特許第6436670号(P6436670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436670
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20181203BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   H04N5/225 100
   G03B17/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-149715(P2014-149715)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-25556(P2016-25556A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 貴純
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−241300(JP,A)
【文献】 実開昭59−041343(JP,U)
【文献】 特開2003−315891(JP,A)
【文献】 特開2009−159117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部接続機器のプラグを挿入するための外部端子と、
ストラップを取り付けるための取付ユニットと、
前記外部端子用の開口部を有する外装カバーと、を備え、
前記外部端子は、前記取付ユニットに固定されており、
前記取付ユニットは、前記外装カバーに対して位置決めされて固定されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
外部接続機器のプラグを挿入するための外部端子と、
ストラップを取り付けるための取付ユニットと、
前記外部端子を実装する基板と、を備え、
前記外部端子は、前記取付ユニットに固定されており、
前記取付ユニットには、前記基板の外部端子実装面と平行に設けられた保持部が形成されており、
前記基板が前記保持部に固定されることにより、前記外部端子が前記取付ユニットに固定されている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記取付ユニットは、金属製のストラップ部と、樹脂製のストラップホルダとを有し、
前記ストラップ部は、前記ストラップが挿入される挿通口と、前記基板の外部端子実装面に平行に形成された延設部と、を有し、
前記ストラップホルダは、前記延設部を覆い挟持する係合部を有し、
前記延設部が前記係合部に挿入された状態で前記保持部が前記取付ユニットに形成されている
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影レンズ鏡筒と、
前記撮影レンズ鏡筒を覆う筒状部材と、を備え、
前記筒状部材には、前記保持部と共に前記外部端子を覆う囲い部が形成されており、
前記筒状部材と前記取付ユニットとはビス締結されている
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記外部端子は、前記撮像装置の非グリップ側側面における、前記撮像装置が備える可動部の動作を阻害しない位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記可動部は、前記撮像装置の背面に設けられ、前記非グリップ側に開いた状態で回転可能に保持された表示部である
ことを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記外部端子は、マイク端子またはヘッドホン端子である
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部端子であるジャックを電気回路に取り付ける方法として、プリント基板の表面に半田付けする方法が提案されている。しかし、この取り付け方法では、ジャックの取付強度が、プリント基板のパターン強度と半田付け部の強度に依存し、プラグの抜き差しの繰り返しやコジリによってジャックの半田付け部が破損してしまう。特に、デジタルカメラなどの携帯型の撮像装置に使用されているジャックは、半田付けの面積が小さく、十分な強度を確保することが困難である。したがって、強度確保のため、プリント基板に表面実装されたジャックを補強する方法が提案されている。特許文献1は、電気基板に表面実装されたコネクタジャックの静荷重強度を向上するために、補強部材が追加されたコネクタジャックを開示している。
【0003】
