(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被写体の光学像から前記被写体の画像を取得する撮像素子と、前記光学像が結像される焦点位置を調節するためのレンズを制御するレンズ駆動手段と、前記光学像のデフォーカス量を検出する焦点検出手段とを有する撮像装置の駆動方法であって、
ユーザーからの指示に基づき、前記レンズの駆動速度をデフォーカス量に関連づけて記録するステップと、
記録した前記駆動速度の情報に基づき、前記デフォーカス量と前記駆動速度との関係を規定するレンズ駆動情報を作成するステップと、
前記焦点検出手段により前記光学像のデフォーカス量を検出し、検出した前記デフォーカス量に対応する前記レンズの駆動速度として前記レンズ駆動情報に規定される所定の速度で、前記レンズを前記被写体に対して合焦する位置まで移動するステップと
を有することを特徴とする撮像装置の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図1乃至
図12を用いて説明する。
【0013】
はじめに、本実施形態による撮像装置の全体構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態による撮像装置を示す概略構成図である。
【0014】
本実施形態による撮像装置(カメラ)100は、
図1に示すように、第1レンズ群101、絞り兼用シャッタ102、第2レンズ群103、第3レンズ群105、光学的ローパスフィルタ106を含む結像光学系を有している。また、撮像装置100は、撮像素子107、ズームアクチュエータ111、絞りシャッタアクチュエータ112、フォーカスアクチュエータ114、被写体照明用電子フラッシュ115、AF補助光手段116を有している。また、撮像装置100は、CPU121、電子フラッシュ制御回路122、補助光駆動回路123、撮像素子駆動回路124、画像処理回路125、フォーカス駆動回路126、絞りシャッタ駆動回路128、ズーム駆動回路129を有している。また、撮像装置100は、表示装置131、操作スイッチ132、フラッシュメモリ133を有している。
【0015】
第1レンズ群101、絞り兼用シャッタ102、第2レンズ群103、第3レンズ群105及び光学的ローパスフィルタ106は、被写体側からこの順番で光軸に沿って配置されており、これによって結像光学系を構成している。結像光学系は、被写体の光学像を形成するための光学系である。第1レンズ群101は、結像光学系の最前部(被写体側)に配置されたレンズ群であり、光軸方向に沿って進退可能に保持されている。絞り兼用シャッタ102は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なう機能を備えるほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッタとしての機能も備える。絞り兼用シャッタ102及び第2レンズ群103は、一体となって光軸方向に沿って進退し、第1レンズ群101の進退動作との連動により、変倍機能(ズーム機能)を実現する。第3レンズ群105は、光軸方向に沿った進退により、焦点調節を行なう機能を備える。光学的ローパスフィルタ106は、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。撮像素子107は、2次元CMOSフォトセンサーと周辺回路からなる撮像素子であり、結像光学系の結像面に配置されている。
【0016】
ズームアクチュエータ111は、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群111、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を光軸方向に進退駆動し、変倍操作を行なうためのものである。絞りシャッタアクチュエータ112は、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行なうためのものである。フォーカスアクチュエータ114は、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なうためのものである。
【0017】
被写体照明用電子フラッシュ115は、撮影時に被写体を照明するための光源である。被写体照明用電子フラッシュ115には、キセノン管を用いた閃光照明装置が好適だが、連続発光するLEDを備えた照明装置を用いてもよい。AF補助光手段116は、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投光レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体や低コントラストの被写体に対する焦点検出能力を向上させるためのものである。
【0018】
CPU121は、カメラ本体の種々の制御を司るカメラ内の制御装置であり、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。CPU121は、ROM等に記憶された所定のプログラムに基づいて、カメラが有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理、記録等の一連の動作を実行する。CPU121は、画像処理手段、焦点検出手段、レンズ速度記録手段、レンズ駆動情報作成手段でもある。
【0019】
電子フラッシュ制御回路122は、撮影動作に同期して被写体照明用電子フラッシュ115を点灯制御するためのものである。補助光駆動回路123は、焦点検出動作に同期してAF補助光手段116を点灯制御するためのものである。撮像素子駆動回路124は、撮像素子107の撮像動作を制御するとともに、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信するためのものである。画像処理回路125は、撮像素子107が取得した画像のγ変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行なうためのものである。
【0020】
