特許第6437172号(P6437172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6437172
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】レーザ装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/40 20060101AFI20181203BHJP
   H01S 5/0683 20060101ALI20181203BHJP
   H01S 5/14 20060101ALI20181203BHJP
   B23K 26/00 20140101ALN20181203BHJP
【FI】
   H01S5/40
   H01S5/0683
   H01S5/14
   !B23K26/00 M
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-541451(P2018-541451)
(86)(22)【出願日】2018年4月2日
(86)【国際出願番号】JP2018014166
【審査請求日】2018年8月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】京藤 友博
(72)【発明者】
【氏名】桂 智毅
(72)【発明者】
【氏名】森田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏之
(72)【発明者】
【氏名】玄田 裕美
【審査官】 島田 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−054295(JP,A)
【文献】 特開2006−303365(JP,A)
【文献】 特開2007−148220(JP,A)
【文献】 特開2013−145819(JP,A)
【文献】 特開2010−134976(JP,A)
【文献】 特開2015−170708(JP,A)
【文献】 特開2005−317841(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/020709(WO,A1)
【文献】 特開2017−098505(JP,A)
【文献】 特開2016−112609(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/155895(WO,A1)
【文献】 特開2015−195271(JP,A)
【文献】 特開2011−228457(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/045653(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00− 5/50
H01S 3/00− 3/30
B23K26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに波長の異なるレーザ光を発生する複数のレーザダイオードと、
複数の前記レーザダイオードと共振器を構成する部分反射ミラーと、
前記共振器内に配置され、複数の前記レーザダイオードが出力する複数のレーザ光の一部を結合し、結合した前記複数のレーザ光を第1のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向へ出射すると共に、前記複数のレーザ光の一部を第2のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向とは異なる方向へ出射する波長分散素子と、
複数の前記第2のレーザ光の複数の光路に渡って配置されるビームダンパと、前記ビームダンパ上であって複数の前記第2のレーザ光のそれぞれの光路上に設けられる複数の熱電対とを含み、前記第2のレーザ光の強度を検出する出力検出部と、
を備えることを特徴とするレーザ装置。
【請求項2】
互いに波長の異なるレーザ光を発生する複数のレーザダイオードと、
複数の前記レーザダイオードと共振器を構成する部分反射ミラーと、
前記共振器内に配置され、複数の前記レーザダイオードが出力する複数のレーザ光の一部を結合し、結合した前記複数のレーザ光を第1のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向へ出射すると共に、前記複数のレーザ光の一部を第2のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向とは異なる方向へ出射する波長分散素子と、
複数の前記第2のレーザ光のそれぞれの光路上に配置される複数のビームダンパと、複数の前記ビームダンパのそれぞれに設けられる複数の熱電対とを含み、前記第2のレーザ光の強度を検出する出力検出部と、
を備えることを特徴とするレーザ装置。
【請求項3】
互いに波長の異なるレーザ光を発生する複数のレーザダイオードと、
複数の前記レーザダイオードと共振器を構成する部分反射ミラーと、
