(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
増幅ファイバ、及び、該増幅ファイバの両端に接続された1対のファイバブラッググレーティングにより構成された共振器と、上記共振器にて生成されたレーザ光を導波するデリバリファイバと、を備えたファイバレーザにおいて、
上記デリバリファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置として、請求項1〜6の何れか1項に記載の検出装置を備えている、ことを特徴とするファイバレーザ。
複数のファイバレーザと、上記複数のファイバレーザの各々にて生成されたレーザ光を合波するコンバイナと、上記コンバイナにて得られた出力光を導波する出力ファイバと、を備えたファイバレーザシステムにおいて、
上記出力ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置として、請求項1〜6の何れか1項に記載の検出装置を備えている、
ことを特徴とするファイバレーザシステム。
【背景技術】
【0002】
材料加工の分野では、近年、ファイバレーザが広く用いられている。ファイバレーザは、コアに希土類が添加された光ファイバ(以下、「増幅ファイバ」と呼ぶ)を増幅媒質するレーザ装置であり、レーザ光を連続的に出力する連続発振型(共振器型)のファイバレーザと、レーザ光を間欠的に出力するパルス発振型(MOPA型)のファイバレーザとがそれぞれ広く用いられている。また、ファイバレーザには、連続的又は間欠的なレーザ光を出力光とするものの他に、連続発振型又はパルス発振型のファイバレーザの後段に接続された光ファイバ(以下、「ラマンファイバ」と呼ぶ)における誘導ラマン散乱により生じたストークス光を出力光とするものがある。何れの場合も、出力光は、デリバリファイバにより加工対象物の近傍に導かれ、デリバリファイバの先端に接続されたヘッド部を介して加工対象物に照射される。
【0003】
ところで、加工用のファイバレーザでは、フィードバック制御や異常検知などを行うために、出力光のパワーをモニタする必要がある。出力光のパワーをモニタする方法としてとしては、(1)デリバリファイバに入射した出力光をカプラによって照射用出力光とモニタ用出力光とに分岐し、モニタ用出力光を光検出器によって検出する方法や、(2)デリバリファイバに入射した出力光の一部を屈曲部又は融着点から漏出させ、漏出した光を光検出器によって検出する方法が広く用いられている。
【0004】
しかしながら、前者の方法には、カプラという部品が増えたこと、及び、デリバリファイバにカプラを挿入するという工程が増えたことに伴い、製造コストが上昇するという問題があった。また、後者の方法には、デリバリファイバに屈曲部又は融着点を形成するという工程が増えたことに伴い、製造コストが上昇するという問題(モニタ用出力光を漏出させるための屈曲部又は融着点を新たに形成する場合)、又は、出力光を検出する箇所が屈曲部又は融着点の近傍に限られるという問題(既存の屈曲部又は融着点からモニタ用出力光を漏出させる場合)があった。さらに、これらの方法は、出力光のパワーをモニタするために、出力光の一部を消費する方法である。したがって、これらの方法には、出力光のパワーをモニタするために、出力光の損失が不可避的に生じるという共通の問題があった。
【0005】
これらの問題を生じさせることなく、出力光のパワーをモニタするための方法としては、デリバリファイバを伝播する出力光自体を検出するのではなく、出力光を被散乱光とするレイリー散乱の散乱光(以下、「レイリー散乱光」と呼ぶ)を検出する方法が知られている。デリバリファイバを伝播する出力光のパワーと、デリバリファイバにて生じるレイリー散乱光のパワーとの間には一定の対応関係があるので、レイリー散乱光のパワーから出力光のパワーを算出することができる。
【0006】
特許文献1には、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出するセンサユニットが開示されている。このセンサユニットでは、底面が光検出器の受光面と対向するよう凹部を配置し、光ファイバの側面から光検出器側と反対側に漏出したレイリー散乱光を凹部底面にて反射する構成が採用されている。凹部底面の曲率は、反射したレイリー散乱光が受光素子の受光面上で合焦するように決められている。このため、光検出器には、光ファイバの側面から光検出器側に漏出したレイリー散乱光に加えて、光ファイバの側面から光検出器と反対側に漏出したレイリー散乱光が入射する。これにより、パワーを精度良く測定するために十分な量のレイリー散乱光を光検出器に入射させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のセンサユニットのように、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を反射して光検出器に入射させる場合、光ファイバの側面から漏出するレイリー散乱光の光量が一定であっても、光ファイバ、反射体、及び光検出器の位置関係が変化すると、光検出器に入射するレイリー散乱光の光量が変化する。
【0009】
