【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例の農作業機は、農作物収穫機によって畑土内から掘り出して、再び畑の上に乾燥させていたじゃがいもを拾い上げて、良品の選別と土砂・不良農作物・根・茎・葉・土塊等を排除する作業に使用する農作業機の用途の実施例であり、農作物搬入コンベアは農作物拾い上げ装置(農作物拾い上げ機の前部でよく使用されている拾い上げの装置)であり、機体の進行側の前部に設ける。そして、農作業者は3名が椅子に座って、ゆっくり走行しながらじゃがいもを拾い上げてロ字状のパレット循環コンベアで良品の選別と、土砂・不良品等の排除作業を行う。又、農作物送り込み装置は、ブラシ付ベルトコンベアを斜めの配置位置と退却位置とに手動操作で切換えられ、ロ字状のパレット循環コンベアの中央下方に回収箱を初期的に上方開口を斜めに保持し、多くのじゃがいもが回収されるとその重みで回収箱は下降して上方開口は上向くようにし、下降してローラコンベアで回収箱を外へ移動できるように箱設置装置でもって可能としている。
更に、空の回収箱を積載して置く天井棚をロ字状のパレット循環コンベアの中央空間の内側に配置された支柱で保持して確保している。この支柱は、パレット循環コンベアの内側に設けることで、作業者の手が支柱で邪魔されないので、作業の支障となることがあまりない。
更に、農作物搬入コンベアとして畑の土に刺込まれる無端スラットコンベアと持ち上げコンベアからなる農作物拾い上げ装置を使用しているが、この農作物拾い上げ装置の無端スラットコンベアは左右の無端チェーン間に棒材のスラットを所定間隔あけて掛け渡したスダレ状無端ベルト帯の構造であり、無端チェーンの上・下の左右のリターンの外周に棒状スラットを係合する溝を設けた構造とし、しかも上側の左右のリターンの前記溝間の中間に棒状スラット間の石・土・葉等の詰り物・付着物を外方に押し出す押し出し棒を懸け渡したものを使用している。
【0019】
(図面の符号の説明)
Gは実施例の農作業機を示し、G
1は同農作業機を走行させる下部に設けたクローラ車部、G
2は農作業機Gの機体、G
3は運転操作部、G
4はエンジン及びその伝達機構部、G
5は前車輪である。Sはパレット循環コンベア、S
1はそのコンベアの略矩形状のパレット、S
2は隣接パレットは互に少し重なるようにパレットを連結して循環運動させる無端索体であって、その駆動動力はエンジン動力の一部を使用していて、その駆動装置は省略している。S
3はパレットS
1を下面で支える支持部材、S
4はパレットの左右からの農作物の落下を防止する縦ガイド板で、パレット循環コンベアの内側と外側に設けている。但し、ベルトコンベアFがあるパレット循環コンベアSの一辺の内側の縦ガイド板は取り除かれている。Fは農作物送り込み装置であるベルトコンベアであり、ベルト面を垂直にしてベルトの送り方向をパレット循環コンベアSの送り方向と斜向してパレットS
1上の農作物をパレット循環コンベアSの内側の中央空間へ移動させる農作物送り込み装置であるベルトコンベアである。F
1はその無端ベルト、F
2は同無端ベルトの駆動ローラ、F
3は無端ベルトF
1のリターンローラ、F
4は駆動ローラF
2を駆動するモータ、F
5は無端ベルトF
1の下部に一定ピッチで取付けられたパレット上の土・砂・汚れ等を清掃するブラシ、F
6はベルトコンベアFのコンベアフレーム、F
7はベルトコンベアFのパレット循環コンベアSの内側に設けた回動軸、F
8はベルトコンベアFを回動させる手動操作レバー、F
9はベルトコンベアFを退却位置に保持する退却位置で手動操作レバーと嵌合して退却位置を保持するレバー保持クランプ、F
91はコンベアフレームF
6の回動軸F
7近くに設けた斜交位置規制部材、F
92はベルトコンベアFを斜交位置にする機体G
2に固定されたストッパー部材、F
93はベルトコンベアFを斜交位置で保持する板バネ材であり、ベルトコンベアFの斜交位置ではコンベアフレームF
6の左側に突出させた斜交位置規制部材F
91が設定の斜交位置でストッパー部材F
92に当って停止する。斜交位置部材F
91はC字状に湾曲した板バネ材F
93を押圧して変形させて、ストッパー部材F
92に当る位置まで回転させる。斜交位置規制部材F
91はストッパー部材F
92と板バネ材F
93に挟まれて斜交位置を保持される。退却位置にする場合は、時計方向にコンベアフレームF
