(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明のノズルユニットを備えたワイパ装置全体を示す斜視図を、
図2は連結部周辺を表側から見た拡大斜視図を、
図3は連結部周辺を裏側から見た拡大斜視図を、
図4は
図1のA−A線に沿う断面図を、
図5は
図2のB−B線に沿う断面図を、
図6はノズルユニットを表側から見た斜視図を、
図7はノズルユニットを裏側から見た斜視図を、
図8(a),(b)はノズルキャップを説明する斜視図を、
図9(a),(b)はノズルユニット内の管路を説明する斜視図を、
図10は洗浄液の噴射位置(A2〜H2)を説明する説明図をそれぞれ示している。
【0016】
図1に示すように、ワイパ装置10は、ワイパブレード20とワイパアーム30とを備えている。ワイパブレード20は、ワイパアーム30の先端部に回動自在に装着され、自動車等の車両のフロント側にあるウィンドシールド(払拭面)11上を摺接する。ワイパアーム30の基端部は、車両のフロント側にあるピボットシャフト(図示せず)に固定される。そして、車室内にあるワイパスイッチ(図示せず)をオン操作してワイパモータ(図示せず)を回転駆動することで、ピボットシャフトが揺動駆動される。これにより、ワイパ装置10は、ウィンドシールド11上に形成された所定の払拭範囲ARを、図中矢印に示すように往路側および復路側に向けて往復払拭動作する。
【0017】
図1ないし
図5に示すように、ワイパブレード20は、ウィンドシールド11に接触するブレードラバー21と、ブレードラバー21を保持するホルダ部材22と、ホルダ部材22の長手方向中間部分に設けられた連結部23とを備えている。なお、ホルダ部材22の長手方向両端部分には一対のエンドキャップCPが装着されている。これにより、ホルダ部材22に保持されたブレードラバー21の抜け止めがなされている。
【0018】
ブレードラバー21は、
図4および
図5に示すように、ホルダ部材22に保持される本体部21aと、ウィンドシールド11に接触されるリップ部21bと、本体部21aとリップ部21bとを連結するネック部21cとを備えている。なお、ブレードラバー21は、ゴム等の弾性材料を押出成形することにより長尺に形成され、その断面形状は長手方向に沿う全域で一様の形状となっている。
【0019】
ネック部21cのブレードラバー21の動作方向(図中左右方向)に沿う厚み寸法は、本体部21aおよびリップ部21bの厚み寸法よりも薄い厚み寸法に設定されて弾性変形し易くなっている。これにより、ワイパブレード20がウィンドシールド11上を往路側および復路側に移動する際に、リップ部21bの傾斜が許容され、ひいてはリップ部21bの先端部分がワイパブレード20の移動方向にスムーズに追従できるようになっている。したがって、ウィンドシールド11に付着した雨水や埃等の付着物(図示せず)を確実に払拭することができる。
【0020】
ホルダ部材22は、
図4に示すように、ホルダ本体22aとフィン部22bとを備えている。ホルダ本体22aおよびフィン部22bは、互いに硬度が異なる異種材料を二色成形することにより一体化され、ブレードラバー21と同様に長尺に形成されている。
【0021】
ホルダ本体22aは、ブレードラバー21の本体部21aを保持し得る充分な強度を確保しつつ、ウィンドシールド11の曲面形状(図示せず)に追従可能とするために、柔軟性を有するプラスチック等の樹脂材料により形成されている。一方、フィン部22bは、ホルダ本体22aの硬度よりも低い硬度のゴム等の弾性材料により形成されている。そして、走行風がフィン部22bに当たることにより、ワイパブレード20にはダウンフォースが発生して、これによりブレードラバー21の払拭性能が良好に保持される。
【0022】
ホルダ本体22aの内部には、一対のバーティブラ22cが所定間隔で設けられている。各バーティブラ22cは、バネ性を有する鋼板によって形成され、ブレードラバー21の本体部21aを、往路側および復路側からそれぞれ挟むようにして鏡像対象となるよう配置されている。各バーティブラ22cは、外力を負荷していない自然状態においては、ウィンドシールド11の曲率よりも大きい曲率で湾曲されており、ホルダ部材22およびブレードラバー21をウィンドシールド11の曲率に合わせて弾性変形させるようになっている。これにより、リップ部21bの長手方向に沿う全域がウィンドシールド11に密着される。
【0023】
図1および