また、外部マイクやヘッドホンが接続可能なジャックの場合、通常、プラグをジャックに差した状態で、さまざまな撮影操作を行うことが望まれる。一方、多様な姿勢での撮影を容易にするため、撮像装置本体の背面に設けられた表示部が、非グリップ側側面に開いた状態で回転可能に保持されている撮像装置が提案されている。このような表示部は、いわゆるバリアングル型表示部と呼ばれる。バリアングル型表示部を搭載した撮像装置でも、プラグをジャックに差した状態で、表示部が可動できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012―146594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示するコネクタジャックでは、別途剛性を有する補強部材を追加することが必要であるので、部品点数が増えコストが上がってしまう。
【0006】
また、撮影時に撮像装置と接続する外部マイクやヘッドホン等に接続されるジャックの配置には種々の制約がある。撮像装置をグリップする際に、手で覆われてしまう場所に配置すると、プラグが邪魔になりグリップ性が著しく低下するだけでなく、グリップした手でプラグを押してしまい、大きな外力が加わる場合がある。したがって、ジャックは非グリップ側側面に配置するのが望ましい。
【0007】
しかし、バリアングル型表示部を搭載した撮像装置では、ジャックを非グリップ側側面に配置しただけでは、非グリップ側側面に開いた状態で回転させた時に、表示部がプラグに当たってしまう。さらに、バリアングル型表示部のヒンジ部は、強度を必要とするため、撮像装置の構造体となるメインシャーシと固定されることが望ましい。バリアングル型表示部は、ヒンジ部の軸を中心として可動可能に保持されているので、表示部の可動範囲外にジャックを配置すると、ジャックとメインシャーシの位置が遠くなる。したがって、メインシャーシでジャックの静荷重を受ける形状を形成したとしても強度不足となり、静荷重に強くならないという課題がある。
【0008】
本発明は、補強部材を追加することなく、静荷重に強い外部端子の保持構造を有する撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態の撮像装置は、外部接続機器のプラグを挿入するための外部端子と、ストラップを取り付けるための取付ユニットと、前記外部端子用の開口部を有する外装カバーと、を備え、前記外部端子は、前記取付ユニットに固定されており、前記取付ユニットは、前記外装カバーに対して位置決めされて固定されている

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補強部材を追加することなく、静荷重に強い外部端子の保持構造を有する撮像装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の撮像装置の外観を示す斜視図である。
図2】カメラを構えている様子と、カメラの非グリップ側側面を示す図である。
図3】ストラップ取付部材ユニットとサイドカバーユニットの構成例である。
図4】カメラに組み立てられるフロントフレーム部材を示す図である。
図5】マイク端子部の保持構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の撮像装置の外観を示す斜視図である。
図1(A)は、撮像装置を正面側から見たときの斜視図を示す。図1(B)は、撮像装置を背面側から見たときの斜視図である。なお、以下の説明では、撮像装置をカメラとも記述する。
【0013】
図1において、カメラ1には、被写体像を撮像素子に結像する撮影レンズ鏡筒2が固定されている。撮影レンズ鏡筒2は、沈胴式のズームレンズで撮影レンズおよびズーム機構、シャッタ機構、及びフォーカス機構等が搭載した、公知の鏡筒である。撮影レンズ鏡筒2は、カメラ背面側に配置されているカメラ全体の構造躯体となるメインシャーシ(不図示)にビスを用いて締結されている。撮影レンズ鏡筒2の後方には、光学像を光電変換して画像データを生成するCCDやCMOSイメージセンサ等の撮像素子(不図示)が実装されている。
【0014】
カメラ1の内部には、中央処理装置であるCPUや各々のフレキシブル配線基板を電気的に接続するためのコネクタを備えるメイン基板(不図示)が配置されている。カメラ1の正面側には、フロントカバーユニット3が設けられている。フロントカバーユニット3には、カメラ正面を覆う外装部材である樹脂製のフロントカバー31、フレームアシストボタン32、撮影者がカメラを把持した際に指掛りとなるグリップ部材として機能するフロントグリップ33が設けられている。
【0015】
撮影者がフレームアシストボタン32を押すことで、超望遠撮影時に被写体が表示画面から外れてしまっても、一旦撮影レンズ鏡筒2を広角側に移動させて周辺領域が表示される。これにより、画角から外れてしまった被写体の再捕捉が容易になる。
