(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1切替回路は、前記第1LED列の少なくとも一部を流れる電流を検出し、検出した電流に応じて、前記整流器に対して、前記第1部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された前記第1部分LED列及び前記第2部分LED列が接続される状態とを切替える、請求項1に記載のLED照明装置。
前記第1切替回路は、前記第1部分LED列及び前記第2部分LED列に対して、一つの電流を検出するための電流検出抵抗を有する、請求項2に記載のLED照明装置。
前記第1切替回路は、前記整流器から出力される全波整流電圧波形の電圧を検出し、検出した電圧に応じて、前記整流器に対して、前記第1部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された前記第1部分LED列及び前記第2部分LED列が接続される状態とを切替える、請求項1に記載のLED照明装置。
前記第1部分LED列に含まれるLEDの個数と前記第2部分LED列に含まれるLEDの個数の組み合わせは、前記第3部分LED列に含まれるLEDの個数と前記第4部分LED列に含まれるLEDの個数の組み合わせと異なるように設定されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のLED照明装置。
前記第1部分LED列及び前記第2部分LED列の内、前記全波整流電圧波形のもっとも低い電圧期間で点灯する部分LED列に含まれるLEDの直列段数は、前記第3部分LED列及び前記第4部分LED列の内、前記全波整流電圧波形のもっとも低い電圧期間で点灯する部分LED列に含まれるLEDの直列段数と異なるように設定されている、請求項1〜5の何れか一項に記載のLED照明装置。
前記第1LED列に含まれる部分LED列の個数と、前記第2LED列に含まれる部分LED列の個数とが異なるように設定されている、請求項8に記載のLED照明装置。
前記第1LED列及び前記第1切替回路は一つのLEDモジュールとして構成され、前記第2LED列及び前記第2切替回路は他のLEDモジュールとして構成される、請求項1〜9の何れか一項に記載のLED照明装置。
【発明の概要】
【0008】
図12Bで示した電流Iの波形は、正弦波に似せているとはいっても、電流Iが大きな階段状の変形部分をもっていることから、正弦波と大きく異なる。したがって、光電回路2600では、高調波ノイズが発生し、全高調波歪率(THD:total harmonic distortion)が充分に低下しない。すなわち、光源回路2600は、小さな電流で駆動するときには外部への影響が小さいとしても、大きな電流で駆動するときには高調波ノイズによって外部に影響を与える可能性がある。
【0009】
本願発明は、全高調波歪率をさらに低下させることが可能なLED照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
LED照明装置は、整流器と、整流器に接続され且つ第1部分LED列及び第1部分LED列と直列に接続された第2部分LED列を含む第1LED列と、整流器に対して第1LED列と並列に接続され且つ第3部分LED列及び第3部分LED列と直列に接続された第4部分LED列を含む第2LED列と、整流器から出力される全波整流電圧波形の増減に伴い、整流器に対して、第1部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された第1部分LED列及び第2部分LED列が接続される状態とを切替える第1切替回路と、整流器から出力される全波整流電圧波形の増減に伴い、整流器に対して、第3部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された第3部分LED列及び第4部分LED列が接続される状態とを切替える第2切替回路とを有し、第1切替回路による切替タイミングと、第2切替回路による切替タイミングとが異なる様に設定されていることを特徴とする。
【0011】
上記LED照明装置では、第1切替回路は、第1LED列の少なくとも一部を流れる電流を検出し、検出した電流に応じて、整流器に対して、第1部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された第1部分LED列及び第2部分LED列が接続される状態とを切替えることが好ましい。
【0012】
上記LED照明装置では、第1切替回路は、第1部分LED列及び第2部分LED列のそれぞれに、電流を検出するための電流検出抵抗を有することが好ましい。
【0013】
上記LED照明装置では、第1切替回路は、第1部分LED列及び第2部分LED列に対して、一つの電流を検出するための電流検出抵抗を有することが好ましい。
【0014】
上記LED照明装置では、第1切替回路は、整流器から出力される全波整流電圧波形の電圧を検出し、検出した電圧に応じて、整流器に対して、第1部分LED列のみが接続される状態と、直列に接続された第1部分LED列及び第2部分LED列が接続される状態とを切替えることが好ましい。
【0015】
上記LED照明装置では、第1部分LED列に含まれるLEDの個数と第2部分LED列に含まれるLEDの個数の組み合わせは、第3部分LED列に含まれるLEDの個数と第4部分LED列に含まれるLEDの個数の組み合わせと異なるように設定されていることが好ましい。
【0016】
