(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体部と前記複数の導通用バネ片と前記複数の変位規制部は、1枚の金属板から形成され、互いに隣接する前記導通用バネ片と前記変位規制部とが切欠きにより切り離されている請求項1に記載のコネクタ。
前記複数の変位規制部は、それぞれ隣接する前記導通用バネ片との間が前記切欠きにより切り離され、前記複数の導通用バネ片と共に前記金属板に曲げ加工を施すことによりバネ片の形状を有している請求項2〜4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタにおいては、ソケットコンタクトが弾性変位可能なバネ接点を有し、コネクタの嵌合時に、相手側コネクタのコンタクトが嵌合面に沿って相対的にソケットコンタクトに挿入され、相手側コネクタのコンタクトがソケットコンタクトのバネ接点を弾性変位させた状態でバネ接点に接触する。このときバネ接点に生じる弾性力により、相手側コネクタのコンタクトとソケットコンタクトとが電気導通される。
ところが、相手側コネクタのコンタクトが嵌合面からずれた位置で挿入される、あるいは、嵌合面に対して斜めに挿入された等の位置ずれを生じた場合、ソケットコンタクトのバネ接点が弾性限界を超えて変位し、バネ接点が形成されているバネ片が塑性変形したり、相手側コネクタのコンタクトとソケットコンタクトとの間に十分な接触圧が得られず、信頼性のある電気導通を行うことができなくなるおそれがある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、
図11に示されるように、ボックス形のコンタクト本体1の上端から互いに対向する1対のビーム2が下方に延び、これらのビーム2の下端からそれぞれ上方にバネ片3が延びて、バネ片3の上端近傍にバネ接点4が形成されると共に、双方のビーム2の下端が互いに反対方向に屈曲されて、その先端に変位規制部5が形成されたソケットコンタクトが開示されている。
【0004】
相手側コネクタのコンタクトが嵌合面C1に沿ってコンタクト本体1内に挿入されると、バネ片3を弾性変形しつつ相手側コネクタのコンタクトがバネ接点4に接触する。このとき、それぞれのビーム2も弾性変位することとなるが、ビーム2の下端に形成された変位規制部5がコンタクト本体1の内壁6に接触すると、それ以上のビーム2の変位が規制される。
このため、相手側コネクタのコンタクトが嵌合面C1からずれた位置で挿入される、あるいは、嵌合面C1に対して斜めに挿入された場合には、変位規制部5がコンタクト本体1の内壁6に接触することでそれ以上の変位が規制されたビーム2の下端により、相手側コネクタのコンタクトの位置が矯正される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バネ片3がビーム2の下端から上方に延びていることから、バネ片3に形成されたバネ接点4がビーム2の上端近傍に位置しているのに対して、変位規制部5はビーム2の下端に形成されている。すなわち、バネ接点4と変位規制部5とが嵌合方向に離れた位置に配置されているため、変位規制部5が形成されているビーム2の下端においては、相手側コネクタのコンタクトの位置が矯正されるものの、バネ接点4が位置するビーム2の上端近傍においては、相手側コネクタのコンタクトが嵌合面C1から大きくずれるおそれがある。
このようにしてビーム2の上端近傍における相手側コネクタのコンタクトの位置が嵌合面C1から大きくずれると、双方のバネ接点4に対する相手側コネクタのコンタクトの接触が著しく不均衡となり、一方のバネ接点4が過大変位してバネ片3が塑性変形しやすくなると共に、他方のバネ接点4は相手側コネクタのコンタクトから離れて接触不良を来すおそれが生じ、電気導通の信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、相手側コネクタのコンタクトが位置ずれを生じた状態で嵌合しても、信頼性の優れた電気導通を行うことができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタは、嵌合面に沿って挿入される相手側コネクタの平板形状のコンタクトに電気的に接続されるソケットコンタクトを有するコネクタにおいて、ソケットコンタクトは、
