特許第6436639号(P6436639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436639
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】回転機械及び回転機械制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 3/04 20060101AFI20181203BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20181203BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   F01D3/04
   F01D25/00 V
   F01D25/16 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-67278(P2014-67278)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190355(P2015-190355A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年11月1日
【審判番号】不服-1905(P-1905/J1)
【審判請求日】2018年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 充広
【合議体】
【審判長】 水野 治彦
【審判官】 粟倉 裕二
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−40795(JP,A)
【文献】 特開平4−124407(JP,A)
【文献】 特開2012−112254(JP,A)
【文献】 特開平11−336752(JP,A)
【文献】 特開2003−269108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D25/00,25/16
F01D25/24-25/28
F02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
前記ロータに固定された動翼と、
前記動翼と対面して配置され、内面に静翼が固定された車室と、
前記車室の外に配置され、前記ロータを支持し、架台に支持される軸受と、
前記ロータの径方向において、前記架台に対する前記車室の位置を移動させる移動部と、
運転状態を検出する検出部と、
前記検出部で検出した運転状態の結果に基づいて、前記移動部を制御し、前記車室と前記ロータとの相対位置を制御する制御部と、を有し、
前記車室は、内部車室であり、
前記内部車室を覆う外部車室をさらに有し、
前記移動部は、前記外部車室の内部、かつ、前記内部車室と前記外部車室との間に配置され
前記内部車室は、前記外部車室及び前記移動部を介して、前記架台に支持されることを特徴とする回転機械。
【請求項2】
前記検出部は、前記ロータの回転速度を検出する回転速度検出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
【請求項3】
前記軸受を収容する軸受箱をさらに有し、
前記検出部は、前記軸受箱の温度を検出する温度検出部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械。
【請求項4】
前記検出部は、前記車室と連結した復水器内の気圧を検出する気圧検出部を含み、
前記制御部は、前記気圧検出部で検出した前記復水器内の真空度に基づいて、前記移動部の動作を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転機械。
【請求項5】
前記移動部は、油圧で作動することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転機械。
【請求項6】
ロータと、前記ロータに固定された動翼と、前記動翼と対面して配置され、内面に静翼が固定された内部車室と、前記内部車室を覆う外部車室、前記内部車室の外に配置され、前記ロータを支持し、架台に支持される軸受と、を有する回転機械を制御する回転機械制御方法であって、
運転状態を検出し、
検出した運転状態の結果に基づいて、前記外部車室の内部、かつ、前記内部車室と前記外部車室との間に配置される移動部を用いて、前記ロータの径方向において前記架台に対する前記内部車室の位置を移動させ、前記外部車室及び前記移動部を介して前記架台に支持される前記内部車室と前記ロータとの相対位置を制御することを特徴とする回転機械制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータを回転駆動する回転機械及び回転機械制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータを回転させる回転機械としては、蒸気タービン、圧縮機等、種々の機械がある。例えば、蒸気タービンは、外部車室内に内部車室が設けられると共に、上部に蒸気入口部が設けられ、中心部にロータが回転自在に支持される。このロータには、複数の動翼が多段にわたって固定される一方、内部車室に支持された翼環リングに静翼が多段にわたって固定され、多段の動翼と静翼が交互に配設されている。蒸気タービンは、蒸気が蒸気入口部から内部車室に入ると、多段の静翼と動翼に供給されることで、この多段の動翼を介してロータを回転させる。