前記共振器内に配置され、複数の前記レーザダイオードが出力する複数のレーザ光の一部を結合し、結合した前記複数のレーザ光を第1のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向へ出射すると共に、前記複数のレーザ光の一部を第2のレーザ光として前記部分反射ミラーの方向とは異なる方向へ出射する波長分散素子と、
積分球と、前記積分球に設けられ、複数の前記第2のレーザ光のそれぞれの強度を検出する複数の出力計測センサとを含み、複数の前記出力計測センサのそれぞれが、前記積分球の内部で拡散された前記第2のレーザ光の強度を検出する出力検出部と、
を備えることを特徴とするレーザ装置。
【請求項4】
前記出力検出部は、前記積分球に設けられたサーマルセンサをさらに有し、
前記サーマルセンサの検出値に基づいて、前記出力計測センサの校正を行うことを特徴とする請求項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記出力検出部が計測した前記第2のレーザ光の強度に基づいて、前記レーザダイオードの出力制御を行うことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記出力検出部が計測した前記第2のレーザ光の強度を前記レーザ装置の状態情報として記録することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記出力検出部が計測した前記第2のレーザ光の強度に基づいて、前記レーザ装置の異常を検知することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記レーザ装置の異常を検知した場合、前記異常を通知するまたは前記レーザ装置を停止させることを特徴とする請求項に記載のレーザ装置。
【請求項9】
前記第1のレーザ光は、前記波長分散素子を透過する光であり、
前記第2のレーザ光は、前記波長分散素子で反射する光であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項10】
前記第1のレーザ光は、前記波長分散素子で反射する光であり、
前記第2のレーザ光は、前記波長分散素子を透過する光であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザダイオードを使用して複数の波長の光を発振するレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を使用して加工を行うレーザ加工装置の分野では、近年、複数のレーザダイオードを使用するレーザ発振器をレーザ光源として用いるレーザ加工装置が開発されている。特許文献1には、複数のレーザダイオードを使用して複数の波長の光を発振するレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置は、レーザダイオードの劣化などに起因して、出力されるレーザ光の強度が低下する場合があるため、レーザ光の強度を検出する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−78050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ加工装置には、レーザ光の強度を検出するために新たに分散素子、分光素子などの光学部品が追加されており、装置サイズが大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置サイズの増大を抑制することが可能なレーザ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のレーザ装置は、互いに波長の異なるレーザ光を発生する複数のレーザダイオードと、複数のレーザダイオードと共振器を構成する部分反射ミラーと、共振器内に配置され、複数のレーザダイオードが出力する複数のレーザ光の一部を結合し、結合した複数のレーザ光を第1のレーザ光として部分反射ミラーの方向へ出射すると共に、複数のレーザ光の一部を第2のレーザ光として部分反射ミラーの方向とは異なる方向へ出射する波長分散素子と、複数の第2のレーザ光の複数の光路に渡って配置されるビームダンパと、ビームダンパ上であって複数の第2のレーザ光のそれぞれの光路上に設けられる複数の熱電対とを含み、第2のレーザ光の強度を検出する出力検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるレーザ装置は、装置サイズの増大を抑制することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置の構成を示す図
図2】本発明の実施の形態2にかかるレーザ装置の構成を示す図
図3】本発明の実施の形態3にかかるレーザ装置の構成を示す図
図4】本発明の実施の形態4にかかるレーザ装置の構成を示す図
図5】本発明の実施の形態5にかかるレーザ装置の構成を示す図
図6】本発明の実施の形態1〜5にかかるレーザ装置のハードウェア構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかるレーザ装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置100Aの構成を示す図である。レーザ装置100Aは、レーザ共振器1Aと、演算部4と、制御部5と、記憶部6と、駆動電源7とを有する。
