または、収集容器の底部の外周側に収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台を設けた歯科技工作業用の貴金属類の収集装置が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
(1)上記、本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置によれば、切削により生じた貴金属類の粉末や粒状物などの切削屑が容易に収集容器に収集でき、収集容器を取り出すことにより、容易に切削屑を得ることができる。しかも、通常、切削用トリマーなどの切削部の回転は、切削屑が飛散する場合、作業者側に切削屑が飛散するように作業することが多いので、前記受け皿の周囲のうち、作業者側の縁側の位置に、透明な切削屑飛散防止壁が設けられていることにより、切削屑が受け皿の外に飛び出ることを防止でき、飛散防止壁が透明であるので、作業者は、当該飛散防止壁を通して、作業を注視することも可能となる。また切削作業を行う場合、作業者の上肢は、受け皿の左右両側面側から受け皿の上に手を伸ばして作業をするが、受け皿の左右両側面には、特に飛散防止壁などが設けられていないので、作業がやりやすく、前記非特許文献1で言及した技工作業用ボックスのように、両脇の腕挿入孔から腕を挿入して作業をすることにより、長時間作業をする場合に腕挿入孔のまわりの縁に腕が当たって痛みをおぼえ、長時間の作業がしづらいなどの問題を解消できる。しかも収集排出口に、収集排出口を覆う金網が設けられており、前記金網は、切削屑は通過するが、切削加工される貴金属類を含有する金属義歯又は貴金属類を含有する金属補綴物は通過しない目開きの金網であるであるので、切削作業中に、しばしば生じる、誤って切削対象である金属義歯や金属補綴物を受け皿上に落としてしまった場合でも、金属義歯や金属補綴物が収集容器に入ってしまうのを金網により防止できるので、いちいち、収集容器を取り外して、金属義歯や金属補綴物を収集容器の中から取り出す作業をしなくて済み、好ましい。
【0014】
(2)上記(2)項に記載のように、受け皿の排出筒が、着脱可能に収集容器に固定されるよう嵌め込まれている歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置とする好ましい態様とすることにより、切削作業時に作業者の上肢が受け皿に当たって受け皿の排出筒が、収集容器から外れるなどして貴金属類の屑が、容器外に漏れるなどの問題を回避することができて確実に金属屑を回収でき好ましい。
【0015】
(3)前記(3)項に記載のように、受け皿が、受け皿の周囲のうち、作業者側から見て左右側の縁の一部が他の周囲の縁より低くされている部分を有する好ましい態様とすることにより、作業者が切削作業する場合に手または腕が受け皿の縁に強く当たることを防止でき、受け皿の搖動などを防止できるとともに、作業がやりやすく、長時間作業をする場合に腕が受け皿の縁に強く当たって痛みをおぼえ、長時間の作業がしづらいなどの問題をより確実に解消でき、好ましい。
【0016】
(4)前記(4)項に記載のように、収集容器が底部が広い収集容器とするか、または、収集容器の底部の外周側に収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台を設けた好ましい態様とすることにより、本発明の貴金属類の屑収集装置の転倒などを防止でき、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明で用いる受け皿の一例のおもて面から見た平面図。
【
図2】
図1基準で、手前の斜め上側から見た受け皿の一例の斜視図。
【
図8】本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の一実施形態例の斜視図。
【
図9】
図1のD−D´方向に相当する
図8の断面の端面図であり、収集容器のキャップと収集容器本体とを離した状態の端面図。
【
図10】収集容器が
図8や
図9の収集容器と異なる態様の収集容器を具備した
図1のD−D´方向に相当する断面の端面図。
【
図11】受け皿と切削屑飛散防止壁との接続の機構の一例を示すための当該接合冶具が用いられている部分の断面の部分端面図。
【
図12】本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の透明な切削屑飛散防止壁の一例の斜視図。
【
図13】本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置に用いる別の態様の受け皿のおもて面から見た平面図。
【
図14】本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置に用いる更に別の態様の受け皿のおもて面から見た平面図。
【
図15】受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の別の態様を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図。
【
図16】受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の更に別の態様を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の理解を容易にするため、添付図面を参照して、本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の少数の例の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態例にのみ限定されるものではない。
