【文献】
大倉 史生, 神原 誠之, 横矢 直和,フライスルーMR平城京 無人飛行船からの空撮全方位動画像を用いた蓄積再生型拡張テレプレゼンス,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.110 No.238,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年10月14日,p.31-36
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の角度は、前記機体の形状、前記機体の大きさ、前記撮像装置と前記機体との位置の関係、および前記撮像装置の画角を含む情報に基づいて設定される、請求項3に記載の移動体。
前記第一の値は、風速、前記移動体を操作する操作端末において操作された第二の値、および前記移動体の回転翼を駆動する駆動モータの電流値の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の移動体。
前記処理部は、前記領域を特徴量の情報に変換し、予め記憶されている前記オブジェクトの特徴量の情報と比較することで前記オブジェクトを検出する、請求項17に記載の移動体。
前記処理部は、前記処理部で検出された前記オブジェクトに対応する画素を、前記画像の時間的に前後する画像を用いて補間する、請求項20または21に記載の移動体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続して撮像が行われる際に、撮像した全ての画像を解析してオブジェクトの写り込みがあるか否かを判定することは、処理負荷の増加を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る移動体は、機体と、撮像装置と、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定する判定部と、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去する処理を行う処理部とを有する。
【0007】
この形態によれば、移動体は、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、オブジェクトが画像に存在するか否かを判定する。移動体は、オブジェクトが画像に存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理を行う。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0008】
本発明の一実施形態においては、判定部は、撮像装置の傾きと機体の傾きとが成す角度に基づいて判定を行ってよい。
【0009】
本発明の一実施形態においては、上記の角度が所定の角度より大きい場合、判定部は、オブジェクトが存在すると判定してよい。
【0010】
本発明の一実施形態においては、上記の所定の角度は、機体の形状、機体の大きさ、撮像装置と機体と位置の関係、および撮像装置の画角を含む情報に基づいて設定されてよい。かかる構成によれば、機体の既知の情報からオブジェクトが画像に存在する可能性がある姿勢を特定できる。
【0011】
本発明の一実施形態においては、移動体は、回転翼をさらに有してよい。上記の所定の角度は、回転翼の形状、回転翼の大きさ、回転翼と機体との位置の関係、撮像装置と機体との位置の関係、および撮像装置の画角を含む情報に基づいて設定されてよい。かかる構成によれば、機体と回転翼との既知の情報からオブジェクトが画像に存在する可能性がある姿勢を特定できる。
【0012】
本発明の一実施形態においては、移動体は、機体の姿勢情報および撮像装置の姿勢情報を取得する取得部をさらに有してよい。判定部は、機体の姿勢情報および撮像装置の姿勢情報を用いて判定を行ってよい。
【0013】
本発明の一実施形態においては、姿勢取得部は、ジャイロセンサによって測定された姿勢情報を取得してよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る移動体は、撮像装置と、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定する判定部と、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去する処理を行う処理部とを有する。
【0015】
この形態によれば、移動体は、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、オブジェクトが存在するか否かを判定する。移動体は、オブジェクトが存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理を行う。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0016】
本発明の一実施形態においては、上記の第一の値は、風速、移動体を操作する操作端末において操作された第二の値、および移動体の回転翼を駆動する駆動モータの電流値の少なくとも1つを含んでよい。
【0017】
本発明の一実施形態においては、移動体は、風速を取得する第一取得部をさらに有してよい。判定部は、取得された風速が、所定の閾値を超える場合、オブジェクトが存在すると判定してよい。
【0018】
本発明の一実施形態においては、風速は、風速計を用いて取得されてよい。
【0019】
本発明の一実施形態においては、移動体は、操作端末において操作された第二の値を取得する第二取得部をさらに有してよい。判定部は、取得された第二の値が所定の閾値を超える場合、オブジェクトが存在すると判定してよい。
【0020】
本発明の一実施形態においては、移動体は、複数の回転翼と、複数の回転翼のそれぞれの電流値を取得する第三取得部とをさらに有してよい。判定部は、機体の進行方向とは反対側の回転翼の電流値が、機体の進行方向の側の回転翼の電流値より大きい場合、オブジェクトが存在すると判定してよい。
【0021】
本発明の一実施形態においては、機体と撮像装置との間に更にジンバルを有してよい。
【0022】
本発明の一実施形態においては、ジンバルは、撮像装置の姿勢を一定に保つ制御をしてよい。
【0023】
本発明の一実施形態においては、処理部は、画像においてオブジェクトが含まれ得る領域を抽出してよい。
【0024】
本発明の一実施形態においては、処理部は、抽出された上記の領域からオブジェクトを検出してよい。
【0025】
本発明の一実施形態においては、処理部は、抽出された上記の領域を特徴量の情報に変換し、予め記憶されているオブジェクトの特徴量の情報と比較することでオブジェクトを検出してよい。
【0026】
本発明の一実施形態においては、上記の特徴量を示す情報は、ヒストグラムまたは空間周波数を含んでよい。
【0027】
本発明の一実施形態においては、処理部は、処理部で検出されたオブジェクトを補間してよい。