【0011】
レーザ共振器1Aは、レーザダイオード40−1,40−2,40−3と、部分反射ミラー50と、波長分散素子60と、出力検出部70Aとを有する。以下、レーザダイオード40−1,40−2,40−3のそれぞれを区別する必要がない場合、単にレーザダイオード40と称する。複数のレーザダイオードは、互いに異なる波長のレーザ光を発生することができる。レーザダイオード40と部分反射ミラー50とは共振器を構成している。複数のレーザダイオード40が出力するレーザ光はレーザダイオード40と部分反射ミラー50との間で反射を繰り返し、増幅された後、一部の光が部分反射ミラー50から取出される。
【0012】
波長分散素子60は、レーザダイオード40と部分反射ミラー50とが構成する共振器内に配置される。波長分散素子60は、例えば回折格子である。波長分散素子60は、複数のレーザダイオード40が出射した複数のレーザ光を回折し、次数毎に分離する。図1に示す例では、波長分散素子60は透過型の回折格子であり、各レーザ光の1次回折光を結合して第1のレーザ光10とし、部分反射ミラー50の方向に向けて出射すると共に、0次回折光を第2のレーザ光20a,20b,20cとし、部分反射ミラー50の方向とは異なる方向に向けて出射する。以下第2のレーザ光20a,20b,20cのそれぞれを区別する必要がない場合、単に、第2のレーザ光20と称する。なお図1ではレーザダイオード40−1,40−2,40−3のそれぞれが出射した光が波長分散素子60を回折し、次数毎に分離するときに光が進む方向を矢印で示している。部分反射ミラー50で反射した光が波長分散素子60に入射する場合、波長分散素子60は、入射した光をそれぞれの波長の光に分離してレーザダイオード40−1,40−2,40−3のそれぞれに向けて出射する。レーザダイオード40には、部分反射ミラー50で反射して波長分散素子60で分離された光を反射する反射ミラーが設けられている。
【0013】
レーザダイオード40−1は波長λ1のレーザ光を出力し、レーザダイオード40−2は波長λ2のレーザ光を出力し、レーザダイオード40−3は波長λ3のレーザ光を出力する。この場合、第1のレーザ光10は、波長λ1,λ2,λ3の光を含んでおり、第2のレーザ光20aは波長λ3の光であり、第2のレーザ光20bは波長λ2の光であり、第2のレーザ光20cは波長λ3の光である。
【0014】
出力検出部70Aは、第2のレーザ光20の強度を検出する。出力検出部70Aは、複数の出力計測センサ71a,71b,71cを有する。以下、出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれを区別する必要がない場合、単に出力計測センサ71と称する。複数の出力計測センサ71のそれぞれは、出力検出部70Aに入射する複数の第2のレーザ光20a,20b,20cのそれぞれの光路上に配置される。例えば、出力計測センサ71aは第2のレーザ光20aの光路上に配置され、出力計測センサ71bは第2のレーザ光20bの光路上に配置され、出力計測センサ71cは第2のレーザ光20cの光路上に配置される。複数の出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれは、レーザ光の波長に対する受光感度を示す感度特性が互いに異なる。感度特性は、複数のレーザ光のそれぞれの波長に対する受光感度を示す。複数の出力計測センサ71のそれぞれは、複数の波長の第2のレーザ光20のそれぞれの強度を検出し、検出した強度を示す検出信号を出力する。
【0015】
出力検出部70Aは、検出した第2のレーザ光20の強度を示す検出信号を、演算部4に出力する。演算部4は、出力検出部70Aの出力する検出信号に基づいて、駆動電源7がレーザダイオード40−1,40−2,40−3のそれぞれに印加する駆動電圧を演算する。具体的には、演算部4は、複数のレーザダイオード40の強度低下を補うために、それぞれのレーザダイオード40が出力するレーザ光の強度が目標値に近づくように、複数のレーザダイオード40のそれぞれに印加する駆動電圧を演算する。演算部4は、演算して得られた駆動電圧を、制御部5に出力する。
【0016】
制御部5は、演算部4が出力する駆動電圧に従って、駆動電源7を制御する。記憶部6は、制御部5が駆動電源7を制御するために用いられる各種のパラメータなどを記憶する。駆動電源7は、制御部5の制御に従って、レーザダイオード40−1,40−2,40−3のそれぞれに電力を供給する。なお、上記の例では、演算部4は、複数のレーザダイオード40のそれぞれに供給する駆動電圧を演算することとしたが、直列接続で複数のレーザダイオード40全体の出力を制御するように、駆動電圧を演算してもよい。
【0017】
制御部5は、出力検出部70Aが検出した第2のレーザ光20の強度をレーザ装置100Aの状態情報として記憶部6に記憶させることもできる。また制御部5は、出力検出部70Aが検出した第2のレーザ光20の強度に基づいて、レーザ装置100Aの異常を検知することができる。例えば制御部5は、第2のレーザ光20の強度が閾値以上低下したことを検知すると、レーザ装置100Aに異常が発生していると判断して、異常をユーザに通知したり、レーザ装置100Aの動作を停止させたりすることができる。
