特許第6436730号(P6436730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6436730綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部において綾巻きパッケージ交換を実施する方法、及び綾巻きパッケージを製造する繊維機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436730
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部において綾巻きパッケージ交換を実施する方法、及び綾巻きパッケージを製造する繊維機械
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/04 20060101AFI20181203BHJP
   D01H 9/04 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B65H67/04 B
   D01H9/04 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-229938(P2014-229938)
(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公開番号】特開2015-93785(P2015-93785A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2017年9月27日
(31)【優先権主張番号】10 2013 018 985.3
(32)【優先日】2013年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ブンクター
(72)【発明者】
【氏名】マーク キュッペンベンダー
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−001683(JP,A)
【文献】 特開平02−144376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 67/00 − 67/08
D01H 9/00 − 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績コップを綾巻きパッケージに巻き返して綾巻きパッケージを製造する繊維機械の多数の作業部のうちの1つの作業部において、自動式に作動するサービスユニットを用いて、綾巻きパッケージ交換を実施する方法であって、綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置を有していて、前記作業部の領域に、綾巻きパッケージを一時的に貯える綾巻きパッケージ中間貯蔵部が配置されている、方法において、
完成した綾巻きパッケージ(11)を、機械長さの走路に走行可能に支持された前記サービスユニット(23)によって選択的に、前記1つの作業部(2)の前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)か又は、前記綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)の前記機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引き渡すことを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の多数の作業部のうちの1つの作業部において綾巻きパッケージ交換を実施する方法。
【請求項2】
前記1つの作業部(2)の前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)に中間貯蔵された綾巻きパッケージ(11)を、前記サービスユニット(23)によって前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引き渡す、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記作業部(2)の前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)に中間貯蔵された綾巻きパッケージ(11)を、前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)において前記綾巻きパッケージ(11)がロット毎にまとめられるように、前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引き渡し、かつそのように前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)を制御する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記1つの作業部(2)において製造された前記綾巻きパッケージ(11)を、所属の綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)における滞在なしでも、前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引渡し可能である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