【0016】
カメラ1の背面には、撮影画像を表示するバリアングル型LCD表示部(以下、単にLCD表示部と記述)4と、リアカバーユニット5とが設けられている。LCD表示部4は、ディスプレイ42を有し、ヒンジ部41によってカメラ本体と接続されている。LCD表示部4は、撮影者の操作によって、カメラ1の本体に対して開閉軸Xを中心軸として約180°開閉する可動部である。また、撮影者は、LCD表示部4を、カメラ1の本体に対して回転軸Yを中心軸として、反時計回りに約180°、時計回りに約90°回転させることが可能である。すなわち、LCD表示部4は、カメラ1の非グリップ側(背面から見て左側)に開いた状態で回転可能に保持されている。カメラ1とLCD表示部4とがヒンジ部41により連結されていることで、撮影者は撮影を行う体勢に応じて表示部の角度を自由に変えることができ、ハイアングルやローアングルでも被写体をLCD表示部4で確認しながら撮影を行うことができる。
【0017】
ヒンジ部41の取り付け方法としては、撮像装置の構造躯体となるメインシャーシ(不図示)にビス止め等で固定するのが強度上好ましい。リアカバーユニット5には、カメラ背面を覆う外装部材である樹脂製のリアカバー51、各種操作ボタン52、撮影者がカメラを把持した際に指掛りとなるグリップ部材として機能するリアグリップ53で構成されている。
【0018】
カメラ1の上面グリップ側(背面から見て右側)には、樹脂製のトップカバーユニット6が設けられている。トップカバーユニット6は、電源ON/ OFF操作を行うための電源ボタン61、撮影動作を開始するためのレリーズボタン62、変倍操作のためのズームレバー63、撮影モードを切替るためのモードダイアル64が設けられている。カメラ1の上面中央部には、外部ストロボ等のアクセサリ部品を取り付け可能とするアクセサリシュー71、および撮影時に被写体の明るさが足りない時に発光するストロボユニット72が設けられている。
【0019】
カメラ1のグリップ側(背面から見て右側)の側面部には、外部接続コネクタを覆い隠すためのコネクタカバー54が配置されている。グリップ側側面に配置された外部接続コネクタは、撮影者がカメラ1をグリップして撮影する際に使用しないUSB端子やリモートレリーズ端子等のジャックであり、それを覆い隠すコネクタカバー54が配置されている。コネクタカバー54の上側には、ストラップ紐を通すためのストラップ取付部材65が配置され、反対側の側面部にもストラップ取付部材81が配置されている。ストラップ紐を取り付け可能とすることで、ストラップ紐を首や手首等にかけて携帯することができる。これにより、携帯性の向上や脱落防止を実現できる。
【0020】
ストラップ紐が取り付けられているストラップ取付部材65、81は、ストラップ紐が引っ張られたとしても、十分な強度を備えてなければならない。ストラップ取付部材65、81は、樹脂材料で形成することも考えられるが、樹脂材料は機械的強度が低く、十分な強度を得ることが困難である。樹脂材料で機械的強度を確保するために肉厚を増すことも考えられるが、カメラが大型化したり、偏った肉厚になったりし、ヒケ等の成型不良が発生する。したがって、カメラの小型化や機械的強度を確保するために、板金から成るストラップ部やダイキャスト製のストラップ部を用いることが多い。
【0021】
カメラ1の非グリップ側の側面部には、外装カバーであるサイドカバーユニット8が設けられている。サイドカバーユニット8は、ストラップ紐を通すためのストラップ取付部材81、カメラ側面を覆う外装部材として機能する樹脂製のサイドカバー82、外部接続コネクタを覆い隠すためのコネクタカバー83を有する。非グリップ側に配置された外部接続コネクタには、撮影者がカメラ1をグリップして撮影する際に外部端子として使用する外部マイク端子のジャック(以降、マイク端子)805が配置されている。なお、本発明の適用範囲は、マイク端子に限られない。外部端子は、ヘッドホン端子であってもよい。
【0022】
図2は、撮影者がカメラを構えている様子と、カメラの非グリップ側側面の状態を示す図である。
図2(A)は、撮影者がカメラ1を構えている様子を示している。カメラ1をグリップする際、撮影者は右手を使ってグリップ側側面部をグリップする。さらに、左手を使ってカメラ1の正面から見て右下部分を下からカメラ全体の重さを受けるように構える。このように、グリップ側側面部や非グリップ側側面部の下側にマイク端子805を配置した場合、外部接続機器のプラグPを差した状態でカメラ1をグリップすると、グリップした手の平にプラグPが当たり、グリップ性を著しく低下する。つまり、非グリップ側側面部の上側にマイク端子805を配置する必要がある。
【0023】
