(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437195
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】空気清浄システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20181203BHJP
B01D 46/44 20060101ALI20181203BHJP
F24F 110/50 20180101ALN20181203BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20181203BHJP
【FI】
F24F11/74
B01D46/44
F24F110:50
F24F120:14
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-268739(P2013-268739)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-124926(P2015-124926A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七岡 寛
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 香織
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−033547(JP,A)
【文献】
特開2006−010186(JP,A)
【文献】
特開2010−145006(JP,A)
【文献】
特開2012−047354(JP,A)
【文献】
特開2012−097955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
B01D 46/44
F24F 110/50
F24F 120/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄後の空気を部屋内に送風するファンを有するユニットであって、第1の運転強度、前記第1の運転強度よりも高い第2の運転強度、および前記第2の運転強度よりもさらに高い第3の運転強度を含む、複数の運転強度で運転される空気清浄ユニットと、
空気中の汚染質を検知するための汚れセンサと、
前記汚れセンサによる検知結果に基づいて、前記部屋の空気の汚染度を検出する検出手段と、
人体を検知するための人体センサと、
前記人体センサによる検知結果に基づいて、前記部屋に人が入室したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって人の入室が判定されるまでの間、前記空気清浄ユニットの運転状態が前記第1の運転強度となるように前記ファンを駆動し、前記判定手段によって前記部屋に人が入室したと判定された場合に、前記空気清浄ユニットの運転状態を前記第1の運転強度から前記第2の運転強度に変更し、一定時間、前記第2の運転強度で前記空気清浄ユニットを運転する運転制御手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記一定時間経過した後においては、前記部屋内に人が居る間、前記検出手段により検出された空気の汚染度に応じて前記第1〜第3の運転強度のうちのいずれかで前記空気清浄ユニットを運転し、前記第2の運転強度の選択中に、前記判定手段により人が退室したと判定されたときには、前記空気清浄ユニットの運転状態を前記第2の運転強度から前記第3の運転強度に変更する、空気清浄システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記空気の汚染度が、第1レベル、前記第1レベルよりも高い第2レベル、前記第2レベルよりも高い第3レベルのいずれであるかを検出し、
前記運転制御手段は、前記一定時間経過した後、前記検出手段により前記第2レベルの汚染度が検出された場合に、前記人体センサによる人体の検知の有無に応じて前記第2の運転強度または前記第3の運転強度を選択し、前記検出手段により前記第3レベルの汚染度が検出された場合には、前記人体センサによる人体の検知の有無に関わらず、前記第3の運転強度を選択する、請求項1に記載の空気清浄システム。
【請求項3】
前記空気清浄ユニットは、前記部屋の天井に設けられている、請求項1または2に記載の空気清浄システム。
【請求項4】