紡績コップを綾巻きパッケージに巻き返す多数の作業部と、綾巻きパッケージ交換を実施する自動式に作動するサービスユニットと、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置と、綾巻きパッケージを一時的に貯える、前記作業部の領域に配置された綾巻きパッケージ中間貯蔵部と、を備えた綾巻きパッケージを製造する繊維機械であって、
前記サービスユニット(23)は、機械長さの走路に走行可能に支持された綾巻きパッケージ交換装置として形成されていて、操作装置(12A,12B)を有しており、該操作装置(12A,12B)は、前記多数の作業部のうちの1つの作業部(2)の綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)への又は綾巻きパッケージを製造する繊維機械(1)の前記機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置(21)への、完成した綾巻きパッケージ(11)の選択的な引渡しを可能にすることを特徴とする、綾巻きパッケージを製造する繊維機械。
【請求項6】
前記操作装置(12A,12B)は、該操作装置(12A,12B)が必要な場合に、前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)に中間貯蔵された綾巻きパッケージ(11)をも前記機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引き渡すことができるように構成されている、請求項5記載の綾巻きパッケージを製造する繊維機械。
【請求項7】
前記操作装置(12A,12B)は、該操作装置(12A,12B)が前記1つの作業部(2)において完成した綾巻きパッケージ(11)を、所属の綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)における滞在なしでも、前記綾巻きパッケージ搬送装置(21)に引き渡すことができるように構成されている、請求項5記載の綾巻きパッケージを製造する繊維機械。
【請求項8】
前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)は、前記綾巻きパッケージ(11)を前記綾巻きパッケージ中間貯蔵部(13)において位置決めする、もっぱら定位置に配置された構成部材又は構成群を有している、請求項5記載の綾巻きパッケージを製造する繊維機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載された、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部において綾巻きパッケージ交換を実施する装置、並びに請求項5記載の綾巻きパッケージを製造する繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献には、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の種々様々な実施形態と、このような綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部において綾巻きパッケージ交換を実施する様々な方法が、部分的に極めて詳しく開示されている。
【0003】
例えば特許文献1に基づいて公知の綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、通常のように、同じ形式の多数の作業部を有しており、これらの作業部の作業部計算機はそれぞれ機械バスを介して、中央制御ユニットと、サービスユニットの制御装置とに接続されている。作業部のうちの1つの作業部において操作の必要性が生じると、例えば完成した綾巻きパッケージを空管と交換することが必要になると、該当する作業部においてはまず光信号が送信され、この光信号は、作業部の前をパトロールしているサービスユニットによって相応のセンサ装置を用いて認識される。次いでサービスユニットは、該当する作業部において停止し、必要な操作工程を実施する。
【0004】
必要な場合に、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部において完成した綾巻きパッケージを、空管と交換するサービスユニットは、特許文献2にも開示されている。
【0005】
これらの公知のサービスユニット、いわゆる綾巻きパッケージ交換装置は、多数の操作装置を有しており、これらの操作装置は、綾巻きパッケージを該当する作業部のパッケージフレームから取り出すこと、機械長さの搬送装置に引き渡すこと、次いで、巻取り部固有の巻管マガジンに貯えられた空管を、新たにパッケージフレームに供給することができる。
【0006】
特許文献3に基づいて公知の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械では、この繊維機械の作業部は、完成した綾巻きパッケージを自動的にそのパッケージフレームから取り出して、確定して機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができるように構成されている。
【0007】
作業部は、傾斜可能に配置された底板部分を備えた各1つの底セグメントを有しており、この場合これらの傾斜可能な底板部分のうちの1つが、上方旋回させられた状態において中間貯蔵装置を形成する。すなわちパッケージフレームから取り出されて傾斜配置された底板部分の上に下ろされた綾巻きパッケージは、上方旋回させられた底セグメントによって、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に向かって転動することを阻止される。上方旋回させられた底セグメントが下方旋回させられると初めて、傾斜した底板部分に下ろされた綾巻きパッケージは、搬出のために駆動可能なコンベヤベルトにまで転動することができる。