【0018】
以上説明したように本発明の実施の形態1にかかるレーザ装置100Aによれば、複数のレーザダイオード40と部分反射ミラー50とが共振器を構成し、共振器内に波長分散素子60が配置される。波長分散素子60は、複数のレーザダイオード40が出力する複数のレーザ光の一部を結合した第1のレーザ光を部分反射ミラー50の方向へ出射し、複数のレーザ光の残部である第2のレーザ光を部分反射ミラー50の方向とは異なる方向へ出射する。そして、出力検出部70Aは、第2のレーザ光20の強度を検出する。
【0019】
上記の構成によれば、レーザ装置100Aは、複数の波長の光を結合するための波長分散素子を用いて強度のモニタ用の光を生成しているため、レーザ光の強度を検出するために新たに分散素子、分光素子などの光学部品を追加する必要がなく、レーザ装置100Aの装置サイズの増大を抑制することが可能である。また分散素子などの部品は高価である場合が多い。したがって、高価な部品の数を低減することができ、製造コストを抑制することも可能になる。
【0020】
またレーザ装置100Aの出力検出部70Aは、複数の出力計測センサ71a,71b,71cを含む。出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれは、波長毎の第2のレーザ光20a,20b,20cのそれぞれの光路上に配置され、第2のレーザ光20a,20b,20cのそれぞれの強度を計測する。これにより、レーザ装置100Aは、波長毎に分離してレーザ光の強度を検出することが可能になる。したがって、レーザ装置100Aの出力を波長毎に管理することができるようになり、センサ感度の適正化を図り、安定した出力検出を実現することが可能になる。
【0021】
またレーザ装置100Aは、出力検出部70Aが波長毎にレーザ光の強度を検出することが可能であるため、検出した第2のレーザ光20の強度に基づいて、レーザダイオード40の出力制御を行うことができる。またレーザ装置100Aは、検出した第2のレーザ光20の強度をレーザ装置100Aの状態情報として記録してもよい。レーザ装置100Aの状態情報として記録しておくことで、レーザ装置100Aの出力の変動を把握することが可能になる。
【0022】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2にかかるレーザ装置100Bの構成を示す図である。レーザ装置100Bは、レーザ共振器1Bと、演算部4と、制御部5と、記憶部6と、駆動電源7とを有する。
【0023】
レーザ共振器1Bは、レーザダイオード40−1,40−2,40−3と、部分反射ミラー50と、波長分散素子60と、出力検出部70Bとを有する。レーザ装置100Bは、レーザ装置100Aの出力検出部70Aの代わりに出力検出部70Bを有する点以外はレーザ装置100Aと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、レーザ装置100Aと異なる点を主に説明する。
【0024】
出力検出部70Bは、1つのビームダンパ72と複数の熱電対73a,73b,73cとを有する。ビームダンパ72は、複数の第2のレーザ光20a,20b,20cの複数の光路に渡って配置される。ビームダンパ72は、第2のレーザ光20を効率よく吸収してレーザ光を終端する吸収体である。複数の熱電対73a,73b,73cは、ビームダンパ72上に設けられている。以下、複数の熱電対73a,73b,73cのそれぞれを区別する必要がない場合、単に熱電対73と称する。熱電対73は例えばレーザダイオード40と同数設けられ、複数の熱電対73のそれぞれは、複数の第2のレーザ光20のそれぞれの光路上に設けられる。具体的には、熱電対73aは第2のレーザ光20aの光路上に配置され、熱電対73bは第2のレーザ光20bの光路上に配置され、熱電対73cは第2のレーザ光20cの光路上に配置されている。ビームダンパ72に第2のレーザ光20が入射すると、第2のレーザ光20の入射点の周囲ではビームダンパ72の温度が上昇する。熱電対73は、この温度変化を検出することができる。
【0025】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかるレーザ装置100Bによれば、出力検出部70Bは、複数の第2のレーザ光20の複数の光路に渡って配置されるビームダンパ72と、ビームダンパ72上であって複数の第2のレーザ光20のそれぞれの光路上に設けられる複数の熱電対73とを含む。このような構成の出力検出部70Bを用いることで、実施の形態1の出力検出部70Aの構成と比較して、出力検出部70Bは安価に製造することが可能であり、装置の製造コストを抑制することが可能になる。また出力検出部70Bによれば、出力検出部70Aで用いられる出力センサのような感度変化が少ないため、長期的に安定した検出機能を実現することが可能である。
【0026】
