特許第6436911号(P6436911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6436911
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】ハニカム構造体
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20181203BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20181203BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20181203BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20181203BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20181203BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20181203BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20181203BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B01J35/04 301H
   B01J35/04 301G
   B01J35/04 301Z
   B01J35/02 GZAB
   B01D53/94 300
   B01J35/04 301F
   B01J35/04 301C
   B01J35/04 301K
   B01J32/00
   C04B38/00 303Z
   C04B38/00 304Z
   F01N3/20 K
   F01N3/28 301P
   F01N3/24 L
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-541533(P2015-541533)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076172
(87)【国際公開番号】WO2015053133
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年4月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-211091(P2013-211091)
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】大宮 好雅
(72)【発明者】
【氏名】笠井 義幸
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 和弥
(72)【発明者】
【氏名】細井 祐介
【審査官】 若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/146955(WO,A1)
【文献】 国際公開第2001/037971(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/125815(WO,A1)
【文献】 特開平08−218856(JP,A)
【文献】 特開2002−273124(JP,A)
【文献】 特開平04−277481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04−3/38
F01N 9/00−11/00
B01D 53/34−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、
前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、
前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、
前記ハニカム構造部に、側面に開口部を有するスリットが1本以上形成され、
少なくとも1本の前記スリットが、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記スリットの前記開口部の幅と同じ幅で前記開口部から前記スリットの延びる方向と同じ方向に延びる領域である第1領域と、前記第1領域の幅方向に隣接する領域である第2領域と、を有する特定スリットであり、前記第2領域の少なくとも一部の、前記スリットの延びる方向に直交する方向の長さが、前記セルの幅の半分の長さ以上の長さであり、
前記特定スリットに充填材が充填され、
前記充填材が、前記特定スリットを構成する空間のうちの前記第1領域に充填された第1領域充填部と、前記第2領域に充填された第2領域充填部と、を有し、前記第2領域充填部の少なくとも一つが有効第2領域充填部であり、前記有効第2領域充填部が、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記スリットの延びる方向に直交する方向の長さが前記セルの幅の半分の長さ以上の長さであり、
前記充填材のヤング率が、0.001〜20GPaであるハニカム構造体。
【請求項2】
前記特定スリットが、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記ハニカム構造部の一部の前記隔壁に直交するように延びている請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記有効第2領域充填部が、前記隔壁のみによって区画形成された前記セルのうちの最外周に位置するセルである最外周セルに充填された前記充填材の少なくとも一部によって構成されている請求項1または2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記充填材は、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記有効第2領域充填部が、前記第1領域充填部の幅方向の一方の端部、または一方と他方の端部に隣接するように位置する請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記充填材が、前記外周壁及び前記隔壁によって区画形成されたセルに更に充填されている請求項3または4に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記充填材は、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記有効第2領域充填部が、前記第1領域充填部の幅方向の一方と他方の端部に隣接するように位置し、前記有効第2領域充填部の最大の長さが、前記第1領域充填部の幅方向の一方と他方で同じ長さである請求項4または5に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記特定スリットの深さが、当該特定スリットの前記開口部の幅より大きな値である請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記特定スリットの深さが、前記ハニカム構造部の半径の1〜80%である請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記特定スリットの幅が、前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における外周の長さの0.3〜5%である請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記特定スリットの数が、1〜20本である請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記特定スリットが複数本形成され、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向する前記特定スリットが少なくとも1対形成されている請求項1〜10のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記充填材の気孔率が、40〜80%である請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記充填材の電気抵抗率が、前記ハニカム構造部の電気抵抗率の100〜100000%である請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。さらに詳しくは、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト製のハニカム構造体に触媒を担持したものを、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いていた。また、炭化珪素質焼結体によって形成されたハニカム構造体を排ガスの浄化に使用することも知られている。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題があった。
【0004】
そのため、触媒が担持されたハニカム構造体の側面に一対の電極部を配設して、この一対の電極部間に通電することによってハニカム構造体を発熱させ、ヒーターとしても機能するハニカム構造体が報告されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/125815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のハニカム構造体は、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、排ガスの浄化性能が良好であるが、耐熱衝撃性については未だ改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、触媒担体であると共に電圧を印加することによりヒーターとしても機能し、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のハニカム構造体を提供する。
【0009】