図5に示すように、ホルダ部材22の長手方向中間部分には、連結部23が設けられている。連結部23は、連結本体23aと、ベース板23bと、カバー部材23cとを備えている。連結本体23aは、鋼板をプレス加工等することにより断面が略U字形状に形成され、一体に設けられた固定脚部(図示せず)によって各バーティブラ22cにカシメ固定されている。
【0024】
連結本体23aには、鋼材よりなる円柱ピン23dがカシメ固定されており、この円柱ピン23dには、プラスチック等の樹脂材料よって形成されたフック固定部材23eが回動自在に装着されている。ここで、フック固定部材23eには、ワイパアーム30の先端部分に設けられたアームピース33(
図2参照)が、ワンタッチで連結されるようになっている。なお、円柱ピン23dおよびフック固定部材23eにおいても、連結部23を構成している。
【0025】
ベース板23bは、プラスチック等の樹脂材料により板状に形成されており、このベース板23bは、一体に設けられた固定脚部23fによって各バーティブラ22cに装着されている。ここで、連結本体23aはホルダ部材22のフィン部22b側(表側)に配置され、ベース板23bはホルダ部材22のホルダ本体22a側(裏側)に配置されている。
【0026】
カバー部材23cは、プラスチック等の樹脂材料により略箱形状に形成されており、一体に設けられた複数の係合爪(図示せず)によって連結本体23aの外側に装着されている。このカバー部材23cは、連結本体23aの側面部分等を覆い隠すようになっており、これによりワイパブレード20の見栄えを良くしている。
【0027】
図1および
図2に示すように、ワイパアーム30は、アームヘッド31,アームシャンク32およびアームピース33を備えている。アームヘッド31は、鋳造成形等により所定形状に形成され、アームヘッド31の基端部(
図1中右側)は、図示しないピボットシャフトに固定されている。一方、アームヘッド31の先端部(
図1中左側)には、アームシャンク32の基端部が回動自在に装着されている。そして、アームシャンク32とアームヘッド31との間には引っ張りスプリング(図示せず)が設けられており、当該引っ張りスプリングのばね力によって、アームシャンク32はウィンドシールド11に向けて押圧される。
【0028】
アームシャンク(リテーナ)32は、鋼板をプレス加工等することで断面が略U字形状に形成され、かつ長尺の棒状となっている。アームシャンク32の内側には、上述の引っ張りスプリングに加えて、往路側ウォッシャチューブWC1および復路側ウォッシャチューブWC2が配置されている。各ウォッシャチューブWC1,WC2の一端側は、アームヘッド31の部分を介して車両のエンジンルーム内に導かれ、かつウォッシャ装置(図示せず)に接続されている。一方、各ウォッシャチューブWC1,WC2の他端側は、アームピース33に固定されたノズルユニット34に接続されている。このように、各ウォッシャチューブWC1,WC2をアームシャンク32の内側に沿わせて隠すことで、ワイパ装置10の見栄えを良くしている。
【0029】
アームピース33は、鋼材をプレス加工等することで所定形状に形成され、アームピース33の先端側は略U字形状に形成されている。このアームピース33の先端部分は、フック固定部材23eにワンタッチで連結されるようになっている。また、アームピース33の基端側は、アームシャンク32の先端部の内側に一対のリベットRによって固定されている。このように、鋼板よりなるアームシャンク32と鋼材よりなるアームピース33とを互いにリベット止めすることで、両者をがたつくこと無く強固に固定している。
【0030】
アームピース33には、図示しない固定ネジによってノズルユニット34が固定されている。ここで、
図2に示すネジ穴Hには、固定ネジが図中下側、つまりワイパブレード20側からネジ込まれるようになっている。そして、このネジ穴Hを含むアームピース33およびノズルユニット34の一部は、アームシャンク32によって覆われている。これにより、ワイパ装置10のノズルユニット34の周辺をすっきりさせて見栄えを良くしている。
【0031】
このように、フック固定部材23eに装着されるアームピース33にノズルユニット34を固定することで、ノズルユニット34はフック固定部材23eに近付けて配置される。また、ノズルユニット34を、フック固定部材23eの近くにおいて、アームピース33に固定ネジにより強固に固定している。そのため、ノズルユニット34のワイパブレード20に対する位置ずれが最小限に抑えられている。
【0032】
図6および
図7に示すように、ノズルユニット34は、プラスチック材料等を射出成形することで所定形状に形成され、往路側ブロック35と復路側ブロック36とを備えている。
【0033】
