特許第6436811号(P6436811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436811
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】可倒式支持構造体
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20181203BHJP
   F16M 11/12 20060101ALI20181203BHJP
   F16M 11/38 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B60R11/04
   F16M11/12 D
   F16M11/38 F
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-25101(P2015-25101)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-147570(P2016-147570A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】牛島 充章
(72)【発明者】
【氏名】金子 義弘
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−158737(JP,U)
【文献】 実開平05−086686(JP,U)
【文献】 米国特許第08137008(US,B1)
【文献】 独国実用新案第9318170(DE,U1)
【文献】 特開2012−087937(JP,A)
【文献】 特開2005−010127(JP,A)
【文献】 特開2007−063902(JP,A)
【文献】 米国特許第04428608(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/04
F16M 11/12
F16M 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用の被支持体を支持し、角柱状且つ中空の第1支持部材と、
前記被支持体を載置する車両に固定されるとともに前記第1支持部材に連結され、前記第1支持部材と同一の断面形状を有し、前記第1支持部材の内表面に略接するように前記中空部に挿入される舌部を備える第2支持部材と、
前記第1支持部材と第2支持部材とを回動可能に連結するヒンジ部材と、
前記ヒンジ部材が取り付けられた面とは異なる面に設けられ、前記第2支持部材上に前記第1支持部材が直立するときに、前記ヒンジ部材による前記第1支持部材の第2支持部材に対する回動を禁止するように前記第1支持部材と第2支持部材とを固定する係合部材と、を備える可倒式支持構造体。
【請求項2】
前記第1支持部材と第2支持部材とは、断面が4角形、5角形または6角形であり、前記舌部は、前記ヒンジ部材が取り付けられた辺及びこの辺に隣接する辺に形成され、前記ヒンジ部材が取り付けられた辺と異なる辺に形成された舌部には、前記ヒンジ部材から遠い側の端部に円形または放物線形の弧が形成され、前記第1支持部材の回動時の干渉が回避される、請求項1に記載の可倒式支持構造体。
【請求項3】
前記ヒンジ部材は、前記第1支持部材と第2支持部材との、前記車両の進行方向側の辺に跨がって取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の可倒式支持構造体。
【請求項4】
前記係合部材は、弾性部材により付勢しつつ固定する構造である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の可倒式支持構造体。
【請求項5】
前記ヒンジ部材により前記第1支持部材が第2支持部材に対して回動したときに、前記第1支持部材を支持する第3支持部材を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の可倒式支持構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可倒式支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラその他の観測装置を車両に載置して車両の周囲の画像等の情報を取得し、道路管理等に使用することが行われている。また、このための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、テレビカメラを支持する雲台と、該雲台が設置される基台と、該基台に設けられたマグネットとからなり、該マグネットの磁力によって車両本体に着脱自在に取り付けられるとともに、前記テレビカメラによって撮影された映像が車両室内に取り付けられている車載モニタ装置に映し出されることを特徴とする車載用雲台装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、移動体に載置した全方位カメラ装置の下方に、つりあわせ機構、緩衝機構及び支持機構を配設してなることを特徴とする移動体用全方位カメラ装置の防振機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−120518
