(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437222
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】地上子取付具
(51)【国際特許分類】
B61L 3/12 20060101AFI20181203BHJP
【FI】
B61L3/12 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-136906(P2014-136906)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-13780(P2016-13780A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】道下 一幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 敏博
(72)【発明者】
【氏名】伊佐山 正
(72)【発明者】
【氏名】石橋 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】成嶋 崇
(72)【発明者】
【氏名】小松 寛明
【審査官】
大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平4−118357(JP,A)
【文献】
特開2008−1259(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/140429(WO,A2)
【文献】
国際公開第97/009193(WO,A1)
【文献】
実開昭52−116812(JP,U)
【文献】
実開平2−125002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路の一対のレール間に地上子を取付けるための地上子取付具であって、
前記一対のレールの底部の、軌間方向に対向する位置における上面及び下面に当接する把持部を含み、前記一対のレールの軌間方向と平行に配置された前記一対のレールに対し着脱自在な一対の保持部と、
前記地上子が装着される装着部とを備え、
前記地上子の前記一対のレールの軌間方向の位置、又は、前記一対のレールの軌間距離に応じた前記把持部間の距離を任意に設定するように、前記一対の保持部及び前記装着部が前記一対のレールの軌間方向の相対位置を調整可能に組み合わされてなると共に、
前記一対の保持部と前記装着部とを任意の位置に固定するロック機構とを備えることを特徴とする地上子取付具。
【請求項2】
前記一対の保持部及び前記装着部は、同芯の筒状をなして、互いに摺動自在に係合されていることを特徴とする請求項1に記載の地上子取付具。
【請求項3】
前記一対の保持部及び前記装着部は、繊維強化プラスチックからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の地上子取付具。
【請求項4】
前記一対の保持部及び前記装着部は、アルミニウム又はステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の地上子取付具。
【請求項5】
前記把持部は、合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の地上子取付具。
【請求項6】
組合された前記一対の保持部及び前記装着部の少なくとも一方は、前記一対のレールに対して前記把持部を押圧するためのばね及び/又はシリンダを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の地上子取付具。
【請求項7】
組合された前記一対の保持部及び前記装着部の少なくとも一方には、ソレノイドと、該ソレノイドと前記把持部とに連結された連結部材を備え、
前記連結部材は、前記ソレノイドを励磁させることで駆動し、前記把持部を前記一対のレールに当接させるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の地上子取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動列車停止装置(ATS)の地上子を取付けるための地上子取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道には、列車の速度制御をサポートし、列車が停止信号に接近した際、警報を発し、必要に応じて乗務員による処置に先立ち、自動的に列車のブレーキを作動させ、列車の衝突又は脱線等を確実に防ぐ自動列車停止装置(ATS)が設けられている。一般に、自動列車停止装置は、線路内に配置される地上子(地上装置)と、列車に搭載される車上子(車上装置)とで構成されている。
【0003】
自動列車停止装置の地上子は、例えば、特許文献1に記載されているように、地上子取付金具を所定の枕木に対してボルトを用いて固定し、この地上子取付金具に立設されたスペーサボルトを介して地上子を設置し、地上子を枕木上に配置するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−331935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
