【文献】
YAMASHITA K,Development of LLNA:DAE: a new local lymph node assay that includes the elicitation phase, discriminates borderline-positive chemicals, and is useful for cross-sensitization testing.,J Toxicol Sci. ,2014年 2月,Vol.39,No.1,Page.147-161
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から、下記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じた数値と、下記のステップA2における塗布液中の被験物質の濃度から、皮膚感作性の強度を判定する皮膚感作性強度判定法であって、
前記の皮膚感作性強度判定法が、下記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から下記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じ、さらに下記のステップA2における塗布液中の被験物質の濃度で除し、その数値の大小により皮膚感作性の強度を判定する方法であるか、又は、
下記のステップA2における塗布液中の被験物質の濃度を、下記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から下記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じたもので除し、その数値の大小により皮膚感作性の強度を判定する方法である皮膚感作性強度判定法。
ステップA:マウスの一方の耳介に、被験物質を含む塗布液を塗布するステップA1と、ステップA1の一定期間後、前記の一方の耳介と他方の耳介とに、ステップA1と同じ被験物質を含む塗布液を塗布するステップA2と、ステップA2から36〜80時間後に前記の他方の耳介におけるリンパ節の重量の測定するステップA3とを含むステップ
ステップB:マウスの一方の耳介に被験物質を含む塗布液を塗布するステップB2と、ステップB2から36〜80時間後に前記の一方の耳介におけるリンパ節の重量を測定するステップB3とを含むステップ
【背景技術】
【0002】
化粧品や洗剤等の開発において、その原料や添加剤等として材料を選択する場合、その材料に触れた消費者などにおいて皮膚免疫応答が惹起される性質を有する(「皮膚感作性」を有する)物質(皮膚感作性物質)は、消費者の感受性によっては重篤なアレルギー反応を引き起こしてしまう場合もあるため、皮膚感作性の有無の検出は特に重要である。
【0003】
天然物、化学物質の皮膚感作性を検出する方法としては、従来、モルモット、マウスなどの動物を用いる方法、培養細胞を用いる方法、さらには、ペプチドとの結合性を調べる方法などが開発されている。これらの方法は、いずれも、ヒトにおける皮膚感作性と80%程度の相関があることが明らかにされており、天然物、化学物質の皮膚感作性の検出に有効であることが示されている。
【0004】
化学物質などによる感作の成立には、大きく分けて2つの段階があることが知られている。第一の段階は、化学物質が体内に入ることで生体内のタンパク質等と結合し、これを樹状細胞が異物として認識して一連の免疫応答を開始する「感作段階」である。第二の段階は、感作されたリンパ球が全身に広がり、同一の化学物質等が再度体内に入ったときに、よりすばやく、そして激しい応答を呈する「惹起段階」である。すなわち、上述した従来の皮膚感作性を検出する手法は、感作の成立のいずれかの段階を検出することを目的としている。
【0005】
例えば、アジュバントを用いるGPMT(Guinea Pig Maximization Test)法、アジュバントを用いないビューラー法は、「惹起段階」を検出する手法であり、これらの試験で陽性であるということは、原理的かつ原則的に感作が成立していると判断することができる(例えば、「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、406 皮膚感作性、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg406j.pdf>(非特許文献1)を参照。)。ただし、これらの試験は、惹起を確認するために、試験期間としては、4週間以上の時間を必要としてしまう。また、これらの方法はモルモットを用いる方法であり、動物愛護の観点から代替し得る方法を見出すことが課題とされていた。
【0006】