上記LED照明装置では、第1部分LED列及び第2部分LED列の内、全波整流電圧波形のもっとも低い電圧期間で点灯する部分LED列に含まれるLEDの直列段数は、第3部分LED列及び第4部分LED列の内、全波整流電圧波形のもっとも低い電圧期間で点灯する部分LED列に含まれるLEDの直列段数と異なるように設定されていることが好ましい。
【0017】
上記LED照明装置では、第1LED列は、さらに他の部分LED列を含み、第2LED列は、さらに他の部分LED列を含むことが好ましい。
【0018】
上記LED照明装置では、第1LED列に含まれる部分LED列の個数と、第2LED列に含まれる部分LED列の個数とが異なるように設定されていることが好ましい。
【0019】
上記LED照明装置では、第1LED列及び第1切替回路は一つのLEDモジュールとして構成され、第2LED列及び第2切替回路は他のLEDモジュールとして構成されることが好ましい。
【0020】
上記のLED照明装置では、第1切替回路による第1LED列の接続状態の切替タイミングと、第2切替回路による第2LED列の接続状態の切替タイミングが異なる様に設定されているため、全高調波歪率をより低下させることが可能となる。
【0021】
LED照明装置は、全波整流波形の電圧の増減にともないLED列内の直列段数及びLED列に流れる電流を増減させるLED駆動回路を備えたLED照明装置において、複数のLEDが直列接続した第1LED列を含み、全波整流波形の電圧に応じて前記第1LED列に含まれるLEDの直列段数を増減する第1LED駆動回路と、複数のLEDが直列接続した第2LED列を含み、全波整流波形の電圧に応じて前記第2LED列に含まれるLEDの直列段数を増減する第2LED駆動回路とを備え、前記第1LED駆動回路と前記第2LED駆動回路は並列接続し、前記第1LED列の前記直列段数が切替わるタイミングと、前記第2LED列の前記直列段数が切替わるタイミングが異なっていることを特徴とする。
【0022】
上記のLED照明装置は、全波整流波形の電圧の増減にともないLED列内の直列段数及びLED列に流れる電流を増減させる第1及び第2LED駆動回路を有している。この第1及び第2LED駆動回路は、それぞれ第1及び第2のLED列を備え、全波整流波形の電圧変化に応じて第1LED列の直列段数が切替わるタイミングと第2LED列の直列段数が切替わるタイミングとを異ならせている。LED照明装置には第1LED列に流れる電流と第2LED列に流れる電流の和となる電流が流れ、この電流が全波整流波形の電圧変化に応じて小刻みに変化する。すなわちその電流波形が正弦波に近づく結果、全高調波歪率が低下する。
【0023】
LED照明装置において、前記第1LED列を分割して得た部分LED列の直列段数に係る組み合わせと、前記第2LED列を分割して得た部分LED列の直列段数に係る組み合わせが異なると良い。
【0024】
LED照明装置において、前記第1LED列に含まれ、前記全波整流波形のもっとも電圧の低い期間で点灯する前記部分LED列の直列段数と、前記第2LED列に含まれ、前記全波整流波形のもっとも電圧の低い期間で点灯する前記部分LED列の直列段数が異なっていても良い。
【0025】
LED照明装置において、前記第1及び第2LED駆動回路がそれぞれ唯一の電流検出抵抗を備え、前記電圧検出抵抗の両端間電圧又はその分圧電圧により前記1及び第2のLED列の直列段数を切り替えても良い。
【0026】
LED照明装置において、前記第1及び第2LED駆動回路は前記全波整流波形の電圧を計測して前記第1及び第2のLED列の直列段数を切替えても良い。
【0027】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るLED照明装置の実施の形態を詳述する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお、各図面の寸法は正確な寸法を反映したものではなく、説明のため部品の大きさが誇張して描かれることがあり、説明のため一部の部品を省略することがある。同一要素には同一番号を付し重複する説明は省略する。
【0030】
図1は、LED照明装置10のブロック図である。
【0031】
図1に示すようにLED照明装置10は、ブリッジ整流回路11と、第1LED駆動回路13と、第2LED駆動回路14を含む。なお便宜上、
図1では、ブリッジ整流回路11に接続された商用交流電源12が示されている。
【0032】
商用交流電源12はブリッジ整流回路11の入力端子に接続している。ブリッジ整流回路11は配線15を介して全波整流波形を第1及び第2LED駆動回路13、14に印加する。この結果、ブリッジ整流回路11から電流I0が出力され、第1及び第2LED駆動回路13、14にそれぞれ電流I1、I2が流れ込む。第1及び第2LED駆動回路13、14からは配線16を介してブリッジ整流回路11に電流が戻ってくる。すなわち配線16はグランド配線である。
【0033】
第1LED駆動回路13は、複数のLEDが直列接続した第1LED列を含み、全波整流波形の電圧に応じて第1LED列に含まれるLEDの直列段数が増減する。同様に第2LED駆動回路14も、複数のLEDが直列接続した第2LED列を含み、全波整流波形の電圧に応じて第2LED列に含まれるLEDの直列段数が増減する。
【0034】
第1及び第2LED駆動回路13、14に流れる電流I1、I2も全波整流波形に応じて増減するが、第1LED列の直列段数が切替わるタイミングと、第2LED列の直列段数が切替わるタイミングは異なるように設定されている。この結果、電流I1や電流I2の電流値が大きく変化するタイミングもそれぞれの間で異なる。したがって、LED照明装置10は、電流I1や電流I2等を合算した全体の電流I0を小刻みに増減させて、全高調波歪率をより低い状態となる様に構成されている。
【0035】
図2は、
