(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の感光体と、第2の感光体と、第1の静電潜像を形成するために前記第1の感光体を露光し、第2の静電潜像を形成するために前記第2の感光体を露光する露光装置とを有し、前記第1の感光体上の前記第1の静電潜像を現像して第1色の画像を形成し、前記第2の感光体上の前記第2の静電潜像を現像して第2色の画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成された前記第1色の画像と前記第2色の画像とが転写される転写体と、
前記露光装置の第1の温度を検知する第一の温度検知手段と、
前記第一の温度検知手段と異なる位置に設けられ、第2の温度を検知する第二の温度検知手段と、
前記第一の温度検知手段と異なる位置に設けられ、第3の温度を検知する第三の温度検知手段と、
前記転写体に形成された測定用画像を測定する測定手段と、
色ずれ補正値を決定する決定手段と、
前記色ずれ補正値に基づき色ずれ補正を行う補正手段とを有し、
前記第一の温度検知手段と前記第三の温度検知手段との距離は、前記第一の温度検知手段と前記第二の温度検知手段との距離よりも遠く、
前記決定手段は、
前記測定手段の測定結果に基づいて第1の色ずれ補正値を決定する第1決定手段と、
前記第一の温度検知手段によって検知された現在の第1の温度と前記第三の温度検知手段によって検知された現在の第3の温度との差、前記第1決定手段により前記第1の色ずれ補正値が前回決定された際に前記第一の温度検知手段によって検知された第1の基準温度と前記第1決定手段により前記第1の色ずれ補正値が前回決定された際に前記第三の温度検知手段によって検知された第3の基準温度との差、前記第二の温度検知手段によって検知された現在の第2の温度と前記第三の温度検知手段によって検知された現在の第3の温度との差、及び、前記第1決定手段により前記第1の色ずれ補正値が前回決定された際に前記第二の温度検知手段によって検知された第2の基準温度と前記第1決定手段により前記第1の色ずれ補正値が前回決定された際に前記第三の温度検知手段によって検知された第3の基準温度との差に基づいて第2の色ずれ補正値を決定する第2決定手段と、を有し、
前記補正手段は、
前記第1決定手段により前記第1の色ずれ補正値が決定される場合、前記第1の色ずれ補正値に基づいて色ずれ補正を行い、
前記第2決定手段により前記第2の色ずれ補正値が決定される場合、前記第1決定手段により前回決定された第1の色ずれ補正値に前記第2決定手段により決定された前記第2の色ずれ補正値を加算した色ずれ補正値に基づいて色ずれ補正を行うことを特徴とするカラー画像形成装置。
前記第1の種類の色ずれは副走査方向において画像が形成される位置がずれることによって生じる色ずれであり、前記第2の種類の色ずれは副走査方向における傾きがずれることによって生じる色ずれであることを特徴とする請求項4に記載のカラー画像形成装置。
前記第二の温度検知手段は、前記第1の感光体の表面の温度または前記第1の感光体の近傍の温度を検知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカラー画像形成装置。
前記第1の色ずれ補正値を更新するか否かを、前記第1決定手段により前回第1の色ずれ補正値が決定されてからのプリント枚数に基づいて制御する制御手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記プリント枚数が所定枚数に達した場合、前記画像形成手段に前記測定用画像を形成させ、前記測定手段に前記測定用画像を測定させ、前記第1決定手段に前記第1の色ずれ補正値を更新させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラー画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
本実施例における画像形成装置を説明する。
図1は、画像形成装置の構成を示す概略の断面図である。画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のステーションを有し、カラー画像を形成する。カラー画像形成装置は、レーザースキャナー部1Y、1M、1C、1K、感光体ドラム2Y、2M、2C、2K、帯電ローラー3Y、3M、3C、コロナ帯電器3K、現像器4Y、4M、4C、4K、現像スリーブ5Y、5M、5C、5K、感光体ドラムのクリーナー部6Y、6M、6C、6Kを有する。そして、中間転写ベルト(転写体)7、1次転写ローラー8Y、8M、8C、8K、中間転写ベルト駆動ローラー9、中間転写ベルトのクリーナー部10、2次転写ローラー11、定着部12、加熱ローラ13、加圧ローラー14を有する、さらに、給紙カセット15a、15b、15c、15d、転写材16a、16b、16c、16d、給紙ローラー17a、17b、17c、17d、レジローラー18、排紙部19、色ずれ検知センサーを有するセンサー部20を有する。