近年では、皮膚感作性を検出する方法として、モルモットではなくマウスを用いたLLNA(Local Lymph Node Assay、局所リンパ節試験)が主流となっている(例えば、「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、429 皮膚感作:局所リンパ節試験、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg429j.pdf>(非特許文献2)を参照30。)。LLNAは、「感作段階」を検出する手法であり、化学物質の皮膚感作性強度をEC3値という指標で比較することで、化学物質間の皮膚感作性の強度を比較することが可能かつ容易になった。EC3値とは、溶媒のみに暴露したマウスの耳介リンパ節のリンパ球に対して、被験物質を暴露したマウスのリンパ節のリンパ球が3倍に増殖する場合の、塗布液中の被験物質の濃度を意味する。具体的な方法としては、試験開始1日目、2日目、3日目に、マウスの両耳に被験物質を含む塗布液を塗布した後、6日目に、マウスから耳介リンパ節を採取する。被験物質が皮膚感作性物質であれば、耳介リンパ節においてリンパ球の増殖を惹起する。リンパ球の増殖は適用された用量(アレルゲンの効力)に比例するため、LLNAでは、短い試験期間で、客観的かつ定量的に簡単に皮膚感作性の強度を検出することができる。
【0007】
しかしながら、上述のLLNAは、感作性の検出にラジオアイソトープ(RI)である3H-thymidineを用いることから、日本においては実施できる施設に制限があった。このため、その改良法として、放射性物質を用いる代わりに生物発光によりATP(アデノシン三リン酸)を定量することで、リンパ球の増殖の指標とする、LLNA:DA(modified LLNA of Daicel based on ATP)が提案されている(例えば、「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、442A 皮膚感作性:局所リンパ節試験:DA、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg442aj.pdf>(非特許文献3)を参照。)。
【0008】
LLNA、LLNA:DAのいずれの場合でも、一部の皮膚刺激性物質(皮膚に一過性の刺激を与える性質(皮膚刺激性)を有する物質)、界面活性剤などを試験に供した場合に、偽陽性(ある試験法で、被験物質が実際は陰性または非活性であるにもかかわらず、誤って陽性または活性と判定されること)になることが報告されている(例えば、Christine Garciaetal., "Comparative testing for the identification of skin-sensitizing potentials of nonionic sugar lipid surfactants", Regulatory Toxicology and Pharmacology, 58, 2010, p301-307(非特許文献4)を参照)。したがって、マウスを用いて皮膚刺激性物質や界面活性剤を評価するときには、試験濃度と皮膚刺激性の関係や、構造情報も含めて、総合的な判断が必要とされている(例えば、David Basketter et al., "Application of a weight of evidence approach to assessing discordant sensitization datasets : Implications for REACH" Regulatory Toxicology and Pharmacology, 55, 2009, p90-96(非特許文献5)を参照)。また、LLNA、及びLLNA:DAにおいて、被験物質の皮膚感作性強度を比較するためにEC3値を求める際、少なくとも2濃度の被験物質の暴露とコントロール群、ガイドラインに従えば3濃度の被験物質群とコントロール群の4群の動物群が必要であり、少なくとも16匹以上のマウスが必要となるため、動物愛護の観点から必要な動物数を減少させる方法を見出すことが課題とされている。また、LLNA:DAE法の判定基準では、各物質の皮膚感作性強度について判定することは困難である。
【0009】
また、例えば、G. Frank Gerberick et al., "Use of a B Cell Marker (B220) to Discriminate between Allergens and Irritants in the Local Lymph Node Assay", Toxicological Sciences, 68, 2002, p420-428(非特許文献6)には、マウスを用いた試験法として、フローサイトメーターを用いて、細胞表層抗原を検出することにより、皮膚感作性物質と皮膚刺激性物質とを識別する手法が提案されている。しかしながら、このような非特許文献6に記載された手法を実施するためには、特別な装置が必要となってしまう。
【0010】
こういった背景から、従来と異なり、惹起相を導入することで、より明確に皮膚感作性と皮膚刺激性を識別でき、更に交差感作性も判別可能なLLNA:DAE(特許文献1、特許文献1、非特許文献7)が提案されている。しかし、この方法は、試験群とコントロール群の左耳重量の統計学的解析により、簡便に皮膚感作性の有無を識別できるが、統計学的優位差のみでは感作性の強度について判定することは不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2013−072692
【0012】
【特許文献2】特開2014−102247
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、406皮膚感作性、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg406j.pdf>