【0019】
本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の受け皿および屑収集装置について説明する。
【0020】
図1は本発明で用いる受け皿の一例のおもて面から見た平面図(金網の図示は省略している。以下、
図2〜
図7、
図13〜
図14についても同様である。金網は
図8、
図9、
図10、
図15、
図16で符号5で記載した)。
図2は
図1基準で、手前の斜め上側から見た受け皿の一例の斜視図、
図3は
図1のA−A´断面の端面図、
図4は
図1のB−B´断面の端面図、
図5は
図1のC−C´断面の端面図、
図6は
図1のD−D´断面の端面図、
図7は
図1のD−D´断面図である。
図8は本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置で収集排出口を覆う金網が設けられていることを明示した、且つ、収集容器の底部の外周側に収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台を設けた歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の斜視図、
図9は、
図1のD−D´方向に相当する
図8の断面の端面図であり、収集容器のキャップと収集容器本体とを離した状態の端面図であり、
図10は、収集容器が
図8や
図9の収集容器と異なる態様の収集容器を具備した
図1のD−D´方向に相当する断面の端面図(但し、収集排出口を覆う金網が設けられていることを明示した図である)、
図11は、受け皿と切削屑飛散防止壁との接続の機構の一例を示すための当該接合冶具が用いられている部分の断面の部分端面図、
図12は本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置の透明な切削屑飛散防止壁の一例の斜視図、
図13は本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置に用いる別の態様の受け皿のおもて面から見た平面図、
図14は本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置に用いる更に別の態様の受け皿のおもて面から見た平面図、
図15は受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の別の態様を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図(但し、収集排出口を覆う金網が設けられていることを明示した図である)、
図16は受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の更に別の態様を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図である(但し、収集排出口を覆う金網が設けられていることを明示した図である)。
【0021】
図1〜7に示すように、本実施形態例の受け皿1はその一部に切削屑の収集排出口2を有し、前記受け皿1のおもて面は、前記収集排出口2に向かって切削屑が前記収集排出口2に到達可能なように、受け皿1の周囲から収集排出口2に向かって下る傾斜面とされている。言い換えれば受け皿1の周囲から収集排出口2に向かって収集排出口2が受け皿1のおもて面の最底面となるような凹面が形成されることになる。傾斜面の角度は、受け皿の素材により滑りやすさが異なるので、一概に規定できないが、特に限定する意味ではないが、水平面に対し25〜60度程度が好ましい。本実施形態例の受け皿1は受け皿の周囲のうち、作業者側から見て左右側の縁の一部が他の周囲の縁より低くされている部分11を有している。従って、作業者が切削作業する場合に手または腕が受け皿の縁に強く当たることを防止でき、受け皿の搖動などを防止できるとともに、作業がやりやすく、長時間作業をする場合に手または腕が受け皿の縁に強く当たって痛みをおぼえ、長時間の作業がしづらいなどの問題をより確実に解消できる好ましい態様である。
【0022】
前記収集排出口2の下部は筒状に下方に突出する排出筒3を有しており、
図8及び
図9に示される如く、前記排出筒3の下方近傍に収集容器7が配置されており、且つ、前記受け皿1の周囲のうち、作業者側の縁側の位置に、透明な切削屑飛散防止壁6が設けられている。切削屑飛散防止壁6は、その下端が受け皿1の周囲のうち、作業者側の縁側の位置に適宜の手段により固定される。透明な切削屑飛散防止壁6が傷ついて曇りがひどくなった場合に、取り換えができるようボルトナットや、ねじ、クリップなどの適宜の手段で着脱可能に固定されていることが好ましい。この受け皿1と切削屑飛散防止壁6の取り付け態様の一例を説明するために受け皿1と切削屑飛散防止壁6の取り付け治具を使用している部分の切断端面部分図が
図11である。取り付け治具を使用した部分を符号6bで示した(
図8の6bも同様な取り付け治具を使用した部分を示している)。この態様は受け皿1と切削屑飛散防止壁6を、ボルト20とナット21で取り付けた例であるが、取り付け方は何らこの態様に限定されるものではなく、受け皿1と切削屑飛散防止壁6が切削作業に支障なく取り付けられていれば、取り付け方は任意である。尚、受け皿1と切削屑飛散防止壁6は、上述の如くボルト20とナット21で取り付ける接合態様に限定されないので、受け皿の各種説明図(