【0013】
第一の温度検知部61Y、61M、61C、61Kは、それぞれレーザースキャナー部の筺体内の温度を検出する。第二の温度検知部62Y、62M、62C、62Kは、それぞれ感光体ドラム近傍の温度を検出する。第三の温度検知部63は、画像形成装置の機外の温度を検出する。
【0014】
カラー画像形成装置は、Kステーションの構成(レーザースキャナー部1K、感光体ドラム2K、帯電器3K)が、YMCステーションの構成と異なる。感光体ドラム2Kは感光体ドラム2Y、2M、2Cより大径である。そして、帯電器も異なる。このようにすることにより、白黒画像を形成する白黒モードを多く利用するユーザー向けに、K画像形成部の寿命をYMC画像形成部よりも長くすることができる。
【0015】
感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kは、不図示の駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。駆動モータは感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
【0016】
感光体ドラム2Y、2M、2Cのそれぞれは、帯電ローラー3Y、3M、3Cによって帯電され、感光体ドラム2Kはコロナ帯電器3Kによって帯電される。レーザースキャナー部1Y、1M、1C、1Kは、不図示のコントローラーから送られる画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kを露光する。露光された感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kの表面上には、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像スリーブ5Y、5M、5C、5Kを有する現像器4Y、4M、4C、4Kによってトナー像に現像される。
【0017】
中間転写ベルト7は感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kに接触しており、時計周り方向に回転する。感光体ドラム2Y、2M、2C、2K上のトナー像は、中間転写ベルト7上に転写される。そして、中間転写ベルト7上のトナー像は、中間転写ベルト7と2次転写ローラー11とによって狭持されている転写材16に転写される。2次転写ローラー11は、画像形成中は、中間転写ベルト7に当接しているが、画像形成終了時に中間転写ベルト7から離間する。
【0018】
定着部12は転写材16にトナー像を定着させるものであり、転写材16を加熱する加熱ローラー13と転写材16を加熱ローラー13に圧接させるための加圧ローラー14とを備えている。加熱ローラはフィルムやベルトなどの熱容量が小さいもので構成されている。トナー像を保持した転写材16は加熱ローラー14と加圧ローラー15により搬送されると共に、熱及び圧力が加えられトナー像が表面に定着される。その後、転写材16は排出ローラーによって排紙部19に排出される。
【0019】
クリーナー部6Y、6M、6C、6Kは、中間転写ベルト7に転写されずに感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kに残ったトナーをクリーニングする。クリーナー部10は、転写材16に転写されずに中間転写ベルト7上に残ったトナーをクリーニングする。
【0020】
このように、本実施例の画像形成装置は、オンデマンドでウォームアップが可能となる定着器を有する。よって、本体が完全に冷えた状態から電源を投入された場合でも高速起動が可能である。電源を投入してから数十秒でプリント可能(スタンバイ)状態となる。
【0021】
つぎに、本実施例における光走査装置(レーザースキャナー部)を説明する。
図2は、レーザースキャナー部1Y、1M、1Cの構成の一例を示す概略図である。
【0022】
レーザースキャナー部1Kの構成は、レーザースキャナー部1Y、1M、1Cの構成と異なるが、ミラーの枚数や光路が異なることを除いては同一であるため、レーザースキャナー部1Kの構成の説明を省略する。
【0023】
以下の説明において、主走査方向は、光走査装置の走査光学系が被走査面である感光体ドラム面を光走査する方向であるドラム長手方向(感光体ドラム軸線方向、感光体ドラム母線方向)、若しくはこの方向に対応する方向を示す。副走査方向は、感光体ドラムの回転方向、若しくはこの方向に対応する方向を示す。
【0024】
レーザースキャナー部は、光源となる半導体レーザー21、コリメーターレンズ22、シリンドリカルレンズ23、ポリゴンミラー24、結像レンズ25a、25b、反射ミラー26、防塵ガラス27、BDミラー28、BDレンズ29、BDセンサー30を有する。これらの光学素子(光学部材)は不図示の光学箱(箱形状の筐体)に収容されている。光学箱内には、第一の温度検知部61も収容されている。