[1] 流体の流路となる一方の端面から他方の端面まで延びる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と、最外周に位置する外周壁とを有する柱状のハニカム構造部と、前記ハニカム構造部の側面に配設された一対の電極部とを備え、前記ハニカム構造部の電気抵抗率が、1〜200Ωcmであり、前記一対の電極部のそれぞれが、前記ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成され、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記一対の電極部における一方の前記電極部が、前記一対の電極部における他方の前記電極部に対して、前記ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設され、前記ハニカム構造部に、側面に開口部を有するスリットが1本以上形成され、少なくとも1本の前記スリットが、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記スリットの前記開口部の幅と同じ幅で前記開口部から前記スリットの延びる方向と同じ方向に延びる領域である第1領域と、前記第1領域の幅方向に隣接する領域である第2領域と、を有する特定スリットであり、前記第2領域の少なくとも一部の、前記スリットの延びる方向に直交する方向の長さが、前記セルの幅の半分の長さ以上の長さであり、前記特定スリットに充填材が充填され、前記充填材が、前記特定スリットを構成する空間のうちの前記第1領域に充填された第1領域充填部と、前記第2領域に充填された第2領域充填部と、を有し、前記第2領域充填部の少なくとも一つが有効第2領域充填部であり、前記有効第2領域充填部が、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記スリットの延びる方向に直交する方向の長さが前記セルの幅の半分の長さ以上の長さであり、前記充填材のヤング率が、0.001〜20GPaであるハニカム構造体。
【0010】
[2] 前記特定スリットが、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記ハニカム構造部の一部の前記隔壁に直交するように延びている[1]に記載のハニカム構造体。
【0011】
[3] 前記有効第2領域充填部が、前記隔壁のみによって区画形成された前記セルのうちの最外周に位置するセルである最外周セルに充填された前記充填材の少なくとも一部によって構成されている[1]または[2]に記載のハニカム構造体。
【0012】
[4] 前記充填材は、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記有効第2領域充填部が、前記第1領域充填部の幅方向の一方の端部、または一方と他方の端部に隣接するように位置する[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0013】
[5] 前記充填材が、前記外周壁及び前記隔壁によって区画形成されたセルに更に充填されている[3]または[4]に記載のハニカム構造体。
【0014】
[6] 前記充填材は、前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記有効第2領域充填部が、前記第1領域充填部の幅方向の一方と他方の端部に隣接するように位置し、前記有効第2領域充填部の最大の長さが、前記第1領域充填部の幅方向の一方と他方で同じ長さである[4]または[5]に記載のハニカム構造体。
【0015】
[7] 前記特定スリットの深さが、当該特定スリットの前記開口部の幅より大きな値である[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0016】
[8] 前記特定スリットの深さが、前記ハニカム構造部の半径の1〜80%である[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0017】
[9] 前記特定スリットの幅が、前記ハニカム構造部の前記セルの延びる方向に直交する断面における外周の長さの0.3〜5%である[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0018】
[10] 前記特定スリットの数が、1〜20本である[1]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0019】
[11] 前記特定スリットが複数本形成され、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向する前記特定スリットが少なくとも1対形成されている[1]〜[10]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0021】
12] 前記充填材の気孔率が、40〜80%である[1]〜[11]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0022】
13] 前記充填材の電気抵抗率が、前記ハニカム構造部の電気抵抗率の100〜100000%である[1]〜[12]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【発明の効果】
【0023】
本発明のハニカム構造体は、一対の電極部のそれぞれが、ハニカム構造部のセルの延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、本発明のハニカム構造体は、セルの延びる方向に直交する断面において、一対の電極部における一方の電極部が、一対の電極部における他方の電極部に対して、ハニカム構造部の中心を挟んで反対側に配設されている。そのため、本発明のハニカム構造体は、ヒーターとして好適に用いることができる。また、本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部の電気抵抗率が1〜200Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。
【0024】
更に、本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部に、スリットが1本以上形成され、少なくとも1本のスリットが特定スリットであり、この特定スリットに、第1領域充填部と第2領域充填部とを有する充填材が充填されている。そして、本発明のハニカム構造体は、充填材の第2領域充填部の少なくとも一つが、有効第2領域充填部である。そして、有効第2領域充填部は、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの延びる方向に直交する方向の長さがセルの幅の半分の長さ以上の長さである。本発明のハニカム構造体は、充填材が上記有効第2領域充填部を有するため、耐熱衝撃性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の一方の端面を示す模式図である。
図3】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
図4】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。
図5】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、充填材が充填される前の状態における一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
図6】本発明のハニカム構造体の一の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
図7】本発明のハニカム構造体の他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
図8】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
図9】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
図10】本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0027】
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体の一の実施形態は、図1図3に示すように、柱状のハニカム構造部4と、一対の電極部21とを備えるものである。柱状のハニカム構造部4は、流体の流路となる一方の端面11から他方の端面12まで延びる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁1と、最外周に位置する外周壁3とを有するものである。一対の電極部21は、ハニカム構造部4の側面5に配設されたものである。本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が、1〜200Ωcmである。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されたものである。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、一方の電極部21が、他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されたものである。一方の電極部21は、一対の電極部21,21における(一対の電極部21,21の中の)一方の電極部21であり、他方の電極部21は、一対の電極部21,21における(一対の電極部21,21の中の)他方の電極部21である。換言すると、一対の電極部21,21の中の片方の電極部21が一方の電極部21であり、一対の電極部21,21の中の残りの片方の電極部21が他方の電極部21である。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4に、側面5に開口部8を有するスリット6が1本以上形成されたものである。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、少なくとも1本のスリット6が、特定スリット6aである。特定スリット6aは、セル2の延びる方向に直交する断面において、スリット6の開口部8の幅Hと同じ幅でこの開口部8からスリット6の延びる方向と同じ方向に延びる領域である第1領域16を有している。また、特定スリット6aは、セル2の延びる方向に直交する断面において、第1領域16の幅方向に隣接する領域である第2領域17(17a,17b)(図5を参照)と、を有している。特定スリット6aの第2領域17の少なくとも一部の、スリット6の延びる方向に直交する方向の長さは、セル2の幅の半分の長さ以上の長さである。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、スリット6(特定スリット6a)に充填材7が充填されている。更に、本実施形態のハニカム構造体100は、充填材7が、特定スリット6aを構成する空間のうちの第1領域16に充填された第1領域充填部18と、第2領域17に充填された第2領域充填部19と、を有している。そして、ハニカム構造体100において第2領域充填部19の少なくとも一つは、有効第2領域充填部20である。そして、有効第2領域充填部20は、セル2の延びる方向に直交する断面において、スリット6の延びる方向に直交する方向の長さがセル2の幅の半分の長さ以上の長さを満たすものである。ここで、セル2の延びる方向に直交する断面において、1つの有効第2領域充填部20における、スリット6の延びる方向に直交する方向の長さの最大値を「有効第2領域充填部20の最大の長さ」という。