清浄後の空気を部屋内に送風するファンを有する空気清浄ユニットを、第1の運転強度、前記第1の運転強度よりも高い第2の運転強度、および前記第2の運転強度よりもさらに高い第3の運転強度を含む、複数の運転強度で運転するよう制御するための制御装置であって、
前記部屋に人が入室したか否かを判定する判定手段と、
汚れセンサによる検知結果に基づいて、前記部屋の空気の汚染度を検出する検出手段と、
前記判定手段によって人の入室が判定されるまでの間、前記空気清浄ユニットの運転状態が前記第1の運転強度となるように前記ファンを駆動し、前記判定手段によって前記部屋に人が入室したと判定された場合に、前記空気清浄ユニットの運転状態を前記第1の運転強度から前記第2の運転強度に変更し、一定時間、前記第2の運転強度で前記空気清浄ユニットを運転する運転制御手段とを備え、
前記運転制御手段は、前記一定時間経過した後においては、前記部屋内に人が居る間、前記検出手段により検出された空気の汚染度に応じて前記第1〜第3の運転強度のうちのいずれかで前記空気清浄ユニットを運転し、前記第2の運転強度の選択中に、前記判定手段により人が退室したと判定されたときには、前記空気清浄ユニットの運転状態を前記第2の運転強度から前記第3の運転強度に変更する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄システムおよび制御装置に関し、特に、複数の運転強度で運転される空気清浄ユニットを含む空気清浄システム、および、このような空気清浄ユニットを制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄システムまたは装置は、一般的に、空気中の汚染質を検知する汚れセンサと、空気清浄機能を果たす空気清浄ユニットとを備えている。空気清浄ユニットは、汚れセンサによる検知結果に基づいて、運転強度が変えられる。
【0003】
空気清浄ユニットによる清浄効率を高めるために、人体センサを利用した技術も存在する。特開2009−2601号公報(特許文献1)には、空気清浄ユニットを備えた空気調和機において、パトロール運転中に人体センサによって人を検知した場合に、室内ファンを空調運転時よりも低い速度で運転することで、汚れセンサの検知速度を増大させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−2601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、汚れセンサは、空気清浄ユニットを含む本体部と一体に設けられるか、あるいは、リモートコントローラに内蔵されている。汚れセンサは、その近傍の空気の汚染質の濃度が上昇すると反応する。しかし、汚染質の発生位置は必ずしも汚れセンサの近傍とは限らない。汚染質が汚れセンサの遠方で発生すると、汚れの検出が遅れる。このような場合、空気の清浄効率が低下する。
【0006】
特許文献1の空気清浄ユニットは、人が検知された場合に、汚れた空気を汚れセンサまで迅速に循環させるべく、室内に弱い循環気流を送るように制御されている。しかし、室内に弱い循環気流を送ったとしても、室内の家具等が障壁となって、汚れた空気が汚れセンサまですぐに到達しない恐れがある。
【0007】
また、一方で、複数の運転強度で運転される空気清浄ユニットにおいて、たとえば人が検知された段階で強運転して清浄効率を上げることも考えられるが、そうすると、運転騒音が問題となる場合がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、空気の清浄効率を向上させることのできる空気清浄システムおよび制御装置を提供することである。
【0009】
また、騒音を考慮しつつ、空気の清浄効率を向上させることのできる空気清浄システムおよび制御装置を提供することも、本発明の他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う空気清浄システムは、部屋内の空気を清浄するために、選択的に、第1の運転強度、および第1の運転強度よりも高い第2の運転強度で運転される空気清浄ユニットと、空気中の汚染質を検知するための汚れセンサと、人体を検知するための人体センサとを備える。空気清浄システムは、人体センサによる検知結果に基づいて、部屋に人が入室したか否かを判定する判定手段と、判定手段によって部屋に人が入室したと判定された場合に、空気清浄ユニットの運転状態を第1の運転強度から第2の運転強度に変更し、一定時間、第2の運転強度で空気清浄ユニットを運転する運転制御手段とをさらに備える。
【0011】