【0025】
半導体レーザー21から光変調され出射された光束は、コリメーターレンズ22により略平行光束に変換され、シリンドリカルレンズ23に入射する。シリンドリカルレンズ23に入射した略平行光束はポリゴンミラー24の偏向面にほぼ線像として結像される。
【0026】
ポリゴンミラー24の偏向面で偏向反射した光束は、結像レンズ25a、25b及び、反射ミラー26、防塵ガラス27を介して感光体ドラム2表面に集光され、ポリゴンミラー24の回転により感光体ドラム面を主走査方向に等速走査する。
【0027】
BDセンサー(同期検知素子)30は主走査方向における光束の書き出しタイミングを決定する。ポリゴンミラー24によって偏向された光束の一部をBDミラー(同期検知ミラー)28で反射させ、反射した光束をBDレンズ(同期検知レンズ)29によって、BDセンサー(同期検知素子)30上に光束を結像させる。
【0028】
図3は、中間転写装置の構成の一例を示す概略図である。
【0029】
中間転写装置は、中間転写ベルト7、一次転写ローラー8Y、8M、8C、8K、中間転写ベルト駆動ローラー9を有する。そして、二次転写部内面ローラー41、ステアリングローラー42、アイドラローラー43、44、45、色ずれ検知センサー(前)46、色ずれ検知センサー(奥)47、色ずれ検知センサー(中)48を有する。パッチ51は色ずれを検知するためのパッチの一例である。
【0030】
二次転写部内面ローラー41は、中間転写ベルト7上のトナー像を転写材16に転写する際、二次転写ローラー11をバックアップする対向ローラーである。アイドラローラー43、44、45は中間転写ベルト7を張加する張加ローラーである。アイドラローラー43は、転写材16が中間転写ベルト7に沿って二次転写ローラー部に侵入できるように、中間転写ベルト7の姿勢を調節する。アイドラローラー44、45は、感光体ドラム2Y、2M、2C、2Kと一次転写ローラー8Y、8M、8C、8Kの接触部で形成される一次転写位置を略直線状に保つように、中間転写ベルト7の姿勢を調節する。さらに、アイドラローラー45は、色ずれ検知センサー46、47、48で検知される中間転写ベルト7上のパッチ検知をバックアップする対向ローラーにもなっている。
【0031】
色ずれ検知センサー46、47、48は、中間転写ベルト7上に形成された色ずれ検知パッチ51を検知する。
【0032】
ステアリングローラー42は、不図示の中間転写ベルト寄りセンサーで検知したベルトの寄りを補正するローラーであり、ステアリングローラー42の一端(長手方向奥側)を固定し、他端(手前側)を上下方向に稼働させることによって中間転写ベルト7の寄りを補正する。また、ステアリングローラー42は中間転写ベルト7の外側方向に不図示のバネによって加圧され、中間転写ベルト7を張り上げる働きも有する。
【0033】
中間転写ベルト駆動ローラー9は、表面がゴム層で形成され、不図示の駆動部によって反時計方向に回転し、ゴム層と中間転写ベルト7の内面との摩擦力によって、中間転写ベルト7を回転(搬送)させる。また、中間転写ベルト駆動ローラー9は、中間転写ベルトクリーナー部10の対向ローラーになっており、クリーニングブレードの圧を受ける働きも有する。
【0034】
図4から
図7は、中間転写ベルト7上に形成された色ずれ検出用パッチの一例を示す概略図である。
【0035】
図4において、パッチ51Y、51M、51C、51Kは副走査方向の色ずれ量を検知するためのパッチである。
図5に副走査方向の色ずれ検知パッチ51の拡大図を示す。YMCKそれぞれに対応した色ズレ検知パッチが2つずつ、一定間隔で形成される。パッチを2つずつ形成し、それらの検知結果を比較することにより、ゴミや異物の影響で色ズレ検知パッチと誤判断してしまうことを防止している。
【0036】
図6おいて、パッチ53Y、53M、53C、53Kは主走査方向の色ずれ量を検知するためのパッチである。
図7に主走査方向の色ずれ検知パッチの拡大図を示す。YMCKそれぞれに対応した色ズレ検知パッチが2つずつ、一定間隔で形成される。副走査の色ずれ検知パッチ51と同様に、パッチを2つずつ形成し、それらの検知結果を比較することにより、ゴミや異物の影響で色ズレ検知パッチと誤判断してしまうこと等を防止している。
【0037】
副走査方向の色ずれ検知パッチと主走査方向の色ずれ検知パッチは連続して形成され、副走査方向と主走査方向の色ずれを同時に補正する。ただし、どちらか一方ずつ補正しても問題はない。
【0038】
色ずれ検知パッチ51、53のパッチ形状は、
図4から
図7に示した横線や斜め線のパッチ形状に限らず、縦線や十字線、三角形等のパッチ形状でも良い。また、斜め線のパッチ形状のみで主走査方向の色ずれ量と副走査方向の色ずれ量を検出しても良い。
【0039】
図4及び
図6で示す色ずれ検知用パッチ51、53は、色ずれ検知センサー46、47、48によって検知される。そして、この検知結果に基づき、各種色ずれ量が算出され、色ずれ実測補正値が算出される。