特に、特許文献1に記載のセンサユニットにおいては、反射したレイリー散乱光が受光素子の受光面上で合焦するように、反射体の反射面を凹面化する構成が採用されている。このため、光ファイバ、反射体、及び光検出器の位置関係の僅かな変化により、光検出器に入射するレイリー散乱光の光量が有意に変化する。すなわち、光ファイバ、反射体、及び光検出器の位置関係の僅かな変化により、モニタ値(検出したレイリー散乱光のパワーから算出した出力光のパワー)に含まれる誤差が有意に増加する。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置において、光ファイバ、反射体、及び光検出器の相対位置の変化に伴う、モニタ値に含まれる誤差の増加を、従来よりも小さく抑えた検出装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る検出装置は、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置において、受光面を有する受光素子と、上記光ファイバを介して上記受光面と対向する反射面を有する反射体と、を備えており、上記反射体の上記反射面は、平坦である。
【0012】
上記の構成によれば、受光素子の受光面と反射体の反射面とが光ファイバを介して互いに対向している。このため、光ファイバの側面から受光素子に向かって漏出したレイリー散乱光に加えて、光ファイバの側面から反射体に向かって漏出した後、反射体の反射面にて受光素子に向かって反射されたレイリー散乱光を、受光素子の受光面に入射させることができる。すなわち、反射体が存在しない場合よりも、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的に受光素子に受光させることができる。しかも、上記の構成によれば、反射体の反射面が平坦である。したがって、反射体の反射面が凹面である場合よりも、光ファイバ、反射体、及び受光素子の相対位置の変化に伴って生じる、モニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0013】
本発明の一態様に係る検出装置において、上記反射体の上記反射面には、金メッキが施されている、ことが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、反射体の反射面に金メッキが施されていない場合よりも、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的に受光素子に受光させることが可能になる。
【0015】
本発明の一態様に係る検出装置において、上記受光素子を保持する受光素子ホルダを更に備えており、上記受光素子ホルダの表面には、黒アルマイト加工が施されている、ことが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光以外の光(例えば、融着点から漏出した光)が、受光素子ホルダの表面にて反射されて受光素子に入射することを抑制できる。したがって、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光以外の光が受光素子に受光されることに伴って生じる、モニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0017】
本発明の一態様に係る検出装置において、上記受光素子の上記受光面は、上記レイリー散乱光を反射する枠体により取り囲まれている、ことが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、上記枠体にて上記反射体に向かって反射された後、反射体の反射面にて受光素子に向かって反射されたレイリー散乱光を、受光素子の受光面に入射させることができる。これにより、光ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を更に効率的に受光素子に受光させることができる。
【0019】
本発明の一態様に係る検出装置において、上記光ファイバの融着点を含む区間を保持するファイバホルダを更に備えており、上記受光素子ホルダは、上記ファイバホルダと一体化されている、ことが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、光ファイバの融着点から漏出した光をファイバホルダにおいて熱に変換して外部に拡散させることができる。
【0021】
本発明の一態様に係る検出装置において、上記ファイバホルダの表面には、黒アルマイト加工が施されている、ことが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、光ファイバの融着点から漏出した光が、ファイバホルダにて反射されて受光素子に入射することを抑制できる。したがって、光ファイバの融着点から漏出した光が受光素子に受光されることに伴って生じる、モニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るファイバレーザは、増幅ファイバ、及び、該増幅ファイバの両端に接続された1対のファイバブラッググレーティングにより構成された共振器と、上記共振器にて生成されたレーザ光を導波するデリバリファイバと、を備えたファイバレーザにおいて、上記デリバリファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置として、本発明の一態様に係る検出装置を備えている。
【0024】
