特許第6437258号(P6437258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6437258紙管及び当該紙管を使用したロール状シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6437258
(24)【登録日】2018年11月22日
(45)【発行日】2018年12月12日
(54)【発明の名称】紙管及び当該紙管を使用したロール状シート
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20181203BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20181203BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20181203BHJP
【FI】
   B65H75/18 Z
   B65H75/10
   A47K10/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-193318(P2014-193318)
(22)【出願日】2014年9月24日
(65)【公開番号】特開2016-64879(P2016-64879A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】森脇 哲平
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−063991(JP,U)
【文献】 特許第4159061(JP,B2)
【文献】 米国特許第06425530(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00−75/32
A47K 7/00
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状シートの芯となる中空円筒状の紙管において、
前記紙管の内周面に面した内側原紙層と、前記紙管の外周面に面した外側原紙層を有し、
前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に、芳香物質及び/又は消臭物質を含浸する不織布を有する中層を備え、
前記中層の一部が紙管の内周面及び/又は外周面に露出しており、
前記中層は、前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層と接着されることなく、前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に挟持されることによって固定されていることを特徴とする紙管。
【請求項2】
請求項1に記載の紙管において、
前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層は、帯状の紙管原紙が所定の間隔の螺旋状の隙間を有する螺旋状に巻回されて形成され、
前記螺旋状の隙間を介して、前記中層の一部が前記紙管の内周面及び/又は外周面に露出していることを特徴とする紙管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の紙管において、
前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層に貫通した穿孔部を備え、
前記穿孔部を介して、前記中層の一部が紙管の内周面及び/又は外周面に露出していることを特徴とする紙管。
【請求項4】
ロール状シートの芯となる中空円筒状の紙管において、
前記紙管の内周面に面した内側原紙層と、前記紙管の外周面に面した外側原紙層を有し、
前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に、芳香物質及び/又は消臭物質を含浸する不織布を有する中層を備え、
前記外側原紙層は、帯状の紙管原紙が所定の間隔の螺旋状の隙間を有する螺旋状に巻回されて形成され、
前記螺旋状の隙間を介して、前記中層の一部が紙管の外周面に突出していることを特徴とする紙管。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の紙管と、
