特許第6436865号(P6436865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436865
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 33/04 20060101AFI20181203BHJP
   A01D 21/00 20060101ALI20181203BHJP
   A01D 21/04 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   A01D33/04
   A01D21/00
   A01D21/04
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-130436(P2015-130436)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-12046(P2017-12046A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年1月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年4月24日・25日にJA農機大展示会(北さつま農協 畜産部薩摩中央家畜市場)にて展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000217240
【氏名又は名称】田中工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸広
【審査官】 小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−023808(JP,A)
【文献】 特開2004−121092(JP,A)
【文献】 実開昭58−092215(JP,U)
【文献】 特開2013−172684(JP,A)
【文献】 特開2014−050353(JP,A)
【文献】 特表平10−512796(JP,A)
【文献】 特開2011−092107(JP,A)
【文献】 実開昭63−013916(JP,U)
【文献】 実開昭53−112542(JP,U)
【文献】 米国特許第03525167(US,A)
【文献】 米国特許第04156465(US,A)
【文献】 登録実用新案第3009590(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D13/00−33/14
B07C 1/00−99/00
B65G45/00−45/26
B65G47/34−47/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畑を走行できる機体に、根菜類又は果実の農作物を上面に載せる水平なパレットを複数個連接してその連接された平面配列形状がロ字状となるように連結するととともに各パレットを配置したロ字状に沿って循環移動するように駆動させる駆動装置を設けた構造のパレット循環コンベアを設け、同パレット循環コンベアのパレット上に畑にある農作物を拾い上げて送り込む農作物拾い上げ装置を設け、又上記ロ字状のパレット循環コンベアの外側に農作物の選別作業・廃棄物の排除作業又は農作物加工処理作業を行う作業者の椅子を機体上に複数設けた農作業機において、
前記農作物拾い上げ装置はその下部に所定巾の棒材のスラットを所定間隔離して多数個連結して形成される無端スラット帯を前記スラットと係合する溝部を外周に有するスプロケットをリターン車として、前後の左右それぞれに配置するとともに、前方スプロケットを畑表土面近く又は畑表土より所定深さに位置するように設け、後方スプロケットを前方スプロケットより上方に配置させ、無端スラット帯を無端チェーンでもって回動させる駆動部を備えた構造の無端スラットコンベアを設けたものであって、しかも前記後方スプロケットは前記スラットと係合する溝を外周にスラットの間隔と同じピッチで設けるとともに、左右後方スプロケット車の溝の間の位置に左右の後方スプロケットを連接する押出し材を複数本取付けたことを特徴とする、農作業機。
【請求項2】
後方スプロケットに取付けた押出し材の外端位置は、溝に嵌合した無端スラット帯のスラットの外端位置よりスプロケットの軸心から半径方向に遠い位置にあるようにした、請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