【0003】
ここで、蒸気タービンは、内部車室とロータとの間の空間、つまり多段の動翼と静翼が交互に配設されている空間に流れる高温の蒸気により、ロータと内部車室に相対的な熱膨張による熱伸び差が生じる場合がある。これに対して、例えば特許文献1には、ロータの軸方向における内部車室の位置を移動可能とし、ロータに対して内部車室の位置を調整する機構を備える蒸気タービンの車室位置調整装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/132085号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された蒸気タービンでは、ロータの軸方向における位置を調整可能とし、軸方向のロータと内部車室との相対位置のずれを抑制することで、回転部(ロータ及び動翼)と静止部(内部車室及び静翼)との相対位置のずれを抑制している。しかしながら、蒸気タービンの車室位置調整装置は、ロータの軸方向の相対位置のずれは抑制できるが、ロータと車室とのずれが他の方向に生じる場合もある。ロータと車室との間にずれが生じる場合、そのずれを許容するために、回転部と固定部との間に設けるクリアランス(隙間)を小さくすることができず、運転効率の低下の要因となる。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、回転機械の運転効率をより向上させることができる回転機械及び回転機械制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の回転機械は、ロータと、前記ロータに固定された動翼と、前記動翼と対面して配置され、内面に静翼が固定された車室と、前記車室の外に配置され、前記ロータを支持し、架台に支持される軸受と、前記ロータの径方向において、前記架台に対する前記車室の位置を移動させる移動部と、運転状態を検出する検出部と、前記検出部で検出した結果に基づいて、前記移動部を制御し、前記車室と前記ロータとの相対位置を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成の回転機械は、運転状態に応じて、ロータの径方向において、ロータと車室との相対位置を制御することで、ロータと車室との径方向における位置ずれを抑制することができる。これにより、回転する部分と固定された部分との径方向の相対位置を近接させることができ、回転する部分と固定された部分との隙間を小さくすることができ、回転機械の運転効率をより向上させることができる。
【0009】
また、前記検出部は、前記ロータの回転速度を検出する回転速度検出部を含むことが好ましい。これにより、ロータの回転によって変動する径方向の位置に応じて、相対位置を調整することができる。
【0010】
また、前記軸受を収容する軸受箱をさらに有し、前記検出部は、前記軸受箱の温度を検出する温度検出部を含むことが好ましい。これにより、温度の変化により生じる軸受の熱膨張による変化に応じて、相対位置を調整することができる。
【0011】
また、前記検出部は、前記車室と連結した復水器内の気圧を検出する気圧検出部を含み、前記制御部は、前記気圧検出部で検出した前記復水器内の真空度に基づいて、前記移動部の動作を制御することが好ましい。これにより、回転機械に連結している復水器内の真空度上昇による架台の変形よって生じる相対位置の変化を抑制することができる。
【0012】
また、前記車室は、内部車室であり、前記内部車室を覆う外部車室をさらに有し、前記移動部は、前記内部車室と前記外部車室との間に配置されていることが好ましい。これにより、ロータの動翼と対面している静翼を維持する内部車室の位置を好適に制御することができる。
【0013】
また、前記移動部は、油圧で作動することが好ましい。これにより、車室の位置を高い精度で制御することができる。
【0014】
上記の目的を達成するための本発明は、ロータと、前記ロータに固定された動翼と、前記動翼と対面して配置され、内面に静翼が固定された車室と、前記車室の外に配置され、前記ロータを支持し、架台に支持される軸受と、を有する回転機械を制御する回転機械制御方法であって、運転状態を検出し、検出した結果に基づいて、前記ロータの径方向における前記架台に対する前記車室の位置を移動させ、前記車室と前記ロータとの相対位置を制御することを特徴とする。
【0015】