線路の保守作業や工事を行う場合、列車運行の合間を縫って作業を行うことがあるが、作業中の安全性を確実に万全を期するために、作業区間より前に、臨時的に自動列車停止装置の地上子を設置することが行われている。しかしながら、特許文献1に記載されたものでは、地上子を、地上子取付金具を介して所定の枕木に固定する構造であるため、地上子を取付けた地上子取付金具を枕木から容易に取り外すことができず、また、地上子取付金具の取り外し及び取付けの作業時間がかかることから、地上子を臨時的に設置する用途には適さない。
【0006】
また、自動列車停止装置の地上子には、多種類の地上子があり、それぞれ線路内に配置する位置が異なっているため、特許文献1のような地上子を枕木に固定する構造では、様々な接地環境に応じた適切な位置に配置することが困難であるという問題がある。又、レールの軌間距離の如
何によっても同様の課題が生じるものである。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、地上子をレールに対して容易に着脱することができ、かつ、地上子の設置位置を簡単、かつ、確実に調整することが可能となる地上子取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の態様を例示するものであり、本発明の多様な構成要素の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。以下の各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明を実施する最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、または、さらに他の構成要素を付加した態様についても、本発明の一態様になり得るものである。
【0009】
(1)線路の一対のレール間に地上子を取付けるための地上子取付具であって、前記一対のレールの
底部の、
軌間方向に対向する位置における上面及び下面に当接する把持部を含み、前記一対のレール
の軌間方向と平行に配置された前記一対のレールに対し着脱自在な一対の保持部と、前記地上子が装着される装着部とを備え、
前記地上子の前記一対のレールの軌間方向の位置、又は、前記一対のレールの軌間距離に応じた前記把持部間の距離を任意に設定するように、前記一対の保持部及び前記装着部が
前記一対のレールの軌間方向の相対位置を調整可能に組み合わされてなると共に、前記一対の保持部と前記装着部とを任意の位置に固定するロック機構とを備える地上子取付具(請求項1)。
【0010】
本項に係る地上子取付具は、一対のレール間に地上子を所望の位置に保持するものである。また、一対の保持部と装着部との
、一対のレールの軌間方向の相対位置を調整し、ロック機構によって任意の位置に固定することで、地上子を一対のレール間の
軌間方向の所望の位置に簡単、かつ、確実に調整するものとな
り、さらに、
一対のレールの軌間距離に応じた把持部間の距離を任意に設定するものとなる。一対の保持部と装着部との相対位置を縮めることにより、持ち運びが容易になるものとなる。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記一対の保持部及び前記装着部は、同芯の筒状をなして、互いに摺動自在に係合されている地上子取付具(請求項2)。
【0012】
本項に係る地上子取付具は、一対の保持部及び装着部が同心の筒状になしていることにより、一対の保持部と装着部とは、互いに摺動自在に係合されるものとなり、相対位置を変化させるものとなる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)項において、前記一対の保持部及び前記装着部は、繊維強化プラスチックからなる地上子取付具(請求項3)。
【0014】
本項に係る地上子取付具は、一対の保持部及び装着部が繊維強化プラスチックからなることにより、軽量化、かつ、強度の高いものとなる。
【0015】
(4)上記(1)又は(2)項において、前記一対の保持部及び前記装着部は、アルミニウム又はステンレス鋼からなる地上子取付具(請求項4)。
【0016】
本項に係る地上子取付具は、一対の保持部及び装着部がアルミニウム又はステンレス鋼からなることにより、強度の高いものとなる。
【0017】
(5)上記(1)項において、前記把持部は、合成樹脂からなる地上子取付具(請求項5)。
【0018】
本項に係る地上子取付具は、把持部は、合成樹脂からなることにより、軌道短絡を防止するものとなる。
【0019】
(6)上記(1)から(5)項のいずれかにおいて、組合された前記一対の保持部及び前記装着部の少なくとも一方は、前記一対のレールに対して前記把持部を押圧するためのばね及び/又はシリンダを備える地上子取付具(請求項6)。
【0020】
本項に係る地上子取付具は、組合された一対の保持部及び装着部の少なくとも一方に、ばね及び/又はシリンダを備えることで、レールの一方に対して把持部を適切な押圧力で当接させるものとなる。さらに、ばね及び/又はシリンダによって、地上子を一対のレール間の所望の位置に簡単、かつ、確実に調整するものとなる。
【0021】
(7)上記(1)から(5)項のいずれかにおいて、組合された前記一対の保持部及び前記装着部の少なくとも一方には、ソレノイドと、該ソレノイドと前記把持部とに連結された連結部材を備え、