フォーカス駆動回路126は、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動制御し、第3レンズ群105を光軸方向に沿って進退駆動して焦点調節を行なうためのものである。本明細書では、第3レンズ群105及びフォーカスアクチュエータ114をレンズと、フォーカス駆動回路126をレンズ駆動手段と呼ぶこともある。絞りシャッタ駆動回路128は、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動制御して絞り兼用シャッタ102の開口を制御するためのものである。ズーム駆動回路129は、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動するためのものである。
【0021】
表示装置131は、LCD等の表示装置であり、カメラの撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像や撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示するためのものである。表示装置131は、タッチパネル機能を備えており、ユーザーが表示装置131の画面に直接触ることにより各種操作を行うことができるようになっている。操作スイッチ132は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。フラッシュメモリ133は着脱可能な記録媒体であり、撮影済み画像等を記録することができる。
【0022】
次に、本実施形態による撮像装置100の撮像素子107について、
図2乃至
図5を用いてより詳しく説明する。
図2は、本実施形態による撮像装置の撮像素子における画素配列の一例を示す概略平面図である。
図3は、本実施形態による撮像装置の撮像素子の構造を示す平面図及び断面図である。
図4は、本実施形態による撮像装置における画素と瞳分割との対応関係を説明する概略図である。
図5は、本実施形態による撮像装置における撮像素子と瞳分割との対応関係を説明する概略図である。
【0023】
撮像素子107は、複数の画素が行方向及び列方向に沿って2次元状に配列された撮像領域を有している。
図2には、撮像領域に含まれる複数の画素(撮像画素200)のうち、4列×4行の範囲を抜き出して示している。それぞれの撮像画素200は、行方向に配列された2つの焦点検出画素201,202を有している。なお、撮像画素200は、画像信号を得る際に用いられる画素の最小単位であり、焦点検出画素201,202は、焦点検出信号を得る際に用いられる画素の最小単位である。
【0024】
図2において、連続する2列×2行の画素群210が、撮像領域を構成する最小の繰り返し単位である。この画素群210を行方向及び列方向に所望の個数、繰り返し並べて配置することで、撮像領域が構成される。
図2は、画素群210を、行方向及び列方向にそれぞれ2個ずつ並べたものである。各画素群210は、左上の位置に配置された画素200Rと、右上及び左下の位置に配置された2つの画素200Gと、右下の位置に配置された画素200Bとをそれぞれ含む。画素200Rは、R(赤)の分光感度を有する画素である。画素200Gは、G(緑)の分光感度を有する画素である。画素200Bは、B(青)の分光感度を有する画素である。各画素200R,200G,200Bは、前述のように、2列×1行に配列された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202とにより構成されている。
【0025】
画素群210を多数、2次元状に配置することで、撮像画像及び焦点検出信号の取得を可能としている。一例では、画素(撮像画素200)の周期Pを4μm、画素数Nを横5575列×縦3725行(=約2075万画素)とすることができる。この場合、焦点検出画素に着目すると、焦点検出画素の列方向周期P
AFが2μm、焦点検出画素数N
AFが横11150列×縦3725行(=約4150万画素)となる。
【0026】
図2に示した複数の画素のうち1つの画素200Gについて、撮像素子107の受光面側(+z側)から見た平面図を
図3(a)に示し、
図3(a)のA−A′線断面を−y側から見た断面図を
図3(b)に示す。なお、本明細書では、説明の便宜上、画素配列の行に平行な方向をx軸、画素配列の列に平行な方向をy軸、結像光学系の光軸に平行な方向をz軸とした直交座標系を用いて説明を行うものとする。
【0027】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、画素200Gは、半導体基板300、半導体基板300上に形成された多層配線層304、多層配線層304上に形成されたカラーフィルター305、マイクロレンズ306及びカバー膜307を含む。半導体基板300には、x方向にN
H分割(ここでは2分割)、y方向にN
V分割(ここでは1分割)された光電変換部(光電変換部301及び光電変換部302)が形成されている。光電変換部301及び光電変換部302が、上述の第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素202にそれぞれ対応する。
【0028】
光電変換部301,302は、半導体基板300内に形成されたp型層とn型層とを含むフォトダイオードである。光電変換部301,302は、p型層とn型層の間にイントリンシック層を挟んだpin構造フォトダイオードとしてもよいし、必要に応じて、イントリンシック層を省略し、pn接合フォトダイオードとしてもよい。
【0029】
光電変換部301,302上には、カラーフィルター305を介してマイクロレンズ306が配置されている。マイクロレンズ306は、各画素(撮像画素)200に対応して1つずつ配置されている。カラーフィルター305は、必要に応じて、副画素毎に分光透過率を変えてもよいし、省略してもよい。
【0030】