図1に示したLED照明装置10の回路図である。
【0036】
図2に示すようにブリッジ整流回路11は、4個のダイオードからなり、入力端子と出力端子を備えている。ブリッジ整流回路11の入力端子には、商用交流電源12が接続され、出力端子には、全波整流波形を印加するための配線15、及びグランド配線である配線16が接続されている。
【0037】
第1LED駆動回路13では、5個の部分LED列31a、31b、31c、31d、31eが直列接続している。各部分LED列31a、31b、31c、31d、31eでは、それぞれ複数のLED33a、33b、33c、33d、33eが直列接続している。部分LED列31a、31b、31c、31d、31eが直列接続したLED列が、第1LED駆動回路13に含まれる第1LED列に相当する。
【0038】
第1LED駆動回路13において、部分LED列31a、31b、31c、31d、31eの接続部には、それぞれバイパス回路32a、32b、32c、32dが接続され、部分LED列31eのカソードには定電流回路32eが接続されている。バイパス回路32a、32b、32c、32d及び定電流回路32eは、それぞれディプレッション型のFET34a、34b、34c、34d、34eと抵抗35a、35b、35c、35d、35eを含んでいる。バイパス回路32a、32b、32c、32d及び定電流回路32eは、全波整流波形の電圧に応じて第1LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0039】
バイパス回路32a、32b、32c、32d及び定電流回路32eでは、FET34a、34b、34c、34d、34eのドレインが電流入力端子であり、抵抗35a、35b、35c、35d、35eの左端子が電流出力端子である。バイパス回路32a、32b、32c、32dは、抵抗35a、35b、35c、35dの右端子が他の電流入力端子であり、それぞれの他の電流入力端子にバイパス回路32b、32c、32d及び定電流回路32eの電流出力端子が接続している。
【0040】
第2LED駆動回路14では、5個の部分LED列41a、41b、41c、41d、41eが直列接続している。各部分LED列41a、41b、41c、41d、41eでは、それぞれ複数のLED43a、43b、43c、43d、43eが直列接続している。部分LED列41a、41b、41c、41d、41eが直列接続したLED列が、第2LED駆動回路14に含まれる第2LED列に相当する。
【0041】
第2LED駆動回路14において、部分LED列41a、41b、41c、41d、41eの接続部には、それぞれバイパス回路42a、42b、42c、42dが接続され、部分LED列41eのカソードには定電流回路42eが接続されている。バイパス回路42a、42b、42c、42d及び定電流回路42eは、それぞれディプレッション型のFET44a、44b、44c、44d、44eと抵抗45a、45b、45c、45d、45eを含んでいる。バイパス回路42a、42b、42c、42d及び定電流回路42eは、全波整流波形の電圧に応じて第2LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0042】
バイパス回路42a、42b、42c、42d及び定電流回路42eでは、FET44a、44b、44c、44d、44eのドレインが電流入力端子であり、抵抗45a、45b、45c、45d、45eの左端子が電流出力端子である。バイパス回路42a、42b、42c、42dは、抵抗45a、45b、45c、45dの右端子が他の電流入力端子であり、それぞれの他の電流入力端子にバイパス回路42b、42c、42d及び定電流回路42eの電流出力端子が接続している。
【0043】
第1LED駆動回路13では、部分LED列31a、31b、31c、31d、31eにおけるLED33a、33b、33c、33d、33eの直列段数を、それぞれ20、20、20、17、13としている。第2LED駆動回路14では、部分LED列41a、41b、41c、41d、41eにおけるLED43a、43b、43c、43d、43eの直列段数を、それぞれ10、20、20、17、23としている。部分LED列31aと部分LED列41aの直列段数、及び、部分LED列31eと部分LED列41e同士の直列段数が異なっている。第1及び第2のLED列の直列段数の総数は、ともに90で等しい。
【0044】
LEDの順方向電圧は約3Vであり、第1及び第2のLED列の直列段数の総数はともに90であるので、全数のLEDが点灯する電圧が約270Vとなる。すなわち、第1及び第2LED駆動回路13、14は、実効値が240V(最大電圧約336V)の商用交流電源に適応するよう設計されている。
【0045】
図3Aは、LED照明装置10における一周期分の全波整流電圧波形V1と時間tとの関係を示す波形図である。
図3Bは、第1LED駆動回路13に流れ込む電流I1と時間tとの関係を示す波形図である。
図3Cは、第2LED駆動回路14に流れ込む電流I2と時間tとの関係を示す波形図である。
図3Dは、全体の電流I0と時間tとの関係を示す波形図である。なお、
図3A〜
図3Dの時間軸の尺度は等しい。
【0046】
図3A及び
図3Bにより第1LED駆動回路13の動作を説明する。期間t0は、全波整流電圧波形V1が部分LED列31aの閾値(LED33aの順方向電圧と直列段数の積、以下同様)に達しない期間である。期間t0では、部分LED列31aに電流I1が流れない。
【0047】