【0008】
しかしながら特許文献3に記載された作業部は、その構造上の構成において、特に必要な駆動機構によって、極めて複雑である。従ってこのような作業部は、比較的故障しやすいだけではなく、その製造コストも比較的高い。
【0009】
さらに特許文献4に基づいて公知の、綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、サービスユニットによって操作され、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置の他にさらに綾巻きパッケージ中間貯蔵部を有している。すなわち、繊維機械の作業部において完成した綾巻きパッケージは適正に取り出して、後続の処理のために準備できるようにするために、自動綾巻きワインダの背側には、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置と綾巻きパッケージ中間貯蔵部とが設けられている。これらの中間貯蔵部は、各作業部の綾巻きパッケージがサービスユニットによって作業部のパッケージフレームから取り出された後で、該綾巻きパッケージが下ろされる、綾巻きパッケージ搬送装置に向かって傾斜した底板と、セクション長さ又は機械長さの、旋回可能に支持された特殊な引き留め兼解放装置とを有している。
【0010】
1つの機械セクション又は機械長さ全体にわたって延びている綾巻きパッケージ中間貯蔵部を備えた、この公知の繊維機械の作業部も、その可動の構成部材もしくは構成群に基づいて、極めて手間及びコストがかかるのみならず、さらに、このような作業部によっては、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置への個々の綾巻きパッケージの個別の引渡しがほとんど不可能であるという大きな欠点を有している。
【0011】
すなわち、これら公知のセクション長さ又は機械長さの綾巻きパッケージ中間貯蔵部によっては、通常、複数の綾巻きパッケージが、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に、その都度一緒に引き渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第4221504号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19520132号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1712508号明細書
【特許文献4】独国特許発明第3329066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ゆえに本発明の課題は、上に述べた従来技術を出発点として、従来技術における上記の欠点を回避することができる方法並びに相応の綾巻きパッケージを製造する繊維機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の方法、並びに請求項5記載の綾巻きパッケージを製造する繊維機械によって解決される。
【0015】
本発明に係る方法の好適な態様は、請求項2〜4に記載されている。
【0016】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械の好適な態様は、請求項6〜8に記載されている。
【発明の効果】
【0017】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械の1つの作業部において完成した綾巻きパッケージを、サービスユニットによって選択的に、1つの作業部の綾巻きパッケージ中間貯蔵部か又は、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことを特徴とする、本願発明に係る方法は、特に、このような方法が極めて多面的に使用可能であるという利点を有している。
【0018】
すなわち、サービスユニット、好ましくは綾巻きパッケージ交換装置は、必要な場合に、完成した綾巻きパッケージを1つの作業部のパッケージフレームから、綾巻きパッケージを一時的に貯える綾巻きパッケージ中間貯蔵部に引き渡すために使用できるのみならず、綾巻きパッケージ交換装置は、所望とあれば、完成した綾巻きパッケージを作業部のパッケージフレームから機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置にも引き渡すことができる。
【0019】
本発明に係る方法の使用によって、さらに、従来必要であった、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業部における、特に綾巻きパッケージ中間貯蔵部の領域における、構造上のコストを、著しく低減することができ、かつ同時に、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置の確定された負荷もしくは積載に関する繊維機械のフレキシビリティを、著しく改善することができる。
【0020】
請求項2に記載したように、本発明に係る方法の好適な態様では、さらに、1つの作業部の1つの綾巻きパッケージ中間貯蔵部に中間貯蔵された綾巻きパッケージを、必要な場合に、サービスユニットによって問題なく綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができる。
【0021】