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3にかかるレーザ装置100Cの構成を示す図である。レーザ装置100Cは、レーザ共振器1Cと、演算部4と、制御部5と、記憶部6と、駆動電源7とを有する。
【0027】
レーザ共振器1Cは、レーザダイオード40−1,40−2,40−3と、部分反射ミラー50と、波長分散素子60と、出力検出部70Cとを有する。レーザ装置100Cは、レーザ装置100Aの出力検出部70Aの代わりに出力検出部70Cを有する点以外はレーザ装置100Aと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、レーザ装置100Aと異なる点を主に説明する。
【0028】
出力検出部70Cは、複数の第2のレーザ光20のそれぞれの光路上に配置される複数のビームダンパ72a,72b,72cと、複数のビームダンパ72a,72b,72cのそれぞれに設けられる複数の熱電対73a,73b,73cとを含む。つまり、出力検出部70Cは、出力検出部70Bのビームダンパ72の代わりに、複数のビームダンパ72a,72b,72cを有し、熱電対73a,73b,73cとビームダンパ72a,72b,72cとを1対1で配置している。以下、複数のビームダンパ72a,72b,72cのそれぞれを区別する必要がない場合、単にビームダンパ72と称する。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態3にかかるレーザ装置100Cによれば、レーザ装置100Cの出力検出部70Cは、複数のビームダンパ72と、複数の熱電対73とを含む。上記のような構成の出力検出部70Cを用いることで、実施の形態1の出力検出部70Aの構成と比較して、出力検出部70Cは安価に製造することが可能であり、装置の製造コストを抑制することが可能になる。また出力検出部70Cによれば、出力検出部70Aで用いられる出力センサのような感度変化が少ないため、長期的に安定した検出機能を実現することが可能である。
【0030】
またレーザ装置100Cの出力検出部70Cは、複数の第2のレーザ光20のそれぞれの光路上に配置される複数のビームダンパ72と、複数のビームダンパ72のそれぞれに設けられる複数の熱電対73とを含む。実施の形態2の出力検出部70Bでは、第2のレーザ光20a,20b,20cが1つのビームダンパ72に照射されるため、各第2のレーザ光20がビームダンパ72に入射する位置が近いほど、第2のレーザ光20によって温度上昇する領域が重なりやすくなる。これに対して、出力検出部70Cでは、第2のレーザ光20a,20b,20cのそれぞれが異なるビームダンパ72a,72b,72cのそれぞれに照射される。このため、実施の形態2の出力検出部70Bと比較して、波長毎の第2のレーザ光20の出力を検出する精度が向上する。
【0031】
実施の形態4.
図4は、本発明の実施の形態4にかかるレーザ装置100Dの構成を示す図である。レーザ装置100Dは、レーザ共振器1Dと、演算部4と、制御部5と、記憶部6と、駆動電源7とを有する。
【0032】
レーザ共振器1Dは、レーザダイオード40−1,40−2,40−3と、部分反射ミラー50と、波長分散素子60と、出力検出部70Dとを有する。レーザ装置100Dは、レーザ装置100Aの出力検出部70Aの代わりに出力検出部70Dを有する点以外はレーザ装置100Aと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、レーザ装置100Aと異なる点を主に説明する。
【0033】
出力検出部70Dは、積分球74と、積分球74に設けられた出力計測センサ71a,71b,71cとを有する。積分球74には、波長分散素子60から第2のレーザ光20a,20b,20cが入射する。複数の出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれは、積分球74に入射したレーザ光の波長に対する受光感度を示す感度特性が互いに異なる。複数の出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれは、積分球74に入射されたレーザ光の強度と感度特性とに応じて、レーザ光の強度を示す検出信号を演算部4に出力する。
【0034】
積分球74に入射したレーザ光は、積分球74の内部で拡散した後、複数の出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれの受光面に照射される。このため、複数の出力計測センサ71a,71b,71cのそれぞれに照射される光の強度が均一化される。したがって、複数の出力計測センサ71a,71b,71cの出力計測精度が向上する。
【0035】
以上説明したように、本発明の実施の形態4によれば、出力検出部70Dは、第2のレーザ光20a,20b,20cを積分球74の内部で拡散して強度を均一化した状態で、出力計測センサ71a,71b,71cが第2のレーザ光20a,20b,20cの強度を計測する。したがって、複数の出力計測センサ71a,71b,71cの出力計測精度が向上する。
【0036】
実施の形態5.
