(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436907
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】経皮蛍光測定のための粘着型機能性ストリップ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
A61B5/1455
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-531463(P2015-531463)
(86)(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公表番号】特表2015-533886(P2015-533886A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】DE2013000499
(87)【国際公開番号】WO2014040580
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年8月12日
(31)【優先権主張番号】102012018076.4
(32)【優先日】2012年9月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515069912
【氏名又は名称】ローマン ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】515069923
【氏名又は名称】グレッツ、 ノルベルト
(73)【特許権者】
【識別番号】515069934
【氏名又は名称】ショック‐カッシュ、 ダニエル
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】グレッツ、 ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ショック‐カッシュ、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーバーツ、 ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ニッテンヴィルム、 ラルフ
【審査官】
澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−225215(JP,A)
【文献】
実開平05−086304(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0032721(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/02−5/03,5/1455
C09J1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップに固定されたセンサを用いる、一般的な器官機能または代謝器官障害の経皮蛍光測定のための粘着型機能性ストリップであって、以下の層:
・皮膚への適用に関して適しており承認されている感圧粘着剤コーティングを両面に施した、支持体を有しない透明な転写粘着ストリップまたは透明粘着テープ
・透明なフィルム
・複数の窓を備えた少なくとも1つの光吸収性感圧粘着層
・安定化用透明カバー
の積層物から実質的に構成されている、粘着型機能性ストリップ。
【請求項2】
周状のシールフレームが、皮膚から離れたその面に適用されており、
前記フレームは、前記センサの適用の前に取り付けられる別個のシールフレームとして、または、前記センサに接続されており従って前記センサの適用と同時に固定されるシールフレームとして存在してもよい、
請求項1に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項3】
皮膚への適用に関して適しており承認されている前記感圧粘着剤コーティングが、アクリレート系、シリコーン系またはゴム系の粘着剤を含む、請求項1に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光吸収性感圧粘着層が、アクリレート系、シリコーン系またはゴム系の粘着剤であって、煤で着色されており従って黒色である粘着剤から構成されている、請求項1に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項5】
前記光吸収性感圧粘着層が、アクリレート系、シリコーン系またはゴム系の粘着剤であって、煤で着色されており従って黒色である粘着剤を両面に備えた、支持体を有する粘着テープの形態で存在する、請求項1または請求項3に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項6】
前記周状のシールフレームが、アクリレート系、シリコーン系またはゴム系の粘着剤で両面がコーティングされている発泡体から構成されている、請求項2に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項7】