往路側ブロック35の基端側(図中右側)には、ワイパブレード20の長手方向基端側に向けられた往路側第1壁部35aが設けられている。往路側第1壁部35aには、往路側ウォッシャチューブWC1(
図2参照)の他端側に差し込まれる往路側差込部35bが一体に設けられている。一方、往路側ブロック35の先端側(図中左側)には、先端側に向かうにつれて徐々に先細り形状となった往路側腕部35cが一体に設けられている。そして、往路側腕部35cには、ワイパブレード20の長手方向先端側に向けられた往路側第2壁部35dが設けられている。
【0034】
また、往路側ブロック35の往路側第1壁部35aと往路側第2壁部35dとの間には、ウィンドシールド11と対向する往路側対向面35eが形成されている。往路側対向面35eの往路側第2壁部35d寄りの部分には、蓋部材としての往路側ノズルキャップ40が設けられている。
【0035】
往路側第2壁部35dには、
図6に示すように往路側第1噴射ノズルA1が設けられている。この往路側第1噴射ノズルA1は、ワイパブレード20の長手方向先端側に向けられている。これによりワイパブレード20の往路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置A2に洗浄液Wを噴射するようになっている。つまり、往路側第1噴射ノズルA1は、ブレードラバー21の長手方向先端側で、かつ往路側を濡らせる位置に設けられている。
【0036】
ここで、往路側第1噴射ノズルA1は、洗浄液Wの噴射位置が可変の目玉式のノズルを採用している。具体的には、ノズルに針金等を刺して回動させることにより、往路側第1噴射ノズルA1の噴射位置を調整することができる。これにより、ワイパアーム30に装着されるワイパブレード20の長さ違い等の仕様に対応させて、往路側第1噴射ノズルA1の噴射位置を最適化できる。
【0037】
図7および
図8に示すように、往路側ノズルキャップ40は、後述の連結管路39の開口部39aを閉塞するキャップ本体41を備えている。なお、
図8の括弧内の符号は、後述の復路側ノズルキャップ50に対応した符号を示している。つまり、往路側ノズルキャップ40と復路側ノズルキャップ50とは同じ形状となっており、部品の共通化が図られている。よって、重複する説明を避けるため、以下、復路側ノズルキャップ50の詳細構造の説明を省略する。
【0038】
キャップ本体41は、互いに対向する一対の円弧部41aと一対の直線部41bとを備え、陸上競技場のトラックに略等しい形状に形成されている。また、
図8(b)に示すように、キャップ本体41の連結管路39側(図中上側)には、連結管路39に向けて突出された突出部41cが設けられている。この突出部41cは、キャップ本体41と相似形状に形成され、その断面形状は、陸上競技場のトラックに略等しい形状となっている。
【0039】
突出部41cの略中心部分には、断面が略円形でかつ有底のノズル入口部41dが形成されている。ノズル入口部41dは突出部41cの突出方向に延ばされており、その長さ寸法は突出部41cの肉厚寸法に略等しく設定されている。そして、ノズル入口部41dには、連結管路39からの洗浄液Wが流入するようになっている。
【0040】
キャップ本体41の突出部41c側とは反対側には、
図8(a)に示すように、断面が略楕円形の往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1が設けられている。これらの往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1は、キャップ本体41の長手方向に所定間隔で並んで設けられている。往路側第2噴射ノズルB1とノズル入口部41dとの間および往路側第3噴射ノズルC1とノズル入口部41dとの間には、ノズル入口部41dを中心に対向するようにして、傾斜流路41eがそれぞれ設けられている。各傾斜流路41eの基端側は、ノズル入口部41dの突出部41c寄りの部分にそれぞれ連結されている。一方、各傾斜流路41eの先端側は、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1にそれぞれ連結されている。これにより、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1から噴射される洗浄液Wは、それぞれキャップ本体41に対して所定角度で傾斜される。
【0041】
また、