【0028】
本発明の一実施形態においては、処理部は、処理部で検出されたオブジェクトに対応する画素を、オブジェクトの近傍の領域の画素を用いて補間してよい。
【0029】
本発明の一実施形態においては、処理部は、処理部で検出されたオブジェクトに対応する画素を、画像の時間的に前後する画像を用いて補間してよい。
【0030】
本発明の一実施形態においては、移動体は、記憶部をさらに有してよい。処理部は、処理部で処理される前の画像及び処理部で処理された後の画像の少なくとも1つを記憶部に出力してよい。
【0031】
本発明の一実施形態においては、移動体は、通信部をさらに有してよい。処理部は、処理部で処理された画像を通信部を介して外部に出力してよい。
【0032】
本発明の一実施形態においては、オブジェクトは、機体の一部であってよい。
【0033】
本発明の一実施形態に係る制御方法は、機体と撮像装置とを有する移動体の制御方法である。この移動体の制御方法は、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを有する。
【0034】
この形態によれば、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、オブジェクトが画像に存在するか否かを判定する処理が行われる。オブジェクトが存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理が行われる。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る制御方法は、撮像装置を有する移動体の制御方法である。この移動体の制御方法は、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを有する。
【0036】
この形態によれば、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、オブジェクトが存在するか否かを判定する処理が行われる。オブジェクトが存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理が行われる。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る記憶媒体は、制御プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。この制御プログラムは、機体と、撮像装置とを有する移動体の制御プログラムである。この制御プログラムは、コンピュータに、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを実行させる。
【0038】
この形態によれば、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定する処理が実行される。オブジェクトが存在する画像に対しては、オブジェクトを除去する処理が実行される。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る記憶媒体は、制御プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。この制御プログラムは、コンピュータに、撮像装置を有する移動体の制御プログラムである。この制御プログラムは、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを実行させる。
【0040】
この形態によれば、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、オブジェクトが存在するか否かを判定する処理が実行される。オブジェクトが存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理が実行される。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0041】
本発明の一実施形態に係る制御プログラムは、機体と、撮像装置とを有する移動体の制御プログラムである。この制御プログラムは、コンピュータに、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを実行させる。
【0042】
この形態によれば、撮像装置の姿勢と機体の姿勢との関係に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定する処理が実行される。オブジェクトが存在する画像に対しては、オブジェクトを除去する処理が実行される。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【0043】
本発明の一実施形態に係る制御プログラムは、撮像装置を有する移動体の制御プログラムである。この制御プログラムは、コンピュータに、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、撮像装置が撮像した画像にオブジェクトが存在するか否かを判定するステップと、オブジェクトが存在すると判定された場合、オブジェクトを除去するステップとを実行させる。
【0044】
この形態によれば、機体の傾きを示す第一の値に基づいて、オブジェクトが存在するか否かを判定する処理が実行される。オブジェクトが存在すると判定された場合、撮像装置が撮像した画像からオブジェクトを除去する処理が実行される。かかる処理によれば、実際にオブジェクトを除去する処理を行う前に、オブジェクトが存在する画像であるか否かを判定できる。したがって、画像処理を実行することによって生じる処理負荷を軽減できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、オブジェクトを画像処理によって除去する場合の処理負荷を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において説明する構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0048】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0049】
移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像にオブジェクトが存在する場合がある。
図1は、移動体の一例であるマルチコプターに搭載された撮像装置を用いて撮像された画像の例を示す図である。画像11にはマルチコプターの機体は写り込んでいない。画像12には、マルチコプターのプロペラ13、14がオブジェクトとして写りこんでいる。マルチコプターのプロペラ13、14によって、画像12内の一部の領域が覆い隠されてしまっている。
【0050】