複数の前記窓が、打抜プロセスによって作製される、請求項1に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項8】
数回再使用されることのできるものであるか、または1回使用後に処分されるものである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項9】
特に糸球体濾過率(GFR)の経皮測定のために使用される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の粘着型機能性ストリップ。
【請求項10】
肝臓、心臓または膵臓の機能の経皮測定のために、あるいは、ラクテート値またはグルコース値を測定するために使用される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の粘着型機能性ストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば腎臓、肝臓、心臓、膵臓および筋肉(ラクテート)の代謝器官障害および一般的な器官機能を測定するための機能性パッチに関し、特に、本発明は糸球体濾過率(GFR)の測定に関し、また、この種の機能性パッチを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糸球体濾過率は、規定された単位時間中に測定された、両方の腎臓の糸球体(毛細血管の集まり)による原尿の総量、すなわち、腎臓の灌流によって腎小体により形成される、主にタンパク質を含まない非濃縮尿の量を示す。これらは、正常な血圧測定値をもつヒトに関して、約0.12リットル/分または約170リットル/日である。GFRは、年齢が上昇するとともに生理学的に、または多種多様な種類の腎疾患の場合に病理学的に低下する。GFRは、腎機能を評価するための最も重要な量である。日常的な診療では、それはクレアチニン・クリアランスを測定することによってほぼ決定される。単位時間あたりに特定の物質が除去される血漿のその量を「クリアランス」と呼ぶ。GFRを測定することを可能にするために、マーカー物質、すなわち、特定の半減期で器官から除去され、腎臓の尿細管系で分泌も再吸収もされない物質のクリアランスが観察される。ここで、注射または注入によって外部から身体に供給される外因性マーカーと、体内で自然に産生される内因性マーカーとが区別される。最初に名付けた群のうち、好ましくは、生理的に不活性な多糖であるイヌリンが指標物質として使用される。あるいは、しかし今日では例えば造影剤および放射能で標識した物質も外因性マーカー物質として使用される。しかし、一方ではイヌリンは測定することが困難であり、他方では手順全体がかなり多額の費用を必要とするため、マーカー物質によるクリアランスの測定は、概して科学的調査の枠内でのみ行われる。
【0003】
臨床および外来の日常的な診断のために相当に低い費用を必要とし、そのために日常的な診療でも優先して使用されるマーカーは、例えば、尿を経由して、従って腎臓を経由して排泄されねばならない代謝産物であるクレアチニン、または体内で自然に産生されるタンパク質であるシスタチンCなどの内因性マーカーである。
【0004】
本発明に従う新規な機能性パッチは、経皮蛍光測定の原理の枠内で使用される。この場合、まず第1に患者は1つの器官に特異的な蛍光指標物質を注射される。この種類の指標物質は、経皮蛍光測定によって光学的に検出することのできる染料で標識されている。その器官の適切な機能についての推論は、各々の場合で作成した濃度−時間曲線を考慮に入れて、そのマーカーの濃度を用いて引き出すことができる。そのような物質の濃度は、注射後、組織において急速に増加する。その後、物質が再び排泄されると、その濃度は低下する。この低下の半減期が器官機能の尺度である、つまり、半減期が短い場合、器官の機能は良好であり、逆も同様である。
【0005】
蛍光測定の原理は、それ自体公知であるが、蛍光によって生じる光の放射を検出することである:原則として、この場合、蛍光物質を含有する試料に励起光を照射する。この蛍光物質は、特定の波長の入射光の一部を、より高い波長の蛍光に変換する。このように生成された光は、全ての方向に光を発し、例えば入射光の軸に対して垂直の検出器で測定することができる。
【0006】
この場合、客観的で意味のある測定値を得るために、測定を歪めるかもしれない要素、例えば特に拡散光の入射を可能な限り除外することが必要不可欠である。この拡散光は、例えば、固体の存在の結果としての曇りによって、または、センサが遮光されずに皮膚に適用されている場合には、その結果起こる横からの光の入射によって引き起こされることがある。
【0007】
その他の点では、そのような試験との本質的な違いは、異なる波長で蛍光を発し、波長次第で異なる深さまで透過する、異なるマーカーの使用にある。
【0008】
