(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
たとえば、自動車などの車両のシート(座席)には、車室内の装飾効果を高める目的やシートの汚れおよび損傷などを防止する目的で、シートカバーが装着されることがある。このシートカバーとしては、種々のものが市場に提供されているが、大別すると、類似した形状のシートに装着可能に設計された汎用タイプと、個々のシートの形状に合わせて設計された専用タイプとがある。
【0003】
図6は、従来の汎用タイプの一例に係るシートカバー101の構成を示す斜視図である。
【0004】
このシートカバー101は、シートクッション102に装着されるシートクッションカバー103と、シートバック104に装着されるシートバックカバー105とを含む。
【0005】
シートクッションカバー103は、シートクッション102にその上方から覆い被されて、シートクッション102の座面106ならびに前側および左右両側の側面107を覆う。シートクッションカバー103の下端には、前後左右の4箇所に、それぞれ固定用の紐108が設けられている。シートクッションカバー103がシートクッション102に覆い被された後、左右各側において、前後の紐108が引き締められて、互いに結び合わされることにより、シートクッションカバー103のシートクッション102への装着が完了する。
【0006】
シートバックカバー105は、シートバック104にその上方から覆い被されて、シートバック104の前面109、後面(背面)110および左右両側の側面111を覆う。シートバックカバー105の下端には、前後左右の4箇所に、それぞれ固定用の紐112が設けられている。シートバックカバー105がシートバック104に覆い被された後、左右各側において、前後の紐112が引き締められて、互いに結び合わされることにより、シートバックカバー105のシートバック104への装着が完了する。
【0007】
図7は、従来の専用タイプの一例に係るシートカバー121の構成を示す斜視図である。
【0008】
このシートカバー121は、シートクッション122に装着されるシートクッションカバー123と、シートバック124に装着されるシートバックカバー125とを含む。
【0009】
シートクッション122の座面126の周囲には、座面126の前端縁および左右両側の端縁に沿って、線ファスナ127のストリンガ(多数のエレメント(務歯)の列が設けられたテープ)128が設けられている。これに対応して、シートクッションカバー123は、座面126と相似形状に形成され、シートクッションカバー123の前端縁および左右両側の端縁には、ストリンガ128と対をなすストリンガ129が設けられている。また、シートクッション122の座面126には、周囲より一段凹んだ凹部130が形成されており、その凹部130の周縁部には、面ファスナ131が設けられている。これに対応して、シートクッションカバー123の裏面(下面)には、面ファスナ131と同一形状の面ファスナ132が設けられている。
【0010】
シートクッションカバー123がシートクッション122に装着される際には、シートクッション122の面ファスナ131にシートクッションカバー123の面ファスナ132が位置合わせされて、面ファスナ131,132が接合される。そして、線ファスナ127のスライダ133がスライドされて、線ファスナ127のストリンガ128,129が綴じ合わされることにより、シートクッションカバー123のシートクッション122への装着が完了する。
【0011】
シートバック124の前面134の周囲には、前面134の左右両側の端縁に沿って、線ファスナ135のストリンガ136が設けられている。これに対応して、シートバックカバー125は、前面134と相似形状に形成され、シートバックカバー125の左右両側の端縁には、ストリンガ136と対をなすストリンガ137が設けられている。また、シートバック124の前面134には、周囲より一段凹んだ凹部138が形成されており、その凹部138の周縁部には、面ファスナ139が設けられている。これに対応して、シートバックカバー125の裏面(下面)には、面ファスナ139と同一形状の面ファスナ140が設けられている。
【0012】
シートバックカバー125がシートバック124に装着される際には、シートバック124の面ファスナ139にシートバックカバー125の面ファスナ140が位置合わせされて、面ファスナ139,140が結合される。そして、線ファスナ135のスライダ143がスライドされて、線ファスナ135のストリンガ136,137が綴じ合わされることにより、シートバックカバー125のシートバック124への装着が完了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、従来の汎用タイプのシートカバー101および専用タイプのシートカバー121には、それぞれ一長一短がある。
【0015】
汎用タイプのシートカバー101では、シートクッションカバー103およびシートバックカバー105をそれぞれシートクッション102およびシートバック104に比較的容易に装着することができる。
【0016】
しかしながら、シートクッションカバー103およびシートバックカバー105がそれぞれシートクッション102の座面106およびシートバック104の前面109の凹凸形状に追従しないため、シートクッションカバー103およびシートバックカバー105がそれぞれシートクッション102の座面106およびシートバック104の前面109の凹んだ部分で浮き上がり、シートカバー101(シートクッションカバー103およびシートバックカバー105)の見栄えが悪いという問題がある。また、シートクッションカバー103およびシートバックカバー105がそれぞれシートクッション102およびシートバック104に対して固定されていないので、乗員の着座時、着座中あるいは降車時などの動きに伴って、シートクッションカバー103およびシートバックカバー105の位置ずれが発生し、シートカバー101の見栄えが悪くなる。この位置ずれを生じないためには、乗員が位置ずれに気をつけて動かなければならず、シートカバー101の使用性が悪い。