上記の構成によれば、従来よりも精度の高いモニタ値を出力することが可能なファイバレーザ、あるいは、従来よりも精度の高いモニタ値に基づいて、従来よりも精度の高い制御を実行するファイバレーザを実現することができる。
【0025】
本発明の一態様に係るファイバレーザにおいて、上記デリバリファイバは、上記検出装置よりも出力端側に、クラッドモードストリッパを含んでいる、ことが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、モニタ値に対する反射光の影響を小さくすることができる。
【0027】
本発明の一態様に係るファイバレーザにおいて、出力光のパワーの変動を小さくするように、上記検出装置にて検出されたレイリー散乱光のパワーに基づいて、励起光のパワーを制御する制御部を更に備えている、ことが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、従来よりも精度の高いモニタ値に基づいて、従来よりも精度の高いパワー制御を実行するファイバレーザを実現することができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るファイバレーザシステムは、複数のファイバレーザと、上記複数のファイバレーザの各々にて生成されたレーザ光を合波するコンバイナと、上記コンバイナにて得られた出力光を導波する出力ファイバと、を備えたファイバレーザシステムにおいて、上記出力ファイバの側面から漏出したレイリー散乱光を検出する検出装置として、本発明の一態様に係る検出装置を備えている。
【0030】
上記の構成によれば、従来よりも精度の高いモニタ値を出力することが可能なファイバレーザシステム、あるいは、従来よりも精度の高いモニタ値に基づいて、従来よりも精度の高い制御を実行するファイバレーザシステムを実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、光ファイバ、反射体、及び光検出器の相対位置の変化に伴う、モニタ値に含まれる誤差の増加を、従来よりも小さく抑えた検出装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る検出装置1について、
図1に基づいて説明する。
図1において、(a)は、検出装置1の分解斜視図であり、(b)は、検出装置1のA−A’断面図である。
【0034】
検出装置1は、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を検出するための装置であり、光検出器11、ベースプレート12、PDホルダ13、トッププレート14、フロントプレート15、及びリアプレート16を備えている。
【0035】
光検出器11は、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を検出するための構成である。本実施形態においては、光検出器11として、フォトダイオード11aと、フォトダイオード11aを収容するDO(Diode Outline)パッケージ11bとを有する光検出器を用いている。DOパッケージ11bの一方の底面には、円形の貫通孔13aが形成されており、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光は、この貫通孔13aを介してフォトダイオード11aの受光面11a1に入射する。フォトダイオード11aのアノード端子11a2及びカソード端子11a3は、DOパッケージ11bの他方の底面からDOパッケージ11bの外部に引き出されている。
【0036】
ベースプレート12は、板状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。PDホルダ13は、直方体状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。PDホルダ13には、上面から下面に至る、断面が円形の貫通孔13aが形成されている。また、PDホルダ13の下面には、前面から後面に至る、断面が三角形の溝13bが形成されている。PDホルダ13は、その下面がベースプレート12の上面12aに当接するよう、ボルト(例えば、六角穴付ボルト)を用いてベースプレート12に固定される。
【0037】
光ファイバOFは、PDホルダ13に形成された溝13bに収容され、ベースプレート12とPDホルダ13のとの間に挟み込まれる。光検出器11は、フォトダイオード11aの受光面11a1が光ファイバOFを介してベースプレート12の上面12aと対向し、かつ、DOパッケージ11bの他方の底面(アノード端子11a2及びカソード端子11a3が引き出される方の底面)がPDホルダ13の上面と面一になるように、PDホルダ13に形成された貫通孔13aに嵌挿される。
【0038】
トッププレート14は、円形の開口14aが形成された板状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。トッププレート14は、フォトダイオード11aのアノード端子11a2及びカソード端子11a3が開口14aを通るように、かつ、開口14aの周辺がDOパッケージ11bの底面(アノード端子11a2及びカソード端子11a3が引き出される方の底面)を上方から押さえるように、ネジ(例えば、皿ネジ)を用いてPDホルダ13に固定されている。
【0039】