相手側コネクタのコンタクトを受け入れる受け入れ部が形成された本体部と、本体部の嵌合方向の端部から受け入れ部内に向けて折り返された弾性変位可能な複数の導通用バネ片と、それぞれ嵌合面を挟むように嵌合面の両側に
おいて複数の導通用バネ片の先端に配置され且つ相手側コネクタのコンタクトに接触して電気導通する少なくとも1対の互いに対向する導通用接点と、
本体部の嵌合方向の端部から受け入れ部内に向けて折り返された複数の変位規制部と、それぞれ嵌合面を挟むように嵌合面の両側に
おいて複数の変位規制部の先端の近傍に配置され且つ相手側コネクタのコンタクトが変位したときに相手側コネクタのコンタクトに接触することにより相手側コネクタのコンタクトの所定量を超える変位を防止する少なくとも1対の互いに対向する変位規制用接点とを備え、少なくとも1対の導通用接点および少なくとも1対の変位規制用接点は、嵌合方向におけるほぼ同一の位置で且つ嵌合面の方向に隣接して配置され、各対の変位規制用接点は、各対の導通用接点間の間隔よりも大きな間隔を有し
、相手側コネクタのコンタクトが変位したときに相手側コネクタのコンタクトが変位規制用接点に接触して変位規制部の先端が本体部の内壁面に接触することにより、相手側コネクタのコンタクトのさらなる変位を防止するものである。
【0010】
好ましくは、本体部と複数の導通用バネ片と複数の変位規制部は、1枚の金属板から形成され、互いに隣接する導通用バネ片と変位規制部とが切欠きにより切り離されている。
この場合、ソケットコンタクトは、1対の変位規制部と、嵌合面に沿って変位規制部の両側に隣接して配置された2対の導通用バネ片とを有するように構成することができる。あるいは、ソケットコンタクトは、1対の導通用バネ片と、嵌合面に沿って導通用バネ片の両側に隣接して配置された2対の変位規制部とを有するように構成してもよい。
なお、複数の変位規制部は、それぞれ隣接する導通用バネ片との間が切欠きにより切り離され、複数の導通用バネ片と共に金属板に曲げ加工を施すことによりバネ片の形状を有していてもよい。
【0011】
ソケットコンタクトは、互いに反対方向に延びるように本体部に連結され且つはんだ付けにより基板に固定するための1対のはんだ付け部を有することが好ましい。
1対のはんだ付け部は、嵌合面を挟むように嵌合面の両側に配置することができる。この場合、本体部は、嵌合面に沿った方向に互いに対向して配置された1対の側面部を有し、1対の側面部のうちの一方の側面部は、嵌合面に沿って一端から他端まで延びると共に相手側コネクタのコンタクトが挿通可能なスリットを有していてもよい。
また、1対のはんだ付け部は、嵌合面に沿った方向に互いに対向して配置することもできる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ソケットコンタクトは、弾性変位可能に配置された少なくとも1対の導通用接点と、相手側コネクタのコンタクトに接触することにより相手側コネクタのコンタクトの所定量を超える変位を防止する少なくとも1対の変位規制用接点とを備え、少なくとも1対の導通用接点および少なくとも1対の変位規制用接点は、嵌合方向におけるほぼ同一の位置で且つ嵌合面の方向に隣接して配置され、各対の変位規制用接点は、各対の導通用接点間の間隔よりも大きな間隔を有しているので、相手側コネクタのコンタクトが位置ずれを生じた状態で嵌合しても、信頼性の優れた電気導通を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1(A)〜(D)に、実施の形態1に係るコネクタのソケットコンタクト11の構成を示す。ソケットコンタクト11は、嵌合面C1に沿って挿入される相手側コネクタの平板形状のコンタクトに電気的に接続されるもので、金属板をいわゆるボックス形に折り曲げ加工することで形成された本体部12を有している。本体部12は、互いに対向する正面部12Aおよび背面部12Bと、これら正面部12Aおよび背面部12Bの端部を連結する1対の側面部12Cおよび12Dからなり、本体部12の内部に相手側コネクタのコンタクトを受け入れる空間としての受け入れ部Sが形成されている。
