(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記屈折状態は遠視を含み、前記眼鏡用レンズ処方において、球面レンズおよび円柱レンズの両方を無しとでき、前記円柱レンズが無しである場合、軸は無しであり、乱視の軸は1〜180の値で表わされ、
眼鏡用レンズ処方結果において、球面レンズおよび円柱レンズは正の数であり、最小値はブランクでありゼロと見なされ、
大きい瞳孔球面レンズは、小さい瞳孔球面レンズより大きく、
大きい瞳孔球面レンズは+0.25DS〜+15.00DSであり、大きい瞳孔円柱レンズは+0.25DC〜+8.25DCであり、
1つの大きい瞳孔円柱レンズは、5つの小さい瞳孔円柱レンズに対応する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の小児用自動検眼分析システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
具体的には、屈折異常の患者が眼鏡用レンズの処方に関する物理的な補正を受ける場合、検眼士は参考のための検眼器具を用いて近視や遠視に対する眼鏡用レンズの処方を案出し、そして適性検査期間を介して適切な眼鏡用レンズを作成する。眼鏡用レンズの適合度は、検眼士の能力、患者の認知レベルおよび患者の協調に応じて違ってくる。結果には不一致や不確かさが存在する。成人の眼が十分に発達しているので、たとえ眼鏡用レンズと眼の状態とが一致しなくても、眼にそれほど大きなダメージは生じない。しかしながら、この検眼過程がティーンエイジャー、特に小児に対して行われる場合、小児の眼が発達段階にあるので、結果は同じではない。小児の眼の屈折調整の発達の見込み(potential refraction adjustment)が考慮されず、眼鏡用レンズの処方が検眼機械によってのみ行われた場合、小児の眼の発達を損なうおそれ、眼の調整の十分な働き(the full play of eye adjustment)が阻害されるおそれ、眼の柔軟性が失われるおそれ、および視力が回復不能となるおそれがある。
【0004】
適正な眼鏡用レンズの処方によって、疑似異常眼屈折(false abnormal eye refraction)の多くの患者を正常な視力に回復させることができる。これは、小児眼科医の優れた技術によるところが大きい。しかしながら、この技術を系統的に扱うことができる眼科医は不足している。したがって、小児眼科医の経験に左右されることなく、適正な眼鏡用レンズの処方を特に屈折異常の小児に対して便利にかつ正確に与えることができるよう、この問題を技術的に解決する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の観点では、患者の検眼データを取得するための主制御板と、主制御板と接続される上位コンピュータと、を備える小児用自動検眼分析システムを提供する。上位コンピュータは、主制御板から得られた検眼データに応じて処理を実行し、対応する予備的眼鏡用レンズ処方データを生成し、収集されたプリセット患者情報に基づいて予備的眼鏡用レンズ処方データを補正し、患者に適した最終眼鏡用レンズ処方を生成する。収集されたプリセット患者情報に基づく予備的眼鏡用レンズ処方データの補正には、予備的眼鏡用レンズ処方データを補正するための年齢に関連した補正係数の使用が含まれる。
【0006】
一の態様では、主制御板は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)ユニットを中央処理コアとして用いる。FPGAユニットは、USBインターフェース制御ユニットを通じてUSBインターフェースと接続され、USBインターフェースを通じて上位コンピュータと接続される。FPGAユニットはIOインターフェースを通じて光学システムと接続され、光電子アイソレータ(optoelectronic isolater)を通じて3軸モータを有する運動プラットフォーム(motion platform)と接続される。運動プラットフォームはさらにモータ駆動ユニットと接続される。FPGAユニットおよびモータ駆動ユニットは、共にレベル変換ユニットと接続される。
【0007】
一の態様では、FPGAユニットは、EP3C16Q240C8Nチップである。モータ駆動ユニットは、2相モータ専用のSLA7042Mドライバチップである。レベル変換ユニットは、16ビット構成3.3V−5V用のSN74ALVC164245レベル変換チップである。USBインターフェース制御ユニットは、PDIUSBD12チップである。
【0008】