画素200Gに入射した光は、マイクロレンズ305により集光され、カラーフィルター306で分光されたのち、光電変換部301及び光電変換部302により受光される。光電変換部301及び光電変換部302では、受光量に応じて電子とホールが対生成され、空乏層で分離された後、負電荷の電子はn型層に蓄積され、ホールは定電圧源に接続されたp型層を通じて撮像素子107の外部へ排出される。光電変換部301及び光電変換部302のn型層に蓄積された電子は、転送ゲートを介して静電容量部(FD:フローティングディフュージョン)に転送され、電圧信号に変換される。
【0031】
図4に、
図3(a)に示した画素構造のA−A′線断面を+y側から見た断面と、結像光学系の射出瞳面との関係を示す。
図4では、射出瞳面の座標軸と対応を取るために、断面図におけるx軸及びy軸の向きを
図3に対して反転している。
【0032】
図4において、第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、重心が−x方向に偏心している光電変換部301の受光面とマイクロレンズ306とによって、概ね、共役関係になっており、第1焦点検出画素201で受光可能な瞳領域を表している。第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、瞳面上で+X側に重心が偏心している。また、第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、重心が+x方向に偏心している光電変換部302の受光面とマイクロレンズ306とによって、概ね、共役関係になっており、第2焦点検出画素202で受光可能な瞳領域を表している。第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、瞳面上で−X側に重心が偏心している。
【0033】
また、
図4において、瞳領域500は、光電変換部301と光電変換部302(第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202)とを合わせた際の画素200G全体で受光可能な瞳領域である。出射瞳400は、被写体側から入射する光が通過する領域である。
【0034】
本実施形態の撮像素子107と瞳分割との対応関係を示した概略図を
図5に示す。第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502の異なる瞳部分領域を通過した光束は、撮像素子の各画素に、それぞれ、異なる角度で入射し、2×1分割された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202とで受光される。なお、本実施形態では、瞳領域が水平方向に2つに瞳分割されている場合を例示しているが、必要に応じて垂直方向に瞳分割を行ってもよい。
【0035】
撮像素子107は、結像光学系の第1瞳部分領域501を通過する光束を受光する第1焦点検出画素201と、第1瞳部分領域501とは異なる結像光学系の第2瞳部分領域502を通過する光束を受光する第2焦点検出画素202とを含む。
図5において、第1焦点検出画素201が光電変換部301に対応し、第2焦点検出画素202が光電変換部302に対応する。また、撮像素子107は、結像光学系の第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502とを合わせた瞳領域を通過する光束を受光する撮像画素200を含む。本実施形態の撮像素子107では、それぞれの撮像画素200が、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素201とにより構成されている。
【0036】
なお、必要に応じて、撮像画素200と、第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素201とを個別の画素とし、撮像画素200の配列の一部に、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202とを部分的に配置する構成としてもよい。
【0037】
本実施形態の撮像装置100では、撮像素子107の各画素の第1焦点検出画素201の受光信号を集めて第1焦点信号を生成し、各画素の第2焦点検出画素202の受光信号を集めて第2焦点信号を生成する。そして、生成した第1焦点信号及び第2焦点信号を用いて焦点検出を行う。また、撮像素子107の各画素毎に、第1焦点検出画素201の信号と第2焦点検出画素202の信号とを加算することで、有効画素数Nの解像度の撮像信号(撮像画像)を生成する。
【0038】
次に、撮像素子107により取得される第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号のデフォーカス量と像ずれ量との関係について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号のデフォーカス量と、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との間の像ずれ量との関係を示す概略図である。
【0039】
図6に示すように、撮像面800に撮像素子(不図示)が配置され、
図4及び
図5と同様に、結像光学系の射出瞳が、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502とに2分割されている場合を想定する。
【0040】
デフォーカス量dは、被写体の結像位置から撮像面800までの光軸方向の距離として定義される。また、デフォーカス量dは、被写体の結像位置が撮像面800より被写体側にある前ピン状態のときに負符号(d<0)で表され、被写体の結像位置が撮像面より被写体の反対側にある後ピン状態のときに正符号(d>0)で表される。被写体の結像位置が撮像面800(合焦位置)にある合焦状態では、d=0である。
図6において、例えば被写体801は合焦状態(d=0)であり、例えば被写体802は前ピン状態(d<0)である。前ピン状態(d<0)と後ピン状態(d>0)とを合わせて、デフォーカス状態(|d|>0)とする。
【0041】
