【実施例1】
【0017】
本発明に係るレンズフードの第1の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態のレンズフードの分解斜視図である。
図2は、
図1の分解斜視図に対して光軸周りに180度回転した方向から見た分解斜視図である。
【0019】
図1,2で示すように、レンズフード10は、フード本体(フードベース)100、カバー支持部材(フードカバー)200、開口カバー部材(フード窓)300、ロックレバー400、トーションバネ401、締結ビス500により構成される。
【0020】
フード本体100は、開口102、第1の軌道(第1レール部)103、第1の係合部(係合溝)105、第1の囲繞部(凸形状部)106及びロックレバー400の軸部402が嵌合する軸穴を有している。フード本体100はレンズ鏡筒20への不要光の入射を遮断するために円筒形状の部材である。
【0021】
カバー支持部材200は、第2の軌道(第2レール部)202、開口203、第2の軌道から突き出た第1の突出部(係合爪)204、及びロックレバー400の軸部403が嵌合する軸穴を有している。
【0022】
開口カバー部材300は、フード本体100に形成された開口102及びカバー支持部材200に形成された開口203を塞ぐような板状片である。
【0023】
フード本体100が有する第1の係合部105は、カバー支持部材200が有する第1の突出部204に係合するように形成されており、カバー支持部材200を光軸直交方向に支持する。
【0024】
締結ビス500により、カバー支持部材200がフード本体100に対して固定される。
【0025】
ロックレバー400は、フード本体100に形成された軸穴に嵌合する軸部402及びカバー支持部材200に形成された軸穴に嵌合する軸部403を有し、フード本体100とカバー支持部材200に挟みこまれるように支持されている。
【0026】
トーションバネ401は、ロックレバー400の軸部403に嵌合し、ロックレバー400とカバー支持部材200との間で光軸中心方向に付勢力を発生させるように取り付けられる。トーションバネ401による付勢力によりロックレバー400の先端がレンズ鏡筒20の先端部21に形成されたバヨネット溝21aの端部に突き当たることでレンズフード10の光軸周りの回転を規制する。
【0027】
図3は、第1の実施形態のレンズフード及びレンズ鏡筒の断面図(開口状態)である。
図4は、第1の実施形態のレンズフード及びレンズ鏡筒の断面図(閉口状態)である。
図5は、第1の実施形態のレンズフード及びレンズ鏡筒の斜視図(開口状態)である。
【0028】
図3〜5に示すように、レンズフード10はレンズ鏡筒20の先端部21に取り付け可能である。また、開口カバー部材300を光軸方向に移動(摺動)させることで、開口11が閉じた状態(開口カバー部材が開口の全部を覆う状態。以下、「閉口状態」という)、開いた状態(開口カバー部材が開口の一部のみを覆う状態。以下、「開口状態」という)に変更可能に構成されている。
【0029】
図3に示すように、開口11を開くことで、開口11から指先などで光学部材30を容易に操作可能となる。また、
図4に示すように、光学部材(回転効果フィルタ)30を操作しないときには、開口11(
図3参照)を閉じることで、レンズ鏡筒20への不要光の入射を遮断できる。
【0030】
図3,4に示すように、フード本体100は、レンズ鏡筒20の先端部21に形成されているバヨネット溝21aに係合するバヨネット爪101を有している。バヨネット爪101がバヨネット溝21aに係合することでレンズフード10はレンズ鏡筒20に装着される。
【0031】
図6は、第1の実施形態のレンズフード、レンズ鏡筒及びカメラ装置の模式図(一部、断面図)である。
【0032】
図6に示すように、レンズ鏡筒20、及びレンズ鏡筒20の先端部21に装着されるレンズフード10によりレンズ装置50が構成される。また、レンズ装置50、及びレンズ装置50が装着された、レンズ装置50により形成された光学像を光電変換する撮像素子61を有するカメラ装置60により撮像システム70が構成される。
【0033】
図7は、第1の実施形態のレンズフード及びレンズ鏡筒の断面図(逆付け装着)である。
【0034】
図7に示すように、カバー支持部材200は、レンズフード10をレンズ鏡筒20に逆付けする際にバヨネット溝21aに係合するバヨネット爪201を有する。
【0035】
図8は、第1の実施形態の開口カバー部材の斜視図である。
図8(a)は下面斜視図、
図8(b)は上面斜視図である(「上面」及び「下面」は、レンズ鏡筒の先端部にレンズフードを取付けたときの状態を基準にしている)。
【0036】
図8に示すように、開口カバー部材300は、第1の摺動部301a、第2の摺動部301b、第1の当接部302、第2の当接部303、凸部(板バネ部)304、及び第2の囲繞部(凸形状部)305を有する。
【0037】