【0015】
さらに、ソケットコンタクト11は、本体部12の正面部12Aおよび背面部12Bの上端の両端部からそれぞれ受け入れ部S内に向けて折り返される2対の導通用バネ片13を有すると共に、正面部12Aおよび背面部12Bの上端の中央部からそれぞれ受け入れ部S内に向けて折り返される1対の変位規制部14を有している。すなわち、正面部12Aには、1つの変位規制部14と、変位規制部14の両側にそれぞれ配置された2つの導通用バネ片13が一体に連結され、同様に、背面部12Bにも、1つの変位規制部14と、変位規制部14の両側にそれぞれ配置された2つの導通用バネ片13が一体に連結されている。
【0016】
正面部12A側の導通用バネ片13と背面部12B側の導通用バネ片13は、受け入れ部S内において互いに対向し、それぞれの先端近傍に導通用接点13Aが形成されている。導通用接点13Aは、相手側コネクタのコンタクトに接触して電気導通するためのものである。
また、正面部12A側の変位規制部14と背面部12B側の変位規制部14は、受け入れ部S内において互いに対向し、それぞれの先端近傍に変位規制用接点14Aが形成されている。変位規制用接点14Aは、相手側コネクタのコンタクトに接触することで相手側コネクタのコンタクトの所定量を超える変位を防止するためのものである。
正面部12Aおよび背面部12Bのそれぞれにおいて、互いに隣接する導通用バネ片13と変位規制部14の間に切欠き15が形成されており、この切欠き15により導通用バネ片13と変位規制部14とが互いに切り離されている。
【0017】
また、本体部12の正面部12Aおよび背面部12Bの下端には、嵌合面C1を挟むように嵌合面C1の両側に配置され且つ互いに反対方向に延びて、はんだ付けによりソケットコンタクト11を図示しない基板に固定するための1対のはんだ付け部16が連結されている。
ここで、便宜上、本体部12の1対の側面部12Cおよび12Dが対向する方向をX方向、正面部12Aおよび背面部12Bが対向する方向をY方向、本体部12の下部から上部へ向かう方向をZ方向と呼ぶこととする。
嵌合面C1はXZ面に沿って延び、図示しない相手側コネクタのコンタクトは、嵌合面C1に沿いながらソケットコンタクト11に対して相対的に−Z方向に挿入されて嵌合する。
【0018】
図2に示されるように、本体部12の受け入れ部S内において、変位規制部14の変位規制用接点14Aと、変位規制部14のX方向の両側に配置された導通用バネ片13の導通用接点13Aは、互いにX方向に隣接すると共に、図示しない相手側コネクタのコンタクトの嵌合方向であるZ方向におけるほぼ同一の位置に配置されている。
また、変位規制部14と両側の導通用バネ片13とがそれぞれ切欠き15を介して切り離されているので、導通用バネ片13は、変位規制部14から独立して弾性変形するように構成されている。
【0019】
図3に示されるように、正面部12A側の導通用バネ片13と背面部12B側の導通用バネ片13は、それぞれ、本体部12の上端で折り返され、双方の導通用バネ片13の先端部13Bが本体部12の下端近傍に至るまで−Z方向に延びている。双方の導通用バネ片13の導通用接点13Aは、嵌合面C1を挟むように嵌合面C1の両側に配置され、互いに間隔G1を隔ててY方向に対向している。なお、この間隔G1は、図示しない相手側コネクタのコンタクトの厚さよりも小さい値に設定されているものとする。
【0020】
また、正面部12A側の導通用バネ片13の先端部13Bは、導通用接点13Aよりも嵌合面C1から−Y方向に離れた位置にあり、間隔G2を隔てて正面部12Aの内壁面17に対向している。同様に、背面部12B側の導通用バネ片13の先端部13Bは、導通用接点13Aよりも嵌合面C1から+Y方向に離れた位置にあり、間隔G2を隔てて背面部12Bの内壁面17に対向している。なお、この間隔G2は、相手側コネクタのコンタクトが2対の導通用接点13Aの間に挿入された場合でも、導通用バネ片13の先端部13Bがそれぞれ対向している正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触することがないような値に、予め設定されている。