フロントプレート15は、切り込み15aが形成された板状の部材を、側面から見てL字型になるように折り曲げたものであり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。フロントプレート15は、山側の表面のうち稜線で隔てられた2つの領域の一方がPDホルダ13の前面に当接し、他方がベースプレート12の上面12aに当接するように、ボルト(例えば、六角穴付ボルト)を用いてPDホルダ13の前面に固定されている。光ファイバOFは、切り込み15aを通ってPDホルダ13の前方に引き出される。
【0040】
リアプレート16は、切り込み16aが形成された板状の部材を、側面から見てL字型になるように折り曲げたものであり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。リアプレート16は、山側の表面のうち稜線で隔てられた2つの領域の一方がPDホルダ13の背面に当接し、他方がベースプレート12の上面12aに当接するように、ボルト(例えば、六角穴付ボルト)を用いてPDホルダ13の背面に固定されている。光ファイバOFは、切り込み16aを通ってPDホルダ13の後方に引き出される。
【0041】
フロントプレート15及びリアプレート16は、光ファイバOFから漏出した光を吸収することによりPDホルダ13において発生した熱をベースプレート12に逃がすための放熱経路として機能する。このため、フロントプレート15及びリアプレート16を設けることによって、PDホルダ13の温度上昇を抑えることができる。
【0042】
以上のように、検出装置1においては、フォトダイオード11a(特許請求の範囲における「受光素子」の一例)の受光面11a1とベースプレート12(特許請求の範囲における「反射体」の一例)の上面12a(特許請求の範囲における「反射面」の一例)とが、光ファイバOFを介して互いに対向している。このため、光ファイバOFの側面から上方に向かって漏出したレイリー散乱光に加えて、光ファイバOFの側面から下方に向かって漏出した後、ベースプレート12の上面12aにて上方に向かって反射されたレイリー散乱光を、フォトダイオード11aの受光面11a1に入射させることができる。すなわち、反射体であるベースプレート12が存在しない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的にフォトダイオード11aに受光させることができる。しかも、検出装置1においては、ベースプレート12の上面12a、すなわち、光ファイバOFの側面から漏出した光を反射する反射面が平坦である。したがって、ベースプレート12の上面12aが凹面である場合よりも、光ファイバOF、ベースプレート12、及びフォトダイオード11aの相対位置の変化に伴うモニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0043】
また、検出装置1においては、DOパッケージ11bにおいてフォトダイオード11aの受光面11a1を取り囲む部分(特許請求の範囲における「枠体」の一例)が光ファイバOFの側面から上方に向かって漏出したレイリー散乱光を下方に向かって反射する。そして、DOパッケージ11bの当該部分にて下方に向かって反射されたレイリー散乱光の一部は、ベースプレート12の上面12aにて上方に向かって反射され、フォトダイオード11aの受光面11a1に入射する。このため、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を更に効率的にフォトダイオード11aに受光させることができる。
【0044】
なお、PDホルダ13の厚みは、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー光が最も効率的にフォトダイオード11aの受光面11a1に入射するように設定されていることが好ましい。本実施形態において、PDホルダ13の厚みは、光ファイバOFの光軸からDOパッケージ11bの一方の底面(貫通孔13aが形成されている方の底面)までの距離が0.7mmとなるように設定されている。
【0045】
また、ベースプレート12の上面12aには、金メッキ加工などの反射加工が施されていることが好ましい。これにより、ベースプレート12の上面12aに反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的に上方に反射することが可能になる。したがって、ベースプレート12の上面12aに反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的にフォトダイオード11aに受光させることが可能になる。上面12aに施す反射加工としては、金メッキ加工の他、ガラスを反射防止膜(ARコーティング)によりコートする加工、ステンレス加工、アルミニウムに白アルマイトの表面処理(アルミニウム酸化防止のため)をする加工等が考えられる。ただし、ベースプレート12の上面12aそれ自体の反射率が十分に高い場合には、反射加工を省略しても構わない。
【0046】