本実施形態においては、移動体に搭載された撮像装置によって撮像された画像に、オブジェクトが存在するか否かの判定が行われる。オブジェクトが存在すると判定された画像に対して、移動体は、オブジェクトを画像処理で除去する処理を行う。移動体は、オブジェクトが存在しないと判定された画像に対しては、オブジェクトを画像処理で除去する処理を行わない。画像を解析してオブジェクトを除去する処理を全ての画像に対して行わないので処理負荷を低減できる。オブジェクトが画像に存在するか否か(オブジェクトが画像に写り込んでいる可能性があるか否か)は、移動体と撮像装置との相対的な姿勢に基づいて判定することができる。移動体と撮像装置との相対的な姿勢に基づく判定処理は、画像の中身を解析して写り込みがあるか否かを判定する処理と比べて処理負荷が軽い。したがって、オブジェクトを画像処理によって除去する場合の処理負荷を軽減できる。
【0051】
本実施形態においては、移動体の一例として無人航空機(UAV:Unmanned aerial vehicle)を用いる形態を説明する。移動体は、有人航空機であってよい。移動体は、空中を移動する他の航空機、地上を移動する車両、水上を移動する船舶、ロボット等を含む概念である。
【0052】
図2は、本実施形態に係るUAV101の外観の一例を示す図である。UAV101は、UAV機体210、複数の回転翼220、ジンバル230、撮像装置240、およびカメラ250を備える。
【0053】
複数の回転翼220の回転が制御されることにより、UAV機体210の飛行が制御される。例えばUAV101は、4つの回転翼を有する構成とすることができる。回転翼の数は4つに限定されるものではない。回転翼の数は任意の数であってもよい。UAV101は、回転翼を有さない固定翼を有する種類のUAVであってもよい。UAV101は、回転翼および固定翼のどちらも有する種類のUAVであってもよい。
【0054】
ジンバル230は、UAV機体210に備えられる。ジンバル230は、撮像装置240を回転可能に支持する。ジンバル230は、例えばヨー軸、ピッチ軸、及びロール軸を中心に撮像装置240を回転制御することができる。
【0055】
撮像装置240は、UAV機体210の周囲の被写体を撮像して画像データを得る。撮像装置240は、ジンバル230によって回転可能に制御される。撮像装置240は、レンズおよび撮像センサを少なくとも含む構成とすることができる。
【0056】
複数のカメラ250は、UAV101の飛行を制御するためのセンシングカメラとすることができる。例えば、UAV機体210の機首である正面に2つのカメラ250が備えられていてもよい。UAV機体210の底面に2つのカメラ250が備えられていてもよい。2つのカメラ250のペアによって撮像された画像の視差を用いることによって、UAV機体210の周囲の距離を求めることができる。カメラ250のペアは、機首、機尾、側面、底面、及び天井面のうちの少なくとも1つに備えられていてもよい。カメラ250は、レンズおよび撮像センサを少なくとも含む構成とすることができる。
【0057】
図3は、本実施形態に係るUAV101の構成のブロック図の一例を示す図である。UAV101は、UAV全体の制御を行うUAV制御部310と、メモリ320と、通信インタフェース330とを有する。UAV制御部310は、回転翼機構340、ジンバル230、撮像装置240、およびカメラ250を制御可能である。
【0058】
UAV制御部310は、例えばメモリ(記憶部)320に格納されたソフトウェアプログラムに従ってUAV全体の制御を行う。UAV制御部310は、通信インタフェース(通信部)330を通じてリモートコントローラ端末(操作端末)などから受信した指示に従って、UAV全体の制御を行う。例えばUAV制御部310は、UAVの飛行の制御を行ったり、撮像装置240の撮像制御を行ったりする。UAV制御部310は、例えばCPU、MPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成することができる。
【0059】
メモリ320は、UAV全体の制御を行うソフトウェアプログラムを格納してもよい。メモリ320は、撮像装置240およびカメラ250が撮像した画像データなどの各種のデータおよびUAV101の各種の情報などを格納してもよい。メモリとしては、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を用いることができる。例えば、SRAM、DRAM、EEPROM、USBメモリなどのフラッシュメモリを用いることができる。メモリ320は、UAV101の筐体に備えられてもよい。メモリ320はUAV101から取り外し可能であってもよい。
【0060】
通信インタフェース330は、無線通信によってリモートコントローラ端末からの指示を受信したり、UAV101のメモリに格納されている各種のデータおよび情報を送信したりすることができる。通信インタフェース330は、GNSS(Global Navigation Satellite System)測位システムからの信号を受信することもできる。
【0061】
回転翼機構340は、複数の回転翼220と、複数の回転翼220を回転させる複数の駆動モータとを含む構成とすることができる。
【0062】
UAV101は、気圧計、レーザ、加速度、及びジャイロ等の各種のセンサを有してもよい。UAV101はその他の装置、機構などを備えることができる。
【0063】
図4は、UAV101を制御するリモートコントローラ端末400の例を示す図である。リモートコントローラ端末400は、操作部410、表示部420、支持部430を有する。
【0064】
操作部410は、ユーザからの操作指示の入力を受け付ける。ユーザからの操作指示は、図示されていない通信インタフェースを通じてリモートコントローラ端末400からUAV101に送信される。
【0065】
表示部420は、UAV101に関する各種の情報を表示する。表示部420は、UAV101が撮像装置240で撮像した画像を表示してよい。表示部420は、UAV101がカメラ250で撮像した画像を表示してよい。表示部420は、リモートコントローラ端末400から取り外し可能であってよい。表示部420は、タブレット端末、スマートフォン端末などの各種の携帯可能な情報端末装置であってよい。
【0066】
支持部430は、表示部420を支持する。支持部430は、任意の角度に調整可能であってよい。表示部420は、支持部430に取り付けたり支持部430から取り外し可能であったりしてよい。表示部420は、支持部430と一体化されてよい。
【0067】
図5は、
図1に示すUAV101を簡略的に示した図である。
図5は、UAV101に備えられた撮像装置240の画角を説明する図である。UAV機体210と撮像装置240との間にはジンバル230が備えられている。ジンバル230は、撮像装置240の姿勢を一定に維持することができる。ジンバル230はUAV機体210に振動が生じても撮像装置240が振動しないように制御する。ジンバル230は、撮像装置240の角度(姿勢)を任意の角度(姿勢)に保つことができる。したがって、UAV機体210と撮像装置240とは、異なる角度(姿勢)を保つことができる。