上記構成の回転機械制御方法は、運転状態に応じて、ロータの径方向において、ロータと車室との相対位置を制御することで、ロータと車室との径方向における位置ずれを抑制することができる。これにより、回転する部分と固定された部分との径方向の相対位置を近接させることができ、回転する部分と固定された部分との隙間を小さくすることができ、回転機械の運転効率をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、運転状態に応じて、ロータの径方向において、ロータと車室との相対位置を制御することで、ロータと車室との径方向における位置ずれを抑制することができる。これにより、回転する部分と固定された部分との径方向の相対位置を近接させることができ、回転する部分と固定された部分との隙間を小さくすることができ、回転機械の運転効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の回転機械の一実施例である蒸気タービンを有する発電システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、蒸気タービンの概略構成を表す断面図である。
図3図3は、蒸気タービンの概略構成を表す断面図である。
図4図4は、架台の概略構成を示す斜視図である。
図5図5は、高さ調整機構の概略構成を示す模式図である。
図6図6は、蒸気タービンの動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、蒸気タービンの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。なお、以下の実施例では、回転機械を、発電システムの蒸気タービンとした場合で説明するが、圧縮機、タービン等、種々の機器に適用することができる。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の回転機械の一実施例である蒸気タービンを有する発電システムの概略構成を示す模式図である。図1に示す発電システム10は、蒸気供給源12と、蒸気タービン(回転機械)14と、復水器16と、熱媒循環ライン18と、発電機20と、架台22と、真空ポンプ24と、を有する。なお、本実施例の発電システムは、熱媒として、水(蒸気)を用いるが、各種液体、流体を用いることができる。
【0020】
蒸気供給源12は、蒸気タービン14に蒸気を供給する機器である。蒸気供給源12は、熱媒となる水を加熱し、蒸気を発生させるボイラや、熱交換器、または、蒸気タービン14よりも高温高圧の蒸気を流通させる蒸気タービン等を含む。蒸気タービン14は、蒸気供給源12から供給される蒸気により回転される。蒸気タービン14は、鉛直方向上側の端面から蒸気供給源12により蒸気が供給され、鉛直方向下側の端面から蒸気を排出する。蒸気タービン14については、後述する。
【0021】
復水器16は、蒸気タービン14の鉛直方向下側に配置されており、蒸気タービン14を通過した蒸気が供給される。復水器16は、蒸気タービン14から供給された蒸気を凝縮され復水にする。熱媒循環ライン18は、復水器16に貯留された復水を図示しないポンプにより蒸気供給源12に供給する。このように発電システム10は、蒸気供給源12、蒸気タービン14、復水器16、熱媒循環ライン18の順で熱媒が循環される。
【0022】
発電機20は、蒸気タービン14と連結している。発電機20は、蒸気タービン14が回転されることで、発電が行われる。架台22は、蒸気タービン14を支持する土台であり、コンクリート等で作成されている。真空ポンプ24は、復水器16に接続されて、復水器16内を真空状態または真空に近い状態とする。
【0023】
次に、図1から図5を用いて、蒸気タービン14について説明する。図2は、蒸気タービンの概略構成を表す断面図である。図3は、蒸気タービンの概略構成を表す断面図である。図4は、架台の概略構成を示す斜視図である。図5は、高さ調整機構の概略構成を示す模式図である。
【0024】
蒸気タービン14は、外部車室30と、内部車室32と、静翼34と、ロータ36と、動翼38と、軸受40と、軸受ボックス42と、潤滑油供給装置44と、制御装置50と、温度検出部52と、気圧検出部54と、回転速度検出部56と、高さ調整機構60と、を有する。
【0025】
外部車室30は、筐体であり、架台22に支持されている。外部車室30内には、内部車室32と、静翼34と、動翼38を備えるロータ36と、が配置されている。外部車室30は、外部車室上半30aと外部車室下半30bとがフランジ等で固定され、内部に空間を形成している。内部車室32は、外部車室30の内部に、ロータ36を囲うように配置されている。内部車室32は、高さ調整機構60を介して、外部車室30に支持されている。内部車室32は、内部車室上半32aと内部車室下半32bとがフランジ等で固定され、内部に空間を形成している。
【0026】
複数の静翼34は、内部車室32の内面、つまりロータ36と対面する面に固定されている。静翼34は、ロータ36の周りを囲うように複数枚配置され、1段の静翼ユニットとなる。動翼38は、静翼ユニットが軸方向に多段で配置されている。
【0027】