前ピン状態(d<0)では、被写体802からの光束のうち、第1瞳部分領域501を通過した光束は、一旦、集光した後、光束の重心位置G1を中心として幅Γ1に広がり、撮像面800でボケた像となる。ボケた像は、撮像素子に配列された各画素を構成する第1焦点検出画素201により受光され、第1焦点検出信号が生成される。よって、第1焦点検出信号は、撮像面800上の重心位置G1に、被写体802が幅Γ1にボケた被写体像として記録される。被写体像のボケ幅Γ1は、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。
【0042】
同様に、被写体802からの光束のうち、第2瞳部分領域502を通過した光束は、一旦、集光した後、光束の重心位置G2を中心として幅Γ2に広がり、撮像面800でボケた像となる。ボケた像は、撮像素子に配列された各画素を構成する第2焦点検出画素202により受光され、第2焦点検出信号が生成される。よって、第2焦点検出信号は、撮像面800上の重心位置G2に、被写体802が幅Γ2にボケた被写体像として記録される。被写体像のボケ幅Γ2は、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。
【0043】
また、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との間の被写体像の像ずれ量p(=光束の重心位置の差、G1−G2)の大きさ|p|も、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。
【0044】
後ピン状態(d>0)では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との間の被写体像の像ずれ方向が前ピン状態とは反対となるが、同様である。
【0045】
したがって、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号或いは第1焦点検出信号と第2焦点検出信号とを加算した撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間との間の像ずれ量の大きさが増加する。
【0046】
次に、本実施形態による撮像装置100における位相差方式の焦点検出方法について、
図7乃至
図9を用いて説明する。
図7は、本実施形態による撮像装置における焦点検出処理方法を示すフローチャートである。
図8は、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号の瞳ずれによるシェーディングを説明する概略図である。
図9は、本実施形態による撮像装置の光学的ローパスフィルタにおけるフィルター周波数帯域の一例を示す図である。
【0047】
位相差方式の第1焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との位置関係を相対的にシフトさせて信号の一致度を表す相関量(第1評価値)を計算し、相関(信号の一致度)が良くなるシフト量から像ずれ量を検出する。撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との間の像ずれ量の大きさが増加する関係性から、像ずれ量を検出デフォーカス量に変換することで焦点検出を行う。
【0048】
図7に、本実施形態による撮像装置100における第1焦点検出処理のフローチャートを示す。なお、
図7の動作は、本実施形態による撮像装置100の焦点検出信号生成手段、焦点検出手段である撮像素子107、画像処理回路125及びCPU121によって実行される。
【0049】
まず、ステップS110において、撮像素子107の有効画素領域の中に、焦点調節を行うための信号を取得する焦点検出領域を設定する。そして、焦点検出信号生成手段により、焦点検出領域の第1焦点検出画素201の受光信号から第1焦点検出信号(A像)を生成し、焦点検出領域の第2焦点検出画素202の受光信号から第2焦点検出信号(B像)を生成する。
【0050】
次いで、ステップS120において、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号に対してそれぞれ、列方向に3画素の加算処理を行い、さらに、RGB信号を輝度Y信号にするためにベイヤー(RGB)加算処理を行う。これら2つの加算処理を合わせて第1画素加算処理とする。
【0051】
次いで、ステップS130において、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号に対してそれぞれ、シェーディング補正処理(光学補正処理)を行う。
【0052】
ここで、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号の瞳ずれによるシェーディングについて、
図8を用いて説明する。
図8は、撮像素子の周辺像高における第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501、第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502、及び結像光学系の射出瞳400の関係を示す図である。
【0053】
図8(a)は、結像光学系の射出瞳距離Dlと撮像素子の設定瞳距離Dsとが同じ場合である。この場合は、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502とに、結像光学系の射出瞳400が、概ね、均等に瞳分割される。
【0054】
これに対して、
図8(b)に示すように結像光学系の射出瞳距離Dlが撮像素子の設定瞳距離Dsより短い場合、撮像素子の周辺像高では、結像光学系の射出瞳と撮像素子の入射瞳の瞳ずれを生じ、結像光学系の射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。同様に、
図8(c)に示すように結像光学系の射出瞳距離Dlが撮像素子の設定瞳距離Dsより長い場合も、撮像素子の周辺像高では、結像光学系の射出瞳と撮像素子の入射瞳の瞳ずれを生じ、結像光学系の射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。周辺像高で瞳分割が不均一になるのに伴い、第1焦点検出信号の強度と第2焦点検出信号の強度とが不均一になる。そしてこれによって、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号のいずれか一方の強度が大きくなり他方の強度が小さくなる現象、すなわちシェーディングが生じる。