前記紙管を芯として捲回されたシートと、を備えることを特徴とするロール状シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管及び当該紙管を使用したロール状シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレットペーパーが巻かれる紙管またはトイレットペーパー自体に香料を付与したものが知られている。しかし、香料のほとんどは揮発性成分であることから、香り立ちを生産から実使用時まで維持させることは困難であるという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に記載の発明によれば、トイレットペーパーが巻かれる紙管を、複数の原紙を重ねて形成し、例えば複数の原紙を貼り合わせる接着剤に香料を混合して付与することによって、香料の揮発速度が抑えられるため芳香効果が長時間維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4159061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の発明では、紙管原紙は一般的に剛性を維持するために緊度が高い素材を用いる必要があるため、紙管自体に保持できる香料の量が少なく、芳香効果が低いという問題点があった。また、香料が原紙を貼り合わせる接着剤に混合されている場合には、接着剤を厚く塗布することによって紙管に保持される香料の量を増やすことは可能であるが、香料が接着剤に封入されて揮発し難いため、この場合も、十分な芳香効果が得られないという問題点があった。
【0006】
本発明の主たる課題は、香料の含浸性に優れ、かつ、効率良く芳香効果を得られる紙管及び当該紙管を使用したロール状シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ロール状シートの芯となる中空円筒状の紙管において、
前記紙管の内周面に面した内側原紙層と、前記紙管の外周面に面した外側原紙層を有し、
前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に、芳香物質及び/又は消臭物質を含浸する不織布を有する中層を備え、
前記中層の一部が紙管の内周面及び/又は外周面に露出しており、
前記中層は、前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層と接着されることなく、前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に挟持されることによって固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の紙管において、
前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層は、帯状の紙管原紙が所定の間隔の螺旋状の隙間を有する螺旋状に巻回されて形成され、
前記螺旋状の隙間を介して、前記中層の一部が前記紙管の内周面及び/又は外周面に露出していることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の紙管において、
前記内側原紙層及び/又は前記外側原紙層に貫通した穿孔部を備え、
前記穿孔部を介して、前記中層の一部が紙管の内周面及び/又は外周面に露出していることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、ロール状シートの芯となる中空円筒状の紙管において、
前記紙管の内周面に面した内側原紙層と、前記紙管の外周面に面した外側原紙層を有し、
前記内側原紙層及び前記外側原紙層の間に、芳香物質及び/又は消臭物質を含浸する不織布を有する中層を備え、
前記外側原紙層は、帯状の紙管原紙が所定の間隔の螺旋状の隙間を有する螺旋状に巻回されて形成され、
前記螺旋状の隙間を介して、前記中層の一部が紙管の外周面に突出していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、ロール状シートにおいて、請求項1〜4の何れか一項に記載の紙管と、
前記紙管を芯として捲回されたシートと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、紙管への香料の含浸性が高く、かつ、含浸された香料が効率良く確実に揮発するため、芳香効果の高い紙管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のロール状トイレットペーパーの斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の紙管の斜視図(a)および、(a)のb−b線における断面図(b)である。
図3】本発明の第2実施形態の紙管の斜視図(a)および、(a)のb−b線における断面図(b)である。
図4】本発明の第3実施形態の紙管の斜視図(a)および、(a)のb−b線における断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。以下の説明においては、本発明の実施の形態における紙管を使用したロール状シートとして、ロール状トイレットペーパーを例示して説明することとする。
【0015】
<トイレットペーパー>
ロール状トイレットペーパー10は、例えば、図1に示されるように、略中空円筒形状をなす紙管30と、一定幅に形成されて紙管30を芯として捲回されたトイレットペーパー20と、を備えて構成される。ロール状トイレットペーパー10は、ペーパーホルダーに取り付けて、トイレットペーパー20を引き出して使用するのが一般的である。