好ましくは、運転制御手段は、一定時間経過した後においては、汚れセンサによる検知結果に基づいて、第1の運転強度および第2の運転強度のいずれかで空気清浄ユニットを運転する。
【0012】
あるいは、空気清浄ユニットは、第2の運転強度よりもさらに高い第3の運転強度でも運転され、運転制御手段は、一定時間経過した後においては、汚れセンサによる検知結果に基づいて、第1の運転強度、第2の運転強度および第3の運転強度のいずれかで空気清浄ユニットを運転してもよい。
【0013】
好ましくは、汚れセンサによる検知結果に基づいて、部屋の空気の汚染度を検出する検出手段をさらに備える。運転制御手段は、検出手段により同じ汚染度が検出された場合であっても、部屋内に人が居ないときには、部屋内に人が居るときの運転強度よりも高い運転強度を選択することが望ましい。
【0014】
検出手段は、空気の汚染度が、第1、第2および第3レベルのいずれであるかを検出し、運転制御手段は、検出手段により第2レベルの汚染度が検出された場合に、空気清浄ユニットの運転強度を最大にしてもよい。
【0015】
好ましくは、空気清浄ユニットは、部屋の天井に設けられている。
【0016】
この発明の他の局面に従う空気清浄システムは、部屋内の空気を清浄するために、選択的に、複数の運転強度で運転される空気清浄ユニットと、空気中の汚染質を検知するための汚れセンサと、人体を検知するための人体センサと、汚れセンサによる検知結果と人体センサによる検知結果とに基づいて複数の運転強度のうちの1つを選択し、選択した運転強度で空気清浄ユニットを運転する運転制御手段とを備える。運転制御手段は、部屋内に人が居ないときには、部屋内に人が居るときの運転強度よりも高い運転強度を選択する。
【0017】
この発明のさらに他の局面に従う制御装置は、部屋内の空気を清浄するために、選択的に、第1の運転強度、および第1の運転強度よりも高い第2の運転強度で空気清浄ユニットを運転するよう制御するための制御装置である。制御装置は、部屋に人が入室したか否かを判定する判定手段と、判定手段によって部屋に人が入室したと判定された場合に、空気清浄ユニットの運転状態を第1の運転強度から第2の運転強度に変更し、一定時間、第2の運転強度で空気清浄ユニットを運転する運転制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気の清浄効率を向上させることができる。
【0019】
また、運転制御手段が、部屋内に人が居ないときに、部屋内に人が居るときの運転強度よりも高い運転強度を選択するように構成される場合には、騒音を考慮しつつ、空気の清浄効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄システムの概略構成を概念的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る空気清浄システムの清浄対象の部屋内における、空気清浄ユニットの位置を概念的に示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る空気清浄システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る空気清浄処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
<概要について>
はじめに、本発明の実施の形態に係る空気清浄システムの概要について説明する。
図1および
図2を参照して、空気清浄システムは、部屋1内の空気を清浄するための空気清浄ユニット2と、空気清浄ユニット2を制御する制御装置3と、空気中の汚染質を検知する汚れセンサ5とを含む。汚れセンサ5は、複数種類の汚染質(ホコリ、ニオイ、水蒸気など)のうち、少なくとも1種類の汚染質を検知する。
【0023】
空気清浄ユニット2は、
図1に示されるように、たとえば部屋1の天井11に設けられている。空気清浄ユニット2は、空気清浄フィルタ22、ファン23、および、ルーバ25を含む。空気清浄ユニット2が搭載された本体部(筐体)20は、その下方側に吸い込み口21および吹き出し口24を有している。吸い込み口21から本体部20に吸い込まれた部屋1内の空気は、空気清浄フィルタ22を通過し、清浄後の空気が、ファン23によって吹き出し口24から部屋1内に吹き出される。
【0024】
