(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記座板が、前記座板端縁部とこの座板端縁部の内側に位置する窓部とを備えた座板本体と、この座板本体の窓部に配され着座者からの荷重を受ける受圧部材とを備えたものである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の椅子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、座板における広い範囲に亘って弾性変形を促すための設計の自由度に優れた椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の椅子は、座支持フレーム上に座板を配置した椅子であって、
前記座支持フレームが、座支持フレーム本体を備えたものであり、前記座板が、前記座支持フレーム
本体に係わり合う座板端縁部を備え、前記座板端縁部が、平面視において前記座支持フレーム
本体と重なる位置に配され着座者の荷重を受けた際に前記座支持フレーム
本体の外面に沿って下方に弾性変形し得る変形領域を備えたものであ
り、前記座支持フレーム本体が、前記変形領域に対応する部分に曲面を有したものである。
【0008】
ここで、「座板」とは、単一の部材のものに限られず、複数の部材によって一体的に構成されたものを含んだ概念である。「座板」とは、全体的にみて板状のものであればよく、例えば、部分的にシート状の部分を備えているものであってもよい。
【0009】
請求項2に記載の椅子は、請求項1記載の構成において、前記変形領域が、他の領域よりも厚み方向に撓み易い構造をなすものである。
【0010】
請求項3に記載の椅子は、請求項1又は2記載の構成において、前記座支持フレーム
本体が、少なくとも左右に対向する側枠部材を備えたものである
【0011】
請求項4に記載の椅子は、請求項1、2又は3記載の構成において、前記座板端縁部が、前記座支持フレーム
本体と係合するフレーム係合領域とこのフレーム係合領域の外側に設けられた延出領域とを備えたものである。
【0012】
請求項5に記載の椅子は、請求項4記載の構成において、前記フレーム係合領域が、前記座支持フレーム
本体の外側に沿うリブを備えたものであり、前記リブの外側に前記延出領域が設けられているとともに前記リブの内側に前記変形領域が設けられているものである。
【0013】
請求項6に記載の椅子は、請求項1、2、3、4又は5記載の構成において、環状をなす
前記座支持フレーム本体を備えたものであり、前記変形領域が、前記座支持フレーム本体に沿って環状に形成されたものである。
【0014】
請求項7に記載の椅子は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の構成において、環状をなす
前記座支持フレーム本体を備えたものであり、この座支持フレーム本体が、前記変形領域に対応する部分に曲面を有したパイプ状のものである。
【0015】
請求項8に記載の椅子は、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の構成において、前記座板が、前記座板端縁部とこの座板端縁部の内側に位置する窓部とを備えた座板本体と、この座板本体の窓部に配され着座者からの荷重を受ける受圧部材とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、座板における広い範囲に亘って弾性変形を促すための設計の自由度に優れた椅子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜11を参照して説明する。なお、
図11では、座板42の説明の便宜のため、被覆部材43を省略したものを示している。
【0019】
この実施形態は、本発明を前後方向にネスティング可能な椅子C、換言すれば水平方向にスタッキング可能な椅子Cに適用したものである。椅子Cは、
図7に具体的に示すように、座4を跳ね上げ位置(H)に保持した状態で同一構造をなす他の椅子C’と前後方向にネスティングし得るように構成されているものである。
【0020】
椅子Cは、椅子本体たる脚フレーム1に支持体である肘掛け2を介して背凭れ3を支持させるとともに前記脚フレーム1に対して座4を使用位置(U)と跳ね上げ位置(H)との間で回動可能に支持させている。すなわち、前記座4が使用位置(U)にある状態で、当該座4が直接的に前記脚フレーム1に支持されて略水平をなすように位置決めされている。
【0022】