【0017】
専用タイプのシートカバー121では、シートクッション122の面ファスナ131とシートクッションカバー123の面ファスナ132とを結合させ、シートバック124の面ファスナ139とシートバックカバー125の面ファスナ140とを結合させることにより、シートクッションカバー123およびシートバックカバー125をそれぞれシートクッション122の座面126およびシートバック124の前面134の凹凸形状に追従させることができる。また、面ファスナ131,132および面ファスナ139,140の強い結合力により、シートクッションカバー123およびシートバックカバー125の位置ずれの発生を防止することができる。
【0018】
しかしながら、シートクッションカバー123がシートクッション122に装着される際に、面ファスナ131,132が正確に位置合わせされないと、シートクッションカバー123に皺や弛みが発生し、また場合によっては、線ファスナ127のストリンガ128,129を綴じ合わせることができなくなる。これらの場合、面ファスナ131,132を位置合わせし直す必要が生じるが、面ファスナ131,132の結合力が強いため、面ファスナ131,132を分離させるのに手間がかかる。その結果、シートクッションカバー123の着脱に手間および時間を要してしまう。シートバックカバー125についても、シートクッションカバー123と同様の問題を有している。
【0019】
本発明の目的は、シートに装着された状態における見栄えおよび使用性に優れ、かつ、シートに対して容易に着脱させることができる、シートカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成するため、本発明に係るシートカバーは、シートに対して着脱可能なシートカバーであって、袋状に形成され、シートの端部に冠着される袋状部と、袋状部から袋状部の開放方向に延びる帯状に形成され、シートの表面に配置される帯状部と、帯状部の裏面に設けられ、シートの表面に係着される係着部材とを含む。
【0021】
この構成によれば、袋状部がシートの端部に冠着され、帯状部がシートの表面に配置されて、帯状部の裏面に設けられた係着部材がシートの表面に係着されることにより、シートカバーがシートに装着される。
【0022】
袋状部がシートの端部に冠着されると、袋状部がシートに対して位置決めされるので、その位置決めされた状態で、帯状部をシートの表面に配置することができる。そのため、帯状部がシートの表面における正しい装着位置からずれて配置されることを抑制でき、帯状部をその正しい装着位置に容易に配置することができる。その結果、シートに皺や弛みが発生することを抑制でき、シートを装着し直す手間を省くことができる。
【0023】
また、シートカバーがシートに装着された状態において、帯状部の裏面に設けられた係着部材がシートの表面に係着されることにより、帯状部がシートの表面から浮き上がることを防止でき、シートカバーの見栄えを良くすることができる。
【0024】
しかも、袋状部については、その内側にシートの端部が収容されることにより、乗員の着座時、着座中あるいは降車時などの動きに伴う位置ずれの発生が抑制され、帯状部については、係着部材がシートの表面に係着されることにより、その位置ずれの発生が抑制される。そのため、シートカバーの位置ずれによる見栄えの悪化を抑制できる。また、乗員がシートカバーの位置ずれに気を遣わずに動くことができ、シートカバーの使用性を向上させることができる。
【0025】
よって、本発明に係るシートカバーは、シートに装着された状態における見栄えおよび使用性に優れ、かつ、シートに対して容易に着脱させることができる。
【0026】
係着部材は、帯状部の裏面から袋状部の内面まで延設されていてもよいが、帯状部の裏面のみに設けられていることが好ましい。
【0027】
係着部材が帯状部の裏面のみに設けられた構成では、袋状部をシートの端部に対して着脱させるときに、係着部材がシートの表面に係着しないので、袋状部をスムーズに着脱させることができる。よって、シートカバーをシートに対して一層容易に着脱させることができる。
【0028】
また、シートの端部の表面が相対的に凸となり、当該端部に連続する部分の表面が相対的に凹となる形状に形成されている場合、係着部材は、シートの表面における相対的に凹となる部分に係着されるように設けられていることが好ましい。
【0029】
係着部材がシートの表面の相対的に凹となる部分に係着されることにより、シートカバーの帯状部がシートの表面から浮き上がることを抑制できる。その結果、シートの表面が凹凸を有する形状に形成されていても、シートカバーをその凹凸に追従させることができ、シートカバーの見栄えをより良くすることができる。
【0030】
係着部材は、シートの表面に係着された状態でシートの表面に沿う方向の力に対して所定の強度を発揮する材料からなる部材であれば、面ファスナであってもよいが、面ファスナよりもシートの表面から剥がしやすい材料(剥離性に優れた材料、たとえば、特許第5051563号公報に記載の「面ファスナー機能性布帛」)からなる部材であってもよい。
【0031】
係着部材が剥離性に優れた材料からなる場合、シートカバーをシートから容易に離脱させることができるので、その離脱に要する時間を短縮することができ、ひいては、シートに対するシートカバーの着脱性を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るシートカバーは、シートに装着された状態における見栄えおよび使用性に優れ、かつ、シートに対して容易に着脱させることができる。そのため、シートカバーに耐水、防寒、防暑などの機能を付与することにより、シートカバーのバリエーションを展開すれば、使用者が気安く、シートカバーを自らの要望に応じたシートカバーに着せ替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図1および
図2は、本発明の一実施形態に係るシートカバー1およびそのシートカバー1が装着されるシートSの構成を示す斜視図である。
【0037】