開口カバー部材300には、開口102の少なくとも一部(
図8では3辺)を囲繞する第2の囲繞部305が形成されている。第2の囲繞部305は、光軸方向あるいは光軸周り方向にレンズフード10を見たときにフード本体100に形成された第1の囲繞部106(
図1参照)とオーバーラップするように構成されている。
【0038】
第1の実施形態では、第1の囲繞部の外側に第2の囲繞部が嵌り合う構成となっているが、第1の囲繞部の内側に第2の囲繞部が嵌り合っていてもよい。これによりフード本体100と開口カバー部材300の間で生じる隙間を塞ぐことができ、レンズフード10が閉口状態においてより確実にレンズ鏡筒20への不要光の入射を遮断する遮光構造を構成することができる。
【0039】
次に、第1の実施形態のレンズフード40の開口カバー部材300の開閉構造については説明する。
【0040】
図9は、第1の実施形態のレンズフードである。
図9(a)は、
図1に示すA方向から見た正面図であり、
図9(b)は、
図1に示すE方向から見た背面図である。
【0041】
図10は、
図9中で示すB−B断面の断面図である。
図10(a)は閉口状態における断面図であり、
図10(b)は開口状態における断面図である。
【0042】
図11は、
図9中で示すC−C断面の開口状態における断面図である。
【0043】
図10,11に示すように、フード本体100の開口102は、開口カバー部材300が閉口状態の位置から開口状態の位置の間を光軸方向に移動する際に干渉しないように形成されている。また、カバー支持部材200の開口203は、開口カバー部材300が有する第2の当接部303が閉口状態から開口状態の間で干渉しないように形成されている。
【0044】
図10に示すように、フード本体100の開口102には、開口カバー部材300が摺動方向において当接する、被当接部としての第1の被当接部(閉口ストッパー部)104が設けられている。第1の被当接部104は、閉口状態において、開口カバー部材300の当接部(第1の当接部)302が当接するように形成されている。そして、それにより、閉口状態における開口カバー部材300の端位置を決める。
【0045】
図11に示すように、カバー支持部材200の開口203には、開口カバー部材300が摺動方向において当接する、被当接部としての第2の被当接部(開口ストッパー部)203aが設けられている。第2の被当接部203aは、開口状態において、開口カバー部材300の当接部(第2の当接部)303が当接するように形成されている。そして、それにより、開口状態における開口カバー部材300の端位置を決める。
【0046】
開口カバー部材300は、フード本体100が有する第1の軌道103に対して光軸方向に摺動可能に形成された第1の摺動部301a、カバー支持部材200が有する第2の軌道202に対して光軸方向に摺動可能に形成された摺動部301bを有している。開口カバー部材300は、第1の軌道103と第2の軌道202に摺動可能に挟み込まれている。つまり、開口カバー部材300はフード本体100とカバー支持部材200により構成されたレール構造部により光軸方向に移動可能に支持されている。
【0047】
第1の軌道103は開口カバー部材300の第1の摺動部301aが閉口状態の位置から開口状態の位置の間を摺動可能なように光軸方向の長さが設定されている。第2の軌道202は開口カバー部材300の第2の摺動部301bが閉口状態の位置から開口状態の位置の間を摺動可能なように光軸方向の長さが設定されている。
【0048】
図10(a)に示すように、閉口状態では第2の軌道202に形成された第1の凹部(閉口クリック溝)202aに開口カバー部材300の凸部(板バネ部)304が嵌合する。これにより、閉口状態の位置に開口カバー部材300を移動させる際、及び閉口状態の位置から開口カバー部材300を移動させる際のクリック感を発生させる。
【0049】
図10(b)に示すように、開口状態では第2の軌道202に形成された第1の凹部(開口クリック溝)202bに開口カバー部材300の凸部(板バネ部)304が嵌合する。これにより、開口状態の位置に開口カバー部材300を移動させるとき、及び開口状態の位置から開口カバー部材300を移動させるときにクリック感を発生させる。
【0050】
このようなクリック構造により、レンズフード10に衝撃が加わった場合でも、開口カバー部材300が閉口状態あるいは開口状態から不用意に移動しづらくなる。
【0051】
第1の実施形態によれば、開口カバー部材300は、フード本体100が有する第1の軌道103と、開口カバー部材300を光軸直交方向から支持するカバー支持部材200が有する第2の軌道202の間を摺動する。したがって、開口カバー部材300は光軸直交方向に支持されており、衝撃などにより光軸直交方向の外力が作用しても開口カバー部材300が外れることがない。
【0052】