【0068】
図6は、UAV機体210が、
図5に示す姿勢よりも進行方向の前方側に傾いている例を示す図である。一方、撮像装置240は
図5に示す姿勢と同じ姿勢を保っている。
図6に示すような関係においては、回転翼220の一部610が撮像装置240の画角600に含まれる。つまり、回転翼220の一部610は、撮像装置240によって撮像された画像に写り込む。
図6に示すような関係とは、UAV機体210の姿勢、回転翼220とUAV機体210との位置の関係、撮像装置240の姿勢、及び撮像装置240とUAV機体210との位置の関係とすることができる。
図6の例では、回転翼220の一部610が画像に含まれる例を説明しているが、これに限られない。UAV機体210の一部の部位(例えばフレーム)が撮像装置240において撮像された画像に含まれる場合がある。このように、本実施形態におけるオブジェクトは、UAV機体210の一部である。UAV機体210の一部には、UAV機体210のフレームが含まれてもよい。UAV機体210の一部には、回転翼220が含まれてもよい。その他、UAV101に備えられる図示されていない他の機構などが、UAV機体210の一部に含まれてもよい。
【0069】
一般に、複数の回転翼220を有するUAV101が水平移動する際、
図6に示すようにUAV機体210は進行方向の前方側に傾く。この傾きは、進行方向の後方側の回転翼220の回転力を、進行方向の前方側の回転翼220の回転力よりも相対的に上げることで生じる。かかる動作により、UAV101には、進行方向に向けて移動する力が与えられる。
【0070】
UAV機体210に傾きが生じた場合であっても、撮像装置240はジンバル230によって一定の姿勢を引き続き保つ。したがって、UAV機体210と撮像装置240との相対的な姿勢は動的に変わり得る。UAV機体210と撮像装置240との相対的な姿勢が動的に変わり得るということは、オブジェクトが画像に存在するか否かが動的に変わり得るともいえる。UAV101が移動する速度が高速であるほどUAV機体210の傾きは大きくなる。傾きが大きくなるとオブジェクトが画像に存在する可能性が高まる。
【0071】
UAV101を高速で移動させている場合にオブジェクトが画像に存在すると、高速で移動させていない通常の場合と比べて画像から得られる視野が実質的に狭くなる。高速で移動させている場合に画像から得られる視野が狭くなると、リモートコントローラ端末400の表示部420で画像を見ながらUAV101を操作する操作者にとって、UAV101の操作に支障が生じる可能性がある。
【0072】
UAV101が高速で移動する場合以外でも、オブジェクトが画像に存在する場合がある。例えば、強風が発生した場合である。強風に煽られた結果、UAV機体210が大きく傾く場合がある。この場合でも、ジンバル230は撮像装置240を一定の姿勢に保つので、オブジェクトが画像に存在することがある。つまり、回転翼220の一部、UAV機体210のフレームの一部、またはその他の機構の一部が画像に写り込む可能性が生じる。UAV101が風に煽られた場合、リモートコントローラ端末400の表示部420で画像を見ながらUAV101を操作する操作者は、画像を確認して速やかに各種の操作を行う。このとき、オブジェクトが画像に存在してしまうと、UAV101の現在の状況の確認に遅れが生じてしまうことがある。
【0073】
オブジェクトが画像に存在することを防止する典型的な手法としては、UAV機体210及び撮像装置240の互いの姿勢に関わらず、撮像した画像にオブジェクトが存在しないように設計することが考えられる。例えば、回転翼220及びUAV機体210から撮像装置240が物理的に離れるようにUAV101を設計することが考えられる。ただし、この方法はUAV101の機体設計に制限を加えることになる。機体の仕様によっては、このような設計をすることができない場合もある。
【0074】
機体設計に制限を加えない手法として、画像処理によってオブジェクトを画像から除去することが考えられる。UAV101は、画像を解析してオブジェクトが存在するかを判定する処理を行う。そして、オブジェクトが存在する場合、UAV101は、その画像の中からオブジェクトを画像処理によって除去する処理を行う。しかしながら、これらの処理を撮像装置240が撮像して得られた全ての画像に対して行うと、UAV101の処理負荷が高くなる。
【0075】
本実施形態では、所定の条件を満たす場合に撮像された画像に対して、オブジェクトが存在するかを判定する処理を行う。オブジェクトが存在すると判定された画像からオブジェクトを除去する。このように、本実施形態では、撮像装置240が撮像して得られた全ての画像に対して画像処理を行わない。したがって、撮像装置240が撮像して得られた全ての画像に対して画像処理を行う場合と比べて処理負荷を軽減することができる。
【0076】
図7は、本実施形態にかかるUAV制御部310の構成の一例を示すブロック図である。UAV制御部310は、姿勢取得部710、風速取得部720、操作指示取得部730、電流値取得部740、画像取得部750、判定部760、画像処理部770、及び出力部780を有する。画像処理部770は、候補領域抽出部771及び補間部772を含む。
図7は、一例に過ぎず、他の構成が含まれてもよい。
【0077】
姿勢取得部710は、UAV機体210の姿勢情報を取得する。姿勢情報とは、例えばヨー軸、ピッチ軸、ロール軸の回転角度を示す情報である。UAV101は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を備えていてもよい。IMUは、直交する3軸に対して3つのジャイロセンサや3つの加速度センサを備えていてもよい。UAV101は、3軸地磁気センサを備えてもよい。姿勢取得部710は、加速度センサ、ジャイロセンサ、および3軸地磁気センサなどを用いてUAV機体210の姿勢情報を取得してよい。姿勢取得部710で取得した姿勢情報は、判定部760と候補領域抽出部771に送られる。
【0078】
姿勢取得部710は、撮像装置240の姿勢情報を取得してもよい。つまり、姿勢取得部710は、ジンバル230によって制御されている撮像装置240の姿勢情報を取得してよい。姿勢取得部710は、ジンバル230の制御情報に基づいて撮像装置240の姿勢情報を取得してよい。撮像装置240に加速度センサ、ジャイロセンサ、および3軸地磁気センサが備えられてもよく、姿勢取得部710は、撮像装置240に備えられたセンサからの情報を用いて撮像装置240の姿勢情報を取得してよい。撮像装置240の姿勢は、リモートコントローラ端末400からの制御によって任意の角度に変えることができてもよい。
【0079】