【0055】
ステップS130では、焦点検出領域の像高と、撮像レンズ(結像光学系)のF値、射出瞳距離に応じて、第1焦点検出信号の第1シェーディング補正係数と、第2焦点検出信号の第2シェーディング補正係数を、それぞれ生成する。そして、第1シェーディング補正係数を第1焦点検出信号に乗算し、第2シェーディング補正係数を第2焦点検出信号に乗算することによって、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号のシェーディング補正処理(光学補正処理)を行う。
【0056】
位相差方式の第1焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との相関(信号の一致度)を基に、第1検出デフォーカス量の検出を行う。瞳ずれによるシェーディングが生じると、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との相関(信号の一致度)が低下する場合がある。よって、位相差方式の第1焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号との相関(信号の一致度)を改善し、焦点検出性能を良好とするために、シェーディング補正処理(光学補正処理)を行うことが望ましい。
【0057】
次いで、ステップS140において、第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号に対して、第1フィルター処理を行う。第1フィルター処理における通過帯域の一例を、
図9に実線で示す。本実施形態では、位相差方式の第1焦点検出により大デフォーカス状態での焦点検出を行うため、第1フィルター処理における通過帯域は低周波帯域を含むように構成される。必要に応じて、大デフォーカス状態から小デフォーカス状態まで焦点調節を行う際に、デフォーカス状態に応じて、第1焦点検出時の第1フィルター処理の通過帯域を、例えば
図9に一点鎖線で示すように、より高周波帯域に調整してもよい。
【0058】
次いで、ステップS150において、第1フィルター処理後の第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号を相対的に瞳分割方向にシフトさせる第1シフト処理を行い、信号の一致度を表す相関量(第1評価値)を算出する。
【0059】
第1フィルター処理後のk番目の第1焦点検出信号をA(k)、第2焦点検出信号をB(k)、焦点検出領域に対応する番号kの範囲をWとする。第1シフト処理によるシフト量をs1、シフト量s1のシフト範囲をΓ1で表すと、相関量(第1評価値)CORは、下記の式(1)により算出することができる。
【数1】
【0060】
シフト量s1の第1シフト処理により、k番目の第1焦点検出信号A(k)とk−s1番目の第2焦点検出信号B(k−s1)とを対応させて減算処理し、シフト減算信号を生成する。そして、生成されたシフト減算信号の絶対値を計算し、焦点検出領域に対応する範囲W内で番号kの和を取り、相関量(第1評価値)COR(s1)を算出する。必要に応じて、各行毎に算出された相関量(第1評価値)を、各シフト量毎に、複数行に渡って加算してもよい。
【0061】
次いで、ステップS160において、ステップS150で算出した相関量(第1評価値)から、サブピクセル演算により、相関量が最小値となる実数値のシフト量を算出して像ずれ量p1とする。そして、像ずれ量p1に、焦点検出領域の像高と、撮像レンズ(結像光学系)のF値、射出瞳距離に応じた第1変換係数K1を掛けて、デフォーカス量を算出する。
【0062】
次に、本実施形態による撮像装置100の駆動方法について、
図10乃至
図12を用いて説明する。
図10は、本実施形態による撮像装置100の駆動方法を示すフローチャートである。
図11は、マニュアルフォーカス時におけるデフォーカス量の変化の一例を示すグラフである。
図12は、本実施形態による撮像装置100の駆動方法におけるデフォーカス量の変化の一例を示すグラフである。
【0063】
まず、ユーザーは、AF時のレンズ駆動をカスタマイズしたい時に、カメラのUI(ユーザーインターフェイス)からレンズ駆動をカスタマイズするモードを選択する(ステップS101)。モード選択は、表示装置131のタッチパネルを介して行ってもよいし、操作スイッチ132により行ってもよい。なお、レンズ駆動をカスタマイズするモードとは、ユーザーが、1又は複数の方法によってレンズ駆動の詳細を入力し、AF時のレンズ駆動をカスタマイズするモードである。
【0064】
AF時のレンズ駆動をカスタマイズする方法は、後述する実施形態においても説明するように、幾つかの方法を例示することができる。本実施形態では、ユーザーが手動で焦点調節(MF)を行った時にレンズの移動速度及びデフォーカス量をサンプリングした結果に基づいてAF時のレンズ駆動をカスタマイズする方法について説明する。
【0065】
ユーザーがレンズ駆動カスタマイズモードを選択すると、続くステップS102において、所定の距離に被写体を置き像高の中心に被写体が位置するようにカメラをセットするようにとのユーザーに対する指示がカメラに表示される。ユーザーは、カメラの指示に従い、被写体に対するカメラの位置をセットする。
【0066】
次いで、ステップS103において、被写体に対してユーザーがMFによりピント合わせを行うようにとの指示が表示される。ユーザーは、カメラの指示に従い、所望の速度でMFによるピント合わせを開始する。
【0067】
ユーザーが行うMFによるレンズ駆動は、続くステップS104においてサンプリングされる。すなわち、被写体に対してユーザーがカメラを向けた時点からユーザーが被写体に対して合焦したと判断した時点までの間、レンズの移動速度の変化が、検出デフォーカス量の変化とともにカメラに記録される。これは、レンズの移動速度と検出デフォーカス量とを関連づけて記録しているとも言える。その際、CPU121は、レンズ速度記録手段として機能する。