前方の左右のスプロケットの更に前方位置にスプロケット及び無端チェーンに直接畑土が進入しないようにする左右一対の排土板をスプロケット車の前方にハ字状に配置した、請求項1又は2記載の農作業機。
【請求項4】
パレット循環コンベアで囲まれる内側空間の下方に農作物の回収箱を支持し且つ同回収箱をロ字状のパレット循環コンベアの内側下方からロ字状の領域外へ又はその逆方向に水平に出入可能に保持する箱設置装置を設け、パレット循環コンベアの途中にパレット上の農作物を前記の内側空間の下方の回収箱へ落下させる農作物送り込み装置を設けたことを特徴とする、請求項1〜3いずれか記載の農作業機。
【請求項5】
農作物送り込み装置は、そのベルト面が略垂直であるベルトコンベアをパレット循環コンベアのパレット上面の農作物の送り方向とそのベルトコンベアのベルト送り方向が斜交するように配置され、パレット上の農作物をベルトコンベアのベルト面でパレット循環コンベアの内側空間へ誘導するように送る構造である、請求項4記載の農作業機。
【請求項6】
前記ベルトコンベアのベルト面は、パレット循環コンベアの送り方向と斜交する位置と、パレット上の農作物の通過の障害とならない退却位置との2つの位置に手動切換手段で切換え可能とした構造である、請求項5記載の農作業機。
【請求項7】
前記ベルトコンベアは、そのフレームの一端がパレット循環コンベアのコンベア路の路外で枢支されてそのベルト面がパレット循環コンベアの送り方向と斜交する状態のフレーム角度と、ベルトコンベアのベルト面がパレット循環コンベアのコンベア路外の退却位置となるフレーム角度とに手動操作で切換えられて、その角度位置にフレームを保持できる保持手段を備えた、請求項6記載の農作業機。
【請求項8】
前記ベルトコンベアは、そのベルト下端に下方を通過するパレットの上面を掃くブラシを所定間隔離して複数取付けた、請求項5〜7いずれか記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉ねぎ,じゃがいも等の根菜類又は草木に実った果実等農作物を走行しながら取り込んで、その機体に乗った作業員によって根菜類・果実等の農作物を選別し、土砂・不良品・葉等を排出して、良品の農作物を回収箱に集める作業を行う農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉ねぎ,じゃがいも等の農作物を収穫農作業機で畑土から掘り出して、畑表土上に乾燥の為に置いた後、農作業機の前方に設けた農作物拾い上げ装置で農作物を走行しながら拾い上げて、後部に設けたロ字状に配置したパレット循環コンベアに送り込む。一方、作業員は機体に設けた椅子に座って、ロ字状のパレット循環コンベアで送られる農作物・土砂等から農作物を選別する作業を行い、良品は下方に置かれた回収箱へパレットから落下させて集めるようにしていた。又、パレット循環コンベアに農作物とともに混ってくる土塊・砂・石・不良農作物・葉・茎の植物体の一部はパレットから排除して捨てる作業を行う。これら農作業機とその作業方法は、特許文献1,2に開示されている。
【0003】
しかしながら、文献1,2の発明ではロ字状のパレット循環コンベアで回収する良品は、パレット循環コンベアで一巡する手前のコンベア辺でパレットの外側を強制的に低くして傾斜させ、パレットの上の農作物を外側に落下して、下方の回収箱に集めるものである。
しかしながら、循環している水平なパレットをこの落下させる辺で外側縁が下方になるように傾けると、農作物が手前の水平なパレットと傾いたパレットの間に挟まれて落下せずに農作物を傷つけ破損したり、循環コンベアの円滑な循環運動を阻害していた。又、この落下辺の外側下方に農作物の落下空間と回収箱とその出入れのローラコンベアがあるため、この辺には運転席又は作業者の椅子の配置が難しかった。
【0004】
又、従来の農作物拾い上げ装置は、棒状のスラットを一定ピッチでリンクチェーンでもって連結した無端スラット帯を上下のスプロケット間に傾斜状に懸架し、下方のスプロケットを畑の表土へ浅く刺し込む構造の無端スラットコンベアと、同無端スラットコンベアで畑から拾い上げられた農作物を更に高くまで持ち上げてパレット循環コンベアへ投入する持ち上げコンベアとから構成されている。
畑から拾い上げられた農作物は、畑の土塊・石・砂・茎・葉・根等の植物体片も一緒に無端スラットコンベア及び持ち上げコンベアで後方上方へ送られる。その搬送の間に小さい砂・土・土塊・植物体片の大部分は、スラットの間の空隙から下方に落下しながら農作物は送られていく。しかし、スラットに植物体がからんで付着したり、大きな植物片・石等又は小さめの農作物がスラット間に嵌まったり、又は詰ったり、付着したりすることが生じる。
