(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436632
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】金銭授受ユニットおよび商品販売データ処理ユニット
(51)【国際特許分類】
G07G 1/01 20060101AFI20181203BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
G07G1/01 301D
G07G1/00 301Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-24780(P2014-24780)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-153030(P2015-153030A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清 倫洋
(72)【発明者】
【氏名】松村 和行
(72)【発明者】
【氏名】中山 正
(72)【発明者】
【氏名】榎本 英樹
【審査官】
須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−029068(JP,A)
【文献】
特開平11−045052(JP,A)
【文献】
特開2001−243544(JP,A)
【文献】
特開2014−170403(JP,A)
【文献】
特開2013−206429(JP,A)
【文献】
特開2003−281623(JP,A)
【文献】
実開昭54−050934(JP,U)
【文献】
特開2006−163048(JP,A)
【文献】
特開2012−128803(JP,A)
【文献】
特開2011−054128(JP,A)
【文献】
特開2013−182485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 − 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売データ処理装置から送信された決済に係る情報を表示する表示装置と、
前記表示装置の下方で且つ前記表示装置の表示面側に配置された、金銭を載置するための金銭載置部と、
平板形状のベース部材に設けられたとネジ穴と、平板形状の回転部材に設けられた長孔とに挿入されたネジで回転可能に固定され、当該回転部材上に立設された固定部材に保持された前記表示装置の表示面と、当該表示面の前方であって前記回転部材に上に設けられた前記金銭載置部とのスイーベル調整を行うスイーベル機構と、
前記固定部材に設けられ、前記表示装置の縦の長さが横の長さより長い縦置き位置と、前記表示装置の横の長さが縦の長さより長い横置き位置とに選択的に前記表示装置を配置する選択部材と、
を備え、
前記縦置き位置の場合に、前記表示装置の表示面は、前記金銭載置部の長手方向に沿い且つ当該表示面の幅は、前記金銭載置部の長手方向の長さより小さいことを特徴とする金銭授受ユニット。
【請求項2】
前記スイーベル機構は、前記表示装置とともに前記金銭載置部も一体にスイーベル調整を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の金銭授受ユニット。
【請求項3】
前記固定部材は、前記表示装置をチルト方向に回動自在に保持する、
ことを特徴とする請求項2に記載の金銭授受ユニット。
【請求項4】
前記金銭載置部は、前記表示装置の下端に近接して設けられる、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の金銭授受ユニット。
【請求項5】
商品販売データ処理を実行する商品販売データ処理装置と、
前記商品販売データ処理装置に近接させて配置される請求項1ないし4の何れか一項に記載の金銭授受ユニットと、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、金銭授受ユニットおよび商品販売データ処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店等での売上処理の際には、顧客からオペレータであるキャッシャに対して紙幣や硬貨を支払うことによる金銭授受が行なわれている。このような顧客とキャッシャとの金銭授受については、従来、釣り銭受皿を介して行われることが多い。このような金銭授受に用いられる釣り銭受皿は、商品販売データ処理装置であるPOS(Point Of Sales)端末の近傍に設置される。
【0003】
一方、POS端末には、顧客に対して支払い合計金額などの決済に係る情報を顧客に向けて表示する客用ディスプレイが設けられている。顧客は、客用ディスプレイの表示内容を確認し、紙幣や硬貨(決済に係る金銭)を釣り銭受皿に支払う。
【0004】
従来においては、釣り銭受皿とPOS端末に設けられた客用ディスプレイとは、それぞれ離れた位置に設置されている場合が一般的である。
【0005】