また、PDホルダ13、フロントプレート15、及びリアプレート16の表面には、黒アルマイト加工などの無反射加工が施されていることが好ましい。これにより、PDホルダ13、フロントプレート15、及びリアプレート16の表面に無反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFから漏出したレイリー散乱光以外の光がPDホルダ13、フロントプレート15、又はリアプレート16の表面にて反射されてフォトダイオード11aに入射することを抑制できる。したがって、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光以外の光がフォトダイオード11aに受光されることに伴って生じる、モニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0047】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る検出装置2について、
図2に基づいて説明する。
図2において、(a)は、検出装置2の分解斜視図であり、(b)は、検出装置2のA−A’断面図である。
【0048】
検出装置2は、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を検出するための装置であり、光検出器21、ファイバホルダ22、PDホルダ23、反射プレート24、及びトッププレート25を備えている。
【0049】
光検出器21は、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を検出するための構成である。本実施形態においては、光検出器21として、フォトダイオード21a(特許請求の範囲における「受光素子」の一例)と、フォトダイオード21aを収容するDO(Diode Outline)パッケージ21bとを有する光検出器を用いている。DOパッケージ21bの一方の底面には、円形の開口23aが形成されており、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光は、この開口23aを介してフォトダイオード21aの受光面21a1に入射する。フォトダイオード21aのアノード端子21a2及びカソード端子21a3は、DOパッケージ21bの他方の底面からDOパッケージ21bの外部に引き出されている。
【0050】
ファイバホルダ22は、直方体状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。ファイバホルダ22は、上面に段差22aが形成されており、段差22aよりも前方にある部分(以下、「肉薄部」と呼ぶ)の厚みが、段差22aよりも後方にある部分(以下、「肉厚部」と呼ぶ)の厚みよりも薄くなっている。ファイバホルダ22の肉薄部には、上面から下面に至る、断面が円形の貫通孔22bが形成されている。また、ファイバホルダ22の上面には、前面から後面に至る、断面が長方形の溝22cが形成されている。
【0051】
PDホルダ23は、上面視形状がファイバホルダ22の肉薄部と略一致する板状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。PDホルダ23には、上面から下面に至る、円形の開口23aが形成されている。PDホルダ23は、その下面がファイバホルダ22の上面に当接するように、かつ、その開口23aがファイバホルダ22の貫通孔22bと連通するように、ボルト(例えば、六角穴付ボルト)を用いてファイバホルダ22の肉薄部に固定される。PDホルダ23の厚みは、段差22aの高さと略一致しており、PDホルダ23の上面は、ファイバホルダ22の肉厚部の上面と面一になる。
【0052】
光ファイバOFは、ファイバホルダ22に形成された溝25cに収容され、ファイバホルダ22とPDホルダ23との間に挟み込まれる。この際、ファイバホルダ22とPDホルダ23との間に挟み込まれるのは、光ファイバOFのうち、融着を含まない区間である。光検出器21は、DOパッケージ21bの他方の底面(アノード端子21a2及びカソード端子21a3が引き出される方の底面)がPDホルダ23の上面と面一になるように、PDホルダ23に形成された開口23aに上方から嵌挿される。光検出器21は、ボルト26aを用いてPDホルダ23に固定されたワッシャ26bによって、上方から押さえられる。
【0053】
反射プレート24は、円盤上の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属により構成されている。反射プレート24は、その上面24aが光ファイバOFを介してフォトダイオード21aの受光面21a1と対向するように、ファイバホルダ22に形成された貫通孔22bに下方から嵌挿される。この際、反射プレート24から左右に突出した凸部24bを、ファイバホルダ22の下面に形成された凹部22dと嵌合させることで、反射プレート24の位置決めがなされる。
【0054】
トッププレート25は、上面視形状がファイバホルダ22の肉厚部と略一致する板状の部材であり、例えば、アルミニウムなどの金属によって構成されている。トッププレート25は、その下面がファイバホルダ22の上面に当接するように、ボルト(例えば、六角穴付ボルト)を用いてファイバホルダ22の肉厚部に固定される。これにより、光ファイバOFは、ファイバホルダ22とトッププレート25との間に挟み込まれる。この際、ファイバホルダ22とトッププレート25との間に挟み込まれるのは、光ファイバOFのうち、融着点Pを含む区間である。光ファイバOFの融着点Pから漏出した光(不要な残留励起光など)は、ファイバホルダ22に吸収されて熱に代わる。
【0055】