一の態様では、FPGAユニットは、USBインターフェース制御モジュールと、クロックモジュールと、コマンド分析モジュールと、モータ制御モジュールと、光源制御モジュールと、を備える。USBインターフェース制御モジュールは、FPGA内部USBファームウェアプログラムとして、FPGAユニットと上位コンピュータのUSBインターフェースとの間の通信を行う。クロックモジュールは、外部クロックへの周波数分割多重化プロセス(frequency division and multiplication processes)を行い、FPGAユニットの動作に必要とされる種々の周波数のクロック信号を生成する。コマンド分析モジュールは、上位コンピュータから受信したコマンドを分析し、規定されたコマンドプロトコルに応じて実行命令を生成し、実行命令を実行に対応するモジュールに送信する。モータ制御モジュールは、コマンド分析モジュールから送信された3軸モータ制御コマンドを実行し、それぞれの軸のモータの細分化・変速度制御(subdivision and variable control)を実行し、最終的にモータ駆動ユニットへの種々のコマンドの送信を通じて3軸リンケージ制御を実行する。光源制御モジュールは、光学システムのLED赤外線光源および視覚補助光源を制御する。視覚補助光源は、患者の視線方向(eye-glazing direction)をガイド(誘導)するよう用いられる。LED赤外線光源は焦点合わせを補助するよう用いられる。
【0009】
一の態様では、眼鏡用レンズ処方において、球面レンズ度数(spherical lens power)= 瞳孔の拡張(pupillary dilation)後の球面レンズ度数−f1係数であり、f1係数は年齢との相関および瞳孔の拡張後の球面レンズの度数との相関を有している。円柱レンズ度数(cylindrical lens power)=瞳孔の拡張後の円柱レンズ度数−f2係数であり、f2係数は年齢との相関および瞳孔の拡張後の円柱レンズの度数との相関を有している。軸=瞳孔の拡張後の軸である。
【0010】
一の態様では、眼鏡用レンズ処方は、小児の小児検眼に関する専門家データベースに基づいて生成される。専門家データベースは、関連するデータベースモデルを確立するようにデータベース構築言語およびC言語を用いて専門家の眼鏡用レンズ処方の成功事案の統計分析を行うことにより形成される3〜18歳の子供および小児からの大量の検眼データを含んでいる。小児用自動検眼分析システムは、患者の年齢の認識に基づいて、小さい瞳孔度数(pupil power)と大きい瞳孔度数との二セットの眼鏡用レンズ処方を表示又は印刷する。
【0011】
一の態様では、患者の年齢は所定数の年齢グループに分割される。グループの年齢が増加するにつれて眼鏡用レンズ処方において与えられる眼鏡用レンズ処方の度数(eyeglass prescription power)が増加するよう、補正係数は眼鏡用レンズ処方におけるそれぞれの年齢グループに対応する。眼鏡用レンズ処方において、瞳孔の拡張後の患者の屈折状態は一次基準要因として設定され、瞳孔の拡張前の患者の屈折状態は二次基準要因として設定される。
【0012】
一の態様では、屈折状態は遠視を含み、眼鏡用レンズ処方において、球面レンズおよび円柱レンズ(spherical lens and cylindrical lens)の両方を無し(null)とでき、円柱レンズが無し(null)である場合、軸は無し(null)であり、乱視の軸は1〜180の値で表わされる。眼鏡用レンズ処方結果において、球面レンズおよび円柱レンズは正の数であり、最小値はブランクでありゼロと見なされる。大きい瞳孔球面レンズ(large pupil spherical lens)は、小さい瞳孔球面レンズ(small pupil spherical lens)より大きい。大きい瞳孔球面レンズは+0.25DS〜+15.00DSであり、大きい瞳孔円柱レンズ(large pupil cylindrical lens)は+0.25DC〜+8.25DCである。1つの大きい瞳孔円柱レンズは、5つの小さい瞳孔円柱レンズ(small pupil cylindrical lenses)に対応する。
【0013】
一の態様では、屈折状態は近視を含み、眼鏡用レンズ処方において、球面レンズおよび円柱レンズの両方を無し(null)とでき、円柱レンズが無し(null)である場合、軸は存在しない。大きい瞳孔球面レンズ(large pupil spherical lens)が無し(null)である場合、その対応する小さい瞳孔球面レンズ度数(small pupil spherical lens power)は−0.25DSの絶対値以上である。大きい瞳孔球面レンズ度数(large pupil spherical lens power)の絶対値は、小さい瞳孔球面レンズ度数の絶対値よりも小さい。軸は、小数点を用いない1〜180の範囲の正の整数である。