本発明のように、綾巻きパッケージ中間貯蔵部から機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に綾巻きパッケージを引き渡すために綾巻きパッケージ交換装置を使用することによって、綾巻きパッケージ中間貯蔵部に下ろされた綾巻きパッケージを必要な場合に機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができる、特殊でかつ比較的高価な引渡し機構を、省くことができ、それにもかかわらず、必要な場合に、各綾巻きパッケージを個々に、1つの綾巻きパッケージ中間貯蔵部から機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができる。すなわち、綾巻きパッケージ中間貯蔵部に下ろされた綾巻きパッケージは、綾巻きパッケージ交換装置によって、いつでも問題なく、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができる。
【0022】
請求項3記載の好適な態様ではさらに、作業部の綾巻きパッケージ中間貯蔵部に中間貯蔵された綾巻きパッケージを、所望の場合にはいつでも、綾巻きパッケージ搬送装置において綾巻きパッケージをロット毎にまとめることができるように、綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡し、かつそのように綾巻きパッケージ搬送装置を制御する。すなわち、綾巻きパッケージ中間貯蔵部に一時的に下ろされた綾巻きパッケージは、綾巻きパッケージ交換装置によって個々に、特定可能な順序で、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができ、かつそこで後続の作業プロセスのために準備することができる。
【0023】
綾巻きパッケージ中間貯蔵部を空にすることが個々の巻取り部において行われるので、例えば綾巻きパッケージを製造する繊維機械の異なった機械セクションにおいて生ぜしめられた同じ綾巻きパッケージを、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置において、簡単にまとめることができる。
【0024】
すなわち、従来通常であったように、綾巻きパッケージを、セクション毎に綾巻きパッケージ中間貯蔵部から取り出すことはもはや不要である。これにより高いフレキシビリティが得られ、このようなフレキシビリティは、さもなければ、構造上の高いコストをかけて、巻取り部の中間貯蔵部における個別操作装置を用いてしか得ることができなかった。本発明によって、綾巻きパッケージを製造する繊維機械における著しくフレキシブルなロット範囲(Partiebereich)が可能となり、その結果、改善された保管戦略(Ablagestrategie)によって、綾巻きパッケージの処理を、好適に顧客固有に最適化することができる。
【0025】
さらに請求項4に記載の態様では、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の1つの作業部において製造された1つの綾巻きパッケージを、所属の綾巻きパッケージ中間貯蔵部における滞在なしでも、直接、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができる。すなわち、機械の状況が許すならば、綾巻きパッケージ中間貯蔵部における綾巻きパッケージの過剰な滞在を、簡単に回避することができる。
【0026】
請求項5記載のように、綾巻きパッケージを製造する繊維機械は、通常のように、多数の作業部と、綾巻きパッケージ交換を実施する自動式に作動するサービスユニットと、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置と、綾巻きパッケージを一時的に貯える、作業部の領域に配置された綾巻きパッケージ中間貯蔵部と、を有している。
【0027】
本発明に係る構成では、好ましくは綾巻きパッケージ交換装置として形成されているサービスユニットは、操作装置を有しており、該操作装置は、完成した綾巻きパッケージを1つの作業部のパッケージフレームから、綾巻きパッケージ中間貯蔵部に又は機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に、選択的に引き渡すことができる。
【0028】
操作装置は、必要な場合に、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置への、綾巻きパッケージ中間貯蔵部に中間貯蔵された綾巻きパッケージの引渡しも可能であるように構成されている(請求項6)。
【0029】
さらに、請求項7の記載によれば操作装置は、該操作装置が1つの作業部において完成した綾巻きパッケージを、所属の綾巻きパッケージ中間貯蔵部における滞在なしでも、綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡すことができるように構成されていてよい。
【0030】
従って本発明に係る綾巻きパッケージ交換装置は、多様に使用可能であり、その操作装置を用いて、完成した綾巻きパッケージを常に所望のように、排出もしくは位置決めすることができる。さらに、サービスユニットの操作装置を多様に使用できることに基づいて、綾巻きパッケージ中間貯蔵部の領域における追加的な高価な引渡し装置を省くことができる。
【0031】
請求項8記載の好適な態様では、綾巻きパッケージ中間貯蔵部は、綾巻きパッケージを綾巻きパッケージ中間貯蔵部において位置決めする、もっぱら定位置に配置された構成部材又は構成群を有している。
【0032】