【0068】
図11は、ステップS104においてサンプリングされた、ユーザーがMFにてピントを合わせた時の検出デフォーカス量の変化を示すグラフの一例である。ここで、被写体に対してユーザーがカメラを向けた時の測距枠内の検出デフォーカス量が−10[Fδ]であったものとする。ここで用いている縦軸の単位[Fδ]は、検出デフォーカス量をF値及び許容錯乱円サイズδの値で割って規格化したものであり、ボケ量の指標となるものである。デフォーカス量を[Fδ]単位に換算することにより、F値や焦点距離によらず、ボケ量として一律に扱うことができる。上記のようにして算出した検出デフォーカス量及びその時のレンズ移動速度が、−10[Fδ]から0[Fδ]付近、つまりユーザーが合焦したと判断した時点まで記録される。
【0069】
なお、本実施形態では、デフォーカス量の単位として[Fδ]を用いているが、デフォーカス量の単位としては[mm]等、その他の単位を用いてもよい。
【0070】
記録する際のサンプリング周波数は、センサが信号を取得するフレームレートに依存する場合もあれば、測距演算の計算に要する時間に依存する場合もある。本実施形態では、センサのフレームレートが30Hzであることを想定し、30Hzの周期でデフォーカス量を検出するものとする。
【0071】
次いで、ステップS105及びステップS106において、このようにしてサンプリングされたMF時のレンズ移動速度及び検出デフォーカス量を元に、AF用レンズ駆動テーブルを作成する。その際、CPU121は、レンズ駆動情報作成手段として機能する。
【0072】
本実施形態で用いるAF用レンズ駆動テーブルは、検出デフォーカス量に対応したレンズ駆動速度の情報(レンズ駆動情報)を有するテーブルである。AF用レンズ駆動テーブルは、所定の範囲のデフォーカス量毎に、レンズ駆動速度を規定している。1つのテーブルに含まれる検出デフォーカス量とレンズ駆動速度との対応関係の数(以下、「テーブル段数」と呼ぶ)は、多いほど元のMFによるカーブにより近づくことは言うまでもない。ただし、撮像装置のメモリ量は限られているため、テーブル段数は撮像装置のメモリ量に応じて適宜設定することが望ましい。テーブル段数及び各段を規定する検出デフォーカス量の範囲は、ユーザーが設定できるようにしてもよい。本実施形態では、テーブル段数を4とした例を説明する。
【0073】
表1は、本実施形態において用いる検出デフォーカス量とレンズ駆動速度との対応関係を示したAF用レンズ駆動テーブルの一例である。
【表1】
【0074】
表1のAF用レンズ駆動テーブルによれば、検出デフォーカス量の絶対値が10[Fδ]以上の時、5[Fδ]以上10[Fδ]未満の時、2[Fδ]以上〜5[Fδ]未満の時、2[Fδ]未満の時、の4段階でレンズ駆動速度を設定することができる。
【0075】
まず、ステップS105において、AFの際に用いるレンズ駆動速度を算出する。AFの際に用いるレンズ駆動速度は、ステップS104においてサンプリングされた検出デフォーカス量とその時のレンズ移動速度とを元に算出される。
【0076】
AFの際に用いるレンズ駆動速度には、テーブルのそれぞれのデフォーカス範囲においてサンプリングされたレンズ移動速度の平均値を用いることができる。例えば、5[Fδ]〜10[Fδ]の時のレンズ駆動速度には、MF時の5[Fδ]〜10[Fδ]においてサンプリングされたレンズ移動速度の平均値を用いる。同様に、他のデフォーカス範囲におけるレンズ駆動速度についても、それぞれのMF時のレンズ移動速度の平均値を用いる。
【0077】
次いで、ステップS106において、このようにして算出した各デフォーカス範囲におけるレンズ移動速度の平均値を、デフォーカス範囲に対応づけてテーブルに入力することで、AF用レンズ駆動テーブルを作成する。
【0078】
このようにして作成されたAF用レンズ駆動テーブルの一例が、前述の表1に示したものである。このテーブルでは、レンズ駆動速度が、検出デフォーカス量が10Fδ以上の時は50mm/s、5Fδ〜10Fδの時は10mm/s、2Fδ〜5Fδの時は1mm/s、2Fδ未満の時は0.5mm/sとなっている。
【0079】
なお、AF用レンズ駆動テーブルは、1度のMFの際にサンプリングしたレンズ駆動速度から作成してもよいし、複数回のMFを行い、それぞれの試行時にサンプリングしたレンズ駆動速度の平均値から作成してもよい。
【0080】
このようにして作成されたAF用レンズ駆動テーブルを元に、サンプリング時と同様の被写体距離でAFを行った時のデフォーカス量の変化の様子を
図12に示す。図中、破線Aはサンプリングを行った時のMFのレンズ移動カーブを示しており、実線Bはそのサンプリング結果を元に作られたAF用レンズ駆動テーブルを用いてAFを行った時のレンズ駆動カーブである。
【0081】
このように、本実施形態の方法を用いて作成したAF用レンズ駆動テーブルを用いてAFを行うことにより、ユーザーがMFによりレンズ移動した時を模擬したレンズの動かし方をすることが可能となる。
【0082】
なお、ここで言うレンズ駆動速度とは、像面における焦点位置の光軸方向の移動速度のことを指しており、レンズ自体の速度は、レンズによって異なる係数を像面での焦点位置の移動速度に掛けたものとなる。
【0083】
また、レンズの駆動速度はレンズごとに限界値を有しており、ある所定の速度以上はメカ構造等の観点から出すことができず、また同様にある所定の速度以下も出すことができない。本実施形態では、ユーザーがMFによってレンズの駆動速度を指示するが、MF時の駆動速度が上限速度以上であったり下限速度以下であったりすると、AF用レンズ駆動テーブルを作成することができない。そのような場合においては、上限速度を超えている場合は上限速度を、また下限速度を下回っている場合には下限速度を設定することにより、AF用レンズ駆動テーブルを作成することができる。
【0084】
このように、本実施形態によれば、デフォーカス量とレンズ駆動速度との関係を規定するAF用レンズ駆動テーブルを用意し、このテーブルに基づいてレンズを駆動して被写体に合焦するので、ユーザーが所望する様々レンズ駆動を容易に実現することができる。