【0028】
図1は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の一方の端面を示す模式図である。図3は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【0029】
尚、ハニカム構造部4の側面5は、ハニカム構造部4の外周壁3の表面のことである。そして、「(ハニカム構造部4の)側面5に開口部を有するスリット6」とは、ハニカム構造部4の外周壁3の表面に開口するスリットのことである。スリットは、側面に開口部を有すると共に、端面にも開口部を有するものであってもよい。つまり、スリットは、ハニカム構造部の一方の端面から他方の端面までの全部に亘って形成されていてもよい。
【0030】
また、「特定スリットに充填材が充填され」とは、1本の特定スリットにおける少なくとも一部に充填材が充填されることを意味する。つまり、「特定スリットに充填材が充填され」というときは、1本の特定スリットの空間の全部に充填材が充填されていない場合も含む。また、「少なくとも一部に充填材が充填」とは、特定スリットの深さ方向における「一部」でもよく、特定スリットの長さ方向における「一部」でもよく、これらの組合せであってもよい。
【0031】
また、「セルの幅」(セル幅)とは、セルの延びる方向に直交する断面における形状が、四角形の場合には、1辺の長さのことであり、正六角形の場合には、セルの延びる方向に直交する断面におけるセルの中心を挟んで対向する2つの頂点の間の距離のことである。
【0032】
このような本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21のそれぞれが、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる帯状に形成されている。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そのため、ヒーターとして好適に用いることができる。また、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4の電気抵抗率が1〜200Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができる。
【0033】
更に、本実施形態のハニカム構造体100は、ハニカム構造部4に、側面5に開口部8を有するスリット6が1本以上形成されている。このように、スリット6が形成されることにより、本実施形態のハニカム構造体100の昇温時にハニカム構造部4の側面にクラックが発生することを防止できる。このスリット6には、スリット6からのガス漏れを防止するとともに、ハニカム構造体100のアイソスタティック強度を向上させるために、充填材7を充填してもよい。そして、本実施形態のハニカム構造体100は、少なくとも1本のスリット6が、特定スリット6aであり、特定スリット6aには充填材7が充填されている。この充填材7は、特定スリット6aの第2領域17に充填された第2領域充填部19少なくとも一部が、有効第2領域充填部20である。つまり、本実施形態のハニカム構造体100は、充填材7が有効第2領域充填部20を有する。本実施形態のハニカム構造体100は、特定スリット6a(スリット6)が形成されることにより、上述のように、本実施形態のハニカム構造体100の昇温時にハニカム構造部4の側面にクラック(つまり、隔壁のひび割れ)が発生することを防止できる。そして、スリット6に充填材7が充填されているため、スリット6からのガス漏れを防止することができる。そして、充填材7が有効第2領域充填部20を有することにより、ハニカム構造部4の端面にクラックが発生することを防止できる。具体的には、充填材7が有効第2領域充填部20を有することにより、ハニカム構造部4の端面や側面において充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大が、有効第2領域充填部20によって止められる。つまり、有効第2領域充填部20が有ることにより、上記剥離がハニカム構造体の内部に延びて有効第2領域充填部20に到達したときに、有効第2領域充填部20のところで、剥離が止まることになる。このようなことから、本実施形態のハニカム構造体100は、耐熱衝撃性に優れるものである。
【0034】
また、「セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設される」の意味は、以下の通りである。つまり、図4に示されるように、まず、セル2の延びる方向に直交する断面において、「一方の電極部21の中央部C(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を線分L1とする。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、「他方の電極部21の中央部C(「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点)とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ線分」を線分L2とする。そのとき、線分L1と線分L2とにより形成される角度β(「中心O」を中心とする角度)が、170°〜190°の範囲となるような位置関係になるように、一対の電極部21,21がハニカム構造部4に配設されていることを意味する。図4は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、セルの延びる方向に直交する断面を示す模式図である。図4においては、隔壁、スリット、及び充填材は省略されている。「ハニカム構造部4の周方向」とは、ハニカム構造部4の「セル2の延びる方向に直交する断面」における、外周に沿う方向のことである。
【0035】
(1−1)スリット;
本実施形態のハニカム構造体100は、特定スリット6aが1本以上形成されている。この特定スリット6aは、図5に示すように、第1領域16と、この第1領域16の幅方向に隣接する第2領域17(17a,17b)と、を有している。図5では、第1領域16を破線で示している。この特定スリット6aは、図5に示すように、セル2の延びる方向に直交する断面において、ハニカム構造部4の隔壁1の一部に直交するように延びていることが好ましい。また、特定スリット6aは、セル2の延びる方向に直交する断面において、ハニカム構造部4の隔壁1の一部に平行に延びていてもよい。更に、これらの両方であってもよい。図5は、本発明のハニカム構造体の一の実施形態の、充填材が充填される前の状態における一方の端面の一部である端面領域P(図2参照)を拡大して模式的に示す平面図である。
【0036】
本実施形態のハニカム構造体100は、図5に示すように、特定スリット6aが、第1領域16の長手方向に隣接する領域である「第3領域23」を有している。特定スリット6aの第3領域23は、スリットの延びる方向に直交する隔壁1を取り除くことにより形成できるためその形成が容易である。本発明のハニカム構造体は、第3領域を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0037】
「第1領域の幅方向に隣接する領域」とは、以下の領域を意味する。つまり、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの空間内に、第1領域を区画形成する仮想境界線を想定する。このとき、「第1領域の幅方向に隣接する領域」とは、この仮想境界線のうちの特定スリットの開口部の一端及び他端からそれぞれ延びる仮想境界線のそれぞれを境界として第1領域と隣り合う領域を意味する。ハニカム構造体100では、特定スリット6aの開口部8の一端A(図5参照)から延びる第1仮想境界線K1、他端B(図5参照)から延びる第2仮想境界線K2のそれぞれを境界として第1領域16と隣り合う領域(第2領域17a,17b)のことである。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体100は、特定スリット6aの深さが、その特定スリット6aの開口部8の幅Hより大きな値であることが好ましい。このようにすることにより、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大がより確実に止められるという利点がある。つまり、特定スリット6aの開口部8の幅Hが、特定スリット6aの深さより大きい場合(別言すれば、特定スリット6aの開口部8の幅Hが広く、特定スリット6aが浅い場合)、充填材7が隔壁1から剥離し易くなる。そのため、特定スリット6aの深さは、その特定スリット6aの開口部8の幅Hより大きな値であることが好ましい。このようにすると、開口部8の部分から充填材7の剥離が始まろうとしたときに、開口部8からハニカム構造体100までの距離が長い(つまり、特定スリット6aが深い)ため、充填材7の剥離がハニカム構造体内部に拡大することを、より確実に止めることができる。つまり、ハニカム構造体100にクラックが発生することを防止できる。
【0039】
本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aの深さは、ハニカム構造部が円筒の場合、ハニカム構造部4の半径の1〜80%であることが好ましい。「ハニカム構造部4の半径」は、ハニカム構造部4の「セル2の延びる方向に直交する断面」における半径のことである。そして、特定スリット6aの深さは、ハニカム構造部の半径の1〜60%であることが更に好ましく、1〜30%であることが特に好ましい。特定スリット6aの深さが、ハニカム構造部の半径の1%より小さいと、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を低減する効果が低下することがある。特定スリット6aの深さが、ハニカム構造部の半径の80%より大きいと、ハニカム構造部に均一に電流を流すことが難しくなることがある。尚、特定スリット6aの深さは、外周壁3を除いたハニカム構造部4の外周から、特定スリット6aの最も深い位置までの距離のことである。特定スリットが複数本存在する場合には、特定スリットの深さは、各スリットによって異なっていてもよく、全て同じであってもよい。
【0040】