シートSは、たとえば、自動車の運転席または助手席として用いられるシートであり、乗員が着座するシートクッション11と、乗員の背中を支えるシートバック12と、乗員の頭部を支えるヘッドレスト13とを含む。
【0038】
シートクッション11は、たとえば、インサートワイヤと一体に発泡成形されたパッド(クッション材)をシートトリムで被覆した構成を有している。シートクッション11は、着座した乗員の臀部を支持する主部14と、主部14の前側に設けられ、着座した乗員の大腿部を支持する前部15と、主部14および前部15の左右両側に設けられ、着座した乗員の臀部および大腿部を側方から支持するサイドサポート部16とを備えている。主部14の上面は、前部15およびサイドサポート部16の各上面に対して凹んでいる。これにより、座面となるシートクッション11の上面は、主部14の上面が相対的に凹となり、前部15およびサイドサポート部16の各上面が相対的に凸となる凹凸形状を有している。
【0039】
シートバック12は、シートクッション11と同様に、たとえば、インサートワイヤと一体に発泡成形されたパッドをシートトリムで被覆した構成を有している。シートバック12は、着座した乗員の腰部を支持する主部17と、主部17の上側に設けられ、着座した乗員の肩部を支持する上部18と、主部17および上部18の左右両側に設けられ、着座した乗員の背部を側方から支持するサイドサポート部19とを備えている。主部17の前面は、上部18およびサイドサポート部19の各前面に対して凹んでいる。これにより、シートバック12の前面は、主部17の前面が相対的に凹となり、上部18およびサイドサポート部19の各前面が相対的に凸となる凹凸形状を有している。
【0040】
ヘッドレスト13は、ヘッドレスト本体20と、ヘッドレスト本体20と一体に設けられたヘッドレストステー(図示せず)とを備えている。ヘッドレストステーは、金属製の棒状部材を略コ字状に屈曲させた形状を有し、その両端部がヘッドレスト本体20の下面から突出している。ヘッドレスト13は、ヘッドレストステーの両端部がシートバック12の上面に形成されたステー挿入孔(図示せず)に挿入されて、シートバック12に対して上下動可能に支持されている。
【0042】
シートカバー1は、シートSの専用品として設計されている。シートカバー1は、シートクッション11に装着されるシートクッションカバー31と、シートバック12に装着されるシートバックカバー32と、ヘッドレスト13に装着されるヘッドレストカバー33とに分割して構成されている。
【0043】
シートクッションカバー31は、布製であり、袋状部41、帯状部42、側部43および延部44を一体的に備えている。
【0044】
袋状部41は、シートクッション11の前端部に対応した形状の袋状に形成されている。具体的には、シートクッション11の前端部には、前部15と、左右両側のサイドサポート部16における前部15の側方に位置する部分45(以下、「サイドサポート前端部45」という。)とが含まれる。袋状部41は、前部15の上面および各サイドサポート前端部45の上面の形状に対応した形状を有する上面部46と、上面部46の前端縁から下方に延び、前部15の上面および各サイドサポート前端部45の前面の形状に対応した形状を有する前面部47と、前面部47の下端縁から後方に延び、前部15の下面および各サイドサポート前端部45の下面(裏面)の形状に対応した形状を有する下面部48と、上面部46、前面部47および下面部48に囲まれる空間を閉塞するように、上面部46、前面部47および下面部48の各端縁間に架設され、各サイドサポート前端部45の側面の形状に対応した形状を有する側面部49とを一体的に有する袋状に形成されている。
【0045】
帯状部42は、袋状部41の上面部46の後端縁から袋状部41の開放方向、つまり後方に延びる帯状に形成されている。具体的には、帯状部42は、シートクッション11の主部14の上面に対応した形状を有する中央部50と、中央部50の左側および右側にそれぞれ設けられ、シートクッション11のサイドサポート部16におけるサイドサポート前端部45以外の部分の上面に対応した形状を有する側端部51とを一体的に有する帯状に形成されている。
【0046】
側部43は、シートクッションカバー31の左端および右端のそれぞれにおいて、袋状部41の側面部49と帯状部42の側端部51の左右方向の端縁とに架設され、側面視略三角形状に形成されている。
【0047】
延部44は、帯状部42の中央部50の後端縁から後方に延出する帯状に形成されている。延部44の延出方向の寸法は、たとえば、シートバック12の前後方向の厚さとほぼ同じ長さに設定されている。延部44の後端部には、抜け止め部52が縫いつけられている。抜け止め部52は、たとえば、左右方向に延部44と同じ幅で細長く延びる布をその長辺を合わせるように折り返して、その合わせた部分を延部44に縫いつけることにより形成されている。
【0048】
そして、帯状部42の中央部50の裏面には、その全域を覆うように、係着部材53が設けられている。係着部材53は、シートクッション11のシートトリムに係着可能な材料であって、そのシートトリムに係着された状態でその表面に沿う方向の力に対して所定の強度を発揮する材料からなる。シートクッション11のシートトリムの材料としては、たとえば、トリコット、モケットのような起毛材などを挙げることができる。係着部材53の材料の一例としては、特許第5051563号公報に記載の「面ファスナー機能性布帛」を挙げることができ、その材料からなる係着部材53は、面ファスナよりもシートクッション11のシートトリムから剥がしやすい(剥離性に優れている)。
【0049】
また、側部43の内側の面には、シートクッション11のシートトリムに係着可能な面ファスナ54が設けられている。
【0050】
シートバックカバー32は、布製であり、袋状部61、帯状部62、側部63および延部64を一体的に備えている。
【0051】