図8(b)に示すように、各傾斜流路41eの基端側は、突出部41cを横切るようにして設けられている。これにより、各傾斜流路41eを設けることによる往路側ノズルキャップ40の剛性の低下を防止している。さらに、キャップ本体41に突出部41cを設けることで、各傾斜流路41eが形成される部分の肉厚を十分に確保している。これにより、各傾斜流路41eの傾斜角度を種々設定することができる。
【0042】
各傾斜流路41eの先端側は、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1を介してキャップ本体41の各円弧部41a側で、かつワイパブレード20の長手方向中央部に向けられている。これによりワイパブレード20の往路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置B2,C2に洗浄液Wをそれぞれ噴射するようになっている。つまり、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1は、ブレードラバー21の長手方向中央部で、かつ往路側を濡らせる位置に設けられている。
【0043】
往路側第1壁部35aには、
図7に示すように往路側第4噴射ノズルD1が設けられている。この往路側第4噴射ノズルD1は、ワイパブレード20の長手方向基端側に向けられている。これによりワイパブレード20の往路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置D2に洗浄液Wを噴射するようになっている。つまり、往路側第4噴射ノズルD1は、ブレードラバー21の長手方向基端側で、かつ往路側を濡らせる位置に設けられている。
【0044】
ここで、往路側第4噴射ノズルD1においても、往路側第1噴射ノズルA1と同様に、洗浄液Wの噴射位置が可変の目玉式のノズルを採用している。したがって、ワイパブレード20の仕様に合わせて、往路側第4噴射ノズルD1の噴射位置を最適化できる。
【0045】
なお、往路側第1噴射ノズルA1ないし往路側第4噴射ノズルD1のうち、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1は、本発明における他のノズルを構成し、往路側第1噴射ノズルA1および往路側第4噴射ノズルD1は、本発明におけるノズルを構成している。
【0046】
復路側ブロック36の基端側(図中右側)には、ワイパブレード20の長手方向基端側に向けられた復路側第1壁部36aが設けられている。復路側第1壁部36aには、復路側ウォッシャチューブWC2(
図2参照)の他端側に差し込まれる復路側差込部36bが一体に設けられている。一方、復路側ブロック36の先端側(図中左側)には、先端側に向かうにつれて徐々に先細り形状となった復路側腕部36cが一体に設けられている。そして、復路側腕部36cには、ワイパブレード20の長手方向先端側に向けられた復路側第2壁部36dが設けられている。
【0047】
また、復路側ブロック36の復路側第1壁部36aと復路側第2壁部36dとの間には、ウィンドシールド11と対向する復路側対向面36eが形成されている。復路側対向面36eの復路側第1壁部36a寄りの部分には、蓋部材としての復路側ノズルキャップ50が設けられている。
【0048】
復路側第2壁部36dには、
図6に示すように復路側第1噴射ノズルE1が設けられている。この復路側第1噴射ノズルE1は、ワイパブレード20の長手方向先端側に向けられている。これによりワイパブレード20の復路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置E2に洗浄液Wを噴射するようになっている。つまり、復路側第1噴射ノズルE1は、ブレードラバー21の長手方向先端側で、かつ復路側を濡らせる位置に設けられている。
【0049】
ここで、復路側第1噴射ノズルE1においても、往路側第1噴射ノズルA1と同様に、洗浄液Wの噴射位置が可変の目玉式のノズルを採用している。したがって、ワイパブレード20の仕様に合わせて、復路側第1噴射ノズルE1の噴射位置を最適化できる。
【0050】
図7および
図8に示すように、復路側ノズルキャップ50は、往路側ノズルキャップ40と同じ形状に形成されており、復路側第2噴射ノズルF1および復路側第3噴射ノズルG1を備えている。これらの復路側第2噴射ノズルF1および復路側第3噴射ノズルG1は、往路側ノズルキャップ40の場合と同様に、ワイパブレード20の長手方向中央部に向けられている。これにより、復路側ノズルキャップ50は、ワイパブレード20の復路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置F2,G2に洗浄液Wをそれぞれ噴射するようになっている。つまり、復路側第2噴射ノズルF1および復路側第3噴射ノズルG1は、ブレードラバー21の長手方向中央部で、かつ復路側を濡らせる位置に設けられている。