異なるマーカー物質(それは現時点ではより詳細には考察されない)の使用に加えて、時間の経過とともにますます多くの新しい測定方法がこれまでもそして現在も試験され、特許文献において特許請求されている。ドイツ特許第3224641A1号などの古い保護権利では、HPLCによるGFR測定が特許請求されている;より最近のものでは、磁気共鳴療法(ドイツ特許第102008050347B4号)、CT(米国特許第7,813,536B2号)あるいは、透析液流出物中または血液処理ユニットの血流中の尿を経由して排出されねばならない少なくとも1つの物質のUV吸光度の測定(ドイツ特許第102010047215A1号およびドイツ特許第102011012674B3号)による測定が特許請求されている。欧州特許出願公開第0421697A2号は、一部のさらなる保護権利において同様の形態でも起こるように、GFRの測定のための磁気共鳴イメージング法を記載する;欧州特許第1111387B1号は、免疫学的分析方法を扱う。欧州特許第1632320B1号は、これに関して、そのテーマとして一般に免疫分析技法、クロマトグラフィ技法、質量分析、画像形成技法および放射線計数技法を有し、米国特許第5,989,298A号の中心はキャピラリー電気泳動法である。米国特許出願公開第2003/0019115A1号は、最後に、患者に特異的なGFRのための測定法(さらには明記されない)のデータを非常に短時間で計算する、使いやすい携帯型の電子装置を特許請求する。
【0009】
器官機能の検査の望ましいさらなる簡略化の過程で、それぞれの器官機能、ここでは特にGFRと、肝臓、心臓、膵臓の機能、または代謝機能を測定するための、経皮的であって血液検査によらない新しく開発された装置による新しい方法が存在する。
【0010】
これらの方法では、電子センサが被験者の皮膚に所定の期間にわたって固定される。粘着性の結合層によって、センサは、皮膚の微小循環を妨げることなく、可能な限り圧力のかからない方法で所定の期間皮膚の所定の位置で保持され(Lim et al.:”Probe pressure effects on human skin diffuse reflectance and fluorescence spectroscopy measurements”in:Journal of Biomedical Optics 16(1),January 2011参照)、そしてひとたび検査が終わると、どんな残留物も残さずに、また皮膚細胞組織に刺激作用または損傷を与えずに、センサは再び皮膚から取り外される。今最も近い先行技術は、器官機能、特に腎機能の経皮測定のためのセンサパッチが提案されている国際公開第2010/020673A2号であり、ここでは、身体表面に少なくとも1つの走査もしくは励起光が照射され、検出器は身体表面の方向から放射される応答光を検出する。この国際公開公報に記載されるパッチは、好ましくはビーム源がパッチの一体部品であるように構築される:前述の国際公開特許出願において、パッチになされる要求およびまたその構造に関する記載は、単に非常に一般化された形態でなされる。この場合、重要な役割を果たすのは正確にこの点である。なぜならば、既に述べたように、パッチになされる重要な要求は、その幾何学的形状および全体的な構造が、拡散光が吸収されて蛍光測定が妨害されないように設計されることであるためである。このことは、拡散光が透過することを防ぐために、センサヘッドが遮光されて皮膚に取り付けられねばならないことを必要とする。しかし一方、そうでなければ皮膚の微小循環が妨げられるので、センサは皮膚の上にあまりきつく設置されていてもいけない。これは今度は半減期を長くし、測定値を歪めることになる。
【0011】
この要件は、国際公開第2010/020673A2とは異なり、ビーム源が層状構造の内部のパッチの一体部品ではない、多層構造の粘着型パッチによって満たされた。用語「パッチ」はここで、粘着剤コーティングを備えているフィルム形態の対象物の全ての可能性のある種類を包含する:センサ素子全体は、パッチから完全に分離され、別個の部品としてパッチに適用される。従って、そのため、パッチとセンサの両方は、数回使用することができるか、または、あるいは、1回だけ使用することができ、その後処分せねばならない物品として使用することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
パッチの特有の多層構造は、一方では、近傍で放射される光が吸収されるので、皮膚の中を横にある程度「進む」こともある散光がフォトダイオードに到達することを防ぎ、他方では、センサヘッドが置かれた際に下から皮膚の部分がセンサヘッドに入り込むことを防ぐ。しかし、後者の場合、同時に測定にも使用される透過された組織の灌流は遅くなる。このことも、このように締めつけられた組織からのマーカーの排泄を遅くし、測定した曲線の形状も同様に遅くなり、そのため測定結果が歪められる。このような微小循環の阻害は、最も低い連続する透明なパッチ層によって防がれる。本発明による粘着型パッチは、器官機能、ここでは特に腎機能を測定するための方法を提示する。この方法は、実行するのが簡単であり、同時に安価で、迅速で、信頼できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