6を手で少し強く回動させると板バネ材F
93に抗して退却位置方向に回動できる。F
10はベルトコンベアFで誘導された農作物をパレット循環コンベアSの中央下方に配置される回収箱Bに向けて農作物を落下させる落下ガイド、F
101は同落下ガイドF
10の取付部材である。
【0020】
Hは回収箱Bをパレット循環コンベアSのロ字状の中央の空間下方に支持する箱設置装置であって、H
1はパレット循環コンベアSの中央下方に設置する空の回収箱Bをコンベア右外側から送り込むシュート板、H
2は回収箱Bを支持する上面と後面・右側面が開放された箱支持フレームであり、H
21は箱支持フレームH
2の底面に設けたローラで複数配置され、H
22は箱支持フレームH
2の左面・前面の拘束部材、H
23は箱支持フレームH
2の取付アーム、H
230は箱支持フレームH
2を傾斜できるようにする取付アームH
23の上方の枢支軸、H
24は同取付アームH
23を左方向に押圧して回収箱Bを傾ける付勢シリンダー、H
25は取付アームH
23を水平状態でロックする水平維持爪、H
26は同水平維持爪を解除する足レバー、H
27は箱支持フレームの下端に設けた水平維持爪H
25と係合する係止ピンであり、H
28はパレット循環コンベアSの後辺下方に設けた農作物を収容した回収箱Bをパレット循環コンベアSの外側へ排出するための補助ローラである。
Tはロ字状のパレット循環コンベアSの内側空間の上方に設けた空箱置の天井棚、T
1は同天井棚を支える支柱、Nは農作物搬入コンベアである農作物拾い上げ装置で、畑の中に先端が挿入される無端スラットコンベヤN
1と、同無端スラットコンベアN
1から農作物等を受けとって更に上方へ送る持ち上げコンベアN
2と、無端スラットコンベアN
1の前方のスプロケットN
13下端前方にハ字状に設けた排土板N
3を設けている。
そして、N
11は棒状のスラットN
12を使用したスラットコンベアN
1の無端スラット帯、N
13はその先端の左右一対のスプロケット、N
14は後方(上端)の左右一対のスプロケット、N
141は同スプロケットの外周に設けたスラットN
12と係合する溝、N
142は同溝間の位置で左右のスプロケットN
14間に架設した泥・小石・植物体の断片を押し出すための押出し材を設けている。N
15は無端スラットコンベアN
1を作動させる無端チェーンによる駆動部である。
【0021】
農作物をじゃがいもとする実施例の動作について説明する。
本農作業機Gを、畑の畦に沿ってクローラ車G
1を作動して走行する。畦の畑表土には、掘り上げられたじゃがいもが天日で乾燥されて置かれている。
農作業機Gの先端には、無端スラットコンベアN
1があって、その先端部は畑土に斜めに刺し込むように挿入され、しかもその無端スラット帯N
11が回送されながら機体G
2が走行することで、無端スラットコンベアN
1は機体の走行によって畑の上に置かれたじゃがいも及び小石・土の塊を一緒にすくい込んで、無端スラット帯N
11によって斜め上方へ移動させる。この間に小さい塊、小石、小さいじゃがいも等はスラットN
12の間から下方の畑の上に落下する。
この無端スラット帯N
11で上方へ移動したじゃがいもは、更に持ち上げコンベアN
2で持ち上げられ、パレット循環コンベアSへ投入される。
【0022】
投入されたじゃがいも・土塊・石等は、パレット循環コンベアSのパレットS
1の上に載って、ロ字状のコンベアに沿って送られる。このパレット循環コンベアSの外側には機体G
2に取付けられた椅子Cが3個設けられていて、作業者がこの椅子Cに乗ってパレット循環コンベアSで送られてくる良品のじゃがいも以外の石・土塊・葉・根等の植物体の断片及び不良な農作物を手でつまんで機外の畑へ排出する。又は、機体に置いたゴミ箱へ排出する。
【0023】
このように、パレット循環コンベアSで選別及び廃棄物の排出を行った後、農作物送り込み装置であるベルトコンベアFへじゃがいもが送られると、同ベルトコンベアFの無端ベルトF
1の垂直なベルト面に当って、そのベルト面の送り方向に誘導されて、パレット循環コンベアSのロ字状の内側空間へ落下ガイドF
10によって落下される。
【0024】
一方、パレット循環コンベアSの中央空間には箱設置装置Hがあって、ベルトコンベアFのある右辺下方にある空箱送りのシュート板H
1から空の回収箱Bが送られて、箱設置装置Hの箱支持フレームH
2内に収まる。