【非特許文献2】「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、429皮膚感作:局所リンパ節試験、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg429j.pdf>
【非特許文献3】「経済協力開発機構(OECD)の化学物質の試験に関するガイドライン」、442A皮膚感作性:局所リンパ節試験:DA、[平成26年8月11日検索]、インターネット<URL:http://www.nihs.go.jp/hse/chem-info/oecd/tgj/tg442aj.pdf>
【非特許文献4】Christine Garcia et al., "Comparative testing for the identification of skin-sensitizing potentials of nonionic sugar lipid surfactants", Regulatory Toxicology and Pharmacology, 58, 2010, p301-307
【非特許文献5】David Basketter et al., "Application of a weight of evidence approach to assessing discordant sensitization datasets : Implications for REACH", Regulatory Toxicology and Pharmacology, 55, 2009, p90-96
【非特許文献6】G. Frank Gerberick et al., "Use of a B Cell Marker(B220) to Discriminate between Allergens and Irritants in the Local Lymph Node Assay", Toxicological Sciences, 68, 2002, p420-428
【非特許文献7】Kunihiko Y et al., "Development of LLNA : DAE : a new local lymph node assay that includes the elicitation phase, discriminates borderline-positive chemicals, and is useful for cross-sensitization testing", J. Toxicol・ Sci, vol.39, No.1, 147-161, 2014
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の皮膚感作性強度判定法は、下記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から、下記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じた数値(単に、「耳介の重量差」と称する場合がある)と、下記のステップA2における塗布液中の被験物質の濃度(単に、「被験物質の濃度」と称する場合がある)から、皮膚感作性の強度を判定することを特徴とする。
ステップA:マウスの一方の耳介に、被験物質を含む塗布液(被験物質塗布液)を塗布するステップA1と、ステップA1の一定期間後に、前記の一方の耳介と他方の耳介とに、ステップA1と同じ被験物質を含む塗布液(被験物質塗布液)を塗布するステップA2と、ステップA2から36〜80時間後に前記の他方の耳介におけるリンパ節の重量の測定するステップA3とを含むステップ
ステップB:マウスの一方の耳介に、被験物質を含む塗布液(被験物質塗布液)を塗布するステップB2と、ステップB2から36〜80時間後に前記の一方の耳介におけるリンパ節の重量を測定するステップB3とを含むステップ
【0020】
本発明の皮膚感作性強度判定法は、耳介の重量差と被験物質の濃度とを用いて、皮膚感作性の強度を判定することができれば、特にその方法は限定されない。例えば、耳介の重量差と被験物質の濃度の和、差、積、又は商を計算し、それらの値を用いて皮膚感作性の強度を判定しても良いし、耳介の重量差をn乗(nは0よりも大きい実数)したものと、被験物質の濃度をn乗(nは0よりも大きい実数)したものの、和、差、積、又は商を計算し、それらの値を用いて皮膚感作性の強度を判定しても良い。
【0021】
具体的な皮膚感作性強度判定法としては、例えば、耳介の重量差を、被験物質の濃度で除し、その数値の大小により皮膚感作性の強度を判定する方法が挙げられる。なお、前記方法で得られた数値(計算値)をDILL values(Degree of increase of lymph node weight of left ear)と称することがある。
【0022】
また、他の皮膚感作性強度判定法としては、例えば、被験物質の濃度を、耳介の重量差で除し、その数値の大小により皮膚感作性の強度を判定する方法が挙げられる。なお、前記方法で得られた数値(計算値)をEC1mg(Estimated Concentration of a substance expected to increase of 1mg lymph node proliferation)することがある。
【0023】
[マウス]