【0021】
図4に示されるように、正面部12A側の変位規制部14と背面部12B側の変位規制部14は、それぞれ、本体部12の上端で折り返され、双方の変位規制部14の先端部14Bが本体部12の下端近傍に至るまで−Z方向に延びている。双方の変位規制部14の変位規制用接点14Aは、嵌合面C1を挟むように嵌合面C1の両側に配置され、互いに間隔G3を隔ててY方向に対向している。なお、この間隔G3は、
図3に示した2対の導通用接点13Aの間隔G1よりも大きく、相手側コネクタのコンタクトの厚さに等しい値、あるいは、相手側コネクタのコンタクトの厚さよりもわずかに大きな値を有している。
【0022】
また、正面部12A側の変位規制部14の先端部14Bは、変位規制用接点14Aよりも嵌合面C1から−Y方向に離れ、正面部12Aの内壁面17にわずかな間隔を隔てて近接している。同様に、背面部12B側の変位規制部14の先端部14Bは、変位規制用接点14Aよりも嵌合面C1から+Y方向に離れ、背面部12Bの内壁面17にわずかな間隔を隔てて近接している。
このため、相手側コネクタのコンタクトに接触することにより、変位規制用接点14Aが押されて、変位規制部14が弾性変形しても、変位規制部14の先端部14Bがわずかに変位したところで対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触し、それ以上の変位規制部14の弾性変形が生じないように構成されている。
【0023】
このように、本体部12、2対の導通用バネ片13、1対の変位規制部14および1対のはんだ付け部16を有するソケットコンタクト11は、1枚の金属板に、隣接する導通用バネ片13と変位規制部14とを切り離す切欠き15を形成すると共に曲げ加工を施すことにより、作製することができる。
【0024】
次に、実施の形態1におけるソケットコンタクト11の動作について説明する。
ソケットコンタクト11は、
図5(A)に示されるように、1対のはんだ付け部16が基板18の固定用パッド等にはんだ付けされることにより、基板18に固定される。なお、基板18には、ソケットコンタクト11の受け入れ部Sの直下に、相手側コネクタのコンタクト19の先端を挿入するための開口部18Aが形成されている。
相手側コネクタのコンタクト19を、ソケットコンタクト11に対し、嵌合面C1に沿って相対的に−Z方向に移動させると、コンタクト19は、受け入れ部S内に入った後、間隔G1を隔ててY方向に対向している2対の導通用接点13Aをそれぞれ押し広げながら−Z方向に前進し、コンタクト19の先端が基板18の開口部18A内に挿入される所定の位置まで前進したところで、コネクタの嵌合が完了する。
【0025】
図3に示したように、導通用バネ片13の先端部13Bと対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17との間に、予め所定の間隔G2が形成されているので、相手側コネクタのコンタクト19が2対の導通用接点13Aの間に挿入されても、導通用バネ片13の先端部13Bがそれぞれ対向している正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触することはない。
【0026】
また、
図4に示したように、嵌合面C1を挟んで対向する変位規制用接点14Aの間に、相手側コネクタのコンタクト19の厚さに等しい、あるいは、コンタクト19の厚さよりもわずかに大きな間隔G3が形成されている。このため、
図5(B)に示されるように、相手側コネクタのコンタクト19が互いに対向する変位規制用接点14Aの間に挿入されても、コンタクト19が嵌合面C1上にあって互いに対向する変位規制用接点14Aの中央部に位置する限り、変位規制用接点14Aは変位することがない。
【0027】
ここで、相手側コネクタのコンタクト19が嵌合面C1からY方向にずれた位置で挿入される、あるいは、嵌合面C1に対して斜めに挿入された場合について考察する。この場合も、