椅子本体である脚フレーム1は、金属製のパイプ材を主体に構成されたものである。脚フレーム1は、下端にキャスタ111を有した左右の後脚11と、下端にキャスタ121を有するとともに上端を前記左右の後脚11の上部に接続した左右の前脚12と、これら左右の前脚12の中間部同士を繋ぐ連結部材たる第一の横架材13と、この第一の横架材13よりも後側の位置において前記左右の前脚12同士を繋ぐ第二の横架材14とを備えてなる。
【0023】
左右の後脚11は、上部側が下部側よりも前側に位置するように前傾した態様で上下方向に延びてなるものであり、その上部は肘掛け2及び背凭れ3を支持するための肘掛け2及び背凭れ3用支持フレームとしての役割を担っている。後脚11の上端部には、背板31と一体に形成された肘掛け2が装着されるようになっている。後脚11は、上端部に細径をなす柱状の芯材である肘掛け接続部112を備えており、この肘掛け接続部112に後述する肘掛け2の取付部23が装着されるようになっている。左右の前脚12の総幅すなわち離間幅は、後脚11の離間幅よりも狭くなっている。また、後脚11と接続する付近の部位である前脚12の上端部は、内方側から外側方に向かって湾曲した形状をなしている。
【0024】
左右の前脚12は、上部側が下部側よりも後側に位置するように後傾した態様で上下方向に延びてなるものであり、これら左右の前脚12に前記第一の横架材13及び第二の横架材14が連結されている。
【0025】
第一の横架材13は、正面視において上向き凸状をなすように形成されたものであり、その左右方向中間部に左右方向に水平に延びる水平部131を備えている。水平部131は、使用位置(U)にある座4の下面、より具体的には、使用位置(U)にある座4における座裏カバー44の下面に添接するものであり、当該座4を下方から受け止めるようになっている。
【0026】
第二の横架材14は、左右両端部に配され座4を枢支する軸部を構成する枢支部141と、これら左右の枢支部141の間に配され正面視において下方に向けて湾曲した形状をなす中間部142とを備えている。中間部142は、下方に向けて凸をなすように湾曲しており、その上には座板42が着座者の荷重を受けた際に下方に向かって撓み得るための撓み許容空間spを有している。なお、前脚11には左右の枢支部141のみを設け、中間部142が無いものとしてもよい。すなわち、枢支部141は、少なくとも座4を回転支持し得る部位を備えていればよく、左右に分断されてこれら左右間がつながっていないものであってもよい。
【0027】
次いで、支持体である肘掛け2について説明する。
【0028】
肘掛け2は、背凭れ3を脚フレーム1に支持させるものである。すなわち、肘掛け2は、前端部を上下方向に延びる取付部23を介して脚フレーム1における後脚11の上部に支持させるとともに後端部を後述する背板31の張り出し部312に接続した主支持部材21と、この主支持部材21の下側に離間させて設けられ前端部を前記取付部23を介して前記脚フレーム1に支持させるとともに後端部を前記張り出し部312に接続した補助支持部材22とを備えている。この実施形態では、肘掛け2と後述する背板31とが合成樹脂により一体に形成されている。
【0029】
主支持部材21は、上面に肘当て面21sを有したものであり、前後方向に延びる矩形棒状のものである。主支持部材21は、補助支持部材22と協働して背板31を支持する役割を担う。主支持部材21の前端部は後脚11に装着される取付部23の上部に一体に連設されている。主支持部材21の後端は前記背板31の張り出し部312に一体に連設されている。主支持部材21は、側面視において後部側が前部側よりも上に位置するように略水平から若干前傾した姿勢をなしている。主支持部材21の前端部211は、前方に向かって取付部23の前側の外面23sよりも前側に突出した形状をなしており、着座者が手を掛け易い形状になっている。
【0030】
補助支持部材22は、前後方向に延びる矩形棒状のものであり、主支持部材21と協働して背板31を支持する役割を担うものである。補助支持部材22の前端は、前記取付部23の下部に一体に連設されている。補助支持部材22の後端は、前記背板31の張り出し部312に一体に連設されている。補助支持部材22は、側面視において主支持部材21よりも後部側が前部側よりも上に位置するように前傾した姿勢をなしている。
【0031】
主支持部材21と補助支持部材22は、互いに離れた位置に配されており、且つ、側面視において平行にならない態様で配されている。換言すれば、肘掛け2は、主支持部材21と補助支持部材22とが非平行に配されたものとなっている。また、補助支持部材22は、主支持部材21よりも側面視において厚肉に形成されている。つまり、肘当て面21sを備えた主支持部材21が、補助支持部材22よりも薄肉に形成されており、見る者に対して視覚的に軽いような雰囲気を印象付け得るようになっている。補助支持部材22は、脚フレーム1の上端部が延びる方向に対して略垂直に延びるように設けられている。換言すれば、補助支持部材22は、後脚11の上端部における前側面や後側面に対して略直角となる方向に延びている。