図2(B)は、カメラ1の非グリップ側側面部にて、コネクタカバー83が開かれ、プラグPが差された状態を示した図である。撮影をする際、撮影者は撮影を行う体勢に応じてLCD表示部4を非グリップ側側面に開いた状態で回転角度を自由に変える。つまり、非グリップ側側面部でもLCD表示部4の回転範囲42aと重なる位置にマイク端子805を配置すると、プラグPが邪魔となり、撮影者が望む位置までLCD表示部4を回転できず、操作性が著しく低下する。
【0024】
ストラップ取付部材に関しても同様の条件が適用されるため、非グリップ側側面部にマイク端子805を配置する場合、ストラップ取付部材81近傍に配置することが望ましい。しかし、ヒンジ部を固定するメインシャーシとLCD表示部4の回転範囲42a外に配置されたマイク端子805の位置が遠くなると、メインシャーシでマイク端子の静荷重を受ける形状を形成しても強度不足となり、静荷重に強くならない。したがって、本実施形態では、マイク端子805を、グリップ性やLCD表示部の可動範囲外に配置するとともに、マイク端子805の静荷重を受ける剛性が確保された構成を有するストラップ取付部材ユニット80(図3)にマイク端子805を固定して保持する。
【0025】
図3は、ストラップ取付部材ユニットと、サイドカバーユニットの構成例を示す図である。ストラップ取付部材ユニット80は、サイドカバーユニット8に対して位置決めされて固定される。図3(A)は、ストラップ取付部材ユニット80の構成を示す分解斜視図を示す。図3(B)は、ストラップ取付部材ユニット80の完成状態を示す斜視図を示す。図3(C)は、サイドカバーユニット8の構成を示す分解斜視図を示す。
【0026】
ストラップ取付部材ユニット80は、マイク端子フレキシブル基板801、ストラップ部802、及びストラップホルダ803により構成される。マイク端子フレキシブル基板801(以下、「フレキシブル基板」と記述)は、スピーカ804のリード線部と半田付けにより接続され、マイク端子805を実装する。フレキシブル基板801には、メイン基板(不図示)のコネクタ部に接続される接続部806が形成されている。
【0027】
マイク端子805は、プラグが挿入される樹脂で形成された円筒部805aと角型部805bを有している。マイク端子805は、角型部805bの底面がフレキシブル基板801上に載置され、フレキシブル基板801の信号線等のパターン上に半田付けされることによって表面実装されている。また、角型部805bには、補強のため2つの脚部がフレキシブル基板801のスルーホールに挿入され半田付け接続されている。
【0028】
ストラップ部802は、強度を有し、なお且つ製造コストが比較的低い、板金であることが望ましい。しかし、強度を確保するための十分なスペースを有していれば、樹脂製でも構わない。また、製造コストが低く抑えられるのであれば、ダイキャスト製でも構わない。ストラップ部802には、ストラップが挿入される挿通口802a、マイク端子805の静荷重を受けるための実装面(外部端子実装面)と平行に延設された延設部802bが形成されている。また、ストラップ部802には、ストラップホルダ803と位置決めするための位置決め穴802c、スピーカ用の開口部802dが設けられている。
【0029】
ストラップホルダ803には、延設部802bを覆い挟持する係合部803a、ストラップ紐が通る空間が形成されるストラップ受け部803b、フレキシブル基板を位置決めする位置決め軸803cが設けられている。さらに、ストラップホルダ803には、スピーカ804が収容されるスピーカ収容部803d、ストラップ部802を位置決めする位置決め軸803eが設けられている。
【0030】
次に、組立する順序に沿って説明する。スピーカ804は、ストラップホルダに形成されたスピーカ収容部803dに収容される。その状態で、ストラップ部802の延設部802bをストラップホルダの係合部803aに挿入し、なお且つ、ストラップホルダに形成された位置決め軸803eとストラップ部に形成された位置決め穴802cにより位置決めし、ビスB1によって締結する。これにより、樹脂製のストラップホルダで形成された係合部803aと金属製のストラップ部の延設部802bとが重ね合わせられて、マイク端子保持部807が形成される。
【0031】
マイク端子保持部807には、フレキシブル基板の位置決め軸803cが形成されている。マイク端子保持部807に形成された位置決め軸803cとフレキシブル基板に形成された位置決め穴(不図示)により位置決めされ、両面テープ808により固定される。これにより、ストラップ取付部材ユニット80の組立が完了する。
【0032】
