【実施例】
【0012】
本発明は、スラブ10を小範囲のブロックに分けて、順次解体してゆく方法である。
以下、最初に解体する範囲を「先行解体部11」と称し、それに隣接して続く解体範囲を「隣接解体部12」と称する。
【0013】
図1に示すように、まず、スラブ10の下面に収容具20を取り付ける。
収容具20は先行して解体する先行解体部11を覆うように取り付ける。
収容具20の平面視した投影面積は、先行解体部11の予定範囲より広い寸法のもので構成する。
収容具20は鋼製の板(鋼板)であり、その鋼板の周囲に、スラブ10下面と取り付けるための取付縁21を備えている。
収容具20は、後述するように、解体したスラブ10の破片を受ける場合には、解体範囲の破砕片の重量や落下の衝撃に耐え得る強度を持たせておく必要がある。
収容具20のサイズは、スラブ10下面への取り付けに際して、作業員が簡単に扱える重量によって決定すればよい。
【0014】
収容具20をスラブ10の下面に取り付ける作業は、解体予定範囲の外周に、取付縁21の下面からスラブ10に打ち込んだアンカーボルト22によって行う。
この作業のためには、スラブ10の下面に作業員の手が届く足場を要する。しかし、重量物を搭載するものではないから、簡単な移動式足場を利用して短時間で処理できる。
【0015】
図2に示すように、先行解体部11の下面に収容具20を取り付けたら、スラブ10に上面から外力を与えて解体する。
この場合、スラブ10の上面から外力を与えて解体する方法として、コアマシン30を用いた、水を使わない乾式コア削孔方法あるいは水を使う湿式コア削孔方法など、公知の削孔方法から適宜選択することができる。
この各削孔方法では、円柱状の穴が開口できるのみだが、その円柱穴をラップさせたり、円柱穴の間をワイヤーソーで切断したりすることで、広いブロックに分けてスラブを解体することができる。
水を使わない乾式コア削孔方法を採用すれば、スラブ10の下を通過する通行人へ漏水が滴下するといった不都合の発生がないが、状況によっては削孔効率の高い湿式コア削孔方法を採用することもできる。
【0016】
先行解体部11の下には、その範囲よりも投影面積の広い収容具20を取り付けてあるから、解体に際して発生した破砕片などはスラブ10下の通路に落下することがなく、収容具20で受けて収容することができる。
【0017】
多数本の円柱穴を連続して削孔した場合に、先行解体部11の周囲を切断して縁切りすると、大きなブロックが切り出される場合もある。
そのような場合には、事前にブロックの中央付近にワイヤを取り付けておき、そのワイヤを上空に配置した架台などに取り付けておく。
すると周囲と縁が切れたブロックが収容具内に落下することなく、中吊りにした後に横方向へ取り除いたり、収容具20内へ緩やかに吊り降ろしたりすることができる。
【0018】
先行解体部11の解体が終わると、収容具20の中に収容した破砕片に上から手が届く状態となる。
この破砕片をスラブ10の上からの手作業などで除去すると、穴開きの状態となった先行解体部11の解体が完了する。
【0019】
次に、
図3に示すように、先行解体部11が解体された空間(開放空間40)を跨ぐように、仮設梁50をスラブ10上に架け渡して設置する。
したがって、仮設梁50の長さは、先行解体部11の解体長よりも長い部材を採用する。
この仮設梁50として市販のH鋼を利用することができる。
【0020】
次に、
図4に示すように、先行解体部11に隣接する、隣接解体部12の下に収容具20を取り付ける。
その場合に、収容具20の一方の取付縁21は、仮設梁50にアンカーボルト22などを利用して取り付ける。
収容具20の他方の取付縁21は、隣接解体部12の範囲外の下面からスラブ10に打ち込むアンカーボルト22によって取り付ける。
この取付作業の際には、スラブ10の下面に作業員の手が届く足場が必要となるが、前記したように簡単な移動式足場を利用して夜間の短時間で処理することができる。
【0021】
こうして、隣接解体部12の下面に収容具20を取り付けたら、スラブ10に上面から外力を与えて解体する。
この場合に、スラブ10上面から外力を与えて解体する方法として、水を使わない、乾式コア削孔方法を採用することができるのは前述の通りである。
解体片は隣接解体部12の下面に取り付けた収容具20で受けて収容することができ、収容した解体片を除去して、隣接解体部12の解体を完了する。
以上説明した、隣接解体部12に対する作業を繰り返すことで、広い範囲のスラブ10の解体を連続して行うことができる。
【0022】
これらの解体作業を中断する際には、収容具20はそのままスラブ10の下面に取り付けたままとしておく。
よって、スラブ10の解体作業の中断期間には、収容具20による養生を維持しつつ、収容具20下方の空間をできる限り開放した状態を維持することができる。
また、作業を再開する際には、すぐに解体作業を開始することができる。
よって、解体作業を断続的に行わなければならない現場であっても、その都度、架台の設置作業と撤去作業を行う必要が無いため、スラブ10の解体作業に多くの時間を割り当てることができ、作業効率の向上が期待できる。