【0051】
復路側第1壁部36aには、
図7に示すように復路側第4噴射ノズルH1が設けられている。この復路側第4噴射ノズルH1は、ワイパブレード20の長手方向基端側に向けられている。これによりワイパブレード20の復路側払拭動作の際に、
図10の噴射位置H2に洗浄液Wを噴射するようになっている。つまり、復路側第4噴射ノズルH1は、ブレードラバー21の長手方向基端側で、かつ復路側を濡らせる位置に設けられている。
【0052】
ここで、復路側第4噴射ノズルH1においても、往路側第1噴射ノズルA1と同様に、洗浄液Wの噴射位置が可変の目玉式のノズルを採用している。したがって、ワイパブレード20の仕様に合わせて、復路側第4噴射ノズルH1の噴射位置を最適化できる。
【0053】
なお、復路側第1噴射ノズルE1ないし復路側第4噴射ノズルH1のうち、復路側第2噴射ノズルF1および復路側第3噴射ノズルG1は、本発明における他のノズルを構成し、復路側第1噴射ノズルE1および復路側第4噴射ノズルH1は、本発明におけるノズルを構成している。
【0054】
このように、往路側第1噴射ノズルA1,往路側第4噴射ノズルD1,復路側第1噴射ノズルE1および復路側第4噴射ノズルH1の噴射位置をそれぞれ調整可能としている。また、往路側対向面35eの往路側第2壁部35d寄りの部分に往路側ノズルキャップ40を設け、復路側対向面36eの復路側第1壁部36a寄りの部分に復路側ノズルキャップ50を設け、往路側ノズルキャップ40と復路側ノズルキャップ50とを、ワイパブレード20の長手方向に所定距離L1の分ずらして配置している。これにより、
図10の斜線範囲に示すように、ウィンドシールド11上には、往路側および復路側で噴射位置A2ないしH2(合計8箇所)が互い違いに並べられる。
【0055】
そして、往路側第1噴射ノズルA1ないし往路側第4噴射ノズルD1(合計4箇所)は、払拭範囲ARの内側でかつ往路側の比較的広範囲を洗浄液Wで濡らせるようにしている。また、復路側第1噴射ノズルE1ないし復路側第4噴射ノズルH1(合計4箇所)は、払拭範囲ARの内側でかつ復路側の比較的広範囲を洗浄液Wで濡らせるようにしている。なお、霧吹き状に洗浄液Wを噴射する拡散タイプのノズルを採用しても良く、この場合、払拭範囲ARの内側のより広範囲をより少量の洗浄液Wで濡らせるようになる。
【0056】
ここで、ウォッシャスイッチ(図示せず)を操作することでウォッシャ装置が駆動され、
図1の破線矢印に示すように、洗浄液Wが各ウォッシャチューブWC1,WC2を介して、往路側ブロック35および復路側ブロック36の内部に供給される。そして、ウォッシャ装置の駆動方向が切り換えられることで、ワイパブレード20の往路払拭動作時には往路側ブロック35のみに洗浄液Wが供給され、ワイパブレード20の復路払拭動作時には復路側ブロック36のみに洗浄液Wが供給される。
【0057】
ノズルユニット34の往路側ブロック35と復路側ブロック36との間、つまり往路側第1噴射ノズルA1ないし往路側第4噴射ノズルD1と、復路側第1噴射ノズルE1ないし復路側第4噴射ノズルH1との間には、接続部37が設けられている。接続部37は、往路側ブロック35と復路側ブロック36とを接続し、かつ往路側ブロック35と復路側ブロック36とを平行に保持する機能を有している。
【0058】
接続部37には、アームピース33が装着される凹部37aが設けられている。凹部37aは、往路側ノズルキャップ40および復路側ノズルキャップ50側とは反対側に向けて開口し、かつワイパブレード20の長手方向に延在している。また、凹部37aの往路側腕部35cおよび復路側腕部36c寄りの部分には、接続部37の板厚方向に貫通したネジ挿通孔Pが設けられている。このネジ挿通孔Pには、アームピース33のネジ穴H(
図2参照)にネジ込まれる固定ネジが挿通されるようになっている。
【0059】
ノズルユニット34の長手方向に沿う往路側差込部35bおよび復路側差込部36b側には、アームシャンク32の先端部が装着される装着凹部37bが設けられている。装着凹部37bは、往路側ブロック35側および復路側ブロック36側に跨がって設けられている。
【0060】
このように、装着凹部37bを設けたことで、ノズルユニット34とアームシャンク32との間の段差を少なくして見栄えを良くしている。また、ワイパ装置10の組み立て時に、ネジ挿通孔Pとネジ穴H(