以上のように、検出装置2においては、フォトダイオード21a(特許請求の範囲における「受光素子」の一例)の受光面21a1と反射プレート24(特許請求の範囲における「反射体」の一例)の上面24a(特許請求の範囲における「反射面」の一例)とが、光ファイバOFを介して互いに対向している。このため、光ファイバOFの側面から上方に向かって漏出したレイリー散乱光に加えて、光ファイバOFの側面から下方に向かって漏出した後、反射プレート24の上面24aにて上方に向かって反射されたレイリー散乱光を、フォトダイオード21aの受光面21a1に入射させることができる。すなわち、反射体である反射プレート24が存在しない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的にフォトダイオード21aに受光させることができる。しかも、検出装置2において、反射プレート24の上面24a、すなわち、光ファイバOFの側面から漏出した光を反射する反射面は、平坦である。したがって、反射プレート24の上面24aが凹面である場合よりも、光ファイバOF、反射プレート24、及びフォトダイオード21aの相対位置の変化に伴うモニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。
【0056】
また、検出装置2においては、DOパッケージ21bにおいてフォトダイオード21aの受光面21a1を取り囲む部分(特許請求の範囲における「枠体」の一例)が光ファイバOFの側面から上方に向かって漏出したレイリー散乱光を下方に向かって反射する。そして、DOパッケージ21bの当該部分にて下方に向かって反射されたレイリー散乱光の一部は、反射プレート24の上面24aにて上方に向かって反射され、フォトダイオード21aの受光面21a1に入射する。このため、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を更に効率的にフォトダイオード21aに受光させることができる。
【0057】
なお、PDホルダ23の厚みは、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー光が最も効率的にフォトダイオード21aの受光面21a1に入射するように設定されていることが好ましい。本実施形態において、PDホルダ23の厚みは、光ファイバOFの光軸からDOパッケージ21bの一方の底面(開口23aが形成されている方の底面)までの距離が0.4mmとなるように設定されている。
【0058】
また、反射プレート24の上面24aには、金メッキ加工などの反射加工が施されていることが好ましい。これにより、反射プレート24の上面24aに反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的に上方に反射することが可能になる。したがって、反射プレート24の上面24aに反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFの側面から漏出したレイリー散乱光を効率的にフォトダイオード21aに受光させることが可能になる。上面24aに施す反射加工としては、第1の実施形態と同様に、金メッキ加工の他、ガラスを反射防止膜(ARコーティング)によりコートする加工、ステンレス加工、アルミニウム酸化防止のためにアルミニウムに白アルマイトの表面処理をする加工等が考えられる。ただし、反射プレート24の上面24aそれ自体の反射率が十分に高い場合には、反射加工を省略しても構わない。
【0059】
また、ファイバホルダ22、PDホルダ23、及びトッププレート25の表面には、黒アルマイト加工などの無反射加工が施されていることが好ましい。これにより、ファイバホルダ22、PDホルダ23、及びトッププレート25の表面に無反射加工が施されていない場合よりも、光ファイバOFの融着点Pから漏出した光がファイバホルダ22、PDホルダ23、又はトッププレート25に反射されてフォトダイオード21aに入射することを抑制できる。したがって、光ファイバOFの融着点Pから漏出した光がフォトダイオード21aに受光されることに伴って生じる、モニタ値に含まれる誤差の増加を小さく抑えることができる。特に、本実施形態において、PDホルダ23は、ファイバホルダ22の肉薄部の上面に載置されており、PDホルダ23の下面は、ファイバホルダ22の肉厚部の上面に載置されたトッププレート25の下面よりも下方に位置する。このため、光ファイバOFから漏出した後、溝22c内を伝播する光の一部は、PDホルダ23の後端23bによって遮られる。すなわち、PDホルダ23は、その後端23bが光ファイバOFの融着点Pから漏出した光を遮り、フォトダイオード21aへの入射を防ぐように配置されている。このため、上記の効果がより顕著になる。
【0060】
また、光ファイバOFの融着点Pは、ファイバホルダ22に形成された溝22cの内部で、光ファイバOFのクラッドよりも屈折率の高い樹脂27に埋設されていることが好ましい。これにより、クラッドモード光(クラッドを伝播する光)を除去することができ、その結果、ファイバホルダ22よりも出力側に配置されたフォトダイオード21aにクラッドモード光が入射することを抑制することができる。したがって、モニタ値に含まれる誤差の増加を更に小さく抑えることができる。なお、クラッドモード光としては、光ファイバOFの融着点においてコアからクラッドに漏れた光や、残留励起光などを挙げることができる。
【0061】
〔検出装置の特性〕
第2の実施形態に係る検出装置2の特性について、