大きい瞳孔球面レンズは0.25単位で増分する−0.25DS〜−15.00DSの範囲であり、大きい瞳孔円柱レンズ(large pupil cylindrical lens)は−0.25DC〜−7.00DCであり、軸は入力値として設定される。大きい瞳孔(large pupil)と、小さい瞳孔(small pupil)と、眼鏡用レンズ処方軸と、は調和(consistent)している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の小児用自動検眼分析システムは、屈折異常(ametropia)の患者に適しており、特に子供および小児に適している。本願の小児用自動検眼分析システムは、眼科医による屈折異常の治療の成功事案のデータを結合し、屈折異常の小児のための共通規則を形成して、情報源が異なる異質なデータの収集、蓄積、整理、共有、および利用の問題を解決する。本願の小児用自動検眼分析システムは、屈折異常の小児のための検眼用の有効な標準(norm)のための技術手段を提供し、屈折異常の小児の検眼の精度および効率を向上する。
【0016】
本願において、屈折異常の分類、患者の年齢などが考慮される。考慮する要因は、基本的に以下のように分類される。
・屈折異常条件は、近視、遠視および混合乱視に分割される(
図1参照)。
・患者の年齢範囲は1〜18歳である(患者の年齢に関するプリセット(予め入力された)情報を収集することができる)。
・各条件には四つのブロックが含まれる。点眼薬の落下後の屈折状態(瞳孔の拡張後)と、点眼薬の落下前の屈折状態(瞳孔の拡張前)と、眼鏡用レンズ処方1と、眼鏡用レンズ処方2と、である。
・各ブロックは、三つの部分、すなわち球面レンズと、円柱レンズと、軸と、の組み合わせである。
【0017】
眼鏡用レンズ処方の際に、以下の年齢相関を有する。
・年齢は、6つのグループ、すなわち1〜3才、4〜6才、7〜9才、10〜12才、13−15才、および16〜18才に分けられる。
・グループの年齢が増加するにつれて、眼鏡用レンズ処方によって提供される度数(power)は増加する。
【0018】
瞳孔の拡張後の屈折状態相関に関して、以下のことが考慮される。
・眼鏡用レンズ処方において、瞳孔の拡張後の患者の屈折状態を一次基準要因として考慮する。
・眼鏡用レンズ処方において、瞳孔の拡張前の患者の屈折状態を二次基準要因として考慮する。
【0019】
眼鏡用レンズ処方において、球面レンズ度数(spherical lens power)=瞳孔の拡張後の球面レンズ度数(予備的(preliminary)眼鏡用レンズ処方データとして)−f1係数(f1係数は球面レンズ補正係数であり、年齢との相関+瞳孔の拡張後の球面レンズの度数との相関を有する)、である。
・球面レンズの度数の単位は「DS」である。
・眼鏡用レンズ処方において、円柱レンズ度数(cylindrical lens power)=瞳孔の拡張後の円柱レンズ度数(予備的(preliminary)眼鏡用レンズ処方データとして)−f2係数(f2係数は円柱レンズ補正係数であり、年齢との相関+瞳孔の拡張後の円柱レンズ度数との相関を有する)、である。
・円柱レンズの度数の単位は「DC」である。
・眼鏡用レンズ処方の軸=瞳孔の拡張後の軸である。
・軸には単位がない。
【0020】
上記を考慮して小児検眼技術を製品で実現した場合、多数の小児眼科医がその技術を習得する方法を容易に学ぶことができ、そして、眼科医によって提供される技術サービスは専門家のレベルに達する。これは、多くの屈折異常の小児に役立てることができる。多くの人々に有益であることは間違いなく、重要な意味がある。本願は、上記の思想に基づいて、小児用自動検眼分析システムを提供する。小児眼科医の医療ケースおよび事案の例の集積を通じて、そして情報の収集および検索を通じた患者の年齢および屈折調節能力(refraction accommodation capability)に応じて、適当な眼鏡用レンズ処方が生成される。患者は、担当の眼科医がたとえ専門家でなくても、専門家レベルの高品質な診断サービスを受けることができる。
【0021】
本実施形態の小児用自動検眼分析システムは、専門家の事案データベースに基づいて構築された診断装置である。専門家の事案データベースは、100,000人もの屈折異常の小児の治療の成功事案の統計および集計を含む、小児眼科医のほぼ30年間にわたる医療行為の経験の蓄積である。これは有効であると証明されたものである。しかしながら、そのようなデータベースの構築には技術的課題がある。データの記録、集計、分析ならびに改良、および、近視、遠視、乱視、小児の年齢、屈折調整力(refraction regulating)ならびに多くの他の要因の適用範囲(coverage)がデータベースモデルの確立上の難問であるからである。本願における本実施形態の小児用自動検眼分析システムは、専門家の事案データベースを有し、利用する。