【0040】
色ずれの種類を
図8を用いて説明する。(a)副走査TOPずれは、走査ライン全体が副走査方向にずれる現象である。(b)副走査傾きずれは、走査ラインが副走査方向に傾く現象である。(c)副走査曲がりずれは、走査ラインが副走査方向に湾曲する現象である。(d)主走査TOPずれは、走査ライン全体が主走査方向にずれる現象である。(e)主走査全体倍率ずれは、走査ラインの主走査方向における長さが変化する現象であり、主走査方向の位置にかかわらず倍率が同一である。(f)主走査片倍率ずれも走査ラインの主走査方向における長さが変化する現象である。(f)主走査片倍率ずれは主走査方向の位置に応じて倍率が異なる。
【0041】
本実施例において色ずれ実測時は、色ずれ検知用パッチ51、53の検知結果からこの6種類のずれ量を算出する。そして、これらのずれ量に応じて色ずれ補正値を算出する。
【0042】
本実施例では、色ずれ検知用パッチを用いて色ずれ量を実測する色ずれ実測補正値算出処理と、第一、第二および第三の温度検知部61、62、63で測定された温度に基づき色ずれ量を予測する色ずれ予測補正値算出処理とを使い分ける。
【0043】
図9に色ずれ補正に関する制御ブロック図を示す。
【0044】
CPU90は、色ずれ検知用パッチ51、53の形成および測定、色ずれ補正値の算出を制御する。色ずれパッチ検知センサ46、47、48は、中間転写ベルトに形成された色ずれ検知用パッチ51、53を検知し、検知結果をCPU90に送信する。第一、第二および第三の温度検知部61、62、63は、温度を検知し、検知結果をCPU90に送信する。
【0045】
色ずれ実測補正値算出部93は、色ずれパッチ検知センサ46、47、48の検知結果から色ずれ実測補正値を算出する色ずれ実測補正値算出処理を行う。色ずれ予測補正値算出部は、第一、第二および第三の温度検知部61、62、63の検知結果から色ずれ予測補正値を算出する色ずれ予測補正値算出処理を行う。色ずれ補正部91は、各色のステーションによって形成される画像の形成位置が一致するように、色ずれ実測補正値または色ずれ予測補正値に基づき、色ずれ補正を行う。露光部(レーザースキャナー1Y、1M、1C、1K)は、色ずれ補正部91の補正結果に基づき露光を実行する。
【0046】
色ずれ補正部91は公知の色ずれ補正を使用することができる。例えば、YMCKの画像データをそれぞれ伸縮、歪曲するように変換する方法、レーザースキャナー1Y、1M、1C、1Kそれぞれに対するBDセンサー30を基準とした書き出しタイミングを変化さる方法、結像レンズ25a、25bや反射ミラー26を不図示の駆動機構によって動作させて、光路を変更することによって行う方法を使用することができる。
【0047】
図10に色ずれ実測補正値算出部93において実行される色ずれ実測補正値算出処理のフローチャートを示す。
【0048】
まず、YMCKステーションに、色ずれ検知パッチ51、53を中間転写ベルト7上に形成させる。そして、第一、第二および第三の温度検知部61、62、63から温度検知結果を取得し、記憶する(S101)。第一の温度検知部61で検知したレーザースキャナー部の温度データをTls(0)、第二の温度検知部62で検知した感光体ドラム近傍の温度データをTdrm(0)、第三の温度検知部63で検知した機外の温度データをTenv(0)として記憶する。記憶した温度データは後述する色ずれ予測補正値算出処理で使用される。
【0049】
次に、色ずれパッチ検知センサ46、47、48から色ずれ検知パッチ51、53の検知結果を取得する(S102)。色ずれ検知パッチ51、53の検知結果から各色について上記6種類のずれ量を算出し、ずれ量から色ずれ実測補正値を算出する。そして、これらのずれ量に応じて色ずれ補正値を算出する。この算出された色ずれ補正値を色ずれ実測補正値として記憶する(S103)。
【0050】
図11は画像形成装置の色ずれ変化の1例を示す概略図である。A区間は連続プリント動作の状態、B区間はスリープ状態、C区間は再び連続プリント動作の状態を示す。
【0051】
図12に
図11に対応したレーザースキャナー近傍の温度変化と像担持体近傍の温度変化を示す。レーザースキャナー近傍の温度はA区間及びC区間の連続プリント動作中は昇温し、B区間のスリープ状態では降温している。それに対し、像担持体近傍の温度は、B区間のスリープ状態でも昇温している。これはスリープ状態になったことで、機内のFANが停止した影響を受けた結果である。
図11、
図12に示すように、高速起動直後の温度変化や色ずれ変化の傾きは急峻であり、特にA区間で顕著である。
図11、
図12から、色ずれ補正値の更新をおこなわなかった場合、温度変化に応じて色ずれ量が変化することが分かる。
【0052】