期間t1は、全波整流電圧波形V1が部分LED列31aの閾値を超え、部分LED列31aの閾値と部分LED列31bの閾値との合算値以下の期間である。期間t1では、電流I1は部分LED列31aからバイパス回路32aを通りブリッジ整流回路11に戻る。このとき抵抗35aの電圧降下がFET34aにフィードバックするので、バイパス回路32aには一定の電流I11が流れる。なお、電流I1が0(A)から電流I11に変わる過渡的な状況は無視している(以下同様)。
【0048】
期間t2は、全波整流電圧波形V1が部分LED列31aの閾値と部分LED列31bの閾値の合算値を超え、部分LED列31aの閾値と部分LED列31bの閾値と部分LED列31cの閾値の合算値以下の期間である。期間t2では、部分LED列31bからバイパス回路32bに電流が流れる。この電流によりFET34aはソース電圧が上昇するためカットオフし、FET34bのソースドレイン間に電流I1が流れ、その電流値が電流I12となる。
【0049】
以上のようにして部分LED列31c、31d、31eに電流が流れ始めると、順番にバイパス回路32b、32c、32dがカットオフし、それぞれの期間t3、t4、t5における電流I1の値が電流I13、I14、115となる。なお、期間t5では電流I1が電流I14からI15に大きく変わるように設定したので、
図3Bには期間t5の過渡状態もあわせて示した。また、全波整流電圧波形V1が下降する期間(期間t6〜期間t10)では、第1LED駆動回路13は上昇するときの逆の過程をたどる。
【0050】
図3A及び
図3Cにより第2LED駆動回路14の動作を説明する。
図3Cに示すように、電流I2の最初の立ち上がりが
図3Bの期間t0の中間部に存在する。第1LED駆動回路13では、全波整流電圧波形V1が60V(3V*20段)のときに、電流I1の最初の立ち上がりが現れる(
図3B参照)。一方、第2LED駆動回路14では、全波整流電圧波形V1が30V(3V*10段)のときに、電流I2の最初の立ち上がりが現れている。同様に、電流I2の2番目から4番目の立ち上がりはそれぞれ
図3Bの期間t1、t2、t3の中間部に現れる。なお、電流I1及び電流I2の5番目の立ち上がりはともに全波整流電圧波形V1が270V(3V*90段)のときに現れる(
図3B及び
図3C参照)。
【0051】
第1LED駆動回路13及び第2LED駆動回路14において、FET34a〜34e及びFET44a〜44eは全て同等である。抵抗35a及び抵抗45aは54Ω、抵抗35b及び抵抗45bは32.4Ω、抵抗35c及び抵抗45cは21.6Ω、抵抗35d及び抵抗45dは10.8Ω、抵抗35e及び抵抗45eは5.4Ωに設定した。この結果、例えば電流I1の最初の平坦部(電流I11)は電流I2の最初の平坦部の電流値と等しくなる。
【0052】
図3Dに示す電流I0は、
図3Bの電流I1と
図3Cの電流I2を足し合わせたものであり、期間t5を除いて小刻みに増減している。このように電流I0の増減を小刻みにすると、全高調波歪率が低減する。なお期間t5では第1及び第2のLED列全体に比較的大きめの電流I0を流し、輝度が向上するようにしている。
【0053】
図2に示すLED照明装置10では、第1及び第2LED駆動回路13、14以外にも、さらに多くのLED駆動回路をブリッジ整流回路11に対して第1及び第2LED駆動回路13、14と並列に接続することができる。追加されたLED駆動回路の直列段数の切替タイミングを第1及び第2LED駆動回路13、14の直列段数の切替えタイミングと異ならせることによって、電流I0の増減をさらに小刻みにすることができる。
【0054】
LED照明装置10では、第1及び第2LED駆動回路13、14に含まれる部分LED列の個数は、ともに5個としたが、これに限定されることなく、他の個数となるようにしても良い。また、各部分LED列に含まれるLEDの個数及び全LED列に含まれる総数も、上記した個数に限定されることは無く、利用する商用交流電源の実効値等に応じて、適宜選択することができる。さらに、1つの部分LED列に含まれるLEDの個数は1個であっても良い。
【0055】
図4Aは第1LED駆動回路13の平面図であり、
図4Bは第1LED駆動回路13の正面図である。
図4A及び
図4Bでは、第1LED駆動回路13を第1モジュール13Pとして構成した場合を示している。
【0056】
図4A及び
図4Bに示すように、第1モジュール13Pは実装基板131上にダム材132、133で区切った領域を備えている。ダム材132で囲まれた円形の領域にはLED33a〜33e(
図2参照)が実装されており、互いにワイヤで直列接続している。ダム材132とダム材133で区切られた2か所の領域にはFET34a〜34e及び抵抗35a〜35eが実装されている。LED33a〜33e、FET34a〜34e及び抵抗35a〜35eは蛍光体を含有した樹脂で被覆されている。実装基板の表面には全波整流波形が入力される端子135及びグランド配線が接続される端子137が設けられ、端子135、137とそれぞれ接続する配線136、138がダム材132、133の内側に延びている。
【0057】
図5は、第1モジュール13P及び第2LED駆動回路14をモジュールとして構成した第2モジュール14Pの接続状況を示した図である。
【0058】
図5に示すように、第1モジュール13P及び第2モジュール14Pは、それぞれ単独のモジュールとして並列接続されている。配線15は全波整流波形を印加する配線であり、配線16はグランド配線である。第2LED駆動回路14をモジュールとして構成した第2モジュール14Pでは、各部分LED列に含まれるLEDの数が異なるので、ダム材に囲まれる円形の領域に実装されたLED43a〜43eのワイヤボンディングの仕方が異なっている。第2モジュール14Pのその他の構成は、前述した第1モジュール13Pと同様である。なお、第1LED駆動回路13及び第2LED駆動回路14を一つのモジュールとして構成しても良い。