【0022】
図2を参照して、本願の小児用自動検眼分析システムは、成熟した検眼技術を利用し、他覚的な眼の屈折データ(objective eye refraction data)を取得し、そして専門家の事案のデータベースに応じて二次データ処理を実行する。システムには、データの通信、収集、処理および出力などの技術的側面が含まれる。従来の屈折計に基づく、本願の実施形態の小児用自動検眼分析システムは、さらに、データインタフェースならびにドライバ、データベース検索、基本データ入力ならびにヒューマンコンピュータインタラクションの総合的技術設計を有してもよい。それには、コンピュータアプリケーションの分野におけるDSP(デジタル・システム・プロセッサ)アプリケーションプログラムの設計、およびソフトウェアならびにハードウェアインターフェースの設計など技術的内容が含まれる。その基本構造を
図3に示す。
【0023】
ソフトウェアについては、本願の小児用自動検眼分析システムは、小児眼科医の検眼および医療方式に基づいており、実用的な医療事案のデータベースシステムおよび対話型インデックス通信ソフトウェアを形成する。ハードウェアについては、システムは、主として、屈折計、デスクトップコンピュータおよびプリンタなどを用いて、本願の小児用自動検眼分析システムを形成する。本願の小児用自動検眼分析システムは主として患者の検眼データを取得するための主制御板を備えており、上位コンピュータを主制御板と接続することができる。上位機械は、主制御板から得られた検眼データに応じて処理を実行し、対応する予備的眼鏡用レンズ処方データを生成し、収集された既定の患者情報に基づいて予備的眼鏡用レンズ処方データを補正し、患者に適した最終眼鏡用レンズ処方を生成できる。収集された既定の患者情報に基づく予備的眼鏡用レンズ処方データの補正には、予備的眼鏡用レンズ処方データを補正するための年齢に関連した補正係数の使用が含まれる。
【0024】
本願の実施形態にかかる小児用自動検眼分析システムの主な機能には、
a)自覚的な眼の屈折検眼機能(subjective eye refraction optometric function)を有すること、
b)小児の年齢の認識後、小さい瞳孔度数と大きい瞳孔度数と(small pupil power and large pupil power)の二セットの眼鏡用レンズ処方を表示又は印刷すること
が含まれる。
【0025】
本願の実施形態にかかる小児用自動検眼分析システムの主な技術的標準には、
a)頂点距離(apex distance):0.0,12.0,13.75
b)球面レンズ:−20.00〜+20.00D(VD=12mmの場合)
c)(ステップ:0.12D):0.12D,0.25D
d)円柱レンズ:0.00〜±8.00D(ステップ:0.12D)
e)軸(axial):1〜180°(ステップ:1°)
f)乱視マーク:−,+,±
g)瞳孔距離:45〜75mm
h)最小検知可能瞳孔:2.5mm
i)データ保存:1つの眼に用いる3回の計測のデータを保持
j)内部プリンタ:感熱ラインプリンタ
k)電源:220V±10%,50Hz
【0026】
本願の小児用自動検眼分析システムは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)の屈折計制御システムおよびUSBインターフェースの設計方式を利用する。設計方式におけるコンピュータ化された検眼のインターフェース設計は、従来の屈折計に基づいて変更されてもよい。コンピュータ制御システムを、FPGAに基づいて設計することができる。また、装置をコンピュータに接続するためにUSB技術を利用し、データ通信の速度を高速化することもできる。小児のための眼鏡用レンズ処方では、コンピュータキーボードを介して専門家データベースと連係することができる。
【0027】
制御システムは、小児用自動検眼分析システムの制御のコア(中核)である。制御システムは、多軸モータの動作および光源制御を実現するだけでなく、上位コンピュータの情報の交換および他の重要な機能も実現する。本願の小児用自動検眼分析システムの主制御板の設計は、最小のEP3C16Q240C8システムの拡張(expansion)とすることができる。FPGA機能実現および関連する外部拡張に基づき、ピンインターフェースの適切な変更が行なうことができる。また、USB通信インターフェース、モータ駆動モジュール、および移動スイッチ信号の光電子アイソレータ回路を追加することもできる。
図4に、小児用自動検眼分析システムの主制御板のハードウェアの設計のブロック図を示す。
【0028】