空気清浄ユニット2は、選択的に、複数の運転強度で運転される。具体的には、空気清浄ユニット2の運転状態は、たとえば3段階の運転強度(すなわち、弱、中、強)のうちから選択される。公知の運転切替方法では、空気清浄ユニットの運転状態は、汚れセンサ5による検知結果に基づいて選択される。つまり、汚染度が低い場合には「弱」運転、汚染度が高くなれば「中」または「強」運転が行われる。
【0025】
図2に示されるように、部屋1がダイニング空間1Aとリビング空間1Bとを含んでおり、汚れセンサ5はダイニング空間1A寄りに配置されていると仮定する。この場合、リビング空間1Bに人が居る時、汚れセンサ5による汚れの検知は遅れてしまう。そうすると、公知の運転切替方法のように、汚れセンサ5によって汚れが検知されてから運転強度を高くしても、一旦、部屋1内に拡散した汚染質を除去する(汚染質濃度を所定値以下とする)には、たとえば2〜4時間程度の時間を要する。
【0026】
そこで、本実施の形態では、汚れセンサ5により汚れが検知されていなくても、部屋1に人が入室した時点で、空気清浄ユニット2の運転強度を少なくとも1段階高く変更し、一定時間、変更後の運転強度で空気清浄ユニット2を運転する。部屋1の空気は、人体活動に伴って汚染質濃度が上昇することが確認されているからである。これにより、汚染質が部屋1に拡散する前に、人体活動の開始に伴う発塵を早期に除去または低減させることができる。
【0027】
以下に、このような処理を行うための、空気清浄システムの機能構成および動作について、詳細に説明する。
【0028】
<機能構成について>
図3は、本実施の形態に係る空気清浄システムの機能構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る空気清浄システムは、上記構成に加え、操作パネル4と、人体センサ6とをさらに含む。
【0029】
操作パネル4は、ユーザからの指示の入力を受け付ける操作部として機能するとともに、空気清浄ユニット2の運転状態などを表示する表示部としても機能する。操作パネル4は、
図1に示されるように、たとえば部屋1の壁面12に設けられている。汚れセンサ5は、操作パネル4に内蔵されていてもよい。
【0030】
人体センサ6は、たとえば赤外線または電波によって人体の所在を検知する人感センサである。人体センサ6は、本体部20の下部に取り付けられている。つまり、人体センサ6は、部屋1の天井11側に配置されている。なお、人体を広範囲で検知可能とするために、複数の人体センサ6を設けてもよい。
図2の例では、人体センサ6が、ダイニング空間1A側とリビング空間1B側とに1つずつ設けられている。また、人体センサ6は、本体部20近傍の天井11に取り付けられてもよい。
【0031】
制御装置3は、空気清浄ユニット2、操作パネル4、汚れセンサ5および人体センサ6と有線または無線にて接続されている。制御装置3は、各種演算および処理を行う制御部31と、各種データおよびプログラムを記憶する記憶部32と、計時動作を行う計時部33とを含む。制御部31は、たとえばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置により実現される。記憶部32には、後述の空気清浄処理を実現するためのプログラムが予め記憶されている。記憶部32は、たとえばフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置により実現される。計時部33は、制御部31からの指示に応じて時間を計測するタイマである。なお、計時部33は、常に日時を計測するクロックであってもよい。
【0032】
制御部31は、その機能として、汚染度検出部34と、判定部35と、運転制御部36とを含む。なお、汚れセンサ5および人体センサ6からの検知信号は、デジタル信号に変換された後に、制御部31に入力される。
【0033】
汚染度検出部34は、汚れセンサ5による検知結果に基づいて、部屋1の空気の汚染度を検出する。汚染度は、たとえば、汚染質の濃度または量と予め定められた複数の閾値とを比較することによって検出される。具体的には、汚染度検出部34は、部屋1の汚染度が、複数レベルのいずれであるかを検出する。典型的には、レベルの数は、空気清浄ユニット2の運転強度の数と同じである。たとえば、汚染度検出部34は、空気の汚染度がレベル1〜3のいずれであるかを検出する。
【0034】
なお、汚れセンサ5が、異なる種類の汚染質を検知する複数のセンサを含む場合には、たとえば、種類ごとに複数の閾値が設けられていてもよい。この場合、いずれか1種類でも汚染質濃度が第1の閾値を超えていれば、部屋1の空気の汚染度は、レベル2として検出し、同様に、いずれか1種類でも汚染質濃度が第2の閾値を超えていれば、レベル3として検出してもよい。あるいは、汚染度検出部34は、所定の汚染質(たとえばホコリ)に対して重み付けを行って、部屋1の空気の汚染度を検出してもよい。