オンデマンドの定着器を有する画像形成装置は、起動後も数分間は画像形成部周りの温度が急激に上昇する為、温度変化が急峻な間にプリント動作が行われることとなる。画像形成部の温度が急激に上昇を続ける間にプリント動作させると温度変化によって色ずれが生じてしまう。オンデマンドの定着器を有する画像形成装置は、高速起動が可能である為、プリント動作を行わない場合は、従来のように定着器をある一定以上の温度に温調した状態で次のプリント動を待っている必要性がなくなった。つまり、短時間でもプリント動作を行い時は、定着器や画像形成部の通電を停止したスリープの状態にすることができる。その為、待機時の消費電力を大きく削減することができる。オンデマンドの定着器を有する画像形成装置は、プリント動作を行わない場合、短時間でスリープ状態に移行するので、プリント動作中に上昇した画像形成部の温度は低下する。画像形成装置の使用条件によっては、高速起動とスリープ移行を短時間で繰り返すこととなり、画像形成部の温度変化が激しくなる。そして、画像形成部の激しい温度変化に伴い、色ずれが生じてしまう。
【0053】
色ずれ実測補正値算出処理を用いて色ずれ変化を所定値以下に抑えるためには、色ずれ実測補正値算出処理を高頻度で行うことになる。特にA区間においては数十秒や数分ごとの頻度で色ずれ実測補正値算出処理を実行する必要ことになる。パッチを形成する度にプリント動作を停止することが必要となり、生産性を大きく低下させることになる。また、頻繁にパッチ形成を行うことで、トナー消費量も増加してしまう。
【0054】
そこで、本実施例においては、温度検知部によって検知された温度から色ずれ量を推測し、色ずれ検知パッチを形成することなく、色ずれ予測補正値を算出する。本実施例によれば、生産性を低下させずに、色ずれが抑制された高品質な画像を出力することができる。以下に、色ずれ予測補正値算出処理について詳細に説明する。
【0055】
図13に
図11に対応したレーザースキャナー部の温度と色ずれ変化量の関係図を示す。また、レーザースキャナー部の温度と色ずれ変化量との一次の線形近似の結果を示す。色ずれ変化量は、ある基準時からの色ずれの変化量を示す。
図13における基準は、変化量が0の点、すなわちA区間の初めの実測値である。
図13から、レーザースキャナー部の温度と色ずれの変化量との関係には一次の相関がないことが分かる。また、高次の線形近似を行っても相関がない。これは、昇温時と降温時でヒステリシスの影響や、レーザースキャナー部以外にも感光体ドラムや一次転写部の温度変化による影響を受けているからである。
【0056】
そこで、本実施例では複数の温度検出部で検知した温度データから色ずれ量を予測する。具体的には、レーザースキャナー部の温度を検知する温度検知手段61Y、61M、61C、61Kで検知した温度データの何れか、若しくは、それらの平均値(以降、まとめて61とする)と、感光体ドラム近傍の温度検知手段62Y、62M、62C、62Kで検知した温度データの何れか、若しくは、それらの平均値(以降、まとめて62とする)と、を用いて色ずれ量を算出する。
【0057】
本実施例における画像形成装置においては、レーザースキャナー部の温度変化と感光体ドラム近傍における温度変化は、各ステーションにおいて略同何一の為、何れか、若しくは平均値を使用すれば良いこととする。
【0058】
図14に
図11に対応した色ずれ変化と、前述したレーザースキャナー部の温度と感光体ドラム近傍の温度から、以下の式(1)を用いて算出した色ずれ変化量の予測値を示す。
【0059】
ΔX=α・ΔTls+β・ΔTdrm ・・・(1)
ΔXは色ずれ変化量の予測値、ΔTlsはレーザースキャナー部の温度変化量、ΔTdrmは感光体ドラム近傍の温度データである。α、βは、ΔXを算出する為の所定の係数である。
【0060】
係数α、βの値は、画像形成装置から出力された画像の実際の色ずれ量と、画像を出力した際のレーザースキャナー部の温度または感光体ドラム近傍の温度データとから、最小二乗法による重回帰分析を用いて算出される。
【0061】
図14に示す色ずれ変化量の予測値は、
図13で示したレーザースキャナー部の温度データのみから予測した色ずれ変化量の予測値に比較して、高精度である。
【0062】
本実施例の色ずれ予測補正算出処理によれば、複数の温度検知部を用いて色ずれの補正値を算出するので、さまざまな画像形成装置の使われ方のもとで生じる複雑な機内の温度変化に応じた色ずれ量を高精度に予測することができる。
【0063】
色ずれ予測補正値算出部94で実行される色ずれ予測補正値算出処理を
図15を用いて説明する。色ずれ予測補正値は、色ずれ実測補正値算出処理において検知した温度(S101)からの温度差分に応じた補正値であり、色ずれ実測補正値算出処理からの色ずれ量に応じた補正値である。色ずれ予測補正値は、色ずれ補正部91における補正処理において使用するための制御値である。色ずれ予測補正値算出処理は、色ずれパッチ検知センサ46、47、48の検知結果パッチの代わりに第一、第二および第三の温度検知部61、62、63で検知した温度データを使用して、色ずれ補正値を予測する。
【0064】