袋状部61は、シートバック12の上端部に対応した形状の袋状に形成されている。具体的には、シートバック12の上端部には、上部18と、左右両側のサイドサポート部19における上部18の側方に位置する部分65(以下、「サイドサポート上端部65」という。)とが含まれる。袋状部61は、上部18の前面および各サイドサポート上端部65の前面の形状に対応した形状を有する前面部66と、前面部66の上端縁から後方に延び、上部18の上面および各サイドサポート上端部65の上面の形状に対応した形状を有する上面部67と、上面部67の後端縁から下方に延び、上部18の後面(背面)および各サイドサポート上端部65の後面の形状に対応した形状を有する後面部68と、前面部66、上面部67および後面部68に囲まれる空間を閉塞するように、前面部66、上面部67および後面部68の各端縁間に架設され、各サイドサポート上端部65の側面の形状に対応した形状を有する側面部69とを一体的に有する袋状に形成されている。
【0052】
帯状部62は、袋状部61の前面部66の下端縁から袋状部61の開放方向、つまり下方に延びる帯状に形成されている。具体的には、帯状部62は、シートバック12の主部17の前面に対応した形状を有する中央部70と、中央部70の左側および右側にそれぞれ設けられ、シートバック12のサイドサポート部19におけるサイドサポート上端部65以外の部分の前面に対応した形状を有する側端部71とを一体的に有する帯状に形成されている。
【0053】
側部63は、シートバックカバー32の左端および右端のそれぞれにおいて、袋状部61の側面部69と帯状部62の側端部71の左右方向の端縁とに架設され、側面視略三角形状に形成されている。側部63には、その後端縁部に沿って、筒状部72が設けられている。筒状部72は、たとえば、側部63を折り返して重ね合わせ、その重ね合わせた部分を縫い合わせることにより形成されている。筒状部72の内部には、側部63の後端縁部に張力を付与するための紐状部材(図示せず)が挿通されている。
【0054】
延部64は、帯状部62の中央部70の下端縁から下方に延出する帯状に形成されている。延部64の延出方向の寸法は、たとえば、シートバック12の前後方向の厚さとほぼ同じ長さに設定されている。延部64の後端部には、抜け止め部73が縫いつけられている。抜け止め部73は、たとえば、左右方向に延部64と同じ幅で細長く延びる布をその長辺を合わせるように折り返して、その合わせた部分を延部64に縫いつけることにより形成されている。
【0055】
そして、帯状部62の中央部70の裏面には、その全域を覆うように、係着部材74が設けられている。シートバック12のシートトリムは、シートクッション11のシートトリムと同一材料からなる。係着部材74は、たとえば、シートクッションカバー31に設けられた係着部材53と同一材料からなる。
【0056】
ヘッドレストカバー33は、布製であり、袋状部81および固定部82,83を一体的に備えている。
【0057】
袋状部81は、ヘッドレスト13の外形に対応する形状を有し、下方に開放された袋状に形成されている。
【0058】
固定部82,83は、それぞれ袋状部81の前下端縁および後下端縁の中央部から延設された帯状に形成されている。固定部82の内側の面および固定部83の外側の面には、それぞれ面ファスナ84,85が設けられている。
【0060】
図3は、
図2に示される切断面線A−Aにおけるシートクッション11およびシートクッションカバー31の断面図である。
【0061】
図1および
図2を参照して、シートクッションカバー31がシートクッション11に装着される際には、まず、シートクッションカバー31の袋状部41がシートクッション11の前端部(前部15および左右両側のサイドサポート前端部45)に前側から冠着される。袋状部41がシートクッション11の前端部に対応した形状に形成されているので、袋状部41がシートクッション11の前端部に冠着されると、袋状部41の上面部46、前面部47、下面部48および側面部49がそれぞれシートクッション11の前端部の上面、前面、下面および側面に密着する。これにより、袋状部41は、シートクッション11に対して位置決めされる。
【0062】
次いで、帯状部42が後方に延ばされて、シートクッション11の上面に配置される。また、各側部43がシートクッション11の左右方向の外側に配置される。さらに、延部44がシートクッション11とシートバック12との間に差し込まれて、抜け止め部52がシートクッション11の後側に配置される。そして、帯状部42の中央部50がシートクッション11の主部14に押し付けられる。これにより、
図3に示されるように、中央部50の裏面に設けられた係着部材53が主部14の上面に係着される。また、主部14の上面が相対的に凹んでいるので、中央部50が主部14に押し付けられると、延部44が前方に引かれて、抜け止め部52がシートクッション11に係止する。その後、各側部43がシートクッションのサイドサポート部16に押し付けられて、各側部43の内側の面に設けられた面ファスナ54がサイドサポート部16の側面に係着されると、シートクッションカバー31のシートクッション11への装着が完了する。
【0063】
シートバックカバー32は、ヘッドレスト13がシートバック12から取り外された状態で、シートバック12に装着される。
図1および
図2を参照して、シートバックカバー32がシートバック12に装着される際には、まず、シートバックカバー32の袋状部61がシートバック12の上端部(上部18および左右両側のサイドサポート上端部65)に上側から冠着される。袋状部61がシートバック12の上端部に対応した形状に形成されているので、袋状部61がシートバック12の上端部に冠着されると、袋状部61の前面部66、上面部67、後面部68および側面部69がそれぞれシートバック12の上端部の前面、上面、後面および側面に密着する。これにより、袋状部61は、シートバック12に対して位置決めされる。
【0064】
次いで、帯状部62が後方に延ばされて、シートバック12の前面に配置される。また、各側部63がシートバック12の左右方向の外側に配置される。さらに、延部64がシートクッション11とシートバック12との間に差し込まれて、抜け止め部73がシートバック12の後側に配置される。そして、帯状部62の中央部70がシートバック12の主部17に押し付けられる。これにより、中央部70の裏面に設けられた係着部材74が主部17の前面に係着される。また、主部17の前面が相対的に凹んでいるので、中央部70が主部17に押し付けられると、延部64が前方に引かれて、抜け止め部73がシートバック12に係止する。以上により、シートバックカバー32のシートバック12への装着が完了する。