前記連結部材は、前記ソレノイドを励磁させることで駆動し、前記把持部を前記一対のレールに当接させるように構成されていることを特徴とする地上子取付具。(請求項7)
【0022】
本項に係る地上子取付具は、組合された一対の保持部及び装着部の少なくとも一方に、ソレノイドを備えることで、ソレノイドを励磁させることで、連結部材が軸方向に引張られるように駆動され、連結部材と連結した把持部をレールに適切に当接させるもとのなる。また、ソレノイドは、地上子を一対のレール間の所望の位置に簡単、かつ、確実に微調整するものとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、地上子をレールに対して容易に着脱することができ、かつ、地上子の設置位置を簡単、かつ、確実に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る地上子取付具の平面図である。
【
図3】
図2に示す地上子取付具のA−A線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示す地上子取付具を収納した状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る地上子取付具の平面図である。
【
図9】
図6に示す地上子取付具を収納した状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る地上子取付具の平面図である。
【
図12】
図9に示す地上子取付具を収納した状態を示す平面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る地上子取付具の平面図である。
【
図16】
図13に示す地上子取付具を収納した状態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1実施形態に係る地上子取付具の構成を
図1〜
図6に基づいて詳細に説明する。
本発明の地上子取付具1Aは、地上子3を線路内に取付け、地上子3の設置位置を適切に調整するものである。
図1〜
図6に示すように、この地上子取付具1Aは、一対のレール5に対し着脱自在な一対の保持部7,7と、地上子3を装着する装着部9と、一対の保持部7,7と装着部9とを固定するロック機構11とを備えている。一対の保持部7,7と装着部9とは、相対位置を調整可能に組み合わされている。また、一対の保持部7,7及び装着部9は、繊維強化プラスチックからなる。なお、一対の保持部7,7及び装着部9は、アルミニウム、ステンレス鋼又は鉄等の金属材料から形成されてもよい。
【0026】
一対の保持部7,7は、略筒状であり、一端側に一対のレール5の、底部の上面及び下面に当接する把持部13(レールキャッチ部)が設けられ、他端側は、装着部9に摺動可能に係合されている。把持部13は、繊維強化プラスチック、エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂から形成され、一対のレール5の底部の上面及び下面の形状に沿った凹部15が形成されている(
図2参照)。
【0027】
装着部9は、略筒状であり、地上子3を支持する複数の支持部材17,17(
図3参照)が設けられている。また、装着部9は、両端に一対の保持部7,7と係合されている。複数の支持部材17,17は、
図3を参照して、装着部9の外形に沿った凹部19,19が形成されている。この複数の支持部材17,17は、装着部9を挟持し、ボルト21によって締結されている。さらに、支持部材17には、地上子3が取付けられ、ボルト23によって地上子3と着脱可能に締結されている。
【0028】
ロック機構11は、
図5及び
図6を参照して、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置を任意の位置に固定するものであり、一対の保持部7,7と装着部9とに跨るようにして取付けられている。このロック機構11は、締め部25と、ちょうボルト26と、ナット27と、緩み防止用ワッシャ28と、脱落防止用ワッシャ29とを備えている。締め部25は、略C字状であり、大径部25a及び小径部25bを有し、この大径部25a及び小径部25bは、連なっている。また、締め部25は、一対の保持部7,7と装着部9とに取付けられている。締め部25は、先端部の両方に、半径方向に延びる突出部30,30が形成されている。この突出部30,30は、ちょうボルト26を挿通するため挿通穴(図示せず)が形成されている。また、突出部30の一方(図示では上側)の下面には、脱落防止用ワッシャ29が取付けられている。突出部30の他方(図示では下側)の下面には、ナット27が取付けられている。ちょうボルト26は、締付力を調整するものであり、締め部25の突出部30,30の挿通穴に挿通されている。ナット27は、突出部30の他方の下面に接着又は溶接等によって取付けられている。緩み防止用ワッシャ28は、振動や衝動によるちょうボルト26の緩みを防止するものであり、ちょうボルト26に装着され、突出部30の一方の上面に配置されている。脱落防止用ワッシャ29は、ちょうボルト26の抜けを防止するものであり、突出部30の一方の下面に接着又は溶接等によって取付けられている。
【0029】
