【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明の橋桁におけるプレストレス導入用外ケーブルへのカプラーの接続方法は、主桁が幅方向に並列し、幅方向に隣接する前記主桁間に空間が確保されている橋桁において、前記主桁の軸方向に沿い、前記主桁の断面外に架設される外ケーブルの端部を除く一部の区間に歪みゲージ付きのカプラーを介在させる方法であり、
前記外ケーブルを構成し、互いに連結されるべき一方のケーブル材と他方のケーブル材を前記主桁の幅方向に隣接する前記主桁間に配置し、前記一方のケーブル材と前記他方のケーブル材の内、少なくとも前記一方
のケーブル材に、両ケーブル材を保持しながら、両ケーブル材に前記カプラーを接続するための、軸方向の片側にジャッキが設置された仮設のフレームを配置する工程と、
このフレームに前記一方のケーブル材を仮接続した状態で、この一方のケーブル材の端部に前記カプラーを仮接続すると共に、前記フレームの、前記他方のケーブル材の接続側に前記他方のケーブル材を仮接続する工程と、
前記フレームの前記他方のケーブル材側に設置されたジャッキを用いて前記他方のケーブル材に張力を付与し、前記他方のケーブル材を前記カプラーに接続する工程とを含
み、
前記他方のケーブル材の端部に、前記カプラーの雌ねじが切られた挿通孔に内接し得る丸ナットと、前記カプラーの挿通孔に螺合する接続リングが前記カプラー側から直列に接続されており、前記他方のケーブル材を前記カプラーに接続する工程において、前記丸ナットを前記カプラーの挿通孔に内接させた状態で、前記接続リングを前記カプラーの挿通孔に螺合させることを構成要件とする。
【0014】
「外ケーブルの端部を除く一部の区間」は外ケーブル1が主桁10に定着される端部の定着部を除く区間を指す。外ケーブル1は端部(定着部)を除く一部区間において、互いに分離している一方のケーブル材2と他方のケーブル材3がカプラー4を介して連結されることで、外ケーブル1として一本化するが、カプラー4による連結時の両ケーブル材2、3への張力導入に伴い、
図1に二点鎖線で示すように下に凸の多角形等を描く外ケーブル1のサグは小さくなり、カプラー4とそれによる連結のための、ジャッキ55を内蔵した仮設のフレーム5は上昇し、
図3に示すように隣接する主桁10、10間に納まろうとする。
【0015】
この関係で、「端部を除く一部の区間」は互いにカプラー4で連結されるべき一方のケーブル材2と他方のケーブル材3を接続するためのフレーム5が橋桁11を構成する隣接する主桁10、10間の空間に納まることができる区間であれば、端部以外のいずれの区間であるかは問われない。
【0016】
但し、ケーブル材2、3への張力導入に伴うカプラー4の上昇時には、
図1に示すように多角形等の最下点、または最下点を含む区間が主桁10に対して最も下方に位置することで、カプラー4とフレーム5が隣接する主桁10、10間の空間に納まらなくてもよい(主桁より下方に位置する)場合もあり得る。このことから、隣接する主桁10、10間距離がフレーム5の幅より小さく、フレーム5が主桁10、10間に挟まれた領域に納まらない場合にも、カプラー4等が主桁10、10間の中間に配置可能であることがあり得るため、多角形等の最下点を含む区間が「端部を除く一部の区間」であることが有利である。外ケーブル1は
図1に示すようにケーブル材2、3への張力導入に伴い、主桁10の外周部に突設される偏向具12に接触することで、多角形状に架設される。
【0017】
前記のジャッキ55を装着したフレーム5は「外ケーブルの端部を除く一部の区間」に、一方のケーブル材2と他方のケーブル材3間に跨って配置される。
図1における両ケーブル材2、3の連結部分の拡大図である
図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向の片側にはその側に配置される(他方の)ケーブル材3に直接、張力を付与するジャッキ55が設置(内蔵)される。
【0018】
一方のケーブル材2はフレーム5の軸方向の一方側に仮接続(保持)され、そのケーブル材2の他方のケーブル材3側の端部にカプラー4が仮接続される。フレーム5の軸方向の他方側には他方のケーブル材3が仮接続(保持)される。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3のフレーム5への仮接続時に、両ケーブル材2、3はフレーム5に保持される。
【0019】