図1〜7、
図13、
図14など)には、ボルトを通す穴は明示していない。
【0023】
そしてこの態様では、
図8及び
図9に例示した如く、収集排出口2に、収集排出口2を覆う金網5が設けられており、前記金網5は、切削屑は通過するが、切削加工される貴金属類を含有する金属義歯、或いは、貴金属類を含有する金属補綴物は通過しない目開きの金網とすることにより、切削作業中に、しばしば生じる、誤って切削対象である金属義歯や金属補綴物を受け皿上に落としてしまった場合でも、金属義歯や金属補綴物は、金網5により収集容器7に入ってしまうのを防止できるので、いちいち、収集容器7を取り外して、金属義歯や金属補綴物を収集容器7の中から取り出す作業をしなくて済み、好ましい。
【0024】
また、
図8及び
図9に例示した歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置は、収集容器7がキャップ7aと容器本体7bとからなり、排出筒3が、着脱可能に収集容器のキャップ7aに固定されるよう嵌め込まれている。キャップ7aと容器本体7bとはネジ機構8と9で螺合されて、固定される。そして、収集容器の下部外側には、収集容器の底部の外周側に収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台10が設けられている。転倒防止用台10の素材は転倒が防止できる程度の大きさであれば特に限定されるものではないが例えば、木材、金属、石材、セメント、石膏等が挙げられる。
【0025】
図12に本発明で用いる透明な切削屑飛散防止壁6の一例の斜視図を示したが、
図8や
図9からも明らかなように、受け皿1の上方に覆いかぶさるように若干、曲げられていることが、より確実に、切削屑を受け皿上に落す観点から好ましい。
図8、
図9、
図12で6aは切削屑飛散防止壁の曲げ部位を示したが、何ら、この形やこの位置に限定されるものではなく、円弧状に曲げられているなど、切削屑を受け皿上に落すことができ、作業する際に作業者の手の受け皿上での動作が邪魔されるほど受け皿と切削屑飛散防止壁の間が狭くなり過ぎない限り、他の態様でもよい。また、水平方向に対し直立して上方に伸びる切削屑飛散防止壁も使用できるが、この態様のほか、切削屑飛散防止壁が途中で曲げられていないで、まっすぐ上方に平らに伸びる面を有する切削屑飛散防止壁においては、若干、受け皿1の上方に覆いかぶさるように水平方向に対し角度をつけて取り付けられた切削屑飛散防止壁を採用してもよい。腕などの作業を邪魔しにくいし、且つ、より確実に、切削屑を受け皿上に落す観点から切削屑飛散防止壁は、
図8や
図9などでも例示したように、受け皿1の上方に覆いかぶさるように若干、曲げられている態様とすることが好ましい。
【0026】
そして、切削屑飛散防止壁6においては、
図8や
図12で示した態様の如く、切削屑飛散防止壁6の受け皿1への固定側とは反対側の端部に略U字状の切欠き12を設けることにより、切削屑飛散物の飛散防止壁への衝突により、飛散防止壁の透明性が低下した場合でも、作業者が作業中に、この略U字状の切欠き12の間から、加工対象物の位置などを明確に確認することもでき、しかも切削屑飛散物の飛散防止機能をほとんど低下させずに加工対象物の位置などを視認することができると言う観点からも好ましい。尚、前記略U字状の切欠きは、U字状に限らずV字状、長方形や正方形状、三角形状、楕円状、円状、星形状などなど、上記目的が達成できれば任意の形状でよい。また、前述したように受け皿1と切削屑飛散防止壁6は、上述した如くボルトとナットで取り付ける接合態様に限定されないので、
図12には、ボルトを通す穴は明示していない。
【0027】
飛散防止壁の素材はその機能が発揮可能な素材であれば特に限定されるものではなく、透明なプラスチックやガラスなどの透視可能な板状物などが挙げられる。
【0028】
次に
図10に、本発明の別の態様の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置を示すが、
図10は、
図1のD−D´方向に相当する断面の端面図である。
図8や
図9に示した貴金属類の屑収集装置と主として異なる点は、収集容器が底部が広い収集容器7とした態様であり、従って、
図8や
図9で示した態様のように収集容器7の底部の外周側に収集容器が嵌め込み可能な転倒防止用台10を必要としない態様である。また、排出筒3と収集容器7の嵌め込みが収集容器7の開口部に直接着脱可能に固定されるよう嵌め込まれている態様である。なお、必要に応じ、排出筒3と収集容器7の開口部の間にパッキンなどを介在させてもよい。その他の
図8や
図9と同様の部位については、
図8や
図9と同一の符号を付し、重複説明は省略している。
【0029】
図15は受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の更に別の態様の一例を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図であるが、このように、排出筒3と収集容器7の嵌め込み機構が収集容器7の開口部内周側と排出筒3の外周部にそれぞれネジ山24と23を形成して、この両者を螺合する実施形態にしてもよい。その他の
図8や
図9と同様の部位については、
図8や