本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aの「開口部の幅」は、ハニカム構造部4の「セル2の延びる方向に直交する断面」における外周の長さの0.3〜5%であることが好ましい。ハニカム構造部4の「セル2の延びる方向に直交する断面」における外周の長さは、以下「ハニカム構造部の外周長」と称することがある。そして、特定スリット6aの開口部の幅は、ハニカム構造部の外周長の0.3〜3%であることが更に好ましく、0.3〜1%であることが特に好ましい。特定スリット6aの開口部の幅が、ハニカム構造部の外周長の0.3%より小さいと、ハニカム構造体の側面に生じるクラック(側面クラック)の発生防止効果が低減することがある。特定スリット6aの開口部の幅が、ハニカム構造部の外周長の1%より大きいと、アイソスタティック強度が低下することがある。特定スリット6aが複数本存在する場合には、特定スリット6aの開口部の幅は、各特定スリット6aによって異なっていてもよく、全て同じであってもよい。
【0041】
本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aの「幅」は、ハニカム構造部の外周長の0.3〜5%であることが好ましい。そして、特定スリット6aの幅は、ハニカム構造部の外周長の0.3〜3%であることが更に好ましく、0.3〜1%であることが特に好ましい。特定スリット6aの幅が、ハニカム構造部の外周長の0.3%より小さいと、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を低減する効果が低下することがある。特定スリット6aの幅が、ハニカム構造部の外周長の5%より大きいと、ハニカム構造体100の機械的強度が低下することがある。「特定スリット6aの「幅」」は、特定スリット6aの「開口部の延びる方向に直交し且つスリットの深さ方向に直交する方向」における最大の長さ(幅)のことである。特定スリットが複数本存在する場合には、特定スリット6aの幅は、各特定スリットによって異なっていてもよく、全て同じであってもよい。ここで、本実施形態のハニカム構造体100においては、特定スリット6aは、セルの延びる方向に延びるように形成されているため、「開口部の延びる方向」は、「セルの延びる方向」と同じである。
【0042】
特定スリット6aの「開口部の延びる方向に直交し且つスリットの深さ方向に直交する方向」における長さは、最外周セルが形成された位置で最大となることが好ましい。このようにすると、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大の程度をより小さくできるという利点がある。最外周セルは、隔壁のみによって区画形成されたセルのうちの最外周に位置するセルのことである。
【0043】
本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aの「セルの延びる方向」における長さは、ハニカム構造部の「セルの延びる方向」における長さと同じであることが好ましい。つまり、本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aがハニカム構造部の両端面間に亘って(全長に亘って)形成されていることが好ましい。また、特定スリット6aの「セルの延びる方向」における長さが、ハニカム構造部の「セルの延びる方向」における長さの80〜100%であることも好ましい態様である。耐熱衝撃性に優れるという観点では全長に亘っている方がよいが、一部形成されていない部分が残っていると、強度が高くなるという観点で好ましい。全長に亘っていない場合、特定スリットの片端はハニカム構造部の端面に位置することが好ましい。この場合、特定スリットは、ハニカム構造部の片方の端面側のみに形成されていてもよいし、ハニカム構造部の両方の端面側に形成されていてもよい。特定スリットが、ハニカム構造部の両方の端面側に形成された場合、特定スリットの「セルの延びる方向」における合計の長さが、ハニカム構造部の「セルの延びる方向」における長さの80〜100%であることが好ましい。また、特定スリットが、ハニカム構造部の片方の端面側のみに形成される場合、ハニカム構造体を使用する際に、特定スリットが形成された端面側を、熱衝撃がより大きくかかる方向を向けて使用することが好ましい。特定スリットが複数本存在する場合には、特定スリットの長さは、各特定スリットによって異なっていてもよく、全て同じであってもよい。
【0044】
また、特定スリットが複数本形成される場合には、ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向する特定スリットが少なくとも1対形成されていることが好ましい。また、特定スリットの深さ、特定スリットの幅、特定スリットの長さは、ハニカム構造部の中心軸を対称軸とする線対称であることが好ましい。
【0045】
本実施形態のハニカム構造体100において、スリット6の本数は、1〜20本が好ましく、1〜15本が更に好ましく、1〜10本が特に好ましい。スリット6の本数が20本を超えると、ハニカム構造体100の機械的強度が低下することがある。図1に示されるハニカム構造体100においては、8本のスリット6が形成されている。
【0046】
また、本実施形態のハニカム構造体100において、特定スリット6aの本数は、1〜20本が好ましく、1〜15本が更に好ましく、1〜10本が特に好ましい。特定スリット6aの本数が20本を超えると、ハニカム構造体100の機械的強度が低下することがある。図1に示されるハニカム構造体100においては、8本の特定スリット6aが形成されている。
【0047】
(1−2)充填材;
本実施形態のハニカム構造体100は、特定スリット6aに充填された充填材7を有している。この充填材7は、図6に示すように、第1領域16(図5参照)に充填された第1領域充填部18と、第2領域17a,17b(図5参照)に充填された第2領域充填部19と、を有している。第2領域充填部19は、第1領域充填部18の幅方向に隣接した部分であり、第1領域充填部18と連続して形成されている。第1領域充填部18と第2領域充填部19とは、一体に形成されていることが好ましい。また、本実施形態のハニカム構造体100は、第2領域充填部19の少なくとも一つが、有効第2領域充填部20である。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体100は、図6に示すように、充填材7が、第3領域23(図5参照)に充填された第3領域充填部25を有している。第3領域充填部25を有することにより、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大がより確実に止められるという利点がある。つまり、仮に、有効第2領域充填部20によっても、隔壁1からの充填材7の剥離を防止できなかったとしても、第3領域充填部を有することにより、クラック(つまり、隔壁のひび割れ)が生じることを防止できる。具体的には、第3領域充填部が無い場合(つまり、第3領域が空洞である場合)、第3領域まで剥離が拡大すると、その後の剥離の拡大を遮るものがないため、剥離を拡大させる力がそのままハニカム構造体に伝わり、クラックが生じてしまう。一方、第3領域充填部を有することにより、第3領域まで剥離が拡大したとしても、剥離を拡大させる力がそのままハニカム構造体に伝わることがなく、クラックが生じることを防止できる。尚、本発明のハニカム構造体は、第3領域充填部25を有してもよいが、有さなくてもよい。
【0049】
ハニカム構造体100において第2領域充填部19の少なくとも一つは、有効第2領域充填部20である。有効第2領域充填部20は、セル2の延びる方向に直交する断面において、「スリットの延びる方向に直交する方向の長さ」がセル2の幅の半分の長さ以上の長さを満たすものである。セル2の延びる方向に直交する断面において、有効第2領域充填部20の「スリットの延びる方向に直交する方向の長さ」は、セル2の幅の60%以上であることが好ましい。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、有効第2領域充填部20の「スリットの延びる方向に直交する方向の長さ」は、セル2の幅の80%以上であることが更に好ましい。セル2の延びる方向に直交する断面において、有効第2領域充填部20の「スリットの延びる方向に直交する方向の長さ」がセル2の幅の半分の長さ未満である場合、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性が低下する。
【0050】
有効第2領域充填部20は、セル2の延びる方向に直交する断面において、特定スリット6aの開口部8からの距離が、特定スリット6aの深さの1〜90%の範囲に位置することが好ましい。そして、有効第2領域充填部20は、特定スリット6aの深さの1〜80%の範囲に位置することが更に好ましく、特定スリット6aの深さの1〜70%の範囲に位置することが特に好ましい。有効第2領域充填部20が、特定スリット6aの深さの90%超の位置にのみある場合、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大が止められないことがある。「有効第2領域充填部20の、特定スリット6aの開口部8からの距離」とは、開口部8から、「有効第2領域充填部20と第1領域充填部18との境界部分において、最も外周壁に近い部分」までの距離のことである。
【0051】
有効第2領域充填部20は、隔壁1のみによって区画形成されたセル2のうちの最外周に位置するセル2である最外周セル2に充填された充填材7の少なくとも一部によって構成されていることが好ましい。このように充填材7が充填されることにより、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大の程度をより小さくできるという利点がある。
【0052】
セル2の延びる方向に直交する断面において、有効第2領域充填部20は、第1領域充填部18の幅方向の一方の端部に位置してもよいし、一方と他方(両方)の端部に隣接するように位置してもよい。有効第2領域充填部20は、第1領域充填部18の幅方向の両方の端部に隣接するように位置することが好ましい。このように、有効第2領域充填部20が第1領域充填部18の幅方向の両方の端部に位置すると、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大が、有効第2領域充填部20によってより確実に止められるという利点がある。本実施形態のハニカム構造体100は、充填材7の有効第2領域充填部20が、第1領域充填部18の幅方向の両方の端部に隣接するように位置している。「第1領域充填部の幅方向の一方の端部、または一方と他方の端部に隣接するように位置する」とは、以下のように位置することを意味する。つまり、まず、セルの延びる方向に直交する断面において、スリットの空間内に、第1領域と第2領域との境界である上述の第1仮想境界線K1(仮想境界線K)、第2仮想境界線K2(仮想境界線K)を想定する。そして、これらの第1仮想境界線K1及び第2仮想境界線K2の一方または一方と他方(両方)を境界として第1領域充填部18に隣接して位置することを意味する。本実施形態のハニカム構造体100は、図6に示すように、有効第2領域充填部20,20(第2領域充填部19,19)が、第1仮想境界線K1及び第2仮想境界線K2のそれぞれを境界として第1領域充填部18に隣接して位置している。