フレーム5は一方のケーブル材2と他方のケーブル材3間に跨りながら、両ケーブル材2、3を保持することで、両ケーブル材2、3の軸線(軸心)を合致させた状態で、両ケーブル材2、3をカプラー4に連結させる役目を果たす。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3がそれぞれカプラー4に接続されることで、両ケーブル材2、3が互いに連結されるが、各ケーブル材2、3は軸方向の端部の区間に雄ねじが形成されることによりカプラー4に螺合し、接続される。雄ねじはケーブル材2、3の端部の区間に圧着等の手段により一体化したスリーブの外周に形成される。
【0020】
請求項1における「少なくとも一方
のケーブル材にフレームを配置する」とは、前記多角形状の上方に位置する一方の端部が主桁10に直接、もしくは間接的に定着されているケーブル材2、3の内、少なくともいずれか一方のケーブル材2(3)の他方の端部にフレーム5が配置され、フレーム5は両ケーブル材2、3間に跨って配置される場合もあることの意味である。一方のケーブル材2と他方のケーブル材3に構成上の差異はないが、予めカプラー4が接続される側のケーブル材が一方のケーブル材2であり、フレーム5内のジャッキ55が設置されている側の、カプラー4に後から接続される側のケーブル材が他方のケーブル材3である。
【0021】
フレーム5は少なくともカプラー4が接続される側のケーブル材(一方のケーブル材2)の端部に配置され、その配置時にその側のケーブル材(一方のケーブル材2)はフレーム5の軸方向の一方側に仮接続され、保持される。フレーム5が両側のケーブル材2、3間に跨った状態で配置される場合には、各ケーブル材2、3がフレーム5の軸方向両側にそれぞれ仮接続され、保持される。
【0022】
フレーム5は両ケーブル材2、3を保持し、互いに連結させる機能を果たす上で、軸方向がケーブル材2、3の軸線方向を向く多角柱状の稜線の位置に配置される複数本のフレーム構成材51を基本的な構成要素として持つ。両ケーブル材2、3の軸線を合致させることは、一方のケーブル材2に仮接続されているカプラー4をその軸回りの回転により一方のケーブル材2に接続したまま、他方のケーブル材3に接続し、両ケーブル材2、3に跨った状態に移行させる意味がある。
【0023】
図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向の一方側である、ジャッキ55の設置側の反対側に一方のケーブル材2が仮接続された状態でフレーム5に保持され、そのケーブル材2のジャッキ55側にカプラー4が仮接続される。フレーム5へのケーブル材2、3の保持方法は問われないが、ケーブル材2、3は例えばフレーム5に接合される反力負担用の板(反力板52、53)に張力が作用する向きに係止した状態で、その板等にボルトや結束等の手段により保持される。フレーム構成材51はジャッキ55が他方のケーブル材3に張力を導入するときの反力を軸方向引張力として負担し、ジャッキ55による両ケーブル材2、3への張力導入を可能にする役目を持つ。
【0024】
フレーム5への一方のケーブル材2の仮接続と、そのケーブル材2へのカプラー4の仮接続と共に、フレーム5の軸方向の他方側である他方のケーブル材3の接続側に他方のケーブル材3が仮接続され、保持される。他方のケーブル材3のフレーム5への仮接続(保持)により、他方のケーブル材3の軸線が一方のケーブル材2の軸線に暫定的に合致させられる。
【0025】
ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3への張力導入時には、張力の反力がジャッキ55側の反力板53とフレーム構成材51、及び一方のケーブル材2側の反力板52を通じて一方のケーブル材2に引張力として伝達されるため、ジャッキ55による他方のケーブル材3への張力導入と同時に一方のケーブル材2へも張力が導入され、両ケーブル材2、3に均等に張力が付与されることになる。
【0026】
少なくとも一方のケーブル材2にフレーム5を配置すると共に、フレーム5に一方のケーブル材2を保持させた後、もしくはその前に、または保持させる作業と並行して他方のケーブル材3の接続側に他方のケーブル材3をフレーム5に仮接続し、保持させることが行われる。他方のケーブル材3もフレーム5の反力板53に張力が作用する向きに係止した状態でフレーム5に保持される。このとき、他方のケーブル材3はジャッキ55側からフレーム5を軸方向に挿通した形になり、軸線が一方のケーブル材2の軸線に合致させられ、端面が一方のケーブル材2の端面との間に距離を置き、対向した状態で保持される。