【特許文献2】特開2004−297670
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記カメラその他の観測装置は、金属製の支持構造体上に固定して使用することが一般的であるが、道路を走行して撮影等を行う際に、道路上あるいは道路周辺に観測装置と衝突する障害物が存在することが少なくない。障害物を回避するためには、車両を停車して支持構造体を車両から取り外す作業が必要になる。取り外し作業に時間がかかると、その間撮影ができない上、停車した車両が他の車両の通行を妨げ、交通渋滞を引き起こす等の問題があった。
【0007】
本発明は、カメラその他の観測装置を簡易に障害物から回避させることができる可倒式支持構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、可倒式支持構造体であって、車載用の被支持体を支持し、角柱状且つ中空の第1支持部材と、前記被支持体を載置する車両に固定されるとともに前記第1支持部材に連結され、前記第1支持部材と同一の断面形状を有し、前記第1支持部材の内表面に略接するように前記中空部に挿入される舌部を備える第2支持部材と、前記第1支持部材と第2支持部材とを回動可能に連結するヒンジ部材と、前記ヒンジ部材が取り付けられた面とは異なる面に設けられ、前記第2支持部材上に前記第1支持部材が直立するときに、前記ヒンジ部材による前記第1支持部材の第2支持部材に対する回動を禁止するように前記第1支持部材と第2支持部材とを固定する係合部材と、を備える。
【0009】
上記第1支持部材と第2支持部材とは、断面が多角形で例えば4角形、5角形または6角形であり、前記舌部は、前記ヒンジ部材が取り付けられた辺及びこの辺に隣接する辺に形成され、前記ヒンジ部材が取り付けられた辺と異なる辺に形成された舌部には、前記ヒンジ部材から遠い側の端部に円形または放物線形の弧が形成され、前記第1支持部材の回動時の干渉が回避されることを特徴とする。
【0010】
上記ヒンジ部材は、前記第1支持部材と第2支持部材との、前記車両の進行方向側の辺に跨がって取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
上記係合部材は、弾性部材により付勢しつつ固定する構造であることを特徴とする。
【0012】
また、実施形態にかかる可倒式支持構造体は、上記ヒンジ部材により前記第1支持部材が第2支持部材に対して回動したときに、前記第1支持部材を支持する第3支持部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カメラその他の観測装置を簡易に障害物から回避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態にかかる可倒式支持構造体の構成例を示す図である。
図2】実施形態にかかる第1支持部材が第2支持部材に対して回動した状態を示す図である。
図3】実施形態にかかる第2支持部材の断面が6角形状の場合における舌部の形状の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0016】
図1には、実施形態にかかる可倒式支持構造体の構成例が示される。また、図2(a)、(b)には、後述する第1支持部材10が第2支持部材12に対して回動した状態が示される。図2(a)が平面図、図2(b)が、第1支持部材10と第2支持部材12の接合部の拡大斜視図である。
【0017】
図1において、可倒式支持構造体は、カメラ等の車載用の被支持体100を支持し、角柱状且つ中空の第1支持部材10と、この第1支持部材10に連結される第2支持部材12と、第1支持部材10と第2支持部材12とを、第1支持部材10が矢印A方向に回動可能に連結するヒンジ部材14と、第1支持部材10と第2支持部材12とにおいて、ヒンジ部材14が取り付けられた面とは異なる面に設けられ、第2支持部材12上に第1支持部材10が直立するときに、ヒンジ部材14による第1支持部材10の第2支持部材12に対する回動を禁止するように第1支持部材10と第2支持部材12とを固定する係合部材16とを備えている。
【0018】
上記第1支持部材10は、角柱状に構成される。図1図2(a)、(b)の例では、4角柱形状に構成されているが、これには限定されない。特に長手方向に垂直な断面が4角形状(4角柱)、5角形状(5角柱)、6角形状(6角柱)が、入手および加工の容易さから好適である。また、第1支持部材10の内部は中空(空洞)となっており、以後中空部ということがある。なお、第1支持部材10は、角柱の断面の角が曲線状に加工されていてもよい。
【0019】