図6(A)に示されるように、コンタクト19は、受け入れ部S内に入った後、間隔G1を隔ててY方向に対向している2対の導通用接点13Aを押し広げながら−Z方向に前進するが、このとき、コンタクト19は、
図6(B)に示されるように、互いに対向する変位規制用接点14Aの間を通過することとなる。
【0028】
上述したように、変位規制部14の先端部14Bは、予め、対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17にわずかな間隔を隔てて近接しているので、相手側コネクタのコンタクト19に接触することにより、変位規制用接点14Aが押されて変位規制部14が弾性変形しても、変位規制部14の先端部14Bがわずかに変位したところで対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触し、それ以上の変位規制部14の弾性変形が生じない。このため、コンタクト19のY方向の位置が矯正され、互いに対向する変位規制用接点14Aの間においては、コンタクト19が嵌合面C1上に位置することとなる。
【0029】
ここで、
図2に示したように、導通用バネ片13の導通用接点13Aと変位規制部14の変位規制用接点14Aは、Z方向においてほぼ同一の位置に配置されている。従って、
図6(A)に示されるように、互いに対向する2対の導通用接点13Aの間においても、コンタクト19は嵌合面C1上に位置し、その結果、互いに対向する導通用接点13Aに対するコンタクト19の接触状態が均一となり、導通用接点13Aの過大変位に起因する導通用バネ片13の塑性変形並びに導通用接点13Aがコンタクト19から離れることによる接触不良を防止して、電気導通の信頼性を向上させることができる。
【0030】
また、
図5(A)および(B)に示したように、相手側コネクタのコンタクト19が嵌合面C1に沿ってソケットコンタクト11に正常に挿入されることにより、コンタクト19と2対の導通用接点13Aの間の電気導通状態が確立された後に、相手側コネクタのコンタクト19あるいはソケットコンタクト11に何らかの応力が加わって、ソケットコンタクト11に対してコンタクト19が変位した場合においても、変位規制用接点14Aがコンタクト19により押されて変位規制部14が弾性変形し、変位規制部14の先端部14Bがわずかに変位して対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触したところで、コンタクト19のさらなる変位が防止されることとなる。このため、互いに対向する導通用接点13Aに対するコンタクト19の接触状態が均一となり、確実な電気導通が実現される。
【0031】
なお、変位規制部14の先端部14Bは、対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17にわずかな間隔を隔てて近接する代わりに、予め、対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触していてもよい。
このようにしても、変位規制用接点14Aが相手側コネクタのコンタクト19に接触することで、コンタクト19を、2対の導通用接点13Aの間において嵌合面C1上に位置させることができ、互いに対向する導通用接点13Aに対するコンタクト19の接触状態を均一にして、確実な電気導通を行うことが可能となる。
変位規制部14は、バネ性を有する必要がなく、本体部12の受け入れ部S内に変位規制用接点14Aを固定状態で配置してもよいが、実施の形態1のソケットコンタクト11では、1枚の金属板に、隣接する導通用バネ片13と変位規制部14とを切り離す切欠き15を形成すると共に曲げ加工を施すことにより作製しているので、変位規制部14もバネ片となっており、このため、変位規制部14の先端部14Bがわずかに変位したところで対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に接触し、それ以上の弾性変形が生じないように規制している。
【0032】