【0005】
このような物がスラットに付着したりスラット間に挟まってしまうと、無端スラットコンベアの回動の支障となり、又スラット間からの小さな小石・土等の落下が阻害され、パレット循環コンベアに農作物以外の土塊・植物体片が多く混って投入し、パレット循環コンベアでの選別作業の負担となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−23852号公報
【特許文献2】特開2015−23808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、畑上に置かれた農作物を拾い上げる農作物拾い上げ装置の下段の無端スラットコンベアのスラットに付着した植物体片又はスラット間に挟まれて固着状態となった石・小さな農作物・土塊によってスラットコンベアの送りが悪くなることを少なくし、又スラットの間隙を確保して無端スラットコンベアの途中で砂・畑土・小石等がスラット間から確実に落下させて、農作物のみの搬送に近づけることにある。
次の課題は、ロ字状のパレット循環コンベアの三辺に作業者の椅子を配置して、三辺の3名の作業員で選別・廃棄物排出作業及び機体の運転ができるようにして、農作物のこれら作業を畑で走行しながら効率的に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 畑を走行できる機体に、根菜類又は果実の農作物を上面に載せる水平なパレットを複数個連接してその連接された平面配列形状がロ字状となるように連結するととともに各パレットを配置したロ字状に沿って循環移動するように駆動させる駆動装置を設けた構造のパレット循環コンベアを設け、同パレット循環コンベアのパレット上に畑にある農作物を拾い上げて送り込む農作物拾い上げ装置を設け、又上記ロ字状のパレット循環コンベアの外側に農作物の選別作業・廃棄物の排除作業又は農作物加工処理作業を行う作業者の椅子を機体上に複数設けた農作業機において、
前記農作物拾い上げ装置はその下部に所定巾の棒材のスラットを所定間隔離して多数個連結して形成される無端スラット帯を前記スラットと係合する溝部を外周に有するスプロケットをリターン車として、前後の左右それぞれに配置するとともに、前方スプロケットを畑表土面近く又は畑表土より所定深さに位置するように設け、後方スプロケットを前方スプロケットより上方に配置させ、無端スラット帯を無端チェーンでもって回動させる駆動部を備えた構造の無端スラットコンベアを設けたものであって、しかも前記後方スプロケットは前記スラットと係合する溝を外周にスラットの間隔と同じピッチで設けるとともに、左右後方スプロケット車の溝の間の位置に左右の後方スプロケットを連接する押出し材を複数本取付けたことを特徴とする、農作業機
2) 後方スプロケットに取付けた押出し材の外端位置は、溝に嵌合した無端スラット帯のスラットの外端位置よりスプロケットの軸心から半径方向に遠い位置にあるようにした、前記1)記載の農作業機
3) 前方の左右のスプロケットの更に前方位置にスプロケット及び無端チェーンに直接畑土が進入しないようにする左右一対の排土板をスプロケット車の前方にハ字状に配置した、前記1)又は2)記載の農作業機
4) パレット循環コンベアで囲まれる内側空間の下方に農作物の回収箱を支持し且つ同回収箱をロ字状のパレット循環コンベアの内側下方からロ字状の領域外へ又はその逆方向に水平に出入可能に保持する箱設置装置を設け、パレット循環コンベアの途中にパレット上の農作物を前記の内側空間の下方の回収箱へ落下させる農作物送り込み装置を設けたことを特徴とする、前記1)〜3)いずれか記載の農作業機
5) 農作物送り込み装置は、そのベルト面が略垂直であるベルトコンベアをパレット循環コンベアのパレット上面の農作物の送り方向とそのベルトコンベアのベルト送り方向が斜交するように配置され、パレット上の農作物をベルトコンベアのベルト面でパレット循環コンベアの内側空間へ誘導するように送る構造である、前記4)記載の農作業機
6) 前記ベルトコンベアのベルト面は、パレット循環コンベアの送り方向と斜交する位置と、パレット上の農作物の通過の障害とならない退却位置との2つの位置に手動切換手段で切換え可能とした構造である、前記5)記載の農作業機
7) 前記ベルトコンベアは、そのフレームの一端がパレット循環コンベアのコンベア路の路外で枢支されてそのベルト面がパレット循環コンベアの送り方向と斜交する状態のフレーム角度と、ベルトコンベアのベルト面がパレット循環コンベアのコンベア路外の退却位置となるフレーム角度とに手動操作で切換えられて、その角度位置にフレームを保持できる保持手段を備えた、前記6)記載の農作業機