図3〜4に基づいて説明する。なお、第1の実施形態に係る検出装置1の特性についても、第2の実施形態に係る検出装置2の特性と同等である。
【0062】
まず、レイリー散乱光をモニタする実施例に係る検出装置2と、クラッドモード光をモニタする比較例に係る検出装置とに関して、モニタ値に含まれる誤差の光出力依存性を比較した結果を
図3に示す。
図3において、(a)は、実施例に係る検出装置2にて得られたレイリー散乱光のパワーから算出されたモニタ値に含まれる誤差の推定値を示すグラフであり、(b)は、比較例に係る検出装置にて得られたクラッドモード光のパワーから算出されたモニタ値に含まれる誤差の推定値を示すグラフである。
【0063】
レイリー散乱光のパワーから算出されたモニタ値に含まれる誤差は、
図3の(a)に示すとおり、±1%以下であるのに対して、クラッドモード光のパワーから算出されたモニタ値に含まれる誤差は、
図3の(b)に示すとおり、±10%以上である。この結果は、レイリー散乱光をモニタする実施例に係る検出装置2を用いることによって、クラッドモード光をモニタする比較例に係る検出装置を用いるよりも精度の高いモニタ値を得られることを示している。
【0064】
次に、実施例に係る検出装置2の反射プレート24の上面24aが無加工の場合(アルミニウム素材が露出している場合)と、黒アルマイト加工(無反射加工)されている場合、金メッキ加工(反射加工)されている場合とに関して、光ファイバOFの基準位置(光軸がフォトダイオード21aの受光面21a1の中心と重なる位置)からのオフセット量と、フォトダイオード11aから出力される光電流(レイリー散乱光のパワーに比例)の変化率(絶対値)との関係を示すグラフである。
【0065】
反射プレート24の上面24aが無加工である場合、光ファイバOFを基準位置から1mmオフセットすると、フォトダイオード11aから出力される光電流が15%変化すると推定される。
【0066】
これに対して、反射プレート24の上面24aが黒アルマイト加工されている場合、フォトダイオード11aから出力される光電流は、オフセット量が0mmのとき52.20μAであり、オフセット量が1mmのとき42.75μAであった。すなわち、光ファイバOFが基準位置から1mmオフセットすると、フォトダイオード11aから出力される光電流が18.1%変化することが確かめられた。この結果は、光ファイバOFのオフセットに伴うモニタ値に含まれる誤差の増加が、反射プレート24の上面24aの反射率を下げることによって促進されることを意味する。
【0067】
また、反射プレート24の上面24aが金メッキ加工されている場合、フォトダイオード11aから出力される光電流は、オフセット量が0mmのとき94.65μAであり、オフセット量が1mmのとき89.55μAであった。すなわち、光ファイバOFが基準位置から1mmオフセットすると、フォトダイオード11aから出力される光電流が5.4%変化することが確かめられた。この結果は、光ファイバOFのオフセットに伴うモニタ値に含まれる誤差の増加が、反射プレート24の上面24aの反射率を上げることによって抑制されることを意味する。
【0068】
〔適用例1〕
第1の実施形態に係る検出装置1及び第2の実施形態に係る検出装置2は、ファイバレーザFLに適用することができる。
図5は、ファイバレーザFLのブロック図である。
【0069】
ファイバレーザFLは、コアに希土類が添加された増幅ファイバAFと、増幅ファイバAFの一端に接続された、ミラーとして機能する第1のファイバブラッググレーティングFBG1と、増幅ファイバAFの他端に接続された、ハーフミラーとして機能する第2のファイバブラッググレーティングFBG2と、により構成された共振器を有する連続発振型のファイバレーザである。第1のファイバブラッググレーティングFBG1には、ポンプコンバイナPCを介して、レーザダイオードLD1〜LD6が接続されており、第2のファイバブラッググレーティングFBG2には、デリバリファイバDFが接続されている。レーザダイオードLD1〜LD6は、共振器に供給する励起光を生成するための構成であり、デリバリファイバDFは、共振器にて生成されたレーザ光を加工対象物に導くための構成である。共振器にて生成されたレーザ光は、デリバリファイバDFを導波された後、デリバリファイバDFの先端に設けられたヘッドHを介して加工対象物に照射される。
【0070】
デリバリファイバDFには、デリバリファイバDFから漏出したレイリー散乱光を検出するための検出装置DDが装着されている。第1の実施形態に係る検出装置1及び第2の実施形態に係る検出装置2は、この検出装置DDとして用いることができる。
【0071】
ファイバレーザFLは、更に、不図示の制御部を備えている。この制御部は、検出装置DDにて検出されたレイリー散乱光のパワーから、出力光のパワーを示すモニタ値を算出する。また、この制御部は、出力光のパワーの変動を小さくするように、検出装置DDにて検出されたレイリー散乱光のパワーに基づいて、レーザダイオードLD1〜LD6にて生成される励起光のパワーを制御する。
【0072】
なお、デリバリファイバDFから漏出するレイリー散乱光には、デリバリファイバDFを順方向に伝播する出力光に由来するものの他に、デリバリファイバDFを逆方向に伝播する戻光に由来するものが含まれる。このため、出力光のパワーを精度良くモニタするためには、戻光に由来するレイリー散乱光が検出装置DDへの入射を抑制することが好ましい。
【0073】