【0027】
図2−(a)、(b)ではフレーム5に軸方向の両側から一方のケーブル材2と他方のケーブル材3が挿通し、保持された状態になっている。但し、フレーム5は両ケーブル材2、3間に跨設されているカプラー4の交換時にも使用されるため、
図3に示すように反力板52、53を含むフレーム5が架設状態にある両ケーブル材2、3に下方側から差し込まれ、相対的に両ケーブル材2、3がフレーム5に上方から落とし込まれることにより両ケーブル材2、3が軸方向に挿通する形になっている。
【0028】
少なくとも一方のケーブル材2にフレーム5を配置する工程と、一方のケーブル材2にカプラー4を仮接続すると共に、フレーム5に他方のケーブル材3を仮接続する工程は独立することもあるが、上記のように各工程が同時に、もしくは並行して、または相前後して行われることもある。一方のケーブル材2にフレーム5を配置し、両ケーブル材2、3を連結する際には、各ケーブル材2、3の連結側の反対側の端部は
図1に示すように例えば隣接する主桁10、10間に設置、もしくは構築されて両主桁10、10に一体化した被定着体10a(特許文献3の上部材に相当)に定着されている。
【0029】
図4−(d)に示すようにフレーム5の軸方向両側から両ケーブル材2、3が仮接続された後には、(e)に示すようにフレーム5の他方のケーブル材3側に設置されているジャッキ55に他方のケーブル材3を保持させた状態で、
図5−(a)に示すようにジャッキ55を伸長させることで、他方のケーブル材3を伸長させ、一方のケーブル材2に接続されているカプラー4に接近させ、カプラー4に接続することが行われる。ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3の伸長は前記のように両ケーブル材2、3間に跨るフレーム5を介し、対になる一方のケーブル材2に反力を負担させる形で行われる。
【0030】
ジャッキ55の伸長による他方のケーブル材3への張力の付与時には、前記のように他方のケーブル材3に付与される張力が、ジャッキ55が係止している反力板53とフレーム構成材51を通じ、フレーム5の反対側の反力板52に係止している一方のケーブル材2に伝達され、一方のケーブル材2が負担することになるため、他方のケーブル材3に張力を付与することは一方のケーブル材2にも張力を付与することであり、両ケーブル材2、3に均等に張力を付与することでもある。
【0031】
他方のケーブル材3の伸長により他方のケーブル材3は一方のケーブル材2に接続されているカプラー4に挿通させられ、端部の雄ねじの区間がカプラー4に螺合することによりカプラー4に接続される。他方のケーブル材3はカプラー4の軸回りの回転により、または他方のケーブル材3に端部に螺合しているナット等(接続リング3d)が回転し、カプラー4に螺合することによりカプラー4に接続される。
【0032】
ここで、他方のケーブル材3の端部に、例えば
図8、
図10、
図11に示すようにカプラー4の雌ねじが切られた、他方のケーブル材3側の挿通孔4aに内接し得る丸ナット3cと、カプラー4の挿通孔4aに螺合する接続リング3dをカプラー4側から直列に接続しておくことで
、他方のケーブル材3をカプラー4に接続する工程において、丸ナット3cを他方のケーブル材3のカプラー4へ誘導させるための案内材として使用し、接続リング3dをカプラー4の挿通孔4aに容易に螺合させることが可能になる
。
【0033】
具体的には、例えば丸ナット3cの外径をカプラー4の挿通孔4aの雌ねじの内径に揃え(ほぼ等しくし)、雌ねじの山に内接可能にすると共に、接続リング3dの雄ねじの外径を、カプラー4の挿通孔4aの雌ねじの谷の径に揃えておく(ほぼ等しくする)ことで、ジャッキ55による他方のケーブル材3の伸長時に丸ナット3cをカプラー4の挿通孔4aに内接させることができれば、そのまま他方のケーブル材3の伸長を継続するだけで、挿通孔4aに接続リング3dを内接させ、螺合させることができるため、丸ナット3cに接続リング3dの案内材としての役割を果たせることが可能になる。丸ナット3cがカプラー4の挿通孔4aに内接することは、他方のケーブル材3の軸心をカプラー4の軸心に完全に合致させ、接続リング3dをカプラー4の挿通孔4aに対して位置決めする意味がある。
【0034】
他方のケーブル材3は
図4−(d)〜