本発明の皮膚感作性強度判定法に用いるマウスについては特に限定されないが、これまで世界的に多くの統計データが蓄積されてきたLLNA、LLNA:DA、及びLLNA:DAE(以下、「LLNA等」と称することがある)との相関性が高ければ、試験結果を照合しやすくなることから、例えばCBA/Jの系統の未経産で非妊娠の若齢(8〜12週齢)の雌マウスなどの、LLNA等に用いられるマウスを用いることが好ましい。
【0024】
本発明の皮膚感作性強度判定法に用いるマウスの総数は特に限定されないが、例えば、1種類の被験物質の判定に対して、4〜14匹程度を用いることが好ましく、より好ましくは6〜12匹、さらに好ましくは8〜10匹用いることが好ましい。用いるマウスの数が4匹未満であると、得られるデータの信頼性が低くなる。また、14匹よりも多くのマウスを用いて皮膚感作性強度を判定することも可能であるが、従来の試験(例えばLLNA等)と比較して、より少ない動物数で皮膚感作性強度を判定することが可能となるというメリットが薄れてしまう。
【0025】
本発明の皮膚感作性強度判定法の「マウスの耳介」とは、マウスの外耳のうち外側に張り出している部分を指す。被験物質塗布液を塗布する部分は耳介に含まれるいずれの領域であってもよいが、被験物質塗布液の塗布のしやすさ、LLNA等で蓄積されたデータと比較しやすいといった観点から、耳背部の領域が好ましい。
【0026】
[被験物質]
本発明において用いられる「被験物質」は、溶媒または分散媒に溶解または分散させることでマウスの耳介に塗布することが可能となる物質であればよく、皮膚感作性物質、皮膚刺激性物質、皮膚感作性及び皮膚刺激性のいずれも示す物質、及び、皮膚感作性及び皮膚刺激性のいずれも示さない物質等が挙げられる。なお、被験物質は、非特許文献3に記載された定義に沿って、単一の化合物であってもよく、また、多成分(最終製品、調製物など)からなるものであってもよい。溶媒、分散媒などは、当分野において用いられている公知の溶媒、分散媒を被験物質に応じて用いればよく、例えば、アセトン/オリーブオイル(4:1(v/v))(AOO)、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。中でも、陽性対照(PC)として用いた場合に一貫した応答を示すことから、アセトン/オリーブオイル(4:1(v/v))(AOO)が好ましい。なお、上記被験物質を溶解又は分散させた溶媒または分散媒を「被験物質塗布液」と称することがある。
【0027】
「皮膚感作性物質」とは、個体が誘導性アレルゲンに局所的に曝露された際に生じる免疫学的過程によって皮膚免疫応答を惹起し、その結果、接触感作性の発現に至る性質(皮膚感作性)を有する物質を指す。このような皮膚感作性物質としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾール−3−オン(CMI)、2,4−ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)、ジニトロクロロベンゼン(DNCB)、パラベンゾキノン(p−BQ)、グルタルアルデヒド(GA)、ヒドロキノン(HQ)、塩化コバルト(Co)、パラフェニレンジアミン(p−PD)、プロピルガレート(PG)、シンナミックアルデヒド(CAL)、塩化ニッケル(NiCl
2)、イソオイゲノール(IEU)、シトラール(Citral)、フェニルベンゾエート(PBz)、アビエチン酸(ABA)、2−メルカプトベンズチアゾール(2−MBT)、シンナミルアルコール(CA)、硫酸ニッケル6水和物(NiSO
4)、レゾルシノール(RC)、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド(HCA)、オイゲノール(EU)、ヒドロキシシトロネラール(HCN)、イミダゾリジニルウレア(IU)、エチレングリコールジメタクリレート(EG)、及びメチルメタクリレート(MM)等が知られている。
【0028】
前記の皮膚感作性物質の中で、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾール−3−オン、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、ジニトロクロロベンゼン、及びパラベンゾキノンは、EC3値が0.001〜0.1%(w/v)程度の非常に高い皮膚感作性を有する物質である。また、グルタルアルデヒド、ヒドロキノン、塩化コバルト、パラフェニレンジアミン、及びプロピルガレートは、EC3値が0.1〜1.0%(w/v)程度の高い皮膚感作性を有する物質である。また、シンナミックアルデヒド、イソオイゲノール、及び2−メルカプトベンズチアゾール、硫酸ニッケル6水和物(NiSO
4)は、EC3値が1%〜10%(w/v)程度の中程度の皮膚感作性を有する物質である。また、フェニルベンゾエート、シトラール、シンナミルアルコール、メチルメタクリレート、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オイゲノール、アビエチン酸、イミダゾリジニルウレア、エチレングリコールジメタクリレート、レゾルシノール、及びヒドロキシシトロネラールは、EC3値が10%(w/v)以上である、弱い皮膚感作性を有する物質である。なお、上記のEC3値はLLNA等によって得られたものである。
【0029】