図2参照)とを目視すること無く容易に対向させることができ、ワイパ装置10の組み立て作業性が向上する。
【0061】
往路側ブロック35および復路側ブロック36の内側には、
図9(a),(b)に示すような洗浄液管路PLがそれぞれ設けられている。ここで、往路側ブロック35および復路側ブロック36の洗浄液管路PLは、それぞれ略同様の形状に形成されるため、往路側ブロック35の洗浄液管路PLの構造について詳細に説明する。
【0062】
洗浄液管路PLには洗浄液Wが流通するようになっている。洗浄液管路PLは、流入管路38a,先端側管路38bおよび基端側管路38cを備えている。これらの流入管路38a,先端側管路38bおよび基端側管路38cは、それぞれワイパブレード20の長手方向に沿って真っ直ぐに延在している。そして、ウィンドシールド11側(図中下側)から、基端側管路38c,先端側管路38bおよび流入管路38aが、この順番で平行に並んでいる。なお、先端側管路38bおよび基端側管路38cは、本発明における供給管路を構成している。
【0063】
流入管路38aの基端側は往路側差込部35bに開口され、先端側管路38bの先端側は往路側第2壁部35dに開口され、基端側管路38cの基端側は往路側第1壁部35aに開口されている。そして、先端側管路38bの先端側および基端側管路38cの基端側には、球状のノズル支持部38d,38eがそれぞれ設けられている。各ノズル支持部38d,38eの内側には、往路側第1噴射ノズルA1および往路側第4噴射ノズルD1がそれぞれ回動自在に装着される。つまり、先端側管路38bは往路側第1噴射ノズルA1に洗浄液Wを供給し、基端側管路38cは往路側第4噴射ノズルD1に洗浄液Wを供給する。
【0064】
流入管路38aの先端側,先端側管路38bの基端側および基端側管路38cの先端側は、連結管路39によって互いに連結されている。連結管路39は、流入管路38aに流入した洗浄液Wを、先端側管路38bおよび基端側管路38cにそれぞれ分流するようになっている。連結管路39は、断面が長穴形状に形成され、流入管路38a,先端側管路38bおよび基端側管路38cの延在方向と略直交する方向(交差する方向)に延在している。連結管路39の長穴形状は、ワイパブレード20の長手方向に沿う方向の長さの方が、ワイパブレード20の長手方向と直交する方向の長さよりも長い形状となっている。つまり、連結管路39の長穴形状の長手方向に沿うようにして、流入管路38a,先端側管路38bおよび基端側管路38cが延在している。これにより、ワイパブレード20の長手方向と直交する方向のノズルユニット34の幅寸法が大きくなるのを抑えて、ワイパブレード20の往復払拭動作時に運転者の視界を阻害するのを抑制している。
【0065】
流入管路38aおよび先端側管路38bは、連結管路39に対して側方から連結されている。流入管路38aをその延在方向と直交する方向から見たときの、流入管路38aと連結管路39とが重なった部分の面積は、流入管路38aの流路面積よりも大きい面積となっている。また、先端側管路38bをその延在方向と直交する方向から見たときの、先端側管路38bと連結管路39とが重なった部分の面積は、先端側管路38bの流路面積よりも大きい面積となっている。さらに、流入管路38aおよび先端側管路38bをその延在方向からそれぞれ見たときに、流入管路38aおよび先端側管路38bの一部が連結管路39とそれぞれ重なるように連結されている。つまり、流入管路38aおよび先端側管路38bは、連結管路39に対して、流入管路38aおよび先端側管路38bの延在方向と直交する方向にずれて連結されている。これにより、流入管路38aおよび先端側管路38bは、連結管路39に対してそれぞれ大きい開口面積で連結されている。よって、流入管路38aから連結管路39への洗浄液Wの流れと、連結管路39から先端側管路38bへの洗浄液Wの流れとを、それぞれ絞ること無くスムーズにしている。
【0066】
また、
図9(a)に示すように、ノズルユニット34の形状は、往路側ブロック35の復路側(接続部37側)が肉厚とされ、往路側腕部35cが薄肉とされている。そして、連結管路39の延在方向と直交する方向の復路側に大径の流入管路38aを連結し、連結管路39の延在方向と直交する方向の往路側に小径の先端側管路38bを連結している。これにより、ノズルユニット34の剛性の低下が抑制されている。さらに、流入管路38aの流路面積の方が、先端側管路38bおよび基端側管路38cの流路面積よりも大きくされている。これにより、流入管路38aつまり洗浄液管路PLの上流側において洗浄液Wの流れを絞ること無く、先端側管路38bおよび基端側管路38cに確実に洗浄液Wを行き渡らせることができる。