ストラップ部の延設部802bにフレキシブル基板801を直接固定することも考えられる。しかし、ストラップ部802は強度を有する厚みのある板金やダイキャストで構成されているため、位置決め軸を形成することが加工、成型上、困難である。また、板金のエッジ部やダイキャストのバリ部に対するフレキシブル基板801の保護、マイク端子805のスルーホール部の絶縁を考慮すると、以下の構成が望ましい。すなわち、強度を有するマイク端子保持部807は金属製のストラップ部で形成した延設部802bを樹脂製のストラップホルダ803で覆う構成をとる。これにより、マイク端子805の静荷重を受ける剛性を確保しつつ、板金のエッジ部やダイキャストのバリ部に対するフレキシブル基板801の保護やスルーホール部に対する絶縁を可能としている。
【0033】
コネクタカバー83は、カバー部83aとヒンジ部83bとから形成され、ヒンジ部83bをサイドカバー82に設けられたヒンジ開口部82aに外観側から挿入することで組み立てられる。ストラップ取付部材ユニット80は、ストラップ部とストラップホルダを位置決めした位置決め軸803eを利用して、サイドカバーの位置決め穴82bと位置決めされ、ビスB2によって締結される。この時、サイドカバーに設けた外部端子用(マイク端子用)の開口部82cに、マイク端子の筒部材805aが入り込んだ状態になっている。
【0034】
図4は、カメラに組み立てられるフロントフレーム部材を示す図である。
フロントフレーム部材9は、樹脂製で、撮影レンズ鏡筒を全周覆うような筒形状91を有する筒状部材である。フロントフレーム部材9を、メインシャーシと、メインシャーシに締結された電池室とに対してビス締結B3することにより、カメラ正面側の剛性を高めている。また、フロントフレーム部材9には、マイク端子の角型部上面と側面を覆う囲い部として機能するマイク端子囲い部92が形成されている。マイク端子囲い部92は、マイク端子保持部807と共にマイク端子の角型部805bを覆う形状を有している。この例では、マイク端子囲い部92は、マイク端子の角型部805bの上面、側面、底面(実装面)を覆う形状を有しており、マイク端子805近傍でマイク端子保持部を構成しているストラップホルダ803とビス締結B4される。
【0035】
図5は、マイク端子部の保持構成を示す断面図である。
図5(A)は、プラグにカメラ前後方向の外力が作用した場合のマイク端子の保持を示す。プラグ(不図示)にカメラ前方向に向かう外力が作用した場合、マイク端子805の後方部Sを支点として、マイク端子805の前方が浮き上がる方向に力F1が作用する。マイク端子の破壊・変形を防止するために、マイク端子開口部82cはマイク端子の円筒部805aと必要最小限の隙間にする構成であることが望ましい。ストラップホルダ803は、サイドカバー82とマイク端子805に対して他部品を介さずに位置決めされる構成にしているので、マイク端子用の開口部82cとマイク端子の筒部材805aの隙間は、必要最小限にすることができ、静荷重に対して有利である。
【0036】
プラグにカメラ後方向の外力が作用した場合、マイク端子用の開口部82cを支点として、マイク端子の後方部が浮き上がる方向に力F2が作用する。図5(B)は、プラグにカメラ上下方向の外力が作用した場合のマイク端子保持を示す。プラグにカメラ上下方向の外力が作用した場合、マイク端子用の開口部82cを支点として、マイク端子の後方部が回転する方向に力F3が作用する。したがって、マイク端子805の破壊・変形を防止するために、マイク端子の後方部の浮き上がりや側面後方部の回転を防止する位置に剛性の高い部品を配置することが望ましい。しかし、カメラ前側にはメインシャーシのような構造躯体となる板金部品は、存在しないことが多い。
【0037】
フロントフレーム部材9は、樹脂製で単品状態では剛性を有する部品ではないが、樹脂製で形状に自由度が高いので、構造躯体であるメインシャーシやメインシャーシに取り付けられている電池室にビス締結することで、剛性を高めている。フロントフレーム部材9に形成されたマイク端子囲い部92は、マイク端子近傍でマイク端子保持部807とビス締結されている。つまり、プラグにカメラ後方向やカメラ上下方向の外力が作用しても、マイク端子囲い部92は剛性を有するマイク端子保持部807と一体になってマイク端子805の破壊・変形に対して、静荷重を受ける構成となっている。
【0038】
本実施形態の撮像装置によれば、グリップ性や操作性を阻害せず、かつ、補強部材等の部品を追加することなく、静荷重に強いジャック保持構造を有する撮像装置を提供することができる。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されず、その要旨を範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
80 ストラップ取付部材ユニット
805 マイク端子
図1
図2
図3
図4
図5