さらに、「皮膚感作性を示さない物質」としては、例えば、スルファニルアミド(SulA)、グリセロール(GLC)、塩化ベンゼン(CB)、イソプロパノール(IPA)、乳酸(LA)、サリチル酸メチル(MS)、サリチル酸(SA)、及びヘキサン(Hex)が挙げられる。なお、上記物質が皮膚感作性を示さないことはLLNA等によって確認されている。
【0030】
また、「皮膚刺激性物質」とは、皮膚に対し一過性の刺激を与える性質(皮膚刺激性)を有する物質を指し、このような皮膚刺激性物質として、例えば、サリチル酸、ヘキサンなどが知られている。なお、イソオイゲノール、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、ジニトロクロロベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートなどのように、皮膚感作性を有し、かつ、皮膚刺激性を有するものも知られている。
【0031】
[ステップA]
ステップAは、マウスの一方の耳介に被験物質塗布液を塗布するステップA1と、ステップA1の一定期間後に、前記の一方の耳介と他方の耳介とに、ステップA1で用いられたものと同じ被験物質塗布液を塗布するステップA2と、ステップA2から36〜80時間後に前記の他方の耳介におけるリンパ節の重量の測定するステップA3とを含むステップであることを特徴とする。
【0032】
本発明のステップA1において、マウスの耳介に塗布する被験物質塗布液の量(投与量)は、特に限定されないが、LLNA等で採用される基準(非特許文献2、3、7などを参照)で調製することが好ましい。被験物質塗布液中の被験物質の濃度についても、耳介が欠損するなどの著しい毒性、腐食性を示さない濃度であれば特に制限されないが、例えば0.0001〜100%(w/v)の範囲内であることが好ましく、また、例えば、LLNA等で求めたEC3値の0.01倍から50倍の範囲内であることが好ましい。
【0033】
本発明のステップA1において、被験物質塗布液の塗布回数は、1回の塗布量、被験物質塗布液中の被験物質の濃度、感作性の強さにも依存するが、1〜10回であることが好ましく、1〜3回であることがより好ましく、LLNA等との相関性を高めることができる観点からは3回であることが特に好ましい。なお、被験物質塗布液を塗布する耳介の領域は、複数回の塗布ごとに(例えば1回目の塗布と2回目の塗布とで)同じであってもよいし、同じ側の耳介であれば異なっていてもよい。また、前記の塗布の間隔についても特に制限されないが、LLNA等との相関性を高めることができることから、LLNA等で採用されているように1日目、2日目、3日目に塗布することが好ましい。この場合、各塗布の間に少なくとも12時間以上の間隔をあけることが好ましく、同一の時刻に塗布するようにすることが特に好ましい。
【0034】
なお、LLNA:DAにおいて、被験物質塗布液を塗布する前に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などを予め被験物質塗布液を塗布する耳介に塗布しておくことで、検出の感度が上昇することが知られており、本発明の方法においても、これを採用してもよい。SDSを用いる場合、その濃度は、0.01〜10%の範囲が好ましく、0.1〜1%の範囲がより好ましい。
【0035】
本発明のステップA2において、マウスの耳介に塗布する被験物質塗布液の量(投与量)は、特に限定されないが、LLNA等で採用される基準(非特許文献2、3、7などを参照)で調製することが好ましい。また、被験物質塗布液中の被験物質の濃度についても、耳介が欠損するなどの著しい毒性、腐食性を示さない濃度であれば特に制限されないが、例えば0.001〜100%(w/v)の範囲内であることが好ましく、また、例えば、LLNA等で求めたEC3値の0.01倍から50倍の範囲内であることが好ましい。なお、ステップA2における、一方の耳介と他方の耳介に塗布する被験物質塗布液の量は同量であり、被験物質塗布液中の被験物質の濃度は同濃度である。
【0036】
本発明のステップA2において、「一定期間」とは、その期間は特に制限されないが、被験物質が皮膚感作性物質である場合には、この一定期間が当該皮膚感作性物質による感作開始から惹起までの期間となることから、7日以上2週間以内であることが好ましく、9日以上12日以内であることがより好ましく、10日以上11日以内であることが特に好ましい。一定期間が7日未満であると、被験物質が皮膚感作性物質であった場合に、感作されたリンパ球の伝播による全身の感作が未だ起こっていないか起こっていたとしても検出には不十分であるという傾向にあり、また、2週間を超えても、皮膚感作性物質の検出は可能であるが、従来のモルモットを用いた試験と比較して、試験期間の短縮というメリットが薄れてしまう。
【0037】
本発明のステップA2において、被験物質塗布液の量(投与量)や被験物質塗布液中の被験物質の濃度は特に制限はされないが、LLNA等の豊富なデータを活用するという観点からは、ステップA1において一方の耳介に塗布した1回分の被験物質塗布液の量、及び被験物質塗布液中の被験物質の濃度と同一であることが好ましい。また、ステップA2における被験物質塗布液の塗布回数は特に制限されないが、1回であることが好ましい。
【0038】