風速取得部(第一取得部)720は、風速を取得する。風速取得部720は、取得した風速を判定部760に送る。UAV101は、風速計を備えていてもよい。風速取得部720は、風速計で得られた値を取得してもよい。
【0080】
風速取得部720は、IMUによって得られた加速度と角速度とに基づいて風速を算出してもよい。例えば、UAV101のUAV制御部310による制御によって、計算上は位置Aに移動するべきところ、IMUで得られた値を元に計算した結果、位置A´にUAV101が移動していたとする。風速取得部720は、このような位置A´と位置Aとの関係に基づいて風速を算出してもよい。
【0081】
風速取得部720は、経路の風速を示す情報を通信インタフェース330を通じて外部から取得してもよい。
【0082】
風速取得部720は、UAV101の対地速度と対気速度との差に基づいて風速を取得してもよい。例えばGNSSなどを用いて対地速度を取得してよく、対気速度測定器を用いて対気速度を取得してよい。風速取得部720は、これらの差に基づいて風速を取得してよい。
【0083】
操作指示取得部(第二取得部)730は、リモートコントローラ端末400の操作部410によって入力を受け付けた操作指示を、通信インタフェース330を介して取得する。操作指示は、操作部410のコントローラスティックの傾きを示す値(第二の値)であってよい。操作部410のコントローラスティックの傾きが大きいほど、UAV101の速度を上げる指示であってよい。UAV制御部310は、取得した操作指示に基づいてUAV101の飛行を制御してよい。
【0084】
電流値取得部(第三取得部)740は、回転翼機構340の駆動モータに流す電流値を取得する。電流値取得部740は、複数の回転翼220のそれぞれに対応する回転翼機構340の駆動モータに流す電流値を取得する。
【0085】
画像取得部750は、撮像装置240を用いて撮像された画像を取得する。画像取得部750は、取得した画像を画像処理部770に出力する。
【0086】
判定部760は、画像処理部770に入力される画像にオブジェクトが存在するか否かを判定する。判定部760は、姿勢取得部710において取得された姿勢情報、風速取得部720において取得された風速、操作指示取得部730において取得された操作指示、および電流値取得部740において取得された電流値のうちの少なくとも1つに基づく判定をしてよい。判定部760が判定した結果は、画像処理部770に出力される。詳細については後述する。
【0087】
画像処理部770は、入力された画像に各種の画像処理を行う。画像処理部770は、候補領域抽出部771と補間部772とを有する。画像処理部770は、候補領域抽出部771による候補領域抽出処理と補間部772による補間処理とのほかに、別の処理を実行してよい。画像処理部770は、各種の処理を行った画像を出力部780に出力する。
【0088】
候補領域抽出部771は、入力された画像の候補領域を抽出する。候補領域とは、オブジェクトが存在する可能性のある領域のことである。本実施形態においてUAV101の構造は既知であるとする。候補領域抽出部771は、既知の情報を用いて候補領域を抽出してよい。既知の情報は、例えばUAV101のUAV機体210の形状および大きさを含んでよい。既知の情報は、回転翼220の形状および大きさを含んでよい。既知の情報は、回転翼220とUAV機体210との位置の関係を含んでよい。既知の情報は、撮像装置240とUAV機体210との位置の関係を含んでよい。既知の情報は、撮像装置240の画角(光軸に対する水平画角および垂直画角)を含んでよい。候補領域抽出部771は、これらの既知の情報を用いることで、画像内における候補領域を抽出してよい。候補領域抽出部771は、姿勢取得部710において取得された姿勢情報をさらに用いて候補領域を抽出してもよい。詳細は後述する。
【0089】
補間部772は、候補領域抽出部771が抽出した候補領域に補間処理を行う。補間部772は、候補領域からオブジェクトを検出する処理を行う。補間部772は、検出したオブジェクトを除去する処理を行う。オブジェクトを除去する処理としては、インペインティングと呼ばれる公知の処理を適用してよい。
【0090】
出力部780は、画像処理部770によって出力された画像を出力する。出力部780は、画像をメモリ320に出力してよい。出力部780は、通信インタフェース330を通じて画像をリモートコントローラ端末400に送信してよい。出力部780は、画像をメモリ320に出力し、かつ、リモートコントローラ端末400に送信してよい。出力部780は、通信インタフェース330を通じて画像を他の装置(例えばクラウド上のサーバ)に送信してよい。
【0091】
以下では、判定部760、候補領域抽出部771、及び補間部772を用いた処理の詳細を説明する。
【0092】
図8は、本実施形態にかかる処理の一例を示すフローチャートである。同図に示す処理は、UAV制御部310によって実行される。この処理は、画像取得部750において画像が取得されるタイミングで実行される。動画の場合は、動画を構成する各フレーム(静止画)の取得タイミングで実行されてよい。
図8に示す処理は、UAV制御部310によって実行される制御方法の一例である。
【0093】
ステップS810において判定部760は、撮像装置240の姿勢とUAV機体210の姿勢との関係が示す第一パラメータが所定の閾値を超えたか否かを判定することができる。判定部760は、姿勢取得部710において取得された姿勢情報が示す、UAV機体210の傾きと撮像装置240の傾きとが成す角度が、所定の角度より大きいか否かを判定してよい。
【0094】
姿勢取得部710において取得された姿勢情報が示す、UAV機体の傾きと撮像装置240の傾きとが成す角度が、所定の角度より大きいか否かを判定部760が判定する例を説明する。撮像装置240の傾きとUAV機体210の傾きとが成す角度が所定の角度より大きい場合、画像内にオブジェクトが存在する可能性がある。UAV制御部310はステップS820に処理を進める。この傾きは、撮像装置240の姿勢とUAV機体210の姿勢との相対的な関係を示しているともいえる。判定部760は、ある基準線を想定した場合に、その基準線に対する撮像装置240の光軸方向の傾きとその基準線に対するUAV機体210の傾きとの差が、所定の角度より大きいか否かを判定してもよい。例えば、基準線を水平線とすると、撮像装置240の水平線に対する傾き(仰俯角)とUAV機体210の水平線に対する傾き(仰俯角)との差が、所定の角度より大きいか否かを判定してもよい。傾きは、UAV機体210および撮像装置240のジャイロセンサなどから得られるピッチ軸の回転角度を示す情報を用いてよい。
【0095】
図9は、UAV機体210の進行方向901と撮像装置240の光軸方向902とを表した図である。先に説明したように、UAV101の構造は既知である。既知の情報は、UAV機体210の形状および大きさを含んでよい。既知の情報は、回転翼220aの形状、および大きさを含んでよい。既知の情報は、回転翼220aとUAV機体210との位置の関係を含んでよい。