8) 前記ベルトコンベアは、そのベルト下端に下方を通過するパレットの上面を掃くブラシを所定間隔離して複数取付けた、前記5)〜7)いずれか記載の農作業機
にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無端スラットコンベアの上方の左右のスプロケットのスラットと係合する溝との間の位置に押出し材を連接したことで、この押出し材がスラットに付着した又はスラット間に挟まれた植物体片・石・土塊を上方のスプロケットの位置で強制排除し、これらの物の付着・固着をなくして円滑に無端スラットコンベアを作動させる。又、スラット間の間隙を確保して、小石・土・小さな農作物・植物体片を落下させることを確実にできる。
【0010】
更に、ロ字状のパレット循環コンベアの中央下方に農作物を回収する回収箱を設置できることで、農作物の落下空間及び回収箱の設置空間を中央下方に移動して、外辺空間をあけてロ字状のパレット循環コンベアの外周に作業者の椅子を3個配置できるようにして作業性を高めた。
【0011】
農作物送り込み装置として、ベルトコンベアを斜交して配置することで、農作物を自然に内側空間の方向に誘導して回収箱へ落下させられる。又、ベルトコンベアが斜交位置と退却位置に手動で切換えられるものでは、農作物を一巡又は二巡させて、より高い品質の作業を可能にしている。又、農作物で満杯とした回収箱を排出して空の回収箱を中央下方に設置する間、農作物が落下しないようにできる。
【0012】
ロ字状パレット循環コンベアの内側空間に天井棚の支柱を設けたものでは、支柱が内側にあることで作業の手の動きを制約することなく作業性をよくする。更に、天井棚には空の回収箱を置くスペースを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例の側面図である。
図2図2は、実施例の平面図である。
図3図3は、実施例の回収箱傾斜状態を示す箱設置装置の説明図である。
図4図4は、実施例の回収箱水平状態を示す箱設置装置の説明図である。
図5図5は、実施例の箱支持フレームの底面を示す説明図である。
図6図6は、実施例の回収箱の排出を示す説明図である。
図7図7は、実施例のパレット循環コンベアを示す平面図である。
図8図8は、実施例のパレットを示す説明図である。
図9図9は、実施例の農作物送り込み装置のベルトコンベアを示す平面図である。
図10図10は、実施例のベルトコンベアのブラシの取付状態を示す説明図である。
図11図11は、実施例の無端ベルトコンベアの上方スプロケットの押出し材を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の農作物搬入コンベアは、本発明のパレット循環コンベアへ農作物を連続的に送り込む手段であり、農作物が畑表土上に乾燥の為に置かれたものを拾い上げて処理する場合は、農作業拾い上げ装置となる。又、本発明の農作業機を畑の上で走行させないで停車させて、農作物の選別・農作物の加工作業を行うこともできる。この場合、ベルトコンベア・ローラコンベアで作業対象となる農作物を送り込むことになる。
【0015】
農作物送り込み装置は、実施例の如く斜めに配置したベルト面を垂直にしたベルトコンベアの他に、斜め配置できるスクレーパー板でもよく、あるいはパレットを内側が低く傾けるようにする機能であってもよい。
【0016】
本発明の農作業機の走行は、大型タイヤ等の車輪でもよいし、クローラ車で畑を走行させてもよい。
又、パレット循環コンベアのパレットは農作物を複数個乗せても変形変位しにくい素材と厚みのものにする。又、そのパレット同士は互に一部重なるように連接し、コーナーでもパレット同士の重なりが失われないようにするのがよい。
【0017】
本発明における箱設置装置への回収箱の出入れは、機体のパレット循環コンベアの側辺から空の回収箱を送り込んで、農作物を充満した回収箱を後方へ引き出すようにしてもよいし、後方から空の回収箱を送り込み、満杯となったら後方へ排出するようにしてもよい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例の農作業機は、農作物収穫機によって畑土内から掘り出して、再び畑の上に乾燥させていたじゃがいもを拾い上げて、良品の選別と土砂・不良農作物・根・茎・葉・土塊等を排除する作業に使用する農作業機の用途の実施例であり、農作物搬入コンベアは農作物拾い上げ装置(農作物拾い上げ機の前部でよく使用されている拾い上げの装置)であり、機体の進行側の前部に設ける。そして、農作業者は3名が椅子に座って、ゆっくり走行しながらじゃがいもを拾い上げてロ字状のパレット循環コンベアで良品の選別と、土砂・不良品等の排除作業を行う。又、農作物送り込み装置は、ブラシ付ベルトコンベアを斜めの配置位置と退却位置とに手動操作で切換えられ、ロ字状のパレット循環コンベアの中央下方に回収箱を初期的に上方開口を斜めに保持し、多くのじゃがいもが回収されるとその重みで回収箱は下降して上方開口は上向くようにし、下降してローラコンベアで回収箱を外へ移動できるように箱設置装置でもって可能としている。