【0032】
取付部23は、下方に開口した円筒状のものであり、後脚11の上端部に外嵌され、取付部23の後部から挿通されたねじv1により後脚11に対して止着されるようになっている。より具体的に言えば、後脚11は、上端部に金属製の円柱状をなす芯材たる肘掛け接続部112を備えており、この肘掛け接続部112に対して取付部23が包着された状態でねじv1により固定されている。外部に表出した後脚11の外面11sと取付部23の外面23sとは略面一になるように設定されている。また、正面視において、取付部23の幅寸法と補助支持部材22の幅寸法は略同じ寸法に設定されている。
【0034】
背凭れ3は、肘掛け2とともに合成樹脂により一体に形成された背板31を主体に構成されたものである。背凭れ3は、側縁に張り出し部312を備えている。より具体的に言えば、背凭れ3は、正面視において略矩形状をなす背板本体311と、この背板本体311の側縁における上下方向中間部から外方に突出した張り出し部312とを備えている。
【0035】
背板本体311は、平面視において後方に向けて凸をなすように湾曲するとともに側面視において前方に向けて凸をなすように湾曲した形状をなしており、左右の張り出し部312の上下方向中間部間に位置する部位を避けた上部領域に前後方向に貫通する複数の貫通孔311aが形成されている。背板本体311は、下縁に下方に向けて開口する溝mzを有しており、背板本体31に対して図示しない背凭れカバーを装着する際に当該背凭れカバーの端部を保持することができるようにしてある。
【0036】
張り出し部312は、背板本体311の両側縁における中間部から外方に突出した片状の部位を主体に構成されており、着座者の腰に対応する高さ位置に設けられている。張り出し部312は、上部領域312aと下部領域312cとこれら上部領域312aと下部領域312cとの間に位置する中部領域312bとを備えている。そして、肘掛け2における主支持部材21の後端部は、張り出し部312の上部領域312aに連設されており、肘掛け2における補助支持部材22の後端部は、張り出し部312の下部領域312cに連設されている。張り出し部312の上端面312sはなだらかな曲面状をなしており、前端部において肘掛け2における主支持部材21の肘当て面21sと面一に連続するとともに後端部において背板本体311の側端面311sと面一に連続するようになっている。
【0038】
座4は、パイプ材を主体に構成された座支持フレーム41と、この座支持フレーム41上に配された座板42と、この座板42の上面側を被覆する被覆部材43と、前記座支持フレーム41の主要部分及び座板42の裏側を下方からカバーするための座裏カバー44とを備えたものである。
【0039】
座支持フレーム41は、左右に対向するとともに前記脚フレーム1に対して上下方向に回転可能な左右のフレームたる側枠部材411aを有したものであり、この実施形態では四角枠状をなしている。これら左右のフレームたる側枠部材411aは、座4が使用位置(U)にある状態で脚フレーム1に軸保持部材wを介して間接的に支持されて略水平の姿勢をとるものである。座支持フレーム41は、環状をなす座支持フレーム本体411と、この座支持フレーム本体411の側枠部材411a間に架設された横架材たる座横架材412とを備えたものである。
【0040】
座支持フレーム本体411は、座板42の側部の下面を下方から支持する側枠部材411aと、これら側枠部材411aの前端部間を接続する前枠部材411bと、前記側枠部材411aの後端部間を接続する後枠部材411cとを備えたものであり、金属製の丸形パイプ材を用いて環状に構成されている。つまり、座支持フレーム本体411は、後述する座板42の変形領域xに対応する部分に曲面を有したパイプ状のものである。側枠部材411aの後部には、第二の横架材14の枢支部141に対して回動可能に係わり合う軸保持部材wが下方に突出して設けられている。
【0041】
座横架材412は、扁平のパイプ材により形成されたものであり、下方に向けて凸をなす形状をなしている。換言すれば、左右の側枠部材411aは、左右方向に延び前記座板42が下方に向かって撓むことが可能な撓み空間を形成するべく下方に迂回するように湾曲又は屈曲した横架材たる座横架材412によって連結されている。座横架材412の上には、着座者の荷重を受けた際に、前記座板42が下方に撓むのを許容し得る空間である撓み許容空間spが形成されている。座横架材412は、その左右方向中間部に左右方向に水平に延びる水平部412aを備えている。水平部412aは、座4が使用位置(U)にある状態で、座裏カバー44を介して脚フレーム1における第一の横架材13の水平部131の真上に位置するようになっている。換言すれば、座裏カバー44は、座4が使用位置(U)にある状態で、脚フレーム1の第一の横架材13と座支持フレーム41の座横架材412とによって挟まれる構造をなしている。