【0065】
シートバックカバー32がシートバック12に装着された後、ヘッドレスト13がシートバック12に取り付けられる。シートバックカバー32の袋状部61の上面部67には、ステー挿通口86が形成されており、ヘッドレスト13のヘッドレストステーは、ステー挿通口86を通して、シートバック12の上面に形成されたステー挿入孔(図示せず)に挿入される。ステー挿通口86にヘッドレストステーが挿通されることにより、シートバックカバー32の前後方向の位置ずれを抑制することができる。
【0066】
ヘッドレストカバー33がヘッドレスト13に装着される際には、まず、ヘッドレストカバー33の袋状部81がヘッドレスト13に上側から冠着される。袋状部81がヘッドレスト13の外形に対応した形状に形成されているので、袋状部81がヘッドレスト13に冠着されると、袋状部81がヘッドレスト13の下面以外の面に密着する。
【0067】
次いで、後側の固定部83がヘッドレスト13の下側に配置される。そして、前側の固定部82が固定部83の下側に配置されて、固定部82に設けられた面ファスナ84が固定部83に設けられた面ファスナ85に係着されると、ヘッドレストカバー33のヘッドレスト13への装着が完了する。
【0069】
以上のように、シートクッションカバー31の袋状部41がシートクッション11の前端部に冠着され、帯状部42がシートクッション11の上面に配置されて、帯状部42の裏面に設けられた係着部材53がシートクッション11の主部14の上面に係着されることにより、シートクッションカバー31がシートクッション11に装着される。
【0070】
袋状部41がシートクッション11の前端部に冠着されると、袋状部41がシートクッション11に対して位置決めされるので、その位置決めされた状態で、帯状部42をシートクッション11の上面に配置することができる。そのため、帯状部42がシートクッション11の上面における正しい装着位置(帯状部42の中央部50が主部14の上面に配置される位置)からずれて配置されることを抑制でき、帯状部42をその正しい装着位置に容易に配置することができる。その結果、シートクッション11に皺や弛みが発生することを抑制でき、シートクッション11を装着し直す手間を省くことができる。
【0071】
また、シートクッションカバー31がシートクッション11に装着された状態において、帯状部42(この実施形態では、中央部50)の裏面に設けられた係着部材53がシートクッション11の上面に係着されることにより、帯状部42(特に中央部50)がシートクッション11の上面から浮き上がることを防止でき、シートクッションカバー31の見栄えを良くすることができる。
【0072】
しかも、袋状部41については、その内側にシートクッション11の前端部が収容されることにより、乗員の着座時、着座中あるいは降車時などの動きに伴う位置ずれの発生が抑制され、帯状部42(特に中央部50)については、係着部材53がシートクッション11の上面に係着されることにより、その位置ずれの発生が抑制される。そのため、シートクッションカバー31の位置ずれによる見栄えの悪化を抑制できる。また、乗員がシートクッションカバー31の位置ずれに気を遣わずに動くことができ、シートクッションカバー31の使用性を向上させることができる。
【0073】
また、係着部材53が帯状部42(この実施形態では、中央部50)の裏面のみに設けられているので、袋状部41をシートクッション11の前端部に対して着脱させるときに、係着部材53がシートクッション11の上面に係着しない。そのため、袋状部41をスムーズに着脱させることができる。また、係着部材53のサイズが必要最小限でよいので、コストを抑えることもできる。
【0074】
さらに、シートクッション11の主部14の上面が相対的に凹んでおり、係着部材53がその主部14の上面に係着されることにより、シートクッションカバー31の帯状部42(特に中央部50)がシートクッション11の上面から浮き上がることを効果的に抑制できる。その結果、シートクッションカバー31をシートクッション11の上面の凹凸に追従させることができ、シートクッションカバー31の見栄えをより良くすることができる。
【0075】
よって、シートクッションカバー31は、シートクッション11に装着された状態における見栄えおよび使用性に優れ、かつ、シートクッション11に対して容易に着脱させることができる。
【0076】
また、係着部材53が面ファスナよりもシートクッション11の上面から剥がしやすい材料からなる場合、シートクッションカバー31をシートクッション11から容易に離脱させることができるので、その離脱に要する時間を短縮することができる。よって、シートクッション11に対するシートクッションカバー31の着脱性を一層向上させることができる。
【0077】
シートバックカバー32についても、シートクッションカバー31と同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
図4は、他の実施形態に係るヘッドレストカバー91の構成を示す斜視図である。
【0080】
ヘッドレストカバー91は、布製であり、袋状部92および固定部93,94を一体的に備えている。
【0081】
袋状部92は、ヘッドレスト13(
図1参照)の外形に対応する形状を有し、下方に開放された袋状に形成されている。
【0082】
固定部93は、袋状部92の前下端縁の中央部から延設された帯状に形成されている。固定部93の内側の面には、係着部材95が設けられている。固定部94は、それぞれ袋状部92の後下端縁の左端部および右端部からそれぞれ延設された帯状に形成されている。各固定部94の内側の面には、係着部材96が設けられている。係着部材95,96は、たとえば、シートクッションカバー31に設けられた係着部材53(
図1参照)と同一材料からなる。
【0083】