更に、空の回収箱を積載して置く天井棚をロ字状のパレット循環コンベアの中央空間の内側に配置された支柱で保持して確保している。この支柱は、パレット循環コンベアの内側に設けることで、作業者の手が支柱で邪魔されないので、作業の支障となることがあまりない。
更に、農作物搬入コンベアとして畑の土に刺込まれる無端スラットコンベアと持ち上げコンベアからなる農作物拾い上げ装置を使用しているが、この農作物拾い上げ装置の無端スラットコンベアは左右の無端チェーン間に棒材のスラットを所定間隔あけて掛け渡したスダレ状無端ベルト帯の構造であり、無端チェーンの上・下の左右のリターンの外周に棒状スラットを係合する溝を設けた構造とし、しかも上側の左右のリターンの前記溝間の中間に棒状スラット間の石・土・葉等の詰り物・付着物を外方に押し出す押し出し棒を懸け渡したものを使用している。
【0019】
(図面の符号の説明)
Gは実施例の農作業機を示し、Gは同農作業機を走行させる下部に設けたクローラ車部、Gは農作業機Gの機体、Gは運転操作部、Gはエンジン及びその伝達機構部、Gは前車輪である。Sはパレット循環コンベア、Sはそのコンベアの略矩形状のパレット、Sは隣接パレットは互に少し重なるようにパレットを連結して循環運動させる無端索体であって、その駆動動力はエンジン動力の一部を使用していて、その駆動装置は省略している。SはパレットSを下面で支える支持部材、Sはパレットの左右からの農作物の落下を防止する縦ガイド板で、パレット循環コンベアの内側と外側に設けている。但し、ベルトコンベアFがあるパレット循環コンベアSの一辺の内側の縦ガイド板は取り除かれている。Fは農作物送り込み装置であるベルトコンベアであり、ベルト面を垂直にしてベルトの送り方向をパレット循環コンベアSの送り方向と斜向してパレットS上の農作物をパレット循環コンベアSの内側の中央空間へ移動させる農作物送り込み装置であるベルトコンベアである。Fはその無端ベルト、Fは同無端ベルトの駆動ローラ、Fは無端ベルトFのリターンローラ、Fは駆動ローラFを駆動するモータ、Fは無端ベルトFの下部に一定ピッチで取付けられたパレット上の土・砂・汚れ等を清掃するブラシ、FはベルトコンベアFのコンベアフレーム、FはベルトコンベアFのパレット循環コンベアSの内側に設けた回動軸、FはベルトコンベアFを回動させる手動操作レバー、FはベルトコンベアFを退却位置に保持する退却位置で手動操作レバーと嵌合して退却位置を保持するレバー保持クランプ、F91はコンベアフレームFの回動軸F近くに設けた斜交位置規制部材、F92はベルトコンベアFを斜交位置にする機体Gに固定されたストッパー部材、F93はベルトコンベアFを斜交位置で保持する板バネ材であり、ベルトコンベアFの斜交位置ではコンベアフレームFの左側に突出させた斜交位置規制部材F91が設定の斜交位置でストッパー部材F92に当って停止する。斜交位置部材F91はC字状に湾曲した板バネ材F93を押圧して変形させて、ストッパー部材F92に当る位置まで回転させる。斜交位置規制部材F91はストッパー部材F92と板バネ材F93に挟まれて斜交位置を保持される。退却位置にする場合は、時計方向にコンベアフレームFを手で少し強く回動させると板バネ材F93に抗して退却位置方向に回動できる。F10はベルトコンベアFで誘導された農作物をパレット循環コンベアSの中央下方に配置される回収箱Bに向けて農作物を落下させる落下ガイド、F101は同落下ガイドF10の取付部材である。
【0020】