このため、ファイバレーザFLにおいては、デリバリファイバDFの検出装置DDよりも出力端側にクラッドモードストリッパCMSを設ける構成を採用している。ここで、クラッドモードストリッパCMSとは、デリバリファイバDFの被覆を除去し、その最外殻クラッド(シングルクラッドファイバにおけるクラッドやダブルクラッドファイバにおける外側クラッドなど)を、その最外殻クラッドよりも屈折率の高い樹脂等で覆った構造のことを指す。クラッドモードストリッパCMSを設けることによって、デリバリファイバDFの最外殻クラッドを導波される戻光(クラッドモード光)が、検出装置DDにノイズとして入射することを抑制できる。なお、クラッドモードストリッパCMSを設ける構成の他に、デリバリファイバDFの被覆の一部を除去することによって、被覆の内部を導波される光を被覆の外部に漏出させる構成を採用してもよい。これにより、デリバリファイバDFの被覆を導波される光が、検出装置DDにノイズとして入射することを抑制できる。
【0074】
なお、デリバリファイバDFのコアを導波される戻光は、クラッドモードストリッパSMSによっても除去することができない。しかしながら、戻光に由来するレイリー散乱光と出力光に由来するレイリー散乱光とでは、その波形が異なる。より具体的には、戻光に由来するレイリー散乱光の波形の幅(例えば、半値幅)は、出力光に由来するレイリー散乱光の波形の幅よりも小さくなる。したがって、(1)検出装置DDにて検出されたレイリー散乱光が戻光に由来するものであるのか出力光に由来するものであるのかを、その波形に基づいて(例えば、その波形の幅を予め定められた基準値と比較することによって)判定し、(2)出力光に由来すると判定されたレイリー散乱光のパワーをモニタすることによって、出力光及び反射光のパワーを精度良くモニタすることができる。
【0075】
なお、ここでは、デリバリファイバDFから漏出したレイリー散乱光のパワーを参照して出力光のパワーをモニタする構成について説明したが、デリバリファイバDFから漏出したレイリー散乱光のパワーを参照して戻光のパワーをモニタする構成を採用することもできる。この場合、上述したクラッドモードストリッパCMSを省略することによって、デリバリファイバDFのコアを導波される戻光のみならず、デリバリファイバDFのクラッドを導波される戻光を検出装置DDに入射させる構成を採用してもよいし、上述したクラッドモードストリッパCMSを省略せずに、デリバリファイバDFのコアを導波される戻光のみを検出装置DDに入射させる構成を採用してもよい。(1)検出装置DDにて検出されたレイリー散乱光が戻光に由来するものであるのか出力光に由来するものであるのかを、その波形に基づいて(例えば、その波形の幅を予め定められた基準値と比較することによって)判定し、(2)戻光に由来すると判定されたレイリー散乱光のパワーをモニタすることによって、戻光のパワーを精度良くモニタすることができる。
【0076】
〔適用例2〕
第1の実施形態に係る検出装置1及び第2の実施形態に係る検出装置2は、ファイバレーザシステムFLSにも適用することができる。
図6は、ファイバレーザシステムFLSのブロック図である。
【0077】
ファイバレーザシステムFLSは、複数のファイバレーザFL1〜FL6と、各ファイバレーザFLiにて生成されたレーザ光を合波することによって出力光を得る出力コンバイナOCと、出力コンバイナOCにて得られた出力光を加工対象物へと導く出力ファイバOFと、により構成されている。
【0078】
出力ファイバOFには、出力ファイバOFから漏出したレイリー散乱光を検出するための検出装置DDが装着されている。ファイバレーザシステムFLSの制御部(不図示)は、検出装置DDにて検出されたレイリー散乱光のパワーから、出力光のパワーを示すモニタ値を算出する。第1の実施形態に係る検出装置1及び第2の実施形態に係る検出装置2は、この検出装置DDとして用いることができる。
【0079】
ファイバレーザシステムFLSの制御部は、個々のファイバレーザFLiの出力光のパワーを調整して、ファイバレーザシステムFLS全体の出力光のパワーをコントロールする。制御部は、例えば、ファイバレーザシステムFLS全体の出力光のパワーが下がった場合、個々のファイバレーザFLiの出力光のパワーを均等に上昇させることによって、ファイバレーザシステムFLS全体の出力光のパワーを定格出力に維持する。
【0080】
ここで、ファイバレーザFLS全体の出力光のパワーを定格出力に維持するために、個々のファイバレーザFLiの出力光のパワーを均等に上昇させる構成の代わりに、劣化の程度が小さいファイバレーザFLiの出力光のパワーを優先的に上昇させる構成を採用してもよい。これにより、ファイバレーザシステムFLS全体の長寿命化を図ることができる。
【0081】
なお、ファイバレーザFLiの劣化の程度の評価する方法として、制御部が、ファイバレーザFLの出力光のパワーの劣化度合いを、ある時点の出力光のパワーと、その時点から所定の期間経過した後の出力光のパワーとを比較することで判定する方法が挙げられる。例えば、制御部は、システム稼働時の出力光のパワーと、システム稼働時から所定の期間経過した後の出力光のパワーとを比較し、出力光のパワーの落ち幅を検出することで、ファイバレーザFLの出力光のパワーの劣化度合いを判断してもよい。制御部は、出力光のパワーの落ち幅が大きい程、ファイバレーザFLの出力光のパワーが劣化していると判断する。