ヘッドレストカバー91がヘッドレスト13に装着される際には、まず、ヘッドレストカバー91の袋状部92がヘッドレスト13に上側から冠着される。袋状部92がヘッドレスト13の外形に対応した形状に形成されているので、袋状部92がヘッドレスト13に冠着されると、袋状部92がヘッドレスト13の下面以外の面に密着する。
【0084】
次いで、固定部93がヘッドレスト13の下面から突出するヘッドレストステーの間に配置され、係着部材95がヘッドレスト13の下面に係着される。また、左右の固定部94がそれぞれヘッドレストステーの外側に配置され、各係着部材96がヘッドレスト13の下面に貼着される。以上により、ヘッドレストカバー91のヘッドレスト13への装着が完了する。
【0085】
この構成によれば、係着部材95,96が面ファスナよりもヘッドレスト13の下面から剥がしやすい材料からなる場合、ヘッドレストカバー91をヘッドレスト13から離脱させる際の手間を軽減することができ、また、その離脱に要する時間を短縮することができる。よって、ヘッドレスト13に対するヘッドレストカバー91の着脱性を向上させることができる。
【0087】
図5は、参考例に係るシートカバー201およびそのシートカバー201が装着されるシートSの構成を示す斜視図である。
【0088】
なお、
図5に示されるシートSは、
図1に示されるシートSと同一の構成を有するので、
図5に示されるシートSの各部には、
図1に示されるシートSの各部と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0089】
シートカバー201は、シートSの専用品として設計されている。シートカバー201は、シートクッション11に装着されるシートクッションカバー211と、シートバック12に装着されるシートバックカバー212と、ヘッドレスト13に装着されるヘッドレストカバー213とに分割して構成されている。
【0090】
シートクッションカバー211は、布製であり、挟持部221、帯状部222および延部223を一体的に備えている。
【0091】
挟持部221は、シートクッション11の前部15に対応した形状に形成されている。具体的には、挟持部221は、前部15の上面の形状に対応した形状を有する上面部224と、上面部224の前端縁から下方に延び、前部15の上面の形状に対応した形状を有する前面部225と、前面部225の下端縁から後方に延び、前部15の下面(裏面)の形状に対応した形状を有する下面部226とを一体的に有する形状に形成されている。
【0092】
帯状部222は、挟持部221の上面部224の後端縁から後方に延びる帯状であって、シートクッション11の主部14の上面に対応した形状に形成されている。
【0093】
延部223は、帯状部222の後端縁から後方に延出する帯状に形成されている。延部223の延出方向の寸法は、たとえば、シートバック12の前後方向の厚さとほぼ同じ長さに設定されている。延部223の後端部には、抜け止め部227が縫いつけられている。抜け止め部227は、たとえば、左右方向に延部223と同じ幅で細長く延びる布をその長辺を合わせるように折り返して、その合わせた部分を延部223に縫いつけることにより形成されている。
【0094】
そして、帯状部222の裏面には、その全域を覆うように、係着部材228が設けられている。係着部材228は、シートクッション11のシートトリムに係着可能な材料であって、そのシートトリムに係着された状態でその表面に沿う方向の力に対して所定の強度を発揮する材料からなる。シートクッション11のシートトリムの材料としては、たとえば、トリコット、モケットのような起毛材などを挙げることができる。係着部材228の材料の一例としては、特許第5051563号公報に記載の「面ファスナー機能性布帛」を挙げることができ、その材料からなる係着部材228は、面ファスナよりもシートクッション11のシートトリムから剥がしやすい(剥離性に優れている)。
【0095】
シートバックカバー212は、布製であり、挟持部231、帯状部232および延部233を一体的に備えている。
【0096】
挟持部231は、シートバック12の上部18に対応した形状に形成されている。具体的には、挟持部231は、上部18の前面の形状に対応した形状を有する前面部235と、前面部235の上端縁から後方に延び、上部18の上面の形状に対応した形状を有する上面部236と、上面部236の後端縁から下方に延び、上部18の後面(背面)の形状に対応した形状を有する後面部237とを一体的に有する形状に形成されている。
【0097】
帯状部232は、挟持部231の前面部235の下端縁から下方に延びる帯状であって、シートバック12の主部17の前面に対応した形状に形成されている。
【0098】
延部233は、帯状部232の下端縁から下方に延出する帯状に形成されている。延部233の延出方向の寸法は、たとえば、シートバック12の前後方向の厚さとほぼ同じ長さに設定されている。延部233の後端部には、抜け止め部238が縫いつけられている。抜け止め部238は、たとえば、左右方向に延部233と同じ幅で細長く延びる布をその長辺を合わせるように折り返して、その合わせた部分を延部233に縫いつけることにより形成されている。
【0099】
そして、帯状部232の裏面には、その全域を覆うように、係着部材239が設けられている。シートバック12のシートトリムは、シートクッション11のシートトリムと同一材料からなる。係着部材239は、たとえば、シートクッションカバー211に設けられた係着部材228と同一材料からなる。
【0100】
ヘッドレストカバー213は、布製であり、ヘッドレスト13(ヘッドレスト本体20)の前面および後面に跨がって巻着可能な帯状に形成されている。ヘッドレストカバー213の一方面には、その長手方向の両端部に、それぞれ係着部材240が設けられている。
【0102】
シートクッションカバー211がシートクッション11に装着される際には、まず、シートクッションカバー211の挟持部221がシートクッション11の前部15に、その前側から前部15を挟み込むように取り付けられる。挟持部221がシートクッション11の前部15に対応した形状に形成されているので、挟持部221が前部15に取り付けられると、挟持部221の上面部224、前面部225および下面部226がそれぞれ前部15の上面、前面および下面に密着し、前部15が挟持部221に挟持される。これにより、挟持部221は、シートクッション11に対して位置決めされる。