本発明のステップA3は、ステップA2における被験物質塗布液を塗布した他方の耳介におけるリンパ節の重量を測定するステップである。本発明においては、このリンパ節の重量測定を、ステップA2から36〜80時間後に行なうことを特徴とする。惹起反応の検出がステップA2から36時間未満である場合には、感作反応を検出するための耳介のリンパ節の増殖が不十分である場合があるためであり、80時間を超える場合には、試験期間が十分な検出を行うのに必要以上に長期化するためである。感作期間を十分に確保し、なおかつ試験を2週間以内に実施することでモルモットを用いる方法より短期間で試験結果を得るという観点からは、好ましくはステップA2から40〜72時間後、特に好ましくはステップA2から42〜52時間後に惹起反応の検出を行なうことが好ましい。
【0039】
マウスの耳介リンパ節の重量測定は、汎用されている安価な精密電子天秤を使用して行うことができる。
【0040】
[ステップB]
ステップBは、マウスの一方の耳介に被験物質塗布液を塗布するステップB2と、ステップB2から36〜80時間後に前記の一方の耳介におけるリンパ節の重量を測定するステップB3とを含むステップであることを特徴とする。
【0041】
本発明のステップB2において、マウスの耳介に塗布する被験物質塗布液の量(投与量)及び被験物質塗布液中の被験物質の濃度は、ステップA2と同じ濃度である。
【0042】
本発明のステップB3では、被験物質塗布液を塗布した他方の耳介におけるリンパ節の重量を測定する。本発明においては、このリンパ節の重量測定を、ステップB2から例えば36〜80時間後、好ましくは40〜72時間後、特に好ましくはステップB2から42〜52時間後に行なうことを特徴とする。なお、ステップB3における前記の期間は、ステップA3の期間と同じ期間である。
【0043】
[DILL values]
本発明では、例えば、前記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から、前記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じ、さらに前記のステップA2(ステップB2)における塗布液中の被験物質の濃度で除することで、DILL values(Degree of increase of lymph node weight of left ear)を求め、これを用いて皮膚感作性強度を判定することができる。ここで、リンパ節の重量の単位は、特に限定されないが、LLNA等の豊富なデータを活用するという観点からは、mgであることが好ましい。また、塗布液中の被験物質の濃度の単位は、特に限定されないが、LLNA等の豊富なデータを活用するという観点からは、重量体積パーセント(%(w/v))であることが好ましい。なお、重量体積パーセント(%(w/v))は、溶質の質量(g)を溶液の体積(ml)を除することで求めることができる。
【0044】
本発明における被験物質のDILL valuesと、EC3値に基づく被験物質の皮膚感作性強度との間には、高い相関性が見られる。そのため、例えば新規の被験物質であっても、そのDILL valuesを測定することによって、皮膚感作性の強度を簡便且つ高い信頼性で評価することが可能である。例えば、リンパ節の重量の単位をmg、塗布液中の被験物質の濃度の単位を%(w/v)とした際のDILL valuesが2.00以上である被験物質は、非常に高い皮膚感作性(EC3値が0.001〜0.1%(w/v)程度)を有する物質であり、DILL valuesが0.20以上、2.00未満である被験物質は、高い皮膚感作性(EC3値が0.1〜1.0%(w/v)程度)を有する物質であり、DILL valuesが0.02以上、0.20未満である被験物質は、中程度から弱い皮膚感作性(EC3値が1〜100%(w/v)程度)を有する物質であり、0.01以上、0.02未満である被験物質は、弱い皮膚感作性または皮膚感作性を有さない物質であり、DILL valuesが0.01未満である被験物質は、皮膚感作性を有さないと判定することができる。
【0045】
[EC1mg]
本発明では、例えば、前記のステップA2(ステップB2)における塗布液中の被験物質の濃度を、前記のステップAによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量から、前記のステップBによって得たマウスの耳介におけるリンパ節の重量を減じた値で除することでEC1mg(Estimated Concentration of a substance expected to increase of 1mg lymph node proliferation)を求め、これを用いて皮膚感作性強度を判定することができる。ここで、リンパ節の重量の単位は、特に限定されないが、LLNA等の豊富なデータを活用するという観点からは、mgであることが好ましい。また、塗布液中の被験物質の濃度の単位は、特に限定されないが、LLNA等の豊富なデータを活用するという観点からは、重量体積パーセント(%(w/v))であることが好ましい。なお、重量体積パーセント(%(w/v))は、溶質の質量(g)を溶液の体積(ml)を除することで求めることができる。
【0046】