ロール状トイレットペーパー10の大きさは特に限定されないが、直径90〜120mm、幅100〜120mm、紙管径35〜50mmのものが一般的であり、本発明においても好適である。
【0016】
トイレットペーパー20を構成する原紙は、原料パルプを主原料とする薄葉紙用抄紙原料により製造できる。その原料パルプは、特に限定されるものではなく、トイレットペーパー20の具体的な用途に応じて適宜原料パルプを選択し、また配合して使用することができる。
トイレットペーパー20のプライ数及び坪量は、その用途によって適宜調整することができるが、プライ数が1プライから3プライ、全体での紙厚90〜270μm、1プライの坪量は10〜30g/mの範囲内にあるものを使用するのが望ましい。坪量が10g/m未満では、柔らかさの向上の観点からは好ましいものの、使用に耐えうる十分な強度を適正に確保することが困難となる。逆に、坪量が30g/mを超えると紙全体が硬くなるとともに、ゴワ付き感が生じてしまい肌触りが悪くなる。なお、坪量の測定方法としては、例えば、JIS P8124:2011に準じた方法等が挙げられる。
【0017】
<紙管>
[第1実施形態]
紙管30は、例えば図2(a)に示されるように、紙管30の内周面に面した内側原紙層31と、紙管30の外周面に面した外側原紙層32と、内側原紙層31及び外側原紙層32の間に挟まれて香料を含浸する中層33と、の3つの層から形成される。中層33の一部は、内側原紙層31及び/又は外側原紙層32から露出している。
【0018】
内側原紙層31及び外側原紙層32は、例えば、紙管原紙が螺旋状に巻かれたスパイラル紙管、平巻き紙管として形成される。内側原紙層31及び外側原紙層32を構成する紙管原紙は、強度維持の観点から、米坪130〜200g/m、剛度300〜600の原紙を用いることが好ましい。なお、剛度の測定方法は、例えばJIS P8143:2009に準じた方法等が挙げられる。
【0019】
中層33を構成する素材は任意であるが、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、レーヨン樹脂等の吸油度の高い不織布が好ましい。
中層33の厚みは、内側原紙層31及び外側原紙層32の間に挟み込んで紙管30を形成することができ、十分な強度の紙管30が得られるものであれば任意である。
【0020】
中層33に含浸される香料は、芳香を有する揮発性の物質であれば任意であり、1種類の物質を用いても、2種類以上の物質を混合して用いても良い。不織布への香料の含浸量は、香料の揮発性や残香性、コスト、不織布の吸油度等に応じて、適宜任意に変更可能である。
また、中層33には、1種類又は複数種類の消臭物質が含浸されても良い。含浸される消臭物質は、臭い成分を分解、中和、吸着等して除去できる揮発性の物質であれば任意である。
【0021】
中層33の、内側原紙層31及び/又は外側原紙層32から露出している部分は、任意の形状に形成することができる。
紙管30は、例えば、螺旋状に巻回された内側原紙層31の外周面上に、中層33が螺旋状に巻回され、さらに、当該中層33の外周面上に、外側原紙層32が、図2(a)に示されるように所定の間隔の螺旋状の隙間50をあけた螺旋状に巻回されて形成される。これにより、外側原紙層32の螺旋状の隙間50を介して、中層33の一部が紙管30の外周面側に露出することとなる。
【0022】
なお、中層33を螺旋状の隙間50から確実に露出させるため、例えば図2(b)に示されるように、外側原紙層32と中層33は、紙管30の回転軸方向にずらして巻回されることが好ましい。
【0023】
内側原紙層31及び外側原紙層32及び中層33は、必要に応じて、接着剤等を用いて互いに接着されても良い。
例えば、図2(a)に示される第1実施形態のように、螺旋状の隙間50を介して中層33の一部が紙管30の外周面側に露出している場合には、少なくとも、螺旋状の隙間50をあけて巻回される外側原紙層32は、中層33又は内側原紙層31に接着されて固定されることが好ましい。例えば、図2(b)に示されるように、外側原紙層32は接着剤40により中層33と接着され、接着剤40の内周面側の接着剤41により中層33が内側原紙層31に接着されることにより、固定される。
【0024】
中層33が接着剤等を用いて内側原紙層31及び/又は外側原紙層32と接着されると、中層33に含浸されている香料の一部が接着剤に封入されることとなって揮発し難くなり、芳香効果が低下することから、中層33は、接着剤等を用いることなく、内側原紙層31及び外側原紙層32の間に挟持されることによって固定されていることが好ましい。
【0025】
内側原紙層31及び外側原紙層32及び中層33を、接着剤を用いて固定する場合には、接着の方法は任意であり、既知の紙管糊(例えば、CMC、酢酸ビニル)の他、ホットメルト、ラテックス等を用いて接着することができる。中層33に含浸される香料の多くは油性であることから、中層33を内側原紙層31及び/又は外側原紙層32と接着する場合には、疎水性の接着剤を用いることが好ましい。
【0026】