まず、第一、第二および第三の温度検知部61、62、63で検知した現在の温度データを取得する。第一の温度検知手段61から現在のレーザースキャナー近傍の温度データTls(1)を取得し、第二の温度検知手段62から現在の感光体ドラム近傍の温度データTdrm(1)を取得し、第三の温度検知手段63から現在の機外の温度をTenv(1)を取得する。
【0065】
次に、色ずれ実測補正値算出処理において記憶した、レーザースキャナー部の温度データTls(0)、感光体ドラム近傍の温度データTdrm(0)、機外の温度データTenv(0)を読み出す。
これらの温度データから以下の式を用いて、色ずれ予測補正値ΔXを予測する。
【0066】
ΔX=α・ΔTls+β・ΔTdrm ・・・(1)
ΔTls=(Tls(1)−Tenv(1))−(Tls(0)−Tenv(0)) ・・・(2)
ΔTdrm=(Tdrm(1)−Tenv(1))
−(Tdrm(0)−Tenv(0)) ・・・(3)
式(1)は上述した式と同じである。式(2)と式(3)はΔTlsとΔTdrmの詳細な算出方法を示す式である。
【0067】
色ずれ予測補正値ΔXは色ずれ検知パッチ形成時と現在の、レーザースキャナー部の温度と感光体ドラム近傍の温度変化量に係数αとβをそれぞれ積算して算出する。
【0068】
式(2)と式(3)は、レーザースキャナー部の温度と感光体ドラム近傍の温度に対して機外の温度の差分をそれぞれ算出している項を含む。この項は、機外の温度変化の影響を除去する為である。例えば、エアコン等の外気の環境変化の影響で外気温度が上昇した場合、レーザースキャナー部の温度と感光体ドラム近傍の温度は、外気温度の上昇分増加される。色ずれは、基本的に機内の温度分布によって生じる現象である。よって、機外の温度変化によるレーザースキャナー部の温度と感光体ドラム近傍の温度の変化分が色ずれ予測補正値ΔXの算出に影響しないように、機外の温度を減算する。ただし、精度は落ちるが、機外の温度を色ずれ予測補正値の算出に使用しなくても色ずれ予測補正値を算出することは可能である。
【0069】
式(1)で算出されたΔXは、色ずれ予測補正値として記憶され、色ずれ補正部91は、色ずれ実測補正値と色ずれ予測補正値とを足し合わせることにより得られる補正値を用いて色ずれ補正を行う。
【0070】
色ずれ予測補正値算出処理を使用することにより、頻繁にパッチを形成する色ずれ実測補正値算出処理を実施しなくても、色ずれのない高品質の画像を出力することができる。
【0071】
色ずれ予測補正値ΔXの予測は、
図8を用いて説明した色ずれの種類((a)副走査TOPずれ(副走査全体ずれ)、(b)副走査傾きずれ、(c)副走査曲がりずれ、(d)主走査TOPずれ(主走査全体ずれ)、(e)主走査全体倍率ずれ、(f)主走査片倍率ずれ)のそれぞれに対応した係数α、βを使用することにより、より高精度な予測を行うことができる。
【0072】
図20に、(a)副走査TOPずれ、(b)副走査傾きずれ、(c)副走査曲がりずれ、(d)主走査TOPずれ、(e)主走査全体倍率ずれ、(f)主走査片倍率ずれ、それぞれのレーザースキャナー部の温度変化に対する色ずれの変化量を示す。
【0073】
図20から、(a)副走査TOPずれ、(d)主走査TOPずれ、(e)主走査全体倍率ずれが、温度変化に対する敏感度が高いことがわかる。そこで、本実施例では、(a)〜(f)の全ての成分を予測補正するのではなく、温度変化に対して敏感度の高い(a)副走査TOPずれ、(d)主走査TOPずれ、(e)主走査全体倍率ずれ、について予測を実施する。
【0074】
その場合、式(1)の代わりに、色ずれの種類ごとに以下の式(4)、(5)、(6)を用いる。
ΔX(a)=α(a)・ΔTls+β(b)・ΔTdrm ・・・(4)
ΔX(d)=α(d)・ΔTls+β(d)・ΔTdrm ・・・(5)
ΔX(e)=α(e)・ΔTls+β(e)・ΔTdrm ・・・(6)
(a)副走査TOPずれ、(d)主走査TOPずれ、(e)主走査全体倍率ずれの3つの種類は、昇温応じたレーザースキャナーの筺体の変形によって生じるレンズやミラーの姿勢変化や、レンズ自身の膨張、感光体ドラムの膨張等の影響で変化しやすい。つまり、これらの種類は、温度変化に対する敏感度が高い。
【0075】
一方、(b)副走査傾きずれ、(c)副走査曲がりずれ、(f)主走査片倍率ずれは、初期のレンズやミラーの姿勢、本体枠体の捩れや傾きによるレーザースキャナーと感光体ドラムの相対的な傾き等の影響が大きく、温度変化に対する敏感度が小さい。
【0076】
温度変化に対して敏感度の小さい成分を予測すると、過補正になってしまい、色ずれが悪化してしまう可能性がある。よって、本実施例では、温度変化に対して敏感度の高い種類は、色ずれ実測補正値算出処理と色ずれ予測補正値算出処理とを行う。一方、温度変化に対して敏感度の低い種類は、色ずれ予測補正値算出処理を行わず、色ずれ実測補正値算出処理のみを行う。
【0077】
また、色ずれ予測補正値による補正量が大きくなると、それに伴って機械差や環境差によって、実際の色ずれと色ずれ予測補正値との誤差が大きくなってしまう可能性がある。