【0085】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図13乃至
図15を用いて説明する。
図1乃至
図12に示す第1実施形態による撮像装置及びその駆動方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0086】
図13は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すフローチャートである。
図14及び
図15は、本実施形態による撮像装置の駆動方法に用いるUI画面を示す図である。
【0087】
第1実施形態では、ユーザーがMFしたときのレンズ移動速度を元にAF用レンズ駆動テーブルを作成した。この方法は、普段MF操作に慣れているユーザーやプロカメラマン等にとっては、MFと同じようにAFすることができるため非常に有効な手法である。しかしながら、MF操作になれていないアマチュアユーザー等にとっては、却って難しい操作となり思い通りのテーブルを作成できない虞もある。そこで、本実施形態においては、アマチュアユーザー等でも容易にAF用レンズ駆動テーブルを作成できるようにした撮像装置及びその駆動方法について説明する。
【0088】
ユーザーは、AF時のレンズ駆動をカスタマイズしたい時に、第1実施形態と同様、カメラUIからレンズ駆動をカスタマイズするモードを選択する(ステップS201)。
【0089】
ユーザーがレンズ駆動カスタマイズモードを選択すると、続くステップS202において、カメラの表示装置131に、レンズ駆動速度を指示するためのUI画面が表示される。
【0090】
図14は、ユーザーによるレンズ駆動速度指示UIの一例を示したものである。
図14に示したカメラ(撮像装置100)の背面液晶部(表示装置131)には、
図12に示したような、時間を横軸に取り、デフォーカス量を縦軸に取ったレンズ駆動速度のカーブが示されている。
図14に示すUIでは、縦軸のデフォーカス量が3つの区間a,b,cに分けられており、各区間におけるレンズ駆動速度を、「速・中・遅」の中からそれぞれ選択できるようになっている。なお、ここでは説明を簡潔にするために3種類の速度の中から選択する例を示しているが、複数種類の中から選択できれば選択肢の数は何種類でもよい。また、ユーザーによるレンズ駆動速度指示UIは、
図15に示すような、スライドバー134などのUIによりレンズ駆動速度を選択するものでもよい。
【0091】
次いで、ステップS203において、ユーザーは、
図14に示すUIにおいて、区間a、区間b及び区間cにおけるレンズ駆動速度を、「速・中・遅」の中からそれぞれ選択する。
図15に示すUIを用いる場合は、区間a、区間b及び区間cに対応するスライドバー134をそれぞれ動かし、各区間におけるレンズ駆動速度を所望の値に設定する。
【0092】
図14に示すUIを用いる場合、少なくともUI画面上の選択肢の数だけレンズ駆動速度の設定値をカメラ内で保持しておき、選択された選択肢に応じたレンズ駆動速度をAF用レンズ駆動テーブルとして用いればよい。また、
図15に示すスライドバーのUIを用いる場合は、レンズ駆動速度の下限値及び上限値のデータを保持しておき、下限値と上限値との間の速度範囲から、スライドバー134にてユーザーが指示した位置を線形補間により換算して速度を算出すればよい。
【0093】
次いで、ステップS204において、ユーザーによって指定されたレンズ駆動速度を元にAF用レンズ駆動テーブルを作成する。AF時にこのAF用レンズ駆動テーブルを用いることにより、ユーザーが所望するレンズ駆動を実現することができる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、カメラUIを用いた簡単な操作により、ユーザーが所望するレンズ駆動を実現するAF用レンズ駆動テーブルを容易に作成することができる。また、このテーブルに基づいてレンズを駆動することにより、ユーザーが所望するレンズ駆動を容易に実現することができる。
【0095】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置及びその駆動方法について、
図16乃至
図18を用いて説明する。
図1乃至
図15に示す第1及び第2実施形態による撮像装置及びその駆動方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0096】
図16は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示すフローチャートである。
図17は、本実施形態による撮像装置の駆動方法において用いるUI画面の一例を示す図である。
図18は、本実施形態による撮像装置の駆動方法における指の動きとデフォーカス量の変化との関係を示す図である。
【0097】
本実施形態では、タッチパネルへのタッチ操作によってAF時のレンズ駆動速度を指示する方法を示す。
【0098】
まず、ユーザーは、AF時のレンズ駆動をカスタマイズしたい時に、第1及び第2実施形態と同様、カメラUIからレンズ駆動をカスタマイズするモードを選択する(ステップS301)。
【0099】
ユーザーがレンズ駆動カスタマイズモードを選択すると、続くステップS302において、カメラの表示装置131に、レンズ駆動速度を指示するためのUI画面が表示される。
【0100】
次いで、ステップS303において、ユーザーは、表示装置131に表示されたUI画面において被写体を2つ設定する。ここでは、
図17に示すように、表示装置131に2人の顔である被写体a及び被写体bを含む画像が表示されており、ユーザーは、2つの被写体としてこれら被写体a及び被写体bを指定したものとする。被写体a及び被写体bの指定は、表示装置131に表示された被写体a及び被写体bに対してユーザーがタッチ操作を行うことにより行うことができる。
【0101】
なお、ユーザーが選択する2つの被写体は、AF開始時に合焦している被写体と、AF終了時に合焦する被写体とに対応する。ここでは、AF開始時には被写体aに合焦しており、ユーザーが所望する速度でのレンズ駆動の後、被写体bに合焦させることを想定しているものとする。