図9と同一の符号を付し、重複説明は省略している。
【0030】
更に
図16は受け皿の排出筒と収集容器との嵌め込み形態の更に別の態様の一例を説明するための受け皿の排出筒近傍部分の断面の部分端面と収集容器の断面の端面を示す図であるが、このように、排出筒3と収集容器7の嵌め込み機構が収集容器7の開口部外周側と排出筒3の内周部にそれぞれネジ山28と26を形成して、この両者を螺合する実施形態にしてもよい。その他の
図8や
図9と同様の部位については、
図8や
図9と同一の符号を付し、重複説明は省略している。
【0031】
なお、図示していないが、受け皿が脚部などを有しているか、適宜のスタンドに支えられているなど、自立可能な状態の場合、
図8や9に示した転倒防止用台10などは不要であり、また、排出筒外壁と収集容器入り口部分内壁との間は密に接触していることは必ずしも必要ではなく、排出筒外壁径が収集容器入り口部分の内壁径より小さく排出筒外壁と収集容器入り口部分内壁との間に隙間が開いている態様でもよく、あるいは、排出筒の下方縁部と収集容器開口上端縁部とが上下に離れていて、排出筒の下方縁部より下方に収集容器開口上端縁部が位置するように収集容器が配置されていてもよい。この場合には、排出筒の下方縁部の内径は、収集容器開口上端縁部の内径よりも小さくしておくことが好ましい。
【0032】
図1や
図2、
図8などに示した受け皿1の上から見た平面形状は、略長方形状の受け皿を示しているが、受け皿の上から見た平面形状は、何らこれに限定されるものではなく、歯科技工作業用の貴金属類の屑収集が可能で、本発明の目的が達成可能なものであれば何ら限定されるものではない。
【0033】
別の態様の受け皿の少数の例を示すと、
図13には本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置に用いる別の態様の受け皿のおもて面から見た平面図が略正方形状の受け皿の例であり、
図14は受け皿のおもて面から見た平面図が略半楕円と正方形の合体したような長め馬蹄形状の受け皿の例である。
図1や
図2と同じ部位には同一の符号を付して、重複説明を省略している。図示していないが、受け皿のおもて面から見た平面図が上記以外の略多角形、略円形、略楕円形などなど、しかも受け皿の上から見た平面形状は、何らこれら例示したもののみに限定されるものではなく、歯科技工作業用の貴金属類の屑収集が可能で、本発明の目的が達成可能なものであれば何ら限定されるものではない。
【0034】
受け皿に形成される切削屑の収集排出口の位置も、収集排出口に向かって切削屑が到達可能な位置であれば特に限定されないが、好ましくは、作業者から見て左右方向ではあまり左右いずれかの縁側に偏らず、左右のほぼ中心あたり近傍で、前後方向では、前後のほぼ中間近傍から作業者側の縁の近傍までの間の位置に設けられるのが好ましい。
【0035】
受け皿は、そのおもて面が、前記収集排出口に向かって切削屑が前記収集排出口に到達可能なように、受け皿の周囲から収集排出口に向かって下る傾斜面が形成されていればよく、その傾斜角度などは受け皿の材質やおもて面の加工状態によっても、滑りやすさが異なり、特に限定されないが、例えば、水平面に対し収集排出口から受け皿の外周縁に向かう角度で25〜60度程度の範囲が好ましく、受け皿の収集排出口から受け皿の外周縁に向かう方向が違えば
図1のA−A´方向の傾斜角度とB−B´方向の傾斜角度、C−C´方向の傾斜角度、D−D´方向の傾斜角度など同一である必要はないし、例えば、D−D´方向の傾斜角度の一例を取り上げて説明すると収集排出口からD方向に向かう傾斜角度と収集排出口からD´方向に向かう傾斜角度が異なっていてもよく、他の方向に関しても同様である。同様に例えば一例として収集排出口からD方向に向かう傾斜角度を取り上げて説明すると、その傾斜角度は、収集排出口からD方向に向かうどの収集排出口からの位置においても同一である必要はなく、収集排出口からの位置に応じて変わっていてもよい。受け皿の周囲から収集排出口に向かって下る傾斜面が形成されるようにすると言う条件を満たしていることを前提として、例えば下向きに凸の略円弧状や折れ線グラフの折れ線状だったり、上向きに凸の略円弧状や折れ線グラフの折れ線状などであってもよく、前記収集排出口に向かって切削屑が前記収集排出口に到達可能であればよい。ここで「切削屑が前記収集排出口に到達可能」とは、対象物を切削したままでは切削屑が受け皿のおもて面に残ったままの状態であるが、手で受け皿をたたくなどの振動を与えれば、容易に切削屑が前記収集排出口に到達できる場合も含む意味である。
【0036】
前記受け皿の材質も、切削屑が上述のように収集排出口に到達可能な材質であれば特に限定されるものではなく、鉄、銅、ステンレス、めっき鋼板、真鍮、アルミニウムその他の金属類や、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、その他、各種プラスチックスなどが代表例として挙げられる。
【0037】
本発明の受け皿の切削屑の収集排出口の形状や、排出筒の形状は、それぞれ円形や円筒に限定されるものではなく、切削屑が排出できる形状であれば任意であり、三角形以上の多角形(星型なども含む)や排出筒の断面形状も三角形以上の多角形(星型なども含む)などでもよい。
【0038】
以上説明したように、本発明の歯科技工作業用の貴金属類の屑収集装置は、上記具体的に説明した態様のもののみに限定されるものではなく、本発明の趣旨に則り、請求項の記載に基づいて定められるべきものである。