本発明における被験物質のEC1mgと、EC3値に基づく被験物質の皮膚感作性強度との間には、高い相関性が見られる。そのため、例えば新規の被験物質であっても、そのEC1mgを測定することによって、皮膚感作性の強度を簡便且つ高い信頼性で評価することが可能である。例えば、リンパ節の重量の単位をmg、塗布液中の被験物質の濃度の単位を%(w/v)とした際のEC1mgが0.5以下である被験物質は、非常に高い皮膚感作性(EC3値が0.001〜0.1%(w/v)程度)を有する物質であり、EC1mgが0.5よりも大きく、5以下である被験物質は、高い皮膚感作性(EC3値が0.1〜1.0%(w/v)程度)を有する物質であり、EC1mgが5よりも大きく、50以下である被験物質である被験物質は、中程度から弱い皮膚感作性(EC3値が1〜100%(w/v)程度)を有する物質であり、50よりも大きく、100以下である被験物質は、弱い皮膚感作性または皮膚感作性を有さない物質であり、EC1mgが100よりも大きい被験物質は、皮膚感作性を有さないと判定することができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0048】
<実施例1>
ケージ1及び2に、CBA/Jの系統の未経産で非妊娠の若齢(8〜12週齢)の雌マウスを5匹ずつ、個体識別ができるように用意した。
【0049】
また、溶媒としてアセトン/オリーブオイル(4:1(v/v))(AOO)を用い、被験物質として5クロロ−2−メチル−4−イソチアゾール−3−オン(皮膚感作性を有する被験物質)を用い、0.05%(w/v)CMI/AOO溶液(被験物質塗布液)を調製した。
【0050】
以下のように、ケージごとに操作を行った。なお、1回の塗布量は25μlとした。被験物質塗布液の塗布には、ピペットマンを用いた。また、摘出した耳介リンパ節は精密電子天秤を用いてその重量を測定した。
【0051】
ケージ1:1、2、3日目の13時にマウスの右耳に0.05%(w/v)のCMI/AOO溶液を塗布し、10日目の13時に両耳に0.05%(w/v)のCMI/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量(mg)を測定
ケージ2:10日目のみ、13時にマウスの左耳に0.05%(w/v)のCMI/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量(mg)を測定(1、2、3、10日目の右耳への塗布なし)
【0052】
ケージ1で得た耳介リンパ節の重量(2.70mg)を、ケージ2で得た耳介リンパ節の重量(1.96mg)から減じ、CMI/AOO溶液の濃度(0.05%(w/v))で除し、DILL valuesを求めた。具体的には、(2.70−1.96)/0.05=14.8となった。この結果を表1に示す。
【0053】
以下に、表1における各項目を説明する。
「被験物質の濃度」:実験で用いられた塗布液中の被験物質の濃度(%(w/v))
「ケージ1のリンパ節の重量(mg)」:ケージ1で得た耳介リンパ節の重量(mg)
「ケージ2のリンパ節の重量(mg)」:ケージ2で得た耳介リンパ節の重量(mg)
「重量差(mg)」:ケージ1で得た耳介リンパ節の重量(mg)をケージ2で得た耳介リンパ節の重量(mg)から減じたもの
「DILL values」:リンパ節の重量差(mg)を塗布液中の被験物質の濃度(%(w/v))で除したもの
「EC1mg」:塗布液中の被験物質の濃度(%(w/v))をリンパ節の重量差(mg)で除したもの
「カテゴリ」:LLNA法におけるEC3値で分類した各被験物質の皮膚感作性の強さを示したものであって、各記号は以下を意味する
「◎」:非常に高い皮膚感作性(EC3値が0.001〜0.1%(w/v)程度)を有する物質であること
「○」:高い皮膚感作性(EC3値が0.1〜1.0%(w/v)程度)を有する物質であること
「△」:中程度〜弱い皮膚感作性(EC3値が1.0〜100%(w/v)程度)を有する物質であること
「□」:皮膚感作性を有さない物質であること
【0054】
<実施例2〜31>
CMIの代わりに下記の被験物質を用い、濃度を調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
実施例2:2,4−ジニトロフルオロベンゼン(DNFB)
実施例3:ジニトロクロロベンゼン(DNCB)
実施例4:パラベンゾキノン(p−BQ)
実施例5:グルタルアルデヒド(GA)
実施例6:ヒドロキノン(HQ)
実施例7:塩化コバルト(Co)
実施例8:パラフェニレンジアミン(p−PD)
実施例9:プロピルガレート(PG)
実施例10:シンナミックアルデヒド(CAL)
実施例11:イソオイゲノール(IEU)
実施例12:シトラール(citral)
実施例13:フェニルベンゾエート(PBz)
実施例14:アビエチン酸(ABA)
実施例15:2−メルカプトベンズチアゾール(2−MBT)
実施例16:シンナミルアルコール(CA)
実施例17:硫酸ニッケル6水和物(NiSO
4)
実施例18:レゾルシノール(RC)
実施例19:α−ヘキシルシンナミックアルデヒド(HCA)
実施例20:オイゲノール(EU)
実施例21:ヒドロキシシトロネラール(HCN)
実施例22:イミダゾリジニルウレア(IU)
実施例23:エチレングリコールジメタクリレート(EG)
実施例24:メチルメタクリレート(MM)
実施例25:スルファニルアミド(SulA)
実施例26:グリセロール(GLC)
実施例27:塩化ベンゼン(CB)
実施例28:イソプロパノール(IPA)
実施例29:サリチル酸メチル(MS)
実施例30:サリチル酸(SA)