ロータ34は、外部車室30の内部と内部車室32の内部に挿入されている。ロータ34は、両端が外部車室30の外側に突出しており、一方の端部が発電機20と連結している。複数の動翼38は、ロータ34の外周に配置されている。動翼38は、ロータ34の周方向に複数枚配置され1段の動翼ユニットとなる。動翼38は、動翼ユニットが軸方向に多段で配置されている。ここで、蒸気タービン14は、ロータ34の軸方向において、静翼34と動翼38とが交互に配置されている。
【0028】
軸受40は、外部車室30の外側の架台22の上に配置されている。具体的には、軸受40は、図3及び図4に示すように、ロータ36の外部車室30から突出している部分の両方に配置されている。軸受40は、ロータ36を回転可能な状態で支持している。軸受ボックス42は、軸受40のそれぞれに配置されており、軸受40の周囲を覆っている。潤滑油供給装置44は、軸受40に潤滑油を供給し、軸受40の回転する部分と、固定された部分との間に油膜を形成する。なお、架台22は、図4に示すように、外部車室30が設置される部分を囲うように配置されている。つまり架台22は、外部車室30が配置される部分が開口となる枠として形成されている。
【0029】
蒸気タービン14は、外部車室30と内部車室32に鉛直方向上側の面に貫通した蒸気供給口46が形成されている。蒸気供給口46は、蒸気供給源12と配管等を介して繋がっている。また、蒸気タービン14は、外部車室30の鉛直方向下側の面に蒸気排出口48が形成されている。蒸気排出口48は、復水器16と繋がっている。
【0030】
蒸気タービン14は、運転時に、蒸気が蒸気供給口46から内部車室32に入ると、この蒸気が静翼34を経て動翼38に噴出することでロータ36を回転させ、このロータ36に連結された発電機20を駆動する。また、蒸気タービン14は、静翼34を経て動翼38に噴出した蒸気が蒸気排出口48から復水器16に供給される。
【0031】
制御装置50は、鉛直方向における、ロータ36と内部車室32との相対位置を調整する。具体的には、制御装置50は、温度検出部52、気圧検出部54、回転速度検出部56の検出結果に基づいて、高さ調整機構60の動作を制御し、架台22に対する内部車室32の鉛直方向の位置を調整する。ここで、内部車室32の鉛直方向は、ロータ36の軸に直交する面の1つの方向であり、ロータ36の径方向に含まれる方向である。
【0032】
温度検出部52は、軸受ボックス42内の温度を検出する。温度検出部52は、軸受ボックス42毎、つまり2つの軸受ボックス42のそれぞれに配置されている。温度検出部52は、検出した軸受ボックス42内の温度の情報を制御装置50に送る。気圧検出部54は、復水器16内に配置され、復水器16内の気圧(真空度)を検出する。気圧検出部54は、検出した復水器16内の気圧(真空度)の情報を制御装置50に送る。回転速度検出部56は、ロータ36の回転速度を検出する。回転速度検出部56は、検出したロータ36の回転速度を制御装置50に送る。本実施形態の回転速度検出部56は回転速度としてロータ36の回転数を検出する。温度検出部52、気圧検出部54、回転速度検出部56としては、種々の計測機器を用いることができる。
【0033】
高さ調整機構60は、内部車室32が外部車室30に支持されている部分、具体的には、図4に示すように、鉛直方向において、外部車室30及び内部車室32と架台22とが重なっている部分の4か所に配置されている。外部車室30及び内部車室32と架台22とが重なっている部分は、図2に示すように、架台22の上に外部車室30が配置され、その鉛直方向上側に内部車室32が配置されている。4か所に配置されている高さ調整機構60は、同様の構成である。
【0034】
高さ調整機構60は、図5に示すように、油圧ジャッキ62と、作動油供給機構64と、を有する。油圧ジャッキ62は、外部車室30と内部車室32との間に配置されている。油圧ジャッキ62が設置されている部分の外部車室30は、鉛直方向下側の面が架台22と接している。油圧ジャッキ62は、外部車室30の鉛直方向上側の面に設置され、内部車室32の鉛直下側の面から内部車室32を支持している。作動油供給機構64は、油圧ジャッキ62に作動油を供給する。高さ調整機構60は、作動油供給機構64から油圧ジャッキ62に供給する作動油を制御することで、外部車室30及び架台22に対する内部車室32の鉛直方向の位置を移動させる。
【0035】
次に、図6を用いて、蒸気タービン14の高さ調整機構60の動作について説明する。図6は、蒸気タービンの動作を説明するためのフローチャートである。図6に示す処理は、制御装置50で演算処理を実行することで実現することができる。制御装置50は、軸受ボックス42内の温度を検出する(ステップS12)。具体的には、温度検出部52で軸受ボックス42の内部の温度を検出する。制御装置50は、温度検出部52で検出された温度に基づいて、制御値を算出する(ステップS14)。制御値は、高さ調整機構60を制御するための指示値であり、高さ調整機構60により内部車室32を高さ方向(鉛直方向)に移動させる量を示す値である。なお図6の処理で算出する制御値は、他の場合も同様である。制御装置50は、軸受ボックス42内の温度と、内部車室32とロータ36との相対位置の変化量との関係を記憶しており、検出した温度と、当該関係に基づいて、制御値を算出する。
【0036】