可動の構成部材又は構成群を省くことによって、綾巻きパッケージ中間貯蔵部の構造を著しく簡単化することができる。例えば、綾巻きパッケージ中間貯蔵部が、綾巻きパッケージを保持もしくは停止させるために剛性で不動の底凹部エレメントを有していると好適である。このような剛性で不動の底凹部エレメントによって、一方では綾巻きパッケージを正確に位置決めすることができ、かつ他方では、このような底凹部エレメントは、綾巻きパッケージを下ろすことも取り出すことも阻止する。相応の底凹部エレメントは、湾曲された金属薄板部材から成る輪郭によって実現すること、又は金属薄板製の底板において横方向に配置されたロッドエレメントから形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の1つの作業部を示す側面図であって、サービスユニットがその操作装置で、完成した綾巻きパッケージを作業部のパッケージフレームから作業部固有の綾巻きパッケージ中間貯蔵部に引き渡した状態を示す図である。
図2図1に示したのと同様に作業部を示す側面図であって、サービスユニットがその操作装置で、完成した綾巻きパッケージを作業部のパッケージフレームから直接、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡した状態を示す図である。
図3図1に示したのと同様に作業部を示す側面図であって、サービスユニットが、完成した綾巻きパッケージを、作業部固有の綾巻きパッケージ中間貯蔵部から機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置に引き渡す状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳説する。
【0035】
図面にはそれぞれ、綾巻きパッケージを製造する繊維機械1(図示の実施形態では自動綾巻きワインダ)の作業部2が側面図で示されている。図示のように、作業部2の前にはさらに、種々様々な操作工程を実施するサービスユニット23が配置されている。
【0036】
このような自動綾巻きワインダ1は、公知のようにゆえに詳しく示さないが、両端部フレームの間に多数の同様な作業部2を有しており、これらの作業部2において、製造プロセスにおいて前置されたリング精紡機(図示せず)において製造された紡績コップ9が、大きな体積の綾巻きパッケージ11に巻き返される。
【0037】
完成した綾巻きパッケージ11は、以下において図面を参照しながら説明するように、自動式に作動するサービスユニット23を用いて、好ましくはいわゆる綾巻きパッケージ交換装置23を用いて、繊維機械固有の機械長さにわたって延在する綾巻きパッケージ搬送装置21か又は作業部固有の綾巻きパッケージ中間貯蔵部13に引き渡される。
【0038】
機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21は、綾巻きパッケージ11を、機械端部側に配置されたパッケージチャージステーション又はこれに類した場所(図示せず)に搬送する。
【0039】
このような自動綾巻きワインダ1は、通常さらに、コップ・巻管搬送システム3として形成された補給装置(Logistikeinrichtung)を有しており、このコップ・巻管搬送システム3においては、搬送皿8に載って紡績コップ9もしくは空管34が循環する。このコップ・巻管搬送システム3のうち、図面には単に、機械長さのコップ供給区間4、作業部2の後ろを延びている可逆式に駆動される貯え区間5、作業部2に通じる横搬送区間6及び空管戻し区間7だけが示されている。
【0040】
巻返しのために、比較的僅かな糸量だけを有する紡績コップ9はそれぞれ、横搬送区間6の領域に位置する繰出し部10に位置決めされ、次いで大きな体積の綾巻きパッケージ11に巻き返される。
【0041】
そのためにこのような自動綾巻きワインダ1は、その作業部2の領域にそれぞれ、例えば独国特許出願公開第19849192号明細書に記載のように、このような巻取り部の適正な運転を保証する多数の糸監視兼処理装置と、中央制御ユニット37とを有しており、この中央制御ユニット37は、例えば機械バス40を介して、巻取り部とも呼ばれる個々の作業部2の作業部計算機39と、自動綾巻きワインダ1の作業部2を操作する綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38とに接続されている。
【0042】
綾巻きパッケージ交換装置23はその走行機構24,25で、作業部2の上に配置されている機械長さの走路26,27に走行可能に支持されており、この場合駆動ローラ、例えば走行機構25は、個別駆動装置に接続されていて、綾巻きパッケージ交換装置23の制御装置38により確定されて制御することができる。このような綾巻きパッケージ交換装置23は、公知のようにかつ例えば独国特許出願公開第19849192号明細書に詳しく図示及び説明されているように、多数の種々様々な操作エレメントを有しており、これらの操作エレメントによって、綾巻きパッケージ交換装置23は該綾巻きパッケージ交換装置23に与えられた種々様々な働きを適正に果たすことができる。すなわち、このような綾巻きパッケージ交換装置23は、特に操作装置を有しており、この操作装置によって、綾巻きパッケージ交換装置23は、1つの作業部2のパッケージフレームから綾巻きパッケージ11を除去することができる。
【0043】
図面を見易くするために、ここでは、自体公知のこのような装置の図示及び説明は省き、本発明に係る方法を実施するのに必要な本発明に係る操作装置12A,12Bの1実施形態だけを図示及び説明することとする。
【0044】