【0059】
図1及び
図2に示すように、LED照明装置10は、並列接続するLED駆動回路を2個(第1LED駆動回路13と第2LED駆動回路14)有している。しかしながら、LED照明装置において並列接続されるLED駆動回路は2個に限られない。例えば、2個の第1LED駆動回路13と2個の第2LED駆動回路14とを並列接続しても良い。また、第1及び第2LED駆動回路13、14とはLED列の直列段数の切替わりタイミングが異なる第3のLED駆動回路を並列接続しても良い。
【0060】
また、第1LED駆動回路13が有する部分LED列の数は5つに限定されない。例えば、2個の部分LED列のみを有するようにしても良い。その場合、第1LED駆動回路13は、部分LED列31a及び31eと、バイパス回路32a及び定電流回路32eとのみから構成すれば良い。第2LED駆動回路14についても同様である。
【0061】
LED照明装置10では、第1LED駆動回路13に含まれる第1LED列を分割した部分LED列31a、31b、31c、31d、31eの直列段数に係る組み合わせを、20段、20段、20段、17段、13段とした。また、第2LED駆動回路14に含まれる第2LED列を分割した部分LED列41a、41b、41c、41d、41eの直列段数に係る組み合わせを、10段、20段、20段、17段、23段とした。このようにLED照明装置10では、第1LED駆動回路13と第2LED駆動回路14において、部分LED列の直列段数に係る組み合わせが異なるように設定している。
【0062】
しかしながら、第1LED駆動回路13及び第2LED駆動回路14に示す様に、部分LED列の直列段数に係る組み合わせを大きく変更する必要はない。例えば、第1LED駆動回路13においてもっとも電圧の低い期間で点灯する部分LED列31aの直列段数(20段)と、第2LED駆動回路14においてもっとも電圧の低い期間で点灯する部分LED列41aの直列段数(10段)とのみを異なるように設定するだけでも良い。
【0063】
図2に示した抵抗35a等は単体の素子であったが、例えば、抵抗35aの左端とFET34aの間にゲート保護抵抗を追加挿入する場合、このゲート保護抵抗と抵抗35aを一体化してネットワーク抵抗としても良い。上記の変更は、他の全てのバイパス回路及び定電流回路にも適用することができる。
【0064】
図6は、他のLED照明装置50の回路図である。
【0065】
図6に示すLED照明装置50と
図2に示すLED照明装置10との差異は、LED照明装置50が有する第1LED駆動回路53が、LED照明装置10が有する第1LED駆動回路13と異なる点のみである。他の構成は、LED照明装置10と同様であるので、その説明を省略する。
【0066】
第1LED駆動回路53では、4個の部分LED列51a、51b、51c、51dが直列接続している。各部分LED列51a、51b、51c、51dでは、それぞれ複数のLED53a、53b、53c、53dが直列接続している。部分LED列51a、51b、51c、51dが直列接続したLED列が、第1LED駆動回路53に含まれる第1LED列に相当する。
【0067】
第1LED駆動回路53において、部分LED列51a、51b、51cの接続部には、それぞれバイパス回路52a、52b、52cが接続され、部分LED列51dのカソードには定電流回路52dが接続されている。バイパス回路52a、52b、52c及び定電流回路52dは、それぞれディプレッション型のFET54a、54b、54c、54dと抵抗55a、55b、55c、55dを含んでいる。バイパス回路52a、52b、52c及び定電流回路52dは、全波整流波形の電圧に応じて第1LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0068】
バイパス回路52a、52b、52c及び定電流回路52dでは、FET54a、54b、54c、54dのドレインが電流入力端子であり、抵抗55a、55b、55c、55dの左端子が電流出力端子である。バイパス回路52a、52b、52cは、抵抗55a、55b、55cの右端子が他の電流入力端子であり、それぞれの他の電流入力端子にバイパス回路52b、52c及び定電流回路52dの電流出力端子が接続している。
【0069】
第1LED駆動回路53では、部分LED列51a、51b、51c、51dにおけるLED53a、53b、53c、53dの直列段数を、それぞれ20、20、20、30としている。第2LED駆動回路14では、部分LED列41a、41b、41c、41d、41eにおけるLED43a、43b、43c、43d、43eの直列段数を、それぞれ10、20、20、17、23としている。第1及び第2LED列の直列段数の総数は、ともに90で等しい。
【0070】
LEDの順方向電圧は約3Vであり、第1及び第2のLED列の直列段数の総数はともに90であるので、全数のLEDが点灯する電圧が約270Vとなる。すなわち、第1LED駆動回路53及び第2LED駆動回路14は、実効値が240V(最大電圧約336V)の商用交流電源に適応するよう設計されている。
【0071】
図7Aは、LED照明装置50における一周期分の全波整流電圧波形V1と時間tとの関係を示す波形図である。
図7Bは、第1LED駆動回路53に流れ込む電流I51と時間tとの関係を示す波形図である。
図7Cは、第2LED駆動回路14に流れ込む電流I2と時間tとの関係を示す波形図である。
図7Dは、全体の電流I50と時間tとの関係を示す波形図である。なお、
図7A〜
図7Dの時間軸の尺度は等しい。また、
図7Aは
図3Aと同じ波形図であり、