【0102】
次いで、ステップS304において、カメラは、AFを用いて被写体bにピントを合わせる。
【0103】
次いで、ステップS305において、カメラは、被写体bにピントを合わせたときの被写体aにおけるデフォーカス量を検出する。このようにして、カメラは、被写体a及び被写体bの位置及び被写体aにおけるデフォーカス量を取得する。
【0104】
次いで、ステップS306において、被写体aから被写体bへと指でタッチパネルをなぞるようにとのユーザーに対する指示が、カメラの表示装置131等に表示される。
【0105】
次いで、ステップS307において、ユーザーは、ステップS306の指示に従い、被写体aから被写体bへとタッチパネル上で指を動かす(
図17参照)。ユーザーの指の動きは、例えば、被写体bに近づくにつれて減速していき、最終的に速度がゼロになって被写体bの位置で停止するものとする。ユーザーによる操作を検知したカメラは、タッチパネル上をなぞる指の速度変化を記録する。
【0106】
この時の指の動きの速度とデフォーカス量との関係を、
図18に示す。出発点である被写体aにおけるデフォーカス量を、ステップS304にて取得したデフォーカス量から、例として10[Fδ]とする。被写体bのデフォーカス量は、ユーザーがすでにピントを合わせてあるので、略0[Fδ]とする。
【0107】
次いで、ステップS308において、AF用レンズ駆動テーブルを作成する。ここでは一例として、第1実施形態と同様の、テーブル段数が4であるAF用レンズ駆動テーブルを想定する。このテーブルでは、表1に示したように、デフォーカス量が10[Fδ]以下、5[Fδ]以下、2[Fδ]以下のそれぞれのデフォーカス範囲で、それぞれレンズ駆動速度を設定している。そこで、
図18に示すように、それぞれのデフォーカス範囲における指の移動速度をレンズ駆動速度に変換し、テーブルに設定する。
【0108】
指の移動速度をレンズ駆動速度に変換するには、レンズ駆動速度と指の移動速度との対応関係をもたせたテーブルを予めカメラ内に持っていればよい。
【0109】
このように、本実施形態によれば、ユーザーが指で被写体にむけてタッチパネル上で指をなぞることにより、ユーザーが所望するレンズ駆動を実現するAF用レンズ駆動テーブルを容易に作成することができる。また、このテーブルに基づいてレンズを駆動することにより、ユーザーが所望するレンズ駆動を容易に実現することができる。
【0110】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0111】
例えば、上記第1乃至第3実施形態において、AF用レンズ駆動テーブルの作成方法の詳細を示したが、上記方法にて作成されるAF用レンズ駆動テーブルは、カメラ内に複数持っていてもよい。例えば、「レンズ駆動テーブルA」、「レンズ駆動テーブルB」、「レンズ駆動テーブルC」という3つのAF用レンズ駆動テーブルをカメラ内に保存することができる。ユーザーが撮影するシーンに応じてレンズ駆動テーブルA,B,Cのいずれかを選択すれば、シーンに応じたレンズ駆動を実施することが可能となる。
【0112】
また、上記第1乃至第3実施形態では、焦点検出手段として撮像面位相差AF方式を用いた例を示したが、焦点検出手段はこれに限定されるものではない。例えば、撮像面ではない専用の焦点検出用のセンサを用いて焦点検出を行ってもよいし、DFD(Depth From Defocus)方式を用いたものでもよい。つまり、デフォーカス量を検出することができる焦点検出手段であれば、本発明の方式を適用可能である。あらゆる方式において検出されたデフォーカス量とレンズ駆動速度とを用いて、上記第1乃至第3実施形態で示した方法によってAF用レンズ駆動テーブルを作成することができる。
【0113】
また、上記第1乃至第3実施形態では、所定のデフォーカス位置から合焦位置までレンズを駆動する場合を例に説明したが、同様の手法を用い、合焦位置から所定のデフォーカス位置までレンズを駆動するようにしてもよい。
【0114】
また、上記第1実施形態に示した撮像装置の構成は、一例を示したものであり、本発明を適用可能な撮像装置は
図1に示した構成に限定されるものではない。
【0115】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0116】
なお、上述した記録媒体は、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM以外の揮発性のメモリであってもよい。また、それらの組合せによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記憶媒体より構成されてもよい。
【0117】
また、上記各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して、この記憶媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。具体的には、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含む。
【0118】
また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。例えば、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発メモリ(RAM)も含む。これらは、一定時間プログラムを保持する記憶媒体である。
【0119】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0120】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0121】
また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体およびプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【0122】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。