【0103】
次いで、帯状部222が後方に延ばされて、シートクッション11の上面に配置される。また、延部223がシートクッション11とシートバック12との間に差し込まれて、抜け止め部227がシートクッション11の後側に配置される。そして、帯状部222がシートクッション11の主部14に押し付けられる。これにより、帯状部222の裏面に設けられた係着部材228が主部14の上面に係着される。また、主部14の上面が相対的に凹んでいるので、帯状部222が主部14に押し付けられると、延部223が前方に引かれて、抜け止め部227がシートクッション11に係止する。以上により、シートクッションカバー211のシートクッション11への装着が完了する。
【0104】
シートバックカバー212は、ヘッドレスト13がシートバック12から取り外された状態で、シートバック12に装着される。シートバックカバー212がシートバック12に装着される際には、まず、シートバックカバー212の挟持部231がシートバック12の上部18に、その上側から上部18を挟み込むように取り付けられる。挟持部231がシートバック12の上部18に対応した形状に形成されているので、挟持部231が上部18に冠着されると、挟持部231の前面部235、上面部236、後面部237および側面部69がそれぞれ上部18の前面、上面および後面に密着し、上部18が挟持部231に挟持される。これにより、挟持部231は、シートバック12に対して位置決めされる。
【0105】
次いで、帯状部232が後方に延ばされて、シートバック12の上面に配置される。また、延部233がシートクッション11とシートバック12との間に差し込まれて、抜け止め部238がシートバック12の後側に配置される。そして、帯状部232がシートバック12の主部17に押し付けられる。これにより、帯状部232の裏面に設けられた係着部材239が主部17の前面に係着される。また、主部17の前面が相対的に凹んでいるので、帯状部232が主部17に押し付けられると、延部233が前方に引かれて、抜け止め部238がシートバック12に係止する。以上により、シートバックカバー212のシートバック12への装着が完了する。
【0106】
シートバックカバー212がシートバック12に装着された後、ヘッドレスト13がシートバック12に取り付けられる。シートバックカバー212の挟持部231の上面部236には、ステー挿通口241が形成されており、ヘッドレスト13のヘッドレストステーは、ステー挿通口241を通して、シートバック12の上面に形成されたステー挿入孔(図示せず)に挿入される。ステー挿通口241にヘッドレストステーが挿通されることにより、シートバックカバー212の前後方向の位置ずれを抑制することができる。
【0107】
ヘッドレストカバー213がヘッドレスト13に装着される際には、まず、ヘッドレストカバー213の一方面(係着部材240が設けられている面)をヘッドレスト13側に向けて、ヘッドレストカバー213の長手方向の中央部がヘッドレスト13の上面に配置される。次に、ヘッドレストカバー213の一端部がヘッドレスト13の前側を経由して下側に配置され、他端部がヘッドレスト13の後側を経由して下側に配置される。そして、各係着部材240がヘッドレスト13の下面に係着されると、ヘッドレストカバー213のヘッドレスト13への装着が完了する。
【0109】
以上のように、シートクッションカバー211の挟持部221がシートクッション11の前部15に取り付けられ、帯状部222がシートクッション11の上面に配置されて、帯状部222の裏面に設けられた係着部材228がシートクッション11の主部14の上面に係着されることにより、シートクッションカバー211がシートクッション11に装着される。
【0110】
挟持部221がシートクッション11の前部15に取り付けられると、挟持部221がシートクッション11に対して位置決めされるので、その位置決めされた状態で、帯状部222をシートクッション11の上面に配置することができる。そのため、帯状部222がシートクッション11の上面における正しい装着位置、つまり主部14の上面からずれて配置されることを抑制でき、帯状部222をその正しい装着位置に容易に配置することができる。その結果、シートクッション11に皺や弛みが発生することを抑制でき、シートクッション11を装着し直す手間を省くことができる。
【0111】
また、シートクッションカバー211がシートクッション11に装着された状態において、帯状部222の裏面に設けられた係着部材228がシートクッション11の上面に係着されることにより、帯状部222がシートクッション11の上面から浮き上がることを防止でき、シートクッションカバー211の見栄えを良くすることができる。
【0112】
しかも、挟持部221については、シートクッション11の前部15にその前部15を挟持した状態に取り付けられることにより、乗員の着座時、着座中あるいは降車時などの動きに伴う位置ずれの発生が抑制され、帯状部222については、係着部材228がシートクッション11の上面に係着されることにより、その位置ずれの発生が抑制される。そのため、シートクッションカバー211の位置ずれによる見栄えの悪化を抑制できる。また、乗員がシートクッションカバー211の位置ずれに気を遣わずに動くことができ、シートクッションカバー211の使用性を向上させることができる。
【0113】
また、係着部材228が帯状部222の裏面のみに設けられているので、挟持部221をシートクッション11の前部15に対して着脱させるときに、係着部材228がシートクッション11の上面に係着しない。そのため、挟持部221をスムーズに着脱させることができる。
【0114】
さらに、シートクッション11の主部14の上面が相対的に凹んでおり、係着部材228がその主部14の上面に係着されることにより、シートクッションカバー211の帯状部222がシートクッション11の上面から浮き上がることを効果的に抑制できる。その結果、シートクッションカバー211をシートクッション11の上面の凹凸に追従させることができ、シートクッションカバー211の見栄えをより良くすることができる。