【0053】
有効第2領域充填部20が第1領域充填部18の幅方向の両方の端部に隣接するように位置する場合、有効第2領域充填部20の最大の長さが、第1領域充填部18の幅方向における一方と他方(両方)で同じ長さであることが好ましい。つまり、「第1領域充填部18の幅方向の一方の端部に位置する有効第2領域充填部20の最大の長さ」は、「第1領域充填部18の幅方向の他方の端部に位置する有効第2領域充填部20の最大の長さ」と同じであることが好ましい。このように有効第2領域充填部20の最大の長さが第1領域充填部18の幅方向の一方と他方で同じであると、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大が、有効第2領域充填部20によってより確実に止められる。具体的には、セル2の延びる方向に直交する断面における第1領域充填部18(充填材7)の幅方向の一方の端部側と他方の端部側とでは、同程度の割合で、充填材7の剥離が生じると考えられる。また、有効第2領域充填部20の最大の長さが長い方が、充填材7の剥離の拡大をより確実に防止できる。そのため、有効第2領域充填部20の最大の長さが第1領域充填部18の幅方向の一方と他方で異なる場合、つまり、どちらか片方が短い場合、短い方での充填材7の剥離が生じ易くなる。一方、有効第2領域充填部20の最大の長さが第1領域充填部18の幅方向の一方と他方(両方)で同じであると、第1領域充填部18の幅方向の両方で、より確実に剥離の拡大を防止できる。有効第2領域充填部20の最大の長さとは、有効第2領域充填部20の「スリットの開口部の延びる方向に直交し且つスリットの深さ方向に直交する方向」における最大の長さを意味する。
【0054】
充填材7は、「外周壁3及び隔壁1によって区画形成されたセル2(不完全セル)であって、第1領域に連通するセル2」に、更に充填されていることが好ましい。このように充填材7が更に不完全セルに充填されると、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大の程度をより小さくできるという利点がある。
【0055】
本実施形態のハニカム構造体100において、充填材7の深さは、特定スリット6aの深さの80〜100%であることが好ましい。そして、充填材7の深さは、特定スリット6aの深さの85〜100%であることが更に好ましく、90〜100%であることが特に好ましい。充填材7の深さが、特定スリット6aの深さの80%より小さいと、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性を低減する効果が低下することがある。尚、「充填材7の深さ」は、特定スリット6aの「側面5における開口部」から、充填材7の最も深い位置までの距離のことである。複数本のスリットに充填材がそれぞれ充填されている場合には、充填材の深さは、各スリットによって異なっていてもよく、全て同じであってもよい。
【0056】
充填材は、ハニカム構造部に、特定スリットに該当しないスリットが形成されている場合、この「特定スリットに該当しないスリット」にも充填されていることが好ましい。また、充填材は、特定スリットを含む全てのスリットに充填されることが好ましい。このように、全てのスリットに充填材が充填されることにより、ハニカム構造体のアイソスタティック強度を向上させることができる。
【0057】
充填材7は、ハニカム構造部の主成分が炭化珪素、又は珪素−炭化珪素複合材である場合、炭化珪素を50質量%以上含有することが好ましい。これにより、充填材7の熱膨張係数を、ハニカム構造部の熱膨張係数に近い値にすることができ、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。また、充填材7は、シリカ、アルミナ等を50質量%以上含有するものであってもよい。
【0058】
本実施形態のハニカム構造体100において、充填材7のヤング率は、0.001〜20GPaであ、0.005〜15GPaであることが好ましく、0.01〜10GPaであることが更に好ましい。0.001GPaより低いと、ハニカム構造体100の機械的強度が低くなる。20GPaより高いと、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性が低くなる。
【0059】
本実施形態のハニカム構造体100において、充填材7の気孔率は、40〜80%であることが好ましく、43〜70%であることが更に好ましく、45〜65%であることが特に好ましい。40%より低いと、ハニカム構造体100の機械的強度が低くなることがある。80%より高いと、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性が低くなることがある。
【0060】
本実施形態のハニカム構造体100において、充填材7の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の電気抵抗率の100〜100000%であることが好ましく、200〜100000%であることが更に好ましく、300〜100000%であることが特に好ましい。100%より低いと、充填材7に電流が流れ易くなるため、ハニカム構造部に均一に電流を流すことが難しくなることがある。充填材7の電気抵抗率は、高過ぎても特に問題はない。充填材7は絶縁体であってもよい。充填材7の電気抵抗率は、実際には、ハニカム構造部4の電気抵抗率の100000%程度が上限となる。充填材7としては、複数種の充填材を併用してもよい。例えば、1本の特定スリットの中で部位によって使い分けたり、複数本の特定スリットが存在する場合に各特定スリットによって使い分けたりすることができる。充填材の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0061】
(1−3)電極部;
本実施形態のハニカム構造体100は、図1図3に示されるように、ハニカム構造部4の側面5に一対の電極部21,21が配設されている。本実施形態のハニカム構造体100は、一対の電極部21,21間に電圧を印加することにより、発熱する。印加する電圧は12〜900Vが好ましく、64〜600Vが更に好ましい。
【0062】
本実施形態のハニカム構造体100は、図1,2に示されるように、特定スリット6aは、一対の電極部21,21で覆われていない。特定スリット6aは、電極部21によって覆われていないことが好ましいが、覆われていてもよい。特定スリット6aが、電極部21によって覆われていない場合には、特定スリットに生じる応力が電極部に直接伝わることを防止できるため、電極部にクラックが発生することを防止できるという利点がある。
【0063】
図1図3に示されるように、一対の電極部21,21のそれぞれは、ハニカム構造部4のセル2の延びる方向に延びる「帯状」に形成されている。そして、セル2の延びる方向に直交する断面において、一対の電極部21,21における一方の電極部21が、一対の電極部21,21における他方の電極部21に対して、ハニカム構造部4の中心Oを挟んで反対側に配設されている。そのため、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を電流が流れ、これによりハニカム構造部4を発熱させることができる。そして、更に、図4に示されるように、本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極部21,21の中心角αの0.5倍(中心角αの0.5倍の角度θ)が、15〜65°であることが好ましい。これにより、ハニカム構造部4内の発熱の偏りを、より効果的に抑制することができる。このように、「電極部21の中心角αの0.5倍が15〜65°であるとともに、セルの延びる方向に延びている」という電極部21の形状は、「帯状」の一態様である。また、「電極部21の中心角α」は、図4に示されるように、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端とハニカム構造部4の中心Oとを結ぶ2本の線分により形成される角度である。換言すると、「電極部21の中心角α」は、直交断面において、「電極部21」と「電極部21の一方の端部と中心Oとを結ぶ線分」と「電極部21の他方の端部と中心Oとを結ぶ線分」とにより形成される形状(扇形、等)における、中心Oの部分の内角である。ここで、「直交断面」とは、「ハニカム構造体のセルの延びる方向に直交する断面」のことである。
【0064】
セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21,21の「中心角αの0.5倍の角度θ」の上限値は、60°が更に好ましく、55°が特に好ましい。また、セル2の延びる方向に直交する断面において、電極部21,21の「中心角αの0.5倍の角度θ」の下限値は、20°が更に好ましく、30°が特に好ましい。また、一方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」は、他方の電極部21の「中心角αの0.5倍の角度θ」に対して、0.8〜1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極部21,21間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部4内を流れる電流の偏りを抑制することができ、これによりハニカム構造部4内の発熱の偏りを抑制することができる。
【0065】
電極部21の厚さは、0.01〜5mmであることが好ましい。このような範囲とすることにより、均一に発熱することができる。
【0066】
電極部21は、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることが好ましく、通常含有される不純物以外は、炭化珪素粒子及び珪素を原料として形成されていることが更に好ましい。ここで、「炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」とは、炭化珪素粒子と珪素との合計質量が、電極部全体の質量の90質量%以上であることを意味する。このように、電極部21が炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極部21の成分とハニカム構造部4の成分とが同じ成分又は近い成分(ハニカム構造部の材質が炭化珪素である場合)となる。そのため、電極部21とハニカム構造部4の熱膨張係数が同じ値又は近い値になる。また、材質が同じもの又は近いものになるため、電極部21とハニカム構造部4との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極部21がハニカム構造部4から剥れたり、電極部21とハニカム構造部4との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
【0067】