しかしながら、上述のように釣り銭受皿と客用ディスプレイとが離れている場合、顧客の客用ディスプレイに対する支払い合計金額の確認の視線方向と、貨幣を支払う際の顧客の釣り銭受皿に対する視線方向とが異なることになる。このように客用ディスプレイに対する視線方向と釣り銭受皿に対する視線方向とが異なる場合には、顧客による貨幣の払い出し動作において顔を上下方向や左右方向に振る動作等が必要になって顧客の動作に余分な負荷を掛けることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、顧客による貨幣の払い出し動作を快適に行うことができる金銭授受ユニットおよび商品販売データ処理ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の金銭授受ユニットは、商品販売データ処理装置から送信された決済に係る情報を表示する表示装置と、前記表示装置の下方で且つ前記表示装置の表示面側に配置された、金銭を載置するための金銭載置部と、
平板形状のベース部材に設けられたとネジ穴と、平板形状の回転部材に設けられた長孔とに挿入されたネジで回転可能に固定され、当該回転部材上に立設された固定部材に保持された前記表示装置の表示面と、当該表示面の前方であって前記回転部材に上に設けられた前記金銭載置部とのスイーベル調整を行うスイーベル機構と、前記
固定部材に設けられ、前記表示装置の縦の長さが横の長さより長い縦置き位置と、前記表示装置の横の長さが縦の長さより長い横置き位置とに選択的に前記表示装置を配置する選択部材と、を備え、前記縦置き位置の場合に、前記表示装置の表示面は、前記金銭載置部の長手方向に沿い且つ当該表示面の幅は、前記金銭載置部の長手方向の長さより小さいことを特徴とする金銭授受ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるチェックアウトシステムの全体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、POS端末ユニットを主体とした外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、客用ディスプレイおよび釣り銭受皿の取り付け構造を例示的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、客用ディスプレイおよび釣り銭受皿のスイーベル回転を示し、(a)は正対時、(b)は時計回り時、(c)は反時計回り時を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態にかかるチェックアウトシステム10の全体を示す斜視図である。
図1に示すように、商品販売データ処理システムであるチェックアウトシステム10は、大別すると、決済処理を行うための商品販売データ処理装置であるPOS(Point Of Sales)端末11と、このPOS端末11に図示しない通信ネットワークを介して接続された商品データ入力端末装置12と、を備えている。商品データ入力端末装置12は、コードシンボルとしてのバーコードを読み取るバーコードスキャナ13を備えている。また、商品データ入力端末装置12は、買い物かご14が載置される横長テーブル形状のレジ台16上に立設されている。
【0010】
ここで、チェックアウトシステム10の1人制によるチェックアウト時の概要動作について説明する。チェックアウトレーンに並んだ顧客Cは、買い物かご14に自己が入れた商品(群)Gの販売作業の流れの方向である方向Lに沿って進むこととなる。
【0011】
これにより、例えば、店員であるオペレータOは、商品(群)Gを構成している商品のそれぞれのバーコードをバーコードスキャナ13により読み取らせる。商品(群)Gを構成している全ての商品の読み取りが完了すると、オペレータOは、決済指示を行う。決済指示があると、商品データ入力端末装置12は、POS端末11に対して読み取った商品コード(商品コード群)及び決済指示を通知する。
【0012】
次いで、オペレータOは、POS端末11に対して顧客Cの入金額を入力する。POS端末11は、釣銭が必要な場合には、釣銭の払い出しを行うとともに、レシートを発行して処理を終了する。
【0013】
ここで、
図2はPOS端末11を主体とした外観を示す斜視図である。
図2に示すように、POS端末11は、上部に、タッチパネルが設けられた液晶ディスプレイ等として構成されたタッチパネルディスプレイ21と、サーマルプリンタなどとして構成されるプリンタ22と、キーボード23と、を備えている。また、POS端末11は、クーポンを発行するクーポンプリンタ25も接続する。
【0014】
さらに、POS端末11は、
図1中、レーンの右側でチェックアウトを行う顧客C用の決済に係る各種情報(商品価格や支払い合計金額など)を表示する表示装置である矩形状の客用ディスプレイ24と、現金(決済に係る金銭)を一時収納する金銭載置部である釣り銭受皿26とを備えている。釣り銭受皿26は、釣り銭受部26aが凹み形状で形成されており、レーンの右側でチェックアウトを行う顧客Cが貨幣を支払うとともに、オペレータOがレーンの右側でチェックアウトを行う顧客Cに対する釣銭を置くためのものである。
【0015】
なお、POS端末11の下方には、POS端末11に対して顧客Cの入金額を入力するとともに、POS端末11からの指示に応じて釣銭の払い出しを行う釣銭機ユニット15が設けられている。釣銭機ユニット15は、硬貨投入・払出部28及び紙幣投入・払出部29が設けられている。
【0016】
POS端末11及び釣銭機ユニット15は、レジ台となるラック32の天板上に載置されている。
【0017】
次いで、POS端末11における客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26の取り付け構造について詳述する。
【0018】
ここで、