図5−(a)に示すようにフレーム5のジャッキ55内(複数本のジャッキ55間)に挿通させられた後、フレーム5を介して一方のケーブル2に反力を取るジャッキ55の伸長によりカプラー4側へ押し出されることにより張力が付与される。他方のケーブル材3への張力の付与により対向する両ケーブル材2、3の端面間距離が小さくなり、
図1に示すように両ケーブル材2、3が主桁10の側面に描く多角形のサグが小さくなるため、カプラー4は主桁10を側面で見たときに主桁10の下面から突出した状態から、ケーブル材2、3に付与される張力の程度に応じ、主桁10の側面に重なり、更には
図3に示すように隣接する主桁10、10間の空間に収納されていく。
図3−(a)、(b)はカプラー4とフレーム5が最終的に隣接する主桁10、10間に納まった状態を示している。
【0035】
フレーム5は後述のようにカプラー4に接続される両ケーブル材2、3への必要な張力の付与後に回収され、対向する両ケーブル材2、3間にはカプラー4が接続した状態で外ケーブル1の使用状態になる。従って仮にカプラー4が最終的に隣接する主桁10、10間の空間に入り込む状況に至る場合にも、カプラー4の接続位置が外ケーブル1の端部を除く一部の区間であることで、カプラー4が主桁10に定着されることはないため、ケーブル材2、3の定着部側の端部のように主桁10、10間に構築、もしくは設置される被定着体10a内に埋設されることはなく、カプラー4の表面(周面)が主桁10や被定着体10a等のコンクリート等に接触することはない。
【0036】
カプラー4は両ケーブル材2、3に跨り、両ケーブル材2、3から張力を受けることで、軸方向引張力を負担した状態に置かれ、引張力の程度に応じた伸び変形を生じるが、外周等に歪みゲージが設置(貼着)されていることで、歪みゲージが伸び変形量に応じた歪み量を生じ、歪み量に応じた電圧を発生するため、出力電圧の大きさの変動からケーブル材2、3の張力の変化を把握することが可能になる。ここで、前記のようにカプラー4の外周面は主桁10等のコンクリート等に接触しない状態に置かれていることで、歪みゲージが摩擦力を検出することがないため、外ケーブル1の張力を正確に表示することが可能になる。
【0037】
またカプラー4が外ケーブル1の端部を除く区間に配置されることで、外ケーブル1が描く多角形の最下点を含む区間か、その付近にカプラー4を配置することができる結果、最終的(外ケーブル1への張力導入後)にカプラー4が隣接する主桁10、10間に配置されるとしても、
図3−(b)に示すように例えばI形断面の主桁10の下端部寄りの下部のフランジ間には納められるため、下部のフランジ間にジャッキ55を含むフレーム5を設置することができればよい。併せてカプラー4は特許文献3のように隣接する主桁間の上部材内に埋設されることがないため、カプラー4の交換のためにカプラー4周辺の構造体を解体する必要は生じない。
【0038】
外ケーブル1に張力を付与するためのジャッキ55(フレーム5)を下部のフランジ間のカプラー4の周囲に設置することができれば、下部のフランジ間の下には幅に制約のない空間が形成されているため、ジャッキ55(フレーム5)の下に
図12に示す受け台6を設置することが可能であり、従来のようにカプラー4の周囲にジャッキ55と受け台6を設置することができない状況は回避される。
【0039】
図5−(b)に示すように他方のケーブル材3のカプラー4側の先端がカプラー4の端部に到達した時点で、(c)に示すようにカプラー4が軸回りの回転により他方のケーブル材3側へ移動させられ、他方のケーブル材3がカプラー4に接続される。
ここで、(c)に示すように他方のケーブル材3に端部に接続されている丸ナット3cがカプラー4の挿通孔4a内に挿通させられる。
【0040】
請求項
1では丸ナット3cの挿通孔4a内への挿通により、前記のように他方のケーブル材3の軸線と一方のケーブル材2の軸線が完全に合致し、他方のケーブル材3のカプラー4に対する位置決めがされる。このとき、丸ナット3cに続く接続リング3dが挿通孔4aに内接可能な状態になるため、そのまま(d)に示すように接続リング3dを軸回りに回転させることで、カプラー4の挿通孔4aの雌ねじに螺合させることができ、他方のケーブル材3をカプラー4に接続し、両ケーブル材2、3を互いに連結した状態にすることが可能になる。同時に、カプラー4の両ケーブル材2、3に対する軸方向の位置が定まる。カプラー4の他方のケーブル材3への移動時、一方のケーブル材2はフレーム5に緊結され、フレーム5に対して軸方向に移動しない状態に保持される。
【0041】