また、第1の軌道103及び第2の軌道202と、開口カバー部材300が有する第1の摺動部301a及び第2の摺動部301bを面同士で当接させることができる。そのため、光軸直交方向への外力に対し十分な強度を確保することもでき、光軸直交方向の外力が作用した場合に対しての破損を防止することができる。
【0053】
また、開口カバー部材300の当接部302、303がそれぞれ被当接部104、開口ストッパー部201aに当接する構成であるため、衝撃などにより光軸方向に外力が作用しても開口カバー部材300が外れることはない。
【0054】
また、当接部302、303も当接部104、開口ストッパー部201aに面同士で当接させることができる。そのため、光軸方向への外力に対しても十分な強度を確保することができ、光軸方向の外力が作用した場合に対しての破損も防止することができる。
【0055】
また、クリック感を発生させるための凸部304は第1の摺動部301a及び第2の摺動部301bにより形成される空間内に配置しているために、クリック構造による摺動箇所が削れるなどしてもレンズフード10の外観部に影響はない。通常レンズフード10の内周面(外観部)は遮光効果の高い塗装や、植毛が施されており塗装や植毛が削れると遮光効果が低減し、品位も損なわれるため第1の実施形態のクリック構造は有用である。
【実施例2】
【0056】
本発明に係るレンズフードの第2の実施形態について説明する。
【0057】
図12は、第2の実施形態のレンズフードの分解斜視図である。
【0058】
図12で示すように、レンズフード40は、フード本体(フードベース)500、カバー支持部材(フードカバー)600、開口カバー部材(フード窓)700、ロックレバー800、コイルバネ801、締結ビス900により構成される。
【0059】
フード本体500は、レンズ鏡筒20の先端部21に形成されているバヨネット溝21aに係合するバヨネット爪501を有している。バヨネット爪501がバヨネット溝21aに係合することでレンズフード40はレンズ鏡筒20に装着される。
【0060】
フード本体500は、レンズ鏡筒20への不要光の入射を遮断するために円筒形状の部材である。また、フード本体500は開口502、第1の軌道(第1レール部)503、第1の係合部(係合溝)504、第1の囲繞部(凸形状部)505及びロックレバー800の軸穴802に嵌合する不図示の軸部を有している。
【0061】
カバー支持部材600は、開口601、第2の軌道から突き出た第1の突出部(係合爪)602、被当接部(閉口ストッパー部)603、及び不図示の第2の軌道(第2レール部)を有している。
【0062】
開口カバー部材700は、摺動部701a、摺動部701b、第1の当接部702、第2の当接部703、凸部(板バネ部)704、及び第2の囲繞部(凸形状部)705を有する。
【0063】
ロックレバー800は、軸穴802を有し、軸穴802にフード本体500に形成された不図示の軸部が嵌合する。ロックレバー800は軸穴802にフード本体500に形成された軸部が嵌合した状態でフード本体500とカバー支持部材600に挟みこまれるように支持されている。
【0064】
コイルバネ801は、フード本体500とロックレバー800の間で突っ張るように取り付けられる。コイルバネ801によりロックレバー800は、光軸中心方向に付勢力を発生させ、ロックレバー800の先端がレンズ鏡筒20先端部21に形成されたバヨネット溝21aの端部に突き当たることで、レンズフード40の光軸周りの回転を規制する。
【0065】
締結ビス900により、カバー支持部材600がフード本体500に対して固定される。
【0066】
第1の実施形態では、レンズ鏡筒の先端部から光軸方向に、フード本体100、カバー支持部材200という順の積層構造であった。これに対し、第2の実施形態では、レンズ鏡筒の先端部から光軸方向に、カバー支持部材600、フード本体500という順の積層構造であるという点で異なる(
図14参照)。
【0067】
また、第1の実施形態では、フード本体100の物体側からカバー支持部材200を組み込む構造(フード本体100の内側からカバー支持部材200を通す構造)であった。これに対し、第2の実施形態では、フード本体500の像側からカバー支持部材600を組み込む構造(フード本体100の内側からカバー支持部材200を通さない構造)である点で異なる。
【0068】
図13は、第2の実施形態の開口カバー部材の斜視図であり、
図13(a)は下面斜視図、
図13(b)は上面斜視図である(「上面」及び「下面」は、レンズ鏡筒の先端部にレンズフードを取付けたときの状態を基準にしている)。
【0069】
図13に示すように、開口カバー部材700は、第1の摺動部701a、第2の摺動部701b、第1の当接部702、第2の当接部703、凸部(板バネ部)704、及び第2の囲繞部(凸形状部)705を有する。
【0070】
開口カバー部材700には、開口502の少なくとも一部(
図13では3辺)を囲繞する第2の囲繞部705が形成されている。第2の囲繞部705は、光軸方向あるいは光軸周り方向にレンズフード40を見たときにフード本体500に形成された第1の囲繞部505(