図4において、主制御板のFPGAは、アルテラ社製のCylone(登録商標)IIIシステムのEP3C16Q240C8Nチップである。チップは、15,408の論理ユニットを有する。チップは、516,096バイトのランダム・アクセス・メモリー(RAM)を提供することができる。チップはまた4つのフェーズロックループを備えることができる。その場合、システムのクロック信号が高速で動作する時にも安定性を保証することができる。12MHzの水晶振動子(crystal)を、システムのクロック信号に用いることができる。モータ駆動ユニットを、Allergo社製の2相モータ専用のSLA7042Mドライバチップとすることができる。これにより、非常にスムーズな低速駆動を達成することができる。メインチップと外部機器との間の通信を実現するために、制御板は3.3Vと5Vとの間のレベル変換を行う。FPGAは、テキサスインスツルメンツ(TI)社製の16ビット構成3.3V−5V用のレベル変換SN74ALVC164245チップを利用することもできる。USBインターフェース制御ユニットをPDIUSBD12チップとすることができる。PDIUSBD12チップは、ある外部機器に適したSIE FIFO読み出し専用メモリ、トランシーバーおよび電圧調整器の集積チップである。主制御板全体の中央処理装置としてFPGAユニットは、バイレベル(bi-level)の変換ユニットとUSBインターフェース制御ユニットとにそれぞれ接続される。USBインターフェース制御ユニットを、USBインターフェースと接続でき、USBインターフェースを通じて上位コンピュータと接続でき、そして上位コンピュータのヒューマンコンピュータインターフェースを通じてFPGAユニットと連係できる。バイレベル変換ユニットをモータ駆動ユニットと接続することもできる。モータ駆動ユニットを運動プラットフォームに接続でき、モータ駆動ユニットにより3軸(XYZ)モータを制御することができる。同時に、FPGAユニットを、光電子アイソレータを通じて運動プラットフォームに接続することができる。FPGAユニットを、IOインターフェースを通じて光学システムに接続することもできる。
【0029】
Verilog HDLは、ハードウェア記述言語である。Verilog HDLは、主として、アルゴリズムレベル、ゲートレベルから、スイッチレベルまでの種々の抽象的設計レベルのデジタルシステム・モデリングに用いられる。FPGAチップは、屈折計の主制御板のコア要素である。本設計方式においては、上位コンピュータと下位コンピュータとの間の情報の交換、運動プラットフォームにおける多軸リンケージ・モータの制御、光源の制御などを実現するために、Verilg HDLをFPGAにおいて用いることができる。
図5は、FPGAの内部機能モジュールのブロック図である。
【0030】
FPGAの内部機能モジュールは、以下のものを含む。
1)USBインターフェース制御モジュール:FPGA内部USBファームウェアプログラムであり、FPGAユニットと上位コンピュータのUSBインターフェースとの間の通信を行う。
2)クロックモジュール:外部の12MHzクロックへの周波数分割多重化プロセス(frequency division and multiplication processes)を行い、FPGAユニットの動作に必要とされる種々の周波数のクロック信号を生成する。
3)コマンド分析モジュール:上位コンピュータから受信したコマンドを分析し、規定されたコマンドプロトコルに応じて実行命令を生成し、実行命令を実行に対する種々のモジュールに送信する。
4)モータ制御モジュール:コマンド分析モジュールから送信された3軸モータ制御コマンドを実行し、それぞれの軸のモータの細分化・変速度制御(subdivision and variable speed control)を実行し、最終的にモータ駆動ユニットへの種々のコマンドの送信を通じて3軸リンケージ制御を実行する。
5)光源制御モジュール:光学システムの5つのLED赤外線光源および3つの視覚用光源を制御する。3つの視覚用光源は患者の視線方向を誘導するよう用いられる。5つのLED赤外線光源は焦点合わせを補助するよう用いられる。
【0031】
小児用自動検眼分析システムの制御システムの上位コンピュータのソフトウェアは、他覚的な検眼データ(objective optometry data)の収集、専門家データベースの検索および管理、眼鏡用レンズ処方のプロセスの完了、および前処理に基づいた眼鏡用レンズ処方の送信などの処理のタスクを完全実行する役割を主として担う。屈折計および眼鏡用レンズ処方データベースが二つの別々の装置であるので、これらの装置を適切に機能させるために、専用のドライバプログラムおよびソフトウェアが書き込まれる。
【0032】
a)ドライバプログラムの書き込み(Writing of driver program)