電極部21の電気抵抗率は、0.1〜100Ωcmであることが好ましく、0.1〜50Ωcmであることが、更に好ましい。電極部21の電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、一対の電極部21,21が、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極部21の電気抵抗率が0.1Ωcmより小さいと、セルの延びる方向に直交する断面において、電極部21の両端付近のハニカム構造部の温度が上昇し易くなることがある。電極部21の電気抵抗率が100Ωcmより大きいと、電流が流れ難くなるため、電極としての役割を果たし難くなることがある。電極部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0068】
電極部21は、気孔率が30〜60%であることが好ましい。これにより、好適な電気抵抗率が得られる。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0069】
電極部21は、平均細孔径が5〜45μmであることが好ましい。これにより、好適な電気抵抗率が得られる。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0070】
電極部21の主成分が炭化珪素粒子及び珪素である場合に、電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10〜60μmであることが好ましい。これにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲で制御することができる。電極部21に含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0071】
電極部21に含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極部21に含有される珪素の質量の比率が、20〜40質量%であることが好ましい。これにより、電極部21の電気抵抗率を0.1〜100Ωcmの範囲にすることができる。
【0072】
本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁1及び外周壁3の材質が、珪素−炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分(90質量%以上)とするものであることが好ましい。このような材質を用いることにより、ハニカム構造部の電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。ハニカム構造部の電気抵抗率は、400℃における値である。
【0073】
本実施形態のハニカム構造体100は、隔壁厚さが50〜200μmであり、70〜130μmであることが好ましい。これにより、ハニカム構造体100を触媒担体として用いて、触媒を担持しても、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなり過ぎることを抑制できる。
【0074】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル密度が40〜150セル/cmであることが好ましい。これにより、排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。
【0075】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4を構成する炭化珪素粒子(骨材)の平均粒子径は、3〜50μmであることが好ましい。これにより、ハニカム構造部4の400℃における電気抵抗率を1〜200Ωcmにすることができる。炭化珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で測定した値である。
【0076】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム構造部4の電気抵抗率は、1〜200Ωcmであり、10〜100Ωcmであることが好ましい。電気抵抗率が1Ωcmより小さいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が過剰に流れることがある。電気抵抗率が200Ωcmより大きいと、例えば、200V以上の高電圧の電源によってハニカム構造体100に通電したときに(電圧は200Vには限定されない)、電流が流れ難くなり、十分に発熱しないことがある。ハニカム構造部の電気抵抗率は、四端子法により測定した値である。
【0077】
本実施形態のハニカム構造体100においては、電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の電気抵抗率より低いものであることが好ましい。電極部21の電気抵抗率は、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下であることが更に好ましく、1〜10%であることが特に好ましい。電極部21の電気抵抗率を、ハニカム構造部4の電気抵抗率の、20%以下とすることにより、電極部21が、より効果的に電極として機能するようになる。
【0078】
本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4の材質が、珪素−炭化珪素複合材である場合、ハニカム構造部4に含有される、「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と「結合材としての珪素の質量」との関係は以下のとおりである。つまり、「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、「結合材としての珪素の質量」の比率が、10〜40質量%であることが好ましい。
【0079】
ハニカム構造部4の隔壁1の気孔率は、35〜60%であることが好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0080】
ハニカム構造部4の隔壁1の平均細孔径は、2〜15μmであることが好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0081】
また、本実施形態のハニカム構造体100の最外周を構成する外周壁3の厚さは、0.1〜2mmであることが好ましい。
【0082】
本実施形態のハニカム構造体100は、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせ、であることが好ましい。これらのなかでも、正方形及び六角形が更に好ましく、六角形が特に好ましい。以下、セルの延びる方向に直交する断面における「セルの形状」を、単に、「セル形状」と称することがある。セル形状が正六角形であると、外周からの応力が分散されるという利点がある。
【0083】
本実施形態のハニカム構造体の形状(ハニカム構造部の形状)は特に限定されず、従来のハニカム構造体の形状とすることができる。
【0084】
本実施形態のハニカム構造体100のアイソスタティック強度は、1MPa以上であることが好ましい。アイソスタティック強度は水中にて静水圧をかけて測定した値である。
【0085】
本実施形態のハニカム構造体100は、触媒が担持されて、触媒体として使用されることが好ましい。
【0086】
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。図7に示されるように、本実施形態のハニカム構造体110は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100(図6))において、特定スリット6aが第3領域23を有するものである。つまり、充填材7が更に深く充填されている。このように充填材が深く充填されると、ハニカム構造部4の端面や側面において、充填材7が隔壁1から剥離したときに、この剥離のハニカム構造体内部への拡大がより確実に止められる。つまり、第3領域充填部を有すると、上述したように、クラック(つまり、隔壁のひび割れ)が生じることを防止できる。そして、充填材7が更に深く充填されていることは、第3領域充填部が更に深く形成されていることである。第3領域充填部が更に深く形成されていると、更に深く形成されている部分の分だけ上述した「剥離を拡大させる力」がハニカム構造体に伝わり難くなり、クラックが生じることを更に防止できる。図7は、本発明のハニカム構造体の他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【0087】
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。図8に示されるように、本実施形態のハニカム構造体120は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100(図6))において、有効第2領域充填部20が、第1領域充填部18の幅方向の一方の端部のみに位置する。このように有効第2領域充填部20が位置すると、ハニカム構造体100に比べてより少ない量の充填材で耐熱衝撃性を向上させることができるという利点がある。図8は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【0088】
次に、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態について説明する。図9に示されるように、本実施形態のハニカム構造体130は、上記本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態(ハニカム構造体120(図8))において、特定スリット6aの第2領域17の一部に充填材7が充填されているものである。つまり、本実施形態のハニカム構造体130は、特定スリット6aの第2領域17の全部に充填材7が充填されたものではなく、第2領域17の一部に隙間が形成されている。このように、充填材7は、有効第2領域充填部20を有する限り第2領域17の全部を充填する必要はなく、第2領域17の一部に隙間が形成されるように充填されていてもよい。このように充填材7が充填されると、ハニカム構造体120に比べてより少ない量の充填材で耐熱衝撃性を向上させることができるという利点がある。尚、第1領域についても、第1領域全体に充填材が充填されていることが好ましいが、第1領域の一部に隙間が形成されていてもよい。図9は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【0089】
次に、本発明のハニカム構造体の他の実施形態について説明する。図10に示されるように、本実施形態のハニカム構造体140は、上記本発明のハニカム構造体の一の実施形態(ハニカム構造体100(図1))において、セル2の延びる方向に直交する断面におけるセル2の形状が、四角形になったものである。図10は、本発明のハニカム構造体の更に他の実施形態の一方の端面の一部を拡大して模式的に示す平面図である。