好ましくは、複数の層からの成形された打抜き部分の形態の、サンドイッチのようなパッチ構造は、下で
図3に関してより詳細に説明される。この成形された打抜き部分は、最初に、皮膚に面している側に、皮膚の方を向いている粘着面を覆うフィルムを剥離ライナー(1)として有する。このライナーには、サンドイッチのような構造で使用される全てのライナーに関する限り、段階的に配置されたシリコーン処理されたポリエステルフィルムが好ましい。グラデーション、すなわち、2つのライナー面の剥離値の比は、この場合では1:2〜1:10の間であるべきである。粘着剤の粘着強度に依存する、この場合でのグラデーションは、ロールに巻き付けられている時でさえも打抜き部分を確実に固定するという要件に適合している。しかし、このフィルムはさらなる機能を有する:フィルムは、両側に位置決め孔(12)を有する余分な長さを有し、その長さはいずれの場合も粘着面を超える。これらの位置決め孔は、センサおよびパッチを含む機能部品全体の製造の間、センサをパッチに正確な嵌合で固定するのに役立つ。ライナーは、アクリレート系、シリコーン系またはゴム系の、皮膚での医学的使用について認可された生体適合性粘着層(2)を、それが使用されるまで覆う。透明ポリエステルフィルム(3)が、この粘着層の皮膚から離れているその面に適用される。しかし、支持体を有しない転写感圧粘着テープ(2)およびポリエステルフィルム(3)などの2つの別個の構成部品の代わりに、ここでは、透明な支持材および生体適合性粘着層を備える、片面が粘着性の感圧粘着テープも使用することができる。その結果として、製造の間の積層工程を不要にすることができ、そのために経費が低下する。
【0014】
透明ポリエステルフィルムは、暗い色、好ましくは黒色に変更された粘着剤(4)で接着される。安定性という理由から、パッチの製造中の打抜工程の枠内で、ここでは、暗色/黒色の粘着剤(4、6)を含む感圧粘着剤コーティングを両面に施したテープ(4〜6)が最も適していることになるが、支持体を有しない転写テープを使用することも十分に可能である。この/これらの暗色の粘着層は、少なくとも1つの凹部を有し、パッチおよびセンサを含む完全な機能部品を組み立てる時にその凹部の上にセンサヘッドが位置付けられる。例えば打抜工程によって作製されたこの凹部は、センサがそのLEDおよびフォトダイオードで邪魔されずに皮膚を検査することを可能にする光学窓に相当する。
【0015】
第1のポリエステルフィルム(3)から離れた粘着層(6)は、さらなる透明ポリエステルフィルム(7)によって覆われ、その透明ポリエステルフィルムは少なくとも1つの凹部を覆い、それによりシステム全体を安定化させる。そのフィルムの上には最後に周状のフレーム(8〜10)(例えば感圧粘着剤コーティングが両面に施され、要件に応じて打ち抜かれ、使用前には突出しているグリップタブをもつライナーによって覆われている、発泡体支持材(11)によって作製されたもの)、が接着によって適用されている。このフレーム(8〜10)は測定結果を歪めるかもしれない拡散光の入射を防ぐ働きをする。特に好ましい例では、このフレームは、機能性パッチの一体部品であるが、機能性パッチとは別個のシールフレームも考えられる。そのフレームは、両面が、または、あるいは片面だけが接着性である別個の構成部品として存在することになり、センサを適用する前に適切な時点で機能性パッチに適用されることになる。さらなる適用形態では、シールフレームを永久にセンサに固定することもあり得る、その場合、シールフレームは、原則としてセンサと一緒に機能性パッチに接着されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この構造で成功した試験では、医療用に適している転写粘着剤「DuploMED VP 8171」を、皮膚の方を向いている結合層として使用した。これは、本明細書下文において言及される粘着テープのように、「Lohmann GmbH&Co.KG」社によって製造販売されている粘着テープ、この場合では、シリコーン紙で覆われている厚さ50μmの転写粘着テープ(2)である。感圧粘着剤は、2つの成分:ポリアクリレート溶液および架橋剤溶液で構成される生体適合性溶剤系ポリアクリレート粘着剤である。それはDIN EN 10993−1の要件を満たし、主に医用パッチ、フィルムおよびその他の粘着性包帯材料で使用される。感圧粘着剤は、ローラ塗布プロセスにおいて医療製造に関して承認されたコーティング装置でシリコーン処理された90g/m
2クラフト紙の上に50μmの厚さにコーティングされ、乾燥され、架橋される。元のシリコーン紙による覆いは、機能性パッチ製造工程で、50μm厚の、シリコーン処理されたポリ(エチレンテレフタラート)剥離フィルム(1)に置き換えられる。
【0019】
ここでなされる適用において透明な粘着層(2)は、拡散体としても機能し、従って非常に小さい点状LEDをセンサで使用することを可能にする。そのようなLEDの使用は、センサヘッドの小型化において必要である。しかし、原則として、記載されるこれらの条件を満たす任意のその他の粘着剤もここで使用することができる。