なお、変位規制部14の先端部14Bが本体部12の下端近傍に至るまで−Z方向に延びており、はんだ付け部16に近接しているので、はんだ付け部16を基板18にはんだ付けする際に、はんだが変位規制部14の先端部14Bに流れてくるおそれがある。ただし、変位規制部14の先端部14Bは、対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に固定されても、相手側コネクタのコンタクト19の所定量を超える変位を規制して信頼性の優れた電気導通を実現することができるので、何ら問題はない。
導通用バネ片13の先端部13Bも、本体部12の下端近傍に至るまで−Z方向に延びているが、導通用バネ片13の先端部13Bは、所定の間隔G2を隔てて正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に対向しているため、たとえ、はんだが流れてきても、対向する正面部12Aまたは背面部12Bの内壁面17に固定されることはない。
【0033】
また、導通用接点13Aおよび変位規制用接点14Aは、本体部12の下端近傍に配置されており、嵌合方向であるZ方向において、はんだ付け部16に近接した位置にある。このため、相手側コネクタのコンタクト19の挿入およびコンタクト19の位置ずれ等に起因して導通用バネ片13および変位規制部14に作用する力がはんだ付け部16に及ぼすモーメントは小さく、はんだ付け部16における基板18との接続の信頼性が向上する。
【0034】
実施の形態2
実施の形態1におけるソケットコンタクト11は、本体部12の正面部12Aおよび背面部12Bのそれぞれにおいて、1つの変位規制部14の両側に2つの導通用バネ片13が配置されていたが、これに限るものではない。
図7に示される実施の形態2に係るコネクタのソケットコンタクト21では、本体部22の正面部22Aおよび背面部22Bのそれぞれにおいて、1つの導通用バネ片23の両側に2つの変位規制部24が配置されている。すなわち、ソケットコンタクト21は、1対の導通用バネ片23と2対の変位規制部24を有している。導通用バネ片23および変位規制部24の構成は、それぞれ、実施の形態1で用いられた導通用バネ片13および変位規制部14と同一である。
【0035】
このような構成としても、実施の形態1におけるソケットコンタクト11と同様にして、相手側コネクタのコンタクト19が嵌合面C1からY方向にずれた位置で挿入される、あるいは、嵌合面C1に対して斜めに挿入された場合であっても、信頼性の優れた電気導通を実現することができる。
また、本体部22の正面部22Aおよび背面部22Bのそれぞれにおいて、複数の導通用バネ片23と複数の変位規制部24が配列されるように構成することもできる。
【0036】
実施の形態3
実施の形態1におけるソケットコンタクト11では、嵌合面C1を挟むように本体部12の正面部12Aおよび背面部12Bの下端にそれぞれはんだ付け部16が連結されていたが、
図8(A)および(B)に示される実施の形態3のコネクタのソケットコンタクト31のように、本体部12の1対の側面部12Cおよび12Dの下端にそれぞれはんだ付け部36を連結し、これら1対のはんだ付け部36を嵌合面C1に沿った方向に互いに対向させることもできる。
このような構成にすると、側面部12Cおよび12Dに沿ってY方向に延びるはんだ付け部36が形成されるので、相手側コネクタのコンタクト19の挿入およびコンタクト19の位置ずれ等に起因して導通用バネ片13および変位規制部14に作用するY方向の力をY方向に延びるはんだ付け部36で受けることとなり、はんだ付け部36における基板18との接続の信頼性を向上させることができる。
【0037】
実施の形態4
図9(A)〜(F)に、実施の形態4に係るコネクタのソケットコンタクト41の構成を示す。ソケットコンタクト41は、実施の形態1におけるソケットコンタクト11と同様に、互いに対向する正面部42Aおよび背面部42Bと1対の側面部42Cおよび42Dからなり、内部に受け入れ部Sを形成する本体部42を有している。
本体部42の正面部42Aおよび背面部42Bには、それぞれ、1つの導通用バネ片43と1つの変位規制部44が隣接して配置され、受け入れ部S内において、導通用バネ片43の先端近傍に導通用接点43Aが形成され、変位規制部44の先端近傍に変位規制用接点44Aが形成されている。