図12参照)とオーバーラップするように構成されている。
【0071】
次に、第2の実施形態のレンズフード40の開口カバー部材700の開閉構造については説明する。
【0072】
フード本体500の開口502は、開口カバー部材700が閉口状態の位置から開口状態の位置の間を光軸方向に移動する際に干渉しないように形成されている。第1の軌道503は、開口カバー部材700の第1の摺動部701aが閉口状態の位置から開口状態の位置の間を摺動可能なように光軸方向の長さが設定されている。
【0073】
フード本体500が有する第1の係合部504は、カバー支持部材600が有する第1の突出部602と係合するように形成されており、カバー支持部材600を光軸直交方向に支持する。
【0074】
カバー支持部材600の開口601は、開口カバー部材700が閉口状態から開口状態の間で干渉しないように形成されている。
【0075】
カバー支持部材600の開口601には、開口カバー部材700が摺動方向において当接する、被当接部としての第1の被当接部603が設けられている。第1の被当接部603は、閉口状態において、開口カバー部材700の第1の当接部702が当接するように形成されており、閉口状態における開口カバー部材700の端位置を決める。
【0076】
フード本体500の開口502には、開口カバー部材700が摺動方向において当接する、被当接部としての第2の被当接部(開口502の物体側の面)が設けられている。第2の被当接面は、開口状態において、開口カバー部材700の第2の当接部703が当接するように形成されており、開口状態における開口カバー部材700の端位置を決める。
【0077】
第2の軌道(不図示)は開口カバー部材700の摺動部701bが閉口状態の位置から開口状態の位置の間を摺動可能なように光軸方向の長さが設定されている。
【0078】
閉口状態では第2の軌道(不図示)に形成された第1の凹部(閉口クリック溝。不図示)に開口カバー部材700の凸部(板バネ部)704が嵌合する。これにより、閉口状態の位置に開口カバー部材700を移動させる際、及び閉口状態の位置から開口カバー部材700を移動させる際のクリック感を発生させる。
【0079】
開口状態では第2の軌道(不図示)に形成された第2の凹部(開口クリック溝。不図示)に開口カバー部材700の凸部(板バネ部)704が嵌合する。これにより、開口状態の位置に開口カバー部材700を移動させるとき、及び開口状態の位置から開口カバー部材700を移動させるときにクリック感を発生させる。
【0080】
このようなクリック構造により、レンズフード40に衝撃が加わった場合でも、開口カバー部材700が閉口状態あるいは開口状態から不用意に移動しづらくなる。
【0081】
第2の実施形態によれば、開口カバー部材700は、フード本体500が有する第1の軌道503と、開口カバー部材700を光軸直交方向から支持するカバー支持部材600が有する第2の軌道(不図示)の間を摺動する。したがって、開口カバー部材700は光軸直交方向に支持されており、衝撃などにより光軸直交方向の外力が作用しても開口カバー部材700が外れることがない。
【0082】
また、第1の軌道503及び第2の軌道(不図示)と、開口カバー部材700が有する第1の摺動部701a及び第2の摺動部701bを面同士で当接させることができる。そのため、光軸直交方向への外力に対し十分な強度を確保することもでき、光軸直交方向の外力が作用した場合に対しての破損を防止することができる。
【0083】
フード本体の内側は通常、光の反射を抑えるために植毛や反射防止用の塗装を施されている。第2の実施形態では、カバー支持部材600を組み込む際にフード本体の内側を通す必要がなく、フードカバーを組み込むときに植毛や反射防止用の塗装を傷付ける恐れがなく好ましい。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0085】
第1の実施形態では、被当接部(閉口ストッパー部)はフード本体に、被当接部(開口ストッパー部)はカバー支持部材に設けた。また、第2の実施形態では、被当接部(閉口ストッパー部)はカバー支持部材に、被当接部(開口ストッパー部)はフード本体に設けた。しかし、被当接部(閉口ストッパー部及び開口ストッパー部)はフード本体とカバー支持部材のどちらに設けてもよい。
【0086】
また、開口カバー部材に凸部(板バネ部)を設け、当該凸部と嵌合する第1の凹部及び第2の凹部(「凹部」と総称する)を第2の軌道に設けていた。しかし、開口カバー部材に凸部を設け、当該凸部と嵌合する第1の凹部及び第2の凹部を第1の軌道に設けてもよい。
【0087】
また、フード本体に設けた第1の係合部(係合溝)にカバー支持部材の第1の突出部(係合爪)が嵌合する構成としたが、フード本体に第2の突出部(係合爪)を設け、カバー支持部材に第2の係合部(係合溝)を設けてもよい。