ドライバプログラムを、Driver Studio、WinDriverなどのドライバ開発のための専用ツールによって書き込むことができる。Driver Studio3.2を用いて開発を行なう場合、ファームウェアデバイスに記載されていたものと一致したUSBベンダーIDおよびUSBプロダクトIDにおける情報を入力する必要があることに注意しなければならない。PhilipsのPDIUSBD12チップが用いられるので、デバイスのベンダーIDは0x0471と設定される。Driver StudioのDriver Wizardを用いたドライバ・フレームワークの生成後、Visual C++6.0を用いて、必要に応じてDriver Wizardによって生成されたプロジェクトファイルの機能を変更することができる。また、ベンダー専用の要求を書き込んで、カスタマイズされたIO制御インターフェース機能の処理を実行することもできる。これらがすべて完了した後、ドライバプログラムをコンパイルすることができる。ドライバプログラムのコンパイルに成功した後、Driver Studioによって自動生成された.infファイルと同じカテゴリーにそれを置くことができる。ドライバを探す場合、単にこのカテゴリーを指定することができる。
【0033】
b)上位コンピュータのアプリケーションプログラムの書き込み
デバイスが上位コンピュータとデバイスとの間の通信にUSBインターフェースを用いるので、上位コンピュータのアプリケーションプログラムはUSBドライバを通じてデバイスへのアクセスを達成することができる。上位コンピュータのアプリケーションプログラムの書き込みは、USBドライバによって定義されるインターフェース仕様に準拠する必要がある。一般的には、ドライバ・プロジェクトがDriver Wizardによって生成された後、ioctl.hファイルが同時に生成される。このファイルは、アプリケーションプログラムとドライバとの間で確立されたブリッジである。これにより、ドライバプログラムのインターフェースが定義される。アプリケーションプログラムを書き込む場合、これを適用する必要がある。
【0034】
上位コンピュータのアプリケーションプログラム全体を、ビデオ表示領域と、(直接制御)動作領域と、MOTOR(モータ)制御領域と、LED制御領域と、リアルタイム処理(データ)表示領域と、状況フィードバックデータ表示領域と、を含む6つの領域に分割することができる。システムのヒューマンコンピュータインタラクション機能は、windowsのプラットフォーム上のVC++6.0コンパイル環境を用いて設計し完成することができる。追跡し焦点を合わせる(トラッキング・フォーカシング)プロセスを視覚的に表示することができ、人間の眼のトラッキングを制御する制御が容易な視覚化プロセスを行うことができる。人間の眼をトラッキングするシステム(human eye tracking system)を、ヒューマンコンピュータインターフェースを通じて制御することができる。
【0035】
上位コンピュータのアプリケーションプログラムは、小児眼科医のデータベースを基礎としてもよい。専門家の眼鏡用レンズ処方の成功事案の統計および解析を実行し、適用範囲の大きなデータベースモデルを開発し、ヒューマンコンピュータインターフェースを通じて照会し索引付けする(enquiring and indexing)3〜18才の患者の検眼データベースを生成するため、データベース構築言語およびC言語が用いられる。
【0036】
本願の小児用自動検眼分析システムには、小児の成功した検眼の事案に関する研究を含めることができる。これには、フレームワークおよび小児眼科医の検眼データベースの管理(更新、照会、保存、索引付けなど)、および異常なデータアクセスの解決ならびに傾向管理(trend management)が含まれる。既存の屈折計の技術的な変更を行うことができ、これには、動作モード、インターフェース拡張、通信ドライバおよびコントロールソフトウェアの開発が含まれる。
【0037】
一般的な検眼の主機能から離れて、本願の小児検眼補正設備には、18歳未満の患者のための検眼の特別な補正機能が追加される。眼鏡用レンズ処方において、小児の調整(regulation)およびリラグゼーション機構と同様に、視力発達の見込み(potential of vision development)の効果および要件が十分に考慮されている。これにより、小児の視力発達パターン(vision development pattern)に応じて個々人の眼鏡用レンズ処方を適切に提供する。その成功例としての発達および使用法は、屈折異常の小児のための有効な補正治療に適している。これは何億人もの小児に役立つことになろう。その広範囲な応用は非常に意義深い。それは小児眼科の実務者たちによって実際に調査された価値ある重要な規範(トピック)である。本システムの応用および提唱は、非常に有望であると期待される。