図3は客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26の取り付け構造を例示的に示す斜視図、
図4は客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26のスイーベル回転を示し、(a)は正対時、(b)は時計回り時、(c)は反時計回り時を示す図である。
図3に示すように、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26は、客用ディスプレイ24の表示面のスイーベル調整(表示面の向きの左右方向への調整)を行うためのスイーベル機構50を備えている。スイーベル機構50と、客用ディスプレイ24と、釣り銭受皿26とを主体として、金銭授受ユニット27が形成される。そして、金銭授受ユニット27とPOS端末11とによって商品販売データ処理ユニットが構成されている。
【0019】
スイーベル機構50は、ベース部材51と、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26を備える回転部材52と、支持部材53とを備えている。支持部材53は、ラック32の天板上に一端が固定されている。平板形状のベース部材51は、支持部材53の他端に取付けられている。一方、平板形状の回転部材52は、ベース部材51に対してネジ54a,54bにより固定される。
【0020】
回転部材52には、客用ディスプレイ24を固定する固定部材52cが立設されている。固定部材52cは、回動支点となるヒンジ52dを有しており、ヒンジ52dによって客用ディスプレイ24をチルト方向(上下方向)に回動自在に保持する。
【0021】
なお、固定部材52cのヒンジ52dは、矩形状の客用ディスプレイ24を、顧客Cから見て横置きと縦置きとに選択的に配置することができる。ここで、縦置きとは、縦の長さが横の長さより長い置き位置と定義する。横置きとは、横の長さが縦の長さより長い置き位置と定義する。
【0022】
また、釣り銭受皿26は、回転部材52上において固定部材52cに設けられた客用ディスプレイ24に干渉されない位置に設けられている。しかしながら、釣り銭受皿26と客用ディスプレイ24とは、一体感を持たせるために、できる限り近づけて設置されることが望ましい。すなわち、釣り銭受皿26は、客用ディスプレイ24の表示面に連接して設けられる。これにより、レーンの右側でチェックアウトを行う顧客Cに対して釣り銭受皿26がより接近するとともに、顧客Cが釣り銭受皿26に対して貨幣を支払う際に、客用ディスプレイ24に表示された決済に係る情報である支払い金額を確認しやすいレイアウトになっている。
【0023】
ベース部材51は、特に図示しないが、回転部材52の固定部材52cを挟んで対向する位置にネジ54a,54bを受ける一対のネジ穴が設けられている。一方、回転部材52には、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26のスイーベル方向に沿う長孔52aおよび長孔52bが、ベース部材51に設けられた一対のネジ穴を結ぶ線を直径とする円周上に形成されている。そして、長孔52a,52b内にそれぞれ挿入されたネジ54a,54bは、回転部材52を長孔52a,52bに沿って移動可能に保持する位置でベース部材51の一対のネジ穴に対して固定される。
【0024】
これにより、
図4に示すように、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26は、長孔52a,52bの範囲でスイーベル機構50によるスイーベル方向における一体での回動操作が可能となっている。
【0025】
このように、実施形態によれば、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26をスイーベル機構50上に配設し、スイーベル機構50によって客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26を一体にスイーベル調整を行うことができるので、コンパクトな構造を保ちつつ、客用ディスプレイ24の表示画面を見易いレイアウトに調整することができるとともに、釣り銭受皿26に対する客の操作性も調整可能とすることができる。
【0026】
したがって、客は、会計時に客用ディスプレイ24の表示内容(決済に係る情報)の確認がし易くなり、客用ディスプレイ24に表示された決済に係る情報である支払い合計金額を見ながら会計をすることができる。これにより、顧客の動作に余分な負荷が掛かることがなくなり、客のストレスが軽減されるとともに、会計に掛かる時間が短縮される。
【0027】
このように客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26を一体として回転させるメリットは、スイーベル機構50を追加しても構造をコンパクトにすることができることである。このため、客用ディスプレイ24および釣り銭受皿26のレイアウト関係を崩すことなく上記効果を提供可能としている。また、スイーベル機構50の追加によるコストアップも最小限に抑えることが可能である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
11 商品販売データ処理装置
24 表示装置
26 金銭載置部
27 金銭授受ユニット
50 スイーベル機構
52c 固定部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2000−285315号公報