図17に色ずれ量の実測値と予測値との誤差が、色ずれの変化量の大きさが大きくなるとともに拡大する様子を示す。機械差や環境差によって予測値は、図中、予測値1と予測値2のようにばらつきが生じる。予測値に基づく補正量が大きくなると誤差が大きくなるのが分かる。
【0078】
そこで本実施例においては、色ずれ予測補正値算出処理を行う温度範囲を以下の条件で限定している。
ΔTlimit≦ΔTls(1)−ΔTenv(1) ・・・(7)
式(4)は現在のレーザースキャナー近傍の温度と機外の温度との差分であり、この差が大きくなると色ずれ予測補正値ΔXも大きくなる。その為、その差分が所定値(ΔTlimit)以上の場合には、色ずれ予測補正値算出処理を行わないこととする。ΔTlsは、ΔTdrmに置き換えてもかまわない。また、ΔTlsおよびΔTdrmの両方を用いてもかまわない。
【0079】
このように、色ずれ予測補正値算出処理を行う温度範囲を限定することにより、色ずれ予測補正値の誤差が大きくなり、色ずれ予測補正値算出処理を行うことにより色ずれが悪化してしまうことを防ぐことができる。
【0080】
図16にCPU90によって実行される色ずれ補正の制御に関するフローチャートを示す。
【0081】
まず、CPU90は、現時点が色ずれ実測補正値算出処理を行うタイミングであるか否かを決定する(S201)。本実施例では、電源投入時およびプリントジョブ間において所定条件に合致した場合に、色ずれ実測補正値算出処理を行うタイミングであると決定する。所定条件とは、色ずれ実測補正値算出処理を実施してから、プリント枚数が所定枚数に達した場合、所定時間経過した場合などである。
【0082】
S201において、現時点が色ずれ実測補正値算出処理を行うタイミングであると決定された場合は、CPU90は、色ずれ実測補正値算出部93に、
図10を用いて説明した色ずれ実測補正値算出処理(S101〜S103)を実施させる。そして、算出された色ずれ実測補正値および温度データを記憶する(S207)。記憶する温度データは、第一の温度検知部61で検知したレーザースキャナー部の温度データ(Tls(0))、第二の温度検知部62で検知した感光体ドラム近傍の温度データ(Tdrm(0))、第三の温度検知部63で検知した機外の温度データ(Tenv(0))である。さらに、記憶されている予測補正値と色ずれ実測補正値との加算値をクリアする。なお、上記所定条件にかかわらず、ユーザからの指示があった場合もCPU90は、色ずれ実測補正値算出部93に実測補正値算出処理を行わせる。
【0083】
一方、S201において、現時点が色ずれ実測補正値算出処理を行うタイミングでないと決定された場合は、CPU90は、現時点が色ずれ予測補正値算出処理を行うタイミングであるか否かを決定する(S202)。
【0084】
色ずれ予測補正値算出処理を行うタイミングは、例えば、色ずれ実測補正値算出処理の実行時点および前回の色ずれ予測補正値算出処理の実行時点からのプリント枚数が所定枚数に達した場合もしくは所定時間経過した場合である。ただし、この条件は、S201で使用する条件より厳しく設定されており、色ずれ実測補正算出処理よりも細かいタイミングで実行されるように設定されている。
【0085】
S202において、現時点が色ずれ予測補正値算出処理を行うタイミングであると決定された場合は、CPU90は、第一、第二および第三の温度検知部61、62、63から温度検知結果を取得する(S203)。第一の温度検知部61からレーザースキャナー部の温度データ(Tls(1))を取得し、第二の温度検知部62から感光体ドラム近傍の温度データ(Tdrm(1))を取得し、第三の温度検知部63から機外の温度データ(Tenv(1))を取得する。
【0086】
S203において、CPU90は、取得したTls(1)とTenv(1)を用いて、上述した式(7)の条件を満たすか否か決定する(S204)。
ΔTlimit≦ΔTls(1)−ΔTenv(1) ・・・(7)
S204において、条件を満たすと決定された場合は、CPU90は、色ずれ予測補正値算出部94に、
図15を用いて説明した色ずれ予測補正値算出処理を行わせる(S205)。
【0087】
色ずれ予測補正値は、色ずれ実測補正値算出処理において検知した温度(S101)からの温度差分に応じた補正値であり、色ずれ実測補正値算出処理からの色ずれ量に応じた補正値である。したがって、色ずれ補正部91で使用する補正値を算出するために、S205で算出された色ずれ予測補正値とS207において記憶された色ずれ実測補正値とを加算する(S206)。そして、記憶されている加算値を、S206で算出された加算値で更新する。
【0088】