図7Cは
図3Cと同じ波形図である。
【0072】
図7Bに示すように、全波整流電圧波形V1(
図7A参照)に対し、第1LED駆動回路53に流れる電流I51は、5段階となる(I51=0(A)も含む)。ここで電流I51が電流値I15となる期間(t11)は、
図3Bの期間t4、期間t5及び期間t6を合わせた期間と等しい。なお、抵抗55dを
図2の抵抗35eと等しくすることによって、LED照明装置10とLED照明装置50の最大電流が等しくなるように設定している。
図7Dに示すLED照明装置50に流れる電流I50は、
図7Bに示す電流I51と
図7Cに示す電流I2の合算である。
【0073】
LED照明装置50においても、第1LED駆動回路53を流れる電流I51が立ち上がるタイミングと、第2LED駆動回路14を流れる電流I2が立ち上がるタイミングが異なるように設定している。この結果、
図7Dに示す電流I50は、
図3Bの電流I1と
図3Cの電流I2を足し合わせたものであり、期間t11を除いて小刻みに増減している。このように電流I50の増減を小刻みにすると、全高調波歪率が低減する。なお期間t11では第1及び第2のLED列全体に比較的大きめの電流I50を流し、輝度を向上するようにしている。
【0074】
前述したLED照明装置10では、第1LED駆動回路13に含まれる部分LED列の数と、第2LED駆動回路14に含まれる部分LED列の数を等しく設定した(ともに、5個)。さらに、LED照明装置10では、第1LED駆動回路13に含まれる部分LED列の個数を切替えるタイミングと、第2LED駆動回路14に含まれる部分LED列の個数を切替えるタイミングとが異なるように設定した。この結果、LED照明装置10を流れる全体の電流(I0)の変化を小刻みにしてノイズ発生を抑えることが可能となった。しかしながら、LED照明装置60のように、第1LED駆動回路53に含まれる部分LED列の数と、第2LED駆動回路14に含まれる部分LED列の数を違えても、全体の電流(I50)の変化を小刻みにしてノイズ発生を抑えることが可能である。
【0075】
図8は、さらに他のLED照明装置60を示す回路図である。
【0076】
図8ではLED照明装置60に含まれる商用交流電源12(
図1参照)及びブリッジ整流回路11(
図1参照)が
図1に示すLED照明装置10と同じものになるため、これらを図示していない。
図8に示すようにLED照明装置60は、第1LED駆動回路63と第2LED駆動回路64を備えている。なお、LED照明装置60において、
図2に示すLED照明装置10と同じ構成には同じ番号を付して、その説明を省略する。
【0077】
図2に示したLED照明装置10に含まれる第1LED駆動回路13は、部分LED列31a等とバイパス回路32a等からなる回路ブロックが梯子段状に接続した構成を有する。第1LED駆動回路13に含まれる抵抗35a〜35eは、電流I1を検出し、それぞれのFET34a〜34eをフィードバック制御(定電流化)及びカットオフするための電流検出抵抗であった(第2LED駆動回路14も同様)。これに対して、LED照明装置60の第1LED駆動回路63及び第2のLED駆動回路64では、電流検出抵抗をそれぞれ1つのみとし、その分圧電圧だけでFET34a〜34eを制御している。
【0078】
図8に示すように、第1LED駆動回路63では、FET34a、34b、34c、34d、34eのソース同士が接続し、唯一の電流検出抵抗62の右端子に接続している。第1LED駆動回路63では、電流検出抵抗62の両端間電圧又はその分圧電圧で、FET34a〜34eを制御している。まず、電流検出抵抗62を抵抗35a(
図2参照)と同じ値(54Ω)に設定する。次に、抵抗61a、61b、61c、61d、61e間の比を抵抗35a、35b、35c、35d、35e間の比(
図2参照)と等しくすると、第1LED駆動回路63と第1LED駆動回路13とは、ほぼ同じ動作をする。なお、抵抗61a〜61eは十分に高い抵抗値を有するものとする。点線67で示す様に、FET34a、34b、34c、34d、34e、抵抗61a、61b、61c、61d、61e及び電流検出抵抗62は、全波整流波形の電圧に応じて第1LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0079】
図8に示すように、第2LED駆動回路64では、FET44a、44b、44c、44d、44eのソース同士が接続し、唯一の電流検出抵抗66の右端子に接続している。第2LED駆動回路64では、電流検出抵抗66の両端間電圧又はその分圧電圧でFET44a〜44eを制御している。第2LED駆動回路64でも、まず、電流検出抵抗66を抵抗45a(
図2参照)と同じ値(54Ω)に設定する。次に、抵抗65a、65b、65c、65d、65e間の比を抵抗45a、45b、45c、45d、45e間の比(
図2参照)と等しくすると、第2LED駆動回路64と第2LED駆動回路14とは、ほぼ同じ動作をする。なお、抵抗65a〜65eは十分に高い抵抗値を有するものとする。点線68で示す様に、FET44a、44b、44c、44d、44e、抵抗65a、65b、65c、65d、65e及び電流検出抵抗66は、全波整流波形の電圧に応じて第2LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0080】
LED照明装置60では、第1LED駆動回路63が一の定電流状態から他の定電流状態に移行する過渡状態について改善されるため、
図2に示したLED照明装置10より輝度が向上する(第2LED駆動回路64も同様)。
【0081】