【0020】
皮膚から離れた面でこの転写粘着剤に接着される透明ポリエステルフィルム(3)は、機能性打抜き部分のフレームを寸法的に安定化する働きをし、結合層の医用(皮膚)面と技術(センサ)面との間の障壁またはスペーサーとして役立つ。センサの方に向かって、「DuploCOLL(登録商標)VP 6899」によって、12μmのポリエステルの支持体(5)および煤で着色した樹脂改質溶剤系アクリレート粘着剤(4、6)を有する厚さ0.12mmの両面感圧粘着テープが使用される。煤による着色は、粘着剤に光吸収機能を与える。しかし、原則として、ここでもやはり一方では透明ポリエステルフィルム(3)に、他方ではセンサハウジングに非常に良好に接着する条件を満たし、同時に光吸収性の仕上げを有する、あらゆる粘着系が適している。
【0021】
製造プロセスでは、少なくとも1つの「窓」(13)が、2枚の黒色に着色された粘着層(4〜6)およびまた対応するポリエステル支持材(5)から打ち抜かれるか、または適した手段によって粘着層から凹まされる;好ましい実施形態では、互いに隣に位置する複数の「窓」(13)は、1つの窓に1つの光源だけが放射されるように、打ち抜かれるか凹まされる、つまり、狭いウェブ(14)によって窓が相互に分離されるような方法で打ち抜かれるか凹まされる。これらの窓の上方には、使用前に、LEDからフォトダイオードの中への光の直接の透過がLEDとフォトダイオードとの間の黒色のウェブによって妨げられるように、LEDおよびフォトダイオードを備えたセンサヘッドが取り付けられる。皮膚から離れている黒色の粘着テープのその面は、透明ポリエステルフィルム(7)によって覆われる。このフィルム(7)は、覆うことに加えて、1または複数の打抜き部(13)の上に作製されたパッチの端部を安定化させる機能も有する。
【0022】
横からの入射を防ぐために、そしてそれにより拡散光を妨げるために、皮膚から離れていて、透明なフィルムによって覆われている黒色粘着テープの面に、最後に1または複数の窓の周囲をめぐるフレームシール(8〜10)も施す。このシールは、好ましくは発泡体支持体(9)を備える両面感圧粘着テープで構成される:この例では、これは、「DuploCOLL(登録商標)9042」であり、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体発泡体(9)の両面にコーティングされた純粋なアクリレート感圧粘着剤(8、10)である。発泡体支持体の結果として、このシールは、センサ部品のどんな動きにも反応し、適合することを可能にする特定の弾性および柔軟性を含む。
【0023】
「レーザープロトタイピング」プロセスで作製された比較的少数のこの設計を用いて、再現可能な測定結果を経皮プロセスで達成した。この製造プロセスを用いて、不連続の「シート・トゥ・シート」プロセスにおいて、最後に機能性パッチの試作品が少数作製されるように、フラットベッドレーザーを用いて個々のシートを手動で機械加工した。
【0024】
これらの試作品を用いる初期検査に基づいて、次に、拡散光が吸収されて皮膚の微小循環が阻害されなかったことが実証された(
図5および6参照)。
図5は、本発明に従う機能性パッチを使用した場合の排泄曲線を示し、
図6は、皮膚へのセンサの異なる種類の固定についての曲線の形状を示す:
図6中の曲線は、非典型的に平坦な形を有し、拡散光の入射を防ぐためにセンサが明らかに圧力を増加させて固定されたことを明白に示す。このことは、次に、皮膚層の変形をもたらし、そのために不適切で歪められた測定結果をもたらす。本発明に従う機能性パッチは、ひとたび測定が終了すると、残留物を残すことなく、そして後に損傷を残すことなく、再び取り外すことができた。
【0026】
機能性パッチ部品の機械製造は、好ましくは複数の連続する「ロール・トゥ・ロール」または「ロール・トゥ・シート」積層および打抜プロセスで最終的に行う。すなわち、機能性パッチの個々の構成部品をロールに取り付け、打抜プロセスにおいて、このために設けられたプロセス内の時点で続けて連続的に巻き出し、順番に加工してロールとするか、または、あるいは実際の機能性パッチとともにシートとする。
【0027】
最初の工程では、機能性パッチのシールフレームを製造する。このため、最初に、HDPEフィルムで覆われている両面粘着テープ「DuploCOLL 9042」を、発泡体支持体(16)とともに積層ステーション(17)で弱感圧粘着剤コーティングを施したプロセスフィルム(15)に適用する。それはその後さらなるプロセスで打抜の基礎として機能する。次の工程では、シールフレームの輪郭を打ち抜き(19)、打ち抜いたスクリーンを分離し、巻き取る(18)。続く工程では、内部打抜きカバーをカムツールと引き抜き用粘着剤(20)を用いて引き抜く(21)。この引き抜き用粘着剤は、市販の粘着テープであり、その粘着テープは、それが正確に定義された所定の間隔で複合材料と常に単に部分的にだけ接触するように、そしてこの方法で複合材料から既に分離した部分だけがそこから除去されるように、計時された方法で複合材料に供給される。さらなる製造プロセスから除去されたこれらの内部打抜きカバーも、その後巻き取られる(23)。続く工程では、原則としてこの手順が繰り返される:再び、引き抜き用粘着剤(22)を製造プロセスでなお残っている打抜き部分の上に積層し(25)、その粘着剤が打抜きカバーおよび内部の粘着剤部分を引き抜き、巻き取る(24)。次のステーションで、グリップタブを打ち抜き(26)、その後、ライナーグリッドを引き抜き、巻き取る(27)。完成したシールフレームを最後に搬送ローラ(28)および搬送ローラに対するテンションロール(29)を介して巻き取る(30)。