CPU90は、色ずれ補正部91に色ずれ補正を行わせ(S208)、画像形成装置に画像形成を行わせる(S209)。色ずれ実測補正値算出処理を行った場合は、CPU90は、色ずれ補正部91に、S207で算出された色ずれ実測補正値を用いて色ずれ補正を行わせる。色ずれ予測補正値算出処理を行った場合は、CPU90は、色ずれ補正部91に、S206で算出された加算値を用いて色ずれ補正を行わせる。色ずれ実測補正値算出処理も色ずれ予測補正値算出処理も行わなかった場合(S202NO、S204NO)、CPU90は、色ずれ補正部91に、記憶されている加算値を用いて色ずれ補正を行わせる。なお、記憶されてる加算値がクリアされている場合(すなわち、色ずれ実測補正値算出処理後に、色ずれ予測補正値算出処理が行われていない場合)は、CPU90は、色ずれ補正部91に、S207で記憶された色ずれ実測補正値を用いて色ずれ補正を行わせる。
【0089】
なお、S202において、温度検知部61、62、63の何れかの検知結果が所定値以上変化した場合に、現時点が色ずれ予測補正値算出処理を行うタイミングであると決定するようにしてもかまわない。ただし、温度検知部の検知結果から算出されるΔTls(1)−ΔTenvを使用する場合は、この所定値はΔTlimitより低い値とする。
【0090】
また、高湿度環境における画像流れ等を防止して画像品質を安定させる為に、感光体ドラム2Y、2M、2C、2K近傍に不図示のヒーターを有している画像形成装置もある。ヒーターを有している画像形成装置では、ヒーターONに伴い、レーザースキャナー近傍の温度や像担持体近傍の温度も上昇し、機外センサーの温度に対してオフセットが生じてしまう。この場合、式(7)では、S203の決定を適切に行うことができない。
図18にヒーターをOFFした状態での温度データの1例を示し、
図19にヒーターをONした状態での温度データの1例を示す。
【0091】
S204において、ヒーターONした場合には、以下の式(8)を用いればよい。
ΔTlimit2≦ΔTls(1)−ΔTdrm(1) ・・・(8)
式(8)のΔTlimit2は予測値の算出には直接関わらない値ではあるが、式(7)の代用とすることができる。感光体ドラム2Y、2M、2C、2K近傍にヒーターを設けた場合、感光体ドラム近傍の温度がヒーターONの場合と比較して安定し、傾きが緩やかになり、レーザースキャナー部の昇温変化が色ずれに対して支配的となる。その為、レーザースキャナー部と昇温変化と傾きが緩やかになった感光体ドラム近傍の温度差分を比較すれば、ヒーターOFFした状態での式(7)の判断条件と略同等とすることができる。
【0092】
また、本実施例によれば、電源投入時に、色ずれ実測補正値算出処理が行われる。何らかの原因によりこの色ずれ実測補正値算出処理が失敗した場合は、その後の色ずれ予測補正値算出処理を実行しない。
【0093】
上記実施例では、YMCKステーションに対して同一の処理を行っていた。しかしながら、
図1に示す画像形成装置においてKステーションの構成はYMCステーションの構成と異なる。機内の温度が変化した際に、色ずれが顕著に現れる。
【0094】
図21に色ずれの概略を示す。
図21aは(e)主走査全体倍率ずれ、
図21bは(d)主走査TOPずれ、
図21cは(a)副走査TOPずれを示す。
【0095】
図21に示す走査ライには、実施例1で説明した色ずれ補正の制御を行った後の結果である。このように、Kステーションの構成が、YMCステーションの構成と異なることにより、Kステーションだけがずれてしまう。
【0096】
したがって、YMCとKの構成間差による色ずれ変化の予測値Δ(a)、Δ(d)、Δ(e)として、YまたはMまたはCに対するKの色ずれ変化量だけを算出すれば良い。もしくは、Kに対するYMCの色ずれ変化量として、YMCに対して同一の補正値を算出すれば良い。
【0097】
また、上記実施例では、第一の温度検知部は、レーザースキャナー部の筺体内の温度を検知しているが、レーザースキャナー部の近傍の温度を検知するようにしてもかまわない。また、YMCKそれぞれに対して第一の温度検知部を設けていたが、いずれか1つだけにしてもかまわないし、YMCのいずれか1つとKとの2つにしてもかまわない。
【0098】
また、上記実施例では、第二の温度検知部は、感光体ドラム近傍の温度を検知しているが、感光体ドラム表面の温度を検知するようにしてもかまわない。また、また、YMCKそれぞれに対して第二の温度検知部を設けていたが、いずれか1つだけにしてもかまわないし、YMCのいずれか1つとKとの2つにしてもかまわない。
【0099】
また、
図1に示す画像形成装置のかわりに、
図22に示すYMCKステーションで同一構成の画像形成部を有するタンデムの画像形成装置を用いても構わない、1つのポリゴンミラーで複数の感光体ドラムを走査する、2in1スキャナーや4in1スキャナーを用いた画像形成装置を用いても構わない。
【0100】
また、上記実施例では、定着部として高速起動が可能であるオンデマンドの定着部を用いたが、他の定着部を用いてもかまわない。他の定着部を用いた画像形成装置でも温度変化は生じる。したがって、上記実施例の色ずれ補正の制御を四使用することにより、より高精度な色ずれ補正を実現することができる。