図5は、本発明の実施の形態5にかかるレーザ装置100Eの構成を示す図である。レーザ装置100Eは、レーザ共振器1Eと、演算部4と、制御部5と、記憶部6と、駆動電源7とを有する。
【0037】
レーザ共振器1Eは、レーザダイオード40−1,40−2,40−3と、部分反射ミラー50と、波長分散素子60と、出力検出部70Eとを有する。レーザ装置100Eは、レーザ装置100Dの出力検出部70Dの代わりに出力検出部70Eを有する点以外はレーザ装置100Dと同様であるため、ここでは説明を省略する。以下、レーザ装置100Dと異なる点を主に説明する。
【0038】
出力検出部70Eは、出力計測センサ71a,71b,71cと、積分球74と、サーマルセンサ75とを有する。つまり、出力検出部70Eは、出力検出部70Dの構成に加えて、サーマルセンサ75を有する。サーマルセンサ75は、温度変化に基づいてレーザ出力の強度を検出するためのセンサである。サーマルセンサ75は、複数の出力計測センサ71a,71b,71cに比べてセンサ出力の変動が少ない。このため、サーマルセンサ75の出力は演算部4に入力され、定期的に出力計測センサ71a,71b,71cのセンサ出力の校正に用いられる。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施の形態5にかかるレーザ装置100Eによれば、出力検出部70Eは、サーマルセンサ75を用いて定期的に出力計測センサ71a,71b,71cのセンサ出力の校正を行う。このため、出力計測センサ71a,71b,71cの出力計測精度を向上させることが可能である。
【0040】
図6は、本発明の実施の形態1〜5にかかるレーザ装置100A〜100Eのハードウェア構成を示す図である。レーザ装置100A〜100Eが備える演算部4、制御部5および記憶部6は、プロセッサ91およびメモリ92を用いて実現することができる。
【0041】
プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、又はシステムLSI(Large Scale Integration)である。
【0042】
メモリ92は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、又はEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリが該当する。半導体メモリは不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。またメモリ92は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク又はDVD(Digital Versatile Disc)でもよい。
【0043】
演算部4および制御部5の処理を実行するためのコンピュータプログラムをメモリ92に格納しておき、プロセッサ91がコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、演算部4および制御部5の機能が実現される。
【0044】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0045】
例えば、上記の実施の形態の図では、波長分散素子60は透過型の回折格子としたが、反射型の波長分散素子60が用いられてもよい。例えば、上記の実施の形態では、1次回折光を第1のレーザ光10、0次回折光を第2のレーザ光20としたが、光共振器の構成によって、第1のレーザ光10、第2のレーザ光20にどの次数の回折光を使用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1A,1B,1C レーザ共振器、4 演算部、5 制御部、6 記憶部、7 駆動電源、10 第1のレーザ光、20,20a,20b,20c 第2のレーザ光、40,40−1,40−2,40−3 レーザダイオード、50 部分反射ミラー、60 波長分散素子、70A,70B,70C,70D,70E 出力検出部、71a,71b,71c 出力計測センサ、72 ビームダンパ、73a,73b,73c 熱電対、74 積分球、75 サーマルセンサ、100A,100B,100C,100D,100E レーザ装置。
【要約】
レーザ装置(100A)は、互いに波長の異なるレーザ光を発生する複数のレーザダイオード(40−1,40−2,40−3)と、複数のレーザダイオード(40−1,40−2,40−3)と共振器を構成する部分反射ミラー(50)と、共振器内に配置され、複数のレーザダイオード(40−1,40−2,40−3)が出力する複数のレーザ光の一部を結合し、結合した前記複数のレーザ光を第1のレーザ光(10)として部分反射ミラー(50)の方向へ出射すると共に、複数のレーザ光の一部を第2のレーザ光(20a,20b,20c)として部分反射ミラー(50)の方向とは異なる方向へ出射する波長分散素子(60)と、第2のレーザ光(20a,20b,20c)の強度を検出する出力検出部(70A)と、を備えることを特徴とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6