【0115】
よって、シートクッションカバー211は、シートクッション11に装着された状態における見栄えおよび使用性に優れ、かつ、シートクッション11に対して容易に着脱させることができる。
【0116】
また、係着部材228が面ファスナよりもシートクッション11の上面から剥がしやすい材料からなる場合、シートクッションカバー211をシートクッション11から容易に離脱させることができるので、その離脱に要する時間を短縮することができる。よって、シートクッション11に対するシートクッションカバー211の着脱性を一層向上させることができる。
【0117】
シートバックカバー212についても、シートクッションカバー211と同様の作用効果を奏することができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態および参考例について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0120】
たとえば、
図1に示される構成の説明において、係着部材74が係着部材53と同一材料からなるとしたが、係着部材74の材料は、係着部材53の材料と異なる材料であってもよい。
【0121】
図4に示される構成の説明において、係着部材95,96が係着部材53と同一材料からなるとしたが、係着部材95,96の材料は、係着部材53の材料と異なる材料であってもよい。また、係着部材95,96の材料は、互いに異なる材料であってもよい。
【0122】
図5に示される構成の説明において、係着部材239が係着部材228と同一材料からなるとしたが、係着部材239の材料は、係着部材228の材料と異なる材料であってもよい。
【0123】
図1に示される構成において、シートクッションカバー31の側部43の内側の面に、面ファスナ54に代えて、面ファスナ54よりもシートクッション11のシートトリムから剥がしやすい材料からなる係着部材が設けられてもよい。これにより、シートクッション11に対するシートクッションカバー31の着脱性を一層向上させることができる。
【0124】
また、
図1に示される構成において、シートバックカバー32の各側部63の内側の面に、シートバック12のシートトリムに係着可能な面ファスナまたは面ファスナよりもシートトリムから剥がしやすい材料からなる係着部材が設けられて、その面ファスナまたは係着部材がサイドサポート部19の側面に係着されてもよい。
【0125】
面ファスナよりもシートトリムから剥がしやすい材料として、特許第5051563号公報に記載の「面ファスナー機能性布帛」を例示したが、その他にも、玉川衛材株式会社製の商品名「巻くだけ包帯」と同様な構成を有する材料、弱粘着性を有する粘着剤、いわゆる「すべり止めシート」と同様な材料などを例示することができる。玉川衛材株式会社製の商品名「巻くだけ包帯」と同様な構成を有する材料が係着部材の材料に用いられる場合、シートクッション11、シートバック12およびヘッドレスト13の表面には、係着部材が係着される位置に、係着部材と同じ材料からなる被係着部が設けられるとよい。
【0126】
図1に示される構成において、係着部材53は、シートクッションカバー31の帯状部42の中央部50のみに限らず、中央部50と左右一方または両方の側端部51とに跨がって設けられていてもよいし、袋状部41と帯状部42とに跨がって設けられていてもよい。また、係着部材74は、シートバックカバー32の帯状部62の中央部70のみに限らず、中央部70と左右一方または両方の側端部71とに跨がって設けられてもよいし、袋状部61と帯状部62とに跨がって設けられていてもよい。
【0127】
また、係着部材53,74は、たとえば、それぞれ中央部50,70の裏面の周縁部に設けられてもよいし、それぞれ中央部50,70の裏面の周縁部を除く中央部に設けられてもよい。すなわち、係着部材53,74は、それぞれ中央部50,70の裏面に部分的に設けられていてもよい。
【0128】
なお、
図1に示される構成において、シートクッションカバー31の側部43およびシートバックカバー32の側部63が設けられていることにより、それぞれシートクッションカバー31の帯状部42の側端部51およびシートバックカバー32の帯状部62の側端部71がめくれることを抑制できるが、それらの側部43,63は、省略されてもよい。側部43が省略される場合、側端部51のめくれを防止するため、側端部51の裏面の一部または全体に、係着部材53と同等の機能を有する係着部材が設けられることが好ましい。同様に、側部63が省略される場合、側端部71のめくれを防止するため、側端部71の一部または全体に、係着部材74と同等の機能を有する係着部材が設けられることが好ましい。
【0129】
図5に示される構成において、係着部材228は、シートクッションカバー211の挟持部221と帯状部222とに跨がって設けられていてもよい。また、係着部材239は、シートバックカバー212の挟持部231と帯状部232とに跨がって設けられていてもよい。
【0130】
また、係着部材228,239は、たとえば、それぞれ帯状部222,232の裏面の周縁部に設けられてもよいし、それぞれ帯状部222,232の裏面の周縁部を除く中央部に設けられてもよい。すなわち、係着部材228,239は、それぞれ帯状部222,232の裏面に部分的に設けられていてもよい。
【0131】
また、係着部材53,74,95,96,228,239は、面ファスナであってもよい。
【0132】
シートカバー1,201は、自動車の運転席または助手席として用いられるシートSの専用品として設計されているとしたが、本発明に係るシートカバーは、自動車の後部座席として用いられるシートの専用品として設計されてもよい。
【0133】
また、本発明は、自動車のシートS以外のシートに装着されるシートカバーに適用されてもよい。
【0134】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。