実施例31:ヘキサン(Hex)
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1〜31の結果より得られた値が、LLNA等で得られた皮膚感作性の強度と相関性があることが明らかとなった。つまり、DILL valuesが2.00以上である被験物質が非常に高い皮膚感作性を有する物質であること、DILL valuesが0.20以上、2.00未満である被験物質が高い皮膚感作性を有する物質であること、DILL valuesが0.02以上、0.20未満である被験物質が中程度〜弱い皮膚感作性を有する物質であること、DILL valuesが0.01未満である被験物質は皮膚感作性を有さない物質であることが明らかとなった。したがって、例えば新規の被験物質であっても、そのDILL valuesを測定することによって、皮膚感作性の強度を簡便且つ高い信頼性で評価することが可能であることを示された。
【0057】
また、実施例1〜31の結果より得られた値が、LLNA等で得られた皮膚感作性の強度と相関性があることが明らかとなった。つまり、EC1mgが0.5以下である被験物質が非常に高い皮膚感作性を有する物質であること、EC1mgが0.5よりも大きく、5以下である被験物質が高い皮膚感作性を有する物質であること、EC1mgが5よりも大きく、50以下である被験物質が中程度〜弱い皮膚感作性を有する物質であること、EC1mgが100よりも大きい被験物質は皮膚感作性を有さない物質であることが明らかとなった。したがって、例えば新規の被験物質であっても、そのEC1mgを測定することによって、皮膚感作性の強度を簡便且つ高い信頼性で評価することが可能であることを示された。
【0058】
<実施例32>
ケージ1〜6に、CBA/Jの系統の未経産で非妊娠の若齢(8〜12週齢)の雌マウスを5匹ずつ、個体識別ができるように用意した。
【0059】
また、溶媒としてアセトン/オリーブオイル(4:1(v/v))(AOO)を用い、0.0625%(w/v)DNCB/AOO溶液、0.125%(w/v)DNCB/AOO溶液、及び0.25%(w/v)DNCB/AOO溶液を調製した。
【0060】
以下のように、ケージごとに操作を行った。なお、1回の塗布量は25μlとした。被験物質塗布液の塗布には、ピペットマンを用いた。また、摘出した耳介リンパ節は精密電子天秤を用いてその重量を測定した。
【0061】
ケージ1:1、2、3日目の13時にマウスの右耳に0.0625%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布し、10日目の13時に、両耳に0.0625%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定
ケージ2:10日目のみ、13時にマウスの右耳に0.0625%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定(1、2、3、10日目の右耳への塗布なし)
ケージ3:1、2、3日目の13時にマウスの右耳に0.125%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布し、10日目の13時に、両耳に0.125%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定
ケージ4:10日目のみ、13時にマウスの右耳に0.125%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定(1、2、3、10日目の右耳への塗布なし)
ケージ5:1、2、3日目の13時にマウスの右耳に0.25%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布し、10日目の13時に、両耳に0.25%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定
ケージ6:10日目のみ、13時にマウスの右耳に0.25%(w/v)DNCB/AOO溶液を塗布した後、12日目の13時に左耳の耳介リンパ節を摘出し、重量を測定(1、2、3、10日目の右耳への塗布なし)
【0062】
ケージ1で得た耳介リンパ節の重量を、ケージ2で得た耳介リンパ節の重量から減じ、DNCB/AOO溶液の濃度で除した。また、同様の操作をケージ3及び4、ケージ5及び6でも行った。この結果を表2に示す。
【0063】
<実施例33>
DNCBのかわりにHCAを用い、濃度を調整したこと以外は実施例32と同様の操作を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
なお、表2における各項目は、表1にて説明したものと同様である。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例32及び33の結果より、DILL values及びEC1mgが塗布液中の被験物質の濃度に依存しないことがわかった。つまり、DILL values及びEC1mgは幅広い塗布液中の被験物質の濃度域で一定の値を示し、かつLLNA等で得られた皮膚感作性の強度と相関性があることが明らかとなった。
【0067】
今回開示された実施の形態および実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。