【0042】
なお、座支持フレーム411は、左右の側枠部材411aを座横架材412で接続するだけの形状としてもよい。換言すれば、座支持フレーム411は、前枠部材411b及び後枠部材411cを省略し、例えば、平面視略H字状をなすものとしてもよい。
【0043】
座板42は、合成樹脂により形成された座板本体421と、この座板本体421の平面視における中央部に配された受圧部材たるメッシュ状の張材422とを備えている。座板42は、平面視における周辺部よりも中央部が厚み方向に撓みやすい構造をなしている。なお、この実施形態における前記中央部は受圧部材たる張材422が配されており、前記周辺部は、座板本体421が配されている。
【0044】
座板本体421は、平面視における中央部が開口した形状をなしている。すなわち、座板本体421は、前記座支持フレーム41に係わり合う座板端縁部421aとこの座板端縁部421aの内側に位置する窓部421bとを備えたものである。
【0045】
座板端縁部421aは、平面視において前記座支持フレーム41の座支持フレーム本体411と重なる位置に配され着座者の荷重を受けた際に前記座支持フレーム本体411の外面に沿って下方に弾性変形し得る変形領域xと、この変形領域xの外側に配され前記座支持フレーム本体411を保持するフレーム係合領域yと、このフレーム係合領域yの外側に設けられた延出領域zとを備えている。変形領域xは座支持フレーム本体411と重なる位置、換言すれば、変形領域xは、座支持部フレーム本体411を構成するパイプ材における幅方向中間部上の位置に設けられている。この実施形態では、変形領域xの外側寄りの範囲が、座支持部フレーム本体411の少なくとも内側寄りの範囲と重なっている。
【0046】
変形領域xは、前記座支持フレーム本体411に沿って環状に形成されている。変形領域xは、座板端縁部421aにおける他の領域よりも厚み方向に撓み易い構造をなしている。この実施形態では、変形領域xは、所定の間隔で形成された複数の貫通孔x1を備えており、隣り合う貫通孔x1間に帯状部x2が形成されるようになっている。帯状部x2は平面視において、座支持フレーム本体411の真上にも位置しており、着座者の荷重が座板42の中心部分に作用した際に、座支持フレーム本体411の外面に沿うような変形が惹起されるようになっている。
【0047】
フレーム係合領域yは、前記座支持フレーム本体411の外側に沿うリブy1と、このリブy1の基端部が接続する略水平板状をなす板状部分y2とを備えている。このリブy1は、前記座板42の周辺部421aに形成されるものであり座裏カバー44方向に延びるように突設された壁状のものである。この実施形態ではリブy1は、環状をなす座支持フレーム本体411の全周に亘って外側に沿うように設けられている。すなわち、リブy1は、座板42の上面の一部を形成する水平板状をなした板状部分y2から略直角に下方に向かって立設されている。フレーム係合領域yは、前記板状部分y2及びリブy1により少なくとも断面視L字状の部位を備えており、座支持フレーム本体411の上側と外側を部分的に覆い得るように配されており、且つ、着座者の荷重を受けた際に、座支持フレーム本体411に対して摺接して相対移動できるようになっている。
【0048】
延出領域zは、フレーム係合領域yにおけるリブy1の外側に延出して設けられたものであり、座板42の周端縁z1を有している。延出領域zは、板状の部材により構成された環状すなわち四角枠状の部分であり、変形領域xよりも剛性を有したものとなっている。
【0049】
なお、座板42は、ねじv2により座支持フレーム本体411に取り付けられている。より具体的には、座板42は、リブy1を通過したねじv2を座支持フレーム41の後枠部材411cに螺合することにより座支持時フレーム41に取り付けられている。座板42は、リブy1の内側に環状の座支持フレーム本体411を近接した状態で配するとともに、座支持フレーム411の後枠部材411cにのみねじv2によりねじ止めされているため、座支持フレーム411に対して座板42が着座者の荷重を受けた際に相対移動し得るようになっている。
【0050】
受圧部材たる張材422は、座板42の平面視における中央部に位置するものであり、前記座板本体421の窓部421bに配され着座者からの荷重を受けるものである。張材422は、着座者の荷重を受けた際に下方に大きく撓みやすいものであり、この実施形態では、メッシュ状のものが採用されている。張材422は、座板本体421に対して熱溶着により止着されている。なお、座板42は種々の方法により形成することができるものであり、例えば、座板42全体を形成する段階でその構成部位である張材422を金型に投入するようにしてもよい。また、張材422は、種々のものを適用することができるものであるが、