導通用バネ片43および変位規制部44の構成は、それぞれ、実施の形態1で用いられた導通用バネ片13および変位規制部14と同一であり、導通用接点43Aと変位規制用接点44Aは、互いにX方向に隣接すると共に、Z方向におけるほぼ同一の位置に配置されている。
【0038】
正面部42Aおよび背面部42Bのそれぞれにおいて、互いに隣接する導通用バネ片43と変位規制部44の間にZ方向に延びる切欠き45が形成されており、この切欠き45により導通用バネ片43と変位規制部44とが互いに切り離されている。また、導通用バネ片43と側面部42Cとの間にもZ方向に延びる切欠き45が形成され、この切欠き45により導通用バネ片43と側面部42Cとが互いに切り離されている。これらの切欠き45により、導通用バネ片43は、変位規制部44から独立して弾性変形するように構成されている。
【0039】
1対の側面部42Cおよび42Dのうち、一方の側面部42Dは、受け入れ部Sの+X方向端部を閉じるように正面部42Aと背面部42Bとを連結しているが、他方の側面部42Cには、嵌合面C1に沿って側面部42Cの+Z方向端部から−Z方向端部まで延びるスリット48が形成されており、このスリット48により、側面部42Cは正面部42A側部分と背面部42B側部分とに分割され、受け入れ部Sの−X方向端部はスリット48を通して開放されている。
【0040】
側面部42Cの正面部42A側部分および背面部42B側部分には、導通用接点43Aおよび変位規制用接点44Aと同一のZ方向位置にスリット48に面して互いに対向する変位規制用接点48Aが形成されている。これらの変位規制用接点48Aの間隔は、変位規制用接点44Aにおける間隔とほぼ等しく、コンタクト19の厚さに等しい値、あるいは、コンタクト19の厚さよりもわずかに大きな値に設定されている。スリット48の開口幅は、変位規制用接点48Aにおいて最も小さく、その他の箇所においては、変位規制用接点48Aの間隔よりも大きな開口幅を有している。
また、本体部42の正面部42Aおよび背面部42Bの下端に、それぞれ、はんだ付け部46が連結されている。
【0041】
コネクタの嵌合時には、
図10(A)に示されるように、相手側コネクタのコンタクト19が、ソケットコンタクト41に対し、嵌合面C1に沿って相対的に−Z方向に移動されるが、
図10(B)に示されるように、コンタクト19の−X方向端部Eはソケットコンタクト41の側面部42Cよりも外側に位置しており、コンタクト19は、受け入れ部S内に挿入されると同時に側面部42Cのスリット48内に挿入される。
そして、コンタクト19は、受け入れ部S内の1対の導通用接点43Aを押し広げながら−Z方向に前進してコネクタの嵌合を完了することとなる。
【0042】
相手側コネクタのコンタクト19が嵌合面C1からY方向にずれた位置で挿入される、あるいは、嵌合面C1に対して斜めに挿入された場合には、実施の形態1におけるソケットコンタクト11と同様にして、変位規制部44の変位規制用接点44Aおよびスリット48内の変位規制用接点48Aによりコンタクト19のY方向の位置が矯正され、1対の導通用接点43Aに対するコンタクト19の接触状態が均一となり、導通用接点43Aの過大変位に起因する導通用バネ片43の塑性変形並びに導通用接点43Aがコンタクト19から離れることによる接触不良を防止して、電気導通の信頼性を向上させることができる。
【0043】
この実施の形態4におけるソケットコンタクト41では、相手側コネクタのコンタクト19の−X方向端部Eが側面部42Cよりも外側にはみ出た状態で嵌合が行われるので、実施の形態1におけるソケットコンタクト11に比べて、ソケットコンタクト41のX方向の長さ、すなわち、コンタクト19の幅方向の長さを縮小することができ、小型化を達成することが可能となる。
【0044】
実施の形態1〜4に係るコネクタは、それぞれ、1つのソケットコンタクト11,21,31および41を備えた単接点構成としてもよいが、複数のソケットコンタクト11,21,31および41を配列し、相手側コネクタの複数のコンタクト19に対してそれぞれ電気導通する複数接点構成のコネクタとすることもできる。