【0038】
図6〜
図9は、本願の一実施形態にかかる小児用自動検眼分析システムの屈折異常の変換式および例を示している。眼鏡用レンズ処方変換式は以下の通りである。
眼鏡用レンズ処方の球面レンズ度数=瞳孔の拡張後の球面レンズ度数−f1係数
眼鏡用レンズ処方の円柱レンズ度数=瞳孔の拡張後の円柱レンズ度数−f2係数
眼鏡用レンズ処方の軸の値=瞳孔の拡張後の軸の値
(なお、f1係数およびf2係数は年齢との相関および瞳孔の拡張後の度数(パワー)との相関を有する)
【0039】
6才の患者、前後方向の眼の位置(anteroposterior eye position)
【表1】
【0041】
遠視(符号「+」)
通常の標準の眼の調節(Normal standard eye accommodation):
1〜3才、4〜6才、7〜9才、10〜12才、13〜15才および16〜18才など年齢グループに応じて、それぞれの年齢グループの通常の標準の眼の調節が区分され、国際標準視力表(international standard vision chart)によって表される(例えば0.1,…,1.5)。
【0042】
一般に、小児が3才の場合、小児の眼は約300度(degrees)の調節能力(accommodation capability)がある。小児が成長するにつれて、調節能力は毎年約25度減少する。15才のときには、12年で300度減少する。所定の年齢グループに応じて、それぞれの年齢グループの調節度(accommodation degree)を決定することができる。例えば、1〜3才のグループは300度に設定することができる。4〜6才のグループは、1〜3才のグループから所定度を、例えば50〜75減算するなどして、それぞれの年齢グループの補正係数を決定することができる。近視または遠視の度数を決定する場合、検眼のデータは補正係数を用いることにより補正され、これにより、眼鏡用レンズ処方における実際の度数を取得することができる。
【0043】
大きい瞳孔球面レンズ(Large pupil spherical lens)−小さい瞳孔球面レンズ(small pupil spherical lens)=実際の目の調節(actual eye accommodation):
1.球面レンズ(spherical lens)および円柱レンズ(spherical lens)の両方を無し(null)とでき(ブランクを表示)、円柱レンズが無し(null)である場合、軸は無し(null)であり(ブランク、つまり軸は必要ではない)、乱視の軸は1〜180の値で表示される(乱視がない場合、乱視軸は必要ではない、つまり軸は無し(null)である)。
2.眼鏡用レンズ処方結果において、球面レンズおよび円柱レンズが正の数であり、最小値はブランクでありゼロと見なされる。
3.大きい瞳孔球面レンズは、小さい瞳孔球面レンズより大きい。
4.大きい瞳孔球面レンズは+0.25DS〜+15.00DSであり、大きい瞳孔円柱レンズは+0.25DC〜+8.25DCである。
5.1つの大きい瞳孔円柱レンズは、5つの小さい瞳孔円柱レンズと対応することができる。
【0044】
近視(符号「−」)
1.球面レンズおよび円柱レンズの両方を無し(null)、つまりゼロとできる。円柱レンズが無し(null)である場合、軸は存在しない。大きい瞳孔球面レンズが無し(null)である場合、その対応する小さい瞳孔球面レンズ度数(small pupil spherical lens power)は−0.25DSの絶対値以上である。
2.大きい瞳孔球面レンズ度数の絶対値は、小さい瞳孔球面レンズ度数の絶対値よりも小さい。
3.軸は小数点を用いない1〜180の範囲の正の整数である(端数を切り上げ又は切り捨てる、または四捨五入して整数とする)。
4.大きい瞳孔球面レンズは−0.25DS〜−15.00DSの範囲(0.25単位で増分する)であり、大きい瞳孔円柱レンズは−0.25DC〜−7.00DCの範囲である。
5.軸は入力値として設定することができる。大きい瞳孔(large pupil)と、小さい瞳孔(small pupil)と、眼鏡用レンズ処方軸(eyeglass prescription axes)と、は調和している(consistent)。
【0045】
以上、添付図面を参照して特定の実施形態を説明した。しかしながら、本願は上記の特定の実施形態に限定されない。上記の特定の実施形態は単なる例示であって、限定と見されるものではない。上記の開示から、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく種々の変形および変更を行うことができることを付言しておく。