図10及び
図11では、説明の便宜上、他の部位と区別し易いように網目を大きめにしたものを表示している。
【0051】
被覆部材43は、座板42を上側から覆うものであり、伸縮性のある張地431と、この張地431の下側に配された比較的肉厚の薄いクッション材432とを備えている。被覆部材43は、座板本体421や張材422の上面を被覆して外観を整える役割を担っている。
【0052】
座裏カバー44は、下方に膨らんだ形状をなした合成樹脂製のシェル状のものであり、座板42の下面を覆うものである。この実施形態では、座裏カバー44は、座板42の周縁を除く下面部分と、座支持フレーム41と、脚フレーム1における第二の横架材14の中間部142を下方から覆っているものである。座裏カバー44は、その外周縁に前記座板42方向に延びる起立壁442を備えている。より詳しく言えば、座裏カバー44は、下方に膨らんだ形状をなす座裏カバー本体441と、この座裏カバー本体441の周縁部に連続して設けられた起立壁442とを備えたものである。座裏カバー44は、少なくともその平面視における中間部が、座板42の対応する中間部と、離間して配されている。より具体的に言えば、座裏カバー44の中間部と座板42の中間部とは、座板42の厚み方向への撓みを許容するための撓み空間spを隔てて離間して配されている。
【0053】
座裏カバー本体441は、前後方向中間部における上面側に座横架材412が配される位置決め凹部441aを備えるとともに左右の側部に軸保持部材wを配するための凹み部441cを備えている。また、座裏カバー本体441は、下面側に脚フレーム1における連結部材たる第一の横架材13が当接し得る横架材当接部441dを備えるとともに第一の横架材13の前後すなわち前記横架材当接部441dの前後に突条441bを配している。
【0054】
この座裏カバー44は、座板42に立設されたリブy1の外側に前記起立壁442を位置させた状態で前記座板42に対して適宜の方法で取り付けられている。その一例としては、座裏カバー44の起立壁442には図示しない鉤状のフックが上方に向かって突設されており、このフックを座板42の対応する位置に設けられた図示しない係合孔に係わらせることにより、座裏カバー44が座板42に対して取り付けられるようになっている。
【0055】
以上に説明した座4が使用位置(U)にある状態で、上から前記座横架材412、前記座裏カバー44、前記脚フレームの第一の横架材13の順序で重なるようになっている。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子Cは、座支持フレーム41上に座板42を配置したものであり、前記座板42が、前記座支持フレーム41に係わり合う座板端縁部421aを備えている。そして、座板端縁部421aが、平面視において座支持フレーム41と重なる位置に配され着座者の荷重を受けた際に座支持フレーム41の外面に沿って下方に弾性変形し得る変形領域xを備えている。このため、座板42における広い範囲に亘って弾性変形を促すための設計の自由度に優れた椅子Cを提供することができるものとなる。すなわち、座板42が、平面視において座支持フレーム41と重なる位置に配された変形領域xを備えているため、座支持フレーム41の内側領域に限られず、座支持フレーム41の直上にまで弾性変形可能な領域が延伸することになり、座板42における弾性変形を促す部位を設けるにあたり設計の自由度に優れたものとなる。
【0057】
前記変形領域xが、座板本体421における他の領域よりも厚み方向に撓み易い構造をなすものであるため、着座者の荷重を受けた際に好適に変形し得るものとなっている。
【0058】
前記座支持フレーム41が、少なくとも左右に対向する側枠部材411aを備えている。このため、着座者が着座した際に、座板42における側枠部材411a間のみならず、側枠部材411aの真上の領域にも、弾性変形が惹起されるものとなる。
【0059】
前記座板端縁部421aが、前記座支持フレーム41を保持するフレーム係合領域yとこのフレーム係合領域yの外側に設けられた延出領域zとを備えている。このため、延出領域zによって座カバー44を取り付けるための必要な領域が確保できるのみならず、変形領域xを有するものにおいても好適にフレーム係合領域yによって座支持フレーム41を保持し得るものとなる。
【0060】