【0067】
なお、基端側管路38cは、連結管路39に対して側方からではなく真っ直ぐに連結されている。よって、連結管路39から基端側管路38cへの洗浄液Wの流れはスムーズとなっている。
【0068】
ここで、連結管路39を形成する際にはスライド金型(図示せず)が用いられる。これにより、連結管路39の往路側対向面35e側には、開口部39a(詳細図示せず)が形成されている。連結管路39の開口部39aは、図中破線矢印Mに示すように、往路側ノズルキャップ40によって閉塞される。このように、本実施の形態においては、開口部39aを塞ぐための蓋部材に、往路側第2噴射ノズルB1および往路側第3噴射ノズルC1を備えた往路側ノズルキャップ40を用い、開口部39aの部分に洗浄液Wを噴射させる機能を持たせている。
【0069】
なお、
図9(a),(b)に示すように、往路側ブロック35における洗浄液管路PLの連結管路39の位置と、復路側ブロック36における洗浄液管路PLの連結管路39の位置とが、ワイパブレード20の長手方向にずれている。これは、
図7に示すように、往路側対向面35eの往路側第2壁部35d寄りの部分に往路側ノズルキャップ40を設け、復路側対向面36eの復路側第1壁部36a寄りの部分に復路側ノズルキャップ50を設けるためである。これに伴い、往路側ブロック35の先端側管路38bは、復路側ブロック36の先端側管路38bよりも短くされる。また、往路側ブロック35の流入管路38aおよび基端側管路38cは、復路側ブロック36の流入管路38aおよび基端側管路38cよりも長くされる。
【0070】
次に、以上のように形成したワイパ装置10の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
【0071】
[往路側払拭動作]
往路側払拭動作とは、
図10に示すように、ワイパブレード20がウィンドシールド11上の払拭範囲ARを、下反転位置から上方に向かって移動し、その後、上反転位置まで移動する動作のことを言う。
【0072】
図10に示すように、ワイパブレード20が往路側に移動している状態のもとで、ウォッシャスイッチをオン操作すると、往路側第1噴射ノズルA1ないし往路側第4噴射ノズルD1から洗浄液Wが噴射される(
図3参照)。これにより、噴射位置A2ないしD2が洗浄液Wで濡らされる。ここで、噴射位置A2,B2間,噴射位置B2,C2間および噴射位置C2,D2間には、車両の走行風等によって若干の洗浄液Wが供給される。したがって、ワイパブレード20のウィンドシールド11に対する乾き接触による不具合、つまりウィンドシールド11の傷付きやブレードラバー21の偏摩耗の発生が抑制される。このようにして、ウィンドシールド11上が洗浄液Wで濡らされて、ウィンドシールド11上の埃等の付着物を綺麗に払拭することができる。
【0073】
[復路側払拭動作]
復路側払拭動作とは、
図10に示すように、ワイパブレード20がウィンドシールド11上の払拭範囲ARを、上反転位置から下方に向かって移動し、その後、下反転位置まで移動する動作のことを言う。
【0074】
図10に示すように、ワイパブレード20が復路側に移動している状態のもとで、ウォッシャスイッチをオン操作すると、復路側第1噴射ノズルE1ないし復路側第4噴射ノズルH1から洗浄液Wが噴射される(
図3参照)。これにより、噴射位置E2ないしH2が洗浄液Wで濡らされる。ここで、噴射位置E2ないしH2は、往路側払拭動作の際に濡らし足りない部分に相当する噴射位置A2,B2間,噴射位置B2,C2間および噴射位置C2,D2間となっている。したがって、ブレードラバー21(ワイパブレード20)の1往復分の払拭動作において、
図10に示すようにウィンドシールド11上を満遍なく濡らして払拭できるようにしている。これにより、ウィンドシールド11上の埃等の付着物を綺麗に払拭することができる。
【0075】
なお、復路側払拭動作の際に、噴射位置E2ないしH2以外の部分は、往路側払拭動作の際に湿っており、さらには車両の走行風等によって若干の洗浄液Wが供給されるようになっている。よって、復路側払拭動作時においても、ワイパブレード20のウィンドシールド11に対する乾き接触による不具合の発生が抑制される。
【0076】