【0035】
判定部35は、人体センサ6による検知結果に基づいて、部屋1に人が居るか否かを判定する。具体的には、人体センサ6により所定時間(たとえば1分)以上連続して人体が検知されたか否かによって、部屋1内における人の有無を判定する。そして、判定部35は、人が居ない状態から人が居る状態となった場合に、部屋1に人が入室したと判定する。反対に、人が居る状態から人が居ない状態となった場合に、部屋1から人が退室したと判定する。
【0036】
運転制御部36は、空気清浄ユニット2の運転を制御する。具体的には、運転制御部36は、汚染度検出部34による検出結果、および、判定部35による判定結果に基づいて、空気清浄ユニット2の運転強度(弱、中、強)を選択する。そして、選択した運転強度に応じてファン23の駆動を制御することによって、吹き出し口24からの風量を調整する。運転制御部36は、選択された運転強度や人が検知された位置に応じて、ルーバ25の向きを制御してもよい。
【0037】
運転制御部36は、判定部35により部屋1に人が入室したと判定された場合、空気清浄ユニット2の運転状態を強度「弱」から強度「中」に変更する。そして、一定時間(たとえば30分間)、強度「中」で空気清浄ユニット2を運転する。一定時間経過後、運転制御部36は、基本的には、汚染度検出部34により検出された汚染度に応じた運転強度で空気清浄ユニット2を運転する。具体的には、汚染度がレベル1であれば「弱」運転、レベル2であれば「中」運転、レベル3であれば「強」運転を行う。ただし、運転制御部36は、部屋1の汚染度がレベル2であっても、部屋1内に人が居ないときには、レベル3相当の「強」運転を行うことが望ましい。
【0038】
なお、本実施の形態では、汚染度検出部34、判定部35および運転制御部36の機能は、制御部31がソフトウェアを実行することで実現されるものとするが、これらのうちの少なくとも1つについては、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0039】
<動作について>
図4は、本実施の形態における空気清浄処理を示すフローチャートである。この空気清浄処理は、制御装置3の制御部31が記憶部32に記憶されたプログラムを読出して実行することで実現される。なお、
図4に示す処理は、たとえば、ユーザによって操作パネル4が操作され、自動運転開始の指示が入力された場合に開始される。自動運転開始の指示信号は、たとえば、操作パネル4の電源ボタンがオンされた場合に、制御部31に送信される。
【0040】
図4を参照して、はじめに、運転制御部36は、空気清浄ユニット2を「弱」運転する(ステップS2)。また、判定部35は、人体センサ6からの検知信号に基づいて、部屋1内に人が入室したか否かを判定する(ステップS4)。人の入室が判定されるまで(ステップS4にてNO)、「弱」運転が継続される。
【0041】
判定部35によって人が入室したと判定された場合(ステップS4にてYES)、運転制御部36は、運転強度を1段階高くし、たとえば30分間「中」運転を行う(ステップS6)。30分間が経過したか否かの判断は、計時部33からの計時信号に基づいて行われる。なお、本実施の形態では、自動運転開始前から部屋1内に人が居る場合であっても、判定部35は、自動運転開始後にはじめて人が居ると判定されたときに、人が入室したと判定するものとする。
【0042】
「中」運転を開始して30分が経過すると、汚染度検出部34は、汚れセンサ5からの検知信号に基づいて、部屋1の汚染度を検出する(ステップS8)。空気が清浄化され、汚染度がレベル1(最小レベル)であれば、運転制御部36は、空気清浄ユニット2を「弱」運転する。レベル1が検出されたときに、判定部35により部屋1内に人が居ると判定された場合には(ステップS10にてYES)、ステップS12にて「弱」運転が行われる。この場合、再度、ステップS8において汚染度の検出が行われる。これに対し、レベル1が検出されたときに、人体センサ6により人体が検知されず、人が居ないと判定された場合は(ステップS10にてNO)、ステップS2に戻り、入室待ち状態とされる。部屋1内に人が居ないと、通常、汚染度は安定しているからである。
【0043】