次に、制御装置50は、ロータ36の回転速度を検出する(ステップS16)。具体的には、回転速度検出部56でロータ36の回転速度を検出する。制御装置50は、回転速度検出部56で検出されたロータ36の回転速度に基づいて、制御値を算出する(ステップS18)。制御装置50は、ロータ36の回転速度と、内部車室とロータとの相対位置の変化量との関係を記憶しており、検出したロータ36の回転速度と、当該関係に基づいて、制御値を算出する。
【0037】
次に、制御装置50は、復水器16の真空度を検出する(ステップS20)。具体的には、気圧検出部54で復水器16の内部の真空度を検出する。制御装置50は、気圧検出部54で検出された気圧に基づいて、復水器16の内部の真空度を算出する。なお、検出結果と真空度との関係は、予め制御装置50に記憶しておけばよい。制御装置50は、復水器内の真空度に基づいて、制御値を算出する(ステップS22)。制御装置50は、復水器内の真空度と、内部車室32とロータ26との相対位置の変化量との関係を記憶しており、検出した真空度と、当該関係に基づいて、制御値を算出する。
【0038】
次に、制御装置50は、制御値の合計に基づいて、内部車室32の高さを調整する(ステップS24)。つまり制御装置50は、軸受ボックス42内の温度に基づいた制御値と、ロータの回転速度に基づいた制御値と、復水器内の真空度に基づいた制御値とを合計し、合計した値に基づいて、高さ調整機構60の動作を制御して、内部車室32の高さ(鉛直方向の位置)を調整する。
【0039】
制御装置50は、図6に示す処理を繰り返し実行することで、架台22に対する内部車室32の鉛直方向の位置を調整することで、架台22に軸受40を介して支持されているロータ36と、内部車室32と、の鉛直方向の相対位置を調整する。なお、ステップS12及びステップS14の温度に基づく処理と、ステップS16及びステップS18の回転速度に基づく処理と、ステップS20及びステップS22の真空度に基づく処理と、を実行する順序はこの順序に限定されず、並列に実行しても、異なる順番で実行してもよい。
【0040】
図7は、蒸気タービンの動作を説明するためのフローチャートである。図7は、停止状態の蒸気タービンを稼働するまでの処理の一例を示している。図7を用いて、停止状態の蒸気タービンを稼働するまでの処理の一例とともに、高さ調整機構60を用いた調整動作の具体的な一例を説明する。
【0041】
蒸気タービン14は、軸受40に潤滑油の供給を開始する(ステップS40)。つまり、潤滑油供給装置44から軸受40に潤滑油を供給し、軸受40の回転部分と固定部分との間に油膜を形成する。蒸気タービン14は、軸受40に潤滑油を供給し、油膜を形成することで、ロータ36をジャッキアップする。
【0042】
蒸気タービン14は、軸受40に潤滑油の供給を開始したら、ロータ36の回転を開始する(ステップS42)。制御装置50は、ロータ36の回転が検出されると、回転速度に基づいた制御値が変化する。蒸気タービン14は、回転することで油膜が形成され、ロータ36が停止した状態よりも浮き上がる。制御装置50は、ロータ36の回転速度に基づいて制御を行うことで、高さ調整機構60で内部車室32を鉛直方向上側に移動させる。これにより、油膜形成により浮上したロータ36と内部車室32との鉛直方向における相対位置の変動を低減することができる。
【0043】
蒸気タービン14は、ロータ36の回転を開始したら、復水器16内を真空にする(ステップS44)。具体的には、真空ポンプ24を用いて、復水器16内の空気を吸引し、真空度を上昇させる。制御装置50は、復水器16内の真空度の変化が検出されると、真空度に基づいた制御値が変化する。蒸気タービン14は、復水器16内の真空度が上昇する(より真空に近づく)と架台22が変形し、架台22に支持されている外部車室30及び内部車室32が、復水器16側に引っ張られる。制御装置50は、復水器16内の真空度に基づいて制御を行うことで、高さ調整機構60で内部車室32を鉛直方向上側に移動させる。これにより、復水器16内の真空度の上昇により変位したロータ36と内部車室32との鉛直方向における相対位置の変動を低減することができる。
【0044】
蒸気タービン14は、蒸気が供給されると(ステップS46)、ロータ36の回転が開始する。ここで、ロータ34の回転速度の上昇に伴い軸受40において増加する摩擦熱により、軸受ボックス42内の温度が上昇する。制御装置50は、軸受ボックス42内の温度の変化が検出されると、温度に基づいた制御値が変化する。蒸気タービン14は、軸受ボックス42内の温度が上昇すると、軸受40が熱膨張して、架台22に対するロータ36の位置が変位する。制御装置50は、軸受ボックス42内の温度に基づいて制御を行うことで、高さ調整機構60で内部車室32を鉛直方向に移動させる。これにより、軸受ボックス42内の温度が上昇により変位したロータ34と内部車室32との鉛直方向における相対位置の変動を低減することができる。
【0045】