また、LED照明装置60では、抵抗61a〜61eを高抵抗化及び小型化することが可能である。また、抵抗61a〜61eは、相互の比のみを安定して再現できれば良いので、比較的低抵抗であり許容電力を大きくしなければならない電流検出抵抗62と組み合わせて、ネットワーク抵抗として構成し易いという利点がある(第2LED駆動回路64の抵抗65a〜65eも同様)。ここで、
図2に示すLED照明装置10に含まれる第1LED駆動回路13において、期間t4から期間t5への過渡期における、FET34eのゲインG10は、ドレイン抵抗Rd10/ソース抵抗Rs10(R35a+R35b+R35c+R35d+R35e)と考えられる(「R35a」は抵抗35aの抵抗値を表す。他の抵抗についても同様である。)。同様に、
図8に示すLED照明装置60に含まれる第1LED駆動回路63において、期間t4から期間t5への過渡期における、FET34eのゲインG60は、ドレイン抵抗Rd60/ソース抵抗Rs60(R62)と考えられる。Rd10とRd60はほぼ同じ値であり、Rs10>Rs60なので、G60>G10となる。すなわち、LED照明装置60では、FET34eのゲインG60がより大きいので、過渡応答特性がLED照明装置10より向上する。
【0082】
図9は、さらに他のLED照明装置70の回路図である。
【0083】
前述したLED照明装置10、50、60では、第1又は第2LED列に流れる電流を検出して、第1又は第2LED列の直列段数を切替えていた。しかしながら、第1又は第2LED列の直列段数の切替えは、電流を検出による方式に限定されず、電圧を検出する方式を採用することができる。
図9に示すLED照明装置70は、全波整流波形の電圧を検出して第1及び第2LED列の直列段数を切替える第1及び第2LED駆動回路73、74を含んでいる。
【0084】
図9において商用交流電源12とブリッジ整流回路11は
図2と共通であるが、低電圧で直列段数を制御するため抵抗71、72により全波整流波形を低電圧化した信号を伝達する配線75を加えた。なお、LED照明装置70において、
図2に示すLED照明装置10と同じ構成には同じ番号を付して、その説明を省略する。
【0085】
図9に示すように第1LED駆動回路73では、3個の部分LED列81a、81b、81cが直列接続している。各部分LED列81a、81b、81cでは、それぞれ複数のLED83a、83b、83cが直列接続している。部分LED列81a、81b、81cが直列接続したLED列が、第1LED駆動回路73に含まれる第1LED列に相当する。
【0086】
第1LED駆動回路73において、部分LED列81a、81b、81c間の接続部にはそれぞれバイパス回路が接続され、部分LED列81cのカソードに定電流回路が接続されている。部分LED列81a、81b間の接続部に接続するバイパス回路は、コンパレータ84a、AND素子85a、エンハンスメント型のFET86a及び電流制限回路87aを含んでいる。部分LED列81b、81c間の接続部に接続するバイパス回路は、コンパレータ84b、AND素子85b、エンハンスメント型のFET86b及び電流制限回路87bを含んでいる。定電流回路は、コンパレータ84c、エンハンスメント型のFET86c及び電流制限回路87cを含んでいる。コンパレータ84a〜84cのプラス入力端子には配線75が接続され、マイナス入力端子には基準電圧発生回路88から出力する基準電圧Vref1、Vref2、Vref3が入力される。点線76に示す様に、コンパレータ84a〜c、AND素子85a、85b、FET86a〜c、電流制限回路87a〜c及び基準電圧発生回路88は、全波整流波形の電圧に応じて第1LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0087】
図9に示すように第2LED駆動回路74では、3個の部分LED列91a、91b、91cが直列接続している。各部分LED列91a、91b、91cでは、それぞれ複数のLED93a、93b、93cが直列接続している。部分LED列91a、91b、91cが直列接続したLED列が第2LED駆動回路74に含まれる第2LED列に相当する。
【0088】
第2LED駆動回路74において、部分LED列91a、91b、91c間の接続部にはそれぞれバイパス回路が接続され、部分LED列91cのカソードに定電流回路が接続されている。部分LED列91a、91b間の接続部に接続するバイパス回路は、コンパレータ94a、AND素子95a、エンハンスメント型のFET96a及び電流制限回路97aを含んでいる。部分LED列91b、91c間の接続部に接続するバイパス回路は、コンパレータ94b、AND素子95b、エンハンスメント型のFET96b及び電流制限回路97bを含んでいる。定電流回路は、コンパレータ94c、エンハンスメント型のFET96c及び電流制限回路97cを含んでいる。コンパレータ94a〜94cのプラス入力端子には配線75が接続し、マイナス入力端子には基準電圧発生回路98が出力する基準電圧Vref4、Vref5、Vref6が入力される。点線77に示す様に、コンパレータ94a〜c、AND素子95a、95b、FET96a〜c、電流制限回路97a〜c及び基準電圧発生回路98は、全波整流波形の電圧に応じて第2LED列に含まれるLEDの直列段数を切替える切替回路として機能する。
【0089】
第1及び第2LED駆動回路73、74に含まれる第1及び第2のLED列の直列段数の最大数は、