以上詳述したように、本実施の形態に係るノズルユニット34によれば、ノズルA1,D1,E1,H1を備えたノズルユニット34に、流入管路38a,先端側管路38b,基端側管路38cの延在方向と交差する方向に延び、流入管路38aと先端側管路38b,基端側管路38cとを連結する連結管路39と、連結管路39の開口部39aを閉塞し、洗浄液Wを噴射する他のノズルB1,C1,F1,G1が設けられるノズルキャップ40,50とを設けたので、連結管路39をストレート形状の単純な形状にしてスライド金型等で容易に成形することができる。その後、連結管路39の開口部39aをノズル付きのノズルキャップ40,50で閉塞することでノズルユニット34を形成できる。したがって、ノズルユニット34の製造コストを低減することが可能となる。また、異なる仕様のノズルキャップを準備することで、種々の仕様のノズルユニットに容易に対応することができる。
【0077】
また、本実施の形態に係るノズルユニット34によれば、ワイパブレード20の払拭方向に沿う往路側および復路側に、往路側ノズルキャップ40および復路側ノズルキャップ50をそれぞれ設け、かつワイパブレード20の長手方向に互いにずらして配置した。これにより、
図10の斜線範囲に示すように、ウィンドシールド11上を少量の洗浄液Wで濡らせるようになり、ひいては大幅な節水を実現することができる。
【0078】
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図11は実施の形態2のノズルユニットの
図7に対応した図を示している。
【0080】
図11に示すように、実施の形態2においては、実施の形態1に比して、ノズルユニット34を構成する往路側ノズルキャップ(蓋部材)60および復路側ノズルキャップ(蓋部材)70の構造(仕様)が異なっている。また、往路側ブロック35の洗浄液管路PLと復路側ブロック36の洗浄液管路PLとを、ネジ挿通孔Pを中心に鏡像対象となるよう同じ形状に形成した点(詳細図示せず)が異なっている。
【0081】
具体的には、往路側ノズルキャップ60においては、実施の形態1の往路側ノズルキャップ40(
図8参照)に比して、往路側第3噴射ノズルC1を省略している。一方、復路側ノズルキャップ70においては、実施の形態1の復路側ノズルキャップ50(
図8参照)に比して、復路側第2噴射ノズルF1を省略している。そして、往路側ノズルキャップ60および復路側ノズルキャップ70の双方を、往路側対向面35eおよび復路側対向面36eにおける、往路側第1壁部35aおよび復路側第1壁部36a寄りの部分にそれぞれ配置している。これにより、ワイパブレード20の長手方向に沿うよう、往路側第2噴射ノズルB1および復路側第3噴射ノズルG1が、所定距離L2の分ずらして配置される。
【0082】
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、往路側ブロック35の洗浄液管路PLと、復路側ブロック36の洗浄液管路PLとを、ネジ挿通孔Pを中心に鏡像対象となるよう同じ形状に形成したので、ノズルユニット34の成形に用いる金型をより簡素化することができ、ひいてはより製造コストを低減することができる。
【0083】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、往路側と復路側とでノズルキャップをそれぞれ同じ形状に形成したものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ノズルユニットの仕様に応じて、往路側ノズルキャップに多数のノズルを設け、復路側ノズルキャップに少数のノズルを設ける等、往路側と復路側とでノズルキャップの形状をそれぞれ異ならせることもできる。この場合においても、ノズルキャップ以外のノズルユニットを共通化できるため、製造コストの上昇を抑えることが可能である。
【0084】
また、上記各実施の形態においては、ノズルユニット34を形成する往路側腕部35cおよび復路側腕部36cの長さ寸法やウィンドシールド11に対する傾斜角度を、いずれも同じとしたものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ノズルユニットの仕様に応じて、復路側腕部36cの長さ寸法を往路側腕部35cの長さ寸法よりも短くしても良いし、復路側腕部36cの傾斜角度を往路側腕部35cの傾斜角度よりも大きくしても良い。
【0085】
さらに、上記各実施の形態においては、ノズルユニット34を、車両のフロント側にあるウィンドシールド11を払拭するワイパ装置10に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、車両のリヤ側にあるウィンドシールドを払拭するワイパ装置にも適用することができる。さらには、自動車等の車両に限らず、鉄道車両や航空機,船舶等のワイパ装置にも本発明を適用することができる。