ロータ34が所定の運転回転速度に到達した後(ステップS48)、発電機20により発電が開始される(ステップS50)。制御装置50は、蒸気タービン14の運転により、軸受ボックス42内の温度が変化したり、ロータ34の回転数が変化したり、車室内の真空度が変化したら、その変化に応じて高さ調整機構60で内部車室32の高さ方向の位置を調整する。
【0046】
蒸気タービン14は、ロータ36に対する内部車室32の鉛直方向の位置を調整する高さ調整機構60を設けることで、ロータ36と内部車室32の相対位置のずれに追従して、ロータ36に対する内部車室32の鉛直方向の位置を調整することができる。これにより、ロータ36に対する内部車室32の鉛直方向の位置のずれを抑制することができる。ロータ36と内部車室32の位置のずれを抑制できることで、蒸気タービン14の回転部であるロータ36及び動翼38と、固定部(静止部)である内部車室32と静翼34との鉛直方向の相対位置のずれを抑制することができる。これにより、回転部と固定部との接触を抑制しつつ、回転部と固定部の鉛直方向におけるクリアランスを小さくすることができる。このように、回転部と固定部の鉛直方向におけるクリアランスを小さくすることで、ロータ36の径方向における回転部と固定部とのクリアランスを小さくすることができ、エネルギーロスを小さくすることができる。これにより、蒸気タービン14をより効率よく運転することができる。
【0047】
また、蒸気タービン14は、温度検出部52で検出した軸受ボックス42内の温度に基づいて高さ調整機構60を制御することで、軸受40の温度変化によって生じる膨張、伸縮に応じたロータ36の位置変動に対応して内部車室32の位置を調整することができる。これにより、回転部と固定部とのクリアランスを小さくすることができ、エネルギーロスを小さくすることができる。
【0048】
また、蒸気タービン14は、気圧検出部54で検出した復水器16内の真空度に基づいて高さ調整機構60を制御することで、復水器16が減圧され、真空状態となることで発生する荷重により架台22に支持されている内部車室32の位置の変動に合わせて、内部車室32の位置を調整することができる。これにより、回転部と固定部とのクリアランスを小さくすることができ、エネルギーロスを小さくすることができる。
【0049】
また、蒸気タービン14は、回転速度検出部56で検出したロータ36の回転速度に基づいて高さ調整機構60を制御することで、ロータ36の回転速度に応じて変動する軸受40の回転部と固定部との間の油膜の厚みの変動に応じたロータ36の位置変動に対応して内部車室32の位置を調整することができる。これにより、回転部と固定部とのクリアランスを小さくすることができ、エネルギーロスを小さくすることができる。
【0050】
また、本実施例の蒸気タービン14は、温度検出部52、気圧検出部54、回転速度検出部56の3つの検出結果を用いて、高さ調整機構60の動作を制御することで、ロータ36と内部車室32との隙間を小さくでき、クリアランスを小さくできるため好ましいがこれに限定されない。蒸気タービン14は、温度検出部52、気圧検出部54、回転速度検出部56の3つの検出結果のうち少なくとも1つの検出結果を用いて制御を行えばよい。また、温度検出部52、気圧検出部54、回転速度検出部56の3つの検出結果以外のロータ36と内部車室32との鉛直方向の相対位置の変動の要因となる運転状態の検出結果を用いて、高さ調整機構60を制御してもよい。
【0051】
また、本実施例では、車室が内部車室32と外部車室30とで構成された二重車室構造としたが、車室の構造はこれに限定されない。車室は、外部に露出した構造物の内壁に静翼34が取り付けられた構造としてもよい。また、本実施例の蒸気タービン14は、鉛直方向上側から蒸気を供給し、鉛直方向下側に儒沖を排出するダウンフロー型としたがこれに限定されない。例えば、蒸気タービン14は、水平方向から蒸気を供給し、水平方向に蒸気を排出するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施例の高さ調整機構は、外部車室内に配置したが本発明はこれに限定されない。高さ調整機構は、内部車室に連結され、外部車室を貫通するアームを設け、アームを上下方向に移動させることで、内部車室とロータとの相対位置を調整するようにしてもよい。なお、外部車室のアームが通過する部分は、アームが上下動可能な状態でシールされた機構とする。これにより、アームが貫通した構造としても、外部車室の内部から外部に熱媒(蒸気)が漏れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0053】
10 発電システム
12 蒸気供給源
14 蒸気タービン(回転機械)
16 復水器
18 熱媒循環ライン
20 発電機
22 架台
24 真空ポンプ
30 外部車室
32 内部車室
34 静翼
36 ロータ
38 動翼
40 軸受
42 軸受ボックス
44 潤滑油供給装置
46 蒸気供給口
48 蒸気排出口
50 制御装置
52 温度検出部
54 気圧検出部
56 回転速度検出部
60 高さ調整機構
62 油圧ジャッキ
64 作動油供給機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7