Hは回収箱Bをパレット循環コンベアSのロ字状の中央の空間下方に支持する箱設置装置であって、Hはパレット循環コンベアSの中央下方に設置する空の回収箱Bをコンベア右外側から送り込むシュート板、Hは回収箱Bを支持する上面と後面・右側面が開放された箱支持フレームであり、H21は箱支持フレームHの底面に設けたローラで複数配置され、H22は箱支持フレームHの左面・前面の拘束部材、H23は箱支持フレームHの取付アーム、H230は箱支持フレームHを傾斜できるようにする取付アームH23の上方の枢支軸、H24は同取付アームH23を左方向に押圧して回収箱Bを傾ける付勢シリンダー、H25は取付アームH23を水平状態でロックする水平維持爪、H26は同水平維持爪を解除する足レバー、H27は箱支持フレームの下端に設けた水平維持爪H25と係合する係止ピンであり、H28はパレット循環コンベアSの後辺下方に設けた農作物を収容した回収箱Bをパレット循環コンベアSの外側へ排出するための補助ローラである。
Tはロ字状のパレット循環コンベアSの内側空間の上方に設けた空箱置の天井棚、Tは同天井棚を支える支柱、Nは農作物搬入コンベアである農作物拾い上げ装置で、畑の中に先端が挿入される無端スラットコンベヤNと、同無端スラットコンベアNから農作物等を受けとって更に上方へ送る持ち上げコンベアNと、無端スラットコンベアNの前方のスプロケットN13下端前方にハ字状に設けた排土板Nを設けている。
そして、N11は棒状のスラットN12を使用したスラットコンベアNの無端スラット帯、N13はその先端の左右一対のスプロケット、N14は後方(上端)の左右一対のスプロケット、N141は同スプロケットの外周に設けたスラットN12と係合する溝、N142は同溝間の位置で左右のスプロケットN14間に架設した泥・小石・植物体の断片を押し出すための押出し材を設けている。N15は無端スラットコンベアNを作動させる無端チェーンによる駆動部である。
【0021】
農作物をじゃがいもとする実施例の動作について説明する。
本農作業機Gを、畑の畦に沿ってクローラ車Gを作動して走行する。畦の畑表土には、掘り上げられたじゃがいもが天日で乾燥されて置かれている。
農作業機Gの先端には、無端スラットコンベアNがあって、その先端部は畑土に斜めに刺し込むように挿入され、しかもその無端スラット帯N11が回送されながら機体Gが走行することで、無端スラットコンベアNは機体の走行によって畑の上に置かれたじゃがいも及び小石・土の塊を一緒にすくい込んで、無端スラット帯N11によって斜め上方へ移動させる。この間に小さい塊、小石、小さいじゃがいも等はスラットN12の間から下方の畑の上に落下する。
この無端スラット帯N11で上方へ移動したじゃがいもは、更に持ち上げコンベアNで持ち上げられ、パレット循環コンベアSへ投入される。
【0022】
投入されたじゃがいも・土塊・石等は、パレット循環コンベアSのパレットSの上に載って、ロ字状のコンベアに沿って送られる。このパレット循環コンベアSの外側には機体Gに取付けられた椅子Cが3個設けられていて、作業者がこの椅子Cに乗ってパレット循環コンベアSで送られてくる良品のじゃがいも以外の石・土塊・葉・根等の植物体の断片及び不良な農作物を手でつまんで機外の畑へ排出する。又は、機体に置いたゴミ箱へ排出する。
【0023】
このように、パレット循環コンベアSで選別及び廃棄物の排出を行った後、農作物送り込み装置であるベルトコンベアFへじゃがいもが送られると、同ベルトコンベアFの無端ベルトFの垂直なベルト面に当って、そのベルト面の送り方向に誘導されて、パレット循環コンベアSのロ字状の内側空間へ落下ガイドF10によって落下される。
【0024】
一方、パレット循環コンベアSの中央空間には箱設置装置Hがあって、ベルトコンベアFのある右辺下方にある空箱送りのシュート板Hから空の回収箱Bが送られて、箱設置装置Hの箱支持フレームH内に収まる。
その後、足レバーH26を足で踏んで水平維持爪H25を係止ピンH27から外す。
すると、付勢シリンダーH24は箱支持フレームHを押し上げて、箱支持フレームHは取付アームH23の上方の枢支軸H230まわりに回転して、斜め状態に保持される。箱支持フレームH内の回収箱Bの上方開口は、落下ガイドF10の方向に臨むように傾いている(図3参照)。
【0025】
従って、ベルトコンベアFから誘導されて落下ガイドF10で落下するじゃがいもは、傾いた回収箱Bの上方開口へ落ち込んで収容される。
収容されたじゃがいもが多く回収箱Bに入ると、その重みによる荷重で付勢シリンダーH24の持ち上げトルクに抗して、水平方向に回転させて回収箱B及び箱支持フレームHを水平方向の姿勢となる(図4参照)。水平になれば、ブザー(図示せず)の警報音が発生するようにしている。これで、ベルトコンベアFを回動して、その手動操作レバーFをレバー保持クランプFに係合して、ベルトコンベアFを退却位置に保持する。この位置にすることで、中央空間に農作物が落下しないようにして、農作物は空の回収箱Bが箱設置装置Hに設置されるまでの時間、パレットS上の農作物はパレット循環コンベアのパレットSの上にあって、巡回して落下しないようになっている。空の回収箱Bが箱設置装置Hに設置されてから、ベルトコンベアFを退却位置から斜交位置にする。これによって、農作物の落下が開始する。