香料は、内側原紙層31及び中層33及び外側原紙層32を巻回して紙管30を形成した後に含浸させても良いし、また、予め香料を含浸させた不織布を中層33に用いて紙管30を形成しても良い。製造工程における香料の揮散を減らすという観点によれば、紙管30の形成後に香料を含浸させることが好ましい。
【0027】
中層33へ香料を含浸させる方法は任意であるが、例えば、紙管30の形成後に紙管30の外面又は内面から滴下又はスプレー塗布することにより、中層33の露出している部分から香料を中層33に含浸させることができる。
【0028】
なお、中層33は、紙管30の外周面側、内周面側のいずれか片側のみから露出していても、両側から露出していても良い。具体的には、例えば図2においては、外側原紙層32が螺旋状の隙間50をあけて巻回されて、中層33が紙管30の外周面側に露出していることとしたが、例えば、内側原紙層31が螺旋状の隙間50を空けて巻回されて、中層33が紙管30の内周面側に露出していることとしても良い。また、例えば、内側原紙層31と外側原紙層32の両方が螺旋状の隙間50をあけて巻回されて、中層33が紙管30の内周面側と外周面側の両側に露出していることとしても良い。
【0029】
紙管30の形成後に香料を含浸させる場合の含浸させやすさ、及び、ロール状トイレットペーパー10の使用前の香料の揮散を抑える観点によれば、中層33は、紙管30の外周面側に露出していることが好ましい。
【0030】
[第2実施形態]
図3に、本発明の第2実施形態を示す。以下、第2実施形態の紙管30が、上述した第1実施形態のものと異なる構成を中心に説明し、共通する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0031】
第2実施形態の紙管30は、例えば図3(a)及び(b)に示されるように、第1実施形態と同様に形成された螺旋状の隙間50から、中層33の端部33Aが紙管30の外周面に突出した形状に形成される。これにより、螺旋状の隙間50から中層33の端部33Aが確実に露出することとなる。
第2実施形態の紙管30は、例えば、予め外側原紙層32と中層33とをずらして重ねた帯状シートを螺旋状に巻回することによって、形成される。
【0032】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、螺旋状の隙間50を介して中層33の一部が紙管30の外周面に露出している場合には、少なくとも、螺旋状の隙間50をあけて巻回される外側原紙層32は、中層33又は内側原紙層31に接着されて固定されることが好ましい。例えば図3(b)に示されるように、内側原紙層31と外側原紙層32とが接着剤42で接着されることとしても良いし、また、例えば図2(b)に示されるように、外側原紙層32は接着剤40により中層33と接着され、中層33は接着剤41により内側原紙層31に接着されて固定されても良い。
【0033】
[第3実施形態]
図4に、本発明の第3実施形態を示す。以下、第3実施形態の紙管30が、上述した第1〜第2実施形態のものと異なる構成を中心に説明し、共通する構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0034】
第3実施形態の紙管30は、例えば図4(a)及び(b)に示されるように、外側原紙層32が、外側原紙層32を貫通する穿孔部51を備え、中層33は、外側原紙層32の穿孔部51を介して、紙管30の外周面側に露出している。
【0035】
穿孔部51の面積及び密度及び形状は、紙管30の強度を維持できるものであれば任意である。なお、穿孔部51は、外側原紙層32だけでなく内側原紙層31にも設けられても良いし、内側原紙層31のみに設けられても良い。
【0036】
以上説明した第1〜3実施形態の紙管30によれば、香料が不織布からなる中層33に含浸されるので、紙管30は多量の香料を保持し、且つ、無駄なく揮発させることができる。その結果、芳香効果の高い紙管30を得ることができる。
【0037】
また、中層33の一部が紙管30の表面に露出しているので、中層33に保持されている香料を効率良く揮発させることができる。また、紙管30形成後に中層33に香料を容易に含浸させることができるため、製造時の香料の無駄な揮散が少ないという利点がある。
【0038】
さらに、第2実施形態及び第3実施形態の紙管30によれば、例えば、内側原紙層31を巻回した外周面上に、予め外側原紙層32と中層33を重ねた帯状シートを巻回して形成することが可能であり、製造工程を減らして容易に製造することができるという利点がある。
勿論、予め内側原紙層31と中層33を重ねた帯状シートを巻回して、その外周面上に、外側原紙層32を巻回して、紙管30を形成しても良い。
【0039】
また、第3実施形態に示されるような紙管30によれば、内側原紙層31及び外側原紙層32は螺旋状の隙間50をあけずに巻回されるので、内側原紙層31及び外側原紙層32及び中層33の各層の間を、接着剤で接着することなく、中層33を挟持することが可能である。
【実施例】