上記第2支持部材12は、被支持体100を載置する車両102に適宜な架台20等を介して固定されている。ここで、車両102は、矢印F方向に進行するものとする。第2支持部材12は、長手方向に垂直な断面が第1支持部材10と同一の断面形状を有し、第1支持部材10を回動させて第2支持部材12上に直立させたときに中空である第1支持部材10の内表面に略接するように中空部に挿入される舌部18(図2(a)、(b)参照)を備える。
【0020】
上記第1支持部材10及び第2支持部材12を構成する材料としては、カメラ等の車載用の被支持体100を支持できる強度を備えていればよい。例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の鋼、その他の金属、プラスチック(例えばABS樹脂やPC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)などのエンジニアリング・プラスチックが好ましい)、炭素繊維等が挙げられる。
【0021】
図2(b)に示されるように、舌部18は、第2支持部材12のヒンジ部材14が取り付けられた辺及びこの辺に隣接する辺に形成され、ヒンジ部材14が取り付けられた辺と異なる辺(隣接する辺)に形成された舌部18には、ヒンジ部材14から遠い側の端部に円形または放物線形の弧Rが形成され、第1支持部材10の回動時の干渉が回避されている。なお、ヒンジ部材14が取り付けられた辺の反対側(対向する)の辺に舌部18を設けると、第1支持部材10を回動させて第2支持部材12に直立させる際に第1支持部材10に干渉するので、当該辺には舌部18を設けない。
【0022】
図2(b)の例は、第1支持部材10および第2支持部材12が4角形状の断面を有する四角柱の場合であり、舌部18に形成される弧Rは円弧となる。これに対して、第1支持部材10および第2支持部材12が5角形状または6角形状の断面を有する5角柱または6角柱の場合には、放物線形状の弧となる。
【0023】
図3には、第2支持部材12の断面が6角形状の場合における舌部18の形状の例の斜視図が示される。図3において、舌部18は、第2支持部材12のヒンジ部材14が取り付けられた辺及びこの辺に隣接する辺に形成され、ヒンジ部材14が取り付けられた辺と異なる辺(隣接する辺)に形成された舌部18には、ヒンジ部材14から遠い側の端部に放物線形の弧Rが形成されている。なお、上記3つの辺以外の辺に舌部18を設けると、第1支持部材10を回動させて第2支持部材12に直立させる際に第1支持部材10に干渉するので、当該辺には舌部18を設けない。
【0024】
上記ヒンジ部材14は、第1支持部材10と第2支持部材12とを回動可能に連結できるものであれば限定されない。
【0025】
なお、ヒンジ部材14は、第1支持部材10と第2支持部材12との、車両102の進行方向(図1の矢印F方向)側の辺に跨がって取り付けられている。これは、カメラによる撮影等は、通常車両102が前方(図1の矢印F方向)に走行しながら行われるため、車両102が走行中に速度を上げても、被支持体100を安定して支持するためである。
【0026】
また、上記係合部材16は、従来公知のキャッチクリップ(特開2007−63902号参照)等を使用することができる。ただし、この係合部材16は、上記キャッチクリップには限定されず、第2支持部材12上に第1支持部材10が直立するときに第1支持部材10と第2支持部材12とを固定できるとともに、係合状態(固定状態)と係合解除状態(固定を解除した状態)とを簡易な操作で切り替えることができればよい。なお、車両102の走行中に固定部分が外れないようバネ等の弾性部材により付勢しつつ固定する構造(弾性係合部材)であるのが好適である。係合部材16を弾性係合部材とすることにより、第1支持部材10と第2支持部材12とをより強固に固定でき、連結部分のがたつきを抑制できる。また、万一係合部材16に軽度の故障が生じても、第1支持部材10が完全に倒れる事を防止できる。
【0027】
図2(a)に示されるように、本実施形態にかかる可倒式支持構造体は、係合部材16を係合解除状態とし、ヒンジ部材14により第1支持部材10を第2支持部材12に対して容易に回動させることができるので、道路上あるいは道路周辺の障害物を回避するための作業を容易に短時間で行うことができる。また、この場合の第1支持部材10の回動は、ヒンジ部材14側(車両102の前方側)に行われるが、本実施形態にかかる可倒式支持構造体には、この際に第1支持部材10を支持する第3支持部材22が設けられている。第3支持部材22は、第1支持部材10を保持する保持部22aを備えており、第1支持部材10の胴体の一部を保持部22aが受け止めて保持する。保持部22aの第1支持部材10に接する面には、ゴム等の弾性材料を取り付けるのが、第1支持部材10を安定的に保持できるので好適である。この第3支持部材22により、上記障害物を回避する間、第1支持部材10を安定して支持することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 第1支持部材、12 第2支持部材、14 ヒンジ部材、16 係合部材、18 舌部、20 架台、22 第3支持部材、22a 保持部、100 被支持体、102 車両。
図1
図2
図3