【0090】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の一の実施形態について説明する。
【0091】
(2−1)ハニカム成形体の作製;
まず、以下の方法で、ハニカム成形体を作製する。炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。
【0092】
次に、成形原料を混練して坏土を形成する。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
【0093】
次に、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁と最外周に位置する外周壁とを有する構造である。
【0094】
次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥後のハニカム成形体を「ハニカム乾燥体」と称することがある。乾燥の方法は特に限定されない。
【0095】
(2−2)電極部形成原料の作製;
次に、電極部を形成するための電極部形成原料を調合する。電極部の主成分を、炭化珪素及び珪素とする場合、電極部形成原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末に、所定の添加物を添加し、混練して形成することが好ましい。電極部形成原料は、ペースト状であることが好ましい。
【0096】
(2−3)電極部原料付きハニカム乾燥体の作製;
次に、得られた電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体(ハニカム乾燥体)の側面に塗布することが好ましい。
【0097】
次に、ハニカム乾燥体の側面に塗布した電極部形成原料を乾燥させて、「電極部原料付きハニカム乾燥体」を作製することが好ましい。乾燥条件は、50〜100℃とすることが好ましい。ハニカム乾燥体の側面に電極部形成原料を塗布して乾燥させるまでの工程は、国際公開第2011/125815号に記載の方法を用いることができる。
【0098】
(2−4)スリットを形成したハニカム乾燥体の作製;
次に、電極部原料付きハニカム乾燥体に、スリットを形成して「スリットを形成したハニカム乾燥体」を得ることが好ましい。スリットは、リューター(電動切削工具)等を使用して形成することが好ましい。スリットは、電極部原料付きハニカム乾燥体の側面に開口部を有するように形成する。電極部原料付きハニカム乾燥体に形成するスリットとしては、上記本発明のハニカム構造体に形成される特定スリットと同様のスリットを少なくとも1本形成することが好ましい。特定スリットの形成方法としては、特に制限はないが、図6に示すような特定スリット6aを形成する方法の一例を以下に示す。まず、電極部原料付きハニカム乾燥体の隔壁の一部に直交する方向に、電極部原料付きハニカム乾燥体の側面から切削を行い、特定スリットの開口部の幅と同じ幅の開口部を有する切削スリットを形成する。「切削スリット」は、加工(この場合は切削加工)により形成されたスリットであることを意味する、製造過程における名称であり、得られハニカム構造体においては、第1領域等を有する特定スリットになる。具体的には、図6に示すような第1領域16に相当する領域内にある隔壁を切削して空間を形成する。この切削スリットによって、特定スリットを構成する空間のうちの第1領域16と第2領域17が形成される。次に、切削スリットの深さを更に深くするように隔壁を切削する。切削スリットの深さを更に深くする際には、「第1領域16が深く伸びる方向に位置するとともにスリットの延びる方向に直交する」隔壁のみを切削する。つまり、切削スリット(第1領域16)の延びる方向に沿って延びる隔壁は切削しない。図1のように、セル形状が六角形の場合は、切削スリットの延びる方向に沿ってジグザクに延びる隔壁は切削しない。このようにして、特定スリットを構成する空間のうちの第3領域23が形成される。このようにして、第1領域16、第2領域17、及び第3領域23を有する特定スリット6aを形成することができる。
【0099】
尚、電極部原料付きハニカム乾燥体を焼成した後に、スリットを形成してもよい。例えば、充填材用原料として、電極部の焼成温度より低温での熱処理を必要とする材料を用いる場合には、「電極部原料付きハニカム乾燥体」を作製した後に、仮焼成及び本焼成を行い、「電極部付きハニカム焼成体」を得ることが好ましい。そして、その後に、「電極部付きハニカム焼成体」にスリットを形成することが好ましい。
【0100】
(2−5)充填材用原料付きハニカム乾燥体の作製;
次に、「スリットを形成したハニカム乾燥体」のスリットに充填材用原料を充填し、乾燥して、「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を得ることが好ましい。充填材用原料は、電極部形成原料の好ましい組成と同様の組成であることが好ましい。充填材用原料は、電極部形成原料の好ましい組成と異なる組成であってもよい。充填材用原料をスリットに充填する際には、箆(へら)等を用いることが好ましい。乾燥条件は、50〜200℃とすることが好ましい。
【0101】
充填材用原料としては、電極部形成原料の好ましい組成と異なる組成である場合、無機粒子及び無機接着剤を含有するものであることが好ましい。充填材用原料には、更に、有機バインダ、界面活性剤、発泡樹脂、水等が含有されることが好ましい。無機粒子としては、板状粒子、球状粒子、塊状粒子、繊維状粒子、針状粒子等を挙げることができる。また、無機粒子の材質としては、炭化珪素、マイカ、タルク、窒化ホウ素、ガラスフレーク、コージェライト、アルミナチタネート、リチウムアルミニウムシリケート等を挙げることができる。無機粒子としては、複数種類の無機粒子の混合物であってもよい。そして、無機粒子としては、少なくとも炭化珪素粒子を30質量%以上含有するものであることが好ましい。無機接着剤としては、コロイダルシリカ(SiOゾル)、コルイダルアルミナ(アルミナゾル)、各種酸化物ゾル、エチルシリケート、水ガラス、シリカポリマー、リン酸アルミニウム等を挙げることができる。
【0102】
(2−6)焼成工程;
次に、「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を焼成して、ハニカム構造体を得ることが好ましい。例えば、図1に示されるハニカム構造体のようなハニカム構造体を作製することが好ましい。焼成の条件は、従来の方法(例えば、国際公開第2011/125815号に記載の方法)を用いることができる。
【実施例】
【0103】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合して、炭化珪素−金属珪素混合物を作製した。そして、炭化珪素−金属珪素混合物に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とし、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部であった。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は、20μmであった。炭化珪素、金属珪素及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0105】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断した。
【0106】
次に、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合し、これに、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して電極部形成原料とした。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.5質量部であった。グリセリンの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに10質量部であった。界面活性剤の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であった。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに0.3質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は52μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素及び金属珪素の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、縦型の撹拌機で行った。
【0107】
次に、電極部形成原料を、乾燥させたハニカム成形体の側面に、厚さが0.15mm、「セルの延びる方向に直交する断面において中心角の0.5倍が50°」になるようにして、ハニカム成形体の両端部間(両端面間)に亘るように帯状に塗布した。ここで、「セルの延びる方向に直交する断面において中心角の0.5倍」を「50°」としたため、電極部形成原料の、ハニカム成形体の外周の周方向の長さは、80mmとなった。電極部形成原料は、乾燥させたハニカム成形体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム成形体の中心を挟んで反対側に配置されるようにした。
【0108】
次に、ハニカム成形体に塗布した電極部形成原料を乾燥させて、電極部原料付きハニカム乾燥体を得た。乾燥条件は、70℃とした。
【0109】
次に、電極部原料付きハニカム乾燥体に、周方向に隣り合うスリットの間隔が等しくなるように8本のスリットを形成して「スリットを形成したハニカム乾燥体」を得た。スリットは、リューターを用いて形成した。8本のスリットのうち2本を特定スリットとした。2本の特定スリットは、ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように形成した。具体的には、「一方の電極部21の中央部C(図4参照)」の位置に1本の特定スリット6aを形成し、「他方の電極部21の中央部C(図4参照)」の位置に他の1本の特定スリット6aを形成した。電極部21の中央部Cは、「ハニカム構造部4の周方向」における中央の点のことである。
【0110】