【0040】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
<実施例1>
米坪150g/m2、緊度0.8g/m、剛度400、紙幅80mmの紙管原紙を使用した内側原紙層31及び外側原紙層32、及び、吸油度80ml(JIS K5101−13−1:2004に準じて測定)、幅40mm、厚み500μm(JIS L1913 A法:2010に準じて測定)であるポリエステル樹脂製の不織布を使用した中層33の3層からなる、径41mm、幅114mmの中空円筒形状の紙管30を作成した。
外側原紙層32は、図2に示されるように、螺旋状の隙間50を空けて巻回され、当該螺旋状の隙間50から中層33が露出している。なお、隙間50の幅が10mmのものを実施例1−1、幅20mmのものを実施例1−2とした。
【0041】
香料の付与は、紙管30の回転軸方向に7m/分の速度で紙管30を移動させながら、紙管30の回転軸のほぼ真上から、吐出量10ml/分の割合で比重0.91のハッカ油を紙管30の外面に滴下して行った。
紙管30に保持される香料の量の評価として、まず、香料の滴下時に紙管30に吸収されずに垂れ落ちる香料の有無を観察した。さらに、香料の滴下前及び滴下直後の紙管30の重量を計測し、最終的に紙管30に吸収された香料の量(最終保持量)を算出した。
【0042】
<実施例2>
図4に示されるように、外側原紙層32を形成する紙管原紙に穿孔部51が設けられ、外側原紙層32が隙間をあけずに螺旋状に巻回されている他は、実施例1と同じ構成の紙管30を作成した。
穿孔部51は、外側原紙層32の面積1cm当たり1つの割合で形成され、外側原紙層32を貫通する直径約1mmの略円形状の孔である。
【0043】
<比較例1>
実施例1と同様の紙管原紙を用いた内側原紙層31及び外側原紙層32の2層からなる紙管30を作成した。比較例1において、外側原紙層32は螺旋状の隙間50や穿孔部51を備えていない。
香料の付与は、実施例1と同様に行い、外側原紙層32に香料を含浸させた。
【0044】
<比較例2>
比較例1と同じ構成の紙管30を作成し、香料を、最終塗布量が実施例1及び2とほぼ同量となるように付与した。
具体的には、まず、実施例1と同様の滴下方法により、紙管30の回転軸のほぼ真上からハッカ油を70μg滴下し、液垂れの無いように十分紙管に浸透させた後、紙管30を周方向に180度回転させて、紙管30の回転軸のほぼ真上からハッカ油をさらに70μg滴下した。
【0045】
香りの持続性を検討するため、実施例1−1、実施例2、及び比較例1、比較例2の紙管30を、香料を付与してから25℃湿度50%環境で7日間放置した後、香りの強度を評価した。評価は、比較例2の紙管30の香りの強度と比較した場合の、実施例1−1及び実施例2のの紙管30の相対的な香りの強度を、とても強い、やや強い、ほぼ同じ、やや弱い、とても弱い、の5段階で評価し、とても強いを5点、とても弱いを1点として点数化した。
5人の被験者による香りの強度の評価の平均値を表1に示す。なお、実施例1−1及び実施例2の評価の内訳は以下の通りである。実施例1−1:5点、4点、3点、4点、5点。実施例1−2:4点、4点、4点、3点、4点。実施例2:5点、5点、4点、5点、4点。比較例1:2点、2点、2点、2点、1点。
【0046】
【表1】
【0047】
不織布からなる中層33を備える実施例1、2においては、滴下した香料は全て紙管30に吸収され、最終塗布量は実施例1−1では148μg、実施例1−2では147μg、実施例2にあっては149μgであった。一方、中層33を備えない比較例1の紙管30においては、滴下した香料の一部が吸収されずに落下し、最終塗布量は115μgであった。比較例1のように中層33を備えない紙管30において、香料の最終塗布量を実施例とほぼ同量にするためには、比較例2に記載したように、香料を2度に分けて付与する必要があった。つまり、実施例1、2のように不織布からなる中層33を設けることによって、香料をより効率良く紙管30に保持させることができた。
【0048】
次に、香料の滴下直後の最終保持量がほぼ同じである実施例1、2、及び比較例1、2の紙管30について、香りの持続性を検討すると、紙管30の形成の7日後の香りの強度は、実施例1、2はいずれも比較例1、2より強く、特に実施例2の香りの強度が高かった。また、実施例1−1と実施例1−2を比較すると、実施例1−1の方がわずかながら香りの持続性が高くなっていた。
実施例1−2は、実施例1−1に比べて中層33の露出面積が大きいため、香料の揮散が早かったと考えられる。また、実施例2は、実施例1と比較して中層33の露出面積が小さいため、香料の揮発速度が遅く、芳香効果が長時間維持されたと考えられる。つまり、中層33の露出面積を変えることによって、香りの持続時間を調節することが可能であった。
【符号の説明】
【0049】
10 ロール状トイレットペーパー(ロール状シート)
20 トイレットペーパー(シート)
30 紙管
31 内側原紙層
32 外側原紙層
33 中層
40、41、42 接着剤
50 螺旋状の隙間
51 穿孔部
図1
図2
図3
図4