接続リング3dのカプラー4への螺合により他方のケーブル材3のカプラー4への接続が終了し、外ケーブル1の端部を除く一部の区間にカプラー4を介在させる作業が終了する。フレーム5は両ケーブル材2、3をカプラー4に接続することの役目を終えるため、
図5−(e)に示すように両ケーブル材2、3から分離させられ、回収される。他方のケーブル材3のカプラー4への接続後、カプラー4の軸方向両側に両ケーブル材2、3のカプラー4からの抜け出しを防止するために、反力ナット2a、3aがカプラー4に緊結される。
【0042】
設置状態にある、回収期限の到来したカプラー4を交換するときには、分離している両ケーブル材2、3間にカプラー4と共にフレーム5を設置し、フレーム5に両ケーブル材2、3の張力を負担させた状態で、両ケーブル材2、3をカプラー4に接続する作業と逆の作業をすることによりカプラー4の交換が行われる。
【0043】
フレーム5は具体的には一方のケーブル材2と他方のケーブル材3との間に跨り、他方のケーブル材3への張力の付与時にその張力の反力を引張力として負担する、前記した複数本のフレーム構成材51と、フレーム構成材51の軸方向両側に固定され、各ケーブル材2、3がそれぞれの張力の作用の向きに直接、もしくは間接的に係止し、各ケーブル材2、3に導入される張力を受ける反力板52、53と、フレーム構成材51の軸方向のいずれかのケーブル材3の配置側に装着される前記のジャッキ55と、ジャッキ55を軸方向に挟み、反力板53と対になり、その側に配置されたケーブル材3への張力導入時にそのケーブル材3に係止する緊張板54を基本的な構成要素として備える(請求項
2)。
【0044】
一方のケーブル材2と他方のケーブル材3は
図2−(a)に示すようにフレーム5の軸方向両側からそれぞれの側の反力板52、53を挿通し、(b)に示すように両ケーブル材2、3の端部間に跨るカプラー4によって互いに連結される。ジャッキ55は他方のケーブル材3の周囲に配置され、反力板53においてフレーム構成材51に軸方向の外側へ係止し、緊張板54において他方のケーブル材3に軸方向の内側へ係止する。緊張板54には他方のケーブル材3の端部がフレーム5の軸方向外側へ係止し、ジャッキ55は反力板53に反力を取りながら、緊張板54を一方のケーブル材2側へ押し出すことにより他方のケーブル材3に張力を付与する。
【0045】
請求項
2における「ケーブル材2、3が反力板52、53に間接的に係止する」とは、ケーブル材2、3のカプラー4による連結側の端部と各ケーブル材2、3側の反力板52、53との間にケーブル材2、3以外の他の要素が介在することを言う。
図2等に示す例では一方のケーブル材2がその側の反力板52に直接、係止しているが、他方のケーブル材3はジャッキ55を介して間接的に反力板53に係止している。
図2等では一方のケーブル材2の端部がその回りに装着され
る支圧リング2bにおいて反力板52に係止しているが、ケーブル材2は反力板52に直接、係止している状態にある。
【0046】
ジャッキ55の伸長時には他方のケーブル材3側に固定された反力板53と緊張板54との間の距離が拡大することで、他方のケーブル材3に張力が付与され、前記のようにジャッキ55からの反力が一方のケーブル材2に伝達されることで、一方のケーブル材2にも張力が付与され、両ケーブル材2、3に均等に張力が付与される。
【0047】
ジャッキ55の後方側であるフレーム5の軸方向外側寄りに位置する反力板53が受けたジャッキ55の緊張力の反力はフレーム構成材51を通じて一方のケーブル材2側の反力板52に伝達され、その反力板52が一方のケーブル材2を他方のケーブル材3側へ引き寄せる結果、一方のケーブル材2に他方のケーブル材3に付与される張力と同一の張力が付与される。結局、ジャッキ55は一方のケーブル材2に反力を取りながら、他方のケーブル材3に張力を付与することで両ケーブル材2、3に張力を付与する。
【0048】
以上のように請求項1、
2では直接には他方のケーブル材3に張力を付与する結果として両ケーブル材2、3に均等に張力を付与するジャッキ55がフレーム5に内蔵されているため、フレーム5内で両ケーブル材2、3に張力を付与した状態で両ケーブル材2、3間にカプラー4を跨設することができる。この結果、フレーム5がその幅方向に例えば隣接する主桁10、10間の空間、例えば主桁10の下部のフランジ間に納まることができれば、分離しているケーブル材2、3に張力を付与しながら両ケーブル材2、3間にカプラー4を設置する作業と、回収期限の到来したカプラー4を交換する作業を遂行することが可能である。