次に、「スリットを形成したハニカム乾燥体」に充填材用原料を、箆(へら)を用いて全てのスリットに充填し、120℃で乾燥して「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を得た。充填材用原料は、以下のようにして作製したものを用いた。まず、炭化珪素(SiC)粉末とシリカ(シリカ粉末、コロイダルシリカ:SiO)を固形分量として68:32の質量割合で混合した。このとき、シリカの質量は、酸化物(SiO)換算した質量である。これに、バインダとしてカルボニルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリンを添加すると共に、水を添加して混合して混合物を得た。次に、この混合物を混練して充填材形成原料とした。バインダの含有量は、炭化珪素(SiC)粉末とシリカ(SiO)の固形分量の合計を100質量部としたときに1.0質量部であった。グリセリンの含有量は、炭化珪素(SiC)粉末とシリカ(SiO)の固形分量の合計を100質量部としたときに4質量部であった。水の含有量は、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに30質量部であった。炭化珪素粉末の平均粒子径は8μmであった。この平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。混練は、自公転撹拌機で行った。
【0111】
次に、「充填材用原料付きハニカム乾燥体」を、脱脂し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。
【0112】
得られたハニカム構造体は、側面に8本のスリットが形成され、8本のスリットのうち2本が特定スリットであった。全てのスリットの深さは、1.9セル分の深さ(3.3mm)であった(つまり、ハニカム構造部の半径(表2中、「半径に対する割合」と示す)の7.1%であった)。つまり、特定スリットの深さは1.9セル分の深さであった。全てのスリットの開口部の幅は、1セル分の幅(1.7mm)であった(つまり、ハニカム構造部の外周長(表2中、「外周長に対する割合」と示す)の0.59%であった)。つまり、特定スリット開口部の幅は1セル分の幅であった。特定スリットの幅は、2.3セル分の幅(4.0mm)であった(つまり、ハニカム構造部の外周長の1.4%であった)。「特定スリットの幅」は、最外周セルにおいて測定されたものであった。「特定スリットの幅」とは、特定スリットの「開口部の長手方向に直交し且つスリットの深さ方向に直交する方向」における最大の長さ(幅)のことである。セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状は、正六角形であった。尚、「特定スリットの幅」が測定された位置を、表2中の「「特定スリットの幅」の位置」の欄に示す。表2の「通過しているセル数」の欄は、「「特定スリットの幅」が測定された位置」において、特定スリットがいくつのセルを通過しているかを示す。尚、「通過しているセル数」を数える場合、特定スリットの深さ方向にずれているセルがあるときは、いずれか一方のセルのみを数えることとする。例えば、図6に示す特定スリット6aは、「「特定スリットの幅」が測定された位置」(有効第2領域充填部20が形成された位置)において、3つのセルを通過しているということができる。この場合、「通過しているセル数」は、「3」となる。表2の「「特定スリットの幅」の位置」の欄中、「1(セル)」は、「特定スリットの幅」が測定された位置が、「最外周セルから数えて1番目のセル」つまり「最外周セル」であったことを示す。「2(セル)」は、「特定スリットの幅」が測定された位置が、「最外周セルから数えて2番目のセル」であったことを示す。
【0113】
尚、表2において、特定スリットの深さ、特定スリットの開口部の幅、及び、特定スリットの幅が「nセル」とは、特定スリットの深さ、特定スリットの開口部の幅、及び、特定スリットの幅のそれぞれが、セル幅のn倍であることを示す。
【0114】
全てのスリットの空間には、完全に充填材が充填されていた。2本の特定スリットには、図6に示すようにして特定スリットの第1領域と第2領域とに充填材が充填されていた。充填材は、第1領域充填部と第2領域充填部とが連続して形成され、第2領域充填部の少なくとも一つが有効第2領域充填部であった。この有効第2領域充填部は、最外周セルに位置していた。つまり、特定スリットの第2領域を構成する最外周セルに充填された充填材が、有効第2領域充填部であった。また、充填材は、有効第2領域充填部が、第1領域充填部の幅方向の「一方と他方」(両方)の端部に隣接するように位置し、この有効第2領域充填部の最大の長さは、第1領域充填部の幅方向の一方と他方で同じ長さであった。また、有効第2領域充填部が、第1領域充填部の幅方向の「一方と他方」(両方)の端部に隣接するように位置する場合、「両方」と示す。
【0115】
得られたハニカム構造体の隔壁の平均細孔径(気孔径)は8.6μmであり、気孔率は45%であった。平均細孔径および気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。また、ハニカム構造体の、隔壁の厚さは90μmであり、セル密度は93セル/cmであった。また、ハニカム構造体の底面は直径(外径)93mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは75mmであった。また、ハニカム構造体の、2つの電極部の、セルの延びる方向に直交する断面における中心角の0.5倍は、50°であった。電極部の、ハニカム構造体の外周の周方向の長さ(表1中、「電極部の幅」と記す)としては、80mmであった。また、2つの電極部の厚さは、いずれも0.15mmであった。また、電極部の電気抵抗率は、0.5Ωcmであり、ハニカム構造部の電気抵抗率は、35Ωcmであった。また、ハニカム構造体の、セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状は正六角形であった。
【0116】
また、得られたハニカム構造体の充填材のヤング率は0.5GPaであり、気孔率は52%であった。ハニカム構造体の充填材の電気抵抗率は、10000Ωcm以上であった。
【0117】
「充填材のヤング率」は、JIS R1602に準拠して、曲げ共振法によって測定した値である。測定に用いる試験片は、以下の方法で作製した。まず、充填材を形成する原料を用いてバルク体を作製した。そして、このバルク体を3mm×4mm×40mmの大きさに切り出したものを、試験片とした。また、充填材の気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0118】
次に、得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で、「耐熱衝撃性試験(バーナー試験)」を行った。結果を表3に示す。
【0119】
尚、ハニカム構造部、電極部、及び充填材の電気抵抗率は、以下の方法で測定した。測定対象と同じ材質で10mm×10mm×50mmの試験片を作製した。つまり、ハニカム構造部の電気抵抗率を測定する場合にはハニカム構造部と同じ材質で、そして、電極部の電気抵抗率を測定する場合には電極部と同じ材質で、それぞれ試験片を作製した。試験片の両端部全面に銀ペーストを塗布し、配線して通電できるようにした。試験片に電圧印加電流測定装置をつないだ。試験片中央部に熱電対を設置した。試験片に電圧を印加し、電圧印加時の試験片温度の経時変化をレコーダーにて確認した。更に具体的には、100〜200Vの電圧を印加し、試験片温度が400℃の状態における電流値及び電圧値を測定し、得られた電流値及び電圧値、並びに試験片寸法から電気抵抗率を算出した。
【0120】
(耐熱衝撃性試験(バーナー試験))
「ハニカム構造体を収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機」を用いてハニカム構造体の加熱冷却試験を実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、ハニカム構造体にクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたハニカム構造体を収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で指定温度まで昇温し、指定温度で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、ハニカム構造体のクラックを確認した。そして、指定温度を825℃から25℃ずつ上昇させながら上記「昇温、冷却操作」を繰り返した。指定温度は、825℃から25℃ずつ、14段階設定した。つまり、上記「昇温、冷却操作」は、指定温度が1150℃になるまで行った。指定温度が高くなると昇温峻度が大きくなり、中心部に対して外周部の昇温が遅れることにより、中心部と外周部の温度差が拡大し、発生応力が大きくなる。指定温度が900℃を超えるまでクラックが発生しないハニカム構造体は、耐熱衝撃性試験が合格である。つまり、指定温度900℃においてクラックが発生しなければ、更に高い指定温度においてクラックが発生しても合格であり、指定温度900℃以下でクラックが発生した場合に不合格となる。表3において、「耐熱衝撃性試験」の欄の「縦クラック」は、耐熱衝撃性試験において、ハニカム構造体の側面にクラックが発生したときの指定温度を示している。また、表3において、「耐熱衝撃性試験」の欄の「端面クラック」は、耐熱衝撃性試験において、ハニカム構造体の端面にクラックが発生したときの指定温度を示している。
【0121】
【表1】
【0122】
【表2】
【0123】
【表3】
【0124】
(実施例2〜17、比較例1〜4)
各条件を、表1,2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。実施例1の場合と同様にして、「耐熱衝撃性試験」を行った。結果を表3に示す。
【0125】
表3より、「特定スリットが形成され、この特定スリットに充填された充填材が有効第2領域充填部を有する」ハニカム構造体は、耐熱衝撃性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明のハニカム構造体は、自動車の排ガスを浄化する排ガス浄化装置用の触媒担体として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1:隔壁、2:セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:側面、6:スリット、6a:特定スリット、7:充填材、8:開口部、11:一方の端面、12:他方の端面、16:第1領域、17,17a,17b:第2領域、18:第1領域充填部、19:第2領域充填部、20:有効第2領域充填部、21:電極部、23:第3領域、25:第3領域充填部、100,110,120,130,140:ハニカム構造体、O:中心、C:(電極部の)中央部、K:仮想境界線、K1:第1仮想境界線、K2:第2仮想境界線、L1,L2:線分、α:中心角、β:角度、θ:中心角の0.5倍の角度、A:一端、B:他端、H:開口部の幅、P:端面領域。
図1
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