図2で示した第1及び第2LED駆動回路13、14と同様に90である。部分LED列81a〜81c、91a〜91cの直列段数は、それぞれ、後述するように基準電圧Vref1〜3、Vref4〜6に基づいて定める。例えば、全て同じ段数(30段)としても良い。電流制限回路87aと電流制限回路97aの上限電流は等しく、電流制限回路87bと電流制限回路97bの上限電流も等しく、電流制限回路87cと電流制限回路97cの上限電流も等しく設定されている。電流制限回路87a、97aの上限電流はもっとも小さな値となり、電流制限回路87b、97bの上限電流が中間的な値となり、電流制限回路87c、97cの上限電流が最も大きな値に設定される。
【0090】
基準電圧Vref1〜Vref6は、以下のような関係となるように設定される。
Vref1<Vref4<Vref2<Vref5<Vref3<Vref6
【0091】
図10Aは、LED照明装置70における一周期分の全波整流電圧波形V1と時間tとの関係を示す波形図である。
図10Bは、第1LED駆動回路73に流れ込む電流I71と時間tとの関係を示す波形図である。
図10Cは、第2LED駆動回路74に流れ込む電流I72と時間tとの関係を示す波形図である。
図10Dは、全体の電流I70と時間tとの関係を示す波形図である。なお、
図10A〜
図10Dの時間軸の尺度は等しい。また、
図10Aは
図3Aと同じ波形図である。
【0092】
図10A及び
図10Bにより第1LED駆動回路73の動作を説明する。期間t20は、全波整流電圧波形V1が基準電圧Vref1より小さい期間である。期間t20では、コンパレータ84a〜84cの出力はローレベルとなるためFET86a〜86cがオフし電流I71は流れない。
【0093】
期間t21は、全波整流電圧波形V1が基準電圧Vref1と基準電圧Vref2の間にある期間であり、AND素子85aの出力がハイレベルになりFET86aがオンし、電流制限回路87aに、その上限電流に等しい電流が流れる。
【0094】
期間t22は、全波整流電圧波形V1が基準電圧Vref2と基準電圧Vref3の間にある期間であり、電流制限回路87bに、その上限電流に等しい電流が流れる。
【0095】
期間t23は、全波整流電圧波形V1が基準電圧Vref3以上である期間であり、電流制限回路87cに、その上限電流に等しい電流が流れる。また、全波整流電圧波形V1が下降する期間(期間t24〜期間t26)では、第1LED駆動回路73は上昇するときと逆の過程をたどる。
【0096】
第2LED駆動回路74にも、3つのレベルを持つ電流I72が流れる。しかしながら、基準電圧Vref4〜Vref6がそれぞれ基準電圧Vref1〜Vref3と異なっているため、電流I72の立ち上がるタイミングが電流I71の立ち上がるタイミングと異なるように設定されている。
【0097】
部分LED列81a、91aは、基準電圧Vref1、Vref4で決まるタイミングで、充分に電流I71、I72を流せるようにLEDの個数(段数)が設定されている。部分LED列81b、91bは、基準電圧Vref2、Vref5で決まるタイミングで、充分に電流I71、I72を流せるようにLEDの個数(段数)が設定されている。部分LED列81c、91cは基準電圧Vref3、Vref6で決まるタイミングで、充分に電流I71、I72を流せるようにLEDの個数(段数)が設定されている。
【0098】
図10Dに示す電流I70は
図10Bの電流I71と
図10Cの電流I72を足し合わせたもので、全波整流電圧波形V1の増減に応じて小刻みに増減している。このように電流I70の増減が小刻みにすると高調波歪率が低減する。
【0099】
図9に示すLED照明装置70では、第1及び第2LED駆動回路73、74以外にも、さらに多くのLED駆動回路をブリッジ整流回路11に対して第1及び第2LED駆動回路73、74と並列に接続することができる。追加されたLED駆動回路の直列段数の切替タイミングを第1及び第2LED駆動回路73、74の直列段数の切替えタイミングと異ならせることによって、電流I70の増減をさらに小刻みにすることができる。
【0100】
LED照明装置70では、第1及び第2LED駆動回路73、74に含まれる部分LED列の個数は、ともに3個としたが、これに限定されることなく、他の個数としても良い。また、各部分LED列に含まれるLEDの個数及び全LED列に含まれる総数も、上記した個数に限定されることは無く、利用する商用交流電源の実効値等に応じて、適宜選択することができる。
【0101】
上記したLED照明装置10、50、60、70では、各LED列で発光する部分LED列の個数が切替わるタイミングが、相互に異なっていることが重要である。各LED列で発光する部分LED列の個数が切替わるタイミングは、部分LED列に含まれるLEDの個数(段数)、部分LED列の個数、を変化させることによって調整できる。
【0102】
また、各LED列で発光する部分LED列の個数が切替わるタイミングは、部分LED列を流れる電流値の検出方法を変化させることによって調整することもできる。例えば、
図2において抵抗35aと抵抗45aの値を異ならせることで、部分LED列31aと部分LED列41aが発光するタイミングを調整することができる。さらに、各LED列で発光する部分LED列の個数が切替わるタイミングは、全波整流波形の電圧の検出方法を変化させることによって調整することもできる。
【0103】
上記したLED照明装置10、50、60、70では、第1LED列(LED33a〜33e等)及び第2LED列(LED43a〜43e等)が一つのブリッジ整流回路11に対して並列接続されていた。しかしながら、LED照明装置は、一つのブリッジ整流回路に第1LED列と第2LED列を並列接続する場合に限定されない。例えば、商用交流電源12(
図2参照)に対し第1のブリッジ整流回路と第2のブリッジ整流回路を並列接続し、第1のブリッジ整流回路に第1LED列を接続し、第2のブリッジ整流回路に第2LED列を接続しても良い。