【0026】
箱支持フレームHが水平になると、水平維持爪H25は係止ピンH27に係止し、箱支持フレームHは固定される。
この状態にして回収箱Bを少し後部を持ち上げるようにして、補助ローラH28を滑らせて、回収箱Bをパレット循環コンベアSの外側へ引き出す。引き出した回収箱Bは畑の上に置くか又は機体G上に載せるかする。
【0027】
回収箱Bが一杯になって中央空間下方から引き出されると、次の天井棚Tにある空の回収箱Bを前記空箱送りのシュート板Hから中央空間下方の箱支持フレームH内に送り込む。そして、ベルトコンベアFを斜交位置に戻す。
【0028】
ロ字状のパレット循環コンベアSの外周には、じゃがいもの選別・廃棄物(土塊・不良農作物・石等)の作業をする3名の作業員を配置できる。又、農作業機のクローラ車Gの走行運転者は走行がゆっくりであるので、選別作業ができる。
よって、作業員として3名が椅子Cに座って作業でき、じゃがいもの拾い上げ速度を上げてもそれに対応できる選別作業能力を確保できる。
【0029】
しかも、回収箱Bはパレット循環コンベアSの中央下方空間が利用できるので、パレット循環コンベアSの左右辺に回収箱Bの設置空間・じゃがいもの落下空間及び回収箱の出入れのローラ空間を確保しないで済むので、パレット循環コンベアSの三辺外周に作業者の椅子を多く設ける空間が確保でき、作業性のよいものにできる。
【0030】
次に、パレット循環コンベアSの中央空間の上方に天井棚Tを設けたことで、軽量な空の回収箱Bを多く積載して移動できるようにした。
しかも、その天井棚Tを支える支柱Tをパレット循環コンベアSの内側に設けたことによって、作業者の手が接触し易くて支障となっていた外側支柱がなくなって、作業の手の動きを広い範囲可能とし、作業能力を高める。
【0031】
加えて、本実施例では農作物拾い上げ装置Nの無端スラットコンベアNの上方の左右のスプロケットN14はこの棒状のスラットN12が係合する溝N141の間の位置に押出し材N142を架設したことで、無端スラット帯N11で送られてくるつるの断片・石・土塊等がこのスプロケットN14の位置でからんでスラットN12間で詰ったり、固着しがちとなるが、スラットN12の間に押出し材N142がこのスラットN12間の詰まり・固着物を外へ押し出すことで、この上方のスプロケットN14での詰まり・固着物を排除して、無端スラット帯N11によるじゃがいもの拾い上げとともに、小さな小石・土塊・植物片の付着物の排除力を高めている。
【0032】
以上の様に、本実施例によれば拾い上げたじゃがいもの選別・廃棄物の排除作業を高効率で行うことを可能にした。又、空回収箱の保有と農作物を収容した回収箱Bの出入れを容易にした。
又、パレット循環コンベアSから回収箱Bへじゃがいもの落下衝撃を回収箱Bを初期的には高く斜めにし、徐々に下降させることで和らげて、傷がつくことを少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の農作業機は、じゃがいもの他に玉ねぎ、にんにく、こんにゃく、さといも、人参、大根等の根菜類及び果樹園で収穫されたなし、リンゴ、キウイ、いちご、トマト等の等級選別作業にも活用できる。
【符号の説明】
【0034】
G 実施例の農作業機
クローラ車
機体
運転操作部
エンジン及びその伝達機構部
S パレット循環コンベア
パレット
無端索体
支持部材
縦ガイド板
B 回収箱
C 椅子
F ベルトコンベア(農作物送り込み装置)
無端ベルト
駆動ローラ
リターンローラ
モータ
ブラシ
コンベアフレーム
回動軸
手動操作レバー
レバー保持クランプ
91 斜交位置規制部材
92 ストッパー部材
93 板バネ材
10 落下ガイド
101 取付部材
H 箱設置装置
シュート板
箱支持フレーム
21 ローラ
22 拘束部材
23 取付アーム
230 枢支軸
24 付勢シリンダー
25 水平維持爪
26 足レバー
27 係止ピン
28 補助ローラ
T 天井棚
支柱
N 農作物拾い上げ装置(農作物搬入コンベア)
無端スラットコンベア
11 無端スラット帯
12 棒状のスラット
13 スプロケット
14 スプロケット
141
142 押出し材
15 駆動部
持ち上げコンベア
排土板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11