ここで、ロック機構11は、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置が伸びた状態で、ちょうボルト26を締付けることで、一対の保持部7,7と装着部9との位置をロックして、伸びた状態を維持する(
図1及び
図2参照)。一方、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置を縮めるために、ちょうボルト26の締付けを解いてロック解除することで、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置を縮めることが可能となる(
図4参照)。
【0030】
なお、ロック機構11は、ちょうボルト26の締付力によって一対の保持部7,7と装着部9との相対位置をロック及びロック解除しているが、例えば、レバー式ロック機構、回転式ロック等のロック機構を用いて、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置をロック及びロック解除してもよい。
【0031】
上記構成を有する本発明の第1実施形態に係る地上子取付具1Aによると、一対のレール5間に地上子3を所望の位置に保持することが可能となる。また、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置を調整し、ロック機構11によって任意の位置に固定することで、地上子3を一対のレール5間の所望の位置に簡単、かつ、確実に調整することが可能となる。さらに、一対の保持部7,7と装着部9との相対位置を縮めることにより、持ち運びが容易となる。さらに、一対の保持部7,7及び装着部9は、繊維強化プラスチックからなることにより、軽量化、かつ、強度の高いものとなる。把持部は、合成樹脂からなることにより、軌道短絡を防止することが可能となる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、
図7〜
図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0033】
図7〜
図9に示すように、第2実施形態に係る地上子取付具1Bでは、保持部7と装着部9との相対位置を補助的に微調整する手段として、圧縮コイルばね33(ばね)が地上子取付具1Bに組付けられている。
【0034】
圧縮コイルばね33は、一対の保持部7,7の一方に取付けられている。この圧縮コイルばね33は、把持部13の基端側(把持部13の凹部15の反対側の面)及び装着部9の一端に当接している。この圧縮コイルばね33は、一対のレール5間に設置したとき、収縮され、収縮された圧縮コイルばね33の弾性力によって把持部13をレール5側に押圧することで、地上子取付具1Bが一対のレール5間に保持される。
【0035】
第2実施形態に係る地上子取付具1Bによると、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、保持部7の一方に圧縮コイルばね33を設けることで、保持部7と装着部9との相対位置を簡単に、かつ、確実に微調整することが可能となる。また、地上子取付具1Bは、圧縮された圧縮コイルばね33の弾性力によっても地上子取付具1Bを一対のレール5間に保持するものとなる。
【0036】
なお、第2実施形態では、一対の保持部7,7の一方に圧縮コイルばね33を設けているが、一対の保持部7,7の両方に設けてもよい。また、第2実施形態では、圧縮コイルばね33を用いているが、ゴム、その他の適切な弾性部材を用いてもよい。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態について、
図10〜
図12を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0038】
図10〜
図12に示すように、第3実施形態に係る地上子取付具1Cでは、保持部7と装着部9との相対位置を補助的に微調整する手段として、電動シリンダシステム37(シリンダ)が地上子取付具1Cに組付けられている。
【0039】
電動シリンダシステム37は、地上子取付具1Cの一端に取付けられ、電動シリンダ39と、電動シリンダ39を制御する制御部41と、制御部41に電力を供給するバッテリ(図示せず)と、主電源スイッチ43とを備えている。電動シリンダ39と制御部41とは、配線45によって電気的に接続されている。制御部41及びバッテリは、ケース47内に収納されている。
【0040】
電動シリンダ39は、装着部9の一端に取付けられ、伸縮可能なロッド49、モータ(図示せず)等を備えている。ロッド49は、把持部13と結合されている。この電動シリンダ39は、制御部41の信号に基づいてモータを回転させ、回転を直線運動に変換し、ロッド49を伸縮させている。
【0041】
制御部41は、電動シリンダ39を制御するものであり、地上子3と電動シリンダ39との間の装着部9に設けられている。また、制御部41は、モータの回転方向を切替る切替スイッチ51を備えている。この切替スイッチ51は、ケース47に取付けられている。制御部41は、切替スイッチ51によってモータの回転方向を設定し、主電源スイッチ43をONにすることで、電動シリンダ39に信号を出力し、電動シリンダ39のロッド49の伸縮を制御している。
【0042】
バッテリは、制御部41と接続され、主電源スイッチ43をONにすることで、制御部41に電力を供給する。主電源スイッチ43は、制御部41に電力の供給及び停止を行うためのスイッチであり、ケース47に取付けられている。