ステップS8において、汚染度としてレベル2(中レベル)が検出された場合、ここでも、部屋1内に人が居るか否かが判定される(ステップS14)。人が居ると判定された場合(ステップS14にてYES)、運転制御部36は、通常通り、空気清浄ユニット2を「中」運転する(ステップS16)。一方、人が居ない(退室した)と判定された場合(ステップS14にてNO)、ステップS18に進み、空気清浄ユニット2を「強」運転する。
【0044】
ステップS8において、汚染度としてレベル3(最大レベル)が検出された場合、運転制御部36は、人の有無に関わらず、空気清浄ユニット2を「強」運転する(ステップS18)。ステップS16およびS18の後も、ステップS8に戻り、上記処理を繰り返す。なお、汚染度に応じた運転強度の選択は、たとえば5分ごとに行われる。これにより、空気清浄ユニット2のハンチング制御を防止することができる。
【0045】
上述のように、本実施の形態では、人が入室した時点で、汚れセンサ5による検知結果に関わらず、空気清浄ユニット2は一定時間「中」運転される。そのため、汚染質の発生位置が汚れセンサ5から遠い場合であっても、人体活動に伴う発塵を、早期に効率良く除去または低減させることができる。したがって、汚染質が部屋1に拡散してしまうことを防止することもできる。
【0046】
また、人体センサ6は天井11に設けられた本体部20に取り付けられているため、部屋1内における人体の有無を精度良く検知できる。汚れセンサ5のみによって汚染質の発生を早期に検知するためには、複数の汚れセンサ5を部屋1内の異なる箇所に設置する必要がある。しかし、本実施の形態によれば、人体センサ6を本体部20に設置するだけで、汚染質の早期除去が可能となる。
【0047】
また、汚染質が部屋1に拡散してしまい、その結果、汚染度としてレベル2(中レベル)が検出されたとしても、人の居ない間に、空気清浄ユニット2の運転強度が最大とされる。したがって、汚染質の除去速度を上昇させることができる。運転強度を最大として風量を増加させると、運転騒音の増加を招く。しかし、本実施の形態では、汚染度がレベル2の場合、人が居ない間にのみ運転強度を最大としているため、居住者の生活に支障をきたすことなく、早期に室内の清浄度を高めることができる。
【0048】
なお、ステップS6にて「中」運転している30分間の間にも、汚染度検出部34により汚染度が検出されてもよい。この場合、検出された汚染度がレベル3であった場合には、「中」運転から「強」運転に変更してもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、入室待ち状態においては、空気清浄ユニット2を「弱」運転することとしたが(ステップS2)、入室待ち状態においても、汚染度に応じて運転強度を決定してもよい。その場合、入室待ち状態での運転強度が「中」であれば、入室が検知されたときに運転強度を「強」に変更してもよい。あるいは、入室待ち状態を含むステップS2〜S6の処理を省いてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、空気清浄ユニット2の運転状態が、「弱」、「中」、「強」の3段階の運転強度のうちから選択されることとしたが、2段階の運転強度(第1および第2の運転強度)から選択されてもよい。あるいは、4段階以上の運転強度から選択されてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、空気清浄ユニット2は、天井11に設置されることとしたが、限定的ではなく、たとえば部屋1の床面に設置されてもよい。このような場合、空気清浄ユニット2を含む本体部20に、操作パネル4としての操作部および表示部と、汚れセンサ5と、人体センサ6とを搭載することによって、空気清浄システムを単体の空気清浄機として提供することもできる。
【0052】
なお、
図4に示した空気清浄処理に応じた部屋1の空気清浄方法をプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、CD−ROMなどの光学媒体や、メモリカードなどのコンピュータ読取り可能な一時的でない(non-transitory)記録媒体にて記録させて提供することができる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 部屋、1A ダイニング空間、1B リビング空間、2 空気清浄ユニット、3 制御装置、4 操作パネル、5 汚れセンサ、6 人体センサ、11 天井、12 壁面、20 本体部、21 吸い込み口、24 吹き出し口、22 空気清浄フィルタ、23 ファン、25 ルーバ、31 制御部、32 記憶部、33 計時部、34 汚染度検出部、35 判定部、36 運転制御部。