図9の例では、進行方向側の回転翼220aに関する情報を既知の情報として含む例を示すが、進行方向とは反対側の回転翼220bに関する情報を含んでもよい。既知の情報は、撮像装置240とUAV機体210との位置の関係を含んでよい。既知の情報は、撮像装置240の画角(光軸に対する水平画角および垂直画角)を含んでよい。これらの既知の情報を用いることで、画像内にオブジェクトが存在する場合のUAV機体210の傾きと撮像装置240の傾きとが成す角度を特定できる。例えば、撮像装置240の光軸方向952に対するUAV機体210の向き951が成す角θが、所定の角度より大きい場合、画像内にオブジェクトが存在すると判定してよい。閾値として用いる所定の角度は、先に説明した既知の情報から予め設定されてよい。
【0096】
既知の情報に応じて、判定結果が異なる例を説明する。対比例として、
図9に示す例を用いる。
【0097】
図9に示す例よりも、UAV機体210の形状が撮像装置240の光軸方向に伸びているとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも小さい場合であっても、画像内にオブジェクトが存在すると判定されることがある。
【0098】
図9に示す例よりも、UAV機体210の大きさが大きいとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも小さい場合であっても、画像内にオブジェクトが存在すると判定されることがある。
【0099】
図9に示す例よりも、回転翼220aの形状が撮像装置240の光軸方向に伸びているとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも小さい場合であっても、画像内にオブジェクトが存在すると判定されることがある。
【0100】
図9に示す例よりも、回転翼220aの大きさが大きいとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも小さい場合であっても、画像内にオブジェクトが存在する可能性があると判定されることがある。
【0101】
図9に示す例よりも、進行方向側の回転翼220aがUAV機体210の進行方向と反対寄りの位置に取り付けられているとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも大きい場合であっても、画像内にオブジェクトは存在しないと判定されることがある。
【0102】
図9に示す例よりも、撮像装置240の画角が小さいとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも大きい場合であっても、画像内にオブジェクトは存在しないと判定されることがある。
【0103】
図9に示す例よりも、撮像装置240がUAV機体210の鉛直方向の下側に取り付けられているとき、撮像装置240の光軸方向に対するUAV機体210の傾きが
図9に示す例よりも大きい場合であっても、画像内にオブジェクトは存在しないと判定されることがある。
【0104】
このように、姿勢情報に対応する閾値は、既知の情報に基づいて設定される。UAV機体210の傾きと撮像装置240の傾きとが成す角度が、閾値(所定の角度)を超える場合には、オブジェクトが画像内の存在する可能性がある。したがって、UAV制御部310は、ステップS820に処理を進める。
【0105】
ステップS810において判定部760は、機体の傾きを示す第二パラメータ(第一の値)が所定の閾値を超えたか否かを判定してもよい。パラメータは、風速取得部720において取得された風速、操作指示取得部730において取得された操作指示、および電流値取得部740において取得された電流値の少なくとも1つであってよい。それぞれのパラメータには、対応する閾値が予め設定されてよい。判定部760は、風速取得部720において取得された風速が所定の風速を超えているか否かを判定してよい。判定部760は、操作指示取得部730において取得された操作指示が示す値が、所定の入力値を超えているか否かを判定してよい。判定部760は、電流値取得部740において取得された電流値が、所定の電流値を超えているか否かを判定してよい。
【0106】
機体の傾きを示すパラメータが、対応する閾値を超えた場合、UAV機体210の姿勢が傾いている可能性が高い。換言すれば、各取得部のいずれかで取得された情報が、対応する閾値を超えた場合、UAV機体210の姿勢が傾いている可能性が高い。したがって、撮像された画像に回転翼220やUAV機体210などのオブジェクトが存在する可能性がある。それぞれのパラメータのいずれか一つが、対応する閾値を超えた場合に、判定部760は、ステップS820に処理を進めてもよい。それぞれのパラメータのうちの複数の種類のパラメータが、対応する閾値を超えた場合に、判定部760は、ステップS820に処理を進めてもよい。
【0107】
風速取得部720において取得された風速が、所定の風速を超えているか否かを判定部760が判定する例を説明する。例えば、風速の所定の閾値として秒速15mが設定されていると想定する。判定部760は、風速取得部720において取得された風速が秒速15mを超えている場合、所定の閾値を超えた値を検出したと判定する。所定の閾値を超えた風速が計測されるということは、UAV機体210が傾いている可能性が高い。したがって、画像内にオブジェクトが存在する場合があるので、UAV制御部310はステップS820に処理を進める。
【0108】
操作指示取得部730において取得された操作指示が示す値が、所定の入力値を超えているか否かを判定部760が判定する例を説明する。所定の入力値は、リモートコントローラ端末400からの操作指示が示す値としてよい。リモートコントローラ端末400からの操作指示が示す値が、所定の閾値を超えている場合、判定部760は所定の閾値を超えた値を検出したと判定する。例えば、リモートコントローラ端末400の操作部410がある規定の位置よりも強く傾けられた場合に、所定の入力値が所定の閾値を超えていると判定する。リモートコントローラ端末400の操作部410がある規定の位置よりも強く傾けられた場合は、UAV101が高速飛行をする可能性が高い。UAV101が高速飛行をすることにより、UAV機体210が傾く可能性が高い。したがって、画像内にオブジェクトが存在する場合があるので、UAV制御部310はステップS820に処理を進める。
【0109】