その後、足レバーH
26を足で踏んで水平維持爪H
25を係止ピンH
27から外す。
すると、付勢シリンダーH
24は箱支持フレームH
2を押し上げて、箱支持フレームH
2は取付アームH
23の上方の枢支軸H
230まわりに回転して、斜め状態に保持される。箱支持フレームH
2内の回収箱Bの上方開口は、落下ガイドF
10の方向に臨むように傾いている(
図3参照)。
【0025】
従って、ベルトコンベアFから誘導されて落下ガイドF
10で落下するじゃがいもは、傾いた回収箱Bの上方開口へ落ち込んで収容される。
収容されたじゃがいもが多く回収箱Bに入ると、その重みによる荷重で付勢シリンダーH
24の持ち上げトルクに抗して、水平方向に回転させて回収箱B及び箱支持フレームH
2を水平方向の姿勢となる(
図4参照)。水平になれば、ブザー(図示せず)の警報音が発生するようにしている。これで、ベルトコンベアFを回動して、その手動操作レバーF
8をレバー保持クランプF
9に係合して、ベルトコンベアFを退却位置に保持する。この位置にすることで、中央空間に農作物が落下しないようにして、農作物は空の回収箱Bが箱設置装置Hに設置されるまでの時間、パレットS
1上の農作物はパレット循環コンベアのパレットS
1の上にあって、巡回して落下しないようになっている。空の回収箱Bが箱設置装置Hに設置されてから、ベルトコンベアFを退却位置から斜交位置にする。これによって、農作物の落下が開始する。
【0026】
箱支持フレームH
2が水平になると、水平維持爪H
25は係止ピンH
27に係止し、箱支持フレームH
2は固定される。
この状態にして回収箱Bを少し後部を持ち上げるようにして、補助ローラH
28を滑らせて、回収箱Bをパレット循環コンベアSの外側へ引き出す。引き出した回収箱Bは畑の上に置くか又は機体G
2上に載せるかする。
【0027】
回収箱Bが一杯になって中央空間下方から引き出されると、次の天井棚Tにある空の回収箱Bを前記空箱送りのシュート板H
1から中央空間下方の箱支持フレームH
2内に送り込む。そして、ベルトコンベアFを斜交位置に戻す。
【0028】
ロ字状のパレット循環コンベアSの外周には、じゃがいもの選別・廃棄物(土塊・不良農作物・石等)の作業をする3名の作業員を配置できる。又、農作業機のクローラ車G
1の走行運転者は走行がゆっくりであるので、選別作業ができる。
よって、作業員として3名が椅子Cに座って作業でき、じゃがいもの拾い上げ速度を上げてもそれに対応できる選別作業能力を確保できる。
【0029】
しかも、回収箱Bはパレット循環コンベアSの中央下方空間が利用できるので、パレット循環コンベアSの左右辺に回収箱Bの設置空間・じゃがいもの落下空間及び回収箱の出入れのローラ空間を確保しないで済むので、パレット循環コンベアSの三辺外周に作業者の椅子を多く設ける空間が確保でき、作業性のよいものにできる。
【0030】
次に、パレット循環コンベアSの中央空間の上方に天井棚Tを設けたことで、軽量な空の回収箱Bを多く積載して移動できるようにした。
しかも、その天井棚Tを支える支柱T
1をパレット循環コンベアSの内側に設けたことによって、作業者の手が接触し易くて支障となっていた外側支柱がなくなって、作業の手の動きを広い範囲可能とし、作業能力を高める。
【0031】
加えて、本実施例では農作物拾い上げ装置Nの無端スラットコンベアN
1の上方の左右のスプロケットN
14はこの棒状のスラットN
12が係合する溝N
141の間の位置に押出し材N
142を架設したことで、無端スラット帯N
11で送られてくるつるの断片・石・土塊等がこのスプロケットN
14の位置でからんでスラットN
12間で詰ったり、固着しがちとなるが、スラットN
12の間に押出し材N
142がこのスラットN
12間の詰まり・固着物を外へ押し出すことで、この上方のスプロケットN
14での詰まり・固着物を排除して、無端スラット帯N
11によるじゃがいもの拾い上げとともに、小さな小石・土塊・植物片の付着物の排除力を高めている。
【0032】
以上の様に、本実施例によれば拾い上げたじゃがいもの選別・廃棄物の排除作業を高効率で行うことを可能にした。又、空回収箱の保有と農作物を収容した回収箱Bの出入れを容易にした。
又、パレット循環コンベアSから回収箱Bへじゃがいもの落下衝撃を回収箱Bを初期的には高く斜めにし、徐々に下降させることで和らげて、傷がつくことを少なくできる。