【0028】
シールフレームの製造と独立して、第2の打抜プロセスにおいてそれと平行に、ヒト皮膚への適用に適した両面感圧粘着テープ「DuploCOLL 8171」(31)を、シリコーン処理されていない50μmポリ(エチレンテレフタラート)フィルム(32)と一緒に積層する(33)。同時に、逆のプロセスで、黒色に着色された粘着層を含む感圧粘着剤コーティングが両面に施され、打抜きカバーで覆われている「DuploCOLL VP 6899」テープ(36)の内部輪郭を打ち抜く(35)、すなわち、「窓」、または数個の場合には「複数の窓」を打ち抜く。
【0029】
次に、打抜きカバーを内部部分とともに引き抜き(34)、一方で、さらなる製造プロセスに必要である「DuploCOLL VP 6899」の打抜き部分を、次に「DuploCOLL 8171」(31)およびポリ(エチレンテレフタラート)フィルム(32)と一緒に積層する(38);同時に、「DuploCOLL VP 6899」の元のライナーを引き抜く(37)。
【0030】
次の積層ステーション(39)で、12μm厚のPETPフィルム(40)が供給される。これに続いて、上記の最初の製造工程で既に打ち抜いたシールフレーム(30)を巻き戻しユニット(41)から積層し(42)、その後に、弱感圧粘着剤コーティングを施したプロセスフィルム(15)をシステム全体から引き抜く(43)。従って、システムの運用方法に必要な層状構造がここに存在し、その構造から本発明に従う機能性パッチの最終形態がさらなる打抜ステーション(44)で打ち抜かれる。完成した部品を次に分離し、残りの打ち抜かれたスクリーンを、搬送ローラ(45)および搬送ローラに対するテンションロール(46)を介して巻き取る(47)。
【0032】
本発明に従う機能性パッチは2つの形態で使用することができる:第1に、パッチおよびセンサ部分は、分離できないユニットとして存在してよく、その後、使用後に一緒に処分もされるか、あるいは、それらは別々に相互に独立に存在してよく、使用直前に組み立てる必要がある。後者の場合、例えば機能性パッチは、比較的長時間皮膚の上に残っていてもよく、連続して異なるセンサを装備してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1=余分な長さおよび位置決め孔を有する、シリコーン処理されたPETPフィルム、
2=粘着層
3=シリコーン処理されていないPETPフィルム、
4=粘着層
5=シリコーン処理されていないポリエステルフィルム、
6=粘着層
7=シリコーン処理されていないPETPフィルム、
8=粘着層
9=発泡体層
10=粘着層
11=グリップタブを有する、シリコーン処理されたポリエステルフィルム
12=位置決め孔
13=打抜き部
14=ウェブ
15=弱く接着するプロセスフィルムの送込み
16=「DuploCOLL(登録商標)9042」の送込み
17=積層ステーション
18=打ち抜いたスクリーンの巻き取り
19=輪郭打抜き
20=引き抜き用粘着剤ロール
21=内部打抜きカバーの上への引き抜き用粘着剤の積層
22=引き抜き用粘着剤ロール
23=引き抜き用粘着剤と内部打抜きカバーの巻き取り
24=引き抜き用粘着剤と外部打抜きカバーおよび内部粘着部の巻き取り
25=外部打抜きカバーおよび内部粘着部の上への引き抜き用粘着剤の積層
26=グリップタブ打抜き
27=ライナーグリッドの巻き取り
28=搬送ローラ
29=搬送ローラに対するテンションロール
30=「シールフレーム」製品巻取ユニット
31=「DuploCOLL(登録商標)8171」の送込み
32=シリコーン処理されていないPETPフィルムの送込み
33=積層ステーション
34=打抜きカバーと内部部分の巻き取り
35=内部輪郭打抜き
36=打抜きカバーで覆われた「DuploCOLL(登録商標)VP 6899」の送込み
37=元のライナー「DuploCOLL(登録商標)VP 6899」の巻き取り
38=積層ステーション
39=積層ステーション
40=シリコーン処理されていない、PETPフィルムの送込み
41=前もって製造した「シールフレーム」打抜き部分の送込み
42=積層ステーション
43=弱感圧粘着プロセスフィルムの巻き取り
44=打抜き
45=搬送ローラ
46=搬送ローラに対するテンションロール
47=打ち抜いたスクリーンの巻き取り