【0043】
第3実施形態に係る地上子取付具1Cによると、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、保持部7の一方に電動シリンダシステム37を設けることで、レール5に対して容易に着脱可能となる。また、電子シリンダシステム37は、制御部41によって電動シリンダ39のロッド49の押圧力が制御されるため、常に適切な押圧力で地上子取付具1Cを一対のレール5間に保持するものとなる。
【0044】
なお、第3実施形態では、一対の保持部7,7の一方に電動シリンダシステム37を設けているが、一対の保持部7,7の両方に設けてもよい。
【0045】
また、第3実施形態では、電動シリンダシステム37を用いているが、油圧シリンダ、空圧シリンダ等の駆動機構を用いてもよい。
【0046】
次に、本発明の第4実施形態について、
図13〜
図16を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0047】
図13〜
図16に示すように、第4実施形態に係る地上子取付具1Dでは、相対位置を補助的に微調整する手段として、ソレノイドシステム55が地上子取付具1Dに組付けられている。
【0048】
ソレノイドシステム55は、地上子取付具1Dの一端に取付けられ、ソレノイド57と、ソレノイド57を収納するフレーム59と、ソレノイド57を制御する制御部61と、制御部61に電力を供給するバッテリ(図示せず)と、主電源スイッチ43とを備えている。
【0049】
ソレノイド57は、フレーム59に収納され、配線45を介して制御部61と接続されている。このソレノイド57は、プランジャ63(可動鉄心)と、固定鉄心(図示せず)と、ばね65と、コイル67とを備えている。プランジャ63は、一端側が保持部7に摺動可能に係合され、他端側にばね65が装着されている。また、プランジャ63には、連結部材69が連結されている。ばね65は、一端側(図示では左側)がプランジャ63に取付けられ、他端側(図示では右側)がフレーム59に取付けられている。ばね65により、プランジャ63は地上子3側に常時付勢されている。コイル67は、制御部61によって電気が供給されることによって磁力を発生させるものである。
【0050】
フレーム59は、ソレノイド57を収納し、保持部7と結合している。また、フレーム59は、連結部材69が軸方向に移動可能に側面視略凹部60(
図15及び
図16)が形成されている。
【0051】
連結部材69は、把持部13及びプランジャ63と連結されている。この連結部材69は、把持部13の基端側から地上子3側に延びる一対の軸部材69a,69aと、一対の軸部69a,69a及びプランジャ63に係合する係合部材69bからなる。一対の軸部材69a,69aは、ソレノイド57を挟むように配置されている。
【0052】
制御部61は、ソレノイド57を励磁制御するものであり、地上子3とソレノイド57との間の装着部9に設けられている。また、制御部61は、主電源スイッチ43をONにすることで、コイル67に電気を供給し(通電)、主電源スイッチ43をOFFにすることで、コイル67への供給を止める(非通電)。
【0053】
ここで、ソレノイドシステム55は、地上子取付具1Dを一対のレールに配置するとき、主電源スイッチ43をONにすることで、制御部61からコイル67に電気を供給して、コイル67に磁力を発生させる。そして、プランジャ63が固定鉄心側(図示ではレール5側)に引張られることで、把持部13は、レール5に当接する。一方、地上子取付具1Dを一対のレールから取外すときは、主電源スイッチ43をOFFにすることで、コイル67への電気供給を止めて、コイル67の磁力を弱め、ばね65の弾性力によってプランジャ63を収縮位置(
図16参照)に移動させる。
【0054】
第4実施形態に係る地上子取付具1Dによると、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、ソレノイドを備えることで、ソレノイド57を励磁させることで、連結部材69が軸方向に引張られるように駆動され、連結部材69と連結した把持部13をレール5に適切に当接させるもとのなる。また、ソレノイド57は、地上子3を一対のレール5,5間の所望の位置に簡単、かつ、確実に微調整するものとなる。
【0055】
なお、第4実施形態では、一対の保持部7,7の一方にソレノイドシステム55を設けているが、一対の保持部7,7の両方に設けてもよい。
【0056】
本実施形態では、一対の保持部7,7及び装着部9は、略筒状で形成されているが、四角形等の中空部材やチャネル断面形状部材で形成されてもよい。
【0057】
さらに、第2、第3及び第4実施形態では、圧縮コイルばね33、電動シリンダシステム37又はソレノイドシステム55を一対の保持部7,7の一方又は装着部9の一端に設けているが、適宜、圧縮コイルばね33、電動シリンダシステム37又はソレノイドシステム55を一緒に取付けてもよい。例えば、地上子取付具の一端に圧縮コイルばね33を取付け、他端に電動シリンダシステム37を取付けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B,1C,1D…地上子取付具、3…地上子、5…レール、7…保持部、9…装着部、11…ロック機構、13…把持部