電流値取得部740において取得された電流値が、所定の電流値を超えているか否かを判定部760が判定する例を説明する。所定の電流値は、回転翼機構340のモータに流れる電流値としてよい。例えばUAV101の進行方向とは反対側の2つのモータに流す電流値が所定の閾値を超えている場合がある。この場合、UAV101が高速飛行をしている可能性が高い。UAV101の進行方向側の2つのモータの電流値が、進行方向とは反対側の2つのモータに流される電流値よりも小さい場合も、UAV101が傾いて飛行をしている可能性が高い。所定の電流値は、進行方向側のモータの電流値でもよいし、進行方向とは反対側のモータの電流値でもよい。これらの組み合わせでもよい。例えば、UAV101の進行方向の反対側のモータに流す電流値が進行方向側に流す電流値よりも相対的に大きい場合、所定の電流値が閾値を超えているとしてもよい。いずれにおいても、UAV101が高速飛行をしている可能性が高い。UAV101が高速飛行をすることにより、UAV機体210が傾く可能性が高い。したがって、画像内にオブジェクトが存在する場合があるので、UAV制御部310はステップS820に処理を進める。
【0110】
ステップS810の時点では、オブジェクトが実際に画像に存在しているか否かを、画像を探索して確認する必要はない。この時点では、オブジェクトが画像に存在する可能性があるか否かを判定する処理を行う。オブジェクトが実際に画像に存在する可能性がある場合、後述するステップに進み、画像処理部770が、画像内を探索してオブジェクトを検出する処理が行われることになる。
【0111】
画像処理部770が、画像取得部750で取得される全ての画像に対してオブジェクトの検出処理および除去処理を行うことは負荷が高い。本実施形態においては、ステップS810の判定処理を行う。かかる判定処理によって、オブジェクトが存在する可能性がある画像であるか否かを、画像処理を行うことなく判定することができる。ステップS810は、UAV機体210が傾いているか否か、あるいは、傾く可能性があるか否かを判定する処理ともいえる。
【0112】
ステップS810において判定部760は、画像取得部750が画像を取得した時点の姿勢情報、風速、操作指示、および電流値を用いて判定処理を行うことが好ましいが、これに限られない。所定の時間の間は共通の姿勢情報、風速、操作指示、および電流値を用いて判定してもよい。例えば、30fps(frames per second)の動画の場合、所定の時間を1秒と想定すると、30フレームに対しては、その中の1フレーム目の時点における姿勢情報、風速、操作指示、および電流値を、残りの29フレームに適用してもよい。
【0113】
ステップS810では、判定部760は、閾値を超えるパラメータを検出した場合、ステップS820に処理を進める。ステップS810において、閾値を超えるパラメータが検出されない場合には、オブジェクトが画像に存在しないと考えられる。したがって、以下で説明する画像処理を行わない。したがって、処理負荷を低減できる。
【0114】
ステップS810の判定において用いられる所定の閾値は、リモートコントローラ端末400からの指示に従って任意の値を設定してよい。所定の閾値は、飛行中にリモートコントローラ端末400からの指示によって変更されてよい。
【0115】
ステップS820において候補領域抽出部771は、候補領域を抽出する。先に説明したように、UAV101の構造は既知である。これらの既知の情報を用いると、撮像装置240が撮像した画像の中のどの領域にオブジェクトが写り込む可能性があるかを特定することができる。換言すれば、候補領域抽出部771は、既知の情報を用いて候補領域を抽出することができる。
【0116】
候補領域抽出部771は、既知の情報に加えて姿勢取得部710で取得された姿勢情報を用いて候補領域を抽出してよい。UAV機体210の傾きと撮像装置240の傾きとから、候補領域を抽出してよい。先に説明した
図9においては、UAV機体210の傾き(姿勢)と、撮像装置240の傾き(姿勢)と、既知の情報とを用いると、撮像装置240で撮像された画像の上部に候補領域が抽出される。
【0117】
図10は、撮像装置240によって撮像された画像1000を示す図である。画像1000内には、候補領域1010、1020が含まれる。候補領域1010、1020は、オブジェクトが存在し得る領域である。ステップS820の時点においては、実際に画像1000内にオブジェクトが存在しているかを確認する必要はない。候補領域1010、1020は、オブジェクトが存在し得る領域に過ぎない。例えば、回転翼220は、回転軸を中心に回転をする。回転翼220の一部が画像内に存在し得る程度にUAV機体210が傾いていたとしても、撮像のタイミングに応じて、回転翼220が含まれる画像が撮像される場合と回転翼220が含まれない画像が撮像される場合とがある。候補領域1010、1020は、回転翼220が回転軸を中心に画像内で取り得る円範囲を含む領域としてよい。
【0118】
ステップS830において候補領域抽出部771は、候補領域を抽出したか否かを判定する。候補領域を抽出しない場合には、以降の処理は不要であるので処理を終了する。したがって、オブジェクトを検出し、除去するといった画像処理を行う必要がない。候補領域を抽出した場合、ステップS840に処理が移行する。
【0119】
ステップS840において補間部772は、ステップS820において抽出された候補領域を解析してオブジェクトを検出する処理を行い、候補領域にオブジェクトが存在するかを判定する。
図11は、補間部772が、オブジェクト1110及び1120を検出した例を示す図である。オブジェクトの例としては、先に説明したようにUAV機体210の一部や回転翼220の一部が挙げられる。UAV機体210及び回転翼220の形状及び色などのような外観のテクスチャは既知である。したがって、補間部772は、候補領域内からこれらの既知のオブジェクトを検出したか否かを判定すればよい。補間部772は、予めメモリ320に格納されたオブジェクトの情報と撮像装置240で撮像した画像のオブジェクトの情報とを対比させてもよい。
【0120】
例えば、オブジェクトの色のヒストグラムや空間周波数などの特徴量の情報が予めメモリ320に格納されている。補間部772は、撮像装置240で撮像した画像の候補領域を、色のヒストグラムや空間周波数のなどの特徴量の情報に変換する。補間部772は、変換して得られた特徴量の情報を、予め格納している特徴量の情報と比較することで候補領域1010、1020の中からオブジェクト1110、1120を検出してよい。
【0121】
候補領域にオブジェクトが検出された場合、ステップS850に進む。候補領域にオブジェクトが検出されない場合、処理を終了する。
【0122】
ステップS850において補間部772は、検出したオブジェクトを補間する。例えば、補間部772は、検出したオブジェクト1110、1120の画素を欠損領域として扱う。補間部772は、欠損領域を補間する補間処理を行う。補間処理としては、1枚の画像内の欠損領域の周囲の画素を用いて欠損領域の画素を補間する、インペインティングと呼ばれる処理がある。
【0123】