上において既に述べたことであるが、以下において図面を参照しながら説明すると、綾巻きパッケージ交換装置23は、特に自動式に作動して、完成した綾巻きパッケージ11を必要な場合に1つの作業部2のパッケージフレームから除去し、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21か又は綾巻きパッケージ中間貯蔵部13に引き渡し、この場合ほぼ同時に綾巻きパッケージ空管28を該当する作業部2のパッケージフレーム18に供給する。この場合サービスユニット23は、相応の綾巻きパッケージ空管28を、好ましくは作業部固有の空管マガジン22から取り出し、この空管マガジン22は、それぞれ作業部2の上に配置されている。サービスユニット23は、以下において図1図2及び図3を参照しながら詳説するように、図示の実施形態では構成エレメント12A,12Bから成る相応の操作装置で、さらに、完成した綾巻きパッケージ11を適正にかつフレキシブルに搬出するためにも働く。
【0045】
図1に例示された状況では、作業部2において、綾巻きパッケージの交換が必要であるが、この場合機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21においては、相応の場所が既に他の綾巻きパッケージ11によって占められている。
【0046】
このような場合に、綾巻きパッケージ交換装置23はその操作装置の構成エレメント12A(これは図示のように矢印Sの方向に旋回させられる)を用いて、該当する作業部2のパッケージフレーム18から取り出された完成した綾巻きパッケージ11を、作業部固有の綾巻きパッケージ中間貯蔵部13に移動させる。
【0047】
作業部2のパッケージフレーム18と機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21との間に配置された綾巻きパッケージ中間貯蔵部13は、図示の実施形態では主として、傾斜して配置された金属薄板製の底板14と停止エレメント15とによって形成され、この停止エレメント15は、転動する綾巻きパッケージ11を停止させ、綾巻きパッケージ中間貯蔵部13において適正に位置決めする。この場合しかしながら停止エレメント15は、綾巻きパッケージ11を後で、サービスユニット23の操作装置によって綾巻きパッケージ中間貯蔵部13から機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21へとさらに搬送したい場合に、問題なく克服され得るように形成されている。
【0048】
綾巻きパッケージ中間貯蔵部13はもちろん、図示の実施形態の代わりに別の構成を有することも可能である。底板14は例えば凹面状に湾曲していてよく、このようになっていると、綾巻きパッケージ11のための収容部を形成することができる。
【0049】
図2に示した状況では、サービスユニット23は、パッケージフレーム18から取り出された綾巻きパッケージ11を直接、つまり綾巻きパッケージ11が綾巻きパッケージ中間貯蔵部13において中間貯蔵されることなしに、機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21に引き渡す。
【0050】
図示のように、このような場合には、まず操作装置の構成エレメント12Aが矢印Sの方向に旋回し、これにより完成した綾巻きパッケージ11を綾巻きパッケージ中間貯蔵部13の方向に移動させる。綾巻きパッケージ11の移動に対して時間的に合わせて、さらに操作装置の構成エレメント12Bが矢印Sの方向に旋回する。
【0051】
例えばテレスコープ式に形成された、操作装置の構成エレメント12Bは、この場合、綾巻きパッケージ11が綾巻きパッケージ中間貯蔵部13を通過して直ちに機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21に引き渡されるように働く。
【0052】
図3に示した状況では、作業部2の運転中に、サービスユニット23は、その操作装置の構成エレメント12Bを用いて、サービスユニット23が早期の時点で綾巻きパッケージ中間貯蔵部13に置いた綾巻きパッケージ11を、綾巻きパッケージ中間貯蔵部13から機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21に引き渡す。すなわち該当する作業部2では、作業部固有の綾巻きパッケージ中間貯蔵部13が空の時点において巻返しが行われる。
【0053】
そして明らかなように、そのために操作装置の構成エレメント12Bは、このような場合に矢印Sの方向に旋回し、綾巻きパッケージ11を、停止エレメント15を越えて機械長さの綾巻きパッケージ搬送装置21へと搬送する。
【0054】
さらに付言すると、綾巻きパッケージ交換装置の図示の実施形態、特に本発明に係る操作装置の構成形態は、単に、1つの可能な実施形態を示しているだけである。すなわち本発明の枠内において、本発明の思想を逸脱することなしに、様々なその他の実施形態が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 繊維機械、自動綾巻きワインダ、 2 作業部、 3 コップ・巻管搬送システム、 4 コップ供給区間、 5 貯え区間、 6 横搬送区間、 7 空管戻し区間、 8 搬送皿、 9 紡績コップ、 10 繰出し部、 11 完成した綾巻きパッケージ、 13 綾巻きパッケージ中間貯蔵部、 14 底板、 15 停止エレメント、 18 パッケージフレーム、 21 綾巻きパッケージ搬送装置、 22 空管マガジン、 23 サービスユニット、綾巻きパッケージ交換装置、 24,25 走行機構、 26,27 走路、 28 綾巻きパッケージ空管、 34 空管、 37 中央制御ユニット、 39 作業部計算機、 40 機械バス
図1
図2
図3