フレーム係合領域yが、前記座支持フレーム411の外側に沿うリブy1を備えている。そして、このリブy1の外側に前記延出領域zが設けられているとともにリブy1の内側に変形領域xが設けられている。このため、リブy1を境界として、内側が弾性変形が惹起され易い部位となるとともに外側が剛性に優れた部位となり、機能の異なる部位をリブy1を介して好適に配することができるものとなっている。
【0061】
前記座支持フレーム41が、環状をなす座支持フレーム本体411を備えている。そして、変形領域xが、環状をなす座支持フレーム本体411に沿って環状に形成されたものである。このため、座板42の全周囲に亘って、変形領域xを配することができるものとなり、着座者に好適なクッション性を付与し得るものとなる。
【0062】
座支持フレーム本体411が、前記変形領域xに対応する部分に曲面を有したパイプ状のものである。このため、着座者の荷重を受けた際に、変形領域xが下方に移動して撓む際に、変形領域xが曲面に沿うように弾性変形し得るものとなる。
【0063】
前記座板42が、前記座板端縁部421aとこの座板端縁部421aの内側に位置する窓部421bとを備えた座板本体421と、この座板本体421の窓部421bに配され着座者からの荷重を受ける受圧部材422とを備えたものである。このため、受圧部材422と座板本体421とが協働して、着座者の荷重に応じて座板42の中央部が大きく弾性変形し得る構成を提供することができるものとなっている。
【0064】
変形領域xが、座支持フレーム41の曲面に沿って撓むものである。このため、座板本体421における硬質のフレーム保持領域yと、その内側に位置する中間的な変形領域xと、柔軟な受圧部材たる張材422とが各々滑らかに連続して変形するようになるため、着座者に違和感を与えないものとなる。
【0065】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0066】
椅子は、座支持フレーム上に座板を配置したものであればよく、本実施形態に示されるようなものに限定されるのものではない。椅子は、いわゆるパイプ椅子と称される種類のもの以外にも、オフィス等において好適に使用される事務用回転椅子に適用されたものであってもよい。
【0067】
座板と座支持フレームとは直接的に係わり合うものに限られず、何らかの部材を介して間接的に係わり合うものであってもよい。
【0068】
座支持フレームは、丸形パイプ状のものに限られたもので無いことは明らかである。例えば、硬質樹脂等によって、座支持フレームにおける座板を支持するための曲面部分を特殊な形状に成型してもよい。
【0069】
変形領域は、厚み方向に撓み易い構造をなすものであればどのような構造のものであってもよく、上述した実施形態に示すものには限定されるものではない。変形領域における貫通孔の形状は種々の形状を採用することができ、その形状に応じて帯状部の形状も種々の形状に形成されるものである。例えば、変形領域は、丸孔を複数設けることによって、厚み方向に撓み易く構成するようにしたものであってもよいし、ゴム状の素材を適用してそれ自体が伸縮することで厚み方向に撓み易く構成するようにしたものであってもよいし、網状の部材を適用することによって厚み方向に撓み易く構成するようにしたものであってもよい。座板を、これら例示したものや、上述した実施形態に示すものを適宜組み合わせたものとしてもよい。換言すれば、変形領域は、いわゆる多様な樹脂メッシュ状の部材を適用することもできるし、メッシュ状のシート体を適用することもできるし、その他の伸縮性のある素材を適用した部材を適用することもできるものである。
【0070】
座支持フレームは、少なくとも左右に対向する側枠部材を備えたものであればよく、上述した実施形態に示すような環状ないし枠状のものに限定されるものではない。
【0071】
上述した実施形態では、座板を、座板本体と、この座板本体の窓部に設けられた受圧部材とを備えた構成としていたが、このようなものに限定されるものではない。例えば、座板を、座板本体を主体に構成したものとしてもよい。この場合は、着座者の着座時における座板本体における中央部の弾性変形を促進するために、いわゆる樹脂メッシュと称される種々の形状をなす穿孔部とこれら複数の穿孔部により形成された帯状部とを配したものを適用することが好ましい。
【0072】
受圧部材は、種々の張材を適用することができるのは言うまでもない。例えば、受圧部材は、必ずしも伸縮性のあるメッシュ状のものを適用する必要はなく、比較的伸縮性の低いシート材を適用してもよい。このようにすれば、座板がいわゆるトランポリン状に作用する構造となり、座板本体の変形領域が主体となって座板のクッション性を付与し得るものとなる。
【0073】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。