図12は、欠損領域を補間する補間処理を説明する図である。補間部772は、画像1000内において検出されたオブジェクト1110、1120の周囲(近傍)の領域1210、1220の画素を用いてオブジェクト1110、1120の画素値を補間する。周囲の領域1210、1220は、例えば欠損領域から最低n画素離れた矩形として定められてよい。このようなインペインティングと呼ばれる処理は、例えば非特許文献1および非特許文献2に記載されている公知の手法を適用してよい。かかる処理により、オブジェクト1110、1120が画像1000から除去される。オブジェクト1110、1120は、その近傍の領域の画素を用いた補間処理によって、違和感の少ない領域に変換される。
【0124】
具体的には、上記の近傍は、補間対象のオブジェクトの大きさ及び位置から決定されてよい。例えば、オブジェクトの一方向を補間する場合、オブジェクトの一方向における長さをLX(画素)とすると、LX×α+βによって補間範囲は決定できる。αは、取得された全体の画像と補間対象のオブジェクトの大きさ及び位置とから決定されるパラメータであってよい。βは、画素である。βは、例えば、LXが小さい場合に、補足するために用いられるパラメータであってよい。
【0125】
欠損領域を補間する処理は、オブジェクト1110、1120が違和感のない程度に画像1000から取り除かれていればよい。補間処理の手法によっては、あるいはオブジェクト1110、1120の周囲の画素によっては、補間処理を実行した後にオブジェクト1110、1120の輪郭が微かに残る場合もある。しかしながら、補間処理前と比べて補間処理後の画像の方が違和感は低減する。したがって、オブジェクト1110、1120は完全に画像1000から取り除かれていなくてもよい。オブジェクト1110、1120の一部が補間処理後の画像に残っていてもよい。
【0126】
これまでの説明において補間部772は、1枚の画像中に含まれるオブジェクトを、その1枚の画像中のオブジェクトの周囲の画素を用いて補間する例を説明した。補間部772は、時間的に前、後、または前後両方のフレームを用いてオブジェクトを補間してもよい。例えばオブジェクトが回転翼220の場合、フレームによっては回転翼220の一部が画像に存在したり、存在しなかったりすることがある。時間的に前後のフレームでは、オブジェクトが存在しないフレームもあり得るので、そのフレームを用いて補間処理を行ってもよい。
【0127】
補間部772は、1枚の画像中に含まれるオブジェクトを、その1枚の画像中のオブジェクトの周囲の画素を用いて補間する処理と、時間的に前、後、または前後両方のフレームを用いてオブジェクトを補間する処理とを組み合わせもよい。
【0128】
上述した実施形態では主に回転翼を有するUAVを例に挙げて説明したが、これに限られることはない。機体の姿勢と撮像装置の姿勢とが異なる態様となり得る移動体であれば、上述した実施形態で説明した処理を適用可能である。
【0129】
上述した実施形態では、撮像装置は機体の下部に取り付けられた例を説明したが、これに限られない。撮像装置が取り付けられる箇所は機体の側面でもよいし、上部でもよい。いずれの位置に取り付けられていてもよい。
【0130】
上述した実施形態では、判定部760の判定結果に応じて画像処理部770が候補領域抽出部771および補間部772の処理を行うか否かを切り替える例を説明したが、これに限られることはない。他の構成でもよい。例えば、判定部760の判定結果が画像処理部770ではなく画像取得部750に送られてよい。画像取得部750は、判定部760の判定結果に基づいて、画像処理部770に画像を出力するか、画像処理部770を介さずに出力部780に画像を出力するかを切り替えてよい。
【0131】
画像処理部770は、補間部772による補間を行う前の画像(補間前画像と呼ぶ)と補間を行った画像(補間後画像と呼ぶ)との両方を出力部780に出力してよい。出力部780は、補間前画像および補間後画像の両方をメモリ320に出力してよい。かかる構成により、ユーザはオリジナルの画像とオブジェクトが除去された画像との両方を見比べることができる。
【0132】
撮像装置240の光軸方向は一定方向に固定され、ジンバル230によって一定の姿勢に保たれる例を説明したが、これに限られない。撮像装置240の光軸方向は、リモートコントローラ端末400からの指示により変更されてよい。ジンバル230は、変更された光軸方向の姿勢を保つように引き続き撮像装置240の姿勢を制御する。判定部760は、変更後の撮像装置240の姿勢情報を用いて判定を行ってよい。
【0133】
上述した実施形態では、UAV機体210の傾きを用いることで、画像にオブジェクトが存在する可能性があるか否かを判定する形態を説明した。UAV機体210が傾くということは、回転翼220もUAV機体210の傾きに合わせて傾く。回転翼220にジャイロセンサが備えられている場合、回転翼220の姿勢を用いて画像にオブジェクトが存在するか否かを判定してもよい。
【0134】
図8の処理においては、ステップS810において所定のパラメータの値が、そのパラメータに対応する閾値を超える場合、ステップS820に進み、候補領域を抽出する処理を行う形態を説明したが、これに限られない。ステップS810の処理を省略して、ステップS820から処理を開始してもよい。例えば、既知の情報と、UAV機体210の姿勢と、撮像装置240の姿勢とを用いて、画像内に候補領域が抽出されるかを判定する形態でもよい。
【0135】
図8の処理においては、ステップS820とS830との処理を省略してもよい。ステップS810において所定のパラメータの値が、そのパラメータに対応する閾値を超える場合、画像内のどこかにオブジェクトが存在する可能性があると考えられる。ステップS820及びS830の処理を行うことで、除去すべき領域を特定できるので処理負荷が軽減できる。しかしながら、ステップS810の判定を行うだけでも、画像処理の対象とする画像を絞り込むことが可能であるので、ステップS820及びS830を行わなかったとしても、処理負荷の軽減を実現できる。全ての画像に対して画像処理を行わないで済むからである。
【0136】
上述した実施形態においては、UAV101が画像処理を行う形態を説明したが、これに限られない。リモートコントローラ端末400において画像処理が行われてもよい。リモートコントローラ端末400は、画像処理部を備えてよい。
図7の姿勢取得部710、風速取得部720、操作指示取得部730、電流値取得部740、画像取得部750が取得したデータは、出力部780を介してリモートコントローラ端末400に送信されてよい。リモートコントローラ端末400は、送信されたデータを用いて
図8に示す処理を行ってよい。
【0137】
上述した実施形態の機能を実現するための各部は、例えばハードウェアまたはソフトウェアによって実装することができる。ソフトウェアによって実装される場合、ハードウェアを制御するプログラムコード(制御プログラム)がCPU、MPUなどのコンピュータの各種のプロセッサによって実行されてもよい。プログラムコードの機能を実現するための回路等のハードウェアを設けてもよい。プログラムコードの一部をハードウェアで実現し、残りの部分を各種プロセッサが実行してもよい。